説明

遮熱建築物の構築方法,遮熱建築物およびアルミ熱線反射材

【課題】 対流熱対策,伝導熱対策,輻射熱対策,表面結露対策に優れ、かつ、作業性に優れた遮熱建築物の構築方法、遮熱建築物およびアルミ熱線反射材を提供すること。
【解決手段】 柱・間柱、軒桁および土台の屋外側にアルミ熱線反射材を取り付け、該アルミ熱線反射材の屋外側に通気胴縁を間隔を存して取り付け、該通気胴縁の屋外側に外壁仕上げ材を取り付け、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に気密テープを張り付け、前記間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付け、前記間柱の屋内側に内壁下地を取り付け、該内壁下地の屋内側に内壁仕上げ材を取り付ける方法。前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートが結合され、一端または両端に気泡がない薄縁片を持つ。取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱建築物の構築方法、遮熱建築物およびアルミ熱線反射材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の建築用断熱材料として、第1例で、グラスウール,ウレタンボードのような発泡系の断熱材またはアルミの遮熱材がある。また第2例は本出願人が開発し特許を取得したものに使用されているもので、樹脂系気泡シートとアルミニウム箔の結合されたアルミ熱線反射材である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4226588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1例のものは対流熱対策,伝導熱対策,輻射熱対策,表面結露対策等にそれぞれ欠点がある。
第2例のものは、シートを柱の屋外側に貼り付けてその屋外側に桟を釘で打ち付けるとき、シートの気泡のため次のような問題が生じた。即ち、取り付けるに際し、下側からシートを取り付け、その上縁の外側に上側シートの下縁を重ねて取り付ける。このとき、重ねた部分が厚くなり、その屋外側に桟を釘で取り付けるのに支障を来たす。また、重ねないで突き合わせて取り付けると、その境界の隙間の存在で防水性能が悪くなる。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、対流熱対策,伝導熱対策,輻射熱対策,表面結露対策に優れ、かつ、作業性に優れた遮熱建築物の構築方法、遮熱建築物およびアルミ熱線反射材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アルミ熱線反射材を取り付けた後に、樹脂発泡性液を現場で発泡させ吹き付ける断熱樹脂発泡層を形成する、複合体工法に係わる。これにより、断熱材料個々の欠点を補うので、高性能な断熱性能が期待できる。断熱,遮熱,保温,電磁波の軽減を必要とする箇所に適用し、住環境改善および省エネ・結露対策・温熱環境改善に貢献する。
【0007】
即ち、本発明の第1課題解決手段の方法は、柱・間柱、軒桁および土台の屋外側にアルミ熱線反射材を取り付ける工程と、該アルミ熱線反射材の屋外側に通気胴縁を間隔を存して取り付ける工程と、該通気胴縁の屋外側に外壁仕上げ材を取り付ける工程と、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に気密テープを張り付ける工程と、前記間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程と、前記間柱の屋内側に内壁下地を取り付ける工程と、該内壁下地の屋内側に内壁仕上げ材を取り付ける工程とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることである。
【0008】
発明の第2課題解決手段の方法は、天井下地材の小屋裏側にアルミ熱線反射材を取り付ける工程と、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材の間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程と、該天井下地材の屋内側に天井仕上げ材を取り付ける工程とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を一縁または他縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることである。
【0009】
本発明の第3課題解決手段の方法は、垂木の屋外側で棟木から軒桁までの部分にアルミ熱線反射材を取り付けるに際し、軒桁部分で前記反射材が垂木に接している部分の垂木の両側面に対応する部分を切断し、隣り合う垂木間で反射材を垂れ下げ、その下端縁を軒桁の屋外側に取り付けるようにした、アルミ熱線反射材を取り付ける工程と、該アルミ熱線反射材の屋外側に通気胴縁を間隔を存して取り付ける工程と、該通気胴縁の屋外側に野地板を取り付ける工程と、該野地板の屋外側にルーフィングを取り付ける工程と、該ルーフィングの屋外側に屋根仕上げ材を取り付ける工程と、前記反射材の垂下部分と垂木側面との境界部に気密テープを貼る工程と、前記アルミ熱線反射材の小屋裏側で前記垂木の間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることである。
【0010】
本発明の第4課題解決手段の建築物は、柱・間柱、軒桁および土台の屋外側に取り付けられたアルミ熱線反射材と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた外壁仕上げ材と、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に張り付けられた気密テープと、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層と、前記柱・間柱の屋内側に取り付けられた内壁下地と、該内壁下地の屋内側に取り付けられた内壁仕上げ材とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けられていることである。
【0011】
本発明の第5課題解決手段の建築物は、天井下地材の小屋裏側に取り付けられたアルミ熱線反射材と、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層と、該天井下地材の屋内側に取り付けられた天井仕上げ材とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を一縁または他縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けられたことである。
【0012】
本発明の第6課題解決手段の建築物は、棟木と軒桁間に張り渡された垂木の屋外側で、棟木から軒桁までの部分、および隣り合う垂木間の軒桁部分で軒桁の屋外側へ取り付けられた防水性、および透湿性を持つアルミ熱線反射材と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた野地板と、該野地板の屋外側に取り付けられたルーフィングと、該ルーフィングの屋外側に取り付けられた屋根仕上げ材と、前記反射材の垂下部分と垂木側面との境界部に張り付けられた気密テープと、前記アルミ熱線反射材の小屋裏側で前記垂木の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層とを含み、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けたことである。
【0013】
本発明の第7課題解決手段のアルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、アルミ熱線反射材と、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させ吹き付けて断熱樹脂発泡層を形成することを組み合わせることにより、対流熱,伝導熱,輻射熱の3種類の熱移動に対し、断熱,遮熱,保温の性能を発揮することとなった。しかも、遮熱性、防水性、および透湿性を持つアルミ熱線反射材と、無数の細かい連続気泡で構成された樹脂発泡層により、これらの持つ細孔を通して屋内の湿気は屋外へ排出されることになる。このため、防露性が向上することになる。
【0015】
また、アルミ熱線反射材に樹脂発泡性液を現場で発泡吹き付けることにより、作業性がよく、ゴミがほとんど発生しない。また、アルミ熱線反射材は、外張り断熱工法の扱いとなるが、厚みが薄いので、支持体に問題が生じにくくなる。また、現場で吹き付けることにより、発泡しながら隙間が埋まっていくこととなり、気密性能を簡単に上げることができる。
【0016】
しかも、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に気密テープを張り付ける。また、前記反射材の垂下部分と垂木側面との境界部に気密テープを貼る。従って、発砲樹脂の吹き付けに際し、吹き付け圧力や反射材の伸縮性により、反射材が取り付けられる柱、軒桁、土台などの面との間に吹き付け樹脂が侵入する不都合を防止できる。
【0017】
そのうえ、前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用する。そして、取り付けるに際し、前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付ける。このとき、重ねた部分が厚くならず、その屋外側に桟を釘で取り付けるのに支障を来たさない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】壁構造の縦断面図である。
【図1a】壁構造でのアルミ熱線反射材の正面図である。
【図1b】壁構造でのアルミ熱線反射材の側面図である。
【図1c】壁構造でのアルミ熱線反射材の側面図である。
【図1d】壁構造でのアルミ熱線反射材の縦断側図である。
【図1e】壁構造でのアルミ熱線反射材の縦断側面図である。
【図1f】壁構造でのアルミ熱線反射材の側面図である。
【図2】天井構造の縦断面図である。
【図3】小屋裏構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施例を木造在来工法の例にとって図面にもとづき説明する。図1と図3の下部は壁構造10を示したものである。柱・間柱11,軒桁A5(又は胴差しA3),土台A2にわたり、屋外側にアルミ熱線反射材1をタッカー等で取り付ける。ここで、土台の下半部には水切り16が取り付けられ、その外側に前記反射材1が垂下した状態となる。アルミ熱線反射材1として、ポリエチレン樹脂系気泡シートの両面にアルミニウム箔を張り付けた、次のものが使用される。(後記の天井構造および小屋裏構造にも適用される)
【0020】
図1a,1b,1d,1eにおいて、アルミ箔1dと樹脂気泡シートの結合されたもので、一端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つアルミ熱線反射材である。前記気泡シートにおいて、直角四辺形の平面シートの一方面から凹み、他方面に突出する円形凹凸部の多数が千鳥状に均等に分布する凹凸シート1aを持つ。該凹凸シートを挟んで一方面に第1平面シート1b、他方面に第2平面シート1cが付着され、該凹凸シートの横対向辺で、該辺を超えて延長部分を持つ。凹凸シート1aと第1平面シート1bとで気泡シートが形成される。前記アルミ箔1dにおいて、前記気泡シートの平面シートの延長部分を含む全体にわたり、挟んで一方面と他方面に付着されている。
【0021】
また、図1aで前記気泡シート1a,1bにおいて、気泡の分布状態は次のようになっている。直角四辺形の平面シート1bの縦辺に平行な縦中心線上で、上下等間隔の縦ピッチP1で並んでいる。そして、隣り合う縦中心線上において、縦ピッチの1/2ずつずれている。また、直角四辺形の平面シートの横辺に平行な横中心線上で、左右等間隔の横ピッチP2で並んでいる。そして、隣り合う横中心線上において、横ピッチの1/2ずつずれている。
【0022】
そして、図1eで凹凸シート1a、第1平面シート1b、第2平面シート1cおよびアルミ箔1dが圧着され、延長部分は一方面側から他方面側に押圧されて接着剤で互いに付着され、他方面側で薄くなった、薄縁片1eを形成する。
【0023】
なを、図1fのように、両端に薄縁片を形成してもよい。この場合、向きは互いに点対称の状態である。また、図1dで前記アルミ熱線反射材において、第2平面シート1cおよびアルミ箔1d一方面と他方面のいずれかを省略してもよい。
【0024】
図1bにおいて、前記アルミ熱線反射材1を取り付けるに際し、下側からシートを取り付け、その上薄縁片1eの外側に上側シートを重ねて取り付ける。そして、境界部にアルミ箔の防水テープ3を貼る。なお、図1cは上側シートの
下薄縁片1eの内側に下側シートを重ねたものである。
【0025】
次に図1で、該アルミ熱線反射材の屋外側で前記柱に、上下に長い通気胴縁12を左右に間隔を存して取り付ける。該通気胴縁の屋外側で前記通気胴縁に外壁仕上げ材13を取り付ける。
【0026】
そして、前記アルミ熱線反射材1の屋内側で、前記間柱11の間隔区画内と軒桁(又は胴差し)と土台A2の間に、樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける。
【0027】
即ち、例えば、次のような原料とスプレー発泡機を使って行われる。(後記の天井構造および小屋裏構造にも適用される)
○原料:硬質ウレタン 品名:フオームライトHNB−6200J、
組成(容量比)ポリオール成分 100、イソシアネート成分 100、
発泡剤:HFC−245fc, JIFC−365mfc
○スプレー機械:GUSMER FF−1600
○製造販売者:ビーエーエスエフ イノアック(BASF INOAC)
ポリウレタン株式会社、住所:愛知県新城市川田字本宮道1−196。
【0028】
ここで、発泡樹脂の吹き付けに際し、吹き付け圧力や反射材1の伸縮性により、反射材が取り付けられる柱,軒桁,土台等の面との間に吹き付け樹脂が侵入すれば、そこで発泡してその部分を外側へ不都合に膨張させてしまう。そのような恐れがあるときは、吹き付け作業の前に、それらの境界部に気密テープを貼り付けるとよい。また、タッカー(ホッチキス針)で止めるときのタッカー同志の間隔を狭くすればよいが、この場合、タッカーを含めてその周囲をアルミ箔の防水テープを貼り付ければよい。
次いで、前記間柱11,軒桁A5,胴差しA3,土台A2にわたり、その屋内側に内壁下地14を取り付け、該内壁下地の屋内側に内壁仕上げ材15を取り付ける。
【0029】
この結果、できあがった壁構造10は次のとおりである。間柱11の屋外側に取り付けられたアルミ熱線反射材1と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁12と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた外壁仕上げ材13と、前記アルミ熱線反射材1の屋内側で前記間柱11の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた樹脂発泡層2と、前記間柱の屋内側に取り付けられた内壁下地14と、該内壁下地の屋内側に取り付けられた内壁仕上げ材15とを含む。
【0030】
このような壁構造10において、通気胴縁12によって上下で外気に通じた空気層12aが、外壁仕上げ材13とアルミ熱線反射材1の間隔内(約15mm以上〜約40mm)に形成される。従って、この空気層(空間)の存在により、屋外側からの伝わってきた熱による熱線がアルミ熱線反射材1で反射(約95%反射)される。もし、この空間がなければ、外部からの熱は熱伝導として屋内側へ移動してしまう。また、空気層の熱は上方気流によって上部から逃れるので、熱が蓄積されることはない。また、湿気がたまって胴縁を腐らせることもない。
【0031】
ここで、アルミ熱線反射材だけでは熱の伝導,対流に効果は少なく、結露が生じる。発泡樹脂層だけでは、熱線の反射がないので、熱吸収して伝導する。本発明では、両者の各々の欠点を互いに補い、各々の利点を有する極めて優れた効果を発揮することとなった。静止した空気層では、太陽熱(特に夏)で熱がたまって高温度となり、また、湿気もたまり、胴縁を腐らすことになる。
【0032】
図2は、天井構造20を示したものである。碁盤目状の桟からなる天井下地材21の小屋裏側にアルミ熱線反射材1を取り付ける。前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用する。取り付けるに際し前記薄縁片を一縁または他縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付ける。そして、境界部にアルミ箔の防水テープを貼る。前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材21の間隔区画内に、硬質ウレタン原液を現場で発泡させて吹き付ける。該天井下地材21の屋内側に天井仕上げ材22を取り付ける。
【0033】
この結果できあがった天井構造20は次のとおりである。天井下地材21の小屋裏側に取り付けられたアルミ熱線反射材1と、前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材21の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた樹脂発泡層2と、該天井下地材の屋内側に取り付けられた天井仕上げ材22とを含む。
【0034】
図3は小屋裏構造30を示したものである。棟木A7と軒桁A5間に張り渡された垂木31の屋外側で、棟木A7から軒桁A5までの部分にアルミ熱線反射材1を取り付ける。前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用する。取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシート重ねて取り付ける。そして、境界部にアルミ箔の防水テープを貼る。
【0035】
このとき、軒桁部分で、反射材1が垂木31に接している部分の垂木の両側面に対応する部分が切断され、隣り合う垂木間で反射材1が垂れ下げられ、その下端縁付近が軒桁の屋外側へ取り付けられる。そして、この反射材1の垂下部分と垂木側面との境界部には、場合によって気密テープが貼られる。該アルミ熱線反射材の屋外側で、垂木に通気胴縁32を間隔を存して取り付ける。該通気胴縁の屋外側に野地板33を取り付ける。該野地板の屋外側にルーフィング34を取り付ける。該ルーフィングの屋外側に屋根仕上げ材35を取り付ける。前記アルミ熱線反射材1の小屋裏30側で、前記垂木31の間隔区画内で棟木から軒桁の反射材垂下部まで、硬質ウレタン原液を現場で発泡させて吹き付ける。
【0036】
この結果できあがった小屋裏構造30は次のとおりである。垂木31の屋外側に取り付けられたアルミ熱線反射材1と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁32と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた野地板33と、該野地板の屋外側に取り付けられたルーフィング34と、該ルーフィングの屋外側に取り付けられた屋根仕上げ材35と、前記アルミ熱線反射材1の小屋裏30側で前記垂木31の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた樹脂発泡層2とを含む。棟の上側には、通気胴縁32の上昇気流を外気へ逃すため、公知の換気棟瓦36が取り付けられる。
【0037】
前記樹脂発泡性液として、前記のほか、断熱性などに優れた建材分野で使用される樹脂発泡性原料が適用される。例えば、充填・被覆用断熱材としての高分子発泡体材料であって、公知の二液型のユリア樹脂をポンプで注入発砲させるもの、連続気泡体の軟質発砲ポリウレタン(モルトプレン等)、ポリエチレンや塩化ビニルの軟質発砲体(独立気泡)などである。また、イソシアネートと水を混合して発生する炭酸ガスを発泡剤として利用した硬質ウレタンフオーム(製造者:株式会社日本アクア、住所:名古屋市南区北頭町2−25)。また、鉄骨造り、RC造り等の建築物に適用できる。
【0038】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲および範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は遮熱建築物の構築方法および遮熱建築物、アルミ熱線反射材,また、断熱,遮熱,保温,電磁波の軽減を必要とする種々な用途に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
A1 基礎
A2 土台
A3 胴差し
A4 床梁
A5 軒桁
A6 小屋梁
A7 棟木
1 アルミ熱線反射材
2 樹脂発泡層
3 防水テープ
10 壁
11 間柱
12 通気胴縁
12a 通気層
13 外壁仕上げ材
14 内壁下地
15 内壁仕上げ材
16 水切り
20 天井
21 天井下地材
22 天井仕上げ材
30 小屋裏
31 垂木
32 通気胴縁
33 野地板
34 ルーフィング
35 屋根仕上げ材
36 換気棟瓦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱・間柱、軒桁および土台の屋外側にアルミ熱線反射材を取り付ける工程と、該アルミ熱線反射材の屋外側に通気胴縁を間隔を存して取り付ける工程と、該通気胴縁の屋外側に外壁仕上げ材を取り付ける工程と、
前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に気密テープを張り付ける工程と、
前記間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程と、前記間柱の屋内側に内壁下地を取り付ける工程と、該内壁下地の屋内側に内壁仕上げ材を取り付ける工程とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることを特徴とする遮熱建築物の構築方法。
【請求項2】
天井下地材の小屋裏側にアルミ熱線反射材を取り付ける工程と、
前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材の間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程と、該天井下地材の屋内側に天井仕上げ材を取り付ける工程とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を一縁または他縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることを特徴とする遮熱建築物の構築方法。
【請求項3】
垂木の屋外側で棟木から軒桁までの部分にアルミ熱線反射材を取り付けるに際し、軒桁部分で前記反射材が垂木に接している部分の垂木の両側面に対応する部分を切断し、隣り合う垂木間で反射材を垂れ下げ、その下端縁を軒桁の屋外側に取り付けるようにした、アルミ熱線反射材を取り付ける工程と、
該アルミ熱線反射材の屋外側に通気胴縁を間隔を存して取り付ける工程と、該通気胴縁の屋外側に野地板を取り付ける工程と、該野地板の屋外側にルーフィングを取り付ける工程と、該ルーフィングの屋外側に屋根仕上げ材を取り付ける工程と、
前記反射材の垂下部分と垂木側面との境界部に気密テープを貼る工程と、
前記アルミ熱線反射材の小屋裏側で前記垂木の間隔区画内に、硬質ウレタン樹脂発泡性液を現場で発泡させて吹き付ける工程とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものを使用し、取り付けるに際し前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けることを特徴とする遮熱建築物の構築方法。
【請求項4】
柱・間柱、軒桁および土台の屋外側に取り付けられたアルミ熱線反射材と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた外壁仕上げ材と、
前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記柱・間柱、軒桁および土台の間隔区画の境界部に張り付けられた気密テープと、
前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層と、前記柱・間柱の屋内側に取り付けられた内壁下地と、該内壁下地の屋内側に取り付けられた内壁仕上げ材とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けられていることを特徴とする遮熱建築物。
【請求項5】
天井下地材の小屋裏側に取り付けられたアルミ熱線反射材と、
前記アルミ熱線反射材の屋内側で前記天井下地材の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層と、該天井下地材の屋内側に取り付けられた天井仕上げ材とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を一縁または他縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けられたことを特徴とする遮熱建築物。
【請求項6】
棟木と軒桁間に張り渡された垂木の屋外側で、棟木から軒桁までの部分、および隣り合う垂木間の軒桁部分で軒桁の屋外側へ取り付けられた防水性、および透湿性を持つアルミ熱線反射材と、該アルミ熱線反射材の屋外側に間隔を存して取り付けられた通気胴縁と、該通気胴縁の屋外側に取り付けられた野地板と、該野地板の屋外側に取り付けられたルーフィングと、該ルーフィングの屋外側に取り付けられた屋根仕上げ材と、
前記反射材の垂下部分と垂木側面との境界部に張り付けられた気密テープと、
前記アルミ熱線反射材の小屋裏側で前記垂木の間隔区画内に、現場で発泡させて吹き付けられた硬質ウレタン樹脂発泡層とを含み、
前記アルミ熱線反射材は、アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つものであり、前記薄縁片を上縁または下縁に位置させて、隣接するシートを重ねて取り付けたことを特徴とする遮熱建築物。
【請求項7】
アルミ箔と樹脂気泡シートの結合されたもので、一端または両端に気泡がなく薄くなった薄縁片を持つアルミ熱線反射材。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−57223(P2013−57223A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197555(P2011−197555)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(505429016)
【Fターム(参考)】