適合性光学レンズシステムおよび使用方法
ヒトの視力を矯正するためのレンズであって、例えば、IOL、コンタクトレンズまたは角膜インレーもしくはオンレーであり、このレンズは、個々の透明な適合性配置構造体のパターンを備える、内部相または内部層を備える。1つの実施形態において、この配置構造体は、形状記憶ポリマー(SMP)材料または適用されるエネルギーに応答して形状を調節する他のポリマーによって作動される。SMPは、体積寸法、弾性計数および/または透過性を選択的に調節可能であるように、設計され得る。本発明の適合性光学手段は、レンズにおいて非常に局在した表面矯正を生じるために使用されて、高次収差を補正し得る。この型の表面は、IOL内に作製され得ず、次いで移植され得ない。この配置構造体のシステムはまた、レンズにおける球面収差を提供し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、高次収差または球面収差の製造後矯正を可能にする、眼用レンズに関する。より具体的には、本発明は、IOL、角膜インレーおよびオンレー(onlay)、コンタクトレンズなどにおいて使用され得、ここで、レンズの構成要素が、外部エネルギー源(例えば、レーザー)に応答して、このレンズの内部の適合性構造体が寸法を変化させることを可能にし、これによって、天体望遠鏡の適合性光学部品(AO)の分野において使用される方法と類似の様式で、このレンズの形状を調節するかまたは曲げる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
レンズの光学特性の製造後調節は、種々の眼用レンズの型において必要とされる。1つの場合において、白内障患者は、IOL移植物の移植後の倍率の調節可能性から利益を得る。別の場合において、後眼房無水晶体IOL移植物は移植後の倍率の調節可能性から利益を得ることが可能である。なぜなら、バイオメトリーは、適切な倍率の選択を保証し得ないからである。角膜インレーまたは類似の型のレンズはまた、薄い平面レンズの移植、および引き続くこのレンズの膨張によって、所望の屈折効果を提供することから利益を得る。また、コンタクトレンズは、在庫に維持される必要があるレンズの数を制限するための、製造後の曲率の調節から利益を得る。
【0003】
白内障は、世界における盲目の主要な原因であり、そして最も流行している眼疾患である。白内障による視力の障害は、1年間当たり800万人を超える、診療所の訪問の理由である。白内障による障害が、個人の毎日の生活の活動に影響を与えるか、またはこの活動を変化させる場合、眼内レンズの移植を伴う水晶体の外科的除去が、機能的制限を処置する好ましい方法である。
【0004】
米国において、約250万人の白内障外科手術手順が、年間に実施されており、この手術を、65歳を超えるアメリカ陣に対する最も一般的な外科手術にしている。白内障外科手術の患者の約97%が、眼内レンズの移植物を受け、米国における白内障の外科手術および付随する世話のための年間の費用は、40億ドルを超える。
【0005】
白内障とは、局在した不透明性であっても、透明性の拡散した一般的な損失であっても、患者の水晶体の任意の不透明性である。しかし、臨床的に有意であるためには、白内障は、視力の精度の有意な低下または機能的損害を引き起こさなければならない。白内障は、加齢の結果としてか、あるいは遺伝的因子、外傷、炎症、代謝もしくは栄養障害、または放射線に対して二次的に起こる。加齢関連白内障の状態が、最も通常である。
【0006】
白内障を処置する際に、外科医は、レンズカプセルから物質を除去し、そしてこの物質を、眼内レンズ(IOL)移植物で置き換える。代表的なIOLは、選択された焦点距離を提供し、この焦点距離は、この患者が非常に良好な遠方視力を有することを可能にする。このレンズはもはや適応され得ないので、この患者は、代表的に、読むために処方眼鏡を必要とする。
【0007】
医師は、外科手術の前に、患者の眼の生物測定の分析に基づいて、IOLの倍率を選択する。かなりの数または場合において、患者の眼が白内障外科手術から治癒した後に、生物測定システムにおける誤差の範囲を超える、屈折誤差が存在する。従って、いずれの特定の患者についても、IOLの適切な倍率を計算する際に、解決できない問題が残る。移植後の任意の予測されない屈折誤差を解決するために、眼科医は、繰り返しの外科手術を実施して、IOLを交換し得るか、または患者は、屈折誤差のある状態で生活し得、そして近くの視力と遠方の視力との両方を矯正するための処方眼鏡を必要とし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光学特性およびジオプターパワーの製造後調節または移植後調節のための手段を提供するレンズシステムが、必要とされている。高次収差を矯正し得るレンズシステムもまた、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
特に興味深いことに、本発明に対応するレンズは、微小規模のアクチュエータ手段が提供されるという意味で、適合性光学部品(AO)のクラスに入る。このアクチュエータ手段は、高次収差または包括的には球面収差のために、選択された寸法の範囲内で、レンズ表面の曲率を局所的に曲げ、そして変化させる。AOの視野の通常の範囲は、可撓性表面のミラーを備え、ここで、圧電素子または他のデバイスが、マイクロ秒以内の間隔で、光学表面を曲げ、例えば、図1Aに示されるように、天体望遠鏡において、収差を減少させ得る。
【0010】
本発明のアクチュエータは、これらが1回またはおそらくほんの数回作動される必要があり、そして迅速な作動応答時間を必要としない点で、完全に異なる。さらに、本発明は、適合性光学部品が、レンズの内部に位置決めされた、高次収差を矯正するために適切な、微細規模の軟質なアクチュエータを備える、AO構造体を提供する。これらのアクチュエータは、図1Bに概略的に示されるように、透明であり、レンズ本体の材料と一致するインデックスを有する。
【0011】
1つの好ましい実施形態において、適合性構造体は、それに対する局在したエネルギー(好ましくは、光エネルギーの形態)の適用に応答性である。400nm〜1.4ミクロンの範囲で作動する光源が適切であり(限定ではない)、これは、代表的に、レーザーを備えるが、他の非レーザー光源が、本発明の範囲内に入る。この光源は、コンピュータ制御器、検流計スキャナ(または他の任意の型のスキャナ)、および光学的眼追跡システムに接続され、これらは全て、当該分野において公知であり(例えば、LASIKシステム)、そしてこの理由で、IOLを調節することに関してさらなる説明は必要ではない。
【0012】
ミクロアクチュエータ手段、またはより具体的には、軟質適合性構造体が、図1Bに図示され、そして複数の配置構造体を備え、これらの構造体は、その主軸および二次的な軸にわたって、選択されたミクロン規模の寸法を規定し、ここで、これらの構造体は、少なくとも1つの変形可能なレンズ表面層と係合する。コンタクトレンズにおいて、光源は、複雑さが低くあり得、そして以下に記載されるように、走査される必要がない。
【0013】
本発明のさらなる特徴、その性質および種々の利点は、添付の図面および以下の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
(I.適合性レンズにおいて使用するためのポリマーにおける形状記憶の原理)
本発明のいくつかの代替の実施形態は、形状記憶ポリマー(SMP)を使用して、本発明に対応する透明な、インデックスが一致したアクチュエータシステムを可能にする。この理由により、形状記憶ポリマーの背景が提供される。形状記憶ポリマーは、分離された線状ブロックコポリマー(代表的に、ハードセグメントおよびソフトセグメントのもの)を製造することに基づいて、形状記憶の現象を示す。
【0015】
形状記憶ポリマーは、一般に、ハードセグメントおよびソフトセグメントにおけるガラス転移温度から生じる相を規定するように特高付けられる。SMPのハードセグメントは、代表敵に、規定された融点を有する結晶であり、そしてソフトセグメントは、代表的に、別の規定された転移温度を有するアモルファスである。いくつかの実施形態において、これらの特徴は、セグメントのガラス転移温度と一緒に、逆にされ得る。
【0016】
1つの実施形態において、SMP材料が、ハードセグメントの融点またはガラス転移温度Tgより高い温度に上昇される場合、この材料は、記憶形状に形成され得る。選択された形状は、このSMPを、ハードセグメントの融点またはガラス転移温度より低温に冷却することによって、記憶される。形作られたSMが、形状が変形している間に、ソフトセグメントの融点またはガラス転移温度より低温まで冷却される場合、この一時的な形状が規定される。もとの形状は、この材料を、ソフトセグメントの融点またはガラス転移温度より高いがハードセグメントの融点またはガラス転移温度より低い温度まで加熱することによって、回復される(一時的な形状および記憶形状を設定するための方法が公知であり、これらは、以下の文献に記載される)。従って、もとの記憶形状の回復は、温度の増加によって誘導され、ポリマーの熱形状記憶効果と称される。この温度は、本発明については、体温、または37℃より高い別の選択された温度であり得る。
【0017】
ポリマーの熱形状記憶効果を利用することに加えて、SMPの記憶された物理的特性は、温度または応力の変化によって制御され得、この変化は、特に、このポリマーの軟質セグメントの融点またはガラス転移温度の範囲内であり、例えば、弾性モジュラス、硬度、可撓性、透過性、および屈折率である。IOLにおいてSMPを使用する本発明の範囲は、このような物理的特性の制御に及ぶ。
【0018】
SMPのハードセグメントおよびソフトセグメントにおいて利用されているポリマーの例としては、ポリウレタン、ポリノルボルネン、スチレン−ブタジエンコポリマー、架橋ポリエチレン、架橋ポリシクロオクテン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、およびウレタン−ブタジエンコポリマー、ならびに以下の特許および刊行物に示される他のものが挙げられる:米国特Hyashiに対する許第5,145,935号;Wardらに対する米国特許第5,506,300号;Bitlerらに対する米国特許第5,665,822号;およびLangerらに対する米国特許第6,388,043号(これらの全ては、本明細書中に参考として援用される);Mather,Strain Recovery in POSS Hybrid Thermoplastics,Polymer 2000,41(1),528;Materら、Shape Memory and Nanostructure in Poly(Norbonyl−POSS)Copolymers,Polym.Int.49,453−57(2000);Luiら、Thermomechanical Characterization of a Tailored Series of Shape Memory Polymers,J.App.Med.Plastics,Fall 2002;Gorden,Applications of Shape Memory Polyurethanes,Proceedings of the First International Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies,SMST International Committee,pp.115−19(1994);Kimら、Polyurethanes having shape memory effect,Polymer 37(26):5781−93(1996);Liら、Crystallinity and morphology of segmented polyurethanes with different soft−segment length,J.Applied Polymer 62:631−38(1996);Takahashiら、Structure and properties of shape−memory polyurethane block copolymers,J.Applied Polymer Science 60:1061−69(1996);Tobushi H.ら、Thermomechanical properties of shape memory polymers of polyurethane series and their applications,J.Physique IV(Colloque C1)6:377−84(1996))(これらの引用される文献の全ては、本明細書中に参考として援用される)。
【0019】
本発明の範囲は、男性複合構造体における使用のための、SMP発泡体の使用に及び、ここで、カプセルを形作る要素は、このポリマー発泡体を、広範なニッケルチタン合金と一緒に利用する。Jet Propulshon Laboratories,4800 Oak Grove Drive,Pasadena CA 91109から入手可能な、Watt A.M.ら、Thermomechanical Properties of a Shape Memory Polymer Foamを参照のこと(本明細書中に参考として援用される)。
【0020】
SMP発泡体は、上記形状記憶ポリマーと類似の様式で機能する。本発明の範囲はまた、Langerらに対する米国特許第6,388,043号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような種々の刺激に応答して、2つの所定の記憶形状の間を動き得る形状記憶ポリマー(時々、2ウェイ形状記憶ポリマーと称される)の使用まで及ぶ。
【0021】
本発明の範囲内の形状記憶ポリマー発泡体は、代表敵に、広範なガラス転移温度を有するように調整され得る、ポリウレタンベースの熱可塑性物質である。これらのSMP発泡体は、眼内移植物についてのいくつかの潜在的な利点を有する。例えば:非常に大きい形状回復ひずみが達成可能であること、例えば、この材料のゴム状態におけるヤング率の、かなり大きいか逆的減少;10%折り大きく、そして好ましくは20%より大きい(そして約200%〜400%までの)可逆非弾性ひずみを起こすこの材料の能力;形状回復が、移植物に適した約30℃と45℃との間の選択された温度において設計され得ること、ならびに射出成型が可能であり、従って、複雑な形状を可能にすることである。
【0022】
上記のように、これらのポリマーはまた、その材料の水または流体の透過性、熱膨張率、および屈折率を変化させる能力の観点で、独特の特性を示す。しかし、この材料の可逆的な非弾性ひずみの能力は、そのほとんどの重要な特性(形状記憶効果)を導く。このポリマーが、高温(ガラス転移温度Tgより高温)で新たな形状にひずまされ、次いで、冷却される場合、このポリマーは、新たな一時的な形状に固定される。最初の形状記憶は、この発泡体をそのTgより高温に再加熱することによって、回復され得る。
【0023】
(II.透明な内部配置構造体を使用する、例示的な眼用レンズ)
(1.「A」型軟質適合性光学システム)
本発明の適合性光学系は、製作後の倍率調節または移植後調節を可能にするために、任意の型のレンズ(例えば、IOL(眼内レンズ)、コンタクトレンズまたは角膜インレーにおいて使用されうる。説明目的で、本発明の原理は、まず、白内障処置のための眼内レンズ100で、図2に示されるが、前眼房または後眼房のための任意の有水晶体IOLについてであり得る。
【0024】
図2および3において、そのIOL100は、光学的部分110および非光学的部分111(または鞏膜)を規定し、ここでそのレンズは光軸112を規定し、そのレンズの光学倍率を調節するために、適合性光学構造体または配置構造体120のパターンを保持する内部相115を有する。その非光学部分111は、レンズ本体118の半径方向の外側部分において、光学的な周囲114を規定する。このレンズ本体は、当該分野で公知のように、任意の型のループ状鞏膜またはプレート状鞏膜へと移行し、1つの鞏膜は、図3において11aにおいて示される。このレンズは、代表的には、インレーについて異なる寸法を有するIOL(例えば、直径3.0〜5.0mm)またはコンタクトレンズについて、直径約4.5mm〜6.5mm(限定しない)の範囲である。
【0025】
図2に認められ得るように、その光学的部分110は、その光学的な周囲114に向かって延びる第1の前レンズ表面122Aおよび第2の後レンズ表面122Bを規定する。その前表面122Aおよび後表面122Bをそれぞれ規定する、その第1および第2のポリマー本体部分または層124aおよび124bは、当該分野で公知であるように、任意の適切な屈折率を有する、実質的に流体非透過性の透明ポリマーである。この実施形態において、その第1および第2のポリマー層124aおよび124bは、パターン化された配置構造体120を保有する内部相115を囲む。各配置構造体120は、本体部分または層124aおよび124bと適合する屈折率を有する。そのレンズの前表面層124aは、各配置構造体120、または第1の安定な容積もしくは形状から、第2の容積もしくは形状まで作動した後に、任意の集合的な多くの構造体もしくはアクチュエータによる力の付与によって変形可能である。特に興味深いのは、その配置構造体120は、任意の固定したパターンで(例えば、そのレンズ軸115の周りの同心円のセットの中心を有する各構造120)より高い他の収差を矯正するために適した系を作るマイクロスケールを規定する。そのレンズは、約20〜1000の配置構造体120を保有し、より好ましくは、約25〜125のこのような配置構造体120を保有する。その構造120は、移植後矯正における異なるストラテジーのための調節の、類似のまたは異なる振幅で設計されうる。
【0026】
本発明の範囲は、透明形状変更材料、流体環境における密度もしくは多孔性を変化させる任意の材料、または移動もしくは圧縮される流体またはゲルのような任意の配置媒体の配置構造体120を包含する。言い換えると、その配置構造体は、そのレンズ本体上の位置の下位パターンに付与されるエネルギーに応じて、各配置構造体120を個々に変更するために、第1の適切な機能的パラメータから第2の安定なパラメータに調節可能な媒体を含み、その機能的パラメータは、媒体容積、媒体形状、媒体多孔性、媒体密度、およびその媒体の内部圧からなるクラスに存在する。以下に記載されるように、レンズ本体にエネルギーを付与する好ましい方法は、レーザーの使用である。
【0027】
一実施形態において、図3および4を参照すると、その配置構造体またはアクチュエータ120は、上記のまたは上記に同定される文献中の任意のSMP材料のうち、形状記憶ポリマーアクチュエーターである。前レンズ層124aは、軟質アクチュエータ120の表面積Aと協働して、変形層124aにおける曲率半径が選択されたパラメータ範囲内にあることを保証するために、選択された厚みの寸法Dおよび弾性率(E)を規定する。その変形可能な前層124aの厚みの寸法Dは、約1ミクロン〜100ミクロンである。より好ましくは、その前層124aの寸法Dは、約5ミクロン〜50ミクロンである。
【0028】
図5Aおよび5Bを参照すると、例示的な配置構造体120は、任意の円筒状形態またはその一時的形状にある他の形態を獲得し得、少なくとも約5平方ミクロン、および好ましくは少なくとも約20平方ミクロンの表面積Aを提供する。図2および3を参照すると、その第1および第2のポリマー部分124aおよび124bは、配置構造体120ならびに非常に低いモジュールインデックス(modulus index)を適合させた材料、インデックスを適合させた流体媒体140をそこに有するインデックスを適合させたゲルもしくは多孔性構造体である中間媒体126からなる内部相または平面115を囲む。これらの例示的実施形態において、その中間媒体または中間相部分126は、そのレンズ容積を占め、その配置構造体120の作動とともにレンズ調節をする前および後に安定な屈折を提供するように調節される。流体媒体140を利用する実施形態において、選択される粘度のシリコーンが使用されうる。シリコーン流体は、直鎖状のポリマーであり、その鎖は、2〜1,000個を軽く超えるケイ素原子を含み、その各々は、酸素原子によって次のケイ素原子に連結される。まとめると、これらの材料は、ポリジメチルシロキサンとして本発明者らが公知であるものを形成するために一緒にされる。本発明について特に興味深いものは、シリコーン流体は、上記のように、その適合する屈折率を提供するように製造されうる。
【0029】
シリコーンは、広い範囲の温度でほとんど粘度が変化せず、これは、それらの高い湿潤力と一緒になって、本発明に対応するレンズの適合性構造の機能に必要な特性を十分に提供しうる。さらに、シリコーン流体は、本質的に、本発明において使用されることが理解される他の物質に対して不活性である。全てこれらの特徴である、温度に対する低い粘度変化、誘電安定性、化学的に不活性であること、ずり安定性、低い表面張力、酸化安定性、熱安定性および高い圧縮性により、シリコーンが、本発明において使用するための論理的な候補になっている。さらに、シリコーン流体が、この適用において、FDA法的審査の後にレンズインプラントの内部についての生体適合性材料であるとわかると考えられる。
【0030】
シリコーンの粘度は、代表的に、センチストーク(cSt)と呼ばれる単位で測定され、ここで、この数字が低くなればなるほど、材料は、ますます薄くなり粘度が低くなる。レンズにおいて使用するためのシリコーン流体140は、約0.65cSt〜約1,000,000cStの範囲の粘度を有し得、これは、非常に低い粘度の流体から非常に高い粘度の範囲である。より好ましくは、シリコーン流体140は、約5.0cSt〜約100,000cStの範囲の流体粘度を有し得、この上の範囲は、ゆっくり移動するゲルに似ている。より好ましくは、シリコーン流体140は、約10cSt〜5,000cStの範囲の流体粘度を有し得る。シリコーン流体の多くの商業的供給源が公知であり、例えば、NuSil Silicone Technology,Inc.(www.nusilk.com);General Electric、Inc.(www.gesilicones.com)、およびDow Cornig,Inc.(www.dowcorning.com)がある。シリコーン流体が、本発明における使用に好ましい材料であるものの、ヒドロゲルおよび任意の他の流体が適切な一致した指数に入り、粘度および生体適合性が本発明の範囲内に入ることが理解されるべきである。流体140は、当該分野で公知なように、アセンブリ後流体注入によって、または流体−浸漬アセンブリ手段によって内側相115に提供される。
【0031】
図2および3の例示的なレンズは、両凸面であるが、本発明は、平凸レンズ、凹凸レンズまたは任意の他の型のレンズもしくはDOE(回折光学要素)(例えば、キノフォームまたはバイナリー光学素子を利用する)に拡張され得るか、あるいは、本発明は、薄膜回折光学素子に拡張され得る。1つの実施形態において、図1Bおよび2を参照して、レンズ表面および各適応性要素または部分は、(集合的に)127に示されるアドレスを割り当てる。アドレスという用語によって、適合性要素の上にあるレンズ表面の空間的位置が、129に示される参照マーカーに関して割り当てられた表面座標である。参照マーカー129は、単数または複数であり得、レンズのどこかに配置され得るが、たいがい周辺領域にある。参照点は、光源およびそのコンピュータ制御された制御システム走査システムを、適合性構造の一にアドレス127を割り当て得るように利用される(図1Bを参照のこと)。参照マーカーは、代表的に、CD(コンパクトディスク)において使用されるものと類似の参照光ビームとの反射率および感知システムに基づいて機能し、これは、当該分野において公知であり、さらに記載する必要はない。代表的ではあるものの、間隔を開けて配置された適合性構造120は、レンズの同心円で配置され、この構造はまた、
螺旋パターンのような任意の固定したパターンまたは格子であり得る。
【0032】
図1Bの形状回復可能ポリマーが、一般的に、簡便さのために、形状を変化させ、それによって、前表面124a(図3)を外側に押すように適合されるように、記載されるものの、形状回復可能要素が、レンズ本体を通って実質的に軸方向に(図1B)、またはレンズ軸に対して直角に延び得、レンズ表面を内側に引っ張るかまたは張力をかけ得る。
【0033】
以下に記載される別の実施形態において、本発明の範囲が、結合されたさらなる層の別個の層よりもむしろ、ポリマーアクチュエーター層115の表面処理物または表面改変物である変形可能な前層124aを含む。このような表面処理は、すぐ上に記載されるように、実質的に均一な厚みDを提供するために達成され得る。例えば、R.Wardらに対する米国特許第5,235,003号を参照のこと。これは、ポリマー表面改変の作製に関するこの特許の利益を主張するかまたはこの特許に関係するR.Wardによる他の特許とともに、本明細書中で参考として援用される。
【0034】
図2および3に図示される例示的な実施形態において、内部相115の周囲の表面相を提供する材料124aおよび124bは、選択された厚さおよび変形特徴を有する、弾性ポリマー材料のものであり、そしてシリコーン、親水性アクリルポリマー材料、疎水性アクリル材料、ヒドロゲル材料、カラマー(collamer)などであり得、これらの全ては、IOL製造の分野において公知である。この材料は、好ましくは、約1.40より高い屈折率を有する。より好ましくは、この屈折率は、約1.45より高い。これらの材料は、このレンズが、小さい切開を通して眼の中に展開するための、小さい断面の導入期デバイス中で運ばれるために、折り畳まれるかまたは巻かれることを可能にする。以下に記載されるように、このレンズの機能性は、少なくとも1つのレンズ表面層の弾性特性に依存する。レンズ本体、または少なくとも1つの表面層はまた、断面が非常に薄い場合に、わずかに剛性の生体適合性材料(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))から製造され得る。従って、このレンズ材料層が、異なる材料(例えば、1つのシリコーン層および1つのPMMA層)から形成され得ることが、可能である。この材料層は、その材料に依存して、射出成型され得るか、またはキャスト成型技術もしくは圧縮成型技術で製造され得るか、または当該分野において公知であるように、旋盤によって回転され得る(以下に記載される適合性構造体を含む)。
【0035】
配置構造体120のSMPは、(以下に記載されるように)選択されたTgを有し、このTgにおいて、アクチュエータは、その記憶形状のほうへと動き(図5Aを参照のこと)、これによって、層112Aの表面124aに影響を及ぼし、レンズ100の光学特性を変化させる。図4は、光エネルギーが単一の配置構造体120に適用されて、その形状を軸方向に変化させ、そして表面層124を変形させて、収差を矯正する、本発明の方法を示す。光エネルギーは、当該分野において公知であるように、操作および追跡され、そして相互作用する波面診断を、エネルギー送達の間に使用し得る。計算図表が作成され得、その結果、配置構造体120のSMPが、次第に変形して、複数の作動位置を、その一時的な形状と記憶形状との間に提供し得る。選択されたTgは、体温より高い任意の選択された温度であり、この温度は、配置構造体120を、選択された光の波長で照射することによって、達成され得る。各構造体120のSMPの選択されたTgは、約40℃〜約80℃の範囲であり得る。より好ましくは、SMPの選択されたTgは、約42℃〜約70℃の範囲である。なおさらに好ましくは、SMPの選択されたTgは、約42℃〜約55℃の範囲である。SMPは、選択された波長(これは、UV〜赤外の範囲であり得る)と協同するための任意の適切な発色団を有し得る。軟質アクチュエータは、2方向形状記憶材料であり得る、上記のような軟質アクチュエータを備え得、これによって、2つの記憶形状を提供する。
【0036】
図5Bは、類似の軟質SMP部材を示し、この部材は、表面層を、両横方法およびより全体的な形状変化のために、調節および配置し得る。このアクチュエータの、その後面における一時的な形状は、135において示される。適用されるエネルギーの第一のエネルギーに対して、SMPは、表面層124a(図示せず)に横方向に隣接して、135’に変化する。適用されるエネルギーの第二のレベルに対して、SMPは、135”まで変化し、層115の全てが適合性である、表面層124aを全体的に調節する。
【0037】
図6Aおよび6Bは、適合性の光学レンズの内部相115を製造する方法を図示する。形状記憶ポリマー配置構造体120が、図6Aの記憶形状に成型され得、次いで、中間媒体または相部分126(これは、この場合、インデックスが一致したポリマーである)にインサート成型され得る。微小成型技術が開発され、図6Aの縮尺での成型を容易に可能にする。次に、図6Bは、配置構造体120がその安定な一時的形状に圧縮された後の、図6Aのアセンブリを示す。図6Cは、表面層124aとレンズ本体部分124bとの間の空間148内の、図6Bのアセンブリを示す。空間148はまた、上記のように、流体媒体140によって占有される。配置構造体120が、図4l、5Aおよび5Bに示される実施形態においてのように、どのように機能するかが、容易に理解され得る。
【0038】
再度図6Cを参照すると、SMP構造体は、その軸149の周りに、第一のより大きいより小さい寸法を規定し、この軸は、層115に対して実質的に垂直であり、第二の一時的な形状が、その軸149の周りで第二のより小さい寸法を規定している。図4から理解され得るように、配置構造体120は、薄い弾性層124a上に軸方向に(下方に)押すように、単独でかまたは任意のパターンで照射されて、このレンズの光学特性を変化させ得、ここで、中間層部分126は、流体140内の空間148内で浮動する。別の実施形態において、アクチュエータ120の間の層部分126は、内部にインデックスが一致する流体を含む、弾性の連続気泡発泡体であり得、この流体は、この連続気泡の周りを移動する。このレンズは、高次波面収差、乱視などのための、選択された局所位置を調節するために適切であることが、図4、6Cおよび7から容易に理解され得る。あるいは、配置構造体120の全てが、全体的なジオプター編かに対して調節され得る。
【0039】
別の実施形態において、形状記憶ポリマーは、適合性光学レンズ設計において利用され得、ここで、光エネルギーが、光学部分110ではなく、非光学部分111のみにおいて適用される。いくつかのレンズ設計において、網膜に伝達されない、より高いエネルギー密度を使用することが好ましくあり得る。標的化される非光学部分111は、そこを通っての光の透過を防止するバッキングを有し得る。図8は、内部相155の小さい部分を図示し、この部分は、配置構造体120内の内部空間162内に、インデックスが一致する流体160を含有する、配置構造体120を有する。図8は、第一の薄い弾性相164aおよび第二の薄い弾性相164bが一緒に結合されて、レンズの非光学部分111に延びる空間162およびチャネル170を内部に規定するアセンブリを製造する様式を示す。1つの例において、コア相165は、連続気泡部材を製造し、次いで光を使用して、コア相165の、スペーサーおよびフローチャネルを除く全ての部分において、溶融ポリマーを硬化させることによって、空間およびフローチャネルを備えて製造され得る。
【0040】
作動可能な配置構造体120を提供するために、レンズの周囲114は、複数の形状記憶ポリマー本体部分172(まとめて)を備え、これらの本体部分は、流体媒体160を含むチャネル170を囲むか、またはこのチャネルに隣接する。SMP領域の、レンズの周囲の周りのサブパターン172に適用される光エネルギーは、各SMP部分172が、膨潤し、そしてフローチャネルに影響を及ぼすように適合され、これによって、流体媒体160を配置構造体120内に押し込み、これによって、レンズ表面を変形させることが、容易に理解され得る。図8の内部相155は、図6Cにおいてと正確に同様に、流体を充填された空間に組み立てられて、適合性光学素子を提供し得ることが、容易に理解され得る。
【0041】
このシステムはまた、フローチャネルに隣接する、類似の接線方向SMP領域を備ええ、ここで、このSMPは、異なる記憶形状に収縮または屈曲するように適合されて、流体媒体160を、配置構造体120から引いて、このレンズにおける形状変化を逆転させる。多数のバリエーションが可能であり、ここで、選択された周囲領域の照射は、ポリマーの密度、体積、形状、または透過性を変化させて、配置構造体120と連絡するチャネル内の流体圧を変化させ得る。
【0042】
ここで図9を参照すると、別のIOLの実施形態190が、分解図で図示され、ここで、光エネルギーが再度、光学部分110ではなく、非光学的部分111のみに適用される。図9の実施形態は、単純化された適合性光学素子を備え、この光学素子は、球面矯正のためのみに設計されており、そして高次収差強制のためには設計されない。図9の例示的なIOLは、環状のSMP部材195を有し、この部材は、一時的な形状または多孔性から、記憶形状または多孔性へと動かされて、大きいジオプター変化を達成し得る。このレンズの中心部分または内部相196は、上記のようなオープンチャンバ内に、流体媒体140を含み得る。この流体媒体は、例えば、ゲル様であり得る、選択された粘度のシリコーンである。先の実施形態においてと同様に、このレンズは、付透過性の第一の表面相124aおよび第二の表面相124bを有し、これらの表面が、内部相196を囲む。図9に想像図で見られ得るように、光エネルギーは、走査され、そして環状SMP部材195に適用されて、この部材を、その記憶形状の方へと動かし、これによって、圧力を、内部相196に閉じ込められた媒体140に適用して、この前表面において、このレンズの形状を、想像図における122Aから122A’へと変化させる。
【0043】
図10におけるような、別の非常に類似の実施形態において、中心部分196は、移動する流体媒体140を内部に有する、非常に低い弾性率の一致するポリマーまたは連続気泡SMP発泡体であり得る。図11に示されるような、別の類似の実施形態において、レンズ190は、非常に低い弾性率の一致するポリマーまたは連続気泡SMP発泡体の中心内部相196を有し、移動する流体媒体140が内部に含まれる。環状SMP部在195は、レンズ本体118の周囲部分114を備える。この実施形態は、不透過性の第一の表面相124aおよび第二の表面相124bが、非常に薄く、好ましくは、中心内部相196のポリマーの「表面修飾」を含む。ポリマーのこのような表面修飾は、内部ポリマー部分を提供し、この部分は、拡散ネットワークを含み、一方で、ミクロンの厚さの表面層が、上記のように公知であるように、不透過性である(例えば、R.Wardらに対する米国特許第5,235,003号を参照のこと)。この型のレンズ190は、次いで、制限されたセットの構成要素から組み立てられる:周囲の環状の形状記憶ポリマー部分195およびその表面修飾を有する中心内部相196、ならびに中心層1196がゲル様の低弾性ポリマーではなく多孔性ポリマーである場合には任意の流体媒体140。
【0044】
(2.「B」型軟質適合性光学系)
図12に示される別の適合性レンズの実施形態200において、このレンズは再度、光学部分210および非光学部分211を有する。このレンズは、図6A〜6Cに示されるような、内部形態または相215を有し、これは、前本体部分または表面層224aおよび後本体部分224bによって囲まれている。この実施形態において、配置構造体220(包括的)は、前表面相224aを変形させるために、先に記載されたように作動する。この実施形態は、形状記憶ポリマーが、配置構造体220内の流体225の体積を変化させるための同じ役割である点で、異なる。図12の例示的な実施形態において、このレンズは、チャネル222(包括的)内に、犠牲要素250a〜250nを含み、これらは、各個々の配置構造体220a〜220nの個々に連絡する、空間を備える。
【0045】
使用の際に、このレンズは、患者が、生体測定によって示される倍率を超える、正の倍率を有するように選択される。レンズ200外食される場合、この患者の眼内圧は、配置構造体220の内圧に、犠牲要素への流体圧の適用を起こさせるか、またはこのレンズは、配置構造体220内に内圧を提供するように製造され得る。移植後、犠牲要素250a〜250nは、光エネルギーによってここに標的化され、そして犠牲にされ、これによって、流体がチャネル222(包括的)を通って非光学部分211の潜在的空間252へと流れることを可能にし、流体225を受け取る。この犠牲要素は、適用された光エネルギーのもとで分解するポリマー、適用される光エネルギーのもとで不可逆的(または可逆的)に多孔性になるポリマー、相転移ポリマー材料、または当該分野において公知の、任意の溶解可能な金属元素であり得る。
【0046】
レンズは、レンズ表面を曲げるために、流体浸透可能な平面内に適合性光学構造体の複数の層を保有し得ることが理解される。レンズは、レンズ表面を曲げるために、光軸に対して平行な力、および光軸に対して直交性の力の両方を付与するように作動する、単一のレンズ内で作動する、適合性の光学構造体を保有し得る。レンズは、非常に微細な調節または可逆的な調節を可能にするように、レンズの表面を反対方向に曲げるために、層状の適合性光学構造体を保有し得る。1つの好ましい実施形態において、適合性光学構造体は、走査された光源と協調するように、個々のアドレスまたは座標と間隔を空けられ得、ここで、別個の適合性光学形態の数は、約100ほど少ない数から、数百万ほどの大きい数までの範囲に及び得る。別の好ましい実施形態において、レンズ内の物質の層は、その任意の位置または領域の標的化を可能にするために、その任意の位置において「適合性」であり得る。
【0047】
別の実施形態において、眼内レンズは、波面感作システム(例えば、Shack Hartmanシステム)と組み合わせられ得、レンズ内の光行差のコンピュータ制御可能な接続を可能にする。
【0048】
当業者は、例示的な実施形態およびその説明が、概して、本発明を例示するのみであり、エネルギー送達の間隔の制御におけるバリエーションが、本発明の精神内および範囲内でなされ得ることを理解する。本発明の特定の特徴は、いくつかの図面において示され得るがその他の図面では示されず、そしてこれは、本発明に従う別のものと組合せられ得る、便宜上、唯一かつ任意の特徴である。
【0049】
本発明の原理は、例示的な実施形態において明瞭にされたが、構造、配置、比率、要素および材料の改変物、ならびに特定の環境および動作要件に特に適合される他のものが、本発明の原理から逸脱することなく、本発明の実施において利用され得ることは、当業者に明らかである。添付の特許請求の範囲は、このような改変のいずれかおよび全てを網羅および包含し、本発明の真の範囲、精神および範囲を唯一制限するものであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】図1Aは、反射ミラー面の外側にアクチュエータを有する天体望遠鏡についての、変形可能なミラーの分野において公知であるようなAO(適合性光学素子)の概念図である。
【図1B】図1Bは、本発明に対応するAO(適合性光学素子)構造体の1つの実施形態における、レンズの内部平面に、透明な、屈折率が一致した軟質ポリマーの配置構造体またはアクチュエータを備える、レンズ要素(例えば、IOLまたはコンタクトレンズ)の概略表現である。
【図2】図2は、本発明に対応するAO(適合性光学素子)構造体を備える内部平面または相を備える、「A」型眼内レンズ(IOL)の一部分の、概略斜視切取図である。
【図3】図3は、適合性光学IOLまたはコンタクトレンズを製造する方法を説明するために、レンズの構成要素が嵌合していない、図2のIOLの断面図である。
【図4】図4は、AO構造体および形状記憶ポリマーの軟質ポリマー配置構造体をより良好に図示する、図3のIOLの一部分の拡大図である。
【図5A】図5Aは、図4の軟質アクチュエータを大いに拡大した図であり、この図は、配置構造体の作動を示し、この構造体の寸法は、局在した光エネルギーの適用に応答して、一時的な形状と記憶形状との間で評価可能に変化されるために、変化されている。
【図5B】図5Bは、適用されるエネルギーのレベルに依存して、より局所的またはより全体的のいずれかの形状変化のために適合される、図5Aのものに類似の軟質アクチュエータの拡大図である。
【図6A】図6Aは、成型された記憶形状にある、適合性配置構造体を備えるレンズの、内部相の一部分、およびその作製方法の断面図である。
【図6B】図6Bは、適合性配置構造体が、AMPの安定な一時的形状に二次的に成型されている、図6Aの内部相の部分の断面図である。
【図6C】図6Cは、レンズの内部空間における、図6A〜6Bの内部相部分の断面図である。
【図7】図7は、前レンズ表面の形状改変を示す、図6Cのレンズの断面図である。
【図8】図8は、第一および第二の形状および体積が可能な、流体を満たされた配置構造体を備えるレンズの、代替の内部相の一部分の断面図である。
【図9】図9は、環状SM適合性構成要素を、ゲル流体レンズコアを備えるレンズの内部の周囲に有する、代替の「A」型レンズの分解断面図である。
【図10】図10は、図9に類似の別のレンズの実施形態の分解図であり、ここで、環状SMP構成要素は、形状変化を引き起こすために、ポリマーマトリックス内の内部流体を配置するように適合されており、ここで、この流体とポリマーとの組み合わせは、アクチュエータまたは配置構造体を構成する。
【図11】図11は、環状SMP構成要素を備える、図9に類似の別のレンズの断面図である。
【図12】図12は、図8A〜8Cのものに類似の内部相を有する、「B」型レンズの概略図であり、ここで、流体を満たされた配置構造体が、これらの配置構造体と連絡するフローチャネル内の犠牲要素によって作動される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、高次収差または球面収差の製造後矯正を可能にする、眼用レンズに関する。より具体的には、本発明は、IOL、角膜インレーおよびオンレー(onlay)、コンタクトレンズなどにおいて使用され得、ここで、レンズの構成要素が、外部エネルギー源(例えば、レーザー)に応答して、このレンズの内部の適合性構造体が寸法を変化させることを可能にし、これによって、天体望遠鏡の適合性光学部品(AO)の分野において使用される方法と類似の様式で、このレンズの形状を調節するかまたは曲げる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
レンズの光学特性の製造後調節は、種々の眼用レンズの型において必要とされる。1つの場合において、白内障患者は、IOL移植物の移植後の倍率の調節可能性から利益を得る。別の場合において、後眼房無水晶体IOL移植物は移植後の倍率の調節可能性から利益を得ることが可能である。なぜなら、バイオメトリーは、適切な倍率の選択を保証し得ないからである。角膜インレーまたは類似の型のレンズはまた、薄い平面レンズの移植、および引き続くこのレンズの膨張によって、所望の屈折効果を提供することから利益を得る。また、コンタクトレンズは、在庫に維持される必要があるレンズの数を制限するための、製造後の曲率の調節から利益を得る。
【0003】
白内障は、世界における盲目の主要な原因であり、そして最も流行している眼疾患である。白内障による視力の障害は、1年間当たり800万人を超える、診療所の訪問の理由である。白内障による障害が、個人の毎日の生活の活動に影響を与えるか、またはこの活動を変化させる場合、眼内レンズの移植を伴う水晶体の外科的除去が、機能的制限を処置する好ましい方法である。
【0004】
米国において、約250万人の白内障外科手術手順が、年間に実施されており、この手術を、65歳を超えるアメリカ陣に対する最も一般的な外科手術にしている。白内障外科手術の患者の約97%が、眼内レンズの移植物を受け、米国における白内障の外科手術および付随する世話のための年間の費用は、40億ドルを超える。
【0005】
白内障とは、局在した不透明性であっても、透明性の拡散した一般的な損失であっても、患者の水晶体の任意の不透明性である。しかし、臨床的に有意であるためには、白内障は、視力の精度の有意な低下または機能的損害を引き起こさなければならない。白内障は、加齢の結果としてか、あるいは遺伝的因子、外傷、炎症、代謝もしくは栄養障害、または放射線に対して二次的に起こる。加齢関連白内障の状態が、最も通常である。
【0006】
白内障を処置する際に、外科医は、レンズカプセルから物質を除去し、そしてこの物質を、眼内レンズ(IOL)移植物で置き換える。代表的なIOLは、選択された焦点距離を提供し、この焦点距離は、この患者が非常に良好な遠方視力を有することを可能にする。このレンズはもはや適応され得ないので、この患者は、代表的に、読むために処方眼鏡を必要とする。
【0007】
医師は、外科手術の前に、患者の眼の生物測定の分析に基づいて、IOLの倍率を選択する。かなりの数または場合において、患者の眼が白内障外科手術から治癒した後に、生物測定システムにおける誤差の範囲を超える、屈折誤差が存在する。従って、いずれの特定の患者についても、IOLの適切な倍率を計算する際に、解決できない問題が残る。移植後の任意の予測されない屈折誤差を解決するために、眼科医は、繰り返しの外科手術を実施して、IOLを交換し得るか、または患者は、屈折誤差のある状態で生活し得、そして近くの視力と遠方の視力との両方を矯正するための処方眼鏡を必要とし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光学特性およびジオプターパワーの製造後調節または移植後調節のための手段を提供するレンズシステムが、必要とされている。高次収差を矯正し得るレンズシステムもまた、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
特に興味深いことに、本発明に対応するレンズは、微小規模のアクチュエータ手段が提供されるという意味で、適合性光学部品(AO)のクラスに入る。このアクチュエータ手段は、高次収差または包括的には球面収差のために、選択された寸法の範囲内で、レンズ表面の曲率を局所的に曲げ、そして変化させる。AOの視野の通常の範囲は、可撓性表面のミラーを備え、ここで、圧電素子または他のデバイスが、マイクロ秒以内の間隔で、光学表面を曲げ、例えば、図1Aに示されるように、天体望遠鏡において、収差を減少させ得る。
【0010】
本発明のアクチュエータは、これらが1回またはおそらくほんの数回作動される必要があり、そして迅速な作動応答時間を必要としない点で、完全に異なる。さらに、本発明は、適合性光学部品が、レンズの内部に位置決めされた、高次収差を矯正するために適切な、微細規模の軟質なアクチュエータを備える、AO構造体を提供する。これらのアクチュエータは、図1Bに概略的に示されるように、透明であり、レンズ本体の材料と一致するインデックスを有する。
【0011】
1つの好ましい実施形態において、適合性構造体は、それに対する局在したエネルギー(好ましくは、光エネルギーの形態)の適用に応答性である。400nm〜1.4ミクロンの範囲で作動する光源が適切であり(限定ではない)、これは、代表的に、レーザーを備えるが、他の非レーザー光源が、本発明の範囲内に入る。この光源は、コンピュータ制御器、検流計スキャナ(または他の任意の型のスキャナ)、および光学的眼追跡システムに接続され、これらは全て、当該分野において公知であり(例えば、LASIKシステム)、そしてこの理由で、IOLを調節することに関してさらなる説明は必要ではない。
【0012】
ミクロアクチュエータ手段、またはより具体的には、軟質適合性構造体が、図1Bに図示され、そして複数の配置構造体を備え、これらの構造体は、その主軸および二次的な軸にわたって、選択されたミクロン規模の寸法を規定し、ここで、これらの構造体は、少なくとも1つの変形可能なレンズ表面層と係合する。コンタクトレンズにおいて、光源は、複雑さが低くあり得、そして以下に記載されるように、走査される必要がない。
【0013】
本発明のさらなる特徴、その性質および種々の利点は、添付の図面および以下の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
(I.適合性レンズにおいて使用するためのポリマーにおける形状記憶の原理)
本発明のいくつかの代替の実施形態は、形状記憶ポリマー(SMP)を使用して、本発明に対応する透明な、インデックスが一致したアクチュエータシステムを可能にする。この理由により、形状記憶ポリマーの背景が提供される。形状記憶ポリマーは、分離された線状ブロックコポリマー(代表的に、ハードセグメントおよびソフトセグメントのもの)を製造することに基づいて、形状記憶の現象を示す。
【0015】
形状記憶ポリマーは、一般に、ハードセグメントおよびソフトセグメントにおけるガラス転移温度から生じる相を規定するように特高付けられる。SMPのハードセグメントは、代表敵に、規定された融点を有する結晶であり、そしてソフトセグメントは、代表的に、別の規定された転移温度を有するアモルファスである。いくつかの実施形態において、これらの特徴は、セグメントのガラス転移温度と一緒に、逆にされ得る。
【0016】
1つの実施形態において、SMP材料が、ハードセグメントの融点またはガラス転移温度Tgより高い温度に上昇される場合、この材料は、記憶形状に形成され得る。選択された形状は、このSMPを、ハードセグメントの融点またはガラス転移温度より低温に冷却することによって、記憶される。形作られたSMが、形状が変形している間に、ソフトセグメントの融点またはガラス転移温度より低温まで冷却される場合、この一時的な形状が規定される。もとの形状は、この材料を、ソフトセグメントの融点またはガラス転移温度より高いがハードセグメントの融点またはガラス転移温度より低い温度まで加熱することによって、回復される(一時的な形状および記憶形状を設定するための方法が公知であり、これらは、以下の文献に記載される)。従って、もとの記憶形状の回復は、温度の増加によって誘導され、ポリマーの熱形状記憶効果と称される。この温度は、本発明については、体温、または37℃より高い別の選択された温度であり得る。
【0017】
ポリマーの熱形状記憶効果を利用することに加えて、SMPの記憶された物理的特性は、温度または応力の変化によって制御され得、この変化は、特に、このポリマーの軟質セグメントの融点またはガラス転移温度の範囲内であり、例えば、弾性モジュラス、硬度、可撓性、透過性、および屈折率である。IOLにおいてSMPを使用する本発明の範囲は、このような物理的特性の制御に及ぶ。
【0018】
SMPのハードセグメントおよびソフトセグメントにおいて利用されているポリマーの例としては、ポリウレタン、ポリノルボルネン、スチレン−ブタジエンコポリマー、架橋ポリエチレン、架橋ポリシクロオクテン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、およびウレタン−ブタジエンコポリマー、ならびに以下の特許および刊行物に示される他のものが挙げられる:米国特Hyashiに対する許第5,145,935号;Wardらに対する米国特許第5,506,300号;Bitlerらに対する米国特許第5,665,822号;およびLangerらに対する米国特許第6,388,043号(これらの全ては、本明細書中に参考として援用される);Mather,Strain Recovery in POSS Hybrid Thermoplastics,Polymer 2000,41(1),528;Materら、Shape Memory and Nanostructure in Poly(Norbonyl−POSS)Copolymers,Polym.Int.49,453−57(2000);Luiら、Thermomechanical Characterization of a Tailored Series of Shape Memory Polymers,J.App.Med.Plastics,Fall 2002;Gorden,Applications of Shape Memory Polyurethanes,Proceedings of the First International Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies,SMST International Committee,pp.115−19(1994);Kimら、Polyurethanes having shape memory effect,Polymer 37(26):5781−93(1996);Liら、Crystallinity and morphology of segmented polyurethanes with different soft−segment length,J.Applied Polymer 62:631−38(1996);Takahashiら、Structure and properties of shape−memory polyurethane block copolymers,J.Applied Polymer Science 60:1061−69(1996);Tobushi H.ら、Thermomechanical properties of shape memory polymers of polyurethane series and their applications,J.Physique IV(Colloque C1)6:377−84(1996))(これらの引用される文献の全ては、本明細書中に参考として援用される)。
【0019】
本発明の範囲は、男性複合構造体における使用のための、SMP発泡体の使用に及び、ここで、カプセルを形作る要素は、このポリマー発泡体を、広範なニッケルチタン合金と一緒に利用する。Jet Propulshon Laboratories,4800 Oak Grove Drive,Pasadena CA 91109から入手可能な、Watt A.M.ら、Thermomechanical Properties of a Shape Memory Polymer Foamを参照のこと(本明細書中に参考として援用される)。
【0020】
SMP発泡体は、上記形状記憶ポリマーと類似の様式で機能する。本発明の範囲はまた、Langerらに対する米国特許第6,388,043号(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような種々の刺激に応答して、2つの所定の記憶形状の間を動き得る形状記憶ポリマー(時々、2ウェイ形状記憶ポリマーと称される)の使用まで及ぶ。
【0021】
本発明の範囲内の形状記憶ポリマー発泡体は、代表敵に、広範なガラス転移温度を有するように調整され得る、ポリウレタンベースの熱可塑性物質である。これらのSMP発泡体は、眼内移植物についてのいくつかの潜在的な利点を有する。例えば:非常に大きい形状回復ひずみが達成可能であること、例えば、この材料のゴム状態におけるヤング率の、かなり大きいか逆的減少;10%折り大きく、そして好ましくは20%より大きい(そして約200%〜400%までの)可逆非弾性ひずみを起こすこの材料の能力;形状回復が、移植物に適した約30℃と45℃との間の選択された温度において設計され得ること、ならびに射出成型が可能であり、従って、複雑な形状を可能にすることである。
【0022】
上記のように、これらのポリマーはまた、その材料の水または流体の透過性、熱膨張率、および屈折率を変化させる能力の観点で、独特の特性を示す。しかし、この材料の可逆的な非弾性ひずみの能力は、そのほとんどの重要な特性(形状記憶効果)を導く。このポリマーが、高温(ガラス転移温度Tgより高温)で新たな形状にひずまされ、次いで、冷却される場合、このポリマーは、新たな一時的な形状に固定される。最初の形状記憶は、この発泡体をそのTgより高温に再加熱することによって、回復され得る。
【0023】
(II.透明な内部配置構造体を使用する、例示的な眼用レンズ)
(1.「A」型軟質適合性光学システム)
本発明の適合性光学系は、製作後の倍率調節または移植後調節を可能にするために、任意の型のレンズ(例えば、IOL(眼内レンズ)、コンタクトレンズまたは角膜インレーにおいて使用されうる。説明目的で、本発明の原理は、まず、白内障処置のための眼内レンズ100で、図2に示されるが、前眼房または後眼房のための任意の有水晶体IOLについてであり得る。
【0024】
図2および3において、そのIOL100は、光学的部分110および非光学的部分111(または鞏膜)を規定し、ここでそのレンズは光軸112を規定し、そのレンズの光学倍率を調節するために、適合性光学構造体または配置構造体120のパターンを保持する内部相115を有する。その非光学部分111は、レンズ本体118の半径方向の外側部分において、光学的な周囲114を規定する。このレンズ本体は、当該分野で公知のように、任意の型のループ状鞏膜またはプレート状鞏膜へと移行し、1つの鞏膜は、図3において11aにおいて示される。このレンズは、代表的には、インレーについて異なる寸法を有するIOL(例えば、直径3.0〜5.0mm)またはコンタクトレンズについて、直径約4.5mm〜6.5mm(限定しない)の範囲である。
【0025】
図2に認められ得るように、その光学的部分110は、その光学的な周囲114に向かって延びる第1の前レンズ表面122Aおよび第2の後レンズ表面122Bを規定する。その前表面122Aおよび後表面122Bをそれぞれ規定する、その第1および第2のポリマー本体部分または層124aおよび124bは、当該分野で公知であるように、任意の適切な屈折率を有する、実質的に流体非透過性の透明ポリマーである。この実施形態において、その第1および第2のポリマー層124aおよび124bは、パターン化された配置構造体120を保有する内部相115を囲む。各配置構造体120は、本体部分または層124aおよび124bと適合する屈折率を有する。そのレンズの前表面層124aは、各配置構造体120、または第1の安定な容積もしくは形状から、第2の容積もしくは形状まで作動した後に、任意の集合的な多くの構造体もしくはアクチュエータによる力の付与によって変形可能である。特に興味深いのは、その配置構造体120は、任意の固定したパターンで(例えば、そのレンズ軸115の周りの同心円のセットの中心を有する各構造120)より高い他の収差を矯正するために適した系を作るマイクロスケールを規定する。そのレンズは、約20〜1000の配置構造体120を保有し、より好ましくは、約25〜125のこのような配置構造体120を保有する。その構造120は、移植後矯正における異なるストラテジーのための調節の、類似のまたは異なる振幅で設計されうる。
【0026】
本発明の範囲は、透明形状変更材料、流体環境における密度もしくは多孔性を変化させる任意の材料、または移動もしくは圧縮される流体またはゲルのような任意の配置媒体の配置構造体120を包含する。言い換えると、その配置構造体は、そのレンズ本体上の位置の下位パターンに付与されるエネルギーに応じて、各配置構造体120を個々に変更するために、第1の適切な機能的パラメータから第2の安定なパラメータに調節可能な媒体を含み、その機能的パラメータは、媒体容積、媒体形状、媒体多孔性、媒体密度、およびその媒体の内部圧からなるクラスに存在する。以下に記載されるように、レンズ本体にエネルギーを付与する好ましい方法は、レーザーの使用である。
【0027】
一実施形態において、図3および4を参照すると、その配置構造体またはアクチュエータ120は、上記のまたは上記に同定される文献中の任意のSMP材料のうち、形状記憶ポリマーアクチュエーターである。前レンズ層124aは、軟質アクチュエータ120の表面積Aと協働して、変形層124aにおける曲率半径が選択されたパラメータ範囲内にあることを保証するために、選択された厚みの寸法Dおよび弾性率(E)を規定する。その変形可能な前層124aの厚みの寸法Dは、約1ミクロン〜100ミクロンである。より好ましくは、その前層124aの寸法Dは、約5ミクロン〜50ミクロンである。
【0028】
図5Aおよび5Bを参照すると、例示的な配置構造体120は、任意の円筒状形態またはその一時的形状にある他の形態を獲得し得、少なくとも約5平方ミクロン、および好ましくは少なくとも約20平方ミクロンの表面積Aを提供する。図2および3を参照すると、その第1および第2のポリマー部分124aおよび124bは、配置構造体120ならびに非常に低いモジュールインデックス(modulus index)を適合させた材料、インデックスを適合させた流体媒体140をそこに有するインデックスを適合させたゲルもしくは多孔性構造体である中間媒体126からなる内部相または平面115を囲む。これらの例示的実施形態において、その中間媒体または中間相部分126は、そのレンズ容積を占め、その配置構造体120の作動とともにレンズ調節をする前および後に安定な屈折を提供するように調節される。流体媒体140を利用する実施形態において、選択される粘度のシリコーンが使用されうる。シリコーン流体は、直鎖状のポリマーであり、その鎖は、2〜1,000個を軽く超えるケイ素原子を含み、その各々は、酸素原子によって次のケイ素原子に連結される。まとめると、これらの材料は、ポリジメチルシロキサンとして本発明者らが公知であるものを形成するために一緒にされる。本発明について特に興味深いものは、シリコーン流体は、上記のように、その適合する屈折率を提供するように製造されうる。
【0029】
シリコーンは、広い範囲の温度でほとんど粘度が変化せず、これは、それらの高い湿潤力と一緒になって、本発明に対応するレンズの適合性構造の機能に必要な特性を十分に提供しうる。さらに、シリコーン流体は、本質的に、本発明において使用されることが理解される他の物質に対して不活性である。全てこれらの特徴である、温度に対する低い粘度変化、誘電安定性、化学的に不活性であること、ずり安定性、低い表面張力、酸化安定性、熱安定性および高い圧縮性により、シリコーンが、本発明において使用するための論理的な候補になっている。さらに、シリコーン流体が、この適用において、FDA法的審査の後にレンズインプラントの内部についての生体適合性材料であるとわかると考えられる。
【0030】
シリコーンの粘度は、代表的に、センチストーク(cSt)と呼ばれる単位で測定され、ここで、この数字が低くなればなるほど、材料は、ますます薄くなり粘度が低くなる。レンズにおいて使用するためのシリコーン流体140は、約0.65cSt〜約1,000,000cStの範囲の粘度を有し得、これは、非常に低い粘度の流体から非常に高い粘度の範囲である。より好ましくは、シリコーン流体140は、約5.0cSt〜約100,000cStの範囲の流体粘度を有し得、この上の範囲は、ゆっくり移動するゲルに似ている。より好ましくは、シリコーン流体140は、約10cSt〜5,000cStの範囲の流体粘度を有し得る。シリコーン流体の多くの商業的供給源が公知であり、例えば、NuSil Silicone Technology,Inc.(www.nusilk.com);General Electric、Inc.(www.gesilicones.com)、およびDow Cornig,Inc.(www.dowcorning.com)がある。シリコーン流体が、本発明における使用に好ましい材料であるものの、ヒドロゲルおよび任意の他の流体が適切な一致した指数に入り、粘度および生体適合性が本発明の範囲内に入ることが理解されるべきである。流体140は、当該分野で公知なように、アセンブリ後流体注入によって、または流体−浸漬アセンブリ手段によって内側相115に提供される。
【0031】
図2および3の例示的なレンズは、両凸面であるが、本発明は、平凸レンズ、凹凸レンズまたは任意の他の型のレンズもしくはDOE(回折光学要素)(例えば、キノフォームまたはバイナリー光学素子を利用する)に拡張され得るか、あるいは、本発明は、薄膜回折光学素子に拡張され得る。1つの実施形態において、図1Bおよび2を参照して、レンズ表面および各適応性要素または部分は、(集合的に)127に示されるアドレスを割り当てる。アドレスという用語によって、適合性要素の上にあるレンズ表面の空間的位置が、129に示される参照マーカーに関して割り当てられた表面座標である。参照マーカー129は、単数または複数であり得、レンズのどこかに配置され得るが、たいがい周辺領域にある。参照点は、光源およびそのコンピュータ制御された制御システム走査システムを、適合性構造の一にアドレス127を割り当て得るように利用される(図1Bを参照のこと)。参照マーカーは、代表的に、CD(コンパクトディスク)において使用されるものと類似の参照光ビームとの反射率および感知システムに基づいて機能し、これは、当該分野において公知であり、さらに記載する必要はない。代表的ではあるものの、間隔を開けて配置された適合性構造120は、レンズの同心円で配置され、この構造はまた、
螺旋パターンのような任意の固定したパターンまたは格子であり得る。
【0032】
図1Bの形状回復可能ポリマーが、一般的に、簡便さのために、形状を変化させ、それによって、前表面124a(図3)を外側に押すように適合されるように、記載されるものの、形状回復可能要素が、レンズ本体を通って実質的に軸方向に(図1B)、またはレンズ軸に対して直角に延び得、レンズ表面を内側に引っ張るかまたは張力をかけ得る。
【0033】
以下に記載される別の実施形態において、本発明の範囲が、結合されたさらなる層の別個の層よりもむしろ、ポリマーアクチュエーター層115の表面処理物または表面改変物である変形可能な前層124aを含む。このような表面処理は、すぐ上に記載されるように、実質的に均一な厚みDを提供するために達成され得る。例えば、R.Wardらに対する米国特許第5,235,003号を参照のこと。これは、ポリマー表面改変の作製に関するこの特許の利益を主張するかまたはこの特許に関係するR.Wardによる他の特許とともに、本明細書中で参考として援用される。
【0034】
図2および3に図示される例示的な実施形態において、内部相115の周囲の表面相を提供する材料124aおよび124bは、選択された厚さおよび変形特徴を有する、弾性ポリマー材料のものであり、そしてシリコーン、親水性アクリルポリマー材料、疎水性アクリル材料、ヒドロゲル材料、カラマー(collamer)などであり得、これらの全ては、IOL製造の分野において公知である。この材料は、好ましくは、約1.40より高い屈折率を有する。より好ましくは、この屈折率は、約1.45より高い。これらの材料は、このレンズが、小さい切開を通して眼の中に展開するための、小さい断面の導入期デバイス中で運ばれるために、折り畳まれるかまたは巻かれることを可能にする。以下に記載されるように、このレンズの機能性は、少なくとも1つのレンズ表面層の弾性特性に依存する。レンズ本体、または少なくとも1つの表面層はまた、断面が非常に薄い場合に、わずかに剛性の生体適合性材料(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))から製造され得る。従って、このレンズ材料層が、異なる材料(例えば、1つのシリコーン層および1つのPMMA層)から形成され得ることが、可能である。この材料層は、その材料に依存して、射出成型され得るか、またはキャスト成型技術もしくは圧縮成型技術で製造され得るか、または当該分野において公知であるように、旋盤によって回転され得る(以下に記載される適合性構造体を含む)。
【0035】
配置構造体120のSMPは、(以下に記載されるように)選択されたTgを有し、このTgにおいて、アクチュエータは、その記憶形状のほうへと動き(図5Aを参照のこと)、これによって、層112Aの表面124aに影響を及ぼし、レンズ100の光学特性を変化させる。図4は、光エネルギーが単一の配置構造体120に適用されて、その形状を軸方向に変化させ、そして表面層124を変形させて、収差を矯正する、本発明の方法を示す。光エネルギーは、当該分野において公知であるように、操作および追跡され、そして相互作用する波面診断を、エネルギー送達の間に使用し得る。計算図表が作成され得、その結果、配置構造体120のSMPが、次第に変形して、複数の作動位置を、その一時的な形状と記憶形状との間に提供し得る。選択されたTgは、体温より高い任意の選択された温度であり、この温度は、配置構造体120を、選択された光の波長で照射することによって、達成され得る。各構造体120のSMPの選択されたTgは、約40℃〜約80℃の範囲であり得る。より好ましくは、SMPの選択されたTgは、約42℃〜約70℃の範囲である。なおさらに好ましくは、SMPの選択されたTgは、約42℃〜約55℃の範囲である。SMPは、選択された波長(これは、UV〜赤外の範囲であり得る)と協同するための任意の適切な発色団を有し得る。軟質アクチュエータは、2方向形状記憶材料であり得る、上記のような軟質アクチュエータを備え得、これによって、2つの記憶形状を提供する。
【0036】
図5Bは、類似の軟質SMP部材を示し、この部材は、表面層を、両横方法およびより全体的な形状変化のために、調節および配置し得る。このアクチュエータの、その後面における一時的な形状は、135において示される。適用されるエネルギーの第一のエネルギーに対して、SMPは、表面層124a(図示せず)に横方向に隣接して、135’に変化する。適用されるエネルギーの第二のレベルに対して、SMPは、135”まで変化し、層115の全てが適合性である、表面層124aを全体的に調節する。
【0037】
図6Aおよび6Bは、適合性の光学レンズの内部相115を製造する方法を図示する。形状記憶ポリマー配置構造体120が、図6Aの記憶形状に成型され得、次いで、中間媒体または相部分126(これは、この場合、インデックスが一致したポリマーである)にインサート成型され得る。微小成型技術が開発され、図6Aの縮尺での成型を容易に可能にする。次に、図6Bは、配置構造体120がその安定な一時的形状に圧縮された後の、図6Aのアセンブリを示す。図6Cは、表面層124aとレンズ本体部分124bとの間の空間148内の、図6Bのアセンブリを示す。空間148はまた、上記のように、流体媒体140によって占有される。配置構造体120が、図4l、5Aおよび5Bに示される実施形態においてのように、どのように機能するかが、容易に理解され得る。
【0038】
再度図6Cを参照すると、SMP構造体は、その軸149の周りに、第一のより大きいより小さい寸法を規定し、この軸は、層115に対して実質的に垂直であり、第二の一時的な形状が、その軸149の周りで第二のより小さい寸法を規定している。図4から理解され得るように、配置構造体120は、薄い弾性層124a上に軸方向に(下方に)押すように、単独でかまたは任意のパターンで照射されて、このレンズの光学特性を変化させ得、ここで、中間層部分126は、流体140内の空間148内で浮動する。別の実施形態において、アクチュエータ120の間の層部分126は、内部にインデックスが一致する流体を含む、弾性の連続気泡発泡体であり得、この流体は、この連続気泡の周りを移動する。このレンズは、高次波面収差、乱視などのための、選択された局所位置を調節するために適切であることが、図4、6Cおよび7から容易に理解され得る。あるいは、配置構造体120の全てが、全体的なジオプター編かに対して調節され得る。
【0039】
別の実施形態において、形状記憶ポリマーは、適合性光学レンズ設計において利用され得、ここで、光エネルギーが、光学部分110ではなく、非光学部分111のみにおいて適用される。いくつかのレンズ設計において、網膜に伝達されない、より高いエネルギー密度を使用することが好ましくあり得る。標的化される非光学部分111は、そこを通っての光の透過を防止するバッキングを有し得る。図8は、内部相155の小さい部分を図示し、この部分は、配置構造体120内の内部空間162内に、インデックスが一致する流体160を含有する、配置構造体120を有する。図8は、第一の薄い弾性相164aおよび第二の薄い弾性相164bが一緒に結合されて、レンズの非光学部分111に延びる空間162およびチャネル170を内部に規定するアセンブリを製造する様式を示す。1つの例において、コア相165は、連続気泡部材を製造し、次いで光を使用して、コア相165の、スペーサーおよびフローチャネルを除く全ての部分において、溶融ポリマーを硬化させることによって、空間およびフローチャネルを備えて製造され得る。
【0040】
作動可能な配置構造体120を提供するために、レンズの周囲114は、複数の形状記憶ポリマー本体部分172(まとめて)を備え、これらの本体部分は、流体媒体160を含むチャネル170を囲むか、またはこのチャネルに隣接する。SMP領域の、レンズの周囲の周りのサブパターン172に適用される光エネルギーは、各SMP部分172が、膨潤し、そしてフローチャネルに影響を及ぼすように適合され、これによって、流体媒体160を配置構造体120内に押し込み、これによって、レンズ表面を変形させることが、容易に理解され得る。図8の内部相155は、図6Cにおいてと正確に同様に、流体を充填された空間に組み立てられて、適合性光学素子を提供し得ることが、容易に理解され得る。
【0041】
このシステムはまた、フローチャネルに隣接する、類似の接線方向SMP領域を備ええ、ここで、このSMPは、異なる記憶形状に収縮または屈曲するように適合されて、流体媒体160を、配置構造体120から引いて、このレンズにおける形状変化を逆転させる。多数のバリエーションが可能であり、ここで、選択された周囲領域の照射は、ポリマーの密度、体積、形状、または透過性を変化させて、配置構造体120と連絡するチャネル内の流体圧を変化させ得る。
【0042】
ここで図9を参照すると、別のIOLの実施形態190が、分解図で図示され、ここで、光エネルギーが再度、光学部分110ではなく、非光学的部分111のみに適用される。図9の実施形態は、単純化された適合性光学素子を備え、この光学素子は、球面矯正のためのみに設計されており、そして高次収差強制のためには設計されない。図9の例示的なIOLは、環状のSMP部材195を有し、この部材は、一時的な形状または多孔性から、記憶形状または多孔性へと動かされて、大きいジオプター変化を達成し得る。このレンズの中心部分または内部相196は、上記のようなオープンチャンバ内に、流体媒体140を含み得る。この流体媒体は、例えば、ゲル様であり得る、選択された粘度のシリコーンである。先の実施形態においてと同様に、このレンズは、付透過性の第一の表面相124aおよび第二の表面相124bを有し、これらの表面が、内部相196を囲む。図9に想像図で見られ得るように、光エネルギーは、走査され、そして環状SMP部材195に適用されて、この部材を、その記憶形状の方へと動かし、これによって、圧力を、内部相196に閉じ込められた媒体140に適用して、この前表面において、このレンズの形状を、想像図における122Aから122A’へと変化させる。
【0043】
図10におけるような、別の非常に類似の実施形態において、中心部分196は、移動する流体媒体140を内部に有する、非常に低い弾性率の一致するポリマーまたは連続気泡SMP発泡体であり得る。図11に示されるような、別の類似の実施形態において、レンズ190は、非常に低い弾性率の一致するポリマーまたは連続気泡SMP発泡体の中心内部相196を有し、移動する流体媒体140が内部に含まれる。環状SMP部在195は、レンズ本体118の周囲部分114を備える。この実施形態は、不透過性の第一の表面相124aおよび第二の表面相124bが、非常に薄く、好ましくは、中心内部相196のポリマーの「表面修飾」を含む。ポリマーのこのような表面修飾は、内部ポリマー部分を提供し、この部分は、拡散ネットワークを含み、一方で、ミクロンの厚さの表面層が、上記のように公知であるように、不透過性である(例えば、R.Wardらに対する米国特許第5,235,003号を参照のこと)。この型のレンズ190は、次いで、制限されたセットの構成要素から組み立てられる:周囲の環状の形状記憶ポリマー部分195およびその表面修飾を有する中心内部相196、ならびに中心層1196がゲル様の低弾性ポリマーではなく多孔性ポリマーである場合には任意の流体媒体140。
【0044】
(2.「B」型軟質適合性光学系)
図12に示される別の適合性レンズの実施形態200において、このレンズは再度、光学部分210および非光学部分211を有する。このレンズは、図6A〜6Cに示されるような、内部形態または相215を有し、これは、前本体部分または表面層224aおよび後本体部分224bによって囲まれている。この実施形態において、配置構造体220(包括的)は、前表面相224aを変形させるために、先に記載されたように作動する。この実施形態は、形状記憶ポリマーが、配置構造体220内の流体225の体積を変化させるための同じ役割である点で、異なる。図12の例示的な実施形態において、このレンズは、チャネル222(包括的)内に、犠牲要素250a〜250nを含み、これらは、各個々の配置構造体220a〜220nの個々に連絡する、空間を備える。
【0045】
使用の際に、このレンズは、患者が、生体測定によって示される倍率を超える、正の倍率を有するように選択される。レンズ200外食される場合、この患者の眼内圧は、配置構造体220の内圧に、犠牲要素への流体圧の適用を起こさせるか、またはこのレンズは、配置構造体220内に内圧を提供するように製造され得る。移植後、犠牲要素250a〜250nは、光エネルギーによってここに標的化され、そして犠牲にされ、これによって、流体がチャネル222(包括的)を通って非光学部分211の潜在的空間252へと流れることを可能にし、流体225を受け取る。この犠牲要素は、適用された光エネルギーのもとで分解するポリマー、適用される光エネルギーのもとで不可逆的(または可逆的)に多孔性になるポリマー、相転移ポリマー材料、または当該分野において公知の、任意の溶解可能な金属元素であり得る。
【0046】
レンズは、レンズ表面を曲げるために、流体浸透可能な平面内に適合性光学構造体の複数の層を保有し得ることが理解される。レンズは、レンズ表面を曲げるために、光軸に対して平行な力、および光軸に対して直交性の力の両方を付与するように作動する、単一のレンズ内で作動する、適合性の光学構造体を保有し得る。レンズは、非常に微細な調節または可逆的な調節を可能にするように、レンズの表面を反対方向に曲げるために、層状の適合性光学構造体を保有し得る。1つの好ましい実施形態において、適合性光学構造体は、走査された光源と協調するように、個々のアドレスまたは座標と間隔を空けられ得、ここで、別個の適合性光学形態の数は、約100ほど少ない数から、数百万ほどの大きい数までの範囲に及び得る。別の好ましい実施形態において、レンズ内の物質の層は、その任意の位置または領域の標的化を可能にするために、その任意の位置において「適合性」であり得る。
【0047】
別の実施形態において、眼内レンズは、波面感作システム(例えば、Shack Hartmanシステム)と組み合わせられ得、レンズ内の光行差のコンピュータ制御可能な接続を可能にする。
【0048】
当業者は、例示的な実施形態およびその説明が、概して、本発明を例示するのみであり、エネルギー送達の間隔の制御におけるバリエーションが、本発明の精神内および範囲内でなされ得ることを理解する。本発明の特定の特徴は、いくつかの図面において示され得るがその他の図面では示されず、そしてこれは、本発明に従う別のものと組合せられ得る、便宜上、唯一かつ任意の特徴である。
【0049】
本発明の原理は、例示的な実施形態において明瞭にされたが、構造、配置、比率、要素および材料の改変物、ならびに特定の環境および動作要件に特に適合される他のものが、本発明の原理から逸脱することなく、本発明の実施において利用され得ることは、当業者に明らかである。添付の特許請求の範囲は、このような改変のいずれかおよび全てを網羅および包含し、本発明の真の範囲、精神および範囲を唯一制限するものであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】図1Aは、反射ミラー面の外側にアクチュエータを有する天体望遠鏡についての、変形可能なミラーの分野において公知であるようなAO(適合性光学素子)の概念図である。
【図1B】図1Bは、本発明に対応するAO(適合性光学素子)構造体の1つの実施形態における、レンズの内部平面に、透明な、屈折率が一致した軟質ポリマーの配置構造体またはアクチュエータを備える、レンズ要素(例えば、IOLまたはコンタクトレンズ)の概略表現である。
【図2】図2は、本発明に対応するAO(適合性光学素子)構造体を備える内部平面または相を備える、「A」型眼内レンズ(IOL)の一部分の、概略斜視切取図である。
【図3】図3は、適合性光学IOLまたはコンタクトレンズを製造する方法を説明するために、レンズの構成要素が嵌合していない、図2のIOLの断面図である。
【図4】図4は、AO構造体および形状記憶ポリマーの軟質ポリマー配置構造体をより良好に図示する、図3のIOLの一部分の拡大図である。
【図5A】図5Aは、図4の軟質アクチュエータを大いに拡大した図であり、この図は、配置構造体の作動を示し、この構造体の寸法は、局在した光エネルギーの適用に応答して、一時的な形状と記憶形状との間で評価可能に変化されるために、変化されている。
【図5B】図5Bは、適用されるエネルギーのレベルに依存して、より局所的またはより全体的のいずれかの形状変化のために適合される、図5Aのものに類似の軟質アクチュエータの拡大図である。
【図6A】図6Aは、成型された記憶形状にある、適合性配置構造体を備えるレンズの、内部相の一部分、およびその作製方法の断面図である。
【図6B】図6Bは、適合性配置構造体が、AMPの安定な一時的形状に二次的に成型されている、図6Aの内部相の部分の断面図である。
【図6C】図6Cは、レンズの内部空間における、図6A〜6Bの内部相部分の断面図である。
【図7】図7は、前レンズ表面の形状改変を示す、図6Cのレンズの断面図である。
【図8】図8は、第一および第二の形状および体積が可能な、流体を満たされた配置構造体を備えるレンズの、代替の内部相の一部分の断面図である。
【図9】図9は、環状SM適合性構成要素を、ゲル流体レンズコアを備えるレンズの内部の周囲に有する、代替の「A」型レンズの分解断面図である。
【図10】図10は、図9に類似の別のレンズの実施形態の分解図であり、ここで、環状SMP構成要素は、形状変化を引き起こすために、ポリマーマトリックス内の内部流体を配置するように適合されており、ここで、この流体とポリマーとの組み合わせは、アクチュエータまたは配置構造体を構成する。
【図11】図11は、環状SMP構成要素を備える、図9に類似の別のレンズの断面図である。
【図12】図12は、図8A〜8Cのものに類似の内部相を有する、「B」型レンズの概略図であり、ここで、流体を満たされた配置構造体が、これらの配置構造体と連絡するフローチャネル内の犠牲要素によって作動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの視力の処置における、球面収差または高次収差の矯正のためのレンズであって、
レンズ本体であって、該レンズ本体は、光軸、第一の表面層および第二の表面層、ならびに内部相を規定し、該内部相は、少なくとも1つの表面層に隣接して広がっている、レンズ本体;ならびに
複数の配置構造体であって、該配置構造体は、該レンズ本体の該内部相における横領域にわたって固定されたパターンで位置決めされている、複数の配置構造体、
を備え、
該配置構造体は、該配置構造体の位置において、該レンズ本体の光学特性を変化させるように、個々に作動可能であり、そして該配置構造体は、高次収差を矯正することを可能にする、選択された縮尺を有する、レンズ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレンズ表面が、前記配置構造体の作動に応答した形状の変化を可能にするように弾性である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記第一のレンズ表面および第二のレンズ表面が、前記内部相を囲んでいる、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記第一の表面層と第二の表面層との両方が、弾性である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記第一の表面層および第二の表面層、ならびに前記内部相が、同じ屈折率を有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
前記配置構造体が、前記内部相の面にわたって配置されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記配置構造体が、二次元格子内に配置されている、請求項6に記載のレンズ。
【請求項8】
前記配置構造体が、前記内部相の対応する表面の間に位置決めされている、請求項7に記載のレンズ。
【請求項9】
前記配置構造体が、適用されるエネルギーに応答して、選択された機能パラメータを変化させる媒体を含有し、該パラメータが、体積、形状、多孔性、密度、および内圧からなるクラスから選択される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記媒体が、適用される光に応答して、前記パラメータを変化させる、請求項9に記載のレンズ。
【請求項11】
前記媒体が、形状記憶ポリマーである、請求項9に記載のレンズ。
【請求項12】
前記媒体が、適用されるエネルギーに応答して、膨潤または収縮するヒドロゲルである、請求項9に記載のレンズ。
【請求項13】
前記媒体が、流体であり、該流体は、該流体に隣接する形状変化材料に適用されるエネルギーに応答して体積を変化可能である、請求項9に記載のレンズ。
【請求項14】
前記媒体が、安定に圧縮または拡張されてエネルギーを保存し、該エネルギーは、適用されるエネルギーに応答して放出される、請求項9に記載のレンズ。
【請求項15】
前記媒体が、発色団を保有し、該発色団は、所定の波長の光を選択的に吸収する、請求項10に記載のレンズ。
【請求項16】
視力矯正レンズの光学特性を調整するための方法であって、該方法は、
該レンズの本体における配置要素のサブパターンに、エネルギーを選択的に適用する工程、
を包含し、
該配置要素は、該エネルギーに個々に応答して、適合性要素のサブパターンの位置において、該レンズの光学特性を調整する、方法。
【請求項17】
前記適用されるエネルギーが、光エネルギーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記選択的に適用する工程が、エネルギービームを、個々の配置要素に選択的に方向付ける工程を包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
視力矯正レンズにおいて、高次収差を矯正するための方法であって、該方法は、
レンズ本体を提供する工程であって、該レンズ本体は、光軸、第一の表面層および第二の表面層、ならびに内部相を規定し、該内部相は、少なくとも1つの表面層に隣接して広がっており、そして配置構造体のパターンが、該レンズ本体の該内部相の横領域にわたって固定されたパターンで配置されており、該配置構造体は、高次収差を矯正することを可能にする縮尺を有する、工程;ならびに
エネルギーを、該レンズ本体における標的化された媒体要素のパターンに選択的に適用する工程であって、該媒体要素は、該エネルギーに個々に応答し、これによって、個々の配置構造体における圧力を変化させる、工程、
を包含し、
該圧力を変化させる工程は、該配置構造体の位置において、レンズの光学特性を調整する、方法。
【請求項20】
前記エネルギーを選択的に適用する工程が、形状変化要素にエネルギーを適用する工程を包含し、これによって、前記配置構造体における圧力を変化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エネルギーを選択的に適用する工程が、前記配置構造体の内部と流体連絡する犠牲要素にエネルギーを提供して、該配置構造体における圧力を低下させる工程を包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
ヒトの視力の処置における、球面収差または高次収差の矯正のためのレンズであって、
レンズ本体であって、該レンズ本体は、光軸、第一の表面層および第二の表面層、ならびに内部相を規定し、該内部相は、少なくとも1つの表面層に隣接して広がっている、レンズ本体;ならびに
複数の配置構造体であって、該配置構造体は、該レンズ本体の該内部相における横領域にわたって固定されたパターンで位置決めされている、複数の配置構造体、
を備え、
該配置構造体は、該配置構造体の位置において、該レンズ本体の光学特性を変化させるように、個々に作動可能であり、そして該配置構造体は、高次収差を矯正することを可能にする、選択された縮尺を有する、レンズ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレンズ表面が、前記配置構造体の作動に応答した形状の変化を可能にするように弾性である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記第一のレンズ表面および第二のレンズ表面が、前記内部相を囲んでいる、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記第一の表面層と第二の表面層との両方が、弾性である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記第一の表面層および第二の表面層、ならびに前記内部相が、同じ屈折率を有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
前記配置構造体が、前記内部相の面にわたって配置されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記配置構造体が、二次元格子内に配置されている、請求項6に記載のレンズ。
【請求項8】
前記配置構造体が、前記内部相の対応する表面の間に位置決めされている、請求項7に記載のレンズ。
【請求項9】
前記配置構造体が、適用されるエネルギーに応答して、選択された機能パラメータを変化させる媒体を含有し、該パラメータが、体積、形状、多孔性、密度、および内圧からなるクラスから選択される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記媒体が、適用される光に応答して、前記パラメータを変化させる、請求項9に記載のレンズ。
【請求項11】
前記媒体が、形状記憶ポリマーである、請求項9に記載のレンズ。
【請求項12】
前記媒体が、適用されるエネルギーに応答して、膨潤または収縮するヒドロゲルである、請求項9に記載のレンズ。
【請求項13】
前記媒体が、流体であり、該流体は、該流体に隣接する形状変化材料に適用されるエネルギーに応答して体積を変化可能である、請求項9に記載のレンズ。
【請求項14】
前記媒体が、安定に圧縮または拡張されてエネルギーを保存し、該エネルギーは、適用されるエネルギーに応答して放出される、請求項9に記載のレンズ。
【請求項15】
前記媒体が、発色団を保有し、該発色団は、所定の波長の光を選択的に吸収する、請求項10に記載のレンズ。
【請求項16】
視力矯正レンズの光学特性を調整するための方法であって、該方法は、
該レンズの本体における配置要素のサブパターンに、エネルギーを選択的に適用する工程、
を包含し、
該配置要素は、該エネルギーに個々に応答して、適合性要素のサブパターンの位置において、該レンズの光学特性を調整する、方法。
【請求項17】
前記適用されるエネルギーが、光エネルギーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記選択的に適用する工程が、エネルギービームを、個々の配置要素に選択的に方向付ける工程を包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
視力矯正レンズにおいて、高次収差を矯正するための方法であって、該方法は、
レンズ本体を提供する工程であって、該レンズ本体は、光軸、第一の表面層および第二の表面層、ならびに内部相を規定し、該内部相は、少なくとも1つの表面層に隣接して広がっており、そして配置構造体のパターンが、該レンズ本体の該内部相の横領域にわたって固定されたパターンで配置されており、該配置構造体は、高次収差を矯正することを可能にする縮尺を有する、工程;ならびに
エネルギーを、該レンズ本体における標的化された媒体要素のパターンに選択的に適用する工程であって、該媒体要素は、該エネルギーに個々に応答し、これによって、個々の配置構造体における圧力を変化させる、工程、
を包含し、
該圧力を変化させる工程は、該配置構造体の位置において、レンズの光学特性を調整する、方法。
【請求項20】
前記エネルギーを選択的に適用する工程が、形状変化要素にエネルギーを適用する工程を包含し、これによって、前記配置構造体における圧力を変化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エネルギーを選択的に適用する工程が、前記配置構造体の内部と流体連絡する犠牲要素にエネルギーを提供して、該配置構造体における圧力を低下させる工程を包含する、請求項19に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−517447(P2006−517447A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503363(P2006−503363)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/003397
【国際公開番号】WO2004/072689
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505298342)パワービジョン, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/003397
【国際公開番号】WO2004/072689
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505298342)パワービジョン, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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