遮光性を向上させたドレープカーテン
【課題】簡単な構造で美しいドレープを十分生かすこと、窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること、簡単な製造方法で形成できることのできるドレープカーテンを提供すること。
【解決手段】カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにし、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したこと。
【解決手段】カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにし、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンに関し、特に、開けたたときも閉めたときも縦方向のドレープが美しく形成され、しかも閉めたときの遮光性を向上させたドレープカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドレープカーテンは、ドレープと呼ばれる「襞」を形成する方法によって、次の二種類に大別できる。一つのタイプは、カーテンの上部をつまんでこれを縫製等によって固定化した「タック部分」を形成し、この「タック部分」の下側に「襞」を形成するものであり、他のタイプは、カーテン生地を二枚の型紙間に挟んで加熱冷却加工、つまりプリーツを掛けることによりドレープ(襞)を形成するものである。
【0003】
上記の第一タイプのドレープカーテンでは、ドレープは、タック部分の直下では美しく現れてはいるものの、中央から徐々に崩れていき、下部に至ると全く消失してしまうものであり、全体的に美しいものとはいえない。一方、第二タイプのドレープカーテンでは、各ドレープの断面形状において、「U字状部」と「逆U字状部」とが交互して連続するようにするものであり、「ドレープ」と言えばこのようなものが一般的である。
【0004】
このような「U字状部」と「逆U字状部」とが交互して連続するドレープカーテンでは、全ての部分が曲線であるため、ドレープが明確には現れない。しかも、このドレープカーテンをカーテンレールに連結するためには掛け金を取り付けなければならないが、この掛け金は、「U字状部」または「逆U字状部」となっているカーテン上部に取り付けなければならない。そうすると、カーテン自体の重さによって、カーテン上部の「U字状部」または「逆U字状部」に部分的に力が加わるため、折角形成してあるドレープを乱してしまうものである。
【0005】
一方、近年のカーテンにあっては、この種のドレープカーテンも含めて、昼間のパソコン画面の反射を少なくして見易くしたり、夜間においては部屋からの光が外に漏れないようにしたりするために、内外からの光を通さない「遮光性」に優れたものが要求されてきている。
【0006】
カーテンの「遮光性」を高めるためには、「カーテン生地」自体を厚手のものとしたり遮光性に優れた材料からなるものとすることが当然考えられるが、「カーテン生地」自体を遮光性に優れたものとするだけでは、カーテンを閉めたたきの遮光性が十分確保できない。何故なら、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に隙間ができれば、ここから光が漏れてしまうからである。このような、カーテンの遮光性を考慮した技術としては、例えば特許文献1〜特許文献3に示されたようなものがある。
【0007】
特許文献1に記載された発明は、「遮光性の高いカーテンを提供する」ことを目的としてなされた「カーテン」に関するものであり、図9に示すように、「裏地11の一部を山型に突出させ、折り返された基端部31同士を基端部縫製部32で縫製し、ループ状の重合部33を形成する。この裏地11を表地12に重ね、重合部33基端より下縁22側の接合用縫製部41に沿って裏地11を表地12に縫製する。重合部33を接合用縫製部41上に重ねて配置し、重合部33先端の固定用縫製部51を裏地11に縫製する。裏地12と重合部33間に棒状部材71を設け、抜け止め用縫製部72で縫製する。そして、これらの工程を下縁22側まで繰り返す」ようにしたものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の「カーテン」では、カーテン生地自体に工夫を凝らすことによって、「表地と裏地と縫製して接合する構造上、表地と裏地を貫通するピンホールが、縫製部に沿って多数形成されてしまう。これにより、どんなに厚手の裏地を使用しても、このピンホールから光が透過してしまうこと」を防止するようにしたものであって、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間にできた隙間から光が漏れてしまうという問題を解決しているものではない。
【0009】
また、特許文献2に記載された発明は、「カーテン生地の重なり部分からの外光の洩れを防止し、かつ組み立て時の作業性を向上させ得るプリーツカーテンを提供する」ことを目的としてなされた「プリーツカーテン」に関するものであり、図10に示すように、「任意角度に屈曲可能としたヘッドボックスからカーテン生地3a,3bをそれぞれ吊下支持し、カーテン生地3a,3bの下端にボトムレールを取着し、カーテン生地3a,3bに挿通した昇降コードを操作してボトムレールを昇降することにより、カーテン生地3a,3bを昇降可能としたプリーツカーテンにおいて、カーテン生地3a,3bの重なり部において各カーテン生地の少なくともいずれかに昇降コード4b,4cを挿通し、前記昇降コード4b,4cにカーテン生地3a,3bの端部を当接させて、該カーテン生地3a,3bの前後方向の入れ替わりを規制した」ものである。
【0010】
しかしながら、この特許文献2のプリーツカーテンでは、「カーテン生地3a,3bに挿通した昇降コードを操作してボトムレールを昇降することにより、カーテン生地3a,3bを昇降可能とした」ものであり、横方向には開閉できないだけでなく、「カーテン生地3a,3bの下端にボトムレールを取着」しなければならない構造の複雑なものとなっている。
【0011】
さらに、特許文献3に記載された発明は、「表地幕体に取付けられる裏地幕体の着脱作業及び遮光性を変更する作業が簡単且つ容易に行える遮光裏地付き幕体による遮光方法及びその遮光裏地付き幕体を提供する」ことを目的としてなされた「遮光裏地付き幕体による遮光方法及びその遮光裏地付き幕体」に関するものであり、図11及び図12に示すように、「裏地カーテンBを、略1.5倍仕様又は略2倍仕様の表地カーテンAの裏面側に重ね合わせた後、吊下げ具4を構成する吊下げ具本体5の吊下げ部5cを、表地カーテンAの差込み部Aa…及びその差込み部Aa…と連通する裏地カーテンBの孔部Ba…に差込み、表地カーテンA及び裏地カーテンBの上縁部に沿って所定間隔に隔てて取付けられた吊下げ具4…を、カーテンレール2に挿入されたランナー3…に吊下げる。且つ、遮光用の裏地カーテンBを、略1.5倍仕様又は略2倍仕様の表地カーテンAに兼用して取付け、表地カーテンAの遮光性を変更する」ようにしたものである。
【0012】
しかしながら、この特許文献3のカーテンでも、上記特許文献1に記載されたカーテンと同様に、「カーテン生地から光が透過してしまうこと」を防止するようにしたものであって、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間にできた隙間から光が漏れてしまうという問題を解決しているものではない。
【特許文献1】特開2003−339521号公報、要約、代表図
【特許文献2】特開2003−41869号公報、要約、代表図
【特許文献3】特開2005−260号公報、要約、代表図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上の通り、「カーテン」における「遮光性」を考慮した技術は種々存在しているが、いずれも、
(1)簡単な構造で美しいドレープを十分生かすこと
(2)窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成できること
については意を用いておらず、十分な遮光性を有するカーテンとはなっていないと考えられる。
【0014】
そこで、本発明者等は、少なくとも上記した(1)〜(3)の点を達成することのできるカーテンとするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0015】
すなわち、本発明の目的とするところは、
(1)簡単な構造で美しいドレープを十分生かすこと
(2)窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成できること
のできるドレープカーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテン10において、
少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したことを特徴とするドレープカーテン10」
である。
【0017】
すなわち、この請求項1に係るドレープカーテン10は、まず、各ドレープ11にタック部分を形成しないようにするとともに、これら各ドレープ11を一般的なプリーツ加工によって形成するものであるが、これらドレープ11を多数連続させた断面形状を、サイクロイド曲線状態となるようにしたものである。サイクロイド曲線は、ある平面上を一つの円が接しながら転動するとき、この円上の一点が描く軌跡を言うものであるが、本発明に係るドレープカーテン10では、図2に示すように、多数のドレープ11が連続している断面形状をこのサイクロイド曲線に近似したものとしてあるのである。
【0018】
このようなドレープ11を形成するには、例えば二枚の型紙に、谷折りプリーツ加工線12に対応する谷折り部を形成し、これらの谷折り部間に、谷折り部とは反対側に湾曲する湾曲部を形成しておいて、これらの型紙内にカーテン生地を挟み込んで、通常のプリーツ加工を行うことにより、簡単に行えるものである。なお、「谷折り」とは、図1に示すように、当該ドレープカーテン10を部屋側からみたときに凹んだ部分となる折り方である。
【0019】
このようにしたドレープカーテン10を展開したときには、図1の左側に示すように、窓30側に凹んだ各谷折りプリーツ加工線12には言わば「影」ができるため、各谷折りプリーツ加工線12及びこれによって区切られたドレープ11が非常にはっきりと、しかも美しく見えることになるのである。また、このドレープカーテン10を、図1の右側に示すように閉じたときには、各谷折りプリーツ加工線12が窓30側に凹んでいるし、各谷折りプリーツ加工線12間に位置するカーテン生地には、各谷折りプリーツ加工線12とは反対側(部屋側)に湾曲する湾曲プリーツが掛けてあるから、全てのドレープ11はその中央が部屋側に突出するように湾曲して部屋内の照明を反射するものであり、その存在が消失することなく現れたままの状態を維持するのである。
【0020】
勿論、このドレープカーテン10は、窓30の内側上部に設けたカーテンレール20に吊下しなければならないが、そのためのタック部分を形成する必要がないことは当然として、吊下のための掛け金13は、図2及び図3に示すように、各谷折りプリーツ加工線12の外側面(窓30側となる面であって、部屋側からは見えない面)の上部(谷折りプリーツ加工線12の上端から2〜3cm直下、またはここから2〜3cm横部分)に取り付ければよいものとなっている。つまり、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に吊下するに当たって、その自重が各谷折りプリーツ加工線12に掛かるようにするのであり、これら谷折りプリーツ加工線12によって区切られている各ドレープ11に直接力が加わらないようにするのである。これにより、当該ドレープカーテン10を掛け金13を利用してカーテンレール20に吊下したとき、各ドレープ11にはその形状を乱す力が加わらないから、各ドレープ11が形崩れすることはないのである。
【0021】
ところで、窓30の幅は近年では種々なものになってきており、また、カーテン生地の幅の種類は、数種類用意されてはいても、固定された一定のものとなっている。このようなカーテン生地は、裁断するという無駄な作業をできるだけ避けて、効率的に使用しなければならない現状にある。この点について、本発明のドレープカーテン10は、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けるようにしているため、各ドレープ11がその寸法差を十分吸収し、カーテン生地の裁断を行わなくてもよいものとなっているのである。
【0022】
そして、この請求項1に係るドレープカーテン10において重要なことは、図1〜図5に示すように、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したことである。
【0023】
この重畳部10aは、側端に位置するドレープ11に連続して形成したものであり、この重畳部10aについてもプリーツが掛けられるのである。この重畳部10aに掛けられるプリーツは、当該ドレープカーテン10を図1の左側に示すように開けたとき、図3にも示すように、当該重畳部10aがカーテンレール20と平行になるように掛けられるのであり、また、当該重畳部10a全体には湾曲プリーツではなく平面プリーツが掛けられるものである。そして、この重畳部10aの内端縁には、隣接するドレープ11との境界部分に、当該重畳部10aがカーテンレール20と平行になるようにする平行折りプリーツ加工線12aが積極的に掛けられるものであり、これにより、当該重畳部10aに隣接するドレープ11の美しさを損なわないようにしてある。
【0024】
勿論、各重畳部10aの縦方向の長さは各ドレープ11のそれと同一となるようにしてあり、横方向の幅は、後述する最良形態の場合、3〜5cmになるようにしてある。また、この重畳部10aは、例えば図1に示すように、一つの窓30を互いに対向する2枚のドレープカーテン10によって覆うようにした場合、各ドレープカーテン10の先端側(互いに対向し合う端)に形成すれば十分であるが、窓30を構成している壁側にも形成して実施してもよいものである。換言すれば、当該ドレープカーテン10が十分な幅を有する場合には、壁側になるドレープ11によって壁との間の隙間が覆われるから、壁側の重畳部10aは必要ではないのであるが、互いに対向する部分では、光を通さないようにするための重畳部を形成しなければならないのである。
【0025】
また、重畳部10aの直近に位置する谷折りプリーツ加工線12の上端部近傍には、掛け金13が必ず取り付けなければならないことも当然である。そうでなければ、重畳部10aとこれに隣接するドレープ11の上端が垂れ下がってしまうからである。なお、各掛け金13は、当該ドレープカーテン10の上端から5mm程度下側に取り付けられることが、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に対して隙間無く取り付けるために有利となる。
【0026】
以上のように、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成することにより、各ドレープカーテン10を閉めたとき、図3に示すように、各重畳部10aが互いに重なり合い、また窓30の壁側についても、この重畳部10aによって光を通さないようにされるから、当該ドレープカーテン10は十分な遮光を行うものである。
【0027】
なお、各ドレープカーテン10の先端に位置する各掛け金13は、磁石が内蔵されているものが使用され、各ドレープカーテン10を閉めたときに互いに吸着し合うようにしたものが多い。このような掛け金13を使用したとき、一般的なカーテンであれば、その先端が互いに当接し合うように思われるが、カーテン生地自体は可撓性を有しているものであるから、実際には隙間ができてしまう。この点、本発明に係るドレープカーテン10では、その端部に重畳部10aが存在しているのであるから、これらの重畳部10aが、図3に示すように、各掛け金13の吸着時に互いに重なり合い、光が通過するような隙間は完全に埋められる、つまり遮光されるのである。
【0028】
従って、この請求項1に係るドレープカーテン10は、各ドレープ11が常にはっきりして美しく見えて、ドレープ11の乱れを生じさせていたタック部分を形成する必要もなく、しかも開いたときも閉じたときも、ドレープ11の美しさを現すことができるものであるだけでなく、閉めたときの隙間発生を各重畳部10aによって完全に阻止することができて、非常に高い遮光性を有したものとなっているのである。
【0029】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のドレープカーテン10について、
「重畳部10aに、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に設けた固定部16に取り付けられる固定部16を設けたこと」
である。
【0030】
すなわち、この請求項2に係るドレープカーテン10では、図4に示すように、重畳部10aに、面ファスナーや磁石、あるいはホック等の固定部16を設けたものであり、この固定部16によって重畳した各重畳部10aが簡単には離れないようにしたものである。勿論、ドレープカーテン10自体にはその端部に重畳部10aが形成してあったから、この重畳部10aが、各ドレープ11の形状を乱すことなく固定部16の取付場所を提供しているのである。
【0031】
このような固定部16を有したドレープカーテン10は、重畳した各重畳部10aが離れないのであるから、窓30を開けて空気の出入りを許容するようにした場合であっても、十分な遮光をすることになるものである。同様に、窓30を閉めている場合であって、部屋内のエアコンからの風を大きくした場合であっても、固定部16によって重畳した各重畳部10aが離れないのであるから、十分な遮光が行えるものである。
【0032】
従って、この請求項2に係るドレープカーテン10では、上記請求項1のそれと同様な作用を発揮する他、窓30を開けたときも、エアコンを強く作動させたときも、十分な遮光性を有したものとなっているのである。
【0033】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載のドレープカーテン10について、
「重畳部10aを、芯材10bを有したものとすることにより、ドレープ11より硬質なものとしたこと」
である。
【0034】
すなわち、この請求項3のドレープカーテン10にあっては、図5に示すように、その重畳部10aが芯材10bを有したものとしたものである。この芯材10bは、重畳部10aを構成している生地を図5に示したように三巻してこれを逢着することにより構成してもよく、重畳部10aを袋状に形成しておいて、この袋内に別の材料からなる芯材10bを、当該ドレープカーテン10の窓30に設置する前に挿入するように実施してもよいものである。さらには、この芯材10bとして磁力を帯びさせた鉄板にしてもよいものである。
【0035】
以上のように、当該ドレープカーテン10の重畳部10aが芯材10bを有したものとすることにより、当該重畳部10aはその重畳作用が確実となるような剛性を有したものとなり、重畳部10a本来の遮光性を十分なものとすることができるのである。
【0036】
従って、この請求項3に係るドレープカーテン10は、上記請求項1または請求項2のそれと同様な機能を発揮する他、その芯材10bの剛性によって重畳部10aの遮光性がより一層高まったものとなっているのである。
【発明の効果】
【0037】
以上説明した通り、本発明においては、
「カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテン10において、
少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したこと」
にその主たる特徴があり、これにより、本発明は、
(1)簡単な構造で美しいドレープ11を十分生かすこと
(2)窓30に対して横開できるカーテン10を閉めたときの、カーテン10同士あるいはカーテン10と窓30を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成すること
のできるドレープカーテン10を提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態であるドレープカーテン10について説明するが、この最良形態のドレープカーテン10は、図1〜図3に示した実施例1と、図4に示した実施例2と、図5に示した実施例3と、図6に示した実施例4と、図6〜図8に示した実施例5とがあるので、以下各実施例順に説明して行くこととする。
【実施例1】
【0039】
図1には、本発明に係るドレープカーテン10を、窓30の左側では開いて、また窓30の右側では閉じている状態が示してある。勿論、これらのドレープカーテン10は、カーテンレール20に吊下されていて、多数のドレープ11〜11が上下方向に位置している。
【0040】
このドレープカーテン10においては、図1及び図2に示したように、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置するカーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより、断面がサイクロイド曲線状態となるようにしてある。
【0041】
また、このドレープカーテン10においては、両端に位置する各ドレープ11の端部に重畳部10aが一体的に形成してあり、この重畳部10aと隣接するドレープ11との間には平行折りプリーツ加工線12aが形成してある。この平行折りプリーツ加工線12aは、当該ドレープカーテン10を広げたとき、重畳部10aがカーテンレール20と略平行になるようにするものであり、上述した谷折りプリーツ加工線12より少し「谷折り」状態を緩くしたものである。勿論、各重畳部10aに対しては「平面プリーツ」、つまり当該重畳部10aが平らになるようなプリーツが掛けられるものである。
【0042】
さて、このドレープカーテン10は、次のようにして形成した。まず、幅が90cmである一枚のガラス窓を覆うものとしてのドレープカーテン10を製造するために、ポリエステル繊維からなり、幅が150cmのカーテン生地を用意し、これを二枚の型紙内に挟み込んで、蒸気釜内に挿入した。勿論、各型紙には、谷折りプリーツ加工線12に対応する凹みと、各凹み間にドレープ11に対応する湾曲、そして両端のドレープ11に隣接する平行折りプリーツ加工線12aに対応する凹みが形成してあるし、一つの蒸気釜内には、二枚の型紙内に挟み込んだカーテン生地の多数が挿入されるものである。以上のようにした状態で、約105℃の温度で約20分間蒸気加熱して20分間真空にし、蒸気釜から取り出した。
【0043】
これによって完成したドレープカーテン10は、これを机の上に広げたとき、図2に示した区切り幅Sが11.1〜11.2cmとなり、各ドレープ11の高さHは、約5cmであり、全体の幅は約100cmであった。また、各重畳部10aの幅は、5cmであった。そして、このドレープカーテン10を8回洗濯したときの区切り幅S及び高さHは、それぞれ、11.1cm、5cmであって、新品状態と殆ど変化がなく、耐洗濯性が非常に高いものとなっていた。勿論、各重畳部10aの幅は5cmのままであった。
【0044】
特に、本最良形態のドレープカーテン10については、自然状態に置いたときの各ドレープ11の区切りSを、7.8〜15.5cmの範囲で行い、湾曲プリーツを掛けた部分の高さHを、2.0〜5.0cmの範囲で行うようにしている。各ドレープ11の区切り幅(スパン)Sを、7.8〜15.5cmの範囲で行うようにしたのは、まず、この区切り幅Sが7.8cmより小さいと、各ドレープ11が明確に見えないとともに、カーテン生地として幅が特殊なもの(通常提供されてはいないもの)が必要になるからである。逆に、この区切り幅Sが15.5cmより大きいと、ドレープカーテン10としての体をなさないだけでなく、掛け金13によってカーテンレール20に吊下したとき、ダラリとしたものとなって、美しさがなくなるからである。
【0045】
また、各ドレープ11の湾曲プリーツを掛けた部分の高さHを、2.0〜5.0cmの範囲で行ったのは、まず、2.0cmより低いと、各谷折りプリーツ加工線12を永続性のあるもとすることができないだけでなく、そのような浅い谷折りプリーツ加工線12を形成したときには、これによってできる「影」が薄くて小さく、美しい形態のドレープ11とすることができないからである。一方、各ドレープ11の湾曲プリーツを掛けた部分の高さHが5.0cmより大きいと、カーテン生地として幅が特殊なものが必要になるからだけでなく、掛け金13によってカーテンレール20に吊下したとき、ダラリとしたものとなって、美しさがなくなるからである。
【0046】
また、各谷折りプリーツ加工線12及び重畳部10aの直近に位置する平行折りプリーツ加工線12aの上端部近傍には、図1〜図3に示したように、窓30の内側上部に水平状に設けたカーテンレール20に対して当該ドレープカーテン10を吊下するための掛け金13が取り付けてある。特に、重畳部10aの直近に位置する平行折りプリーツ加工線12aの上端部近傍に取り付けた掛け金13は、重畳部10aとこれに隣接するドレープ11の上端が垂れ下がってしまうことがないようにするものである。なお、各掛け金13は、当該ドレープカーテン10の上端から5mm程度下側に取り付けられることが、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に対して隙間無く取り付けるために有利となる。
【実施例2】
【0047】
図4には実施例2に係るドレープカーテン10の部分正面図が示してあるが、この実施例2では、各重畳部10aに固定部16を設けるようにしたものである。この固定部16は、面ファスナー、磁石、チャック、あるいはホック等種々なものが採用できるが、要するに、重畳した各重畳部10a同士を互いに固定できるものであれば何であってもよい。本最良形態では、部分的な複数の面ファスナーを、各重畳部10aの同一位置であって互いに対向し得る部分に設けてある。
【実施例3】
【0048】
図5には、実施例3に係るドレープカーテン10の部分横断面図が示してあるが、この実施例3では、各重畳部10a内に芯材10bを介在させることにより、当該重畳部10aの剛性が、ドレープカーテン10の他の部分より少し大きくなるようにしたものである。この芯材10bとしては、図5に示したように、ドレープカーテン10の生地そのものを重畳部10aにて三巻することにより、この重畳部10a内に存在するカーテン生地によって構成するのが最も簡単でよいが、他の材料を使用して実施てもよいことは前述した通りである。
【0049】
勿論、この重畳部10a内に入れられる芯材10bを、磁化させた鉄板によって形成すれば、この芯材10bの磁力を、実施例2で示した固定部16と実質的な機能を発揮させることができるから、固定部16を省略することや、簡単に形成できるという意味から有利となる。
【実施例4】
【0050】
図6には、実施例4に係るドレープカーテン10が示してあるが、このドレープカーテン10においては、谷折りプリーツ加工線12の裏面側に取り付けられる掛け金13の近傍に位置してカーテンレール20と平行となる位置の前面に、装飾材または装飾布14を取り付けるようにしている。
【0051】
すなわち、この実施例4に係るドレープカーテン10は、図6に示したように、これをカーテンレール20に掛け金13によって吊下するにあたり、各掛け金13とは反対側(部屋側)となる部分に、装飾材または装飾布14を取り付けたものであり、この装飾材または装飾布14によって、当該ドレープカーテン10を長期間使用することによって「くびれ」が発生した場合に、これを隠せるようにしたものである。
【0052】
一般に、ドレープカーテン10を構成しているカーテン生地が重量のあるものであったり、長期間使用した場合には、ドレープカーテン10自体の重力が各掛け金13近傍に直接掛かることになり、各掛け金13近傍で少し「くびれる」場合がある。このくびれによる線が、掛け金13の各位置に対応して横方向に並ぶと、縦方向の各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12とはそぐわないことになる。このため、この実施例4のドレープカーテン10では、そのくびれによる線が発生し易い部分に装飾材または装飾布14を予め取り付けておくことにより、仮にこの「くれれ線」が発生したとしても、各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12に違和感を与えないようにしているのである。
【0053】
装飾材または装飾布14としては、上記くびれ線を隠すことができて各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12と調和するものであれば何んであってもよいが、フリル等のボリュームのある布や「くびれ」そのものを発生しにくい厚手の布等を使用するのが効果的である。
【0054】
従って、この実施例4に係るドレープカーテン10は、仮に各掛け金13近傍にくびれ線が生じたとしても、これを目立たないようにし、各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12による美しさを長期間維持し得るものとなっているのである。
【実施例5】
【0055】
図7及び図8には、実施例5に係るドレープカーテン10が示してあるが、このドレープカーテン10においては、各ドレープ11及び重畳部10aとの区切りを、上端が途切れた状態でカーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aにより行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより、断面がサイクロイド曲線状態となるようにし、さらに、谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aの上端に、これから左右へ上方に向けて広がる谷折りプリーツ分散線15aを形成することにより、各谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aの上端に吊下重力を分散させるための略三角形の分散部15を形成するように実施したものである。
【0056】
各分散部15は、図8に拡大して示すように、各谷折りプリーツ加工線12の上端から左右へ上方に向けて広がる谷折りプリーツ分散線15aによって区画されるものであり、図5にも示すように、略逆三角形状のものである。各谷折りプリーツ分散線15aは、谷折りプリーツ加工線12をプリーツ加工する際に同時に形成されるものであるが、谷折りプリーツ加工線12と同様な「谷折り」であってもよいし、逆の「山折り」であってもよいものである。そして、これら各分散部15の裏面に、図8中の点線にて示すように、各掛け金13が取付けられるのであり、その取付け位置は各谷折りプリーツ加工線12の直上が最も効果的である。
【0057】
このような分散部15が各谷折りプリーツ加工線12の上端に位置していることによって、当該ドレープカーテン10全体の重量による「くびれ線」形成の力は、両谷折りプリーツ分散線15aによって左右に分散され、当該分散部15の裏面に取付けてある掛け金13に集中することがなくなる。つまり、各分散部15によって、当該ドレープカーテン10の上部に「くびれ線」が形成されることがないのである。
【0058】
従って、この実施例5に係るドレープカーテン10も、各ドレープ11及び谷折りプリーツ加工線12による美しさを長期間にわたって維持し得るものとなっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1に係るドレープカーテンの正面図である。
【図2】同ドレープカーテンの部分拡大断面図である。
【図3】同ドレープカーテンの二枚を窓の内側に展開したときの横断面図である。
【図4】実施例2に係るドレープカーテンの部分斜視図である。
【図5】実施例3に係るドレープカーテンの部分拡大横断面図である。
【図6】本発明の実施例4に係るドレープカーテンの正面図である。
【図7】本発明の実施例5に係るドレープカーテンの正面図である。
【図8】図7中の1−1線部の部分拡大正面図である。
【図9】従来の技術を示す斜視図である。
【図10】従来の他の技術を示す斜視図である。
【図11】従来のさらに別の技術を示す拡大縦断面図である。
【図12】図11に示した従来カーテンの正面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 ドレープカーテン
10a 重畳部
10b 芯材
11 ドレープ
12 谷折りプリーツ加工線
12a 平行折りプリーツ加工線
13 掛け金
14 装飾材または装飾布
15 分散部
15a 谷折りプリーツ分散線
16 固定部
20 カーテンレール
30 窓
S 区切り幅
H 高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンに関し、特に、開けたたときも閉めたときも縦方向のドレープが美しく形成され、しかも閉めたときの遮光性を向上させたドレープカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドレープカーテンは、ドレープと呼ばれる「襞」を形成する方法によって、次の二種類に大別できる。一つのタイプは、カーテンの上部をつまんでこれを縫製等によって固定化した「タック部分」を形成し、この「タック部分」の下側に「襞」を形成するものであり、他のタイプは、カーテン生地を二枚の型紙間に挟んで加熱冷却加工、つまりプリーツを掛けることによりドレープ(襞)を形成するものである。
【0003】
上記の第一タイプのドレープカーテンでは、ドレープは、タック部分の直下では美しく現れてはいるものの、中央から徐々に崩れていき、下部に至ると全く消失してしまうものであり、全体的に美しいものとはいえない。一方、第二タイプのドレープカーテンでは、各ドレープの断面形状において、「U字状部」と「逆U字状部」とが交互して連続するようにするものであり、「ドレープ」と言えばこのようなものが一般的である。
【0004】
このような「U字状部」と「逆U字状部」とが交互して連続するドレープカーテンでは、全ての部分が曲線であるため、ドレープが明確には現れない。しかも、このドレープカーテンをカーテンレールに連結するためには掛け金を取り付けなければならないが、この掛け金は、「U字状部」または「逆U字状部」となっているカーテン上部に取り付けなければならない。そうすると、カーテン自体の重さによって、カーテン上部の「U字状部」または「逆U字状部」に部分的に力が加わるため、折角形成してあるドレープを乱してしまうものである。
【0005】
一方、近年のカーテンにあっては、この種のドレープカーテンも含めて、昼間のパソコン画面の反射を少なくして見易くしたり、夜間においては部屋からの光が外に漏れないようにしたりするために、内外からの光を通さない「遮光性」に優れたものが要求されてきている。
【0006】
カーテンの「遮光性」を高めるためには、「カーテン生地」自体を厚手のものとしたり遮光性に優れた材料からなるものとすることが当然考えられるが、「カーテン生地」自体を遮光性に優れたものとするだけでは、カーテンを閉めたたきの遮光性が十分確保できない。何故なら、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に隙間ができれば、ここから光が漏れてしまうからである。このような、カーテンの遮光性を考慮した技術としては、例えば特許文献1〜特許文献3に示されたようなものがある。
【0007】
特許文献1に記載された発明は、「遮光性の高いカーテンを提供する」ことを目的としてなされた「カーテン」に関するものであり、図9に示すように、「裏地11の一部を山型に突出させ、折り返された基端部31同士を基端部縫製部32で縫製し、ループ状の重合部33を形成する。この裏地11を表地12に重ね、重合部33基端より下縁22側の接合用縫製部41に沿って裏地11を表地12に縫製する。重合部33を接合用縫製部41上に重ねて配置し、重合部33先端の固定用縫製部51を裏地11に縫製する。裏地12と重合部33間に棒状部材71を設け、抜け止め用縫製部72で縫製する。そして、これらの工程を下縁22側まで繰り返す」ようにしたものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の「カーテン」では、カーテン生地自体に工夫を凝らすことによって、「表地と裏地と縫製して接合する構造上、表地と裏地を貫通するピンホールが、縫製部に沿って多数形成されてしまう。これにより、どんなに厚手の裏地を使用しても、このピンホールから光が透過してしまうこと」を防止するようにしたものであって、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間にできた隙間から光が漏れてしまうという問題を解決しているものではない。
【0009】
また、特許文献2に記載された発明は、「カーテン生地の重なり部分からの外光の洩れを防止し、かつ組み立て時の作業性を向上させ得るプリーツカーテンを提供する」ことを目的としてなされた「プリーツカーテン」に関するものであり、図10に示すように、「任意角度に屈曲可能としたヘッドボックスからカーテン生地3a,3bをそれぞれ吊下支持し、カーテン生地3a,3bの下端にボトムレールを取着し、カーテン生地3a,3bに挿通した昇降コードを操作してボトムレールを昇降することにより、カーテン生地3a,3bを昇降可能としたプリーツカーテンにおいて、カーテン生地3a,3bの重なり部において各カーテン生地の少なくともいずれかに昇降コード4b,4cを挿通し、前記昇降コード4b,4cにカーテン生地3a,3bの端部を当接させて、該カーテン生地3a,3bの前後方向の入れ替わりを規制した」ものである。
【0010】
しかしながら、この特許文献2のプリーツカーテンでは、「カーテン生地3a,3bに挿通した昇降コードを操作してボトムレールを昇降することにより、カーテン生地3a,3bを昇降可能とした」ものであり、横方向には開閉できないだけでなく、「カーテン生地3a,3bの下端にボトムレールを取着」しなければならない構造の複雑なものとなっている。
【0011】
さらに、特許文献3に記載された発明は、「表地幕体に取付けられる裏地幕体の着脱作業及び遮光性を変更する作業が簡単且つ容易に行える遮光裏地付き幕体による遮光方法及びその遮光裏地付き幕体を提供する」ことを目的としてなされた「遮光裏地付き幕体による遮光方法及びその遮光裏地付き幕体」に関するものであり、図11及び図12に示すように、「裏地カーテンBを、略1.5倍仕様又は略2倍仕様の表地カーテンAの裏面側に重ね合わせた後、吊下げ具4を構成する吊下げ具本体5の吊下げ部5cを、表地カーテンAの差込み部Aa…及びその差込み部Aa…と連通する裏地カーテンBの孔部Ba…に差込み、表地カーテンA及び裏地カーテンBの上縁部に沿って所定間隔に隔てて取付けられた吊下げ具4…を、カーテンレール2に挿入されたランナー3…に吊下げる。且つ、遮光用の裏地カーテンBを、略1.5倍仕様又は略2倍仕様の表地カーテンAに兼用して取付け、表地カーテンAの遮光性を変更する」ようにしたものである。
【0012】
しかしながら、この特許文献3のカーテンでも、上記特許文献1に記載されたカーテンと同様に、「カーテン生地から光が透過してしまうこと」を防止するようにしたものであって、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間にできた隙間から光が漏れてしまうという問題を解決しているものではない。
【特許文献1】特開2003−339521号公報、要約、代表図
【特許文献2】特開2003−41869号公報、要約、代表図
【特許文献3】特開2005−260号公報、要約、代表図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上の通り、「カーテン」における「遮光性」を考慮した技術は種々存在しているが、いずれも、
(1)簡単な構造で美しいドレープを十分生かすこと
(2)窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成できること
については意を用いておらず、十分な遮光性を有するカーテンとはなっていないと考えられる。
【0014】
そこで、本発明者等は、少なくとも上記した(1)〜(3)の点を達成することのできるカーテンとするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0015】
すなわち、本発明の目的とするところは、
(1)簡単な構造で美しいドレープを十分生かすこと
(2)窓に対して横開できるカーテンを閉めたときの、カーテン同士あるいはカーテンと窓を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成できること
のできるドレープカーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテン10において、
少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したことを特徴とするドレープカーテン10」
である。
【0017】
すなわち、この請求項1に係るドレープカーテン10は、まず、各ドレープ11にタック部分を形成しないようにするとともに、これら各ドレープ11を一般的なプリーツ加工によって形成するものであるが、これらドレープ11を多数連続させた断面形状を、サイクロイド曲線状態となるようにしたものである。サイクロイド曲線は、ある平面上を一つの円が接しながら転動するとき、この円上の一点が描く軌跡を言うものであるが、本発明に係るドレープカーテン10では、図2に示すように、多数のドレープ11が連続している断面形状をこのサイクロイド曲線に近似したものとしてあるのである。
【0018】
このようなドレープ11を形成するには、例えば二枚の型紙に、谷折りプリーツ加工線12に対応する谷折り部を形成し、これらの谷折り部間に、谷折り部とは反対側に湾曲する湾曲部を形成しておいて、これらの型紙内にカーテン生地を挟み込んで、通常のプリーツ加工を行うことにより、簡単に行えるものである。なお、「谷折り」とは、図1に示すように、当該ドレープカーテン10を部屋側からみたときに凹んだ部分となる折り方である。
【0019】
このようにしたドレープカーテン10を展開したときには、図1の左側に示すように、窓30側に凹んだ各谷折りプリーツ加工線12には言わば「影」ができるため、各谷折りプリーツ加工線12及びこれによって区切られたドレープ11が非常にはっきりと、しかも美しく見えることになるのである。また、このドレープカーテン10を、図1の右側に示すように閉じたときには、各谷折りプリーツ加工線12が窓30側に凹んでいるし、各谷折りプリーツ加工線12間に位置するカーテン生地には、各谷折りプリーツ加工線12とは反対側(部屋側)に湾曲する湾曲プリーツが掛けてあるから、全てのドレープ11はその中央が部屋側に突出するように湾曲して部屋内の照明を反射するものであり、その存在が消失することなく現れたままの状態を維持するのである。
【0020】
勿論、このドレープカーテン10は、窓30の内側上部に設けたカーテンレール20に吊下しなければならないが、そのためのタック部分を形成する必要がないことは当然として、吊下のための掛け金13は、図2及び図3に示すように、各谷折りプリーツ加工線12の外側面(窓30側となる面であって、部屋側からは見えない面)の上部(谷折りプリーツ加工線12の上端から2〜3cm直下、またはここから2〜3cm横部分)に取り付ければよいものとなっている。つまり、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に吊下するに当たって、その自重が各谷折りプリーツ加工線12に掛かるようにするのであり、これら谷折りプリーツ加工線12によって区切られている各ドレープ11に直接力が加わらないようにするのである。これにより、当該ドレープカーテン10を掛け金13を利用してカーテンレール20に吊下したとき、各ドレープ11にはその形状を乱す力が加わらないから、各ドレープ11が形崩れすることはないのである。
【0021】
ところで、窓30の幅は近年では種々なものになってきており、また、カーテン生地の幅の種類は、数種類用意されてはいても、固定された一定のものとなっている。このようなカーテン生地は、裁断するという無駄な作業をできるだけ避けて、効率的に使用しなければならない現状にある。この点について、本発明のドレープカーテン10は、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けるようにしているため、各ドレープ11がその寸法差を十分吸収し、カーテン生地の裁断を行わなくてもよいものとなっているのである。
【0022】
そして、この請求項1に係るドレープカーテン10において重要なことは、図1〜図5に示すように、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したことである。
【0023】
この重畳部10aは、側端に位置するドレープ11に連続して形成したものであり、この重畳部10aについてもプリーツが掛けられるのである。この重畳部10aに掛けられるプリーツは、当該ドレープカーテン10を図1の左側に示すように開けたとき、図3にも示すように、当該重畳部10aがカーテンレール20と平行になるように掛けられるのであり、また、当該重畳部10a全体には湾曲プリーツではなく平面プリーツが掛けられるものである。そして、この重畳部10aの内端縁には、隣接するドレープ11との境界部分に、当該重畳部10aがカーテンレール20と平行になるようにする平行折りプリーツ加工線12aが積極的に掛けられるものであり、これにより、当該重畳部10aに隣接するドレープ11の美しさを損なわないようにしてある。
【0024】
勿論、各重畳部10aの縦方向の長さは各ドレープ11のそれと同一となるようにしてあり、横方向の幅は、後述する最良形態の場合、3〜5cmになるようにしてある。また、この重畳部10aは、例えば図1に示すように、一つの窓30を互いに対向する2枚のドレープカーテン10によって覆うようにした場合、各ドレープカーテン10の先端側(互いに対向し合う端)に形成すれば十分であるが、窓30を構成している壁側にも形成して実施してもよいものである。換言すれば、当該ドレープカーテン10が十分な幅を有する場合には、壁側になるドレープ11によって壁との間の隙間が覆われるから、壁側の重畳部10aは必要ではないのであるが、互いに対向する部分では、光を通さないようにするための重畳部を形成しなければならないのである。
【0025】
また、重畳部10aの直近に位置する谷折りプリーツ加工線12の上端部近傍には、掛け金13が必ず取り付けなければならないことも当然である。そうでなければ、重畳部10aとこれに隣接するドレープ11の上端が垂れ下がってしまうからである。なお、各掛け金13は、当該ドレープカーテン10の上端から5mm程度下側に取り付けられることが、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に対して隙間無く取り付けるために有利となる。
【0026】
以上のように、少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成することにより、各ドレープカーテン10を閉めたとき、図3に示すように、各重畳部10aが互いに重なり合い、また窓30の壁側についても、この重畳部10aによって光を通さないようにされるから、当該ドレープカーテン10は十分な遮光を行うものである。
【0027】
なお、各ドレープカーテン10の先端に位置する各掛け金13は、磁石が内蔵されているものが使用され、各ドレープカーテン10を閉めたときに互いに吸着し合うようにしたものが多い。このような掛け金13を使用したとき、一般的なカーテンであれば、その先端が互いに当接し合うように思われるが、カーテン生地自体は可撓性を有しているものであるから、実際には隙間ができてしまう。この点、本発明に係るドレープカーテン10では、その端部に重畳部10aが存在しているのであるから、これらの重畳部10aが、図3に示すように、各掛け金13の吸着時に互いに重なり合い、光が通過するような隙間は完全に埋められる、つまり遮光されるのである。
【0028】
従って、この請求項1に係るドレープカーテン10は、各ドレープ11が常にはっきりして美しく見えて、ドレープ11の乱れを生じさせていたタック部分を形成する必要もなく、しかも開いたときも閉じたときも、ドレープ11の美しさを現すことができるものであるだけでなく、閉めたときの隙間発生を各重畳部10aによって完全に阻止することができて、非常に高い遮光性を有したものとなっているのである。
【0029】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のドレープカーテン10について、
「重畳部10aに、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に設けた固定部16に取り付けられる固定部16を設けたこと」
である。
【0030】
すなわち、この請求項2に係るドレープカーテン10では、図4に示すように、重畳部10aに、面ファスナーや磁石、あるいはホック等の固定部16を設けたものであり、この固定部16によって重畳した各重畳部10aが簡単には離れないようにしたものである。勿論、ドレープカーテン10自体にはその端部に重畳部10aが形成してあったから、この重畳部10aが、各ドレープ11の形状を乱すことなく固定部16の取付場所を提供しているのである。
【0031】
このような固定部16を有したドレープカーテン10は、重畳した各重畳部10aが離れないのであるから、窓30を開けて空気の出入りを許容するようにした場合であっても、十分な遮光をすることになるものである。同様に、窓30を閉めている場合であって、部屋内のエアコンからの風を大きくした場合であっても、固定部16によって重畳した各重畳部10aが離れないのであるから、十分な遮光が行えるものである。
【0032】
従って、この請求項2に係るドレープカーテン10では、上記請求項1のそれと同様な作用を発揮する他、窓30を開けたときも、エアコンを強く作動させたときも、十分な遮光性を有したものとなっているのである。
【0033】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載のドレープカーテン10について、
「重畳部10aを、芯材10bを有したものとすることにより、ドレープ11より硬質なものとしたこと」
である。
【0034】
すなわち、この請求項3のドレープカーテン10にあっては、図5に示すように、その重畳部10aが芯材10bを有したものとしたものである。この芯材10bは、重畳部10aを構成している生地を図5に示したように三巻してこれを逢着することにより構成してもよく、重畳部10aを袋状に形成しておいて、この袋内に別の材料からなる芯材10bを、当該ドレープカーテン10の窓30に設置する前に挿入するように実施してもよいものである。さらには、この芯材10bとして磁力を帯びさせた鉄板にしてもよいものである。
【0035】
以上のように、当該ドレープカーテン10の重畳部10aが芯材10bを有したものとすることにより、当該重畳部10aはその重畳作用が確実となるような剛性を有したものとなり、重畳部10a本来の遮光性を十分なものとすることができるのである。
【0036】
従って、この請求項3に係るドレープカーテン10は、上記請求項1または請求項2のそれと同様な機能を発揮する他、その芯材10bの剛性によって重畳部10aの遮光性がより一層高まったものとなっているのである。
【発明の効果】
【0037】
以上説明した通り、本発明においては、
「カーテンレール20に吊下されて多数のドレープ11が上下方向となり、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行い、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、各谷折りプリーツ12及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテン10において、
少なくとも先端に位置するドレープ11の縦端部に、他のドレープカーテン10側の重畳部10aまたは窓30を構成している壁に重なる重畳部10aを形成したこと」
にその主たる特徴があり、これにより、本発明は、
(1)簡単な構造で美しいドレープ11を十分生かすこと
(2)窓30に対して横開できるカーテン10を閉めたときの、カーテン10同士あるいはカーテン10と窓30を構成している壁との間に光が漏れる隙間ができないようにすること
(3)簡単な製造方法で形成すること
のできるドレープカーテン10を提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態であるドレープカーテン10について説明するが、この最良形態のドレープカーテン10は、図1〜図3に示した実施例1と、図4に示した実施例2と、図5に示した実施例3と、図6に示した実施例4と、図6〜図8に示した実施例5とがあるので、以下各実施例順に説明して行くこととする。
【実施例1】
【0039】
図1には、本発明に係るドレープカーテン10を、窓30の左側では開いて、また窓30の右側では閉じている状態が示してある。勿論、これらのドレープカーテン10は、カーテンレール20に吊下されていて、多数のドレープ11〜11が上下方向に位置している。
【0040】
このドレープカーテン10においては、図1及び図2に示したように、各ドレープ11の区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12により行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置するカーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより、断面がサイクロイド曲線状態となるようにしてある。
【0041】
また、このドレープカーテン10においては、両端に位置する各ドレープ11の端部に重畳部10aが一体的に形成してあり、この重畳部10aと隣接するドレープ11との間には平行折りプリーツ加工線12aが形成してある。この平行折りプリーツ加工線12aは、当該ドレープカーテン10を広げたとき、重畳部10aがカーテンレール20と略平行になるようにするものであり、上述した谷折りプリーツ加工線12より少し「谷折り」状態を緩くしたものである。勿論、各重畳部10aに対しては「平面プリーツ」、つまり当該重畳部10aが平らになるようなプリーツが掛けられるものである。
【0042】
さて、このドレープカーテン10は、次のようにして形成した。まず、幅が90cmである一枚のガラス窓を覆うものとしてのドレープカーテン10を製造するために、ポリエステル繊維からなり、幅が150cmのカーテン生地を用意し、これを二枚の型紙内に挟み込んで、蒸気釜内に挿入した。勿論、各型紙には、谷折りプリーツ加工線12に対応する凹みと、各凹み間にドレープ11に対応する湾曲、そして両端のドレープ11に隣接する平行折りプリーツ加工線12aに対応する凹みが形成してあるし、一つの蒸気釜内には、二枚の型紙内に挟み込んだカーテン生地の多数が挿入されるものである。以上のようにした状態で、約105℃の温度で約20分間蒸気加熱して20分間真空にし、蒸気釜から取り出した。
【0043】
これによって完成したドレープカーテン10は、これを机の上に広げたとき、図2に示した区切り幅Sが11.1〜11.2cmとなり、各ドレープ11の高さHは、約5cmであり、全体の幅は約100cmであった。また、各重畳部10aの幅は、5cmであった。そして、このドレープカーテン10を8回洗濯したときの区切り幅S及び高さHは、それぞれ、11.1cm、5cmであって、新品状態と殆ど変化がなく、耐洗濯性が非常に高いものとなっていた。勿論、各重畳部10aの幅は5cmのままであった。
【0044】
特に、本最良形態のドレープカーテン10については、自然状態に置いたときの各ドレープ11の区切りSを、7.8〜15.5cmの範囲で行い、湾曲プリーツを掛けた部分の高さHを、2.0〜5.0cmの範囲で行うようにしている。各ドレープ11の区切り幅(スパン)Sを、7.8〜15.5cmの範囲で行うようにしたのは、まず、この区切り幅Sが7.8cmより小さいと、各ドレープ11が明確に見えないとともに、カーテン生地として幅が特殊なもの(通常提供されてはいないもの)が必要になるからである。逆に、この区切り幅Sが15.5cmより大きいと、ドレープカーテン10としての体をなさないだけでなく、掛け金13によってカーテンレール20に吊下したとき、ダラリとしたものとなって、美しさがなくなるからである。
【0045】
また、各ドレープ11の湾曲プリーツを掛けた部分の高さHを、2.0〜5.0cmの範囲で行ったのは、まず、2.0cmより低いと、各谷折りプリーツ加工線12を永続性のあるもとすることができないだけでなく、そのような浅い谷折りプリーツ加工線12を形成したときには、これによってできる「影」が薄くて小さく、美しい形態のドレープ11とすることができないからである。一方、各ドレープ11の湾曲プリーツを掛けた部分の高さHが5.0cmより大きいと、カーテン生地として幅が特殊なものが必要になるからだけでなく、掛け金13によってカーテンレール20に吊下したとき、ダラリとしたものとなって、美しさがなくなるからである。
【0046】
また、各谷折りプリーツ加工線12及び重畳部10aの直近に位置する平行折りプリーツ加工線12aの上端部近傍には、図1〜図3に示したように、窓30の内側上部に水平状に設けたカーテンレール20に対して当該ドレープカーテン10を吊下するための掛け金13が取り付けてある。特に、重畳部10aの直近に位置する平行折りプリーツ加工線12aの上端部近傍に取り付けた掛け金13は、重畳部10aとこれに隣接するドレープ11の上端が垂れ下がってしまうことがないようにするものである。なお、各掛け金13は、当該ドレープカーテン10の上端から5mm程度下側に取り付けられることが、当該ドレープカーテン10をカーテンレール20に対して隙間無く取り付けるために有利となる。
【実施例2】
【0047】
図4には実施例2に係るドレープカーテン10の部分正面図が示してあるが、この実施例2では、各重畳部10aに固定部16を設けるようにしたものである。この固定部16は、面ファスナー、磁石、チャック、あるいはホック等種々なものが採用できるが、要するに、重畳した各重畳部10a同士を互いに固定できるものであれば何であってもよい。本最良形態では、部分的な複数の面ファスナーを、各重畳部10aの同一位置であって互いに対向し得る部分に設けてある。
【実施例3】
【0048】
図5には、実施例3に係るドレープカーテン10の部分横断面図が示してあるが、この実施例3では、各重畳部10a内に芯材10bを介在させることにより、当該重畳部10aの剛性が、ドレープカーテン10の他の部分より少し大きくなるようにしたものである。この芯材10bとしては、図5に示したように、ドレープカーテン10の生地そのものを重畳部10aにて三巻することにより、この重畳部10a内に存在するカーテン生地によって構成するのが最も簡単でよいが、他の材料を使用して実施てもよいことは前述した通りである。
【0049】
勿論、この重畳部10a内に入れられる芯材10bを、磁化させた鉄板によって形成すれば、この芯材10bの磁力を、実施例2で示した固定部16と実質的な機能を発揮させることができるから、固定部16を省略することや、簡単に形成できるという意味から有利となる。
【実施例4】
【0050】
図6には、実施例4に係るドレープカーテン10が示してあるが、このドレープカーテン10においては、谷折りプリーツ加工線12の裏面側に取り付けられる掛け金13の近傍に位置してカーテンレール20と平行となる位置の前面に、装飾材または装飾布14を取り付けるようにしている。
【0051】
すなわち、この実施例4に係るドレープカーテン10は、図6に示したように、これをカーテンレール20に掛け金13によって吊下するにあたり、各掛け金13とは反対側(部屋側)となる部分に、装飾材または装飾布14を取り付けたものであり、この装飾材または装飾布14によって、当該ドレープカーテン10を長期間使用することによって「くびれ」が発生した場合に、これを隠せるようにしたものである。
【0052】
一般に、ドレープカーテン10を構成しているカーテン生地が重量のあるものであったり、長期間使用した場合には、ドレープカーテン10自体の重力が各掛け金13近傍に直接掛かることになり、各掛け金13近傍で少し「くびれる」場合がある。このくびれによる線が、掛け金13の各位置に対応して横方向に並ぶと、縦方向の各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12とはそぐわないことになる。このため、この実施例4のドレープカーテン10では、そのくびれによる線が発生し易い部分に装飾材または装飾布14を予め取り付けておくことにより、仮にこの「くれれ線」が発生したとしても、各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12に違和感を与えないようにしているのである。
【0053】
装飾材または装飾布14としては、上記くびれ線を隠すことができて各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12と調和するものであれば何んであってもよいが、フリル等のボリュームのある布や「くびれ」そのものを発生しにくい厚手の布等を使用するのが効果的である。
【0054】
従って、この実施例4に係るドレープカーテン10は、仮に各掛け金13近傍にくびれ線が生じたとしても、これを目立たないようにし、各ドレープ11や谷折りプリーツ加工線12による美しさを長期間維持し得るものとなっているのである。
【実施例5】
【0055】
図7及び図8には、実施例5に係るドレープカーテン10が示してあるが、このドレープカーテン10においては、各ドレープ11及び重畳部10aとの区切りを、上端が途切れた状態でカーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aにより行うとともに、各谷折りプリーツ加工線12間に位置する前記カーテン生地に、谷折りプリーツ加工線12とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより、断面がサイクロイド曲線状態となるようにし、さらに、谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aの上端に、これから左右へ上方に向けて広がる谷折りプリーツ分散線15aを形成することにより、各谷折りプリーツ加工線12及び平行折りプリーツ加工線12aの上端に吊下重力を分散させるための略三角形の分散部15を形成するように実施したものである。
【0056】
各分散部15は、図8に拡大して示すように、各谷折りプリーツ加工線12の上端から左右へ上方に向けて広がる谷折りプリーツ分散線15aによって区画されるものであり、図5にも示すように、略逆三角形状のものである。各谷折りプリーツ分散線15aは、谷折りプリーツ加工線12をプリーツ加工する際に同時に形成されるものであるが、谷折りプリーツ加工線12と同様な「谷折り」であってもよいし、逆の「山折り」であってもよいものである。そして、これら各分散部15の裏面に、図8中の点線にて示すように、各掛け金13が取付けられるのであり、その取付け位置は各谷折りプリーツ加工線12の直上が最も効果的である。
【0057】
このような分散部15が各谷折りプリーツ加工線12の上端に位置していることによって、当該ドレープカーテン10全体の重量による「くびれ線」形成の力は、両谷折りプリーツ分散線15aによって左右に分散され、当該分散部15の裏面に取付けてある掛け金13に集中することがなくなる。つまり、各分散部15によって、当該ドレープカーテン10の上部に「くびれ線」が形成されることがないのである。
【0058】
従って、この実施例5に係るドレープカーテン10も、各ドレープ11及び谷折りプリーツ加工線12による美しさを長期間にわたって維持し得るものとなっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1に係るドレープカーテンの正面図である。
【図2】同ドレープカーテンの部分拡大断面図である。
【図3】同ドレープカーテンの二枚を窓の内側に展開したときの横断面図である。
【図4】実施例2に係るドレープカーテンの部分斜視図である。
【図5】実施例3に係るドレープカーテンの部分拡大横断面図である。
【図6】本発明の実施例4に係るドレープカーテンの正面図である。
【図7】本発明の実施例5に係るドレープカーテンの正面図である。
【図8】図7中の1−1線部の部分拡大正面図である。
【図9】従来の技術を示す斜視図である。
【図10】従来の他の技術を示す斜視図である。
【図11】従来のさらに別の技術を示す拡大縦断面図である。
【図12】図11に示した従来カーテンの正面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 ドレープカーテン
10a 重畳部
10b 芯材
11 ドレープ
12 谷折りプリーツ加工線
12a 平行折りプリーツ加工線
13 掛け金
14 装飾材または装飾布
15 分散部
15a 谷折りプリーツ分散線
16 固定部
20 カーテンレール
30 窓
S 区切り幅
H 高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールに吊下されて多数のドレープが上下方向となり、前記各ドレープの区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線により行い、各谷折りプリーツ加工線間に位置する前記カーテン生地に、前記谷折りプリーツ加工線とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、前記各谷折りプリーツ及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテンにおいて、
少なくとも先端に位置する前記ドレープの縦端部に、他のドレープカーテン側の重畳部または窓を構成している壁に重なる重畳部を形成したことを特徴とするドレープカーテン。
【請求項2】
前記重畳部に、他のドレープカーテン側の重畳部または窓を構成している壁に設けた固定部に取り付けられる固定部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のドレープカーテン。
【請求項3】
前記重畳部を、芯材を有したものとすることにより、前記ドレープより硬質なものとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドレープカーテン。
【請求項1】
カーテンレールに吊下されて多数のドレープが上下方向となり、前記各ドレープの区切りを、カーテン生地の縦方向に形成した谷折りプリーツ加工線により行い、各谷折りプリーツ加工線間に位置する前記カーテン生地に、前記谷折りプリーツ加工線とは反対側に湾曲する湾曲プリーツを掛けることにより横断面がサイクロイド曲線状態となるようにして、前記各谷折りプリーツ及び湾曲プリーツの全ての部分にタック部分を形成しないで済むようにしたドレープカーテンにおいて、
少なくとも先端に位置する前記ドレープの縦端部に、他のドレープカーテン側の重畳部または窓を構成している壁に重なる重畳部を形成したことを特徴とするドレープカーテン。
【請求項2】
前記重畳部に、他のドレープカーテン側の重畳部または窓を構成している壁に設けた固定部に取り付けられる固定部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のドレープカーテン。
【請求項3】
前記重畳部を、芯材を有したものとすることにより、前記ドレープより硬質なものとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドレープカーテン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−135915(P2007−135915A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334721(P2005−334721)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(300068409)株式会社パルソーイング (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(300068409)株式会社パルソーイング (1)
【Fターム(参考)】
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