説明

遮熱塗料組成物及びその塗膜を有する構築物

【課題】 高い遮熱性を有し、また太陽光などの熱エネルギーを効率良く反射することによって、熱エネルギーの侵入を防ぐ塗膜を形成する遮熱塗料組成物を提供する。
【解決手段】 (A)バインダー、(B)粒子径が0.5〜5.0μmの大粒径二酸化チタン粉及び(C)シリカ粉又はシリケート粉を含有する遮熱塗料組成物を用いて塗膜を形成することにより、大粒径二酸化チタン粉がシリカ粉又はシリケート粉によって表面に浮かび上がった遮熱性能に優れた塗膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い遮熱性を有し、また太陽光などの熱エネルギーを効率良く反射することによって、熱エネルギーの侵入を防ぐ遮熱塗料組成物及びその塗膜を有する構築物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光の熱エネルギーによる室内温度の上昇は、人間の感度の低下や不快感を与え、効率の低下、ミスや事故の発生を招く原因になる。これを防止する方法として従来より色による遮熱効果から、建築物の屋根、外壁などに白色系の塗料が塗装されてきた。例えば、塗料中に白色顔料使用することにより屋根、外壁の温度上昇を抑制しているが、遮熱性能を得るまでにはいたっていない(例えば、特許文献1参照。)。一方、塗膜の温度上昇と低熱伝導性を付与する方法として、塗膜中に中空球状体と白色顔料を併用した技術もあるが(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)、中空球状体自体には遮熱効果がないため、塗膜表面に露出した場合は遮熱効果が低下する。また、この場合は塗装塗膜が厚くなりやすく、かつ塗装作業が煩雑になり、経日において劣化しやすくなるなどの問題があった。以上のように、従来は塗料の色による遮熱効果や、塗膜の熱伝導性を下げるという観点からそれぞれの研究開発がなされているが、塗膜に遮熱性を有する塗料についてはまだ提案されていない。
【特許文献1】特開平2−185572号公報
【特許文献2】特開2004−10903号公報
【特許文献3】特開2001−220502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、高い遮熱性を有し、また太陽光などの熱エネルギーを効率良く反射することによって、熱エネルギーの侵入を防ぐ遮熱塗料組成物及びその塗膜を有する構築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、このような問題に鑑み鋭意研究の結果、塗料中に大粒径二酸化チタン粉とシリカ粉又はシリケート粉とを組み合わせて用いて、シリカ粉又はシリケート粉により大粒径二酸化チタンを塗膜表面に浮かび上がらせることにより、遮熱性能を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明は次のものに関する。
(1)(A)バインダー、(B)粒子径が0.5〜5.0μmの大粒径二酸化チタン粉及び(C)シリカ粉又はシリケート粉を含有することを特徴とする遮熱塗料組成物。
(2) 大粒径二酸化チタン粉を0.1〜15.0重量%含有していることを特徴とする(1)に記載の遮熱塗料組成物。
【0006】
(3)シリカ粉又はシリケート粉を0.1〜15.0重量%含有し、シリカ粉又はシリケート粉がいずれも粒子径が5.0〜30.0μmのシリケート粉を主成分とするものである(1)又は(2)に記載の遮熱塗料組成物。
(4)シリケート粉が、アルミニウムナトリウムシリケート粉、ケイ酸アルミナ粉又はクレー粉である(1)〜(3)のいずれかに記載の遮熱塗料組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の遮熱塗料組成物を用いて形成した塗膜を表面に有する構築物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の大粒径二酸化チタンとシリカ粉又はシリケート粉とを含有する遮熱塗料組成物を塗布して形成された塗膜は、従来より問題となっていた太陽エネルギーによる塗膜表面温度上昇を抑制する遮熱性能を得ることができる。さらに、この塗膜は促進耐候性に優れることから、長期において劣化しない塗膜を構築物表面に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
前述のような問題点を解決するために、本発明では以下のような手段によって遮熱塗料組成物及びそれらを塗膜形成した構築物を得た。
本発明に使用される(B)成分の大粒径二酸化チタン粉は粒子径が0.5〜5.0μmであり、好ましくは0.7〜3.0μmであり、更に好ましくは0.9〜2.0μmである。ここで、大粒径二酸化チタン粉の粒径が0.5μm未満であると、十分な遮熱性能が得られず、5.0μmを超えると分散性が低下する傾向がある。前記大粒径二酸化チタ粉ンの含有量は、遮熱塗料組成物に対して、0.1〜15.0重量%含有されることが好ましく、1.0〜10.0重量%含有されることがより好ましく、2.0〜6.0重量%含有されることがさらに好ましい。ここで、大粒径二酸化チタン粉の含有量が0.1重量%未満であると遮熱性効果がなく、15.0重量%を超えると塗料バランスがくずれ、接着力、粘度、耐クラック性などが低下する傾向がある。
【0009】
本発明に使用される(C)成分のシリカ粉又はシリケート粉のうち、シリケート粉としては種々のものが挙げられ、例えばアルミニウムナトリウムシリケート粉、ケイ酸アルミナ粉、クレー粉等が挙げられるが、アルミニウムナトリウムシリケート粉が好ましい。シリカ粉及びシリケート粉は、いずれも粒子径が5.0〜30.0μm、好ましくは7.0〜25.0μm、より好ましくは10.0〜20.0μmのシリカ粉又はシリケート粉を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、使用されるシリカ粉及びシリケート粉各々の総量の少なくとも80.0重量%、好ましくは100重量%を構成する成分を意味する。また、シリカ粉及びシリケート粉の平均粒子径は、10.0〜20.0μmであることが好ましく、12.0〜18.0μmであることがより好ましく、13.0〜17.0μmであることが更に好ましい。シリカ粉及びシリケート粉の含有量(一方のみを用いた場合はその含有量であり、両者を併用した場合はその合計の含有量である。)は、遮熱塗料組成物に対して、0.1〜15.0重量%含有することが好ましく、1.0〜10.0重量%含有することがより好ましく、2.0〜6.0重量%含有することがさらに好ましい。ここでシリカ粉及びシリケート粉の含有量が0.1重量%未満であると、大粒径二酸化チタン粉の浮上効果不十分となる傾向があり、15.0重量%を超えると塗料の粘度、接着力、耐クラック性などが低下する傾向がある。
【0010】
本発明に用いられるバインダーとしては、例えば、合成樹脂や水系エマルション樹脂などのエマルション樹脂が挙げられる。合成樹脂としては、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の合成樹脂があり、中でもアクリル樹脂が好ましい。また水系エマルション樹脂としては、シリコンアクリルエマルション、アクリルエマルション、ウレタンエマルション、ウレタンアクリルエマルション等があり、中でもシリコンアクリルエマルションが好ましい。更に、合成樹脂は、機械安定性が良く、ガラス転移温度(以下、Tgと略す)が0〜70℃のものが好ましい。0℃未満では、付着性は良いが塗膜が柔軟すぎて、耐摩耗性、耐汚染性、乾燥性、塗膜強度が劣る。70℃を越えると、過剰の造膜助剤の添加、塗料の粘度の著しい上昇、塗膜の柔軟性の低下によるクラックが発生し、更には塗膜の耐水性が低下する傾向がある。そのため合成樹脂のTgは10〜30℃がより好ましい。合成樹脂の平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量)は100,000〜200,000が良い。平均分子量が100,000未満のものを使用すると、塗膜強度が弱すぎて、塗膜がちぎれるように剥離したり、耐汚染性が劣る傾向がある。また200,000を超えると、塗膜強度、耐汚染性は問題ないが、粘度が高くなる傾向がある。より好ましくは150,000前後が良い。水系エマルション樹脂の場合は、固形分濃度(以下、NVと略す)が43〜62重量%であることが好ましい。43重量%未満の場合、塗料中のNVが低くなり、乾燥性に劣る傾向があり、62重量%を越えると塗料粘度が上昇したり、耐クラック性が低下する傾向がある。合成樹脂、水系エマルション樹脂等のバインダーの配合量は、遮熱塗料組成物に対して10.0〜70.0重量%が好ましく、20.0〜60.0重量%がより好ましく、30.0〜50.0重量%がさらに好ましい。10.0重量%未満では塗料粘度の増加により作業性が傾向にあり、一方70.0重量%を超えると乾燥性、汚染性が劣る傾向にある。
【0011】
本発明で使用される遮熱塗料組成物には、一般に上記成分と共にその他の成分を充填又は混練して製造される。このような成分としては、造膜助剤、可塑剤、顔料、シランカップリング剤、分散剤、消泡剤等がある。
【0012】
造膜助剤としては、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2−エチルヘキサノエート イソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール ジ2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルグリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、前記造膜助剤の含有量は、遮熱塗料組成物に対して、0.1〜20.0重量%含有することが好ましく、0.5〜10.0重量%含有することがより好ましく、1.0〜5.0重量%含有することがさらに好ましい。ここで造膜助剤の含有量が0.1重量%未満では塗装時の成膜が得られない傾向があり、20重量%を超えると、成膜は良好であるが塗膜乾燥が悪化する傾向がある。
【0013】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)等のリン酸エステル、フェニルグリシジルエーテル(PGE)、ベンジルアルコール、アセチルクエン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、トリメット系可塑剤等が挙げられる。可塑剤の配合量は、遮熱塗料組成物に対して0.5〜5.0重量%が好ましく、1.0〜4.0重量%がより好ましく、1.5〜2.5重量%がさらに好ましい。0.5重量%未満では低温時の可とう性が劣る傾向があり、一方5.0重量%を超えると乾燥性、汚染性が劣る傾向がある。
【0014】
顔料としては、上記の大粒径二酸化チタン粉、シリカ粉、シリケート粉末以外のものが挙げられ、例えば、白色顔料として、粒子径0.1〜0.3μmの二酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛白等があり、着色顔料として、黄鉛、チタニウムイエロー、酸化クロム、酸化鉄、群青、紺青、アントラキノン系、キナクリドン系、ペリレン系、イソインドリノン系、アゾ系、フタロシアニン系顔料等が挙げられる。また、必要に応じ蓄光顔料、蛍光顔料、夜光顔料等を単独、併用しても良い。顔料の配合量は、遮熱塗料組成物に対して、5.0〜80.0重量%が好ましく、10.0〜70.0重量%がより好ましく、20.0〜60.0重量%がさらに好ましい。10.0重量%未満では、塗料の不揮発分が低くなり乾燥性の低下、隠ぺい力が低下する傾向がある。一方70.0重量%を超えると、分散が困難になり、塗料粘度の上昇、流動性の悪化により塗装性が低下する傾向がある。
【0015】
シランカップリング剤としては種々のものが挙げられ、シランにビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフィド基等の官能基を持つ物が挙げられるが、エポキシ基が好ましい。前記シランカップリング剤の含有量は、遮熱塗料組成物に対して、0.01〜5.0重量%含有されることが好ましく、0.02〜4.0重量%含有合されることがより好ましく、0.03〜3.0重量%含有されることがさらに好ましい。ここで、シランカップリング剤の含有量が0.01重量%未満であると塗膜強度、耐水性向上の効果が不十分となる傾向があり、4.0重量%を超えると塗料バランスがくずれ、接着力、粘度、耐クラック性、などの低下や経日増粘する傾向がある。
【0016】
分散剤としては、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルロールアミノアマイド、ポリカルボン酸ポリアミノアマイド、アクリル系共重合物のアンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミノアルコール塩、ポリアミノアマイド系カルボン酸塩、ポリアミノアマイド系の極性酸エステル塩等が挙げられる。
【0017】
消泡剤としては、変性シリコーン系消泡剤、特殊シリコーン系消泡剤、シリコーン系消泡剤、シリカ系消泡剤、シリカシリコーン系消泡剤、疎水性シリカ、疎水性シリコーン、ワックス、特殊ワックス、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0018】
分散剤、消泡剤の配合量は、各々、遮熱塗料組成物に対して0.1〜5.0重量%が好ましく、0.3〜4.0重量%がより好ましく、0.5〜3.0重量%がさらに好ましい。0.1重量%未満では、塗料の分散、消泡性が低くなる傾向がある。一方5.0重量%を超えると、分散、消泡性は良好であるが、塗装時において塗膜表面にはじきや柚子肌現象が生じやすくなる。
【0019】
本発明の耐熱塗料組成物を用いて塗料を製造する場合、塗料の製造方法は特に制限はないが、まず、顔料をバインダーに分散させる必要がある。この方法としては通常、バインダー及び顔料を水又は有機溶剤と混合し、この混合物を三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ニーダー等の各種分散、混錬装置を用いて分散、混練することにより行うことができる。バインダーがエマルション樹脂である場合には、水又は有機溶剤は必ずしも必要ではなく、必要に応じて適宜使用することができる。
【0020】
また、顔料の分散時に上記の分散剤を用いると、顔料の分散性や分散安定性が良好になり好ましい。分散剤は、顔料分散時に顔料100重量部に対して50重量部以下で用いることが好ましい。大粒径二酸化チタン、シリカ粉又はシリケート粉、その他の成分は、それぞれ、顔料分散時に加えてもよく、分散後に加えてもよい。同様に水又は有機溶剤も顔料の分散時に全量用いてもよく、それらの一部を分散後に加えてもよい。ただし、水有機溶剤は分散時のバインダー及び顔料の全量100重量部に対して、分散時に少なくとも50重量部以上用いることが好ましい。50重量部未満では、分散時の粘度が高すぎて、特にボールミル、サンドミル、ビーズミル等で分散する場合には分散が困難になる可能性がある。
【0021】
分散時に用いる水又は有機溶剤としては特に制限はなく、有機溶剤としては、例えば、ケトン系、アルコール系、芳香族系等が挙げられる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、乳酸エチル、酢酸エチル等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
ただし、水もしくは有機溶剤の選定は、顔料、分散剤等、他の材料との組み合わせにおいて適切に決められるものであり、場合によっては、ある有機溶剤を用いると本発明の特徴である遮熱性能が特定の範囲からはずれることになれば、その有機溶剤はその系には使用できないことは自明である。したがって、用いる有機溶剤に制限はないが、その系に適した有機溶剤を選定しなければならない。
【0023】
次にこのようにして得られた遮熱塗料の塗布方法としては、ハケ塗り、スプレー塗布、ロールコータ塗布が好ましいが、塗布する対象物により、静電塗装、カーテン塗装、浸漬方法等も適用可能である。さらに塗布後、乾燥させて塗膜化させる方法については、自然乾燥、焼き付け等の方法を用いることができ、塗料性状等によって適宜選択される。
【0024】
本発明の遮熱塗料組成物の塗装における膜厚は100〜400μmが好ましく、200〜300μmがより好ましい。100μm未満では膜厚が薄いため隠ぺい性が劣り、遮熱特性が低下する傾向がある。400μmを超えると、隠ぺい性、遮熱特性は良好であるが、下地基材への追従性か低下する傾向がある。
【0025】
本発明の遮熱塗料組成物は、建造物等の構築物を構築するアルミ板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛メッキ鋼板、鉄板、ブリキ板、スレート板、コンクリート等やそれらに何らかの処理をした基材に下地処理、例えばプライマー等の塗布をしてから塗装することが好ましい。例えばエポキシ系等のプライマーを10〜100μmの厚さで塗装した後、遮熱塗料組成物を塗装する方法がある。
以上の方法により本発明の遮熱塗料組成物及びそれらを塗膜形成した構築物が得られる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら制限されるものではない。なお実施例中、特にことわりのないかぎり、「%」は「重量%」「部」は「重量部」を示す。
【0027】
[実施例1]
【表1】

プライマルAC6310: 固形分48%
ディスパービック181: アルキルアンモニウム塩
BYK−019: 変性シリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
テキサノール: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
KBM−403: 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0028】
表1に示すA〜Iの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0029】
[実施例2]
【表2】

プライマルAC2508: 固形分46.5%
ディスパービック183: 顔料に親和性のある官能基を含むブロック共重合物
BYK−018: シリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
CS12: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
KBM−1003: ビニルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0030】
表2に示すA〜Iの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0031】
[実施例3]
【表3】

プライマルAC2615: 固形分50%
ディスパービック184: 顔料に親和性のある官能基を含むブロック共重合物
BYK−021: シリカシリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
CS16: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート
KBM−503: 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0032】
表3に示すA〜Iの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0033】
[実施例4]
【表4】

プライマルJP−118FF: 固形分50%
ディスパービック190: 顔料に親和性のある官能基を含むブロック共重合物
BYK−024: 疎水性シリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
CS20: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2−エチルヘキサノエート イソブチレート
KBM−603: アミノエチル3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0034】
表4に示すA〜Iの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0035】
[実施例5]
【表5】

プライマルAC2235: 固形分46.5%
ディスパービック191: 顔料に親和性のある官能基を含む共重合物
BYK−028: ポリシロキサン
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
CS24: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール ジ−2−エチルヘキサノエート
KBM−903: 3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0036】
表5に示すA〜Iの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0037】
[比較例1]
実施例1からシリケート粉を除いた他は、実施例1と同じ成分をほぼ同じ配合量で用いた場合
【表6】

プライマルAC6310: 固形分48%
ディスパービック181: アルキルアンモニウム塩
BYK−019: 変性シリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
テキサノール: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
KBM−403: 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0038】
表6に示すA〜Hの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板に塗布した。
【0039】
[比較例2]
実施例1から大粒径二酸化チタン粉を除いた他は、実施例1と同じ成分をほぼ同じ配合量で用いた場合
【表7】

プライマルAC6310: 固形分48%
ディスパービック181: アルキルアンモニウム塩
BYK−019: 変性シリコーン系消泡剤
DOP: ジ−2−エチルヘエキシルフタレート
TIG R−900: 二酸化チタン(粒子径:0.15〜0.25μm、平均粒径:0.2μm)
テキサノール: 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
KBM−403: 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Sipernat 820A: アルミニウムナトリウムシリケート、平均粒径:15μm、粒子径が5.00〜30.0μmの範囲内にある主成分の重量%:80%以上)
【0040】
表7に示すA〜Gの成分をデゾルバーで混合した後、鉄板及びガラス板に塗布した。
【0041】
[比較例3]
塗料未塗装の鉄板
【0042】
[遮熱性試験板の作製]
厚さ0.8mmの鉄板にすきまが400μmのフィルムアプリケーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが200±20μmになるように塗装した。
[遮熱性試験]
上記の方法で作製した試験板を常温で3日間乾燥後、20cmの距離から250Wの赤外線電球(東芝ライテック(株)製、型番 IR110V250WRH)を照射して、塗膜表面温度の上昇を試験した。
[促進耐候性試験]
上記の方法で作製した試験板を常温で3日間乾燥後、(スガ試験株式会社製、型番 WEL−SUN−HCH−BEN型)を用いて試験室温度 63±3℃、水量 2100±100ml/分、噴射時間 120分照射中に18分、放電電圧 50±2V、放電電流 60±2Aの条件にて促進耐候性試験を行った。
【0043】
[塗膜の遮熱性試験]
【表8】

【0044】
表8から、大粒径二酸化チタン粉、シリケート粉をそれぞれ単独で使用している系(比較例1、2)の場合には、遮熱性試験結果より塗膜表面温度が著しく上昇していることが分かる。また、表面に何も塗装していない(比較例3)鉄板は、最も表面温度が上昇している。それに対し、大粒径二酸化チタン粉、シリケート粉を併用した系(実施例1〜5)は、遮熱試験において塗膜表面温度の著しい上昇もなかった。このように大粒径二酸化チタンとシリカ粉又はシリケート粉を併用して用いた遮熱塗料は遮熱性能に優れることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダー、(B)粒子径が0.5〜5.0μmの大粒径二酸化チタン粉及び(C)シリカ粉又はシリケート粉を含有することを特徴とする遮熱塗料組成物。
【請求項2】
大粒径二酸化チタン粉を0.1〜15.0重量%含有していることを特徴とする請求項1記載の遮熱塗料組成物。
【請求項3】
シリカ粉又はシリケート粉を0.1〜15.0重量%含有し、シリカ粉又はシリケート粉が、それぞれ、粒子径が5.0〜30.0μmのシリカ粉又はシリケート粉を主成分とするものである請求項1又は2記載の遮熱塗料組成物。
【請求項4】
シリケート粉が、アルミニウムナトリウムシリケート粉、ケイ酸アルミナ粉又はクレー粉である請求項1〜3いずれかに記載の遮熱塗料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の遮熱塗料組成物を用いて形成した塗膜を表面に有する構築物。

【公開番号】特開2006−335949(P2006−335949A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164308(P2005−164308)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【出願人】(594179797)日立化成工材株式会社 (12)
【Fターム(参考)】