説明

遮断システム

【課題】遮断要求を送信する通信線に通信異常が発生しても、重大事故への発展を防止して安全性を確保する。
【解決手段】遮断弁ユニット20は、通信確認信号送信手段23aによって通信線3を介して操作装置10に通信確認信号を送信する。操作装置10は、通信確認信号手段13aによって通信線3を介して通信確認信号を受信すると、応答信号送信手段13bによって応答信号を遮断弁ユニット20に通信線3を介して送信する。また、遮断弁ユニット20は、応答信号受信手段23bによって通信確認信号の送信に応じた応答信号を受信しないと、通信異常判定手段21a1によって通信異常の発生と判定し、遮断制御手段21a2によって駆動手段27を制御して遮断弁26を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置からの遮断要求信号の受信に応じて遮断弁を弁閉する遮断弁ユニットを有する遮断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1等に示すガス遮断弁制御装置は、ガスを供給する供給路に設けられたガス遮断弁の弁開/弁閉を操作する操作手段を有し、利用者、作業者等による操作手段の遮断操作に応じてガス遮断弁を遮断するものである。そして、このようなガス遮断弁制御装置は、例えばガス使用開始時に弁閉操作して弁閉状態にあるガス遮断弁の下流側の配管等におけるガス漏れを検査する機能を有している。
【0003】
また、特許文献2に示すガスメータは、センターに設定されている受信機とケーブルを介して接続されており、その中の通信線が断線したときに遮断弁を作動させる機能を有している。そして、通信線の切断を検出するために、同一被覆ケーブル内に通信線と信号線とを埋設し、通信線が断線すると信号線も断線するように構成していた。
【特許文献1】特開平2−116386号公報
【特許文献2】特開2005−172500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に示す断線検出方法では、通信線のみが被覆内で断線したときは、信号線が導通していることから、断線していないと認識してしまい、自動的に遮断線を遮断できないという問題があった。即ち、遮断弁側が操作手段からの通信による遮断要求に応じて遮断する場合、通信障害の発生に応じて遮断弁を操作手段からの操作によって操作できないため、この状態で万一ガス漏れ等が発生して操作手段側でそれを検知しても、操作手段が要求した遮断要求を遮断弁側では受け取ることができず、ガス漏れを食い止めることができないため、重大な事故に発展する恐れがあった。
【0005】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、遮断要求を送信する通信線に通信異常が発生しても、重大事故への発展を防止して安全性を確保することができる遮断システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の遮断システムは、図1の基本構成図に示すように、遮断弁ユニット20と、前記遮断弁ユニット20との間で通信線3を介した双方向通信が可能に接続され且つ前記通信線3を介して遮断要求信号を前記遮断弁ユニット20に送信する操作装置10と、を有する遮断システム1において、前記遮断弁ユニット20が、遮断弁26と、前記遮断要求信号の受信に応じて前記遮断弁26を駆動する駆動手段27と、前記通信線3を介して前記操作装置10に通信確認信号を送信する通信確認信号送信手段23aと、前記通信確認信号の送信に応じた前記遮断弁ユニット20からの応答信号を受信する応答信号受信手段23bと、前記応答信号受信手段23bが前記通信確認信号の送信に応じた応答信号を受信しなかったときに通信異常の発生と判定する通信異常判定手段21a1と、前記通信異常判定手段21a1が通信異常の発生と判定したときに前記駆動手段27を制御して前記遮断弁26を遮断する遮断制御手段21a2と、を有し、前記操作装置10が、前記通信線3を介して前記通信確認信号を受信する通信確認信号手段13aと、前記通信確認信号の受信に応じて前記応答信号を前記遮断弁ユニット20に送信する応答信号送信手段13bを有することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に記載した本発明の遮断システムによれば、遮断弁ユニット20は、通信確認信号送信手段23aによって通信線3を介して操作装置10に通信確認信号を送信する。そして、操作装置10は、通信確認信号手段13aによって通信線3を介して通信確認信号を受信すると、応答信号送信手段13bによって応答信号を遮断弁ユニット20に通信線3を介して送信する。また、遮断弁ユニット20は、応答信号受信手段23bによって通信確認信号の送信に応じた応答信号を受信しないと、通信異常判定手段21a1によって通信異常の発生と判定し、遮断制御手段21a2によって駆動手段27を制御して遮断弁26を遮断する。
【0008】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の遮断システムにおいて、前記遮断弁ユニット20が、前記通信異常の発生に応じた遮断を行うか否かを示す設定情報を取得する設定情報取得手段21a3を有し、前記遮断制御手段21a2が、前記設定情報取得手段21a3によって取得した設定情報が遮断を行わないと設定されているときは、前記遮断弁26を遮断しない手段であることを特徴とする。
【0009】
上記請求項2に記載した本発明の遮断システムによれば、遮断弁ユニット20は、設定情報取得手段21a3によって設定情報を取得し、該設定情報に遮断を行わないと設定されていると、遮断制御手段21a2によって通信異常の発生に応じた遮断弁26の遮断を行わない。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、遮断弁ユニットから操作装置に通信確認信号を送信し、操作装置がその応答信号を遮断弁ユニットに送信することで、遮断弁ユニットがその応答信号の有無に基づいて通信異常の発生を検出したときに、遮断弁を遮断するようにしたことから、操作装置から通信線を介して遮断要求信号を遮断弁ユニットに送信して遮断弁を遮断するシステムにおいて、万一通信異常が発生しても、遮断弁を自動で遮断できるため、操作装置から遮断弁を遮断できずに重大事故に至る恐れを回避することができる。従って、通信異常発生中のガス漏れによる火災、ガス爆発などの重大事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0011】
請求項2に記載した本発明によれば、遮断弁ユニットが通信異常の発生に応じた遮断を行うか否かを示す設定情報を取得し、該設定情報に遮断を行わないと設定されている場合は遮断弁を遮断しないようにしたことから、設定情報を個別に設定することで、利用者の利用形態に適した条件で通信異常発生時に遮断弁を遮断できる。従って、業務用で使用する場合等の自動で遮断を行いガスの供給を停止することが不都合な場合でも対応ができるため、利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る遮断システムをガス保安システムに適用する場合の一実施形態を、図1〜図4の図面を参照して以下に説明する。
【0013】
図2において、ガス保安システム1は、宅内等に設けられる操作装置10と、ガス供給路の配管5に組み込まれ且つ操作装置10の制御等によって配管5を遮断する遮断弁ユニット20と、を有して構成している。そして、操作装置10と遮断弁ユニット20は、通信線3を介して、双方向通信可能に接続されている。操作装置10は、遮断弁ユニット20と電気的に接続されており、外部電源等から供給される電力によって動作すると共に、その電力を遮断弁ユニット20に供給している。
【0014】
操作装置10は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)11を有している。MPU11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。そして、ROM11bは、通信線3を介して遮断要求信号を前記遮断弁ユニット20に送信するための送信制御手段等の各種手段としてCPU11aを機能させるためのプログラムを記憶している。
【0015】
操作装置10はさらに、メモリ部12と、通信部13と、設定部16と、表示部17と、操作部18と、接続部19と、を有しており、MPU11と電気的に接続されている。
【0016】
メモリ部12は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、CPU11aの処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリ(EEPROM)等が用いられる。このメモリ部12には、設定情報D1が記憶される。本実施形態では、設定情報D1が通信異常発生時に遮断弁26を遮断するか否かがON/OFFで設定された設定データを有するデータ構造とする場合について説明する。
【0017】
通信部13は、図1に示す請求項中の通信確信信号受信手段13a及び応答信号送信手段13bに相当し、通信線3と電気的に接続されると共に、MPU11と電気的に接続されている。通信部13は、通信線3を介してMPU11から入力される各種電文を示す信号を遮断弁ユニット20に送信すると共に、通信線3を介して遮断弁ユニット20から受信した信号が示す電文をMPU11に出力する。
【0018】
設定部16は、設定情報D1を管理者利用者等に設定させるための設定手段であり、遮断弁ユニット20の遮断弁26を通信異常発生時に遮断するか否かがON/OFFを選択するためのディップスイッチを有している。設定部16は、操作装置10のケース本体で隠され且つシステム管理者等によってのみ操作が可能な構成となっている。設定部16は、前記ディップスイッチが操作装置10の設置時、ガス需要者からの設定変更が要求されたとき等にシステム管理者等によって設定され、MPU11によってディップスイッチの設定状態が検出される。なお、前記設定手段としては、ジャンパー線の有無等で実現するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0019】
表示部17は、MPU11と電気的に接続されており、MPU11からの要求に応じて表示が可能な構成となっている。表示部17は、図示しないが、警報器故障、停電検知、故障検知、検査中等の各々に対応したLEDの点灯によって表示状態となり、LEDの消灯によって非表示状態となる。
【0020】
操作部18は、MPU11と電気的に接続されており、利用者、作業者等に各種データの入力、選択を行わせる、ための複数の操作スイッチと、弁開スイッチと、弁閉スイッチと、を有している。操作部18は、それらの操作スイッチに対する操作に応じた操作信号をMPU11に出力する。そして、操作部18の弁開スイッチ又は弁閉スイッチが操作されると、MPU11は遮断(弁閉)要求信号又は開放(弁開)要求信号を通信線3を介して遮断弁ユニット20に送信する。
【0021】
接続部19は、公知である屋内等に設けられた警報器30等の外部機器と各種信号の送受信が可能な接続端子などが用いられる。接続部19は、MPU11と電気的に接続され、警報器30から入力されるガス漏れ検知信号等の入力信号をMPU11に出力すると共に、MPU11からの警報信号等を警報器30に出力する。
【0022】
このように構成した操作装置10のCPU11aは、外部電源等からの電力供給によって起動されると、所定のプログラムを実行することで、その電力の一部を遮断弁ユニット20に供給する。これにより、遮断弁ユニット20は起動されて動作可能状態となる。
【0023】
次に、上述した操作装置10から供給される電力によって動作する遮断弁ユニット20の概略構成の一例を、図2の図面を参照して以下に説明する。
【0024】
遮断弁ユニット20は、上述した操作装置10から供給された電力によって駆動され、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)21と、メモリ部22と、通信部23と、遮断弁26と、駆動部27と、圧力センサ28と、を有して構成しており、それらは電気的に接続されている。
【0025】
MPU21は、上述したように、CPU21aとROM21bとRAM21cとを有している。ROM21bは、CPU21aを図1に示す請求項中の通信異常判定手段21a1、遮断制御手段21a2、及び、設定情報取得出手段21a3として機能させるための通信異常制御処理プログラム等を記憶している。そして、CPU21aが通信異常制御処理プログラムを実行することで、通信異常判定手段21a1、遮断制御手段21a2、及び、設定情報取得出手段21a3として機能することになる。
【0026】
メモリ部22は、操作装置10から取得した設定情報D1等を記憶する記憶領域を有している。設定情報D1の取得方法としては、操作装置10から受信したときに取得する、操作装置10に送信要求を送信して取得するなどの種々異なる取得方法を用いることができる。
【0027】
本実施形態では、CPU21aが通信部23を介して操作装置10から受信した設定情報D1を取得しメモリ部22に記憶する。即ち、CPU21aが請求項中の図1に示す設定情報取得手段21a3として機能させることになる。そして、メモリ部22の設定情報D1は、操作装置10からの設定情報D1の受信に応じて更新されることを前提としている。また、遮断弁ユニット20に上述した操作装置10の設定部16を設けて設定することもできる。
【0028】
通信部23は、図1に示す請求項中の通信確認信号送信手段23a及び応答信号受信手段23bに相当し、上述した通信線3と電気的に接続されると共に、MPU21と電気的に接続されている。通信部23は、前記通信線3を介してMPU21から入力される各種電文を示す信号を操作装置10に送信すると共に、前記通信線3を介して操作装置10から受信した信号が示す電文をMPU21に出力する。
【0029】
遮断弁26は、駆動部27を介してMPU21に電気的に接続されており、モータ駆動方式遮断弁、ソレノイド方式遮断弁等が任意に用いられる。本実施形態では、遮断弁26としてモータ駆動方式遮断弁を用いる場合について説明する。そして、遮断弁26は、MPU21によって弁閉されると、配管5におけるガスの供給を遮断し、また、弁開されると、配管5におけるガスの供給を可能とする。駆動部27は、図1に示す請求項中の駆動手段27に相当し、MPU21からの弁閉要求に応じて遮断弁26に弁閉駆動信号を出力し、または、弁開要求に応じて遮断弁26に弁開駆動信号を出力することで、遮断弁26が駆動される。
【0030】
また、遮断弁ユニット20のCPU21aは、通信部23を介して操作装置10から遮断要求信号を受信すると、上述したように駆動部27を制御して遮断弁26を弁閉し、また、開放要求信号を受信すると、駆動部27を制御して遮断弁26を弁開する。このようにCPU21aは駆動制御手段として機能している。
【0031】
圧力センサ28は、MPU21に電気的に接続されており、配管5内の気体の空気圧の変化を感圧素子にて圧力信号に変換する機械式又は電子式のものが任意に用いられる。圧力センサ28は、遮断弁26の下流側(ガス供給側)における配管5内の圧力を感知して圧力信号をMPU21に出力する。
【0032】
次に、CPU21aが実行する故障時制御処理プログラムの一例を、図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。なお、この故障時制御処理は、CPU21aの起動に応じて実行され、CPU21aの処理終了に応じて終了することを前提としている。
【0033】
外部電源からの電力供給により起動されたCPU21aによってROM21bの通信異常制御処理プログラムが実行されると、ステップS11において、通信確認信号の送信タイミングであるか否かが判定される。なお、送信タイミングの判定方法としては、タイマーを用いたり、予め定められた日時を検出する等により送信タイミングを判定する。送信タイミングではないと判定された場合(S11でN)、この判定処理を繰り返すことで、送信タイミングを待つ。一方、送信タイミングであると判定された場合(S11でY)、ステップS12に進む。
【0034】
ステップS12において、通信確認信号を通信部23に送信させることで、操作装置10に通信確認信号を送信し、ステップS13において、その通信確認信号に応じた応答信号を通信部23で受信したか否かが判定される。応答信号を受信したと判定された場合(S13でY)、通信が正常であると見なし、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、応答信号を受信していないと判定された場合(S13でN)、通信異常が発生していると見なし、ステップS14に進む。
【0035】
ステップS14において、メモリ部22の設定情報D1にONが設定されているか否かが判定される。設定情報D1はONではないと判定された場合(S14でN)、ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。なお、本実施形態では、説明を簡単化するために、応答信号を受信できなかった場合は処理を継続するが、本発明はこれに限定するものではなく、応答信号を受信できない状態が所定時間継続した場合は遮断弁26を遮断するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0036】
また、ステップS14において、設定情報D1はONであると判定された場合(S14でY)、ステップS15において、駆動部27に弁閉が要求されることで、駆動部27によって遮断弁26が弁閉位置まで駆動され、その後処理を終了する。
【0037】
以上説明したように、図3に示す通信異常制御処理において、ステップS13が前記通信異常判定手段21a1、ステップS14が前記遮断制御手段21a2にそれぞれ相当している。
【0038】
次に、上述した構成のガス保安システム1における操作装置10及び遮断弁ユニット20の本発明に係る動作(作用)の一例を、図4の図面等を参照して以下に説明する。
【0039】
操作装置10はガス供給先の屋内等に設置されるときに、設定部16によって遮断弁ユニット20の遮断弁26を通信異常発生時に遮断するか否かが設定され、該設定部16はケース本体で隠された状態となる。そして、外部電源等からの電力供給によって起動される操作装置10は、その電力を遮断弁ユニット20に供給する。
【0040】
遮断弁ユニット20は、操作装置10から設定情報D1を取得してメモリ部22に記憶すると、操作装置10との間の通信異常の発生監視を開始する。そして、遮断弁ユニット20は、定期的又は不定期に通信確認信号を通信線3を介して操作装置10に送信する(ST1)。この通信確認信号を受信した操作装置10は、応答信号を通信線3を介して遮断弁ユニット20に送信する(ST2)。そして、遮断弁ユニット20は、その応答信号を受信すると、通信線3は正常であると判定する。
【0041】
また、遮断弁ユニット20は、次の送信タイミングになると、通信確認信号を通信線3を介して操作装置10に送信する(ST1)。そして、操作装置10がその通信確認信号を受信できない、又は、操作装置10が通信確認信号に応じた応答信号を通信線3を介して遮断弁ユニット20に送信したにもかかわらず、遮断弁ユニット20がその応答信号を受信できない(ST3)。
【0042】
この場合、遮断弁ユニット20は、通信確認信号に応じた応答信号を受信できなかった場合、通信線3は異常であると判定し、メモリ部22の設定情報D1にON(遮断する)が設定されている場合、弁閉要求を駆動部27に出力することで、遮断弁26を遮断させるため、遮断弁ユニット20の判断によって安全を確保することができる。
【0043】
また、遮断弁ユニット20は、通信線3が異常であると判定したとき、メモリ部22の設定情報にOFF(遮断しない)が設定されている場合、遮断弁26を遮断させることなく、通信異常の監視を継続する。よって、業務上の理由を優先して自動的に遮断させたくない場合は、通信異常の発生に応じた遮断弁26の遮断を回避することができる。
【0044】
以上説明したガス保安システム1によれば、遮断弁ユニット20から操作装置10に通信確認信号を送信し、操作装置10がその応答信号を遮断弁ユニット20に送信することで、遮断弁ユニット20がその応答信号の有無に基づいて通信異常の発生を検出したときに、遮断弁26を遮断するようにしたことから、操作装置10から通信線3を介して遮断要求信号を遮断弁ユニット20に送信して遮断弁26を遮断するシステムにおいて、万一通信異常が発生しても、遮断弁26を自動で遮断できるため、操作装置10から遮断弁26を遮断できずに重大事故に至る恐れを回避することができる。従って、通信異常発生中のガス漏れによる火災、ガス爆発などの重大事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0045】
また、遮断弁ユニット20が通信異常の発生に応じた遮断を行うか否かを示す設定情報D1を取得し、該設定情報D1に遮断を行わないと設定されている場合は遮断弁26を遮断しないようにしたことから、設定情報D1を個別に設定することで、利用者の利用形態に適した条件で通信異常発生時に遮断弁を遮断できる。従って、業務用で使用する場合等の自動で遮断を行いガスの供給を停止することが不都合な場合でも対応ができるため、利便性の向上を図ることができる。
【0046】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の遮断システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用したガス保安システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図3】図2中のCPUが実行する本発明に係る通信異常制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】ガス保安システムの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 遮断システム(ガス保安システム)
10 操作装置
13a 通信確認信号受信手段
13b 応答信号送信手段
20 遮断弁ユニット
21a1 通信異常判定手段(遮断弁ユニットのCPU)
21a2 遮断制御手段(遮断弁ユニットのCPU)
21a3 設定情報取得手段(遮断弁ユニットのCPU)
23a 通信確認信号送信手段
23b 応答信号受信手段
26 遮断弁
27 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断弁ユニットと、前記遮断弁ユニットとの間で通信線を介した双方向通信が可能に接続され且つ前記通信線を介して遮断要求信号を前記遮断弁ユニットに送信する操作装置と、を有する遮断システムにおいて、
前記遮断弁ユニットが、遮断弁と、前記遮断要求信号の受信に応じて前記遮断弁を駆動する駆動手段と、前記通信線を介して前記操作装置に通信確認信号を送信する通信確認信号送信手段と、前記通信確認信号の送信に応じた前記遮断弁ユニットからの応答信号を受信する応答信号受信手段と、前記応答信号受信手段が前記通信確認信号の送信に応じた応答信号を受信しなかったときに通信異常の発生と判定する通信異常判定手段と、前記通信異常判定手段が通信異常の発生と判定したときに前記駆動手段を制御して前記遮断弁を遮断する遮断制御手段と、を有し、
前記操作装置が、前記通信線を介して前記通信確認信号を受信する通信確認信号手段と、前記通信確認信号の受信に応じて前記応答信号を前記遮断弁ユニットに送信する応答信号送信手段を有することを特徴とする遮断システム。
【請求項2】
前記遮断弁ユニットが、前記通信異常の発生に応じた遮断を行うか否かを示す設定情報を取得する設定情報取得手段を有し、
前記遮断制御手段が、前記設定情報取得手段によって取得した設定情報が遮断を行わないと設定されているときは、前記遮断弁を遮断しない手段であることを特徴とする請求項1に記載の遮断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−287835(P2009−287835A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140998(P2008−140998)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】