説明

遠隔検知装置

【課題】測定精度が低下させずに環境状態を遠隔で検知することができる遠隔検知装置を提供する。
【解決手段】被検体の温度を検知する測定用タグ20から共振信号Sfを受信し、測定用タグ20が検知した被検体の温度を取得する検知装置10において、校正データ記憶部154には、測定用タグ20に係る校正データが予め記憶されている。検知装置10は、収容部10Aを備え、温度センサ10Sから収容部10A内の温度を取得する。また、検知装置10は、収容部10A内に収容された測定用タグ20から共振信号Sfを受信し校正データおよび共振信号Sfに基づいて、測定用タグ20が検知した収容部10A内の温度を取得する。取得した二つの温度を対比し、対比結果に基づいて、校正データ記憶部154に記憶された校正データを再校正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離れた位置から環境状態(例えば、被検体の温度等)を検知できる遠隔検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスポンダと呼ばれる通信方式を用いたシステムが開示されている。図1は特許文献1に記載のシステムの構成を模式的に示す図である。図1において、特許文献1に記載のシステムは、被検体(例えば、実験動物)に備えられるトランスポンダ200と、トランスポンダ200と通信する質問機100とを備えている。
【0003】
トランスポンダ200は、質問機100から特定の周波数の信号を受信すると、例えばサーミスタにより検知した被検体の温度を質問機100に対して送信する。これにより、質問機100は、トランスポンダ200が備えられた被検体の温度情報を取得することが可能となる。
【0004】
この特許文献1には、トランスポンダ200から被検体の正確な温度を取得するために、温度が既知である水などの液体にトランスポンダ200を入れ、トランスポンダ200から質問機100に送信された温度と、実際の液体の温度とを比較することによって、トランスポンダ200を校正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−204610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のようにトランスポンダを校正する方法では、校正を行うための環境を準備する必要があり、トランスポンダを校正する際の作業時間や作業場所が制限されるといった課題がある。
【0007】
また、トランスポンダを校正する環境と、実際にトランスポンダを使用する環境とは必ずしも同じ環境ではないため、その環境差により、トランスポンダの温度測定の際、測定精度が低下するといった問題もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、測定精度が低下させずに環境状態を遠隔で検知することができる遠隔検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、周囲の環境状態を検知し、検知した環境状態に対応付けられた出力信号を出力する無線機器から前記出力信号を受信し、該出力信号に基づいて前記無線機器が検知した環境状態を取得する遠隔検知装置において、前記無線機器に設定された環境状態および出力信号の関係に係るデータを記憶する記憶手段と、前記無線機器を収容する収容部と、該収容部内の環境状態を取得する第1取得手段と、前記収容部内に収容された無線機器から出力信号を受信する受信手段と、前記記憶手段に記憶されたデータおよび前記受信手段が受信した出力信号に基づいて、前記無線機器が検知した前記収容部内の環境状態を取得する第2取得手段と、前記第1取得手段および前記第2取得手段が取得した環境状態を対比する対比手段と、該対比手段が対比した結果、前記環境状態が一致しない場合、前記対比手段による対比結果に基づいて前記記憶手段に記憶されたデータを調整する調整手段と、を備える。
【0010】
この構成では、無線機器を収容部に収容でき、無線機器に収容部内の環境状態を検知させると共に、別に収容部内の環境状態を取得する。そして、取得した二つの環境状態が一致しない場合には、記憶されたデータを調整する。これにより、遠隔検知装置は、無線機器に設定されていた環境状態および出力信号の関係にズレが生じた場合であっても、収容部にその無線機器を収容して、自身が記憶しているデータを調整(再校正)することで、無線機器が検知した環境情報をより正確に取得することができる。
【0011】
本発明に係る遠隔検知装置は、前記収容部に前記無線機器が収容された場合、前記調整手段によるデータの調整が完了したことを通知する通知手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成では、収容部に収容した無線機器に対応する記憶したデータの調整が完了したことが通知されるため、ユーザは無線機器が使用可能であるかの判断が容易となる。
【0013】
本発明に係る遠隔検知装置において、前記収容部は開閉可能な扉を有しており、前記通知手段は、前記調整手段によるデータの調整が完了するまで前記扉を施錠し、完了したときに前記扉を開錠する構成であってもよい。
【0014】
この構成では、データの調整(校正)が完了するまで収容部の扉を開けることができないため、ユーザは無線機器が使用可能であるかの判断が容易となる。
【0015】
本発明に係る遠隔検知装置において、前記扉は、前記通知手段により開錠された場合、自動的に開く構成としてあってもよい。
【0016】
この構成では、データの調整(校正)が完了すると、例えば、バネの弾性力により扉を自動的に開くようにすることで、ユーザは無線機器が使用可能であるかの判断が容易となる。
【0017】
本発明に係る遠隔検知装置において、前記通知手段は、前記調整手段によるデータの調整が完了したことを光により通知する構成でもよい。
【0018】
この構成では、ユーザは、視覚により無線機器が使用可能であるかの判断が可能となる。
【0019】
本発明に係る遠隔検知装置において、前記収容部は複数の無線機器を収容可能であってもよい。
【0020】
この構成では、無線機器を複数使用する場合に、収容部に無線機器を入れ替えるユーザの手間を省くことができる。
【0021】
本発明に係る遠隔検知装置は、前記収容部を複数備えており、前記第1取得手段および前記受信手段は、前記収容部それぞれに対して備えられていていてもよい。
【0022】
この構成では、無線機器を複数使用する場合に、収容部に無線機器を入れ替えるユーザの手間を省くことができる。
【0023】
本発明に係る遠隔検知装置において、前記無線機器は、所定周波数の信号を受信すると共振して出力信号を出力する構成としてあり、前記所定周波数の信号を前記収容部内へ出力する手段をさらに備えていてもよい。
【0024】
この構成では、所定周波数の信号を送信すれば、無線機器から出力信号が出力されるため、データの調整(校正)を開始するタイミングを調整できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、無線機器に設定されていた環境状態および出力信号の関係にズレが生じた場合であっても、収容部にその無線機器を収容して、自身が記憶しているデータを調整(再校正)することで、無線機器が検知した環境情報をより正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】特許文献1に記載のシステムの構成を模式的に示す図
【図2】実施形態に係る検知装置の構成を示すブロック図
【図3】一つの収容部を備えた検知装置の例を示す模式図
【図4】複数の収容部を備えた検知装置の例を示す模式図
【図5】収容部の形成態様の一例を示す図
【図6】複数の測定用タグが収容可能な収容部を備えた検知装置の例を示す模式図
【図7】シート状の測定用タグを収容する収容部を備えた検知装置の例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は、実施形態に係る検知装置の構成を示すブロック図である。検知装置10は、無線通信する測定用タグ(無線機器)20と対になって使用される装置である。測定用タグ20は、本発明に係る環境状態として、装着された被検体の温度を検知し、検知温度に伴った所定周波数の出力信号を出力する。検知装置10は、測定用タグ20からの出力信号を受信することで、被検体と離れた位置で被検体の温度を検知することができる。
【0028】
測定用タグ20を装着する被検体は、人や動物であってもよいし、人の出入りが困難な環境にある機器や自然物であってもよい。また、測定用タグ20は、被検体の表面温度を検知するものであってもよいし、被検体の周囲温度を検知するものであってもよい。また、測定用タグ20は温度以外に、例えば湿度や震度、傾度等を検知するものであってもよい。さらに、測定用タグ20は、可撓性を有するシート状であってもよいし、タブレット状であってもよい。
【0029】
測定用タグ20は、SAW(Surface Acoustic Wave)振動子21およびコイル電極22を備えている。SAW振動子21は、感知温度に応じて所定の共振周波数で共振する素子である。コイル電極22は、測定用タグ20のアンテナとして機能し、検知装置10との間で行う通信の周波数に応じた形状で形成されている。
【0030】
コイル電極22は、検知装置10から送信されるパルス信号Spを受信し、SAW振動子21へ印加する。SAW振動子21は、印加されたパルス信号Spによって励振する。SAW振動子21は、パルス信号Spが印加されなくなった後も一定期間、励振(残響)し続ける。SAW振動子21は、振動が電気信号としてコイル電極22へ給電され、コイル電極22から出力信号(以下、共振信号Sfという)が放射される。
【0031】
この共振信号Sfの周波数はSAW振動子21の検知温度によって変化し、温度と周波数とが一意に決められている。従って、検知装置10が共振信号の周波数と温度との関係を予め記憶していれば、検知装置10は、測定用タグ20から共振信号Sfを受信することで、測定用タグ20が検知した温度を取得することができる。
【0032】
なお、検知装置10と測定用タグ20との間の通信方式は、磁界結合、電界結合又は電波等、何れの通信方式でもよく、検知装置10の使用用途によって適宜変更可能である。また、測定用タグ20は、SAW振動子21に替えて、水晶振動子、セラミック振動子又はLC共振器等を備えるようにしてもよい。
【0033】
検知装置10は、測定用タグ20に対してパルス信号Spを送信し、パルス信号Spを受信した測定用タグ20から共振信号Sfを受信することで、測定用タグ20が装着された被検体に関する温度(表面温度又は周囲温度)を検知する。また、検知装置10は、測定用タグ20が収容できる収容部10Aを備えており、収容部10Aに収容した測定用タグ20の校正を行う。
【0034】
校正とは、SAW振動子21の検知温度とSAW振動子21が出力する共振信号Sfの周波数との一意の関係を決める作業をいう。測定用タグ20のSAW振動子21は予め校正が行われており、検知装置10は、その校正結果(以下、校正データという)を記憶している。しかしながら、校正してから測定用タグ20を実際に使用するまでの時間経過、又は校正場所から使用場所までの搬送時の振動等が原因で、SAW振動子21における一意の関係(周波数特性)にズレが生じる場合がある。
【0035】
このため、測定用タグ20が出力する共振信号Sfは検知温度に正確に対応しておらず、検知装置10がその共振信号Sfから検知する被検体の温度と、実際の被検体の温度との間には誤差が生じるおそれがある。そこで、本実施形態に係る検知装置10は、収容部10Aに収容した測定用タグ20の校正を行えるようにすることで、実際に使用する直前に測定用タグ20を再校正することができるようにしている。
【0036】
なお、収容部10Aは断熱槽または恒温槽となっており、外部からの電波などに影響されないよう電磁シールドを有している。また、収容部10A内には内部温度を検知する温度センサ(第1取得手段)10Sが設けられている。さらに、収容部10Aは、測定用タグ20を出し入れするための開閉可能な扉(図示せず)を有し、扉にはロック機構10Bが設けられている。
【0037】
検知装置10は、制御部11、送信信号生成部12、送受信部13、アンテナ14A,14B、計測部15、操作部16、表示部17および開閉制御部(通知手段)18を備えている。制御部11は、操作部16からの操作入力に応じて各種の制御処理を実行する。例えば、操作部16から温度測定開始又は校正開始の操作入力を受け付けると、制御部11は、送信信号生成部12に測定用タグ20に送信すべきパルス信号の生成制御を開始させる。
【0038】
送信信号生成部12は、パルス信号の生成制御を開始すると、パルス信号Spを生成し、送受信部13へ出力する。送受信部13は、パルス信号Spを測定用タグ20側へ出力する。アンテナ14A,14Bは、測定用タグ20から放射された共振信号Sfを受信し、送受信部13へ出力する。送受信部13は、共振信号Sfを計測部15へ出力する。
【0039】
ここで、アンテナ14Aは、被検体に装着された測定用タグ20との間で通信を行うアンテナである。アンテナ(受信手段)14Bは、収容部10A内に設けられ、検知装置10の収容部10Aに収容された測定用タグ20との間で通信を行うアンテナである。なお、送受信部13は、操作部16からの操作入力に応じて、パルス信号Spを送信するアンテナを、アンテナ14A,14Bの何れかに切り替える
計測部15は、周波数変換部151、温度取得部(第2取得手段)152、校正部(対比手段、調整手段)153および校正データ記憶部(記憶手段)154を備えている。校正データ記憶部154には、予め校正データが記憶されている。周波数変換部151は、FFT(Fast Fourier Transform)処理等により、時間軸の共振信号Sfから周波数スペクトルを取得する。
【0040】
温度取得部152は、校正データ記憶部154に記憶された校正データを参照して、受信した共振信号Sfの周波数スペクトルのピークに関連付けられた温度を取得する。操作部16からから温度測定開始の操作入力を受け付けた場合、温度取得部152は、検知した温度を、測定用タグ20が装着された被検体の温度として表示部17に出力する。操作部16から校正開始の操作入力を受け付けた場合、温度取得部152は、取得した温度を校正部153へ出力する。
【0041】
校正部153は、収容部10Aに収容された測定用タグ20の校正を行い、校正データ記憶部154に記憶されている校正データを更新する。具体的には、校正部153は、収容部10Aの内部温度を温度センサ10Sから取得する。そして、校正部153は、温度取得部152から出力された温度と、温度センサ10Sから取得した温度とを対比する。
【0042】
校正部153は、校正データ記憶部154に記憶されている校正データに、対比結果を反映させて、更新する。例えば、SAW振動子21において、検知温度が温度T1の場合に共振信号Sf1を出力すると設定されており、収容部10A内が温度T1であるとき、アンテナ14Bが共振信号Sf2を受信し、温度取得部152が校正データ記憶部154の校正データから温度T2を取得したものとする。
【0043】
この場合、校正部153は、共振信号Sf2に対応する温度が温度T1となるよう、校正データ記憶部154に記憶されている校正データを調整する。これにより、SAW振動子21における周波数特性に誤差が生じた場合であっても、校正データにその誤差を反映させることで、検知装置10は、測定用タグ20が装着された被検体に関する温度をより正確に検知することができる。
【0044】
また、検知装置10に収容部10Aを備えることで、収容部10Aに収容した状態で測定用タグ20を搬送することがで、さらに、検知装置10の搬送後、そのままの状態で再校正し、校正後、測定用タグ20を使用することができる。これにより、ユーザは、手間を要することなく、より正確な被検体の温度を検知することができる。
【0045】
表示部17は、計測部15の出力された検出温度を表示する。また、測定用タグ20の校正中である場合には、表示部17はその旨のメッセージなどを表示してもよい。
【0046】
開閉制御部18は、ロック機構10Bのロックの開閉制御を行う。具体的には、開閉制御部18は、操作部16から校正開始の操作入力を受け付け、操作部16が校正を行っている間、ロック機構10Bをロック状態にする。すなわち、収容部10Aの扉は開かないようになる。校正部153による校正を完了した場合、開閉制御部18は、ロック機構10Bをロック状態から解除し、収容部10Aの扉が開くようにする。
【0047】
このように、校正中は収容部10Aの扉が開かないようにすることで、ユーザは収容部10Aに収容した測定用タグ20に対する校正が完了したか否かを容易に判断することができる。
【0048】
以下に、検知装置10が備える収容部10Aについて詳述する。
【0049】
検知装置10は、一又は複数の測定用タグ20を備えていてもよい。図3は一つの収容部10Aを備えた検知装置10の例を示す模式図である。図4は、複数の収容部10Aを備えた検知装置10の例を示す模式図である。図3及び図4における点線部は検知装置10の内部にあることを示している。
【0050】
図3の場合、測定用タグ20はタブレット型であるとする。図3に示す検知装置10の収容部10Aは、測定用タグ20と同様の形状で、一つの測定用タグ20が収容可能な大きさを有している。この収容部10Aの長手方向と対向するよう押出し板30が平行に設けられている。押出し板30は、バネ31により収容部10A側に押し出されるようになっている。
【0051】
測定用タグ20は、収容部10Aと押出し板30との間に一列に配列するよう収容される。このとき、測定用タグ20は、押出し板30を収容部10Aとは逆側に押すよう配列される。そして、図示しないが、押出し板30側となる収容部10Aの側面は、自動又は手動により開閉可能としてある。収容部10Aの側面が開放された場合、バネ31の復元力により押出し板30が収容部10A側に押し出され、それに伴い、測定用タグ20が収容部10A側に押し出される。
【0052】
測定用タグ20の一つが収容部10Aに収容されたときに、収容部10Aの開放した側面が自動又は手動で閉じるようになっている。これにより、収容部10Aには、一つの測定用タグ20が収容される。そして、収容部10Aに測定用タグ20を収容した後、操作部16により校正開始の操作入力を行うことで、上述した測定用タグ20の校正が開始される。校正が終了した後、収容部10Aから測定用タグ20を取り出して使用することができる。
【0053】
図4の場合、測定用タグ20は、シート状、タブレット状又はそれ以外であってもよい。図4に示す検知装置10は、一つの測定用タグ20を収容できる収容部10Aを隔離して複数設けており、各収容部10Aにはそれぞれアンテナ14Bが設けられている。
【0054】
各収容部10Aに収容する測定用タグ20のSAW振動子21の共振周波数が同じである場合、各アンテナ14Bからは、同じ周波数のパルス信号Spを送信することで、各測定用タグ20の校正を行うことができる。
【0055】
各収容部10Aに収容する測定用タグ20のSAW振動子21の共振周波数が異なる場合、各アンテナ14Bからは、異なる周波数のパルス信号Spを送信することで、各測定用タグ20の校正を行うことができる。
【0056】
なお、検知装置10に形成する収容部10Aの形状又は大きさは適宜変更可能である。また、収容部10Aの形成態様も適宜変更可能である。図5は、収容部10Aの形成態様の一例を示す図である。
【0057】
図5(a)に示すように、検知装置10に開口を有する矩形状の孔を形成し、その開口部分を開閉可能な扉10Cを設けることで、収容部10Aを形成するようにしてもよい。この扉10Cは、例えばバネ等の弾性部材により、平時は開放状態となる。また、収容部10Aの開口部分には、上述したロック機構10Bにより突出したり、引っ込んだりする施錠部材41が設けられており、扉10Cには突出した施錠部材41が挿入可能な孔42が形成されている。
【0058】
扉10Cが閉じている状態で施錠部材41が突出すると、施錠部材41が孔42に挿入され、扉10Cが開かないようにできる。また、施錠部材41が引っ込むことで、扉10Cが開放可能となる。開放可能なると、扉10Cは弾性部材により自動的に開放状態となる。すなわち、収容部10A内での測定用タグ20の校正が終了すると、ロックが解除され、扉10Cが自動で開くようになる。
【0059】
また、図5(b)に示すように、検知装置10から取り出し可能な、開口を有する直方体形状の箱を収容部10Aとし手もよい。この場合、検知装置10に開口を有する矩形状の孔を形成して、その開口から箱型の収容部10Aを検知装置10に挿入する構成にしてもよい。
【0060】
さらに、校正の完了を通知するものとして、図5(a)の扉10Cの開閉制御を行うロック機構10Bに替えて、収容部10Aの近傍にLED(Light Emitting Diode)43を設けるようにしてもよい。例えば、収容部10Aに収容した測定用タグ20を校正している間は、LED43を点灯または点滅させ、校正が完了したときにLED43を消灯させる。この場合、ユーザは、視覚的に校正の完了を確認できる。
【0061】
また、一つの収容部10Aに複数の測定用タグ20が収容可能としてもよい。図6は、複数の測定用タグ20が収容可能な収容部10Aを備えた検知装置10の例を示す模式図である。図6の場合、測定用タグ20は、シート状、タブレット状又はそれ以外であってもよい。
【0062】
図6に示す検知装置10は一つの収容部10Aを備え、その収容部10Aには一つのアンテナ14Bが設けられている。この場合、収容部10Aに収容される各測定用タグ20のSAW振動子21が同じ共振周波数である場合には、収容部10Aに複数の測定用タグ20を収容しても一つのアンテナ14Bにより校正することが可能となる。
【0063】
また、SAW振動子21の共振周波数が異なっている場合であっても、アンテナ14Bから送信するパルス信号Spの周波数を変更することで、各測定用タグ20の校正が可能となる。この場合、アンテナの数を増やすことなく、共振周波数が異なる測定用タグ20の校正を行うことができる。
【0064】
なお、図6に示す検知装置10が備える収容部10Aは、図5(a)又は図5(b)に示す形成態様であってもよいし、他の形成態様であってもよい。
【0065】
また、測定用タグ20がシート状である場合、測定用タグ20をリール状に巻回して、測定用タグ20をリールから引き出して収容部10Aに収容させるようにしてもよい。図7は、シート状の測定用タグ20を収容する収容部10Aを備えた検知装置10の例を示す模式図である。
【0066】
図7に示す検知装置10は、携帯可能なラベル貼付機(所謂ラベラー)のような構成である。検知装置10は、内部に測定用タグ20が巻回されたリール35を回転可能に支持しており、このリール35から一の測定用タグ20を自動又は手動で引き出し、収容部10Aに収容できるようにしてある。収容部10A内にまで引き出した測定用タグ20を校正後、測定用タグ20を外部に送り出すことで、校正済みの測定用タグ20を使用することができる。
【0067】
なお、検知装置10の具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、上述の実施形態に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
10−検知装置(遠隔検知装置)
10A−収容部
10S−温度センサ(第1取得手段)
11−制御部
12−送信信号生成部
13−送受信部
14A−アンテナ
14B−アンテナ(受信手段)
15−計測部
20−測定用タグ(無線機器)
21−SAW振動子
22−コイル電極
151−周波数変換部
152−温度取得部(第2取得手段)
153−校正部(調整手段、対比手段)
154−校正データ記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の環境状態を検知し、検知した環境状態に対応付けられた出力信号を出力する無線機器から前記出力信号を受信し、該出力信号に基づいて前記無線機器が検知した環境状態を取得する遠隔検知装置において、
前記無線機器に設定された環境状態および出力信号の関係に係るデータを記憶する記憶手段と、
前記無線機器を収容する収容部と、
該収容部内の環境状態を取得する第1取得手段と、
前記収容部内に収容された無線機器から出力信号を受信する受信手段と、
前記記憶手段に記憶されたデータおよび前記受信手段が受信した出力信号に基づいて、前記無線機器が検知した前記収容部内の環境状態を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段および前記第2取得手段が取得した環境状態を対比する対比手段と、
該対比手段が対比した結果、前記環境状態が一致しない場合、前記対比手段による対比結果に基づいて前記記憶手段に記憶されたデータを調整する調整手段と、
を備える遠隔検知装置。
【請求項2】
前記収容部に前記無線機器が収容された場合、前記調整手段によるデータの調整が完了したことを通知する通知手段をさらに備える請求項1に記載の遠隔検知装置。
【請求項3】
前記収容部は開閉可能な扉を有しており、
前記通知手段は、
前記調整手段によるデータの調整が完了するまで前記扉を施錠し、完了したときに前記扉を開錠する請求項2に記載の遠隔検知装置。
【請求項4】
前記扉は、前記通知手段により開錠された場合、自動的に開く構成としてある請求項3に記載の遠隔検知装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記調整手段によるデータの調整が完了したことを光により通知する請求項2に記載の遠隔検知装置。
【請求項6】
前記収容部は複数の無線機器を収容可能である請求項1から5の何れか一つに記載の遠隔検知装置。
【請求項7】
前記収容部を複数備えており、
前記第1取得手段および前記受信手段は、前記収容部それぞれに対して備えられている請求項1から6の何れか一つに記載の遠隔検知装置。
【請求項8】
前記無線機器は、所定周波数の信号を受信すると共振して出力信号を出力する構成としてあり、
前記所定周波数の信号を前記収容部内へ出力する手段をさらに備える請求項1から7の何れか一つに記載の遠隔検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−181675(P2012−181675A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44116(P2011−44116)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】