説明

遮熱塗料

【課題】応力集中が起こる部分に対してノッチが発生しない新規な遮熱塗料、及び前記塗料を用いた衝撃を受けたときに応力集中が起こる部分に対してノッチが発生しない新規なヘルメットの提供。
【解決手段】水酸基含有アクリルポリオール重合体と、硬化剤として弾性を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びを有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)が0.7〜1.5であり、硬化剤として弾性を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びを有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)が0.70〜0.20(固形重量比、合計100)であるヘルメット用遮熱塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重機工場内、金属精錬などの高熱下、又は建築現場などの危険な環境下に作業する作業者は常に頭部に産業用安全帽(以下、産業用ヘルメット、ヘルメットとも言う)を着用する。産業用安全帽は国家検定規格を満たすことが必要である。この規格の他にも長時間使用しても利用者にとって負担とならないように軽量化するなどの努力がなされている。
【0003】
JIST81312000産業用安全帽は以下のことが定められている。
産業用安全帽(保安帽、保護帽の呼称も含め、以下安全帽という)は、図1に示すように、帽体1、着装体(ハンモック2、ヘッドバンド3、環ひも4)、衝撃吸収ライナ5、あごひも6、つば7(ひさしとも言う)を有している。
これらの産業用安全帽には衝撃吸収性試験、耐貫通性試験などの試験が行われ、これらの試験装置及び試験の手順が示されている。
帽体1を軽量化するためには通常プラスチック製とすること、プラスチック製帽体としては、ポリカーボネート製、ABS樹脂製、またはガラス繊維強化熱硬化性樹脂製が知られている(特許文献1 特開2003−105620号公報)。
【0004】
高熱下の環境のもとで安全に作業を進めることができることを考慮して、太陽熱や赤外線の照射に対して熱を遮断する工夫やそのための材料の開発も行われてきた。その対策のひとつにヘルメットの表面に熱を遮蔽するために遮熱塗料を塗布することが知られている。
断熱塗料を塗布したヘルメット(特許文献2 特開2000−27020号公報)では、断熱塗料について、例えば、種々のシリカやセラミックの微粒子をアクリル結合剤とともに硬質のラッテクスのベースに浸液した混合物として、これを、T.S.TEMP・GUARDという商品名で提供されているコーティング材を使用する。なお、同公報によれば、断熱塗料としては、上記のものに限定するものではなく、従来公知の断熱塗料(コーティング)であればいずれでもよいとする。塗料の特性については技術的な内容が不明であるものもある。
ヘルメットの熱遮蔽にはヘルメットの外表面に、赤外線遮蔽剤を有する樹脂層を形成したヘルメット(特許文献3 特開2006−2298号公報)が知られている。
赤外線遮蔽剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられ、酸化チタンを用いることが好ましいとしている。樹脂組成物としてポリウレタン樹脂系塗料とし、ポリオールとポリイソシアネートの二液型、アクリルポリオールとポリイソシアネート化合物との混合物等が挙げられている。この二液型を使用することにより光沢感のある外観性に優れた塗装を行うことができると共に、この光沢により太陽光の反射性に優れたヘルメット内の温度上昇を抑制する効果を更に高めることができる。またこのポリウレタン樹脂系塗料を用いることにより、耐擦り傷性及び耐久性が向上することが記載されている。
【0005】
プラスチック成形体に塗料を塗布して塗膜を形成する場合に、塗膜を表面に形成した成形体の塗膜と反対側の成形体に衝撃が加えられと、成形体は、曲げ変形するなどして衝撃力を吸収する。その外側の塗膜も曲げ変形をして衝撃力を吸収しようとする。この場合には、塗膜の伸びは成形体の伸びに比較して、特性として大きな伸びを有しており、その伸びよりも変形することが必要となる。
塗膜が必要とする伸びを有していない場合には、塗膜は伸びの限界を超えた時点で、塗膜が破断され、ノッチが発生する。塗膜部分にノッチが発生すると、成形体の素材の強度が低下し、プラスチック成形体が破断する現象が起きる。
この現象は塗膜が必要とする伸びを有していないことが原因となっている。塗膜側から衝撃が与えられた場合には塗膜が必要とする伸びは前者ほどではないものの、塗膜の伸びが変形を吸収するのに十分でない場合には、ノッチが発生し、プラスチック成形体は破壊される(以上、非特許文献1、「最新工業塗装ハンドブック」5から14頁)。
【0006】
プラスチックに塗膜を形成する場合には、塗膜にはノッチに対処するためには十分な伸びを有していることが必要である。実際に塗膜に対して要求される特性は、十分な伸びを有しているだけでは足りず、もとの形状に戻ろうとする弾性の特性を有していることが必要とされる。
そのため塗膜を形成する塗料は、伸びを示す成分に弾性を有する成分を添加することにより、伸びを有する性質と弾性を有する性質を兼ね備えたものとしている。
どの程度の割合で混合することについては、最終的には実験により適切な混合割合を定めることが行われる。
これらの内容について言及していないヘルメットも多い。例えば、前記特許文献3の発明でも、ノッチについては言及していない。
【0007】
塗料組成物について見てみると、以下の例がある。
「結合剤成分a)としての、第一成分が弾性成分a1)として第二熱可塑性成分a2)に共有的にまたは吸着的に結合する少なくとも2種類のポリオール成分から成るグラフトポリマー、および、少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートから成る多くとも10,000mPasの粘度を有するポリイソシアネート成分b)を、0.21::1〜5:1のNCO/OH当量比に相当する量で含有する二成分ポリウレタン被覆剤であって、成分a)が前記グラフトポリマーの水性溶液および/または分散液であり、その中にポリイソシアネート成分b)が乳化または溶解形態で存在することを特徴とする二成分ポリウレタン被覆剤。」(特許文献5 特開2002−533488号公報、特許文献6 特開2002−533489号公報)。
結合剤成分a)としての、第一成分が弾性成分a1)として第二熱可塑性成分a2)に共有的にまたは吸着的に結合する少なくとも2種類のポリオール成分から成るグラフトポリマー、及び少なくとも1種類の有機ポリイソシアネートから成る多くとも10,000mPa.sの粘度を有するポリイソシアネート成分b)を、0.2:1〜5:1のNCO/OH当量比に相当する量で含有する二成分ポリウレタン被覆剤であって、成分a)が前記グラフトポリマーの水性溶液および/または分散液であり、ポリイソシアネート成分b)が乳化または溶解形態で存在することを特徴とする、二成分ポリウレタン被覆剤の製造方法も提供する(0013)。これらの方法ではa1)成分及びa2)成分について組み合わせて製造する際に、どの程度の割合で混合してa1及びa2成分を形成するかということ自体が難しい。また、a1及びa2成分を混合して、目的とする好ましい伸びの特性を有するポリウレタンを定めること自体が至難であることが分かる。
【0008】
このことを考えると、以下の遮熱塗料が必要であることがわかる。
必要とする塗料の特性が明らかな場合に、弾性を与える成分と伸びを与える成分を混合する割合の範囲が予め明確になっていれば、大変便利である。そうすると、意図する特性の遮熱塗料を製造することができる。
しかしながら、現状ではそのような混合する割合の範囲が定められている塗料は存在しない。また、定められた範囲の中から、要求されている特性に注目して、要求されている特性を満たす塗料を選び出すことができればさらに便利である。塗料を製造する際の適切な混合割合を示した新しい塗料が求められている。
【0009】
「陸上競技場等の弾性舗装体部分に用いられる遮熱性塗料であって、アクリルポリオール樹脂を含むビヒクルと、アダクト系ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含有する遮熱性塗料」(特許文献7 2007−177143号公報)の発明では、ゴム的な性質のあるウレタンエラストマーに対する塗料では、粘性が高く、伸び率の高いポリイソシアネートとしてアダクト系ポリイソシアネ−トを用いることが有効であるとしている。この場合には弾性を与える成分について考慮が払われていないので、もっぱら粘性のある塗料が得られるだけであり、不十分なものである。
【0010】
自動車用の塗料には以下の弾力性のある塗料が知られている。
A液(主剤)は、アクリルポリオール(38重量)、ルチル型酸化チタン(白色顔料15重量)及びポリウレタン用混合溶剤(45.5重量)、助剤(0.5重量)及び塗膜強化剤(1重量)から構成される。
B液(硬化剤)は、硬質ポリイソシアネート(45重量を添加)及びポリウレタン用混合溶剤(55重量)から構成される。A液とB液を混合して目的とするポリウレタンの塗料を製造している。前記硬質ポリイソシアネートは剛性が高いイソシアヌレート型ポリイソシアネートを採用した.A液及びB液は100:25の割合で配合する。
剛性や弾性を有しているビウレット型イソシアネート(硬質型)を用いるものであり、伸び率を大きくすることについては考慮が払われていない。ノッチに対する対策が施されていない。
【0011】
以上のことから明らかなように、ヘルメットに塗布する遮熱塗料は衝撃を受けたときに応力集中が起こることがあってもノッチが発生しない塗料であることが求められている。この場合に弾性成分の特性を有する成分と伸びの特性を有する各成分を特定の割合として示されている新しい遮熱塗料が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−105620号公報
【特許文献2】特開2000−27020号公報
【特許文献3】特開2006−2298号公報
【特許文献4】特開2007−177143号公報
【特許文献5】特開2002−533488号公報
【特許文献6】特開2002−533489号公報
【特許文献7】特開2007−177143号公報
【非特許文献1】最新工業塗装ハンドブック5から14頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、衝撃を受けた部分に応力集中が起こってもノッチが発生しない新規な遮熱塗料、及び前記塗料をヘルメット素材に塗布することにより、ヘルメットの表面に衝撃を受けたときに、衝撃を受けた部分に応力集中が起こる場合でもノッチが発生しない新規なヘルメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1. 本発明者らは、遮熱ヘルメットに用いる遮熱塗料について、応力集中があるリブ付近に衝撃を受けたときであっても、ノッチが発生しない塗膜の形勢の条件について検討することとした。
2. 本発明者らは以下に述べる(a)及び(b)を満たす要件を見つけ出すことにより、衝撃を受けた部分に応力集中が起こってもノッチが発生しない新規な遮熱塗料、及び前記塗料をヘルメットに塗布することにより、この塗料を塗布したヘルメットの表面に衝撃を受けたときに、衝撃を受けた部分に応力集中が起こる場合においてもノッチが発生しない新規なヘルメットを得ることができるのではなかと考えた。
(a)及び(b)は以下の通りである。
以下の(a)塗料成分(本来の塗料としての役割を有する成分)と伸びや弾力性に関係する成分(塗料に伸びや弾力性を付与する成分)の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができる。
また、(b)伸びや弾力性に関係する成分(塗料に伸びや弾力性を付与する成分)について、伸びを向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を多くするかによって、ノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与することができる。
3. 本発明者らは実験結果により、前記のように組み合わせることにより良好な特性である遮熱ヘルメットに用いる遮熱塗料について、応力集中があるリブ付近に衝撃を受けたときであっても、ノッチが発生しない塗膜を形成できることについて以下の通りであることを見出した。
(a)水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体(本来の塗料としての役割を有する成分)と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分((塗料に伸びや弾力性を付与する成分)を合わせた重量比(OH/NCO)を0.7〜1.5の範囲にあるようにすること。
(b)硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比)とすること。
その結果、(a)主剤である塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができることとなり、また、(b)伸びや弾力性に関係する成分について、伸びに向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を採択してノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与することができることができることとなる。
4. 以上の結果をまとめると、本発明は以下の通りである。
(1)主剤として水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.7〜1.5であり、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比、合計100)であることを特徴とするヘルメット用遮熱塗料。
5. 上記の内容を確認した内容の手順を以下に示す。
塗料を構成する材料については後述する表1及び2のとおりである。
なお、用いる材料の使用量は重量で示している。
表1は塗料の基本構成を述べている。
赤外線遮蔽剤にはルチル型チタン白CR−97(石原産業株式会社)を用いる。赤外線遮蔽剤の分散剤としてノースパースN−657(株式会社裕商)を用いる。
塗料を構成する材料としてアクリルポリオール(アクリディクA−801P 大日本インキ株式会社製)を用いる。
これらは溶剤(表2で用いるポリウレタン用との併用可能な有機溶剤である。ポリウレタン用有機溶剤を選択)により均一の状態に保つ。
できあがった塗膜を考慮して塗膜強化剤(シランカップリング剤)及び助剤を用いる。
表2は硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの使用量を示している。
いずれも重量で示している。表1に示されている塗料を構成する材料としてアクリルポリオールとの重量(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)により、主剤である塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができる。
表2に示されている硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)により伸びに向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を採択してノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与する性質が定まる。
表3ではヘルメットに塗料を塗布した状態での試験結果を示している。表中HFF1〜HFF7までのケースではいずれも適切な塗料であると判断できる。
良好であると判断されたケースについて表2のアクリルポリオールとの重量(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)が良好な範囲であるということができる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は0.70〜0.20が良好な範囲であるということができる。
6. 10%の引張速度/分におけるひずみの測定結果(後述する表4)によれば、前記HFF3、HFF5、HFF6、HFF7の値は、ひずみ(破壊伸び)が著しく増加する結果となる。したがって、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7程度の混合割合が有効である。
前記したように(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)が良好な範囲については、好ましくは(0.7〜1.1)となる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は(0.7〜0.2)の良好な範囲については、好ましくは(0.2)となる。
7. 100%の引張速度/分におけるひずみ(破壊伸び)の測定結果(後述する表5)によれば、HFF5では抗張力(MPa)は他の場合のいずれよりも大きく減少し、ひずみも大きく減少する。HFF7は反応率が1.2倍のNCO過剰により、ひずみ(破壊伸び)が47.5%まで増加し、最大値となる。HFF3、HFF6、HFF7の場合が良好な結果であるということができる。
前記したように(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)が良好な範囲については、好ましくは(0.7〜1.1)となる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は(0.7〜0.2)の良好な範囲については、好ましくは(0.2)となる。
8. 前記のヘルメット用遮熱塗料に含まれる、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.7〜0.2(固形重量比)である組成物中のHFF1、HFF2、HFF3、HFF5、HFF6及びHFF7について、温度に対する弾性率、温度に対する粘性率及び温度に対するtanδの関係は図4、図5及び図6によって示される範囲である。各図において特定の範囲として囲まれる範囲が弾性率、粘性率及びtanδとして好ましい範囲となる。
本発明について、HFF1、HFF2、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7について、弾性率は図4に示される範囲にあり、粘性率は図5に示される範囲にあり、tanδが図6に示される範囲にある。弾性率、粘性率、tanδの表示においてHFF1,HFF2、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7により囲まれる範囲が、弾性率、粘性率及びtanδとして好ましい範囲ということができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、応力集中があってもノッチが発生することが考えられるヘルメット塗料に関し、ノッチの発生を防止することができる新規な遮熱塗料及びノッチの発生を防止できる新規な遮熱塗料を塗布した遮熱ヘルメットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ヘルメットを示す図である。
【図2】一般的なヘルメットの構造を示す図である。
【図3】耐衝撃吸収性能及び耐貫通性能を示す図である。
【図4】本発明で良好な結果が得られたポリウレタン6種類(HFF−1、HFF−2、HFF−3、HFF−5、HFF−6、HFF−7)について弾性率を示す図である。
【図5】本発明で良好な結果が得られたポリウレタン6種類(HFF−1、HFF−2、HFF−3、HFF−5、HFF−6、HFF−7)について粘性率を示す図である。
【図6】本発明で良好な結果が得られたポリウレタン6種類(HFF−1、HFF−2、HFF−3、HFF−5、HFF−6、HFF−7)についてtanδを示す図である。
【図7】リブ付ヘルメットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のヘルメット用遮熱塗料は以下の通りである。
水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.7〜1.5であり、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比、合計100)であることを特徴とするヘルメット用遮熱塗料。
【0018】
前記ヘルメット用遮熱塗料は以下の(a)及び(b)の組み合わせにより構成されている。
(a)塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができる成分より構成されている。
(b)伸びや弾力性に関係する成分について、伸びに向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を多くするかによって、ノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与できる成分として構成されている。
(c)以下のように組み合わせることにより良好な特性である遮熱ヘルメットに用いる遮熱塗料について、応力集中があるリブ付近に衝撃を受けたときであっても、ノッチが発生しない塗膜を形成できることを見出した(図7にノッチの発生が見られるといわれているリブを有するヘルメットを図示した。)。
【0019】
(a)水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.7〜1.5であるようにすること。
(b)硬化剤として弾性の特質を 有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比、合計100)とすること。
その結果、(a)塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさ定めることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができることとなり、同時に(b)伸びや弾力性に関係する成分について、伸びに向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を採択してノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与することができることとなる。
【0020】
(a)主剤である塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づける。このような塗料として以下の組成の塗料を用いた。
【表1】

【0021】
水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体は以下の通りである。
水酸基含有アクリルポリオールの製造方法としては、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、これに共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって得ることができる。
例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類、またはメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類、またはグリセリンやトリメチロールプロパンなどのトリオールのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸などの一塩基酸との付加物をあげることができる。
大日本インキ株式会社製のアクリディクA−801Pを用いた。
【0022】
溶剤は塗料を溶解させるとともに、ヘルメット剤であるポリカーボネート,ABSなどに対して、その表面をわずかにエッチングし、表面を粗の状態することにより、塗料の付着性を向上させる。
【0023】
本発明の溶剤には、ポリウレタン樹脂用およびプラスチック素材類への表面に対する作用などを配慮して、第三級アルコール(ダイアセトンアルコール)15重量、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル)20重量、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)15重量、芳香族溶剤(トルエン、キシレン)50重量の混合溶剤(重量合計100)を、A液のケース1の場合には合計を100重量とした場合で、配合量は45重量である。次のケース2の場合には前記には合計を100重量とした場合で、配合量は38.5重量である。
【0024】
赤外線遮蔽剤には、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられる。この中でも酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンはイルメナイト鉱石を原料とする白色顔料の総称であり、他の白色顔料(亜鉛華、リトポン、鉛白等)に比較して耐熱性(融点1825℃)、耐薬品性に優れ、同時に反射率が極めて高いこと(波長域500〜700μmで95%以上)、屈折率が白色顔料中最高であることが特徴である。
酸化チタンは結晶形によってルチル形とアナターゼ形に分類できるが、ルチル形のほうがアナターゼ形よりも比重(ルチル形:4.2、アナターゼ形:3.9)及び屈折率が若干大きい(ルチル形:2.71、アナターゼ形:2.52)こと、紫外部付近の光の吸収が大きいこと、更に熱伝導度が小さい(ルチル形:0.148cal/cm.sec.℃、アナターゼ形:0.43cal/cm.sec.℃)ことなどの特徴を持つ。本発明に用いる酸化チタンの結晶形はルチル形を使用することが好ましい。ルチル形を用いることにより、赤外線遮蔽性の効果が向上する。0.5〜3μmの範囲にあることが好ましい。更に0.7〜1.5μmが好ましい。
本発明ではルチル型チタン白CR−97(石原産業株式会社製)のものを用いる。
【0025】
白色以外の顔料を用いる場合は以下の通りである。
非白色顔料を用いる場合には、白色顔料として酸化チタンに非白色顔料を組み合わせて用いることができる。白色顔料として平均粒子経が0.5〜1.4μmルチル型酸化チタンを用いる。非白色顔料がCIE1976L色空間に於けるL値が30以下の着色顔料である。このイ場合には、白色顔料がJIS A 5759に定義される350nm〜2,100nmの波長域における日射反射率が15%以上の着色顔料である。この場合に前記ルチル型チタンとともに用いることもできる。(特開2006−8874号公報)。
【0026】
赤外線遮蔽剤のほかに有色顔料を含むことができる。その結果、ヘルメットの色付けを可能にする。これらの遮熱塗料はヘルメット素材の表面に塗膜として形成される。
上記の両要件を満足する混色系顔料の例としては、アゾメチアゾ系顔料(商品名もクロモファインブラックA−1103(大日精化工業(株)製)、モノアゾ系エロー(商品名ホスターパームエローH3G:ヘキスト(株)製)等の黄色系顔料、酸化鉄(商品名トダカラー120ED:戸田工業(株)製)、キナクリド ンレッド(Hostaperm Red E2B70:ヘキスト(株)製)等の赤色系顔料、フタロシアニンブルー(商品名シヤニンブルーSPG−8:大日本インキ(株)製)等の青色系顔料、フタロシヤニングリーン(商品名シヤニングリーン5310:大日精化工業(株)製)等の緑色系顔料等が挙げられる。
【0027】
顔料に対して分散剤を添加する。分散剤は顔料が凝集する状態に作用して塗料中によく分散させる作用を有している。具体的には塗料の粘度を低下させる。
高酸化ロジンエステル(ノースパース−657:N−657株式会社裕商)を用いている。
【0028】
シランカップリング剤は以下の通りである。
シランカップリング剤としてはシラノールとエポキシ基が結合している化合物を挙げることができる(1重量、日本ユニカー株式会社製、A−186)。
チタンと水酸基含有アクリルポリオール重合体の結合を強固にしている。
【0029】
助剤の内訳は以下の通りである。
湿潤分散剤、表面調整剤、レベリング剤を、0.2重量、0.2重量、及び0.1重量、又は、0.4重量、0.4重量、及び0.3重量を含む。
【0030】
湿潤分散剤、表面調整剤、及びレベリング剤、この他に消泡剤、レオロジーコントロール剤を用いることができる。具体的には以下の通りである。
湿潤分散剤には、長鎖ポリアミドと酸ポリマーの塩(ビックケミージャパン株式会社製Anti−Terra−U(商標名)、酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩(ビックケミージャパン株式会社製Dysperkbyk−180(商標名)などをも用いることができる。
表面調整剤は、ポリエーテル変性ポリメチルシロキサンを用いることができる。ストリップ性、レベリング性の向上、ベナードセルの防止、下地への濡れ性を向上させる。(ビックケミージャパン株式会社製、BYK300/302(商標名)、BYK310(商標名)をあげることができる。
レベリング剤には、高沸点芳香族、ケトン、エステルからなるレべリング剤(ビックケミージャパン株式会社製、Byketol−OK(商標名))、高沸点 芳香族、ケトン、エステル及びポリシロキサンからなるレべリング剤(ビックケミージャパン株式会社製、Byketol−Special(商標名))を挙げることができる。
消泡剤には、破泡性ポリマーとポリシロキサン(ビックケミージャパン株式会社製、BYK−070(商標名))、ポリメチルアルキルシロキサン(ビックケミージャパン株式会社製、BYK−077(商標名))を挙げることができる。
レオロジーコントロール剤には、ポリカルボン酸アミド(ビックケミージャパン株式会社製、BYK−405(商標名))を挙げることができる。
【0031】
表1に示すように表1の塗料は以下の2種類のものを製造した
A液は基本成分として、水酸基含有アクリルポリオール重合体(38.0重量)、助剤(0.5重量)、赤外線遮蔽剤(15.0重量)、赤外線遮蔽剤分散 剤(0.5重量)、塗膜強化剤(1.0重量)及び溶剤(45.0重量)(合計100.0重量)からなる組成物として用いる。
または、水酸基含有アクリルポリオール重合体(30.8重量)、助剤(1.1重量)、赤外線遮蔽剤(28.5重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(0.3重量)、塗膜強化剤(0.8重量)、及び溶剤(38.5重量)(合計100.0重量)からなる組成物として用いる。
【0032】
A液に含まれる主剤である水酸基含有アクリルポリオール重合体以外の成分である、助剤(0.5重量)、遮熱塗料(15.0重量)、遮熱塗料分散剤(0.5重量)、塗膜強化剤(1.0重量)、及び溶剤(45.0重量)、または、助剤(1.1重量)、赤外線遮蔽剤(28.5重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(0.3重量)、塗膜強化剤(0.8重量)、及び溶剤(38.5重量)は、ポリウレタンの生成には直接関与しない。
【0033】
(b)硬化剤として弾性の特質を 有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は、0.70〜0.20(固形重量比、合計100)とすること。
具体的には以下の組成の塗料を作成した。
【0034】
【表2】

【0035】
表2は硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの使用量を示している。
いずれも重量で示している。表1に示されている塗料を構成する材料としてアクリルポリオールとの重量(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)により、主剤である塗料成分と伸びや弾力性に関係する成分の割合をさだめることにより、塗膜の硬度、強度及び塗膜が簡単に変化を受けないなどの塗膜の特性を決定づけることができる。
表2に示されている硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)により伸びに向上させる成分を多く用いるか又は弾力性を多くする成分を採択してノッチの発生を防止できるなどの機能を塗膜に付与する性質が定まる。
【0036】
硬化剤であるポリイソシネートについては、以下の通りである。ポリイソシネーには、以下のビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)、アダクト系ポリイソシアネ−ト(軟質)を用いる。
ビウレット型ポリイソシアネートは、反応体に、例えば、水、第三級アルコール、第一級および第二級モノアミン、および第一級及び/又は第二級ジアミンを使用して製造される。米国特許第3358010号、第364490号、第3862973号、第3906126号、第3903127号、第4051165号、第4147714号又は第4220749号に開示されている方法によって製造しうるビウレット基含有ポリイソシアネートである(特開2006−283025号公報)。ビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)は市販のものを購入して用いることができる。具体的には、スミデュールN−75(住友バイエル社製)又は、旭化成株式会社製22A−75PXを用いることができる。
ビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)は、特性として弾性を有する成分である。
【0037】
アダクト系ポリイソシアネ−トは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としてアダクト系ヘキサメチレンジイソシアネートとしたものである。特開平8−165326号公報、特開平2007−177143号公報に示されている。アダクト系ポリイソシアネ−ト(軟質)は旭化成ケミカルス株式会社製、デュラネート(登録商標)E−405−80−T(特開2007−238797号、特開平11−228719号公報)であり、これを購入して用いることができる。この物質は粘度が7.8cp/25℃は低く、アダクト系ポリイソシアネ−ト(軟質)は、伸びる特性を有する。
【0038】
本発明の溶剤には、ポリウレタン樹脂用およびプラスチック素材類への表面に対する作用などを配慮して、第三級アルコール(ダイアセトンアルコール)15重量、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル)20重量、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)15重量、芳香族溶剤(トルエン、キシレン)50重量の混合溶剤(重量合計100)を、HFFに対しては10重量、HFF−1に対して10.2重量、HFF−2対しては11.2重量、HFF−3に対しては12.8重量、HFF−5に対しては11.9重量、HFF−6にたいしては10.2重量、HFF−7に対しては13.6重量を用いた。
【0039】
表2に示された遮熱塗料ににつき実際にヘルメットに塗布し、試験結果は以下の表3のとおりである。
【表3】

【0040】
表3ではヘルメットに塗料を塗布した状態での試験結果を示している。
表3の評価はいかの鉛筆硬度法による。
本発明では前記と同様HFF1からHFF7について鉛筆硬度法により好ましい鉛筆硬度を定めると4B〜6B以下の範囲であることを確認できた。
遮熱塗料の鉛筆硬度法による傷つき限界の範囲は4B〜6B以下の範囲であることを意味している。
【0041】
以上をまとめると、以下の通りである。
表中HFF1〜HFF7までのケースではいずれも問題がなく適切な塗料であると判断できる。
良好であると判断されたケースについて表2のアクリルポリオールとの重量(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)が良好な範囲であるということができる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は0.70〜0.20が良好な範囲であるということができる。
【0042】
前記の二つの範囲に含まれる条件下に製造されている、ポリウレタンであれば目的を達成できるものであるということができる。
この範囲の中でも、いろいろな特性のものがあるから、特定の項目に注目してより適切なものについて検討する。
【0043】
どの程度の伸びを示すかについて検討する。
10%の引張速度/分におけるひずみを測定した結果は以下の通りであった。
【表4】

【0044】
上記の結果からわかることは、以下の通りである。
硬化剤中にビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)の割合が減少し、アダクト型ポリイソシアネート(軟質型)の割合が増加するに従って、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7では、ひずみ(破壊伸び)が著しく増加する。伸びやすい性質を有している。そして、抗張力(MPa)についてはHFF3の段階までは増加するが、さらにHFF5、HFF6、HFF7の段階に達すると抗張力(MPa)については大きく減少する。すなわち、10%ひずみを付与する場合には、伸びを考慮するのであれば、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7程度の混合割合が有効であるが、抗張力(MPa)がある方が塗料として有効であるという観点に立てば、HFF3程度の混合割合が適切である。
いずれにしても、10%の引張速度におけるひずみでは混合させる割合によっては、抗張力(MPa)を対状態に保ちながら、ひずみを60%近くまでに保つことができる。
10%の引張速度/分におけるひずみ(破壊伸び)は、ヘルメットを踏んだり、潰したりする場合を想定しており、数値が高いほどゆるやかな変形に対する塗料の亀裂を防止できるといえる。
【0045】
10%の引張速度/分におけるひずみの測定結果によれば、前記HFF3、HFF5、HFF6、HFF7の値は、ひずみ(破壊伸び)が著しく増加する結果となる。したがって、HFF3、HFF5、HFF6、HFF7程度の混合割合が有効であることがわかる。
前記したように(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)が良好な範囲については、好ましくは(1.0〜0.2)となる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は(0.70〜0.20)が良好な範囲については、好ましくは(0.2)となる。
【0046】
100%の引張速度/分におけるひずみを測定した結果は以下の通りであった。
【表5】

【0047】
上記の結果からわかることは、以下の通りである。
硬化剤中にビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)の割合が減少し、アダクト型ポリイソシアネート(軟質型)の割合が増加するに従って、HFF1、HFF2では、抗張力(MPa)が増加する。HFF3になると、減少し始め、やがて、HFF5、HFF6、HFF7になると減少する。一方、ひずみ(破壊伸び)はHFF3の段階まで増加する。HFF2とHFF3では前者が15%であり、後者は33%まで増加する。HFF5では抗張力(MPa)は他の場合のいずれよりも大きく減少し、ひずみも大きく減少する。HFF7は反応率が1.2倍のNCO過剰により、ひずみ(破壊伸び)が47.5%まで増加し、最大値となる。
この場合においても、HFF3、HFF6、HFF7の場合が良好な結果であるということができる。
100%の引張速度/分におけるひずみ(破壊伸び)は、ヘルメットに物がぶつかったり、転倒時の衝撃を想定しており、数値が高いほど急激な変化に対して塗料の亀裂を防止できるといえる。HFF6、HFF7は顔料が1.9倍、反応率が1.2倍のNCO過剰により高速変形での伸び率が向上し、塗膜強度の向上が見られた。
HFF6、HFF7は、顔料が1.9倍、反応率が1.2倍のNCO過剰により、高速変形での伸び率が増して塗膜強度の向上が見られた。
【0048】
100%の引張速度/分におけるひずみ(破壊伸び)の測定結果(後述する表5)によれば、HFF5では抗張力(MPa)は他の場合のいずれよりも大きく減少し、ひずみも大きく減少する。HFF7は反応率が1.2倍のNCO過剰により、ひずみ(破壊伸び)が47.5%まで増加し、最大値となる。HFF3、HFF6、HFF7の場合が良好な結果であるということができる。
前記したように(A)に対する弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート及び硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートの全量(表中B)との量比(A/B)の値(0.7〜1.5)の良好な範囲については、好ましくは(0.7〜1.1)となる。
硬化剤として弾性の特質を示すビウレット型イソシアネート(C)に対する硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネート(D)の量比(表中のC/D)の値は(0.7〜0.2)の良好な範囲については、好ましくは(0.2)となる。
【0049】
本発明は、主剤として水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせ、同時に硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートを合わせたポリウレタンであり、その弾性率は図4に示される範囲にあり、粘性率は図5に示される範囲にあり、tanδが図6に示される範囲にあるヘルメット用遮熱塗料である。
【0050】
図4は弾性率であり、前記HFF1からHFF7について各温度に対する弾性率の測定結果を示した図である。
図5は粘性率であり、前記HFF1からHFF7について各温度に対する粘性率の測定結果を示した図である。
図6はtanδであり、これは前記弾性率と粘性率の位相のずれを表している。前記HFF1からHFF7について各温度に対するtanδの測定結果を図示したものである。
いずれも、ビブロンレオロジー測定装置により−100℃から200℃の範囲で測定した結果につき、50℃の場合を表示している。
弾性率は図4に示される範囲にあり、粘性率は図5に示される範囲にあり、tanδが図6に示される範囲にあることがわかった。
【0051】
本発明について、前記によれば、HFF1,HFF2、HFF3,HFF5、HFF6、HFF7の場合が好ましいものとして示した。これらの樹脂について、弾性率は図4に示される範囲にあり、粘性率は図5に示される範囲にあり、tanδが図6に示される範囲にある。弾性率、粘性率、tanδの表示においてHFF1、HFF2、HFF3,HFF5、HFF6、HFF7により囲まれる範囲が、弾性率、粘性率及びtanδとして好ましい範囲ということができる。
【0052】
ヘルメットには、遮熱塗料による塗膜層をヘルメット素材の表面に形成する。
このヘルメットはリブが形成されている。用いる塗料は前記の塗料である。
水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.7〜1.5であり、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比、合計100)であるヘルメット用遮熱塗料である。
【0053】
実際のポリウレタンの製造には、ポリウレタンの製造には水酸基含有アクリルポリオール重合体を含むA液、及び同じく必要量の硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)及びアダクト型ポリイソシアネート(軟質型)を混合して用いる(前記表2)。
【0054】
上記に従えば、以下の二つの製造条件からみた範囲を定めることができたことを意味する。
試験結果を満足する範囲に関して、(a)硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比、合計100)の範囲であり、(b)主剤として水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.77〜1.5の範囲である。ヘルメット素材がポリカーボネート製、ABS樹脂製又はガラス繊維強化熱硬化性樹脂製のいずれかを用いることができる。いずれもポリカーボネート製、ABS樹脂製又はガラス繊維強化熱硬化性樹脂製はよく知られている材料である。
前記ヘルメット素材は応力集中が起こるリブ形状を有しているものである。
【0055】
主剤である水酸基含有アクリルポリオール重合体、及び硬化剤はビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)及びアダクト型ポリイソシアネート(軟質)の混合物であるポリイソシアネートにより形成されるポリウレタンを均一な組成を保つために溶媒を用いる。この溶媒は生成するポリウレタンの溶媒の役割を果たしている。
【0056】
本発明に使用される塗料は以下に述べる方法によって作製することができるがこれに限定されることはない。
まず、A液及びB液を混合して得られる塗料につき、低スピードで数分〜10数分間程度撹拌して、樹脂組成物を調製する。
次にシンナーを適量添加し、更に数分間程度撹拌する。
塗装する方法は特に限定されないが、例えば、エアースプレーガンを用いる吹き付け塗装、刷毛塗装、ディッピング等が挙げられる。
エアースプレーガンを用いてヘルメット表面を塗装する方法は、作業効率が高く、均一な塗装が可能となる。
更に、塗装時にはヘルメットを固定し、回転させることができる冶具を用いることが好ましい。この冶具を用いることにより短時間で均一な塗装ができる。
本発明のヘルメットにおいて、上記吹き付け塗料から形成される樹脂層の厚みは特に限定されないが、0.05〜1.0mmが好ましい。更に好ましくは0.07〜0.5mmである。樹脂層の厚みが前記下限値未満では赤外線遮蔽効果が低下し、前記上限値を超えると塗装する時間が長くなって作業効率が低下し、また、ヘルメットが重くなる場合がある。
以上の状態でヘルメット表面に形成された塗料による塗膜にあっては以下の項目について測定して遮熱塗料についてのテストをおこなう。
【0057】
衝撃吸収性試験、墜落時保護用について(前頭部のひさし部がある場合に対して)
低温、浸漬した完成品を人頭模型に被せ、中心線が水平に対して30度傾斜している人頭模型に衝撃点が保護帽の前頭部(ひさし部)になるように装着し、重さ5kgの平面ストライカを1mの高さから落下させる。試験は前処理後3分以内に終了すること。
前頭部は(1)衝撃荷重が9.8kN以下、(2)7.35kN以上の衝撃荷重が加わった場合、その継続時間は3/000秒以下、(3)4.9kN以上の衝撃が加わった場合、その継続時間は4.5/1000秒以下、(4)保護帽に著しい損傷が生じないこと。
【0058】
塗膜の鉛筆硬度試験(鉛筆法)
鉛筆を45°に傾け、荷重(750±10g)をかける。
試験サンプルに鉛筆を添わせて0.5〜1mm/minの速度で7mmの距離を押す。肉眼で塗面を検査して、跡の種類を調べる。
塑性変形:もとにもどらないくぼみが生ずるが、破壊はない。
試験部位が少なくとも3mm以上の傷跡生じるまで硬度を上げていく。
軟い場合から、硬い場合に移行させる。6B,5B,4B,・・・HB,F,H,2H,・・・・の順番に行う。
【実施例1】
【0059】
A液は基本成分として、主剤である水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 38.0重量)、助剤(0.5重量、湿潤分散剤、表面調整剤、レベリング剤を、0.2、0.2、及び0.1重量用いる。)、赤外線遮蔽剤(ルチル型チタン白 CR−97石原産業株式会社製 15.0重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(ノースパースN−657株式会社裕商 0.5重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 1.0重量)、及び溶剤(第三級アルコール(ダイアセトンアルコール)15、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル)20、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)15、芳香族溶剤(トルエン、キシレン)50の混合溶剤(合計100重量)を全体量100として45重量を用いた。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(C液、硬質型)6.1重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(D液、軟質型)8.7重量(デュラネート E−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(第三級アルコール(ダイアセトンアルコール)15、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル)20、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)15、芳香族溶剤(トルエン、キシレン)50の混合溶液(全体を100重量とする)の10.2重量からなる組成物であった。
C/D=0.7(固形重量比)、A/B=1.5(固形重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【実施例2】
【0060】
A液は基本成分として、水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製38.0重量)、助剤(0.5重量)、遮熱塗料(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 15.0重量)、遮熱塗料分散剤(ノースパースN−657 株 式会社裕商 0.5重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 1.0重量)、及び溶剤(実施例1同じ溶剤 45.0重量)(合計100.0重量)からなる組成物として用いた。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)6.0重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート12.8重量(デュラネートE−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ溶剤)(11.2重量)からなる組成物として用いた。
C/D=0.49(固形重量比)、A/B=1.3(固形重量比)であった。
遮熱塗料をヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【実施例3】
【0061】
A液は基本成分として、水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 38.0重量)、助剤(0.5重量)、赤外線遮蔽剤(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 15.0重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(ノースパースN−657 株 式会社裕商 0.5重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 1.0重量)、及び、実施例1の場合と同じ溶剤(45.0重量)(合計 100.0重量)からなる組成物であった。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(C液)(硬質型)5.5重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(D液)(軟質型)16.7重量(デュラネートE−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ溶剤)(12.8重 量)からなる組成物であった。
C/D=0.3(固形重量比)、A/B=1.1(固形重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【実施例4】
【0062】
A液は基本成分として、水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 38.0重量)、助剤(0.5重量)、赤外線遮蔽剤(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 15.0重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(ノースパースN−657 株式会社裕商 0.5重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 1.0重量)及び、実施例1の場合と同じ溶剤(45.0重量)(合計 100.0重量)からなる組成物であった。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)(C液)3.9重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(軟質型)(D液)19.2重量(デュラネートE−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ溶剤)(11.9重量)からなる組成物であった。
A液/B液は、1.1(重量比)であった。 C/D=0.2(固形重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【実施例5】
【0063】
A液は基本成分として、水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 30.8重量)、助剤(1.1重量、湿潤分散剤、表面調整剤、レベリング剤を、0.4、0.4、及び0.3重量用いる。)、赤外線遮蔽剤(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 28.5重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(ノースパースN−657 株式会社裕商 0.3重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 0.8重量)、及び実施例1の溶剤と同じ溶剤を、全体を100としたときの38.5重量であった。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(C液、硬質型)4.5重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(D液、軟質型)16.4重量(デュラネート E−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ溶剤)合計10.2 重量からなる組成物であった。
C/D=0.207(固形重量比)、A/B=1.03(固形重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【実施例6】
【0064】
A液は基本成分として、主剤である水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 30.8重量)、助剤(1.1重量、湿潤分散剤、表面調整剤、レベリング剤を、0.4、0.4、及び0.3重量用いる。)、赤外線遮蔽剤(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 28.5重量)、赤外線遮蔽剤分散剤(ノースパースN−657 株式会社裕商 0.3重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 0.8重量)、及溶剤(実施例1と同じ溶剤合計38.5重量)(固形重量合計100.0)からなる組成物であった。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(C液、硬質型)4.5重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(D液、軟質型)21.9重量(デュラネート E−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ溶剤合計13.6重量)からなる組成物であった。
C/D=0.205(固形重量比)、A/B=0.77(固形重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
比較例1
【0065】
A液は基本成分として、主剤である水酸基含有アクリルポリオール重合体として、アクリディクA−801P(大日本インキ株式会社製 38.0重量)、助剤(0.5重量)、赤外線遮蔽材(ルチル型チタン白 CR−97 石原産業株式会社製 15.0重量)、赤外線遮蔽材分散剤(ノースパースN−657 株式会社裕商 0.5重量)、塗膜強化剤(シランカップリング剤 A−186 日本ユニカー株式会社製 1.0重量)、及び溶剤(実施例1と同じ(45.0重量)(合計 100.0重量)からなる組成物であった。
B液は、基本成分として硬化剤であるビウレット型ポリイソシアネート(硬質型)(C液)7.5重量(スミデュールN−75 住友バイエル株式会社製)及びアダクト型ポリイソシアネート(軟質型)(D液)7.5重量(デュラネートE−405−80T 旭化成ケミカルズ株式会社製)及び溶剤(実施例1と同じ)10.0重量 からなる組成物であった。
A/Bは、1.5(重量比)であった。
C/Dは1.0(重量比)であった。
A及びB液からなる遮熱塗料を用いてヘルメットの表面に0.02〜0.03mm/cmの割合で塗布した。
【0066】
以上の実施例及び比較例を整理すると以下の表1から3の通りである。
【表1】

【0067】
測定結果は以下の表2の通りである。
【表2】

【0068】
【表3】

以上の試験結果から、実施例1から実施例4までの範囲は問題なく、鉛筆硬度は4Bから6B以下までの範囲となることがわかる。
【符号の説明】
【0069】
1:帽体、
2:ハンモック
3:ヘッドバンド
4:環ひも
5:衝撃吸収ライナ
6:あごひも
7:つば
8:リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有アクリルポリオール重合体からなるアクリル重合体と、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートからなる成分と硬化剤として伸びる特質を有するアダクト型イソシアネートからなる成分を合わせた重量比(OH/NCO)は0.7〜1.5であり、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比)であることを特徴とするヘルメット用遮熱塗料。
【請求項2】
前記ヘルメット用遮熱塗料には赤外線遮蔽剤を含むことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用遮熱塗料。
【請求項3】
前記遮熱塗料には前記赤外線遮蔽剤と共に有色顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用遮熱塗料。
【請求項4】
前記請求項1から3いずれか記載のヘルメット用遮熱塗料による塗膜層がヘルメット素材の表面に形成されていることを特徴とする遮熱ヘルメット。
【請求項5】
前記ヘルメット素材がポリカーボネート製、ABS樹脂製又はガラス繊維強化熱硬化性樹脂製のいずれかであることを特徴とする請求項4記載の遮熱ヘルメット。
【請求項6】
前記ヘルメット素材にリブ形状が形成されていることを特徴とする請求項4記載の遮熱ヘルメット。
【請求項7】
前記請求項4から6いずれか記載の遮熱ヘルメットに対する鉛筆硬度法による傷つき限界試験の結果は4B〜6B以下であることを特徴とする遮熱ヘルメット。
【請求項8】
請求項1記載のヘルメット用遮熱塗料に含まれる、硬化剤として弾性の特質を有するビウレット型イソシアネートと、硬化剤として伸びる特質を有する成分アダクト型イソシアネートの重量比(ビウレット型イソシアネート/アダクト型イソシアネート)は0.70〜0.20(固形重量比)である組成物の温度に対する弾性率、温度に対する粘性率及び温度に対するtanδの関係は図4、図5及び図6によって示される範囲であることを特徴とするヘルメット用遮熱塗料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−261023(P2010−261023A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87720(P2010−87720)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】