説明

遠隔講義運用支援システム、方法及びプログラム

【課題】 インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援システムを提供する。
【解決手段】 遠隔講義運用支援サーバが、複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けて予め記憶したカリキュラムデータベースと、遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数のサーバ用講義実行モジュールと、複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを受講端末から受信する手段と、受信した講義選択データに基づいてカリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得する手段と、取得した講義パターンデータに基づいて該当するモジュールを起動する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用して遠隔地に設置された受講端末にて講義を受けさせるシステムを運用支援するシステム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の遠隔講義システムが提示されており、例えば特許文献1には、講義に関連した動画や音声データを含む講義パッケージを各講義毎に蓄積しておく講義パッケージデータベースと、各科目毎に講義日程及び配信可能期間等を記録しておく科目管理データベースと、受講端末からインターネット経由で特定科目の講義パッケージに出力要求を受けて受講端末に送信する管理部とを有するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−297011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の遠隔講義システムは、特許文献1のように既に行われた講義の映像及び音声を記録したデータをデータベース化し、それらの中から要求されたデータを受講端末に配信するシステムや、ライブ講義を予め設定された時間割によりリアルタイムで受講端末に配信するシステム等、所定の講義パターンに特化された遠隔講義システムとなっていた。
【0004】
しかしながら、例えば、所定の資格を得るための教育機関等では、一人の講師が教室で講義する通常の講義形式もあれば、対象物を用いて手足を動かして行う実習形式の授業もあれば、教師と生徒が1対1あるいは1対多の形式で問答したり討論したりする形式の授業もあり、多様な講義パターンで授業が行われる。従来の遠隔講義システムは、このような多様な講義パターンに全てに柔軟に対応できるものとなっていなかった。
【0005】
以上の現状に鑑み本発明は、インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するべく本発明は、以下の構成を有するものである。
(1)請求項1に記載の遠隔講義運用支援システムは、インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバを有する遠隔講義運用支援システムにおいて、該遠隔講義運用支援サーバが、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けて予め記憶したカリキュラムデータベースと、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数のサーバ用講義実行モジュールと、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信する手段と、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得する手段と、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動する手段とを有することを特徴とする。
【0007】
(2)請求項2に記載の遠隔講義運用支援システムは、請求項1において前記遠隔講義運用支援サーバが、
前記カリキュラムデータベースを検索することにより該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得した後に、取得した講義パターンデータを前記受講端末に通知する手段を有し、
前記受講端末が、
前記受講端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数の受講端末用講義実行モジュールと、
前記通知された講義パターンデータに基づいて前記複数の受講端末用講義実行モジュールの中から該当するものを起動する手段とを有することを特徴とする。
【0008】
(3)請求項3に記載の遠隔講義運用支援システムは、請求項1又は2において、現実の講義を行う拠点に設置されかつ前記遠隔講義運用支援サーバとインターネットを介して接続された拠点端末をさらに有し、前記拠点端末が、
前記拠点端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した1又は複数の拠点端末用講義実行モジュールと、
予め設定された時間に前記遠隔講義運用支援サーバと連動して前記複数の拠点端末用講義実行モジュールの中から予め設定されたものを起動させる手段とを有することを特徴とする。
【0009】
(4)請求項4に記載の遠隔講義運用支援方法は、インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバが行う遠隔講義運用支援方法において、該遠隔講義運用支援サーバが、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けてカリキュラムデータベースに予め記憶し、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数のサーバ用講義実行モジュールに予め記憶し、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信し、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得し、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動することを特徴とする。
【0010】
(5)請求項5に記載の遠隔講義運用支援方法は、請求項4において前記遠隔講義運用支援サーバが、
前記カリキュラムデータベースを検索することにより該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得した後に、取得した講義パターンデータを前記受講端末に通知し、
前記受講端末が、
前記受講端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数の受講端末用講義実行モジュールに予め記憶し、
前記通知された講義パターンデータに基づいて前記複数の受講端末用講義実行モジュールの中から該当するものを起動することを特徴とする。
【0011】
(6)請求項6に記載の遠隔講義運用支援方法は、請求項4又は5において、現実の講義を行う拠点に設置されかつ前記遠隔講義運用支援サーバとインターネットを介して接続された拠点端末をさらに有し、前記拠点端末が、
前記拠点端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を1又は複数の拠点端末用講義実行モジュールに予め記憶し、
予め設定された時間に前記遠隔講義運用支援サーバと連動して前記複数の拠点端末用講義実行モジュールの中から予め設定されたものを起動させることを特徴とする。
【0012】
(7)請求項7に記載の遠隔講義運用支援プログラムは、インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバに対し、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けてカリキュラムデータベースに予め記憶させる機能と、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数のサーバ用講義実行モジュールに予め記憶させる機能と、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信する機能と、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得する機能と、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動する機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遠隔講義の運用を支援するシステムにおける遠隔講義運用支援サーバが、複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けて予め記憶したカリキュラムデータベースと、遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数のサーバ用講義実行モジュールとを有している。サーバ用講義実行モジュールの各々は、例えば、ライブ講義、双方向通信、会議形式通信、実習形式通信、記録済み講義コンテンツのオンデマンド配信等の種々の講義パターンを実行する際に遠隔講義運用支援サーバが行う処理内容をそれぞれモジュール化したプログラムである。そして、遠隔講義運用支援サーバは、受講端末から講義選択データを受信したならば、その講義選択データに基づいてカリキュラムデータベースを検索し、該当する講義の講義情報に含まれる講義パターンデータを得る。講義パターンデータに基づいて該当する講義実行モジュールを起動することにより、所望する講義パターンが自動的に実行される。
【0014】
さらに、受講端末側にも予め種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を記憶した講義実行モジュールが備えられており、遠隔講義運用支援サーバから講義パターンデータを受信することにより、該当する講義実行モジュールを起動する。これにより、遠隔講義運用支援サーバと受講端末が自動的に連動して所望する講義パターンを実行することとなる。
【0015】
またさらに、ライブ講義や、実習形式の授業を、所定の拠点(例えば、本校内に所定の教室、所定の地方分校、所定の野外実習場所等)にて予め設定された時間に行い、遠隔講義運用支援サーバへ中継することにより、遠隔講義運用支援サーバから各受講端末へ配信して講義を行う場合がある。このような場合には、各拠点に拠点端末を設け、拠点端末側にも予め種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を記憶した講義実行モジュールをが備えておく。これにより、予め設定された時間に自動的に拠点端末の講義実行モジュールが起動して、遠隔講義運用支援サーバと連動して所望する講義パターンを実行することとなる。
【0016】
以上の通り、本発明のシステム、方法及びプログラムは、人手による設定や入力作業等を必要とすることなく種々の講義パターンを含む多様な講義に柔軟に対応することができる。特に、遠隔講義運用支援サーバの設置場所以外の任意の場所に拠点端末を設置することにより、その拠点で実施された講義等の映像・音声データを遠隔講義運用支援サーバへ送信し、遠隔講義運用支援サーバが中継して即座に受講端末へ配信したり、遠隔講義運用支援サーバが講義コンテンツとして保管し、受講端末からの要求に応じて配信することができる。
【0017】
従って、受講者は、自宅等において受講するeラーニングであっても実習を含む多様な講義を受講することが可能となる。また、教育機関側も従来のように本校のみでしか実習授業を行えなかった状況に比べて、拠点端末を設置した多数の拠点校のそれぞれで行われる実習データを集約して利用できるので、量的にも質的にも十分な実習データを確保でき、教育効果を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による遠隔講義運用支援システムの概略的構成を模式的に示した図である。本発明のシステムのセンターサーバとして遠隔講義運用支援サーバ10が設けられる。
【0019】
遠隔講義運用支援サーバ10は、一例では、全国各地に拠点校をもつ教育機関の本校に設置される。別の例では、遠隔講義運用支援サーバ10の機能をASPの形態で提供することも可能であり、その場合は、実質上所定のASP企業に設置されることになる。
【0020】
遠隔講義運用支援サーバ10は、実際には、種々の専用機能をもつ既存のサーバを連結統合した形態で実施することができる。図1に示した受講ポータルサーバ11、ライブ配信サーバ12、講義コンテンツサーバ15等はそれらの一例である。遠隔講義運用支援サーバ10は、CPUと内部メモリを具備する制御部10aを有し、ハードディスク等の適宜の補助記憶装置(図示せず)に記憶された本システム用のメインプログラムをCPUが内部メモリに呼び出し実行することにより、図1中に点線で囲み概要を示している本発明の種々の処理機能101〜103を実現する。
【0021】
遠隔講義運用支援サーバ10が、一つの講義を実行するにあたって行う処理を大まかに分類すると、講義開始処理101、講義実行処理102、講義終了処理103に分けられる。講義実行処理102は、遠隔講義運用支援サーバ10が種々の講義パターンから選択されたいずれかの講義パターンで講義を実行する際に行う処理であり、種々の講義パターンの各々に対応する処理プログラムである講義実行モジュール14が予め補助記憶装置に記憶されている。
【0022】
受講ポータルサーバ11は、受講端末20によりアクセスされる受講ポータルサイトを管理する。受講端末20から受信したHTMLデータを変換して遠隔講義運用支援サーバ10の制御部10aへ渡し、受講端末20へ送信すべきデータをHTMLデータに変換して送信する。
【0023】
ライブ配信サーバ12は、講義実行処理102の間に受講端末20へライブの講義や実習データを送信する場合にその機能を担う。
【0024】
カリキュラムデータベース13には、複数の講義の各々の講義情報を格納した講義情報データベース13aと、種々の講義パターンデータを格納した講義パターンマトリクス13bとが予め記憶され、各講義の講義情報には、その講義の講義パターンデータが含まれており、講義情報データベース13aと講義パターンマトリクス13bとは関連付けられている。
【0025】
講義コンテンツデータベース16は、講義コンテンツサーバ15により管理されるデータベースであり、既に行われた講義を収録したデータが格納されており、例えば、受講端末20からオンデマンド配信要求があった場合に、格納された講義コンテンツが受講端末20へ配信される。講義コンテンツサーバ15は、ライブの講義や実習が行われる際にその映像及び音声等を自動収録して新たな講義コンテンツを作成し、講義コンテンツデータベース16に追加登録する機能も担う。
【0026】
遠隔講義運用支援サーバ10は、インターネット50を介して複数の受講端末20と接続される。受講端末20は、遠隔講義運用支援サーバ10から配信される講義を受けるための端末であり、例えば、当該教育機関の生徒の自宅に設置されたパーソナルコンピュータや携帯端末(PDA、携帯電話等)、あるいは、拠点校に設置されたパーソナルコンピュータである。受講端末20は、例えば映像や音声による双方向通信を行うために、カメラやマイク等の映像音声入力装置22、ディスプレイやスピーカー等の映像音声出力装置23、ディスプレイやキーボード等のデータ入出力装置24、モデムやルーター等の通信装置25を適宜具備する。
【0027】
そして、受講端末20が本システムを利用するに当たっては、CPUと内部メモリを具備する制御部20aが、補助記憶装置に導入されたプログラムを呼び出し実行する。受講端末20は、本システムを実行するために受講ポータルサイトを閲覧するためのウェブブラウザを備えている。本システムに関連する受講端末20の主要な処理機能は、講義開始処理201、講義実行処理202、講義終了処理203である。講義実行処理202は、受講端末20が種々の講義パターンから選択されたいずれかの講義パターンで講義を受ける際に行う処理であり、種々の講義パターンの各々に対応する処理プログラムである講義実行モジュール21が予め補助記憶装置に記憶されている。
【0028】
複数の拠点端末30X、30Y等は、例えば、特定の拠点校や校外実習場所等において行われる講義や実習の映像及び音声等のデータを遠隔講義運用支援サーバ10へ送信するために設置された端末である。拠点端末30X、30Yもまた基本的にはインターネット50を介して遠隔講義運用支援サーバ10と接続される。別の例として、拠点端末30Xが、遠隔講義運用支援サーバ10と同じ敷地内bにある場合には、LAN等のイントラネットで接続されることもある。
講義パターンの例としては、拠点端末30X、30Yから講義や実習の状況データを遠隔講義運用支援サーバ10を介して受講端末20へ一方的に送信する形態や、拠点端末30Xまたは30Yと受講端末20との間の双方向通信を遠隔講義運用支援サーバ10が仲介する形態等がある。別の講義パターンの例として、2つ又はそれ以上の拠点端末30Xと30Y同士の間で討議等を行わせ(拠点端末相互のデータ通信も遠隔講義運用支援サーバ10が制御可能)、その状況データを遠隔講義運用支援サーバ10を介して受講端末20へ送信する形態も可能である。
拠点端末30X等もまた、例えば映像や音声の双方向通信を行うために、カメラやマイク等の映像音声入力装置32、ディスプレイやスピーカー等の映像音声出力装置33、ディスプレイやキーボード等のデータ入出力装置34、モデムやルーター等の通信装置35を適宜具備する。
【0029】
そして、拠点端末30X等が本システムにおいて動作するに当たっては、CPUと内部メモリを具備する制御部30aが、補助記憶装置に導入されたプログラムを呼び出し実行する。拠点端末30X等も、遠隔講義運用支援サーバ10と連動して所定の講義パターンを実行するための処理プログラムである講義実行モジュール31を予め補助記憶装置に記憶している。但し、拠点端末30X、30Yは、その拠点に関係する講義パターンの講義実行モジュールのみを保有している。例えば、ウェブ講義を行うが双方向遠隔講義は行わない拠点では、ウェブ講義の講義実行モジュールを保有するが、双方向遠隔講義の講義実行モジュールは保有しない。
【0030】
図2は、遠隔講義運用支援サーバ10に予め記憶されたカリキュラムデータベース13の詳細を示すと共に、サーバ用講義実行モジュール14、受講端末用講義実行モジュール21及び拠点端末用講義実行モジュール31の関係を概略的に示す模式図である。
【0031】
カリキュラムデータベース13には、講義情報データベース13aと、講義パターンマトリクス13bが構築される。講義情報データベース13aは、カリキュラムに含まれる全ての講義の各々についての詳細情報が含まれる。例えば、講義情報項目としては、各講義の「講義名」、「講義パターン」、「参加拠点数」、「収録有無」、「日付」、「時間」、「時限」、「学部名」、「講師名」、「配信(収録)形式」等がある。講義情報項目には、必須項目として「講義パターン」のデータが含まれている。「講義パターン」のデータすなわち講義パターンデータは、講義パターンマトリクス13bの講義パターン名称と関連付けられている(矢印S1)。
【0032】
講義パターンマトリクス13bには、例えば、「ウェブ講義」、「ウェブ実習」、「双方向遠隔講義」、「多地点双方向講義」、「オンデマンド講義」、「WBT」、「討議・討論授業」、「質疑・応答」、「バーチャルクラスルーム」等の各講義パターン名称が格納され、それぞれに対して講義パターンコードが割り当てられている。この講義パターンコードは、サーバ用講義実行モジュール14、受講端末用講義実行モジュール21及び拠点端末用講義実行モジュール31の各々に格納された講義パターン毎の実行モジュールを起動するキーデータとなる(矢印S2)。例えば、講義パターンデータが「ウェブ実習」である場合は、講義パターンコード「B」が該当する。これを起動キーとしてサーバ用講義実行モジュール14に予め記憶された複数のモジュールの中のパターンB実行モジュールが起動する。遠隔講義運用支援サーバ10は、パターンB実行モジュールが起動した後、「ウェブ実習」のためのプログラム処理を実行していく。例えば、「ウェブ実習」の場合は、実習が行われる場所の拠点端末30Yとの接続を確立し、拠点端末30Yから送信される映像及び音声データを受信し、それらのデータをライブ配信サーバ経由で受講端末へ送信する。拠点端末30Yから送信された映像及び音声データの収録を必要とする場合は、収録も実行する。
【0033】
一方、講義パターンコード「B」は、インターネットを介して受講端末20へも通知され、受講端末用講義実行モジュール21に記憶された複数のモジュールの中のパターンB実行モジュールが起動する(矢印S3)。受講端末20は、パターンB実行モジュールを起動した後、「ウェブ実習」のためのプログラム処理を実行していく。例えば、「ウェブ実習」の場合は、遠隔講義運用支援サーバ10から送信される映像データをディスプレイに動画表示し、音声データをスピーカーから再生する。
【0034】
一方、図示の例では、拠点端末30Yの拠点端末用講義実行モジュール31にパターンB実行モジュールが記憶されており、例えば、このモジュールは所定の時間に自動的に起動するように予め設定されていてもよい。例えば、拠点端末30Yの設置された拠点校で美容施術の実習を行うことが予めカリキュラムで決まっている場合、所定の時間に自動的にパターンB実行モジュールが起動して、カメラ及びマイクをオンとして実習状況を撮影及び集音し、映像及び音声データを遠隔講義運用支援サーバ10へ送信する(矢印S4)。
【0035】
図3は、本システムによりウェブ講義又はウェブ実習等をライブで行う場合の処理フローの一例を示す図である。
【0036】
・ステップT1:受講端末20がウェブブラウザを起動し、受講ポータルサイトにログインする。予め割り当てられたユーザID及びパスワード等を入力する。
【0037】
・ステップT2:遠隔講義運用支援サーバ10は、受講ポータルサーバ11を通してログイン認証を行い、受講端末20のアクセスを許可し接続を確立する。受講端末20に対し、講義情報リストを提示する。講義情報リストは、カリキュラムデータベース13の講義情報データベース13aに基づいて作成され、受講ポータルサイト11を通して受講端末20へ送信される。
【0038】
・ステップT3:講義情報リストが受講端末20のディスプレイ上に表示される。このときウェブ講義やウェブ実習のように日付や時間が決まっているものについては日付や時間も表示され、オンデマンド講義のように配信期間内であればいつでも受講できるものについてはその旨も表示される。受講端末20は、ディスプレイを見ながら所望する講義を選択し(例えば、所望する講義をマウスでクリックする)、講義選択データを送信する。このとき受講端末20のユーザは、講義のみを選択すればよく、その講義パターン(ウェブ実習であるか、オンデマンド講義であるか)まで選択する必要はない。
【0039】
・ステップT4:遠隔講義運用支援サーバ10は、受講端末20から講義選択データを受信する。
【0040】
・ステップT5:遠隔講義運用支援サーバ10は、講義選択データに基づいてカリキュラムデータベース13の講義情報データベース13aを検索し、該当する講義の講義パターンデータを取得する。取得した講義パターンデータに基づいて講義パターンマトリクス13bを参照し、関連付けられた講義パターンデータの起動キー(例えば、図2の「B」)を取得する。
【0041】
・ステップT6:遠隔講義運用支援サーバ10は、取得した講義パターンデータを受講ポータルサーバ11を通して受講端末20へ送信する。あるいは、講義パターンデータの替わりにその起動キーを送信してもよい。遠隔講義運用支援サーバ10は、このステップの完了後直ちにステップT9の処理へ進む。
【0042】
・ステップT7:受講端末20は、遠隔講義運用支援サーバ10から講義パターンデータを受信する。あるいは、講義パターンデータの替わりにその起動キーを受信する。
【0043】
・ステップT8:受講端末20は、受信した講義パターンデータに対応する受講端末用講義実行モジュールを起動させる。例えば、ウェブ講義又はウェブ実習であればディスプレイ上に講義状況又は実習状況の動画を再生するための受信画面を開き、スピーカーもオンの状態とする。
【0044】
・ステップT9:遠隔講義運用支援サーバ10は、講義パターンデータに対応する起動キーによりサーバ用講義実行モジュールを起動させる。例えば、ウェブ講義又はウェブ実習であれば、その講義又は実習が行われる場所に設置された拠点端末との接続を確立し、映像及び音声データの受信ができる状態とする。
【0045】
・ステップT10:拠点端末30X、30Yは、予め設定された日付及び時間に遠隔講義運用支援サーバ10との接続を確立し、予め決められた拠点端末用講義実行モジュールを起動させる。例えば、ウェブ講義又はウェブ実習であれば、カメラ及びマイクをオンとし、映像データ及び音声データの入力を可能とし、それらのデータを遠隔講義運用支援サーバ10へ送信できる状態とする。
【0046】
・ステップT11:受講端末20は、講義実施中、受講端末用講義実行モジュールを実行することにより講義実施に関連する全ての処理を行う。ウェブ講義又はウェブ実習であれば、それらの映像データ及び音声データをリアルタイムで受信する。
【0047】
・ステップT12:遠隔講義運用支援サーバ10は、講義実施中、サーバ用講義実行モジュールを実行することにより講義実施に関連する全ての処理を行う。尚、サーバ用講義実行モジュールは、受講端末用講義実行モジュール及び拠点端末用講義実行モジュールと連動してデータ授受を互いに行いつつ処理を行う。この処理の主要部分は、拠点端末30X、30Y及び受講端末20との間のデータ授受であり、ライブ配信サーバが主として処理を行う。ライブ配信サーバは、配信状況(配信開始情報、配信中情報、配信終了情報等)を受講ポータルサーバへ送り、受講ポータルサーバを通して受講端末20への配信が行われる。
【0048】
その他に、必要な場合は、ウェブ講義又はウェブ実習の映像及び音声データの収録処理も含まれる。例えば、補助記憶装置に適宜の領域を確保し、当該講義のデータを保存する。同時に、当該収録データのためのインデックスを併せて登録したり、音声認識テロップを挿入したりする処理も自動的に行ってもよい。これらを行うか否かは、講義情報データベースの講義情報を参照して判断する。このようにして収録された映像・音声データは、自動的にコンテンツ化されることとなる。
【0049】
・ステップT13:拠点端末30X、30Yは、講義実施中、拠点端末用講義実行モジュールを実行することにより講義実施に関連する全ての処理を行う。ウェブ講義又はウェブ実習の映像データ及び音声データを遠隔講義運用支援サーバ10へリアルタイムで送信する。
【0050】
・ステップT14:受講端末20は、受講端末用講義実行モジュールが終了することにより、受講ポータルサイトからログオフする。これにより遠隔講義運用支援サーバ10との接続が断絶される。
【0051】
・ステップT15:遠隔講義運用支援サーバ10は、サーバ用講義実行モジュールが終了することにより、拠点端末30X、30Y及び受講端末20との接続を断絶する。収録を行った場合は、収録された映像・音声データを講義コンテンツサーバへ渡し、講義コンテンツデータベースへ自動登録させる。同時に、カリキュラムデータベースの講義情報データベースも更新し、講義選択リストへも自動的に追加されるようにする。
【0052】
・ステップT16:拠点端末30X、30Yは、拠点端末用講義実行モジュールが終了することにより、遠隔講義運用支援サーバ10との接続を断絶し、カメラ及びマイクを自動的にオフとする。
【0053】
図4は、本システムによりオンデマンド講義を行う場合の処理フローの一例を示す図である。オンデマンド講義では、遠隔講義運用支援サーバ10の講義コンテンツデータベースに既にデータとして格納された講義を、受講端末20にて受講する。従って、拠点端末30X、30Yは、この処理には参加しない。
【0054】
・ステップU1〜U9:上記の図3のT1〜T9の各ステップと同様の手順で実行される。
【0055】
・ステップU10:受講端末20は、講義実施中、受講端末用講義実行モジュールを実行することにより講義実施に関連する全ての処理を行う。オンデマンド講義であれば、該当する講義コンテンツの映像データ及び音声データを一括ダウンロードした上で再生するか、又は、ストリーミング再生する。
【0056】
・ステップU11:遠隔講義運用支援サーバ10は、講義実施中、サーバ用講義実行モジュールを実行することにより講義実施に関連する全ての処理を行う。尚、サーバ用講義実行モジュールは、受講端末用講義実行モジュールと連動してデータ授受を互いに行いつつ処理を行う。この処理の主要部分は、受講端末20との間のデータ授受であり、講義コンテンツブサーバが主として処理を行う。講義コンテンツサーバは、講義コンテンツの配信状況(配信開始情報、配信中情報、配信終了情報等)を受講ポータルサーバへ送り、受講ポータルサーバを通して受講端末20への配信が行われる。配信が完了すれば、サーバ用講義実行モジュールは終了する。
【0057】
・ステップU12:受講端末20は、受講端末用講義実行モジュールが終了することにより、受講ポータルサイトからログオフする。これにより遠隔講義運用支援サーバ10との接続が断絶される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による遠隔講義運用支援システムの概略的構成を模式的に示した図である。
【図2】遠隔講義運用支援サーバ10に予め記憶されたカリキュラムデータベース13の詳細を示すと共に、サーバ用講義実行モジュール14、受講端末用講義実行モジュール21及び拠点端末用講義実行モジュール31の関係を概略的に示す模式図である。
【図3】本システムによりウェブ講義又はウェブ実習等をライブで行う場合の処理フローの一例を示す図である。
【図4】本システムによりオンデマンド講義を行う場合の処理フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 遠隔講義運用支援システム
10 遠隔講義運用支援サーバ
10a 制御部
11 受講ポータルサーバ
12 ライブ配信サーバ
13 カリキュラムデータベース
13a 講義情報データベース
13b 講義パターンマトリクス
14 サーバ用講義実行モジュール
15 講義コンテンツサーバ
16 講義コンテンツデータベース
16a 収録済講義データ
20 受講端末
20a 制御部
21 受講端末用講義実行モジュール
22 映像・音声入力装置
23 映像・音声出力装置
24 データ入出力装置
25 通信装置
30X、30Y 拠点端末
31 拠点端末用講義実行モジュール
32 映像・音声入力装置
33 映像・音声出力装置
34 データ入出力装置
35 通信装置
50 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバを有する遠隔講義運用支援システムにおいて、該遠隔講義運用支援サーバが、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けて予め記憶したカリキュラムデータベースと、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数のサーバ用講義実行モジュールと、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信する手段と、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得する手段と、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動する手段とを有することを特徴とする
遠隔講義運用支援システム。
【請求項2】
前記遠隔講義運用支援サーバが、
前記カリキュラムデータベースを検索することにより該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得した後に、取得した講義パターンデータを前記受講端末に通知する手段を有し、
前記受講端末が、
前記受講端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した複数の受講端末用講義実行モジュールと、
前記通知された講義パターンデータに基づいて前記複数の受講端末用講義実行モジュールの中から該当するものを起動する手段とを有することを特徴とする
請求項1に記載の遠隔講義運用支援システム。
【請求項3】
現実の講義を行う拠点に設置されかつ前記遠隔講義運用支援サーバとインターネットを介して接続された拠点端末をさらに有し、前記拠点端末が、
前記拠点端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を予め記憶した1又は複数の拠点端末用講義実行モジュールと、
予め設定された時間に前記遠隔講義運用支援サーバと連動して前記複数の拠点端末用講義実行モジュールの中から予め設定されたものを起動させる手段とを有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の遠隔講義運用支援システム。
【請求項4】
インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバが行う遠隔講義運用支援方法において、該遠隔講義運用支援サーバが、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けてカリキュラムデータベースに予め記憶し、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数のサーバ用講義実行モジュールに予め記憶し、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信し、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得し、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動することを特徴とする
遠隔講義運用支援方法。
【請求項5】
前記遠隔講義運用支援サーバが、
前記カリキュラムデータベースを検索することにより該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得した後に、取得した講義パターンデータを前記受講端末に通知し、
前記受講端末が、
前記受講端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数の受講端末用講義実行モジュールに予め記憶し、
前記通知された講義パターンデータに基づいて前記複数の受講端末用講義実行モジュールの中から該当するものを起動することを特徴とする
請求項4に記載の遠隔講義運用支援方法。
【請求項6】
現実の講義を行う拠点に設置されかつ前記遠隔講義運用支援サーバとインターネットを介して接続された拠点端末をさらに有し、前記拠点端末が、
前記拠点端末が種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を1又は複数の拠点端末用講義実行モジュールに予め記憶し、
予め設定された時間に前記遠隔講義運用支援サーバと連動して前記複数の拠点端末用講義実行モジュールの中から予め設定されたものを起動させることを特徴とする
請求項4は5に記載の遠隔講義運用支援方法。
【請求項7】
インターネットを介し受講端末に対し種々の講義パターンによる複数の講義を受講させる遠隔講義運用支援サーバに対し、
前記複数の講義の各々の講義情報をその講義パターンデータと関連付けてカリキュラムデータベースに予め記憶させる機能と、
前記遠隔講義運用支援サーバが種々の講義パターンをそれぞれ実行するための処理内容を複数のサーバ用講義実行モジュールに予め記憶させる機能と、
前記複数の講義のいずれかを選択する講義選択データを前記受講端末から受信する機能と、
受信した前記講義選択データに基づいて前記カリキュラムデータベースを検索することにより、該当する講義に関連付けられた講義パターンデータを取得する機能と、
取得した前記講義パターンデータに基づいて前記複数のサーバ用講義実行モジュールの中から該当するモジュールを起動する機能とを実行させることを特徴とする
遠隔講義運用支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−201281(P2006−201281A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10576(P2005−10576)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(591201789)株式会社東和エンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】