説明

遠隔操作機器及び投写型映像表示装置

【課題】操作部の操作に伴う電力消費を抑制することのできる遠隔操作機器及び投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】遠隔操作機器であるリモコン装置2は、複数のマンマシンインタフェースである押しボタンスイッチ61〜66により構成される操作部60と、押しボタンスイッチ61〜66の操作に応じたリモコン信号を送信するリモコン信号送信部51と、リモコン信号送信部51を制御する制御部と91を備え、操作対象装置であるプロジェクタ本体装置の動作を遠隔から操作する。制御部91は、リモコン信号送信部51を制御する態様として第1モードと第2モードとを有し、押しボタンスイッチ61〜66のうち特定の押しボタンスイッチ66が操作されたとき、制御部91は、第1モードにおいてはリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を許可し、第2モードにおいてはリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ本体装置等の操作対象装置の動作を遠隔から操作可能な遠隔操作機器及びこれを備える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置は、操作対象装置であるプロジェクタ本体装置の動作を遠隔から操作するための遠隔操作機器を備えることが一般的に知られている。一般的に、遠隔操作機器は、複数のマンマシンインタフェースにより構成される操作部、マンマシンインタフェースの操作に応じたリモコン信号を送信するリモコン信号送信部、及び電池等を備えている。リモコン信号の送信には電力が消費される。
【0003】
また、リモコン信号に基づくプロジェクタ本体装置の動作を一時的に禁止する構成を採用した投写型映像表示装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、DVDロック状態とロック解除状態とを切り替えるためのDVDロックキーを備えるリモコンが記載されている。特許文献1には、DVDロックキーを操作することにより、DVDロック状態とロック解除状態とを切り替えることができ、ロック解除状態に設定された場合には、リモコンに備えるDVD操作キーの操作は常に有効となり、一方、DVDロック状態に設定された場合には、すべてのDVD操作が無効となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−124093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1においては、DVDロック状態に設定してリモコンを用いたDVD操作を禁止する場合、すなわち、リモコン信号に基づく操作対象装置の動作を禁止する場合にも、DVD操作キーを操作すると赤外線の操作信号であるリモコン信号が送信される。従って、操作部の操作に伴う電力消費を抑制することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、操作部の操作に伴う電力消費を抑制することのできる遠隔操作機器及び投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、複数のマンマシンインタフェースにより構成される操作部と、前記マンマシンインタフェースの操作に応じたリモコン信号を送信するリモコン信号送信部と、このリモコン信号送信部を制御する制御部とを備え、操作対象装置の動作を遠隔から操作可能な遠隔操作機器において、前記制御部は、前記リモコン信号送信部を制御する態様として、制御内容が異なる第1モードと第2モードとを有し、複数の前記マンマシンインタフェースのうち特定のマンマシンインタフェースが操作されたとき、前記制御部は、前記第1モードにおいては前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信を許可し、前記第2モードにおいては前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信を禁止することを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、第2モードにおいては、第1モードでリモコン信号の送信が許可される特定のマンマシンインタフェースが操作された場合であっても、リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が禁止される。よって、遠隔操作機器から送信されるリモコン信号に基づいて動作する操作対象装置について、リモコン信号に基づく操作対象装置の動作を一時的に禁止したい場合には、リモコン信号送信部を制御する態様が第1モードから第2モードに切り替わることによって、リモコン信号の送信を禁止して、リモコン信号に基づく操作対象装置の動作を禁止することができる。従って、リモコン信号の送信を禁止せずに操作対象装置側においてリモコン信号に基づく操作対象装置の動作を禁止する構成に比べて、リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信頻度を低減して、操作部の操作に伴う電力消費を抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遠隔操作機器において、マンマシンインタフェースにより構成されるモード切替用操作部を備え、前記制御部は、前記モード切替用操作部が操作されたときに、前記第1モード及び前記第2モードのうち一方のモードから他方のモードに切り替わることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、ユーザは、遠隔操作機器が備えるモード切替用操作部を操作することにより、第1モード及び第2モードを切り替えることができる。従って、操作対象装置等の外部機器から遠隔操作機器の制御部を制御せずに、第1モード及び第2モードを切り替えることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の遠隔操作機器において、前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち、前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースを「無効インタフェース」とし、前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち、前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が許可されるマンマシンインタフェースを「有効インタフェース」としたとき、前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち有効インタフェースを、発光して示す発光部を備えることを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、第2モードにおいてリモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が許可されるマンマシンインタフェースが、第2モードにおいて発光する発光部により示される。このため、ユーザは、第2モードにおいて、リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が許可されるマンマシンインタフェースを見分け易くなる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遠隔操作機器において、発光部は、複数の有効インタフェースの各々に対応する複数の発光素子を備え、複数の発光素子のうち、点灯している状態の発光素子を「点灯発光素子」とし、発光していない状態の発光素子を「消灯発光素子」としたとき、第2モードにおいて、有効インタフェースの操作に応じて、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子の組み合わせが変化することを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、第2モードにおいて、有効インタフェースの操作に応じて、点灯発光素子または消灯発光素子となる複数の発光素子の組み合わせが変化する。このため、例えば、メニュー表示ボタンスイッチと項目選択ボタンスイッチが有効インタフェースであるとき、操作対象装置の動作を操作するために必要とされる有効インタフェースの操作順に対応して、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子の組み合わせを変化させることができる。例えば、「メニュー表示ボタンスイッチ→項目選択ボタンスイッチ」の順で操作されることが必要とされる場合には、メニュー表示ボタンスイッチが操作されるまでは、メニュー表示ボタンスイッチに対応する発光素子を点灯発光素子とし、項目選択ボタンスイッチに対応する発光素子を消灯発光素子とする。そして、メニュー表示ボタンスイッチが操作されると、項目選択ボタンスイッチに対応する発光素子を点灯発光素子として、メニュー表示ボタンスイッチに対応する発光素子を消灯発光素子とする。このようにして、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子の組み合わせを変化させることにより、ユーザは、有効インタフェースの操作順を把握し易くなる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作機器において、前記第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースを変更可能な機能を有することを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、ユーザは、第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースを、所望のマンマシンインタフェースに変更することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作機器において、前記第2モードとして、リモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースが異なる複数の第2モードを備えることを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、リモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースが異なる複数の第2モードを使い分けることによって、第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースを変更することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の遠隔操作機器と、前記操作対象装置としてプロジェクタ本体装置とを備えることを特徴とする。
上記発明によれば、投写型映像表示装置は、上記構成を備えた遠隔操作機器を備えるため、上記発明の効果を奏することができる。また、遠隔操作機器を用いて操作対象装置としてのプロジェクタ本体装置の動作を遠隔から操作することができるため、例えば天井に設けられたプロジェクタ本体装置の動作を簡単に操作することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、操作部の操作に伴う遠隔操作機器の電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る遠隔操作機器及びプロジェクタ本体装置の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態の遠隔操作機器の外観を示す模式図。
【図3】同実施形態の遠隔操作機器及びプロジェクタ本体装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態の遠隔操作機器が実行する「リモコン信号送信処理」の動作の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の遠隔操作機器は、操作対象装置であるプロジェクタ本体装置1を無線で遠隔操作するリモコン装置2に相当する。投写型映像表示装置は、プロジェクタ本体装置1とリモコン装置2とにより構成されている。投写型映像表示装置を構成するプロジェクタ本体装置1は、スクリーンまたは壁等の平面に映像を投写して表示する。
【0023】
プロジェクタ本体装置1は、映像表示用の光学部品及び電子部品を収納する筐体1Cを備えている。プロジェクタ本体装置1には、筐体1Cの内部から外部へ光を投写する投射レンズ13が設けられている。プロジェクタ本体装置1は、投射レンズ13で映像の光を投射することにより、プロジェクタ本体装置1に対向する映像表示面(不図示)に映像を表示する。
【0024】
また、プロジェクタ本体装置1には、プロジェクタ本体装置1の遠隔からプロジェクタ本体装置1の動作を操作するためにリモコン信号受信部31が設けられている。リモコン信号受信部31は、筐体1Cの外部から無線により送信されてくるリモコン信号を受信する。プロジェクタ本体装置1は、リモコン信号に含まれるリモコンコードに応じて動作する。
【0025】
リモコン装置2は、押しボタン等が露出するように設けられるケース2Cを備えている。リモコン装置2には、複数の押しボタンスイッチにより構成される操作部60、及びスライド可能なつまみにより構成されるモード切替用操作部70が設けられている。操作部60が操作されたとき、即ち押しボタンスイッチを構成する押しボタンが押されたとき、リモコン装置2は、押された押しボタンに応じたリモコン信号を送信する。
【0026】
図2に示すように、操作部60は、電源ボタンスイッチ61と、スタンバイボタンスイッチ62と、メニュー表示ボタンスイッチ63と、項目選択ボタンスイッチ64と、ポインタ移動ボタンスイッチ65と、複数の他の押しボタンスイッチ66とを有している。
【0027】
各スイッチ61〜66は、押しボタンスイッチにより構成されるマンマシンインタフェースである。押しボタンスイッチは、図2に図示されたユーザインタフェースである押しボタンと、ケース2C内の回路基板上に設けられたスイッチ(不図示)とにより構成されている。以下、説明を簡略化するために、電源ボタンスイッチ61を「スイッチ61」、スタンバイボタンスイッチ62を「スイッチ62」、メニュー表示ボタンスイッチ63を「スイッチ63」、項目選択ボタンスイッチ64を「スイッチ64」、ポインタ移動ボタンスイッチ65を「スイッチ65」と、ボタンスイッチ66を「スイッチ66」とする。スイッチ61〜65を構成する図2の押しボタンは、光を透過する樹脂材料により形成されている。
【0028】
スイッチ61〜66の各々には、プロジェクタ本体装置1に行わせる動作が割り当てられている。スイッチ61は、映像を表示していない状態のプロジェクタ本体装置1に対して映像の表示動作の開始させるための押しボタンスイッチである。また、スイッチ62は、映像を表示している状態のプロジェクタ本体装置1に対して映像の表示動作を停止させるための押しボタンスイッチである。また、スイッチ63は、映像を表示している状態のプロジェクタ本体装置1に対してメニュー映像を表示させるための押しボタンスイッチである。メニュー映像には、プロジェクタ本体装置1が実行可能な機能の一覧と、この一覧に含まれる選択肢のうちいずれかを指し示すポインタとが含まれる。
【0029】
また、スイッチ64は、メニュー映像においてポインタが指し示す項目を選択するための押しボタンスイッチである。また、スイッチ65は、メニュー映像においてポインタを移動させるための押しボタンスイッチである。また、複数のスイッチ66には、それぞれ別の動作が割り当てられている。スイッチ66は、例えば、投射される映像の光をプロジェクタ本体装置1が備えるシャッター装置(不図示)により遮断するための押しボタンスイッチ、投射レンズ13を移動させるための押しボタンスイッチ、及び投写して表示される映像の大きさを変更するための押しボタンスイッチ等である。
【0030】
モード切替用操作部70は、スライドスイッチ71を有している。スライドスイッチ71は、スライド可能なユーザインタフェースであるつまみと、ケース2C内の回路基板上に設けられたスイッチ(不図示)とにより構成されているマンマシンインタフェースである。
【0031】
また、リモコン装置2には、リモコン信号送信部51と、可視光線を発する発光素子81〜85と、制御部91とが設けられている。発光素子81〜85及び制御部91は、ケース2Cの内部に収納されている。
【0032】
発光素子81〜85は、それぞれ、スイッチ61〜65に対応して設けられている。即ち、発光素子81〜85のうち発光素子81がスイッチ61の最も近傍に設けられている。また、発光素子81〜85のうち発光素子82がスイッチ62の最も近傍に設けられている。また、発光素子81〜85のうち発光素子83がスイッチ63の最も近傍に設けられている。また、発光素子81〜85のうち発光素子84がスイッチ64の最も近傍に設けられている。また、発光素子81〜85のうち発光素子85がスイッチ65の最も近傍に設けられている。
【0033】
図3を参照して、プロジェクタ本体装置1及びリモコン装置2の内部構成について説明する。
プロジェクタ本体装置1は、映像表示用の光学部品として、光源11と、液晶パネル12と、投射レンズ13とを備えている。また、これらの光学部品の他に、プロジェクタ本体装置1は、例えば、インテグレータレンズ、偏光変換素子、集光レンズ、及びクロスダイクロイックプリズム(いずれも不図示)等を備えている。
【0034】
光源11は、例えば超高圧水銀ランプまたはメタルハライドランプ等の放電ランプにより構成されている。液晶パネル12はドットマトリクス型の液晶ライトバルブを構成している。投射レンズ13は、複数のレンズを組み合わせたレンズ群により構成されている。光源11から出射されて液晶ライトバルブを透過した光が投射レンズ13で投射されることにより、映像が拡大されて表示される。
【0035】
また、プロジェクタ本体装置1は、プロジェクタ本体装置1の外部から映像信号が入力される映像信号入力部21と、映像信号に対して所定の信号処理を施す映像信号処理部22と、映像信号に基づいて液晶パネル12を駆動する液晶駆動部23とを備えている。
【0036】
映像信号入力部21は、例えば映像信号用ケーブル(不図示)が接続される映像信号入力用の端子、または無線により送信された映像信号を受信する無線モジュールにより構成されている。映像信号処理部22は、プロジェクタ本体装置1に入力された映像信号に対して、OSD(On Screen Display)処理やスケーリング処理等の種々の信号処理を施す信号処理回路により構成されている。液晶駆動部23は、映像信号に基づいて液晶パネル12を駆動する駆動回路により構成されている。光源11から出射された光が、映像信号に基づいて駆動されている液晶パネル12を含む液晶ライトバルブを透過することにより、映像が生成される。
【0037】
また、プロジェクタ本体装置1は、赤外線を受光する赤外線受光モジュールにより構成されたリモコン信号受信部31と、光源11及び映像信号処理部22等のプロジェクタ本体装置1の各部を制御する制御部41とを備えている。
【0038】
制御部41は、1つまたは複数の集積回路により構成されている。制御部41は、リモコン信号受信部31で受信したリモコン信号に含まれているリモコンコードに基づいて、プロジェクタ本体装置1の動作を制御する。
【0039】
リモコン装置2は、図2で示したように、赤外線を発光する赤外線発光モジュールにより構成されたリモコン信号送信部51と、操作部60と、モード切替用操作部70と、発光素子81〜85により構成された発光部80と、リモコン信号送信部51及び発光部80等のリモコン装置2の各部を制御する制御部91を備えている。
【0040】
制御部91は、後述する無効インタフェースが操作されたときを除いて、スイッチ61〜66から制御部91へ入力される電気信号の変化に基づいて、操作部60の操作に応じたリモコンコードを生成する。即ち、スイッチ61〜66の各々に割り当てられているプロジェクタ本体装置1の動作に応じたリモコンコードを生成する。
【0041】
リモコン信号送信部51は、制御部91で生成されたリモコンコードを含んだリモコン信号を、赤外線として送信する。即ち、リモコン信号送信部51は、操作部60の操作に応じたリモコン信号を送信する。
【0042】
また、制御部91は、リモコン信号送信部51を制御する態様として、制御内容が異なる第1モードと第2モードとを有している。第1モードおよび第2モードは次のように定義される。
「第1モード」:スイッチ61〜66のいずれが操作されたときにおいて、操作されたスイッチ61〜66のいずれかに応じてリモコンコードを生成して、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を許可する態様。
「第2モード」:スイッチ61〜65のいずれが操作されたときにおいて、操作されたスイッチ61〜65のいずれかに応じてリモコンコードを生成して、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を許可する態様。かつ、スイッチ66が操作されたときにおいて、操作されたスイッチ66に応じてリモコンコードを生成せずに、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を禁止する態様。
【0043】
即ち、第1モードは、制御部91がリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を禁止しない通常モードであって、第2モードは、リモコン装置2の機能を簡素化したシンプルモードである。シンプルモードにおいては、リモコン装置2を用いてプロジェクタ本体装置1の特定の動作を操作することができないが、リモコン装置2に不慣れなユーザによる誤操作を抑制することができる。
【0044】
制御部91は、モード切替用操作部70が操作されたとき、即ちスライドスイッチ71を構成するつまみが移動したときに、モード切替用操作部70から制御部91へ入力される電気信号の変化に基づいて、第1モード及び第2モードのうち一方のモードから他方のモードに切り替わる。
【0045】
以下の説明において、第2モードにおいてリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信が許可されるスイッチ61〜65を「有効インタフェース」とし、第2モードにおいてリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信が禁止されるスイッチ66を「無効インタフェース」とする。
【0046】
また、制御部91は、第2モードにおいて発光部80の発光素子81〜85を発光させる。即ち、第2モードにおいては、発光部80が、有効インタフェースを発光して示す。このとき、制御部91は、発光素子81〜85を制御して、点灯している点灯状態の発光素子81〜85の組み合わせを変化させる。具体的には、プロジェクタ本体装置1の動作を操作するために必要とされる有効インタフェースの操作順に対応して、点灯している点灯状態の発光素子81〜85の組み合わせを変化させることができる。例えば、「スイッチ63→スイッチ64」の順で操作されることが必要とされる場合には、スイッチ63が操作されるまでは、スイッチ63に対応する発光素子83を点灯させ、スイッチ64に対応する発光素子84を点灯させずに消灯状態とする。そして、スイッチ63が操作されると、スイッチ64に対応する発光素子84を点灯させ、スイッチ63に対応する発光素子83を消灯する。また、スイッチ62が操作されるまでは、スイッチ62に対応する発光素子82を点灯させ、スイッチ61に対応する発光素子81を点灯させずに消灯状態とする。そして、スイッチ62が操作されると、スイッチ61に対応する発光素子81を点灯させ、スイッチ62に対応する発光素子82を消灯する。
【0047】
図4を参照して、リモコン装置2が実行するリモコン信号送信処理について説明する。図4に示す一連の動作は、繰り返し行われる。
まず、制御部91は、操作部60が操作されたか否かを判断する(ステップS1)。操作部60が操作されたか否かの判断は、操作部60を構成するスイッチ61〜66のいずれかの操作に伴う、操作部60から制御部91へ入力される電気信号の変化により判断される。
【0048】
操作部60が操作されたステップS1で判断されたとき、制御部91は、第2モード選択中であるか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、ステップS2においては、選択されているリモコン信号送信部51の制御態様が判断される。一方、操作部60が操作されたとステップS1で判断されなかったとき、ステップS1が繰り返し実行される。即ち、操作部60が操作されるまでステップS2には移行しない。
【0049】
第2モード選択中であるとステップS2で判断されなかったとき、即ち、第1モード選択中であるとき、制御部91は、ステップS1における操作部60の操作に応じたリモコンコードを生成する(ステップS3)。そして、制御部91は、リモコンコードをリモコン信号送信部51に出力して、ステップS3で生成したリモコンコードを含むリモコン信号をリモコン信号送信部51に送信させる(ステップS4)。
【0050】
一方、第2モード選択中であるとステップS2で判断されたとき、即ち、第2モード選択中であるとき、制御部91は、ステップS1における操作部60の操作が、有効インタフェースの操作であるか否かを判断する(ステップS5)。即ち、ステップS5では、ステップS1において操作されたと判断された押しボタンスイッチがスイッチ61〜65のいずれかであるか否かが判断される。
【0051】
ステップS1における操作部60の操作が有効インタフェースの操作であるとステップS5で判断されたとき、即ちステップS1において操作されたと判断された押しボタンスイッチがスイッチ61〜65のいずれかであるとき、プロジェクタ本体装置1は、上述のステップS4及びステップS5に移行する。一方、ステップS1における操作部60の操作が有効インタフェースの操作であるとステップS5で判断されなかったとき、即ち、ステップS1において操作されたと判断された押しボタンスイッチがスイッチ66であるとき、プロジェクタ本体装置1は、上述のステップS4及びステップS5に移行せずに、図1以降が再び繰り返される。
【0052】
本発明による投写型映像表示装置の動作について説明する。
第1モードにおいて複数のスイッチ61〜66のうちいずれかが操作された場合には、リモコン装置2の制御部91は、操作された押しボタンスイッチに応じたリモコンコードを生成する。そして、リモコン装置2は、リモコン信号送信部51からリモコン信号を送信する。プロジェクタ本体装置1は、リモコン装置2から送信されたリモコン信号を受信して、リモコン信号に基づいてスイッチ61〜66に割り当てられている動作を行う。
【0053】
一方、第2モードにおいて複数のスイッチ61〜66のうち特定の押しボタンスイッチであるスイッチ66が操作された場合には、リモコン装置2の制御部91は、スイッチ66に応じたリモコンコードを生成せずに、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を禁止する。従って、第2モードにおいてスイッチ66が操作された場合には、リモコン装置2からリモコン信号が送信されず、プロジェクタ本体装置1は、スイッチ66に割り当てられている動作を行わない。
【0054】
また、第2モードにおいてスイッチ61〜65のうちいずれかが操作された場合には、リモコン装置2の制御部91は、第1モードと同様に、操作された押しボタンスイッチに応じたリモコンコードを生成する。そして、リモコン装置2は、リモコン信号送信部51からリモコン信号を送信するため、第2モードにおいてスイッチ61〜65が操作された場合には、プロジェクタ本体装置1は、受信したリモコン信号に基づいてスイッチ61〜65に割り当てられている動作を行う。
【0055】
本実施形態の投写型映像表示装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)複数のスイッチ61〜66のうちスイッチ66が操作されたとき、リモコン装置2の制御部91は、第1モードにおいてはリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を許可し、第2モードにおいてはリモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信を禁止する。よって、リモコン信号に基づくプロジェクタ本体装置1の特定の動作を一時的に禁止したい場合には、リモコン信号送信部51を制御する態様が第1モードから第2モードに切り替わることによって、リモコン信号の送信を禁止して、リモコン信号に基づくプロジェクタ本体装置1の特定の動作を禁止することができる。従って、リモコン信号の送信を禁止せずにプロジェクタ本体装置1側においてリモコン信号に基づくプロジェクタ本体装置1の動作を禁止する構成に比べて、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信頻度を低減して、操作部60の操作に伴うリモコン装置2の電力消費を抑制することができる。
【0056】
(2)リモコン装置2は、スライドスイッチ71により構成されるモード切替用操作部70を備え、制御部91は、モード切替用操作部70が操作されたときに、第1モード及び第2モードのうち一方のモードから他方のモードに切り替わる。従って、プロジェクタ本体装置1等の外部機器からリモコン装置2の制御部91を制御せずに、第1モード及び第2モードを切り替えることができる。
【0057】
(3)リモコン装置2は、第2モードにおいて、スイッチ61〜66のうち有効インタフェースであるスイッチ61〜65を、発光して示す発光部80を備える。このため、ユーザは、第2モードにおいて、リモコン信号送信部51によるリモコン信号の送信が許可されるマンマシンインタフェースを見分け易くなる。
【0058】
(4)第2モードにおいて、スイッチ61〜65の操作に応じて、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子81〜85の組み合わせが変化する。このため、プロジェクタ本体装置1の動作を操作するために必要とされるスイッチ61〜65の操作順に対応して、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子81〜85の組み合わせを変化させることができる。従って、ユーザは、スイッチ61〜65の操作順を把握し易くなる。
【0059】
(5)投写型映像表示装置は、リモコン装置2と、プロジェクタ本体装置1とを備える。このため、上記(1)〜(4)の効果を奏することができ、また、例えば天井に設けられたプロジェクタ本体装置1の動作を簡単に操作することができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であって、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止されるマンマシンインタフェースがスイッチ61〜65であるが、リモコン装置2が、リモコン信号の送信が禁止されるマンマシンインタフェースを変更可能な機能を有する構成を採用することもできる。換言すれば、リモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースが異なる複数の第2モードを備える構成とすることもできる。このような構成によれば、リモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースが異なる複数の第2モードを使い分けることによって、第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止される特定のマンマシンインタフェースを変更することができ、無効インタフェースを、所望のマンマシンインタフェースに変更することができる。
【0062】
・上記実施形態では、第2モードにおいて有効インタフェースの操作に応じて、点灯発光素子または消灯発光素子となる発光素子81〜85の組み合わせが変化する構成であるが、第2モードにおいて発光素子81〜85が常に点灯発光素子となる構成を採用することもできる。また、有効インタフェースを示す発光素子81〜85を省略することもできる。
【0063】
・上記実施形態では、赤外線でリモコン信号を送信する構成であるが、リモコン信号受信部31を、電波を受信する無線受信モジュールにより構成するとともに、リモコン信号送信部51を、電波を送信する無線送信モジュールにより構成することで、電波でリモコン信号を送信する構成を採用することもできる。
【0064】
・上記実施形態では、リモコン信号を無線でリモコン装置2からプロジェクタ本体装置1に送信する構成であるが、リモコン信号を有線でリモコン装置2からプロジェクタ本体装置1に送信する構成を採用することもできる。
【0065】
・上記実施形態では、モード切替用操作部70はスライドスイッチにより構成されているが、スライドスイッチ以外のマンマシンインタフェースにより構成することもできる。例えば、押しボタンスイッチまたはタッチパネル等によりモード切替用操作部を構成することもできる。
【0066】
・上記実施形態では、リモコン装置2がモード切替用操作部70を備えているが、プロジェクタ本体装置1に、第1モード及び第2モードを切り替えるためのモード切替用操作部を設けることもできる。この場合、モード切替用操作部が操作されたときに、プロジェクタ本体装置1がリモコン装置2に信号を送信する構成を採用する。そして、モード切替信号を受信したリモコン装置2の制御部91が、モード切替信号に基づいて、第1モード及び第2モードのうち一方のモードから他方のモードに切り替わることが可能である。
【0067】
・上記実施形態では、操作部60は押しボタンスイッチにより構成されているが、押しボタンスイッチ以外のマンマシンインタフェースにより構成することもできる。例えば、ダイヤルスイッチ、タッチパネル、またはこれらの組み合わせ等により操作部を構成することもできる。なお、タッチパネルにより操作部が構成される場合、複数のマンマシンインタフェースはタッチパネル画面の領域で区分される。
【0068】
・上記実施形態では、本発明を液晶プロジェクタに適用しているが、液晶プロジェクタ以外の投写型映像表示装置に本発明を適用することもできる。即ち、例えば、微小鏡を格子状に配列したDMD(Digital Micromirror Device)を備えたプロジェクタ本体装置に本発明を適用することもできる。DMDを備えるプロジェクタ本体装置においては、映像信号に基づいてDMDが駆動され、そして、光源11からDMDに入射した光が、DMDで反射されることによって、映像信号に基づいた映像が生成される。
【符号の説明】
【0069】
1…プロジェクタ本体装置(操作対象装置)、1C…筐体、2…リモコン装置(遠隔操作機器)、2C…ケース、11…光源、12…液晶パネル、13…投射レンズ、21…映像信号入力部、22…映像信号処理部、23…液晶駆動部、31…リモコン信号受信部、41…制御部、51…リモコン信号送信部、60…操作部、61…電源ボタンスイッチ(マンマシンインタフェース)、62…スタンバイボタンスイッチ(マンマシンインタフェース)、63…メニュー表示ボタンスイッチ(マンマシンインタフェース)、64…項目選択ボタンスイッチ(マンマシンインタフェース)、65…ポインタ移動ボタンスイッチ(マンマシンインタフェース)、66…押しボタンスイッチ(特定のマンマシンインタフェース)、70…モード切替用操作部、71…スライドスイッチ、80…発光部、81〜85…発光素子、91…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマンマシンインタフェースにより構成される操作部と、前記マンマシンインタフェースの操作に応じたリモコン信号を送信するリモコン信号送信部と、このリモコン信号送信部を制御する制御部とを備え、操作対象装置の動作を遠隔から操作可能な遠隔操作機器において、
前記制御部は、前記リモコン信号送信部を制御する態様として、制御内容が異なる第1モードと第2モードとを有し、
複数の前記マンマシンインタフェースのうち特定のマンマシンインタフェースが操作されたとき、前記制御部は、前記第1モードにおいては前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信を許可し、前記第2モードにおいては前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信を禁止する
ことを特徴とする遠隔操作機器。
【請求項2】
マンマシンインタフェースにより構成されるモード切替用操作部を備え、
前記制御部は、前記モード切替用操作部が操作されたときに、前記第1モード及び前記第2モードのうち一方のモードから他方のモードに切り替わる
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作機器。
【請求項3】
前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち、前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースを「無効インタフェース」とし、
前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち、前記リモコン信号送信部によるリモコン信号の送信が許可されるマンマシンインタフェースを「有効インタフェース」としたとき、
前記第2モードにおいて、前記マンマシンインタフェースのうち有効インタフェースを、発光して示す発光部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操作機器。
【請求項4】
前記発光部は、複数の有効インタフェースの各々に対応する複数の発光素子を備え、
複数の前記発光素子のうち、点灯している状態の発光素子を「点灯発光素子」とし、発光していない状態の発光素子を「消灯発光素子」としたとき、
前記第2モードにおいて、有効インタフェースの操作に応じて、点灯発光素子または消灯発光素子となる前記発光素子の組み合わせが変化する
ことを特徴とする請求項3に記載の遠隔操作機器。
【請求項5】
前記第2モードにおいてリモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースを変更可能な機能を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作機器。
【請求項6】
前記第2モードとして、リモコン信号の送信が禁止される前記特定のマンマシンインタフェースが異なる複数の第2モードを備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠隔操作機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の遠隔操作機器と、前記操作対象装置としてプロジェクタ本体装置とを備えることを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−34116(P2013−34116A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169348(P2011−169348)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】