遠隔読影システム
【課題】個人情報が添付された医療用画像を外部に転送する際に、どの画像がどの患者のものであるかの情報を保持しつつ個人情報の流出を防止する遠隔読影システムを提供する。
【解決手段】病院2において、医療用デジタル画像データを生成したとき、管理装置5はその医療用デジタル画像データから患者情報を削除し、画像データに固有の画像IDと削除した患者情報とを対応付ける患者情報管理リストを生成する。読影拠点から読影レポートを受信した場合には、読影レポートに含まれる画像IDを基に、患者情報管理リストを参照して読影レポートと患者情報とを対応付ける。
【解決手段】病院2において、医療用デジタル画像データを生成したとき、管理装置5はその医療用デジタル画像データから患者情報を削除し、画像データに固有の画像IDと削除した患者情報とを対応付ける患者情報管理リストを生成する。読影拠点から読影レポートを受信した場合には、読影レポートに含まれる画像IDを基に、患者情報管理リストを参照して読影レポートと患者情報とを対応付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像の遠隔読影をサポートする遠隔読影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CR(Computed Radiography:コンピュータ放射線撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴撮影)、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)等、医療用デジタル画像生成技術が普及している。これらの医療用デジタル画像生成技術によって生成された医療用デジタル画像は、例えば読影医による読影や、患者の担当医による診断時に利用される。
【0003】
読影とは、医療用デジタル画像を基に行う画像診断である。
読影医は、読影の結果や所見等を記入した読影レポートを生成する。
このようにして生成された読影レポートは、担当医が患者を診察する際に有効に利用される。
【0004】
ところで、病院等の医療施設において、医療用デジタル画像データの生成は行うが、当該画像データの読影は行わずに、外部の読影拠点に読影を依頼する場合がある。
これは、近年では、医療用デジタル画像データの絶対数が爆発的に増大しており、医療施設において、増大した全ての医療用デジタル画像データの読影を行うための人的・機械的資源が不足しているからである。
【0005】
このように、外部の読影拠点に対して読影を依頼する仕組みが構築された場合(この仕組みを以下遠隔読影システムと称する)に、医療施設から読影拠点へと送信される読影用の医療用デジタル画像データに患者の個人情報が含まれるとすると、例えば第三者に対して個人情報が流出してしまう場合が考えられる。
個人情報の流出は、個人情報を扱う医療施設などにとっては大きな問題であり、このような事態の出現を防止する必要がある。
【0006】
遠隔読影システムにおいて、医療用デジタル画像データの送信時における患者の個人情報の流出を防止する技術が、例えば特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1には、読影依頼の操作の簡略化及び読影依頼ミスの削減・防止を図ることができ、また、運用センターでの患者情報入力の作業を不要にすることができる読影依頼端末が開示されている。
【0007】
特許文献2には、検査施設あるいは検査施設の検査担当者と読影拠点の読影担当者の識別情報に基づいて設定された医療情報アクセス権を用いて読影時における画像データや患者情報等のセキュリティ管理を行なうことにより、受検者に関する個人情報の漏洩を防止することが可能な画像データ読影システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−024772号公報
【特許文献2】特開2006−198042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び特許文献2に開示された技術では、医療施設から外部に転送される医療用画像に添付される個人情報自体は、暗号化されてはいても残っているため、第三者に患者の個人情報が漏れてしまう恐れがあった。
外部に転送される医療用画像から個人情報の流出を完全に防止するためには、医療用画像に添付される個人情報を完全に消去してしまえばよいが、こうした場合どの画像がどの患者のものであるかが分からなくなってしまう、という不利益があった。
【0010】
本発明は、このような事態を鑑みてなされたものであり、個人情報が添付された医療用画像を外部に転送する際に、どの画像がどの患者のものであるかの情報を保持しつつ個人情報の流出を防止する遠隔読影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、第1の発明の医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、を有し、前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、を実行する遠隔読影システムであって、前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の個人情報を削除し、当該医療用デジタル画像データに固有の識別番号である画像IDと当該画像IDに対応する前記削除した患者の個人情報とを含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる画像IDを基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者情報を対応付ける。
【0012】
第2の発明の遠隔読影システムは、医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、を有し、前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、を実行する遠隔読影システムであって、前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、少なくとも当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の名前を削除し、代わりに無作為に生成した仮の名前である仮想患者名を付与する。
【発明の効果】
【0013】
個人情報が添付された医療用画像を外部に転送する際に、どの画像がどの患者のものであるかの情報を保持しつつ個人情報の流出を防止する遠隔読影システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態の遠隔読影システムの構成の一例を示した図である。
【図2】図2は、本実施形態の遠隔読影システムの病院の構成の一例を示した図である。
【図3】図3は、本実施形態の遠隔読影システムの読影拠点の構成の一例を示した図である。
【図4】図4は、DICOMタグの一例を示した図である。
【図5】図5は、管理装置の構成の一例を示した図である。
【図6】図6は、病院において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【図7】図7は、病院において、端末装置から管理装置に記憶された医療用デジタル画像データを閲覧する場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【図8】図8は、病院において、読影拠点に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例を示したシーケンス図である。
【図9】図9は、読影依頼を受診したデータセンタの動作例を示したフローチャートである。
【図10】図10は、読影依頼の通知を受けた読影拠点の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【図11】図11は、読影依頼を受診したデータセンタの動作例を示したフローチャートである。
【図12】図12は、読影結果レポートを取得した病院の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の遠隔読影システム100について説明する。
図1は、本実施形態の遠隔読影システム100の構成の一例を示した図である。
図1に示すように、遠隔読影システム100では、データセンタ1、病院2(本発明の医療施設に対応)、読影拠点3(本発明の読影拠点に対応)がネットワーク4を介して互いに接続されている。
【0016】
図1に示すような遠隔読影システム100においては、まず、病院2において医療用デジタル画像データが生成される。そして、病院2内部において生成した医療用デジタル画像データの読影を行わず、読影拠点3へ読影を依頼することが可能に構成されている。病院2から読影拠点3に対して読影を依頼する場合には、データセンタ1を介して医療用デジタル画像データが読影拠点3へと転送される。読影拠点3においては、転送された医療用デジタル画像データを読影医が読影し、読影を行った結果を読影結果レポートとしてまとめ、またデータセンタ1を介して病院2へとレポートを返送する。データセンタ1は、病院2と読影拠点3との間で、医療用デジタル画像データや読影結果レポートの転送制御や管理等を行う。
【0017】
図1に示すように、病院2及び読影拠点3は、画像データや文書データ等を含む各種医療用データの保持や管理を行う管理装置5を有する。また、データセンタ1は、医療用デジタル画像データの保持や転送制御を実行するサーバ装置11を有する。
【0018】
以下、本実施形態の遠隔読影システム100の各構成の詳細について説明する。
図2は、本実施形態の遠隔読影システム100における病院2の構成要素の一例を示した図である。
図2に示すように、病院2は、モダリティ21、端末装置22、LAN23、データベース(DB)24、管理装置5を有する。
【0019】
モダリティ21は、X線CT装置、超音波診断装置、MRI装置等、医療用画像を生成可能な各種医療機器である。
X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置は、検査対象に対して全方位から照射されたX線が、それぞれの方向でどの程度検査対象に吸収されたか、を測定し、これを基に検査対象の断層画像を再構成する装置である。
超音波診断(Ultra Sonography)装置は、超音波を発生させて検査対象に投射し、反射した超音波(エコー)を受信するプローブ(探触子)でエコーを受信し、これを基に検査対象内部の画像を再構成する装置である。
【0020】
MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)装置は、検査対象に強い磁場を作用させ、体内にある水素原子核を磁気に共鳴させて微弱な電波を発生させ、その電波を受信して画像を生成する。MRIにおいては、CTと同様、得られる画像は断層画像である。
本実施形態のモダリティ21は、特に、デジタル画像を生成可能な医療機器である。モダリティ21は、例えば病院内に設置されており、後述するLAN23を介して、端末装置22に対して画像を転送する。
モダリティ21は、図2に示す病院2内に少なくとも1つ配設される。
モダリティ21は、例えばDICOM規格(DICOM:Digital Imaging and COmmunications in Medicine)に適合した医療用デジタル画像データを生成することができる。すなわち、モダリティ21は、各画像データに対応する患者の個人情報データ(以下患者情報と称する)や画像生成に関する情報(画像の識別ナンバー(画像ID)、画像に写る患部名、画像が生成された日時、生成したモダリティ21の種別・機種名、生成した医師の名前等:以下検査情報と称する)をDICOM規格に従って埋め込んだ医療用デジタル画像データを生成することができる。
【0021】
端末装置22は、例えば医師により使用され、病院内の各種データの管理や閲覧を行うためのPC(Personal Computer)等の端末である。端末装置22は、図2に示す病院2内に、少なくとも1つ配設される。
【0022】
LAN23は、例えば病院内に設けられたローカルなネットワークである。
LAN23には、病院内に設置された少なくとも1つのモダリティ21、少なくとも1つの端末装置22、DB24、そして後述する管理装置5が接続されている。
LAN23を介して、モダリティ21が生成したデータが端末装置22や管理装置5に転送されたり、端末装置22が複数ある場合には、端末装置22同士で各種データが転送されたりする。
DB24は、モダリティ21が生成した医療用デジタル画像データを記憶するためのデータベースである。
【0023】
管理装置5は、病院2内の医療用デジタル画像データの管理や、病院2の外部に対する医療用デジタル画像データの送受信、DB24に記憶された医療用デジタル画像データの管理・検索等を行う。
特に、本実施形態の管理装置5は、外部の読影施設に対して医療用デジタル画像データを転送し、読影を依頼する遠隔読影処理を行うことができるように設計されている。この際、患者の個人情報をDICOMタグの形式で含む医療用デジタル画像データが病院2外部に転送されることになるので、本実施形態の管理装置5では、医療用デジタル画像データに含まれる患者の個人情報が第三者に流出することがないように、個人情報を管理する個人情報管理処理を行っている。
管理装置5の個人情報管理処理の詳細については後述する。
【0024】
次に、読影拠点3の構成の一例について説明する。
図3は、本実施形態の遠隔読影システム100における読影拠点3の構成の一例を示した図である。
図3に示すように、読影拠点3は、端末装置31と、メモリ32と、管理装置5とを有する。
この管理装置5は、上述した病院2の構成例における管理装置5と同一の構成と機能を有する。すなわち、管理装置5は、読影を依頼する側(病院2)、読影を依頼される側(読影拠点3)のいずれに設置しても、設置された場所に応じた動作を実行することが可能である。
【0025】
端末装置31は、例えば読影医により使用され、医療用デジタル画像データの閲覧や、医療用デジタル画像データの読影を行った結果(読影結果)を記したレポート(以下読影結果レポート)の作成・編集等を行うためのPC(Personal Computer)等の端末である。
端末装置31は、図3に示す読影拠点3内の構成において、少なくとも1つ配設される。
読影拠点3では、病院2からの読影依頼に応じて、データセンタ1から医療用デジタル画像データを受信し、読影を行いその結果を記した読影結果レポートを生成して、データセンタ1へと送付する。データセンタ1が読影結果レポートを病院2に送信することにより、医療用デジタル画像データを生成する施設と読影を行う施設が異なる遠隔読影システムを構築することができる。
メモリ32は、端末装置31を使用して作成された読影結果レポートや、読影結果レポート作成のために使用される各種データを記憶する記憶手段である。
病院2から依頼された読影を行う場合の読影拠点3の各構成の動作例についての詳細は後述する。
【0026】
次に、データセンタ1の構成例について説明する。
データセンタ1は、病院2と読影拠点3の間の医療用デジタル画像データの転送の制御や管理を行う。
データセンタ1は、図1に示すように、サーバ装置11を有する。
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して病院2と読影拠点3との間で行われる医療用デジタル画像データの転送を管理するためのサーバである。
【0027】
以下、遠隔読影システム100における各構成要素の動作例について説明する。
まず、病院2内において、モダリティ21により医療用デジタル画像データが生成される。
上述したように、モダリティ21において生成される医療用デジタル画像データには、各画像データに対応する患者の個人情報データ(患者情報)や画像生成に関する情報(検査情報)がDICOM規格に則って埋め込まれている。
【0028】
DICOM規格について簡単に説明する。
DICOM規格は、医療用デジタル画像データのフォーマットと、画像データを扱う医療用画像機器間の通信プロトコルとを定義した標準規格である。本実施形態においては、医療用デジタル画像データのフォーマットとしてDICOM規格を利用している。
【0029】
DICOM規格では、例えば圧縮された画像データや無圧縮の画像データと、その画像データに関する様々な情報とが1つのファイルに内包されるようになっている。
画像データに関する様々な情報とは、例えば、画像生成日時・画像を生成したモダリティの名称や番号・検査の種類・検査部位などの検査情報、患者の名前・生年月日・年齢などの患者情報である。このような医療用デジタル画像データに関する様々な情報、すなわち、患者情報と検査情報とを併せて、以下管理情報と称する。
【0030】
DICOM規格では、具体的には、画像データのヘッダ部分に管理情報が記述される。
医療用デジタル画像データが、CTやMRIなど、断層画像を生成するモダリティにより生成された場合には、断層画像のスライス1枚ごとのヘッダ部分に上述した管理情報が書き込まれている。
画像データのヘッダ部分には、最初にDICOMであるという宣言が記述され、次に各データがどの番地から始まるかの記述がなされる。それらの記述の後に、管理情報についての記載がある。
このようにDICOM規格では、画像データのヘッダ部分に様々な情報を含む管理情報が記載される。
【0031】
DICOM規格では、管理情報はタグ(TAG:DICOMタグ)を利用して管理される。
図4は、DICOMタグの一例を示した図である。
図4に示すように、DICOMタグは、16進数で表された数字の組み合わせにより特定される。DICOMタグを仮に(gggg, eeee)と示すと、”gggg”はグループ番号を、”eeee”はエレメント番号を示している。グループ番号とエレメント番号は、タグの中身の情報に対応して割り振られる。例えば、グループ番号”0008”は画像に関する情報、”0010”は患者に関する情報、というように予め決定されており、グループ番号とエレメント番号の組み合わせによって情報の詳細な中身が決定されるようになっている。具体的には、図4に示すように、例えばタグ(0008、0020)は検査日付、(0010、0010)は患者の名前、というように、タグと情報の中身とが一対一で対応する。
【0032】
さて、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データは、LAN23を介して病院2の管理装置5に転送され、DB24に記憶される。
病院2の医師等、医療従事者が医療用デジタル画像データを使用した各種処理を実行したい場合、医療従事者により端末装置22を介して各種処理の要求がなされる。当該要求は、LAN23を介して病院2の管理装置5に転送され、管理装置5は要求された処理を実行する。
病院2における各種処理とは、例えば、医療用デジタル画像データの閲覧、医療用デジタル画像データの検索、病院2外部(例えばサーバ装置11)への医療用デジタル画像データの転送、医療用デジタル画像データの外部への転送時における患者情報の匿名化、医療用デジタル画像データの外部への転送時におけるデータ暗号化や圧縮等の処理である。
【0033】
患者情報の匿名化処理について説明する。
上述したように、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データには、DICOMタグの形式で患者情報が埋め込まれている。
本実施形態の遠隔読影システム100では、上述したように、病院2から外部の読影拠点3へと医療用デジタル画像データを転送し、読影を依頼することが可能である。この際、人的ミス等により病院2から読影拠点3に転送される途中に医療用デジタル画像データが第三者の下に流出してしまう等の事故が発生した場合を考えると、転送する医療用デジタル画像データに患者情報が埋め込まれていた場合、患者の個人情報保護の観点から問題が大きくなってしまう恐れがある。
このため、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2の管理装置5が、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データをDB24に記憶する時点で、医療用デジタル画像データから患者情報を取り除く匿名化処理を行う。
【0034】
具体的には、管理装置5は、DICOMタグの形式で記載された医療用デジタル画像データの患者情報のうち、例えば患者の名前や患者の誕生日等、患者の個人情報に該当する情報をカットする。そして、患者の個人情報をカットした医療用デジタル画像データのリストを生成する。このリストを、例えば患者情報管理リストと称する。
この患者情報管理リストには、例えば、モダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの識別番号(例えば病院内の全ての医療用デジタル画像データにそれぞれ固有に割り当てられた画像ID)や、医療用画像の生成日時、カットされた個人情報などが記載される。或いは、患者情報管理リストには、カットされた個人情報だけではなく、当該医療用デジタル画像データにDICOMタグの形式で記載されている全ての情報が転載されていてもよい。
【0035】
そして、生成された患者情報管理リストと、患者の個人情報をカットされた医療用デジタル画像データとが、DB24に記憶される。
以上説明した、医療用デジタル画像データから患者情報をカットする処理を匿名化処理と称する。
すなわち、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データは、匿名化され、匿名化された医療用デジタル画像データが元々有していた患者情報について患者情報管理リストに全て記載された状態となっている。
上述した匿名化処理は、例えばモダリティ21による医療用デジタル画像データの生成直後に行われればよい。すなわち、例えば、管理装置5は、モダリティ21により生成された画像データを取得した時点で、上述した匿名化処理を実行するようにすればよい。
【0036】
次に、病院2から読影拠点3に対して医療用デジタル画像データの読影を依頼する処理(以下読影依頼処理)について説明する。
読影依頼処理において、病院2の医療従事者は、まず、例えば端末装置22を介して、メモリ24に記憶された医療用デジタル画像データの中から、読影を依頼すべき医療用デジタル画像データを例えば端末装置22を介して選択する。ここで選択される医療用デジタル画像データは、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データである。
端末装置22において医療従事者により読影依頼操作がなされると、LAN23を介して管理装置5が読影依頼要求を生成する。
管理装置5は、ネットワーク4を介して、まずデータセンタ1に対して読影依頼要求及び読影を依頼する医療用デジタル画像データを送信する。
ここで、管理装置5がデータセンタ1に対して送信する医療用デジタル画像データは、上述したように匿名化された医療用デジタル画像データである。
【0037】
このとき、管理装置5は読影依頼を受けた医療用デジタル画像データと同一の患者の過去の画像データをDB24から自動的に抽出し、管理装置5は同一患者の新しい画像と過去の画像とをまとめて、読影依頼要求と共にデータセンタ1に対して送信するようにしてもよい。
読影依頼要求には、例えば、依頼元の病院2の名称、読影依頼を行った医師名、依頼日時、依頼先の読影拠点3の名称等の情報が含まれている。
【0038】
さて、上述したように、病院2の管理装置5からデータセンタ1に対して、匿名化された医療用デジタル画像データと読影依頼情報とが送信される。
データセンタ1のサーバ装置11は、病院2からの読影依頼要求を読影データベースに記憶する。そして、読影拠点3に対して読影依頼があったことを通知し、読影拠点3から依頼を受ける旨の返答を受信してから医療用デジタル画像データと読影依頼要求を転送する。
【0039】
読影拠点3においては、まず、読影拠点3の管理装置5がネットワーク4を介して病院2から転送された医療用デジタル画像データ及び読影依頼要求を取得し、管理する。
次に、読影拠点3において、端末装置31から医療用デジタル画像データの閲覧や添付された読影依頼要求の閲覧・検索等の処理の要求がなされると、管理装置5は要求された処理を実行する。
このようにして、端末装置31において、読影拠点3の読影医等は、医療用デジタル画像データの検索や閲覧を行い、これを基に読影を行って、その結果を記した読影結果レポートを生成する。
【0040】
なお、医療用デジタル画像データが病院2から病院外部に転送される際には、医療用デジタル画像データは上述したような匿名化処理がなされている。このため、読影拠点3においては、どの医療用デジタル画像データがどの患者のものであるのかは分からないようになっている。
しかし、上述したように、匿名化された医療用デジタル画像データは、それぞれ固有のID(画像ID)が自動的に付与されている。各医療用デジタル画像データの画像IDは、例えばDICOMタグの1つとして記述されている。そして、読影拠点3において読影医がデータセンタ1を介して病院2から取得した医療用デジタル画像データを基に読影結果レポートを生成したとき、読影結果レポートに当該画像IDに関する情報も記載される。
これにより、読影拠点3において生成された読影結果レポートが病院2に転送された際に、どの読影結果レポートがどの医療用デジタル画像データを基に生成されたかが識別できるようになっている。
【0041】
読影拠点3の端末装置31において生成された読影結果レポートは、読影拠点3の管理装置5に転送されて記憶されると共に、データセンタ1へと転送される。
データセンタ1は、読影拠点3から受信した読影結果レポートを、病院2に対して転送する。
病院2の管理装置5は、読影結果レポートを受信すると、受信した読影結果レポートに対応する医療用デジタル画像データの画像IDを基に、当該読影結果レポートに対応する患者情報を関連付け、読影結果データベースにおいて管理する。
【0042】
このような構成により、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2において生成された医療用デジタル画像データを、患者情報の匿名性を保ったまま、病院2外部の読影拠点3へと送信し、病院2外部の読影医に読影を依頼することが可能となる。
【0043】
上述したように、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2及び読影拠点3は共通の構成を有する管理装置5をそれぞれ有し、管理装置5は遠隔読影に関して様々な処理を実行する。
以下、管理装置5の詳細について説明する。
図5は、管理装置5の構成の一例を示した図である。
図5に示すように、管理装置5は、通信部51、記憶部52、サーバ機能部53、圧縮処理部54、制御部55を有する。
【0044】
通信部51は、ネットワーク4を介してデータセンタ1や他の拠点の他の管理装置5との通信を行う。他の拠点とは、例えば病院2から見た読影拠点3、或いは読影拠点3から見た病院2を意味する。
記憶部52は、医療用デジタル画像データ、医療用デジタル画像データに対応する患者情報や検査情報、医療用デジタル画像データを基に生成された読影結果レポート、病院2から外部の読影拠点3に読影を依頼した依頼件数に関する情報(依頼件数、依頼日時、依頼した医師名等:以下依頼件数情報と称する)等を記憶する。記憶部52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体により構成される。記憶部52は、或いは光ディスク(DVD(Digital Versatile Disk)やBD(Blu-ray Disk:登録商標)等)にデータを書き込んで記憶させる光ドライブ装置で構成されてもよい。これにより、病院2から読影拠点3に依頼された遠隔読影の件数が管理され、この情報は読影拠点3に対する報酬支払時等に使用される。
【0045】
サーバ機能部53は、webサーバ機能を実現するブロックである。
サーバ機能部53は、例えば病院2の端末装置22や読影拠点3の端末装置31からの要求に応じて、記憶部52に記憶される各種データをリスト化して端末装置22や31に送信したり、端末装置22、31においてリストから選択されたデータを送信したりする。
【0046】
圧縮処理部54は、記憶部52に記憶される各種データの圧縮・解凍処理を行う。
圧縮方法は、圧縮されるデータが医療用デジタル画像データである場合、可逆圧縮と非可逆圧縮とを選択可能としてもよい。可逆圧縮は、圧縮前のデータと、圧縮及び展開の処理を経たデータが完全に等しくなる圧縮方法であり、非可逆圧縮は完全に等しくはならない圧縮方法である。可逆圧縮の例としてはJPEGやJPEG2000が、非可逆圧縮の例としてはPNG等がある。
【0047】
制御部55は、管理装置5を統括的に制御する制御ブロックである。
制御部55は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。
【0048】
以下、遠隔読影システム100における、各種構成の動作例について説明する。
まず、病院2において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明する。
図6は、病院2において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明したシーケンス図である。
ステップST1:
モダリティ21は、医療用デジタル画像データを生成する。
この際、モダリティ21は、生成した医療用デジタル画像データに対応する患者情報及び検査情報(管理情報)を生成し、これらの医療用デジタル画像データに管理情報を埋め込んでDICOM規格に適合した医療用デジタル画像データを生成する。
ステップST2:
モダリティ21は、LAN23を介してステップST1において生成した医療用デジタル画像データを管理装置5に対して転送する。
【0049】
ステップST3:
管理装置5は、医療用デジタル画像データを記憶部52に記憶する。
この際、管理装置5は、もし医療用デジタル画像データがDICOM規格に適合していない場合(例えばステップST1において医療用デジタル画像データを生成したモダリティ21がDICOM規格の画像データを生成できない場合など)には、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データに変換する。この場合、管理情報が存在しないことになるため、例えば医療従事者がこの時点で端末装置22などを介して管理情報を入力するようにすればよい。
ステップST4:
管理装置5は、医療用デジタル画像データの匿名化処理を行う。
すなわち、上述したように、管理装置5は、医療用デジタル画像データのDICOMタグに記載された患者情報のうち、個人情報に該当する情報をカットして、医療用デジタル画像データと患者情報との対応関係を示したリストを生成し、そこにカットした患者情報をペーストする。
この際、患者情報を除いた医療用デジタル画像データの画像IDと、対応する患者情報とを対応付けたリスト(患者情報管理リスト)を新たに生成する。
すなわち、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データは、匿名化され、匿名化された医療用デジタル画像データがどの患者情報と対応しているか、が患者情報管理リストに全て記載された状態となっている。
患者情報管理リストには、例えば、画像に固有のID(画像ID)、画像IDに対応する患者情報及び検査情報、医療用デジタル画像データのサムネイル画像などが記載される。
ステップST5:
管理装置5は、ステップST4において匿名化処理を行った医療用デジタル画像データと、患者情報管理リストとをDB24に記憶させる。
【0050】
このようにして管理装置5に記憶された医療用デジタル画像データは、例えば病院2内の端末装置22から閲覧が可能である。
図7は、病院2において、端末装置22から管理装置5に記憶された医療用デジタル画像データを閲覧する場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【0051】
ステップST11:
端末装置22は、管理装置5に対して、閲覧可能な医療用デジタル画像データのリストを要求する。このリストを以下では閲覧可能リストと称する。
ここで、端末装置22は、管理装置5に対して、記憶部52に記憶された全ての医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求することもできるが、必要な医療用デジタル画像データのみを抽出した閲覧可能リストを要求することもできる。
すなわち、例えば、同一患者の過去全ての医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したり、同一の日に生成された医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したり、同一のモダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したりすることができる。
【0052】
ステップST12:
管理装置5は、ステップST11において生成された閲覧可能リスト要求に応じて、記憶部52に記憶された医療用デジタル画像データ、患者情報、検査情報、患者情報管理リストを基に、閲覧可能リストを生成する。
ステップST13:
管理装置5は、ステップST12において生成した閲覧可能リストを、端末装置22に対して転送する。
【0053】
ステップST14:
端末装置22を操作する医師等により、ステップST13において転送された閲覧可能リストを基に、閲覧する医療用デジタル画像データやその他の情報が選択される。端末装置22は、医師等の選択を基に、選択された医療用デジタル画像データやその他の情報を管理装置5に対して要求する。その他の情報には、例えば患者情報や検査情報、依頼件数情報等が含まれる。
ステップST15:
管理装置5は、ステップST14の閲覧要求に応じて、要求された医療用デジタル画像データやその他の情報を転送する。
ステップST16:
端末装置22は、ステップST15において転送された画像データやその他の情報を端末装置22を操作する医師等に対して閲覧させる。
【0054】
次に、病院2において、病院2から読影拠点3に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例について説明する。
図8は、病院2において、病院2から読影拠点3に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例を示したシーケンス図である。
ステップST21:
医師等が、端末装置22を操作し、読影拠点3に対して所定の医療用デジタル画像データの読影を依頼する操作を行う。これに応じて、端末装置22は、所定の医療用デジタル画像データの読影拠点3への読影依頼要求を管理装置5に対して転送する。
【0055】
ステップST22:
管理装置5は、記憶部52に記憶された患者情報管理リストを参照し、ステップST21において読影依頼要求がなされた医療用デジタル画像データの患者情報を読み取って当該画像に対応する患者についての情報(患者の名前・生年月日・年齢などの患者情報)を取得する。
ステップST23:
管理装置5は、ステップST22において取得した患者情報を基に、DB24を検索し、同一患者の過去の画像データを抽出する。或いは、端末装置22を介して医療従事者により設定された検索条件に合致する過去の画像データを抽出する。
管理装置5が同一患者の過去の画像データを抽出する方法の詳細については後述する。
【0056】
ステップST24:
管理装置5は、ステップST23において読影依頼された医療用デジタル画像データに、新たに依頼元情報を付加する。
依頼元情報は、読影を依頼する病院2に関する情報であり、例えば病院2の固有ID等を含んでいる。
なお、本ステップにおいて依頼元情報が付加される医療用デジタル画像データは、図6のステップST5において匿名化処理がなされた医療用デジタル画像データである。
すなわち、病院2外に送出される医療用デジタル画像データには、患者情報が付与されていない。これにより、患者の個人情報の流出を防止することができる。
また、管理装置5は、医療用デジタル画像データ自体のセキュリティ性を高めるため、医療用デジタル画像データを暗号化してもよい。
ステップST25:
管理装置5は、依頼元情報を付加した医療用デジタル画像データに、ステップST23において抽出した同一患者の過去の医療用デジタル画像データを添付して、読影依頼情報としてデータセンタ1に対して送信する。
【0057】
ステップST26:
管理装置5は、記憶部52に記憶されている読影依頼に関する依頼件数情報を更新する。
依頼件数情報は、上述したように依頼件数、依頼日時、依頼した医師名等を含む情報であり、上記ステップST21〜25において新たに行った読影依頼に関する情報を追記することにより、依頼件数情報は更新される。
これにより、病院2が外部の読影拠点3に依頼した読影の数等が容易に把握することができ、料金の支払いや送信した医療用デジタル画像データの管理などを容易に行うことができるようになる。
【0058】
次に、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例について説明する。
図9は、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例を示したフローチャートである。
ステップST31:
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して病院2から読影依頼情報を取得する。
ステップST32:
サーバ装置11は、ステップST31において病院2から読影依頼があったことを読影データベースに登録する。
【0059】
ステップST33:
サーバ装置11は、病院2に対して読影依頼を取得したことを通知する。
ステップST34:
サーバ装置11は、読影拠点3に対して、読影依頼が来ていることを通知する。同時に、当該依頼に関連する医療用デジタル画像データを送信する。
なお、本発明においては、読影拠点3に対して、読影依頼の通知と医療用デジタル画像データの送信を必ずしも同時に行う必要はなく、読影依頼の通知に対する読影拠点3からの応答に対して医療用デジタル画像データを送信するようにしてもよい。
【0060】
次に、読影拠点3において読影依頼の通知を受けた場合の動作例について説明する。
図10は、読影拠点3において読影依頼の通知を受けた場合の動作例について説明するためのシーケンス図である。
ステップST41:
管理装置5は、データセンタ1からの読影依頼通知及び読影依頼に対応する医療用デジタル画像データを取得する。或いは、読影拠点3の管理装置5は、データセンタ11からの読影依頼通知に対応してデータセンタ11に対してこれに対応する医療用デジタル画像データを要求するようにしてもよい。
ステップST42:
管理装置5は、端末装置31に対して読影依頼通知を取得したことを通知する。同時に、医療用デジタル画像データを転送する。
【0061】
ステップST43:
ステップST42において転送された医療用デジタル画像データを読影医は端末装置31を使用して閲覧し、読影の結果を記した読影結果レポートを生成する。この際、病院2において医療用デジタル画像データに匿名化処理が施されているため、読影医は転送された医療用デジタル画像データの患者情報を知ることができない。しかし、読影依頼情報として画像IDが通知されているため、読影医は読影を行う医療用デジタル画像データの患者情報を知らないまま読影を行い、画像IDを読影結果レポートに記すことになる。
ステップST44:
端末装置31は、ステップST43において作成が完了した読影結果レポートを管理装置5に転送する。
【0062】
ステップST45:
管理装置5は、ステップST44において転送された読影結果レポートを読影結果データベースに登録する。
これにより、読影拠点3において行った読影の件数、日時、依頼元などがデータベースとして管理されるので、例えば病院2に対する料金の請求等が容易になる。
ステップST46:
管理装置5は、データセンタ1に対して、生成された読影結果レポートを送信する。
【0063】
次に、読影結果レポートを受診したデータセンタ1の動作例について説明する。
図11は、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例を示したフローチャートである。
ステップST51:
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して読影拠点3から読影結果レポートを取得する。
ステップST52:
サーバ装置11は、ステップST51において取得した読影結果レポートを読影データベースに登録する。
【0064】
ステップST53:
サーバ装置11は、ステップST51で読影拠点3からの読影結果レポートを取得したことに対応して、読影拠点3に対して読影結果レポートを取得したことを通知する。
ステップST54:
サーバ装置11は、病院2に対して、読影結果レポート取得したことを通知すると共に、読影結果レポートを送信する。
【0065】
次に、読影結果レポートを取得した病院2の動作例について説明する。
図12は、読影結果レポートを取得した病院2の動作例について説明するためのシーケンス図である。
ステップST61:
管理装置5は、データセンタ1から読影結果レポートを取得する。
ステップST62:
管理装置5は、読影結果レポートに記載された画像IDを基に、患者情報管理リストを参照して、取得した読影結果レポートに対応する患者情報を対応付ける。患者情報を対応付ける方法としては、読影結果レポートに患者情報そのものを添付してもよいし、患者情報管理リストに読影結果レポートに固有のID(読影結果ID)を加えるような形式としてもよい。すなわち、以後病院2内で読影結果レポートが参照される際に、参照される読影結果レポートに対応する患者情報も同時に参照可能な状態となるようになればよい。
【0066】
ステップST63:
管理装置5は、読影結果レポートを取得したことを端末装置22に対して通知する。
ステップST64:
端末装置22は、読影結果レポートを閲覧するか否かを判断する。
閲覧すると判断した場合はステップST65に進み、そうでない場合は処理を終了する。
【0067】
ステップST65:
端末装置22は、管理装置5に対して読影結果レポートの閲覧を要求する。
ステップST66:
管理装置5は、端末装置22に対して読影結果レポートを転送する。
ステップST67:
端末装置22は、読影結果レポートの閲覧を行う。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の遠隔読影システム100によれば、遠隔読影を依頼する病院2と、読影を依頼される読影拠点3において、共通の構成である管理装置5が配設されている。
管理装置5は、病院2においては、生成された医療用デジタル画像データの管理、圧縮・暗号化、医療用デジタル画像データに対する患者情報・検査情報などの付与(添付)、DICOM規格への変換、読影拠点3への読影依頼処理、読影拠点3からの読影結果レポートの取得処理等を行うことができる。
また、管理装置5は、読影拠点3においては、読影依頼の取得処理、読影結果レポートの管理、読影結果レポートの送信処理等を行うことができる。
【0069】
すなわち、本実施形態の遠隔読影システム100においては、病院2側と読影拠点3において、共通の管理装置5により遠隔読影の依頼・結果の送受信を行うシステムが構成される。このため、各拠点(病院2及び読影拠点3)において、遠隔読影の依頼・結果の送受信を行うシステムを構築するために必要な構成が少なくて済み、初期費用を抑えることができるようになる。
また、読影拠点3に存在する医師等は、例えば病院2における勤務経験を有する場合があり、共通の構成要素である管理装置5がどちらの拠点にも導入されていることによって、操作の習熟等に時間を要さず、人的コストを抑えることも可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2において、ある医療用デジタル画像データの遠隔読影が依頼するとき、管理装置5はその医療用デジタル画像データと同一の患者の過去の画像データを自動的に添付して、読影を依頼する画像データ及び読影依頼情報に加えて過去の画像データを送付する。このため、読影拠点3側では読影医が読影を行う際に過去の画像データにより読影が容易となる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、病院2及び読影拠点3がそれぞれ1箇所ずつである場合について説明したが、本発明はこれには限定されない。
例えば、読影拠点3が複数存在する場合、病院2からは、これらの読影拠点3のいずれに読影を依頼するかを選択することができるようになっている。
そして、病院2の管理装置5は、どの読影拠点3にどれだけ読影を依頼したかを読影情報として管理することにより、各読影拠点3に対する個別の料金算出等を行うことができるようになっている。
【0072】
また、複数の読影拠点3を1つのグループとして扱うことも可能である。
すなわち、例えば読影拠点3に属する医師が同一の組織の人間であったりする場合には、複数の読影拠点3への読影依頼を1つにまとめて管理した方が料金算出時等に有利である場合がある。
このような場合には、病院2の管理装置5は1つのグループに属する全ての読影拠点3に対して読影依頼を複製して送信することにより、複数の読影拠点3を1つのグループとして扱うことが可能となる。
【0073】
また、上述した実施形態では、読影拠点3において取得された医療用デジタル画像データは匿名化されており、どの患者のものであるかが分からないようになっている。
ただし、読影時には、同一の患者の医療用デジタル画像データが判別できるようになっていることが読影の正確さの点から望ましい。
このため、病院2の管理装置5は、医療用デジタル画像データを匿名化する際に、同一患者の医療用デジタル画像データについてはフラグ(同一患者フラグ)を予め付与しておくようにしてもよい。
このようにすることで、読影拠点3の管理装置5が、医療用デジタル画像データを受診したとき、受診した医療用デジタル画像データの中に、同一の患者の医療用デジタル画像データが存在することが判別できるようになる。
従って、端末装置31に医療用デジタル画像データを表示させる際に、同一患者の医療用デジタル画像データを識別できるように表示させる(例えば患者ごとに別の色で表示する、ブリンクさせる等)ことにより、読影医が同一患者を容易に識別できるようになる。
【0074】
さらに、このように同一患者の医療用デジタル画像データに同一患者フラグを付与することにより、病院2内において、同一患者の医療用デジタル画像データを全て容易に抽出できるため、診断精度を向上させることができる。また、特に診断時に有用な初回診断の医療用デジタル画像データを容易に抽出できるようになり、診断精度を向上させることができる。
【0075】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の遠隔読影システム100について説明する。
第2実施形態の遠隔読影システム100においては、病院2の管理装置5における匿名化処理の方法が第1実施形態と異なっている。
従って、遠隔読影システム100の構成要素やその動作については第1実施形態において説明した遠隔読影システムとほぼ同様であり、同様である部分については説明を省略する。
【0076】
以下、第2実施形態における病院2の管理装置5の匿名化処理について説明する。
上述したように、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データには、DICOMタグの形式で患者情報が埋め込まれている。
第2実施形態の遠隔読影システム100では、第1実施形態と同様、病院2の管理装置5が、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データをDB24に記憶する時点で、医療用デジタル画像データから患者情報を取り除く匿名化処理を行う。そして、さらに管理装置5は、仮想的な患者名を新たに医療用デジタル画像データに付与する。
【0077】
具体的には、管理装置5は、DICOMタグの形式で記載された医療用デジタル画像データの患者情報のうち、例えば患者の名前、患者の誕生日等、患者の個人情報に該当する情報をカットする。そして、患者の個人情報をカットした医療用デジタル画像データのリストとして患者情報管理リストを生成する。
患者情報管理リストには、モダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの識別番号(例えば病院内の全ての医療用デジタル画像データにそれぞれ固有に割り当てられた画像ID)や、医療用画像の生成日時、カットされた個人情報などが記載される。
【0078】
そして、管理装置5は、患者情報をカットした医療用デジタル画像データに対して、仮想患者情報を新たに付与する。仮想患者情報は、仮に与える患者名(仮想患者名)を含む(その他仮想的な誕生日などを与えてもよいが、あまり意味はない)。
仮想患者名の決定方法は、例えば以下のようにする。
【0079】
まず名字を決定する。
名字は、例えば予め抽出された所定数の日本人の名字の中から無作為に名字を選択するようにすればよい。予め抽出する所定数の名字は、例えば日本人に多い名字の上位所定数を抽出するようにすればよい。或いは、名字となり得る漢字を予め所定数抽出しておき、それらの漢字を2文字或いは3文字組み合わせて名字を生成するようにしてもよい。
次に、名前を決定する。
名前は、例えば、患者情報を参照して、患者の生まれた年に多く付けられた名前を男女それぞれ所定数だけ予め抽出しておき、その中から無作為に選択するようにすればよい。
【0080】
このようにして生成された仮想患者名は、対応する医療用デジタル画像データにDICOMタグの形式で新たに記載される。
そして、患者情報管理リストに仮想患者名が追記され、仮想患者名が与えられた医療用デジタル画像データと対応付けられてDB24に記憶される。
【0081】
すなわち、第2実施形態における匿名化処理では、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データからは、実際の患者名が削除された代わりに、架空の仮想患者名が与えられている。そして、仮想患者名を与えられた医療用デジタル画像データが、元々どの患者名と対応していたかが患者情報管理リストに記載されている。
【0082】
第2実施形態では、病院2の管理装置5においてこのような匿名化処理を行った結果、サーバ装置11や読影拠点3において医療用デジタル画像データを取り扱う際にも、仮に与えられた仮想患者名ではあるが患者名が与えられているので取り扱いが容易となる。
また、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において、読影に関する問い合わせなどがある場合、第1実施形態のような患者名を完全に削除する匿名化処理の場合は画像IDによる照合を行うしかなく、どの画像に対する問い合わせであるのかがわかりにくい。一方、第2実施形態のように仮想患者名を与える匿名化処理を施してある場合には、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において読影に関する問い合わせなどがある場合でも、どの画像に対する問い合わせであるのかが容易かつ直感的に分かる、という利点を有している。
【0083】
以上説明したように、第2実施形態の遠隔読影システム100では、病院2の管理装置5が匿名化処理を行う際に、医療用デジタル画像データから患者情報を削除するだけでなく、新たに仮の名前情報である仮想患者名を付与する。このため、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において読影に関する問い合わせなどがある場合でも、どの画像に対する問い合わせであるのかが容易かつ直感的に分かる、という効果を奏する。
また、第1実施形態における患者情報を削除する匿名化処理と比較して、サーバ装置11において、過去の同一の患者の画像データを探し出すのが容易になる。すなわち、第1実施形態における匿名化処理では、サーバ装置11に記憶されている医療用デジタル画像データは、患者情報が削除されているため、過去の同一患者の画像データを検出することは容易ではなかったが、本第2実施形態においては、医療用デジタル画像データには仮想患者名が付けられているため、同一患者の過去の医療用デジタル画像データを検出することが容易となる。
【0084】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
100…遠隔読影システム、1…データセンタ、11…サーバ装置、2…病院、21…モダリティ、22…端末装置、23…LAN、24…DB、3…読影拠点、31…端末装置、4…ネットワーク、5…管理装置、51…通信部、52…記憶部、53…サーバ機能、54…圧縮処理部、55…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像の遠隔読影をサポートする遠隔読影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CR(Computed Radiography:コンピュータ放射線撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴撮影)、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)等、医療用デジタル画像生成技術が普及している。これらの医療用デジタル画像生成技術によって生成された医療用デジタル画像は、例えば読影医による読影や、患者の担当医による診断時に利用される。
【0003】
読影とは、医療用デジタル画像を基に行う画像診断である。
読影医は、読影の結果や所見等を記入した読影レポートを生成する。
このようにして生成された読影レポートは、担当医が患者を診察する際に有効に利用される。
【0004】
ところで、病院等の医療施設において、医療用デジタル画像データの生成は行うが、当該画像データの読影は行わずに、外部の読影拠点に読影を依頼する場合がある。
これは、近年では、医療用デジタル画像データの絶対数が爆発的に増大しており、医療施設において、増大した全ての医療用デジタル画像データの読影を行うための人的・機械的資源が不足しているからである。
【0005】
このように、外部の読影拠点に対して読影を依頼する仕組みが構築された場合(この仕組みを以下遠隔読影システムと称する)に、医療施設から読影拠点へと送信される読影用の医療用デジタル画像データに患者の個人情報が含まれるとすると、例えば第三者に対して個人情報が流出してしまう場合が考えられる。
個人情報の流出は、個人情報を扱う医療施設などにとっては大きな問題であり、このような事態の出現を防止する必要がある。
【0006】
遠隔読影システムにおいて、医療用デジタル画像データの送信時における患者の個人情報の流出を防止する技術が、例えば特許文献1〜2に開示されている。
特許文献1には、読影依頼の操作の簡略化及び読影依頼ミスの削減・防止を図ることができ、また、運用センターでの患者情報入力の作業を不要にすることができる読影依頼端末が開示されている。
【0007】
特許文献2には、検査施設あるいは検査施設の検査担当者と読影拠点の読影担当者の識別情報に基づいて設定された医療情報アクセス権を用いて読影時における画像データや患者情報等のセキュリティ管理を行なうことにより、受検者に関する個人情報の漏洩を防止することが可能な画像データ読影システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−024772号公報
【特許文献2】特開2006−198042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び特許文献2に開示された技術では、医療施設から外部に転送される医療用画像に添付される個人情報自体は、暗号化されてはいても残っているため、第三者に患者の個人情報が漏れてしまう恐れがあった。
外部に転送される医療用画像から個人情報の流出を完全に防止するためには、医療用画像に添付される個人情報を完全に消去してしまえばよいが、こうした場合どの画像がどの患者のものであるかが分からなくなってしまう、という不利益があった。
【0010】
本発明は、このような事態を鑑みてなされたものであり、個人情報が添付された医療用画像を外部に転送する際に、どの画像がどの患者のものであるかの情報を保持しつつ個人情報の流出を防止する遠隔読影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、第1の発明の医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、を有し、前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、を実行する遠隔読影システムであって、前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の個人情報を削除し、当該医療用デジタル画像データに固有の識別番号である画像IDと当該画像IDに対応する前記削除した患者の個人情報とを含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる画像IDを基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者情報を対応付ける。
【0012】
第2の発明の遠隔読影システムは、医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、を有し、前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、を実行する遠隔読影システムであって、前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、少なくとも当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の名前を削除し、代わりに無作為に生成した仮の名前である仮想患者名を付与する。
【発明の効果】
【0013】
個人情報が添付された医療用画像を外部に転送する際に、どの画像がどの患者のものであるかの情報を保持しつつ個人情報の流出を防止する遠隔読影システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施形態の遠隔読影システムの構成の一例を示した図である。
【図2】図2は、本実施形態の遠隔読影システムの病院の構成の一例を示した図である。
【図3】図3は、本実施形態の遠隔読影システムの読影拠点の構成の一例を示した図である。
【図4】図4は、DICOMタグの一例を示した図である。
【図5】図5は、管理装置の構成の一例を示した図である。
【図6】図6は、病院において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【図7】図7は、病院において、端末装置から管理装置に記憶された医療用デジタル画像データを閲覧する場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【図8】図8は、病院において、読影拠点に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例を示したシーケンス図である。
【図9】図9は、読影依頼を受診したデータセンタの動作例を示したフローチャートである。
【図10】図10は、読影依頼の通知を受けた読影拠点の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【図11】図11は、読影依頼を受診したデータセンタの動作例を示したフローチャートである。
【図12】図12は、読影結果レポートを取得した病院の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の遠隔読影システム100について説明する。
図1は、本実施形態の遠隔読影システム100の構成の一例を示した図である。
図1に示すように、遠隔読影システム100では、データセンタ1、病院2(本発明の医療施設に対応)、読影拠点3(本発明の読影拠点に対応)がネットワーク4を介して互いに接続されている。
【0016】
図1に示すような遠隔読影システム100においては、まず、病院2において医療用デジタル画像データが生成される。そして、病院2内部において生成した医療用デジタル画像データの読影を行わず、読影拠点3へ読影を依頼することが可能に構成されている。病院2から読影拠点3に対して読影を依頼する場合には、データセンタ1を介して医療用デジタル画像データが読影拠点3へと転送される。読影拠点3においては、転送された医療用デジタル画像データを読影医が読影し、読影を行った結果を読影結果レポートとしてまとめ、またデータセンタ1を介して病院2へとレポートを返送する。データセンタ1は、病院2と読影拠点3との間で、医療用デジタル画像データや読影結果レポートの転送制御や管理等を行う。
【0017】
図1に示すように、病院2及び読影拠点3は、画像データや文書データ等を含む各種医療用データの保持や管理を行う管理装置5を有する。また、データセンタ1は、医療用デジタル画像データの保持や転送制御を実行するサーバ装置11を有する。
【0018】
以下、本実施形態の遠隔読影システム100の各構成の詳細について説明する。
図2は、本実施形態の遠隔読影システム100における病院2の構成要素の一例を示した図である。
図2に示すように、病院2は、モダリティ21、端末装置22、LAN23、データベース(DB)24、管理装置5を有する。
【0019】
モダリティ21は、X線CT装置、超音波診断装置、MRI装置等、医療用画像を生成可能な各種医療機器である。
X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置は、検査対象に対して全方位から照射されたX線が、それぞれの方向でどの程度検査対象に吸収されたか、を測定し、これを基に検査対象の断層画像を再構成する装置である。
超音波診断(Ultra Sonography)装置は、超音波を発生させて検査対象に投射し、反射した超音波(エコー)を受信するプローブ(探触子)でエコーを受信し、これを基に検査対象内部の画像を再構成する装置である。
【0020】
MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)装置は、検査対象に強い磁場を作用させ、体内にある水素原子核を磁気に共鳴させて微弱な電波を発生させ、その電波を受信して画像を生成する。MRIにおいては、CTと同様、得られる画像は断層画像である。
本実施形態のモダリティ21は、特に、デジタル画像を生成可能な医療機器である。モダリティ21は、例えば病院内に設置されており、後述するLAN23を介して、端末装置22に対して画像を転送する。
モダリティ21は、図2に示す病院2内に少なくとも1つ配設される。
モダリティ21は、例えばDICOM規格(DICOM:Digital Imaging and COmmunications in Medicine)に適合した医療用デジタル画像データを生成することができる。すなわち、モダリティ21は、各画像データに対応する患者の個人情報データ(以下患者情報と称する)や画像生成に関する情報(画像の識別ナンバー(画像ID)、画像に写る患部名、画像が生成された日時、生成したモダリティ21の種別・機種名、生成した医師の名前等:以下検査情報と称する)をDICOM規格に従って埋め込んだ医療用デジタル画像データを生成することができる。
【0021】
端末装置22は、例えば医師により使用され、病院内の各種データの管理や閲覧を行うためのPC(Personal Computer)等の端末である。端末装置22は、図2に示す病院2内に、少なくとも1つ配設される。
【0022】
LAN23は、例えば病院内に設けられたローカルなネットワークである。
LAN23には、病院内に設置された少なくとも1つのモダリティ21、少なくとも1つの端末装置22、DB24、そして後述する管理装置5が接続されている。
LAN23を介して、モダリティ21が生成したデータが端末装置22や管理装置5に転送されたり、端末装置22が複数ある場合には、端末装置22同士で各種データが転送されたりする。
DB24は、モダリティ21が生成した医療用デジタル画像データを記憶するためのデータベースである。
【0023】
管理装置5は、病院2内の医療用デジタル画像データの管理や、病院2の外部に対する医療用デジタル画像データの送受信、DB24に記憶された医療用デジタル画像データの管理・検索等を行う。
特に、本実施形態の管理装置5は、外部の読影施設に対して医療用デジタル画像データを転送し、読影を依頼する遠隔読影処理を行うことができるように設計されている。この際、患者の個人情報をDICOMタグの形式で含む医療用デジタル画像データが病院2外部に転送されることになるので、本実施形態の管理装置5では、医療用デジタル画像データに含まれる患者の個人情報が第三者に流出することがないように、個人情報を管理する個人情報管理処理を行っている。
管理装置5の個人情報管理処理の詳細については後述する。
【0024】
次に、読影拠点3の構成の一例について説明する。
図3は、本実施形態の遠隔読影システム100における読影拠点3の構成の一例を示した図である。
図3に示すように、読影拠点3は、端末装置31と、メモリ32と、管理装置5とを有する。
この管理装置5は、上述した病院2の構成例における管理装置5と同一の構成と機能を有する。すなわち、管理装置5は、読影を依頼する側(病院2)、読影を依頼される側(読影拠点3)のいずれに設置しても、設置された場所に応じた動作を実行することが可能である。
【0025】
端末装置31は、例えば読影医により使用され、医療用デジタル画像データの閲覧や、医療用デジタル画像データの読影を行った結果(読影結果)を記したレポート(以下読影結果レポート)の作成・編集等を行うためのPC(Personal Computer)等の端末である。
端末装置31は、図3に示す読影拠点3内の構成において、少なくとも1つ配設される。
読影拠点3では、病院2からの読影依頼に応じて、データセンタ1から医療用デジタル画像データを受信し、読影を行いその結果を記した読影結果レポートを生成して、データセンタ1へと送付する。データセンタ1が読影結果レポートを病院2に送信することにより、医療用デジタル画像データを生成する施設と読影を行う施設が異なる遠隔読影システムを構築することができる。
メモリ32は、端末装置31を使用して作成された読影結果レポートや、読影結果レポート作成のために使用される各種データを記憶する記憶手段である。
病院2から依頼された読影を行う場合の読影拠点3の各構成の動作例についての詳細は後述する。
【0026】
次に、データセンタ1の構成例について説明する。
データセンタ1は、病院2と読影拠点3の間の医療用デジタル画像データの転送の制御や管理を行う。
データセンタ1は、図1に示すように、サーバ装置11を有する。
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して病院2と読影拠点3との間で行われる医療用デジタル画像データの転送を管理するためのサーバである。
【0027】
以下、遠隔読影システム100における各構成要素の動作例について説明する。
まず、病院2内において、モダリティ21により医療用デジタル画像データが生成される。
上述したように、モダリティ21において生成される医療用デジタル画像データには、各画像データに対応する患者の個人情報データ(患者情報)や画像生成に関する情報(検査情報)がDICOM規格に則って埋め込まれている。
【0028】
DICOM規格について簡単に説明する。
DICOM規格は、医療用デジタル画像データのフォーマットと、画像データを扱う医療用画像機器間の通信プロトコルとを定義した標準規格である。本実施形態においては、医療用デジタル画像データのフォーマットとしてDICOM規格を利用している。
【0029】
DICOM規格では、例えば圧縮された画像データや無圧縮の画像データと、その画像データに関する様々な情報とが1つのファイルに内包されるようになっている。
画像データに関する様々な情報とは、例えば、画像生成日時・画像を生成したモダリティの名称や番号・検査の種類・検査部位などの検査情報、患者の名前・生年月日・年齢などの患者情報である。このような医療用デジタル画像データに関する様々な情報、すなわち、患者情報と検査情報とを併せて、以下管理情報と称する。
【0030】
DICOM規格では、具体的には、画像データのヘッダ部分に管理情報が記述される。
医療用デジタル画像データが、CTやMRIなど、断層画像を生成するモダリティにより生成された場合には、断層画像のスライス1枚ごとのヘッダ部分に上述した管理情報が書き込まれている。
画像データのヘッダ部分には、最初にDICOMであるという宣言が記述され、次に各データがどの番地から始まるかの記述がなされる。それらの記述の後に、管理情報についての記載がある。
このようにDICOM規格では、画像データのヘッダ部分に様々な情報を含む管理情報が記載される。
【0031】
DICOM規格では、管理情報はタグ(TAG:DICOMタグ)を利用して管理される。
図4は、DICOMタグの一例を示した図である。
図4に示すように、DICOMタグは、16進数で表された数字の組み合わせにより特定される。DICOMタグを仮に(gggg, eeee)と示すと、”gggg”はグループ番号を、”eeee”はエレメント番号を示している。グループ番号とエレメント番号は、タグの中身の情報に対応して割り振られる。例えば、グループ番号”0008”は画像に関する情報、”0010”は患者に関する情報、というように予め決定されており、グループ番号とエレメント番号の組み合わせによって情報の詳細な中身が決定されるようになっている。具体的には、図4に示すように、例えばタグ(0008、0020)は検査日付、(0010、0010)は患者の名前、というように、タグと情報の中身とが一対一で対応する。
【0032】
さて、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データは、LAN23を介して病院2の管理装置5に転送され、DB24に記憶される。
病院2の医師等、医療従事者が医療用デジタル画像データを使用した各種処理を実行したい場合、医療従事者により端末装置22を介して各種処理の要求がなされる。当該要求は、LAN23を介して病院2の管理装置5に転送され、管理装置5は要求された処理を実行する。
病院2における各種処理とは、例えば、医療用デジタル画像データの閲覧、医療用デジタル画像データの検索、病院2外部(例えばサーバ装置11)への医療用デジタル画像データの転送、医療用デジタル画像データの外部への転送時における患者情報の匿名化、医療用デジタル画像データの外部への転送時におけるデータ暗号化や圧縮等の処理である。
【0033】
患者情報の匿名化処理について説明する。
上述したように、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データには、DICOMタグの形式で患者情報が埋め込まれている。
本実施形態の遠隔読影システム100では、上述したように、病院2から外部の読影拠点3へと医療用デジタル画像データを転送し、読影を依頼することが可能である。この際、人的ミス等により病院2から読影拠点3に転送される途中に医療用デジタル画像データが第三者の下に流出してしまう等の事故が発生した場合を考えると、転送する医療用デジタル画像データに患者情報が埋め込まれていた場合、患者の個人情報保護の観点から問題が大きくなってしまう恐れがある。
このため、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2の管理装置5が、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データをDB24に記憶する時点で、医療用デジタル画像データから患者情報を取り除く匿名化処理を行う。
【0034】
具体的には、管理装置5は、DICOMタグの形式で記載された医療用デジタル画像データの患者情報のうち、例えば患者の名前や患者の誕生日等、患者の個人情報に該当する情報をカットする。そして、患者の個人情報をカットした医療用デジタル画像データのリストを生成する。このリストを、例えば患者情報管理リストと称する。
この患者情報管理リストには、例えば、モダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの識別番号(例えば病院内の全ての医療用デジタル画像データにそれぞれ固有に割り当てられた画像ID)や、医療用画像の生成日時、カットされた個人情報などが記載される。或いは、患者情報管理リストには、カットされた個人情報だけではなく、当該医療用デジタル画像データにDICOMタグの形式で記載されている全ての情報が転載されていてもよい。
【0035】
そして、生成された患者情報管理リストと、患者の個人情報をカットされた医療用デジタル画像データとが、DB24に記憶される。
以上説明した、医療用デジタル画像データから患者情報をカットする処理を匿名化処理と称する。
すなわち、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データは、匿名化され、匿名化された医療用デジタル画像データが元々有していた患者情報について患者情報管理リストに全て記載された状態となっている。
上述した匿名化処理は、例えばモダリティ21による医療用デジタル画像データの生成直後に行われればよい。すなわち、例えば、管理装置5は、モダリティ21により生成された画像データを取得した時点で、上述した匿名化処理を実行するようにすればよい。
【0036】
次に、病院2から読影拠点3に対して医療用デジタル画像データの読影を依頼する処理(以下読影依頼処理)について説明する。
読影依頼処理において、病院2の医療従事者は、まず、例えば端末装置22を介して、メモリ24に記憶された医療用デジタル画像データの中から、読影を依頼すべき医療用デジタル画像データを例えば端末装置22を介して選択する。ここで選択される医療用デジタル画像データは、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データである。
端末装置22において医療従事者により読影依頼操作がなされると、LAN23を介して管理装置5が読影依頼要求を生成する。
管理装置5は、ネットワーク4を介して、まずデータセンタ1に対して読影依頼要求及び読影を依頼する医療用デジタル画像データを送信する。
ここで、管理装置5がデータセンタ1に対して送信する医療用デジタル画像データは、上述したように匿名化された医療用デジタル画像データである。
【0037】
このとき、管理装置5は読影依頼を受けた医療用デジタル画像データと同一の患者の過去の画像データをDB24から自動的に抽出し、管理装置5は同一患者の新しい画像と過去の画像とをまとめて、読影依頼要求と共にデータセンタ1に対して送信するようにしてもよい。
読影依頼要求には、例えば、依頼元の病院2の名称、読影依頼を行った医師名、依頼日時、依頼先の読影拠点3の名称等の情報が含まれている。
【0038】
さて、上述したように、病院2の管理装置5からデータセンタ1に対して、匿名化された医療用デジタル画像データと読影依頼情報とが送信される。
データセンタ1のサーバ装置11は、病院2からの読影依頼要求を読影データベースに記憶する。そして、読影拠点3に対して読影依頼があったことを通知し、読影拠点3から依頼を受ける旨の返答を受信してから医療用デジタル画像データと読影依頼要求を転送する。
【0039】
読影拠点3においては、まず、読影拠点3の管理装置5がネットワーク4を介して病院2から転送された医療用デジタル画像データ及び読影依頼要求を取得し、管理する。
次に、読影拠点3において、端末装置31から医療用デジタル画像データの閲覧や添付された読影依頼要求の閲覧・検索等の処理の要求がなされると、管理装置5は要求された処理を実行する。
このようにして、端末装置31において、読影拠点3の読影医等は、医療用デジタル画像データの検索や閲覧を行い、これを基に読影を行って、その結果を記した読影結果レポートを生成する。
【0040】
なお、医療用デジタル画像データが病院2から病院外部に転送される際には、医療用デジタル画像データは上述したような匿名化処理がなされている。このため、読影拠点3においては、どの医療用デジタル画像データがどの患者のものであるのかは分からないようになっている。
しかし、上述したように、匿名化された医療用デジタル画像データは、それぞれ固有のID(画像ID)が自動的に付与されている。各医療用デジタル画像データの画像IDは、例えばDICOMタグの1つとして記述されている。そして、読影拠点3において読影医がデータセンタ1を介して病院2から取得した医療用デジタル画像データを基に読影結果レポートを生成したとき、読影結果レポートに当該画像IDに関する情報も記載される。
これにより、読影拠点3において生成された読影結果レポートが病院2に転送された際に、どの読影結果レポートがどの医療用デジタル画像データを基に生成されたかが識別できるようになっている。
【0041】
読影拠点3の端末装置31において生成された読影結果レポートは、読影拠点3の管理装置5に転送されて記憶されると共に、データセンタ1へと転送される。
データセンタ1は、読影拠点3から受信した読影結果レポートを、病院2に対して転送する。
病院2の管理装置5は、読影結果レポートを受信すると、受信した読影結果レポートに対応する医療用デジタル画像データの画像IDを基に、当該読影結果レポートに対応する患者情報を関連付け、読影結果データベースにおいて管理する。
【0042】
このような構成により、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2において生成された医療用デジタル画像データを、患者情報の匿名性を保ったまま、病院2外部の読影拠点3へと送信し、病院2外部の読影医に読影を依頼することが可能となる。
【0043】
上述したように、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2及び読影拠点3は共通の構成を有する管理装置5をそれぞれ有し、管理装置5は遠隔読影に関して様々な処理を実行する。
以下、管理装置5の詳細について説明する。
図5は、管理装置5の構成の一例を示した図である。
図5に示すように、管理装置5は、通信部51、記憶部52、サーバ機能部53、圧縮処理部54、制御部55を有する。
【0044】
通信部51は、ネットワーク4を介してデータセンタ1や他の拠点の他の管理装置5との通信を行う。他の拠点とは、例えば病院2から見た読影拠点3、或いは読影拠点3から見た病院2を意味する。
記憶部52は、医療用デジタル画像データ、医療用デジタル画像データに対応する患者情報や検査情報、医療用デジタル画像データを基に生成された読影結果レポート、病院2から外部の読影拠点3に読影を依頼した依頼件数に関する情報(依頼件数、依頼日時、依頼した医師名等:以下依頼件数情報と称する)等を記憶する。記憶部52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体により構成される。記憶部52は、或いは光ディスク(DVD(Digital Versatile Disk)やBD(Blu-ray Disk:登録商標)等)にデータを書き込んで記憶させる光ドライブ装置で構成されてもよい。これにより、病院2から読影拠点3に依頼された遠隔読影の件数が管理され、この情報は読影拠点3に対する報酬支払時等に使用される。
【0045】
サーバ機能部53は、webサーバ機能を実現するブロックである。
サーバ機能部53は、例えば病院2の端末装置22や読影拠点3の端末装置31からの要求に応じて、記憶部52に記憶される各種データをリスト化して端末装置22や31に送信したり、端末装置22、31においてリストから選択されたデータを送信したりする。
【0046】
圧縮処理部54は、記憶部52に記憶される各種データの圧縮・解凍処理を行う。
圧縮方法は、圧縮されるデータが医療用デジタル画像データである場合、可逆圧縮と非可逆圧縮とを選択可能としてもよい。可逆圧縮は、圧縮前のデータと、圧縮及び展開の処理を経たデータが完全に等しくなる圧縮方法であり、非可逆圧縮は完全に等しくはならない圧縮方法である。可逆圧縮の例としてはJPEGやJPEG2000が、非可逆圧縮の例としてはPNG等がある。
【0047】
制御部55は、管理装置5を統括的に制御する制御ブロックである。
制御部55は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。
【0048】
以下、遠隔読影システム100における、各種構成の動作例について説明する。
まず、病院2において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明する。
図6は、病院2において医療用デジタル画像データが生成される場合の動作例について説明したシーケンス図である。
ステップST1:
モダリティ21は、医療用デジタル画像データを生成する。
この際、モダリティ21は、生成した医療用デジタル画像データに対応する患者情報及び検査情報(管理情報)を生成し、これらの医療用デジタル画像データに管理情報を埋め込んでDICOM規格に適合した医療用デジタル画像データを生成する。
ステップST2:
モダリティ21は、LAN23を介してステップST1において生成した医療用デジタル画像データを管理装置5に対して転送する。
【0049】
ステップST3:
管理装置5は、医療用デジタル画像データを記憶部52に記憶する。
この際、管理装置5は、もし医療用デジタル画像データがDICOM規格に適合していない場合(例えばステップST1において医療用デジタル画像データを生成したモダリティ21がDICOM規格の画像データを生成できない場合など)には、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データに変換する。この場合、管理情報が存在しないことになるため、例えば医療従事者がこの時点で端末装置22などを介して管理情報を入力するようにすればよい。
ステップST4:
管理装置5は、医療用デジタル画像データの匿名化処理を行う。
すなわち、上述したように、管理装置5は、医療用デジタル画像データのDICOMタグに記載された患者情報のうち、個人情報に該当する情報をカットして、医療用デジタル画像データと患者情報との対応関係を示したリストを生成し、そこにカットした患者情報をペーストする。
この際、患者情報を除いた医療用デジタル画像データの画像IDと、対応する患者情報とを対応付けたリスト(患者情報管理リスト)を新たに生成する。
すなわち、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データは、匿名化され、匿名化された医療用デジタル画像データがどの患者情報と対応しているか、が患者情報管理リストに全て記載された状態となっている。
患者情報管理リストには、例えば、画像に固有のID(画像ID)、画像IDに対応する患者情報及び検査情報、医療用デジタル画像データのサムネイル画像などが記載される。
ステップST5:
管理装置5は、ステップST4において匿名化処理を行った医療用デジタル画像データと、患者情報管理リストとをDB24に記憶させる。
【0050】
このようにして管理装置5に記憶された医療用デジタル画像データは、例えば病院2内の端末装置22から閲覧が可能である。
図7は、病院2において、端末装置22から管理装置5に記憶された医療用デジタル画像データを閲覧する場合の動作例について説明したシーケンス図である。
【0051】
ステップST11:
端末装置22は、管理装置5に対して、閲覧可能な医療用デジタル画像データのリストを要求する。このリストを以下では閲覧可能リストと称する。
ここで、端末装置22は、管理装置5に対して、記憶部52に記憶された全ての医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求することもできるが、必要な医療用デジタル画像データのみを抽出した閲覧可能リストを要求することもできる。
すなわち、例えば、同一患者の過去全ての医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したり、同一の日に生成された医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したり、同一のモダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの閲覧可能リストを要求したりすることができる。
【0052】
ステップST12:
管理装置5は、ステップST11において生成された閲覧可能リスト要求に応じて、記憶部52に記憶された医療用デジタル画像データ、患者情報、検査情報、患者情報管理リストを基に、閲覧可能リストを生成する。
ステップST13:
管理装置5は、ステップST12において生成した閲覧可能リストを、端末装置22に対して転送する。
【0053】
ステップST14:
端末装置22を操作する医師等により、ステップST13において転送された閲覧可能リストを基に、閲覧する医療用デジタル画像データやその他の情報が選択される。端末装置22は、医師等の選択を基に、選択された医療用デジタル画像データやその他の情報を管理装置5に対して要求する。その他の情報には、例えば患者情報や検査情報、依頼件数情報等が含まれる。
ステップST15:
管理装置5は、ステップST14の閲覧要求に応じて、要求された医療用デジタル画像データやその他の情報を転送する。
ステップST16:
端末装置22は、ステップST15において転送された画像データやその他の情報を端末装置22を操作する医師等に対して閲覧させる。
【0054】
次に、病院2において、病院2から読影拠点3に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例について説明する。
図8は、病院2において、病院2から読影拠点3に対して遠隔読影を依頼する場合の動作例を示したシーケンス図である。
ステップST21:
医師等が、端末装置22を操作し、読影拠点3に対して所定の医療用デジタル画像データの読影を依頼する操作を行う。これに応じて、端末装置22は、所定の医療用デジタル画像データの読影拠点3への読影依頼要求を管理装置5に対して転送する。
【0055】
ステップST22:
管理装置5は、記憶部52に記憶された患者情報管理リストを参照し、ステップST21において読影依頼要求がなされた医療用デジタル画像データの患者情報を読み取って当該画像に対応する患者についての情報(患者の名前・生年月日・年齢などの患者情報)を取得する。
ステップST23:
管理装置5は、ステップST22において取得した患者情報を基に、DB24を検索し、同一患者の過去の画像データを抽出する。或いは、端末装置22を介して医療従事者により設定された検索条件に合致する過去の画像データを抽出する。
管理装置5が同一患者の過去の画像データを抽出する方法の詳細については後述する。
【0056】
ステップST24:
管理装置5は、ステップST23において読影依頼された医療用デジタル画像データに、新たに依頼元情報を付加する。
依頼元情報は、読影を依頼する病院2に関する情報であり、例えば病院2の固有ID等を含んでいる。
なお、本ステップにおいて依頼元情報が付加される医療用デジタル画像データは、図6のステップST5において匿名化処理がなされた医療用デジタル画像データである。
すなわち、病院2外に送出される医療用デジタル画像データには、患者情報が付与されていない。これにより、患者の個人情報の流出を防止することができる。
また、管理装置5は、医療用デジタル画像データ自体のセキュリティ性を高めるため、医療用デジタル画像データを暗号化してもよい。
ステップST25:
管理装置5は、依頼元情報を付加した医療用デジタル画像データに、ステップST23において抽出した同一患者の過去の医療用デジタル画像データを添付して、読影依頼情報としてデータセンタ1に対して送信する。
【0057】
ステップST26:
管理装置5は、記憶部52に記憶されている読影依頼に関する依頼件数情報を更新する。
依頼件数情報は、上述したように依頼件数、依頼日時、依頼した医師名等を含む情報であり、上記ステップST21〜25において新たに行った読影依頼に関する情報を追記することにより、依頼件数情報は更新される。
これにより、病院2が外部の読影拠点3に依頼した読影の数等が容易に把握することができ、料金の支払いや送信した医療用デジタル画像データの管理などを容易に行うことができるようになる。
【0058】
次に、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例について説明する。
図9は、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例を示したフローチャートである。
ステップST31:
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して病院2から読影依頼情報を取得する。
ステップST32:
サーバ装置11は、ステップST31において病院2から読影依頼があったことを読影データベースに登録する。
【0059】
ステップST33:
サーバ装置11は、病院2に対して読影依頼を取得したことを通知する。
ステップST34:
サーバ装置11は、読影拠点3に対して、読影依頼が来ていることを通知する。同時に、当該依頼に関連する医療用デジタル画像データを送信する。
なお、本発明においては、読影拠点3に対して、読影依頼の通知と医療用デジタル画像データの送信を必ずしも同時に行う必要はなく、読影依頼の通知に対する読影拠点3からの応答に対して医療用デジタル画像データを送信するようにしてもよい。
【0060】
次に、読影拠点3において読影依頼の通知を受けた場合の動作例について説明する。
図10は、読影拠点3において読影依頼の通知を受けた場合の動作例について説明するためのシーケンス図である。
ステップST41:
管理装置5は、データセンタ1からの読影依頼通知及び読影依頼に対応する医療用デジタル画像データを取得する。或いは、読影拠点3の管理装置5は、データセンタ11からの読影依頼通知に対応してデータセンタ11に対してこれに対応する医療用デジタル画像データを要求するようにしてもよい。
ステップST42:
管理装置5は、端末装置31に対して読影依頼通知を取得したことを通知する。同時に、医療用デジタル画像データを転送する。
【0061】
ステップST43:
ステップST42において転送された医療用デジタル画像データを読影医は端末装置31を使用して閲覧し、読影の結果を記した読影結果レポートを生成する。この際、病院2において医療用デジタル画像データに匿名化処理が施されているため、読影医は転送された医療用デジタル画像データの患者情報を知ることができない。しかし、読影依頼情報として画像IDが通知されているため、読影医は読影を行う医療用デジタル画像データの患者情報を知らないまま読影を行い、画像IDを読影結果レポートに記すことになる。
ステップST44:
端末装置31は、ステップST43において作成が完了した読影結果レポートを管理装置5に転送する。
【0062】
ステップST45:
管理装置5は、ステップST44において転送された読影結果レポートを読影結果データベースに登録する。
これにより、読影拠点3において行った読影の件数、日時、依頼元などがデータベースとして管理されるので、例えば病院2に対する料金の請求等が容易になる。
ステップST46:
管理装置5は、データセンタ1に対して、生成された読影結果レポートを送信する。
【0063】
次に、読影結果レポートを受診したデータセンタ1の動作例について説明する。
図11は、読影依頼を受診したデータセンタ1の動作例を示したフローチャートである。
ステップST51:
サーバ装置11は、ネットワーク4を介して読影拠点3から読影結果レポートを取得する。
ステップST52:
サーバ装置11は、ステップST51において取得した読影結果レポートを読影データベースに登録する。
【0064】
ステップST53:
サーバ装置11は、ステップST51で読影拠点3からの読影結果レポートを取得したことに対応して、読影拠点3に対して読影結果レポートを取得したことを通知する。
ステップST54:
サーバ装置11は、病院2に対して、読影結果レポート取得したことを通知すると共に、読影結果レポートを送信する。
【0065】
次に、読影結果レポートを取得した病院2の動作例について説明する。
図12は、読影結果レポートを取得した病院2の動作例について説明するためのシーケンス図である。
ステップST61:
管理装置5は、データセンタ1から読影結果レポートを取得する。
ステップST62:
管理装置5は、読影結果レポートに記載された画像IDを基に、患者情報管理リストを参照して、取得した読影結果レポートに対応する患者情報を対応付ける。患者情報を対応付ける方法としては、読影結果レポートに患者情報そのものを添付してもよいし、患者情報管理リストに読影結果レポートに固有のID(読影結果ID)を加えるような形式としてもよい。すなわち、以後病院2内で読影結果レポートが参照される際に、参照される読影結果レポートに対応する患者情報も同時に参照可能な状態となるようになればよい。
【0066】
ステップST63:
管理装置5は、読影結果レポートを取得したことを端末装置22に対して通知する。
ステップST64:
端末装置22は、読影結果レポートを閲覧するか否かを判断する。
閲覧すると判断した場合はステップST65に進み、そうでない場合は処理を終了する。
【0067】
ステップST65:
端末装置22は、管理装置5に対して読影結果レポートの閲覧を要求する。
ステップST66:
管理装置5は、端末装置22に対して読影結果レポートを転送する。
ステップST67:
端末装置22は、読影結果レポートの閲覧を行う。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の遠隔読影システム100によれば、遠隔読影を依頼する病院2と、読影を依頼される読影拠点3において、共通の構成である管理装置5が配設されている。
管理装置5は、病院2においては、生成された医療用デジタル画像データの管理、圧縮・暗号化、医療用デジタル画像データに対する患者情報・検査情報などの付与(添付)、DICOM規格への変換、読影拠点3への読影依頼処理、読影拠点3からの読影結果レポートの取得処理等を行うことができる。
また、管理装置5は、読影拠点3においては、読影依頼の取得処理、読影結果レポートの管理、読影結果レポートの送信処理等を行うことができる。
【0069】
すなわち、本実施形態の遠隔読影システム100においては、病院2側と読影拠点3において、共通の管理装置5により遠隔読影の依頼・結果の送受信を行うシステムが構成される。このため、各拠点(病院2及び読影拠点3)において、遠隔読影の依頼・結果の送受信を行うシステムを構築するために必要な構成が少なくて済み、初期費用を抑えることができるようになる。
また、読影拠点3に存在する医師等は、例えば病院2における勤務経験を有する場合があり、共通の構成要素である管理装置5がどちらの拠点にも導入されていることによって、操作の習熟等に時間を要さず、人的コストを抑えることも可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態の遠隔読影システム100では、病院2において、ある医療用デジタル画像データの遠隔読影が依頼するとき、管理装置5はその医療用デジタル画像データと同一の患者の過去の画像データを自動的に添付して、読影を依頼する画像データ及び読影依頼情報に加えて過去の画像データを送付する。このため、読影拠点3側では読影医が読影を行う際に過去の画像データにより読影が容易となる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、病院2及び読影拠点3がそれぞれ1箇所ずつである場合について説明したが、本発明はこれには限定されない。
例えば、読影拠点3が複数存在する場合、病院2からは、これらの読影拠点3のいずれに読影を依頼するかを選択することができるようになっている。
そして、病院2の管理装置5は、どの読影拠点3にどれだけ読影を依頼したかを読影情報として管理することにより、各読影拠点3に対する個別の料金算出等を行うことができるようになっている。
【0072】
また、複数の読影拠点3を1つのグループとして扱うことも可能である。
すなわち、例えば読影拠点3に属する医師が同一の組織の人間であったりする場合には、複数の読影拠点3への読影依頼を1つにまとめて管理した方が料金算出時等に有利である場合がある。
このような場合には、病院2の管理装置5は1つのグループに属する全ての読影拠点3に対して読影依頼を複製して送信することにより、複数の読影拠点3を1つのグループとして扱うことが可能となる。
【0073】
また、上述した実施形態では、読影拠点3において取得された医療用デジタル画像データは匿名化されており、どの患者のものであるかが分からないようになっている。
ただし、読影時には、同一の患者の医療用デジタル画像データが判別できるようになっていることが読影の正確さの点から望ましい。
このため、病院2の管理装置5は、医療用デジタル画像データを匿名化する際に、同一患者の医療用デジタル画像データについてはフラグ(同一患者フラグ)を予め付与しておくようにしてもよい。
このようにすることで、読影拠点3の管理装置5が、医療用デジタル画像データを受診したとき、受診した医療用デジタル画像データの中に、同一の患者の医療用デジタル画像データが存在することが判別できるようになる。
従って、端末装置31に医療用デジタル画像データを表示させる際に、同一患者の医療用デジタル画像データを識別できるように表示させる(例えば患者ごとに別の色で表示する、ブリンクさせる等)ことにより、読影医が同一患者を容易に識別できるようになる。
【0074】
さらに、このように同一患者の医療用デジタル画像データに同一患者フラグを付与することにより、病院2内において、同一患者の医療用デジタル画像データを全て容易に抽出できるため、診断精度を向上させることができる。また、特に診断時に有用な初回診断の医療用デジタル画像データを容易に抽出できるようになり、診断精度を向上させることができる。
【0075】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の遠隔読影システム100について説明する。
第2実施形態の遠隔読影システム100においては、病院2の管理装置5における匿名化処理の方法が第1実施形態と異なっている。
従って、遠隔読影システム100の構成要素やその動作については第1実施形態において説明した遠隔読影システムとほぼ同様であり、同様である部分については説明を省略する。
【0076】
以下、第2実施形態における病院2の管理装置5の匿名化処理について説明する。
上述したように、DICOM規格に適合した医療用デジタル画像データには、DICOMタグの形式で患者情報が埋め込まれている。
第2実施形態の遠隔読影システム100では、第1実施形態と同様、病院2の管理装置5が、モダリティ21により生成された医療用デジタル画像データをDB24に記憶する時点で、医療用デジタル画像データから患者情報を取り除く匿名化処理を行う。そして、さらに管理装置5は、仮想的な患者名を新たに医療用デジタル画像データに付与する。
【0077】
具体的には、管理装置5は、DICOMタグの形式で記載された医療用デジタル画像データの患者情報のうち、例えば患者の名前、患者の誕生日等、患者の個人情報に該当する情報をカットする。そして、患者の個人情報をカットした医療用デジタル画像データのリストとして患者情報管理リストを生成する。
患者情報管理リストには、モダリティ21によって生成された医療用デジタル画像データの識別番号(例えば病院内の全ての医療用デジタル画像データにそれぞれ固有に割り当てられた画像ID)や、医療用画像の生成日時、カットされた個人情報などが記載される。
【0078】
そして、管理装置5は、患者情報をカットした医療用デジタル画像データに対して、仮想患者情報を新たに付与する。仮想患者情報は、仮に与える患者名(仮想患者名)を含む(その他仮想的な誕生日などを与えてもよいが、あまり意味はない)。
仮想患者名の決定方法は、例えば以下のようにする。
【0079】
まず名字を決定する。
名字は、例えば予め抽出された所定数の日本人の名字の中から無作為に名字を選択するようにすればよい。予め抽出する所定数の名字は、例えば日本人に多い名字の上位所定数を抽出するようにすればよい。或いは、名字となり得る漢字を予め所定数抽出しておき、それらの漢字を2文字或いは3文字組み合わせて名字を生成するようにしてもよい。
次に、名前を決定する。
名前は、例えば、患者情報を参照して、患者の生まれた年に多く付けられた名前を男女それぞれ所定数だけ予め抽出しておき、その中から無作為に選択するようにすればよい。
【0080】
このようにして生成された仮想患者名は、対応する医療用デジタル画像データにDICOMタグの形式で新たに記載される。
そして、患者情報管理リストに仮想患者名が追記され、仮想患者名が与えられた医療用デジタル画像データと対応付けられてDB24に記憶される。
【0081】
すなわち、第2実施形態における匿名化処理では、DB24に記憶される全ての医療用デジタル画像データからは、実際の患者名が削除された代わりに、架空の仮想患者名が与えられている。そして、仮想患者名を与えられた医療用デジタル画像データが、元々どの患者名と対応していたかが患者情報管理リストに記載されている。
【0082】
第2実施形態では、病院2の管理装置5においてこのような匿名化処理を行った結果、サーバ装置11や読影拠点3において医療用デジタル画像データを取り扱う際にも、仮に与えられた仮想患者名ではあるが患者名が与えられているので取り扱いが容易となる。
また、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において、読影に関する問い合わせなどがある場合、第1実施形態のような患者名を完全に削除する匿名化処理の場合は画像IDによる照合を行うしかなく、どの画像に対する問い合わせであるのかがわかりにくい。一方、第2実施形態のように仮想患者名を与える匿名化処理を施してある場合には、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において読影に関する問い合わせなどがある場合でも、どの画像に対する問い合わせであるのかが容易かつ直感的に分かる、という利点を有している。
【0083】
以上説明したように、第2実施形態の遠隔読影システム100では、病院2の管理装置5が匿名化処理を行う際に、医療用デジタル画像データから患者情報を削除するだけでなく、新たに仮の名前情報である仮想患者名を付与する。このため、病院2の医師等と読影拠点3の読影医との間において読影に関する問い合わせなどがある場合でも、どの画像に対する問い合わせであるのかが容易かつ直感的に分かる、という効果を奏する。
また、第1実施形態における患者情報を削除する匿名化処理と比較して、サーバ装置11において、過去の同一の患者の画像データを探し出すのが容易になる。すなわち、第1実施形態における匿名化処理では、サーバ装置11に記憶されている医療用デジタル画像データは、患者情報が削除されているため、過去の同一患者の画像データを検出することは容易ではなかったが、本第2実施形態においては、医療用デジタル画像データには仮想患者名が付けられているため、同一患者の過去の医療用デジタル画像データを検出することが容易となる。
【0084】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
100…遠隔読影システム、1…データセンタ、11…サーバ装置、2…病院、21…モダリティ、22…端末装置、23…LAN、24…DB、3…読影拠点、31…端末装置、4…ネットワーク、5…管理装置、51…通信部、52…記憶部、53…サーバ機能、54…圧縮処理部、55…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、
前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、
前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、
前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、
を有し、
前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、
前記遠隔読影管理装置は、
前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、
前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、
前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、
前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、
を実行する遠隔読影システムであって、
前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の個人情報を削除し、当該医療用デジタル画像データに固有の識別番号である画像IDと当該画像IDに対応する前記削除した患者の個人情報とを含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる画像IDを基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者情報を対応付ける
遠隔読影システム。
【請求項2】
前記遠隔読影管理装置は、前記医療用デジタル画像データがDICOM規格に適合していない場合には、当該医療用デジタル画像データをDICOM規格に適合させる変換処理を行う
請求項1に記載の遠隔読影システム。
【請求項3】
前記医療施設及び前記読影拠点は、前記遠隔読影管理装置に接続されたそれぞれ別個の端末装置を有し、
前記遠隔読影管理装置は、前記端末装置からの要求に応じて、記憶した前記医療用デジタル画像データを検索する検索処理及び閲覧する閲覧処理を実行する
請求項1または2に記載の遠隔読影システム。
【請求項4】
前記医療施設において、前記遠隔読影管理装置は、前記読影拠点へ依頼した遠隔読影の件数をカウントして記憶する
請求項1から3のいずれか一項に記載の遠隔読影システム。
【請求項5】
前記データセンタは、前記医療施設から前記読影拠点への読影依頼を受信して当該読影拠点に通知し、前記読影拠点が生成した読影レポートの完成を前記医療施設に対して通知するサーバ装置を有する
請求項1から4に記載の遠隔読影システム。
【請求項6】
医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、
前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、
前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、
前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、
を有し、
前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、
前記遠隔読影管理装置は、
前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、
前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、
前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、
前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、
を実行する遠隔読影システムであって、
前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、少なくとも当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の名前を削除し、代わりに無作為に生成した仮の名前である仮想患者名を付与する
遠隔読影システム。
【請求項7】
前記医療用デジタル画像データの前記削除した患者名と、当該削除した患者名の代わりに付与された仮想患者名とを少なくとも含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる仮想患者名を基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者名を対応付ける
請求項6に記載の遠隔読影システム。
【請求項1】
医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、
前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、
前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、
前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、
を有し、
前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、
前記遠隔読影管理装置は、
前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、
前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、
前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、
前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、
を実行する遠隔読影システムであって、
前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の個人情報を削除し、当該医療用デジタル画像データに固有の識別番号である画像IDと当該画像IDに対応する前記削除した患者の個人情報とを含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる画像IDを基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者情報を対応付ける
遠隔読影システム。
【請求項2】
前記遠隔読影管理装置は、前記医療用デジタル画像データがDICOM規格に適合していない場合には、当該医療用デジタル画像データをDICOM規格に適合させる変換処理を行う
請求項1に記載の遠隔読影システム。
【請求項3】
前記医療施設及び前記読影拠点は、前記遠隔読影管理装置に接続されたそれぞれ別個の端末装置を有し、
前記遠隔読影管理装置は、前記端末装置からの要求に応じて、記憶した前記医療用デジタル画像データを検索する検索処理及び閲覧する閲覧処理を実行する
請求項1または2に記載の遠隔読影システム。
【請求項4】
前記医療施設において、前記遠隔読影管理装置は、前記読影拠点へ依頼した遠隔読影の件数をカウントして記憶する
請求項1から3のいずれか一項に記載の遠隔読影システム。
【請求項5】
前記データセンタは、前記医療施設から前記読影拠点への読影依頼を受信して当該読影拠点に通知し、前記読影拠点が生成した読影レポートの完成を前記医療施設に対して通知するサーバ装置を有する
請求項1から4に記載の遠隔読影システム。
【請求項6】
医療用デジタル画像データを生成し記憶する少なくとも1つの医療施設と、
前記医療施設の読影依頼に応じて、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを読影して読影レポートを生成する少なくとも1つの読影拠点と、
前記医療施設から前記読影拠点への前記読影依頼に関する情報の管理を行うデータセンタと、
前記少なくとも1つの医療施設と、前記少なくとも1つの読影拠点と、前記データセンタとが互いに接続されたネットワークと、
を有し、
前記医療施設と前記読影拠点は、前記医療施設が生成した前記医療用デジタル画像データを前記読影拠点に送信して読影を依頼し、当該読影拠点にて当該医療用デジタル画像データを基に生成された前記読影レポートを前記医療施設に送信する遠隔読影処理を行うための遠隔読影管理装置をそれぞれ有し、
前記遠隔読影管理装置は、
前記医療施設における前記医療用デジタル画像データの送信処理と、
前記読影拠点における前記医療用デジタル画像データの受信処理と、
前記読影拠点における前記読影レポートの送信処理と、
前記医療施設における前記読影レポートの受信処理と、
を実行する遠隔読影システムであって、
前記医療施設の前記遠隔読影管理装置は、前記医療施設において生成された前記医療用デジタル画像データから、少なくとも当該医療用デジタル画像データの被写体である患者の名前を削除し、代わりに無作為に生成した仮の名前である仮想患者名を付与する
遠隔読影システム。
【請求項7】
前記医療用デジタル画像データの前記削除した患者名と、当該削除した患者名の代わりに付与された仮想患者名とを少なくとも含む患者情報管理リストを生成して記憶し、前記読影拠点から読影レポートを受信した場合には、当該読影レポートに含まれる仮想患者名を基に、前記患者情報管理リストを参照して当該読影レポートに対応する患者名を対応付ける
請求項6に記載の遠隔読影システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−264107(P2010−264107A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118743(P2009−118743)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(399056820)テクマトリックス株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(399056820)テクマトリックス株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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