説明

遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造

【課題】狭い場所での施工及びメンテナンス時を簡単に行うことができ、更には、連結ユニットの連結が外部からの応力によって脱落したり、損傷が発生することを防止するレリースワイヤ連結構造を提供する。
【解決手段】連結ユニット8の構造を、操作ユニット4端部に配置されて、レリースワイヤ5が挿入される係合用の切り欠き部を備えた挿入部43と、レリースワイヤ5の操作ユニット4側端部に配置される係合凹溝54と、解除操作するためのスイッチ部61を単独で備え、なおかつ前記係合凹溝54に切り欠き部を介して係合する係合凸部を構成した連結体6と、から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、槽体の排水口に用いられる弁体の開閉を遠隔的に操作する遠隔操作式排水栓装置がある。
本従来例では、図7に示すように洗面ボウルに取り付けられる。
また、本従来例の遠隔操作式排水栓装置は、図8に示すように槽体と、排水口と、排水トラップと、弁体と、操作ユニットと、レリースワイヤと、連結ユニットと、から構成される。
槽体は、箱体であって、底部に後記する排水口が開口される。又、本従来例では、洗面ボウルが槽体である。
排水口は、槽体の底部に開口された孔であって、排水口には、最終的には下水管と接続される排水管が接続されていて、槽体内部の排水を下水管へと排水するよう配管されている。
排水トラップは、排水口に接続された排水管の途中に配管されるU字状に屈曲された配管であって、内部に封水と呼ばれる排水を一次貯留している。
弁体は、排水口に配置され、弁体が上下動する毎に排水が排水/止水できるように成っている。弁体が排水口に降下して着座すれば排水口は閉口されて、排水は下水へと排水されず槽体内に貯水され、弁体が上昇した際は排水口が開口されて、本従来例では、後記する操作ユニットの操作により弁体が上昇/下降することにより、排水口の開閉を行うことが出来る。
操作ユニットは、操作部と、本体部と、挿入部と、から構成される。
操作部は、使用者が操作を行うために構成され、操作軸を使用者が押動操作することにより、押動操作が連結ユニットを介してレリースワイヤに伝達することができる部材である。また、本操作部は、槽体の上縁部に配置構成されている。
本体部は、槽体裏面に操作部と連結して配置される円筒状の部材であって、内部上方には操作軸が進退自在に配置される。また、下方には後記する挿入部が構成される。
挿入部は、前記本体部下端に配置構成される後記レリースワイヤのロッド部が挿入される部分であって、外周面に凹溝を構成して成る。
レリースワイヤは、金属の圧縮コイル状のインナーワイヤと、該インナーワイヤが進退自在に内包される円筒形状であって、可撓性を有する樹脂製のアウターチューブから構成される。また、レリースワイヤは一方を操作ユニットに、他方端部を弁体に接続して成る。また、操作ユニットの押動操作により、インナーワイヤがアウターチューブ内を進退して、弁体の上下動を遠隔的に操作する構造となっている。
また、レリースワイヤは、操作ユニット側端部にスナップフィットと呼ばれる係合爪を構成して成る。当該係合爪は、前記挿入部外周の係合凹溝に弾性係合する爪部と、その係合爪の解除操作を行う係合爪に連接されたスイッチ部とから構成される。また、係合爪は、軸対称に二個構成され、レリースワイヤのロッド部を挿入部に挿入すると係合爪が弾性により拡径し、係合凹溝に係合する。また、係合爪の解除操作をする場合には、二箇所の係合爪に連接されたスイッチ部を使用者が中心方向に向かって同時に押動操作することにより、てこの原理によって係合爪が中心から外側方向に拡径する。従って、挿入部の係合凹溝との係合が解除され、レリースワイヤと操作ユニットの連結が解除できる。
更に、レリースワイヤの操作部側端部にはロッド部を構成して成る。当該ロッド部には、
連結ユニットは、前述した操作ユニットの挿入部及び係合凹溝、レリースワイヤのロッド部及び二箇所構成された係合爪と、から構成されて成る。当該連結ユニットの操作は、施工時にレリースワイヤのロッド部を操作ユニットの挿入部に挿入することにより、ロッド部の係合爪が挿入部の係合凹溝に弾性拡径により係合し、レリースワイヤと操作ユニットが強固に連結することができる。また、解除する際は、使用者、施工者が、係合爪に連接されたスイッチ部を同時に中心方向に向かって押動操作を加えることにより、係合凹溝に係合していた係合爪がてこの原理により拡径し、係合凹溝との係合が解除される。また、当該ロッド部内部には、レリースワイヤのインナーワイヤの進退を保持する保持機構、即ちスラストロック機構が備えられている。
【0003】
上述した従来の遠隔操作式排水栓装置は以下のように施工される。
槽体の上縁部に操作ユニットの操作部を取付け、槽体の裏面から操作ユニットの本体部を取り付ける。その後、排水口に排水管を配管し、レリースワイヤの弁体側端部を排水口内部に固定し、弁体を排水口内に配置する。その後、レリースワイヤの操作部側端部を操作ユニットの本体部下方に配置し、使用者や施工者が、レリースワイヤのロッド部を操作ユニットの本体部内に挿入する。そうすることによって、ロッド部に構成された係合爪が本体部によって拡径し、係合爪が本体部外周に構成された係合凹溝にに係った際には、樹脂の復元弾性により、係合凹溝に縮係して係合することとなる。こうして、レリースワイヤは弁体と操作ユニット間に連結されることとなる。また、レリースワイヤの故障発生時や、レリースワイヤの交換時には、使用者もしくは施工者が、ロッド部のスイッチ部の両方を、中心方向に向かって同時に押動することにより、係合凹溝に係合していた係合爪がてこの原理により外側方向に拡径する為、ロッド部と操作ユニットの係合が解除されることとなる。 また、使用者や施工者がスイッチ部の押動を解除すると、スイッチ部に連接された係合爪は、樹脂の復元弾性により縮径して元の形に復元することとなる。
【0004】
上述した従来の遠隔操作式排水栓装置は以下のように排水が流れる。
槽体の排水口の弁体が下降している際に、操作部を押動すると、レリースワイヤのインナーワイヤが操作部の押動に反応し前進する。そうすると、レリースワイヤは弁体側に連結されているので、インナーワイヤの前進に伴い弁体も上昇する。この状態時に、ロッド部内の保持機構が働き、インナーワイヤの前進量を保持することとなり、弁体の上昇が保持されることによって槽体の排水口が開口され、槽体内の排水が排水口から排水管、排水トラップを介して下水管へと排水される。また、この状態から操作部を押動すると、インナーワイヤが少量前進し、ロッド部内の保持機構部のインナーワイヤの保持が解除され、インナーワイヤ内に内蔵されたスプリングの付勢によりインナーワイヤが後退する。そうすると、インナーワイヤの後退に併せて弁体も下降するため、弁体が排水口に着座し、排水口を閉口することができる。この状態においては、排水口が閉口される為、槽体内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部の押動操作により上記の弁体の開閉作用が繰り返されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006−183422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例の遠隔操作式排水栓装置では以下のような問題があった。
1.従来の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤの連結構造では、係合爪のスイッチ部が二箇所以上構成されていることから、使用者や施工者が狭い場所に手を差し込み、二箇所以上構成されたスイッチ部を中心方向に向かって押動操作しなければならず、例えば操作ユニット付近が狭かったりなどして、場所的な制限が加わったりする場合には大変施工しづらく、場合によってはきちんと係合できなかったり、解除が上手くいかず、レリースワイヤの破損に繋がっていた。また、両者が連結される場所は施工者や使用者にとって目視できないため、解除の際はスイッチ部の数など考慮できず、非常に脱着しづらかった。また、スイッチ部が二箇所あり、同時にそのスイッチ部を中心方向に押すという操作方法から考慮すれば、手の親指及び人差し指で摘むように同時に押動操作して解除されるものであり、少なくとも連結場所は手の拳が入るぐらいのスペースが必要であるが、使用者の手の大きさなどによって使用者、施工者の拳が連結場所に入らないことがあり、非常にレリースワイヤの施工解除に困難を要していた。
2.また、従来例の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結装置では、係合ユニットである係合爪と係合凹溝が露出して構成されていることから、施工途中や施工完了後に、外部から不慮の応力が加わった際に、簡単に係合爪が解除されてしまうことがあった。施工完了後などに接続が解除されてしまうと、操作ができなくなってしまうばかりか、施工方法を知らない一般の使用者にとってはただの故障でしかなく、不便であった。
【0007】
以上のことから、本発明は、狭い場所での施工及びメンテナンス時を簡単に行うことができ、更には、連結ユニットの連結が外部からの応力によって脱落したり、損傷が発生するというようなことを防止することを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1は、槽体1に開口した排水口2と、排水口2を開閉する弁体3と、前記弁体3の開閉を遠隔的に操作する為の操作ユニット4と、前記弁体3と操作ユニット4間に連絡して、操作ユニット4の操作を弁体3へ伝達するレリースワイヤ5と、レリースワイヤ5と操作ユニット4を着脱自在に連結する連結ユニット8と、から構成される遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造であって、前記連結ユニット8の構造を、操作ユニット4端部に配置されて、レリースワイヤ5が挿入される係合用の切り欠き部44を備えた挿入部43と、レリースワイヤ5の操作ユニット4側端部に配置される係合凹溝54と、解除操作するためのスイッチ部61を単独で備え、なおかつ前記係合凹溝54に切り欠き部44を介して係合する係合凸部を構成した連結体6と、から構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【0009】
本発明の請求項2は、前記連結体6に、係合凹溝54、切り欠き溝、係合凸部を覆うカバー部63を構成したことを特徴とする前記段落0008に記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【0010】
本発明の請求項3は、前記操作ユニット4側レリースワイヤ5の端部に構成される、全周に亘って刻設した前記係合凹溝54と、先端に向かって先細形状となる傾斜部55を備えたロッド部53と、前記操作ユニット4の挿入部43に切り欠き部44を複数構成し、また前記連結体6の係合凸部を連結体6内周に数箇所構成したことを特徴とする前記段落0008又は段落0009のいずれかひとつに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【0011】
本発明の請求項4は、上記連結ユニット8は円筒形状で構成されて成り、更には連結体6は軸方向上面視C字リング形状となっていることを特徴とする前記段落0008乃至段落0010のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【0012】
本発明の請求項5は、前記操作ユニット4内部に、レリースワイヤ5に内蔵されるインナーワイヤ52の進退動作を保持若しくは解除する保持機構部7を備えたことを特徴とする前記段落0008乃至段落0011のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【0013】
本発明の請求項6は、前記操作ユニット4のスイッチ部61を、操作ユニット4の軸方向に対し側面方向に構成し、更には、側面から中心方向に押すことで、連結ユニット8である操作ユニット4端部とレリースワイヤ5端部の連結を解除することを特徴とする前記段落0008請求項1乃段落0012のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の発明は、連結ユニット8の構造を、操作ユニット4端部に配置されて、レリースワイヤ5が挿入される係合用の切り欠き部44を備えた挿入部43と、レリースワイヤ5の操作部41側端部に配置される係合凹溝54と、解除操作するためのスイッチ部61を単独で備え、なおかつ前記係合凹溝54に切り欠き部44を介して係合する係合凸部62を構成した連結体6、という構成を備えたため、連結ユニット8が狭い場所に施工されたとしても、指一本の片手操作で、施工及び解除を行うことが出来るという効果を奏することができる。
本発明の請求項2の発明は、連結体6にカバー部63を構成したことによって、係合凸部62、係合凹部、切り欠き部44を取付状態時において覆い被せてカバーできるので、施工後の外部からの衝撃などが当該箇所に加わっても、係合部分に応力が直接的に加わることがないので、誤って係合が解除されて脱落することが効果的に予防できる。また、操作ユニット4と連結体6を予め工場などで組み立てておけば、輸送時に加わる応力などで、係合箇所などに傷が付いたりすることを効果的に予防することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、傾斜部55と、切り欠き部44と、係合凸部62を備えることによって、係合凸部62が係合凹部が強固に係合する上、解除する際は簡単に係合解除することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、連結体6の形状が軸方向上面視C字リング形状となっていることから、連結体6を拡径させたい場合や、連結体6を挿入部43にセットする際に、C字リングの開放端が拡径することによって、連結部全体が外側方向に拡径し易くなり、円滑にレリースワイヤ5と操作ユニット4の連結/解除をすることができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、保持機構部7を備えたことから、レリースワイヤ5のインナーワイヤ52の進退を保持するおとができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、スイッチ部61を中心方向に押動する構成としているから、連結体6に拡径する為の応力を円滑に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の連結ユニット部分の断面図である。
【図2】本発明の連結ユニット部分の取付状態を示す断面図である。
【図3】本発明の連結ユニットが取付終了時の斜視図である。
【図4】本発明の取付ユニットの取付状態を示す斜視図である。
【図5】a)乃至d)は本発明の取付ユニットの取付状態を示す断面図である。
【図6】a)は本発明の連結体のd)におけるA−A’断面図、b)は本発明の連結体の側面図、c)は本発明の連結体のB−B’断面図、d)本発明の連結体の上面図である。
【図7】本発明や従来例が取り付けられる洗面ボウルの断面図である。
【図8】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
本実施例の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤの連結構造は、図7に示すような洗面ボウルに取り付けられる。
また、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、図1乃至図6に示すように、槽体1と、排水口2と、排水トラップ10と、弁体3と、操作ユニット4と、レリースワイヤ5と、連結ユニット8と、から構成される。
槽体1は、箱体であって、底部に後記する排水口2が開口される。又、本実施例では、洗面ボウルが槽体1である。
排水口2は、槽体1の底部に開口された孔であって、該排水口2には、最終的には下水管と接続される排水管9が接続されていて、槽体1内部の排水を下水管へと排水するよう配管されている。
排水トラップ10は、排水口2に接続された排水管9の途中に配管されるU字状に屈曲された配管であって、内部に封水と呼ばれる排水を一次貯留している。
弁体3は、排水口2に配置され、弁体3が上下動する毎に排水が排水/止水できるように成っている。弁体3が排水口2に降下して着座すれば排水口2は閉口されて、排水は下水へと排水されず槽体1内に貯水され、弁体3が上昇した際は排水口2が開口されて、本実施例では、後記する操作ユニット4の操作により弁体3が上昇/下降することにより、排水口2の開閉を行うことが出来る。
操作ユニット4は、図1に示すように、操作部41と、本体部42と、保持機構部7と、挿入部43と、ロッド部53と、連結体6と、から構成される。
操作部41は、槽体1の上縁部に配置構成される部材であって、先端にツマミを有した操作軸から成り、当該操作軸は、槽体1上縁部分を介して槽体1の裏面に上下動自在に貫通し、さらに操作軸下端は後記する本体部42内に上下動自在に収納される。当該操作部41の操作軸を使用者が上下動させることにより、レリースワイヤ5が進行/後退して弁体3を操作することができる。
本体部42は、槽体1裏面に操作部41と連結して配置される円筒状の部材であって、内部上方には操作軸が進退自在に配置される。また、下方には後記する挿入部43が構成される。
保持機構部7は、本体内部に構成され、インナーワイヤ52の進退を保持/保持解除する部材である。本実施例では、ボールペンなどに用いられるスラストロック機構を備える。
挿入部43は、前記本体部42下端に配置構成される後記レリースワイヤ5のロッド部53が挿入される円筒部分であって、切り欠き部44を本実施例では二箇所構成して成る。
ロッド部53は、後記するレリースワイヤ5のアウターチューブ51に連結される円筒状の硬質部材であって、外周面に刻設された係合凹溝54と、係合凹溝54上端に構成される拡径されたフランジ部分と、拡径の外側方向から内側方向に向かって傾斜する傾斜部55を構成している。当該傾斜部55は、後記連結体6の係合凸部62を弾性拡径させる機能を有する。
連結体6は、図6に示すように、軸方向上面視C字リング形状であって、内周面に係合凸部62を二箇所構成して成る。また、当該連結体6には、連結ユニット8が連結された際に、係合凹溝54、切り欠き部44、係合凸部62を覆うようにカバー部63を構成しており、これは、係合凹溝54、切り欠き部44、係合凸部62をカバーできるため、外部からの応力が係合凸部62に作用せず、外部からの衝撃で、レリースワイヤ5が脱落してしまうようなこともない。また、連結体6には使用者が連結解除の際に押動操作するスイッチ部61を単独で構成して成る。なお、当該スイッチ部61が単独で構成されるとは、具体的に一つ構成されるものである。このスイッチ部61は連結体6のC字状の開放部分とは対向する箇所の、取付時下端に垂下して構成され、当該スイッチ部61を使用者が中心方向に押動操作すると、連結体6の上端が応力により外側方向に傾き、C字状の解放部分が樹脂弾性により拡径でき、連結体6の係合凸部62が係合凹溝54からはずれるため、簡単にレリースワイヤ5を操作ユニット4から脱着できる。尚、当該弾性の拡径は、連結体6が挿入部43の切り欠き部44から外れるほど拡径しないので、連結体6はレリースワイヤ5の解除のたびに外れるようなことはない。従って、連結体6が施工現場で紛失するというおそれがない。
以上の構成要素で操作ユニット4を構成する。
レリースワイヤ5は、レリースワイヤ5は一方を操作ユニット4に、他方端部を弁体3に連結接続して成り、インナーワイヤ52と、アウターチューブ51と、ロッド部53と、リターンスプリングと、から構成される。
インナーワイヤ52は、金属の圧縮コイル状からなり、後記アウターチューブ51内に進退自在に内包されている。
アウターチューブ51は、円筒状の可撓性を有した例えば四フッ化エチレンなどを用いた樹脂製からなり、内部にインナーワイヤ52を内包している。また、操作ユニット4側端部には、後記ロッド部53を構成する。当該ロッド部53は前記した構成を備えてなる。
リターンスプリングは、アウターチューブ51内に内蔵されるバネ体であり、保持機構部7によって保持されたインナーワイヤ52が、保持機構部7の解除の際に、進行した分だけバネの断髪力により元の箇所に後退するようになっている。
【0017】
上述した遠隔操作式排水栓装置は以下のように施工される。
槽体1の上縁部に操作ユニット4の操作部41を取付け、槽体1の裏面から操作ユニット4の本体部42を取り付ける。その後、排水口2に排水管9を配管し、レリースワイヤ5の弁体3側端部を排水口2内部に固定し、弁体3を排水口2内に配置する。その後、図4に示すように、予め工場などで操作ユニット4の挿入部43の切り欠き部44に連結体6の係合凸部62を係合させておく。(係合後は図3に示す状態となる。)この時、係合凸部62は挿入部43内周面からも中心方向に飛び出すようになっている。また、切り欠き部44と係合凸部62の両者は対応するよう設計されているため、取付箇所の位置を予め設計しておけば、連結体6の位置決めも容易である。
その後、施工現場において、図2及び図5b)に示すようにレリースワイヤ5の操作ユニット4側端部を操作ユニット4の挿入部43下方に配置し、使用者や施工者が、レリースワイヤ5のロッド部53を操作ユニット4の挿入部43内に挿入する。そうすると、図5c)に示すようにロッド部53の傾斜部55に併せて順次連結体6の係合凸部62が弾性により拡径し、そのまま図5d)に示すようにロッド部53の傾斜部55を係合凸部62が乗り越え通過する。するとロッド部53の傾斜部55下方に位置する係合凹溝54に係合凸部62が突入し、連結体6の拡径が解除され、自身の弾性により元の形状に復元し縮径する。すると、図5a)のように連結体6の係合凸部62が、挿入部43の切り欠き部44を介してロッド部53の係合凹溝54に係合することとなる。そうすると、操作ユニット4の挿入部43と、レリースワイヤ5のロッド部53が、連結体6により連結接続されることとなる。
このように施工時に、操作ユニット4の挿入部43にレリースワイヤ5のロッド部53を挿入するだけで操作ユニット4とレリースワイヤ5の連結が失敗などなく円滑・簡単にできる。
このような手順で遠隔操作式排水栓装置の施工は完了する。
また、この遠隔操作式排水栓装置を故障やメンテナンスなどで分解する必要があった場合などに、レリースワイヤ5と操作ユニット4の連結も解除する必要がある場合がある。このような場合には、使用者や施工者が、連結ユニット8の連結体6スイッチ部61を片手で中心方向に向かって押動する。そうすると、スイッチ部61は中心方向に向かうが、このとき、連結体6はスイッチ部61の押動操作の応力により弾性で外側方向へ拡径する。すると連結体6が拡径した分だけ係合凸部62も当然外側方向へ拡径するため、係合凸部62とロッド部53の係合凹溝54との係合が解除される。係合が解除されたレリースワイヤ5のロッド部53はそのまま操作ユニット4から取り外すことができ、非常に簡単にレリースワイヤ5と操作ユニット4の解除を行うことが出来る。このように、スイッチ部61を片手で、しかも指一本で押動するだけで連結ユニット8の解除が達成できるため、連結ユニット8が配置される場所が狭くて手の届きにくい場所に施工されても、簡単に取り外すことが出来る。
【0018】
上述した遠隔操作式排水栓装置は以下のように排水が流れる。
槽体1の排水口2の弁体3が下降している際に、操作部41を押動すると、レリースワイヤ5のインナーワイヤ52が操作部41の押動に反応し前進する。そうすると、レリースワイヤ5は弁体3側に連結されているので、インナーワイヤ52の前進に伴い弁体3も上昇する。この状態時に、ロッド部53内の保持機構部7が働き、インナーワイヤ52の前進量を保持することとなり、弁体3の上昇が保持されることによって槽体1の排水口2が開口され、槽体1内の排水が排水口2から排水管9、排水トラップ10を介して下水管へと排水される。また、この状態から操作部41を押動すると、インナーワイヤ52が少量前進し、ロッド部53内の保持機構部7のインナーワイヤ52の保持が解除され、アウターチューブ51内に内蔵されたリターンスプリングの付勢によりインナーワイヤ52が後退する。そうすると、インナーワイヤ52の後退に併せて弁体3も下降するため、弁体3が排水口2に着座し、排水口2を閉口することができる。この状態においては、排水口2が閉口される為、槽体1内部に水を貯水することができる。尚、これ以降は操作部41の押動操作により上記の弁体3の開閉作用が繰り返されることとなる。
【0019】
本発明の実施例は上記したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求項に記載した範囲内で適宜変更は可能である。
例えば、前記実施例では槽体1を洗面ボウルを使用しているが、これは洗面ボウルだけに適用されるものではなく、例えば浴槽や台所に用いられても構わない。
また、例えば上記実施例では操作ユニット4の操作部41を操作軸とツマミから構成しているが、これを押し釦形式の構造としてもかまわない。
また、前記実施例では保持機構部7を操作ユニット4内部に配置構成しているが、これを例えば弁体3下方に配置したり、又は備えない構成であっても構わない。
また、前記実施例では操作ユニット4を円筒形状としているが、これは特に円筒形状に限定されるものではなく、適宜変更されても構わない。
また、前記実施例では係合凸部62及び切り欠き部44の構成数を二個としているが、これは特に限定されるものではなく、例えば一つであったり、二個以上の個数を構成していても構わない。
【符号の説明】
【0020】
1 槽体
2 排水口
3 弁体
4 操作ユニット
41 操作部41
42 本体部
43 挿入部
44 切り欠き部
5 レリースワイヤ
51 アウターチューブ
52 インナーワイヤ
53 ロッド部
54 係合凹溝
55 傾斜部
6 連結体
61 スイッチ部
62 係合凸部
63 カバー部
7 保持機構部
8 連結ユニット
9 排水管
10 排水トラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体1に開口した排水口2と、
排水口2を開閉する弁体3と、
前記弁体3の開閉を遠隔的に操作する為の操作ユニット4と、
前記弁体3と操作ユニット4間に連絡して、操作ユニット4の操作を弁体3へ伝達するレリースワイヤ5と、
レリースワイヤ5と操作ユニット4を着脱自在に連結する連結ユニット8と、
から構成される遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造であって、
前記連結ユニット8の構造を、
操作ユニット4端部に配置されて、レリースワイヤ5が挿入される係合用の切り欠き部44を備えた挿入部43と、
レリースワイヤ5の操作ユニット4側端部に配置される係合凹溝54と、
解除操作するためのスイッチ部61を単独で備え、なおかつ前記係合凹溝54に切り欠き部44を介して係合する係合凸部を構成した連結体6と、
から構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。
【請求項2】
前記連結体6に、係合凹溝54、切り欠き溝、係合凸部を覆うカバー部63を構成したことを特徴とする前記請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。
【請求項3】
前記操作ユニット4側レリースワイヤ5の端部に構成される、全周に亘って刻設した前記係合凹溝54と、先端に向かって先細形状となる傾斜部55を備えたロッド部53と、
前記操作ユニット4の挿入部43に切り欠き部44を複数構成し、
また前記連結体6の係合凸部を連結体6内周に数箇所構成した
ことを特徴とする前記請求項1又は請求項2のいずれかひとつに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。
【請求項4】
上記連結ユニット8は円筒形状で構成されて成り、更には連結体6は軸方向上面視C字リング形状となっていることを特徴とする前記請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。
【請求項5】
前記操作ユニット4内部に、レリースワイヤ5に内蔵されるインナーワイヤ52の進退動作を保持若しくは解除する保持機構部7を備えたことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。
【請求項6】
前記操作ユニット4のスイッチ部61を、操作ユニット4の軸方向に対し側面方向に構成し、更には、側面から中心方向に押すことで、連結ユニット8である操作ユニット4端部とレリースワイヤ5端部の連結を解除することを特徴とする前記請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233343(P2012−233343A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102489(P2011−102489)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【特許番号】特許第4839460号(P4839460)
【特許公報発行日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000157212)丸一株式会社 (158)
【Fターム(参考)】