説明

遮光用ブラインド及びその製造方法

【課題】遮光用ブラインドにおいて、ストリングと遮光膜の連結状態を堅固かつ安定的に維持できるようにする。
【解決手段】遮光用ブラインドは、内部空間部22が形成されている遮光膜20と、遮光膜20の内部空間部22内に収容されている連結ストリング30と、遮光膜20の内部空間部22を貫通し、連結ストリング30の外周面を交差しながら包むように連結されている調節ストリング40とを含んでおり、調節ストリング40の引き操作によって連結ストリング30を連動させて遮光膜20の開閉状態を調節できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮光用ブラインド及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、遮光膜を通じて光を選択的に遮断することができる遮光用ブラインド及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ブラインド(blind)は建物の窓や出口などに設けられて遮光機能を果たし、また、遮光機能の他に装飾性が加えられ、その形態がだんだん多様化されてきている。
【0003】
このようなブラインドは、その開閉状態によって遮光の程度を調節できるようになっている。
【0004】
従来の遮光用ブラインドは、遮光膜と、遮光膜に連結され、引き(pulling)操作によって遮光膜を開閉させて遮光の程度を調節するストリング(String)とを有している。このような構造のブラインドが特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第0911052号公報
【特許文献2】韓国登録特許第0912862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような遮光用ブラインドでは、ストリングの動作に遮光膜を連動させるためにストリングを遮光膜に密に製織するか、あるいはストリングを遮光膜に熱融着して連結させている。
【0007】
しかし、ストリングを遮光膜に製織して連結させる場合、ストリングに過度な力が加えられると、ストリングと遮光膜の製織状態に問題が生じてストリングが抜けてしまい、ストリングを遮光膜に熱融着して連結させる場合も同様に、ストリングと遮光膜の融着面積が相対的に小さいため、過度な力が加えられるか、あるいは外部の温度変化によって、融着部位が外れ、ストリングが本来の機能を果たせなくなるという問題が生じる場合がある。
【0008】
そして、ストリングが単糸からなっているため、過度な力が加えられるか、長時間使用すると、切れる可能性が高く、かつ、ストリングの連結部位が外部に露出されるので、見た目が良くない。
【0009】
これは、結局、遮光用ブラインドの機能性及び使用性はもちろん、装飾性を低下させる結果を招いてしまう。
【0010】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであって、ストリングと遮光膜の連結状態を堅固かつ安定的に維持することはもちろん、その連結部位が外部に露出されない遮光用ブラインド及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による遮光用ブラインドは、内部空間部が形成されている遮光膜と、前記内部空間部内に収容されている連結ストリングと、前記内部空間部を貫通し、前記連結ストリングと連結されている調節ストリングとを含み、前記調節ストリングは、複数本からなり、前記連結ストリングの外周面を交差しながら包むように連結され、前記調節ストリングの引き(pulling)操作によって前記連結ストリングを連動させて前記遮光膜の開閉状態を調節できるようになっていることをその技術的特徴とする。
【0012】
前記連結ストリングは前記内部空間部内に上下方向に並んで複数個配置されていることが好ましい。
【0013】
前記調節ストリングは第1調節ストリングと第2調節ストリングとからなり、前記連結ストリングの外周面を交差しながら包むように連結されていることが好ましい。
【0014】
前記調節ストリングは前記遮光膜の後方に位置することが好ましい。
【0015】
前記内部空間部は、前記遮光膜を形成する多数の経糸が下側一領域で二方向に分離され、該多数の経糸の端部がまとめて製織されることによって形成されていることが好ましい。
【0016】
そして、本発明による遮光用ブラインドの製造方法は、遮光膜に内部空間部を形成する段階と、複数本の調節ストリングを前記内部空間部に供給する段階と、前記内部空間部内に連結ストリングを供給する段階と、前記調節ストリングが前記連結ストリングの外周面を交差しながら包むように製織を行う段階とを含むことにその技術的特徴がある。
【0017】
前記連結ストリングは前記内部空間部内に上下方向に並んで複数本供給され、前記複数本の連結ストリングの各々の外周面を前記調節ストリングが交差しながら包むように製織が行われることが好ましい。
【0018】
前記調節ストリングは第1調節ストリングと第2調節ストリングとからなり、前記複数個の連結ストリングのうちの一つである第1連結ストリングが前記第1調節ストリングの前方と前記第2調節ストリングの後方を順次通過した後、前記第1調節ストリングと前記第2調節ストリングが互いに交差され、前記第1連結ストリング隣り合う他の1つの前記連結ストリングである第2連結ストリングが前記第2調節ストリングの後方と前記第1調節ストリングの前方を順次通過した後、前記第1調節ストリングと前記第2調節ストリングが互いに交差される過程を繰り返し経ることで製織されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、調節ストリングが連結ストリングの外周面を交差しながら包む形態で連結ストリングに連結されることによって、その連結状態を相対的に堅固かつ安定的に維持させることができる。
【0020】
特に、連結ストリングが複数個配置される場合、調節ストリングの連結状態を一層強化することができる。
【0021】
そして、調節ストリングと連結ストリングの連結部位が遮光膜の内部空間部内に位置するとともに、調節ストリングが遮光膜の後方に位置することによって、遮光用ブラインドの外観を改善させることができる。
【0022】
また、遮光用ブラインドの製造方法が簡便で、生産性及び経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による遮光用ブラインドの斜視図である。
【図2】本発明による遮光用ブラインドの側面図である。
【図3】本発明による遮光用ブラインドの調節ストリング及び連結ストリングの連結構造を示した斜視図である。
【図4】本発明による遮光用ブラインドの調節ストリングが遮光膜の後方に設けられた状態を示した斜視図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4の作動状態図である。
【図7】本発明による遮光用ブラインドの製造方法を示した図である。
【図8】本発明による遮光用ブラインドの他の実施例を示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。
【0025】
図1乃至図3に示したように、本発明による遮光用ブラインド10は、内部空間部22が形成されている遮光膜20と、遮光膜20の内部空間部22上に収容されている連結ストリング30と、遮光膜20の内部空間部22を貫通し、連結ストリング30と連結されている調節ストリング40とを含んでいる。
【0026】
遮光膜20は織物からなり、外部の光を選択的に遮断する役割をする。
【0027】
遮光膜20は四角形状を有しており、上下方向に並んで複数個配置され、その開閉動作が可能なように、上端がメッシュ(mesh)構造を有するメッシュ網50に堅固に固定されている。
【0028】
遮光膜20の材質、個数及び配置形態などは必要に応じて適切に変更することができる。
【0029】
そして、遮光膜20に形成されている内部空間部22は、調節ストリング40の動作に連動する連結ストリング30の外部への離脱を防止するためのものであって、遮光膜20の下縁に沿って細長く形成されている。このような内部空間部22は、遮光膜20を形成する多数の経糸が下側一領域で二方向に分離され、それらの端部がまとめて遮光膜20の緯糸と製織されることによって形成されており、もちろん、二方向に分けられた経糸にも、それぞれ、緯糸が密に製織されている。
【0030】
また、内部空間部22の形成方法は、遮光膜20の下側を上方向に折り畳んだ状態で、その端部を製織などにより固定することによって形成したり、又は内部空間部を有する別途の織物を遮光膜の下端に連結して形成したりなど、必要に応じて多様な方法を選択的に適用することができる。
【0031】
このように遮光膜20に内部空間部22が形成されることによって、遮光膜20の重心を安定的に維持することができる上に、連結ストリング30と調節ストリング40の連結部位が外部に露出されることを防止して、ブラインド10の全体的な外観を改善することができる。
【0032】
連結ストリング30は調節ストリング40の動作に連動して、遮光膜20の開閉動作を制御する役割をし、遮光膜20の内部空間部22に沿って配置されている。
【0033】
このような連結ストリング30は調節ストリング40に対して直交するように配置されている。すなわち、連結ストリング30は水平方向に配置されており、調節ストリング40は垂直方向に配置されている。
【0034】
そして、連結ストリング30は調節ストリング40との連結状態をさらに堅固かつ安定的に維持するために、遮光膜20の内部空間部22上に上下方向に並んで複数個配置されていることが好ましい。
【0035】
一方、連結ストリング30は、耐久性などといった物的特性に優れた材質からなり、連結ストリング30としては、公知の多様な種類のものを選択的に適用することができる。
【0036】
調節ストリング40は第1調節ストリング42と第2調節ストリング44とからなり、連結ストリング30の外周面を交差しながら包むように連結され、調節ストリング40の引き(pulling)操作によって連結ストリング30を連動させ、すなわち上下方向に移動させ、それによって遮光膜20の開閉状態を調節することができるようになっている。
【0037】
このような調節ストリング40が第1および第2調節ストリング42,44からなることは一例に過ぎず、調節ストリング40の本数は連結ストリング30との連結状態を緊密に維持できる範囲内で調節可能である。
【0038】
そして、調節ストリング40は遮光膜20の前方に位置し、これにより、調節ストリング40の引き操作時に連結ストリング30によって遮光膜20の下側が前方に持ち上げられる。また、図4乃至図6に示したように、調節ストリング40が外部に露出されることを防止するために、調節ストリング40をメッシュ網50に取り付けられている遮光膜20の後方に位置させる場合には、その引き操作時に連結ストリング30によって遮光膜20の下側が後方に巻き上げられる。
【0039】
一方、符号60及び70は、ブラインド10の上端に結合される調整ボックス、調整ボックスの側面に設けられ、ブラインド10の開閉動作を制御する昇降コードをそれぞれ示したものである。
【0040】
以上説明した遮光用ブラインドの動作過程を簡単に説明すると、以下の通りである。
【0041】
まず、遮光膜20が閉まっている状態で調節ストリング40が引き操作されると、緊密に連結されている連結ストリング30が連動して上方向に移動し、このように連結ストリング30が上方向に移動することによって、遮光膜20が下側から徐々に開放される。
【0042】
逆に、遮光膜20が開放されている状態で調節ストリング40が引き操作されると、これと緊密に連結されている連結ストリング30が連動して下方向に移動し、このように連結ストリング30が下方向に移動することによって、遮光膜20が徐々に閉められる。
【0043】
このとき、連結ストリング30は、遮光膜20に一体に形成されている内部空間部22内に収容されている状態を維持するので、その動きにより遮光膜20を自然に開閉させることができる。
【0044】
図7は、本発明による遮光用ブラインドの製造方法の段階を順に示した図である。
【0045】
(1)第1段階(S1):織物からなる遮光膜20に内部空間部22を形成する段階。
このとき、内部空間部22は、遮光膜20を形成する多数の経糸が下側一領域で二方向に分離された状態で、その端部が遮光膜20の緯糸と製織されることによって形成される。また、二方向に分けられた経糸にも、それぞれ、緯糸が密に製織される。
【0046】
(2)第2段階(S2):複数本の調節ストリング40を遮光膜20の内部空間部22に貫通するように供給する段階。
このとき、調節ストリング40は第1調節ストリング42及び第2調節ストリング44からなり、第1、第2調節ストリング42,44は遮光膜20の経糸方向(垂直方向)と同一の方向に供給される。
【0047】
(3)第3段階(S3):遮光膜20の内部空間部22上に連結ストリング30を供給する段階。
このとき、連結ストリング30は一定間隔を置いて並んで遮光膜20の緯糸方向(水平方向)と同一の方向に複数本供給される。
【0048】
(4)第4段階(S4):調節ストリング40が連結ストリング30の外周面を交差しながら包むように遮光膜20の内部空間部22内で製織を行う段階。
この段階では、複数個の連結ストリング30のうち、最上端に位置する1つが第1調節ストリング42の前方と第2調節ストリング44の後方を順次通過した後、第1調節ストリング42と第2調節ストリング44が互いに交差され、その下に隣り合って位置する他の1つの連結ストリング30が第2調節ストリング44の後方と第1調節ストリング42の前方を順次通過した後、第1調節ストリング42と第2調節ストリング44が互いに交差され、このような過程を繰り返し経ることによって堅固に製織が行われる。
【0049】
このように、調節ストリング40と連結ストリング30の連結構造によって、その連結状態を安定的に維持することができる。
【0050】
一方、第1調節ストリング42と第2調節ストリング44の交差は特殊綜絖によってなされ、第1調節ストリング42及び第2調節ストリング44を最上端に位置する連結ストリング30と結合する前に特殊綜絖によって予め一回交差させると、調節ストリング40と連結ストリング30の連結状態がさらに堅固になる。
【0051】
一方、図8は本発明による遮光用ブラインドの他の実施例を示したものである。
【0052】
図8に示したように、遮光用ブラインド10は遮光膜20が一定間隔で上下に配列され、遮光膜20の両端に一対の調節ストリング40a,40bが緊密に連結されている。
【0053】
この遮光用ブラインド10は、一対の調節ストリング40a,40bを通じて遮光膜20の開閉方向を調節することができるということ以外では、調節ストリング40a,40bの連結構造を含む他の技術的構成は図1乃至図3で説明した遮光用ブラインドと同様であるため、詳しい説明は省略する。
【符号の説明】
【0054】
20 遮光膜
22 内部空間部
30 連結ストリング
40 調節ストリング
42 第1調節ストリング
44 第2調節ストリング
50 メッシュ網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間部(22)が形成されている遮光膜(20)と、
前記内部空間部(22)内に収容されている連結ストリング(30)と、
前記内部空間部(22)を貫通し、前記連結ストリング(30)と連結されている調節ストリング(40)とを含み、
前記調節ストリング(40)は、
複数本からなり、前記連結ストリング(30)の外周面を交差しながら包むように連結され、前記調節ストリング(40)の引き操作によって前記連結ストリング(30)を連動させて前記遮光膜(20)の開閉状態を調節できるようになっていることを特徴とする遮光用ブラインド。
【請求項2】
前記連結ストリング(30)は、前記内部空間部(22)内に上下方向に並んで複数個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遮光用ブラインド。
【請求項3】
前記調節ストリング(40)は、第1調節ストリング(42)と第2調節ストリング(44)とからなり、前記連結ストリング(30)の外周面を交差しながら包むように連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遮光用ブラインド。
【請求項4】
前記調節ストリング(40)は、前記遮光膜(20)の後方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の遮光用ブラインド。
【請求項5】
前記内部空間部(22)は、前記遮光膜(20)を形成する多数の経糸が下側一領域で二方向に分離され、該多数の経糸の端部がまとめて製織されることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遮光用ブラインド。
【請求項6】
遮光膜(20)に内部空間部(22)を形成する段階(S1)と、
複数本の調節ストリング(40)を前記内部空間部22に供給する段階(S2)と、
前記内部空間部(22)内に連結ストリング(30)を供給する段階(S3)と、
前記調節ストリング(40)が前記連結ストリング(30)の外周面を交差しながら包むように製織を行う段階(S4)とを含むことを特徴とする遮光用ブラインドの製造方法。
【請求項7】
前記連結ストリング(30)は、前記内部空間部(22)内に上下方向に並んで複数本供給され、前記複数本の連結ストリング(30)の各々の外周面を前記調節ストリング(40)が交差しながら包むように製織が行われることを特徴とする請求項6に記載の遮光用ブラインドの製造方法。
【請求項8】
前記調節ストリング(40)は、第1調節ストリング(42)及び第2調節ストリング(44)からなり、
前記複数本の連結ストリング(40)のうちの1つである第1連結ストリング(40)が前記第1調節ストリング(42)の前方と前記第2調節ストリング(44)の後方を順次通過した後、前記第1調節ストリング(42)と前記第2調節ストリング(44)が互いに交差され、前記第1連結ストリング(40)に隣り合う他の1つの前記連結ストリング(40)である第2連結ストリング(40)が前記第2調節ストリング(44)の後方と前記第1調節ストリング(42)の前方を順次通過した後、前記第1調節ストリング(42)と前記第2調節ストリング(44)が互いに交差される過程を繰り返し経ることで製織が行われることを特徴とする請求項7に記載の遮光用ブラインドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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