説明

遮蔽された放射性同位元素の検出および識別のためのライブラリ生成

【課題】領域または空間をモニタリングする際に存在し得る全ての予想される物質を表すデータを生成する方法を提供すること。
【解決手段】上記方法は、複数の物質のグループの1つに、予想される物質をグループ分けすることと、物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて、物質のグループのうちの各々を複数のサブグループに細分化することと、複数の物質のグループの各々のサブグループの各々に対する第一のデータを格納することであって、複数のエネルギーレベルにおいて、各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納することと、各関心のある放射性同位元素に対して、第二のデータを用いて関心のある放射性同位元素と、各物質のグループの複数のサブグループの各々に対する第一のデータとの間の相互作用を表すスペクトルデータを計算することと該スペクトルデータをライブラリに格納することとを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、同一人に譲渡され、同時係属中の米国出願第11/847,602号(2007年8月30日に出願された発明の名称「System and Method for Radioisotope Identification」)に関し、その全体が本明細書において参考により援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
物質を目的地まで輸送する目的のコンテナ内部に配置され得る物質の存在を検出することが可能な技術を開発する努力が進行中である。識別することがもっとも重要になり得る有害物質の例は、放射性因子、爆発性因子、生物学的因子および/または化学因子である。
【0003】
現在の放射性同位元素の識別は、ピーク検出およびパターン整合アルゴリズムに基づく。研究室において、そして一部の産業用途において(例えば、商業的な原子力の原子炉において)、これらの技術は十分であり得るが、これらの技術は、遮蔽された放射性同位元素を検出する試みにおいては、主として、現在のアルゴリズムが、放出される放射線と周囲の物質との間の相互作用を十分に説明できないので不十分である。
【0004】
前述の同時係属出願は、関心のある放射性同位元素物質が検出器の視野に存在するか否かを決定するように検出器の出力を迅速に分析するために、任意の遮蔽物質を有する放射性同位元素物質の相互作用をモデル化するシステムおよび方法を提示する。これらの技術を改善する余地があり、特に、任意の組み合わせにおける、関心のある放射性同位元素と予想される物質との間の相互作用を表すデータの信頼性あるライブラリを構築する余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
簡単に言うと、関心のある放射性同位元素の領域または空間をモニタリングする際に、存在し得る全ての予想される物質を表すデータを生成する方法、コンピュータソフトウェアおよびシステムが提供される。放射性同位元素物質が相互作用し得る、全ての予想される物質が、複数のグループのうちの1つにグループ分けされるか、またはカテゴライズされる。各物質のグループは、物質の原子番号および/または物質の電子親和力に基づいて複数のサブグループにさらに細分化される。第一のデータは、複数の物質のグループの各々のサブグループの各々に格納され、ここで、第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と、複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す。複数のエネルギーレベルにおいて、関心のある各放射性同位元素のスペクトル特性を表す、第二のデータが格納される。関心のある放射性同位元素に対して、第二のデータを用いて、各物質のグループの複数のサブグループの各々に対する第一のデータとの間の相互作用から由来するスペクトルデータを生成するために計算がなされる。次いで、スペクトルデータが、検出器からの出力を用いた現場での後の使用のためにライブラリに格納される。スペクトルデータは、現場で使用される特定の検出器に対して格納され、そのために、このような検出器特有のスペクトルライブラリデータが調整され得、検出器の量子効率と分解能特性とを考慮し得る。
【0006】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
関心のある放射性同位元素の領域または空間をモニタリングする際に存在し得る予想される物質を表すデータを生成する方法であって、該方法は、
複数の物質のグループのうちの1つに、該予想される物質をグループ分けすることと、
物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて、該物質のグループのうちの各々を複数のサブグループに細分化することと、
該複数の物質のグループの各々の該サブグループの各々に対する第一のデータを格納することであって、該第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と、複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す、ことと、
該複数のエネルギーレベルにおいて、各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納することと、
各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と、各物質のグループの該複数のサブグループの各々に対する該第一のデータとの間の相互作用を表すスペクトルデータを計算することと
該スペクトルデータをライブラリに格納することと
を包含する、方法。
(項目2)
スペクトルデータを計算することは、関心のある1つ以上の放射性同位元素の各々に対する第二のデータと、上記複数のサブグループの1つ以上の組み合わせに対する第一のデータとの間の相互作用を計算することを包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
検出器デバイスに関連付けられた量子効率特性に対して、上記スペクトルデータを調整することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目4)
検出器デバイスの分解能に対して、上記スペクトルデータを調整することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
第一のデータを格納することは、物質のグループの各サブグループに対する行列に対するデータを格納することを包含し、該行列は放射と上記複数のエネルギーレベルにおいてそのサブグループにグループ分けされる物質との間の相互作用を表す、項目1に記載の方法。
(項目6)
物質のグループの各サブグループに対する行列に対するデータを格納することは、行列Mを格納することを包含し、ここで、
【0007】
【化14】

であり、式中、Eijは、上記物質を介したエネルギーEの単一なエネルギー供給源の輸送に起因する、Monte Carlo Neutron and Photon(MCNP)計算値(すなわち集計値)を表す、項目4に記載の方法。
(項目7)
第二のデータを格納することは、真空において関心のある放射性同位元素のスペクトルを表す、関心のある各放射性同位元素に対するベクトル
【0008】
【化15】

に対するデータを格納することを包含し、
ここで、
【0009】
【化16】

であり、a,a,…,aは、それぞれ、エネルギービンE,…Eにおけるスペクトル振幅である、項目6に記載の方法。
(項目8)
計算することが、
【0010】
【化17】

を計算することを包含し、ここでPはスペクトルデータである、項目7に記載の方法。
(項目9)
計算することが、密度ρおよび厚さrの物質の上記相互作用に対するスペクトルデータを、
【0011】
【化18】

として計算することを包含し、ここでΓ=αρrであり、αは負でない整数である、項目8に記載の方法。
(項目10)
計算することが、
【0012】
【化19】

を計算することを包含する単一の放射性同位元素と上記サブグループの各々との間の相互作用を計算することを包含し、ここでκは、全ての物質のグループにわたるサブグループjに対する物質行列Mの集合である、項目9に記載の方法。
(項目11)
計算することは、
【0013】
【化20】

を計算することを包含する複数の関心のある放射性同位元素と上記サブグループの各々との間の相互作用を計算することを包含し、ここでδは、
【0014】
【化21】

で関心のある表現されたJ個の個別の放射性同位元素の各々による放射の重み付け率である、項目10に記載の方法。
(項目12)
項目1に記載のデータのライブラリを用いて関心のある放射性同位元素の存在を検出する方法であって、関心のある領域または空間をインターロゲートする際に、検出器によって生成されたスペクトルデータと該ライブラリに格納されたスペクトルデータとを比較することと、該検出器によって生成されたスペクトルデータと該ライブラリ中のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、該関心のある放射性同位元素の存在を宣言することとをさらに包含する、方法。
(項目13)
上記関心のある放射性同位元素を、名前または他の識別子によって、識別することをさらに包含する、項目12に記載の方法。
(項目14)
実行のために1つ以上の実体的な媒体にコード化され、実行されたとき、関心のある放射性同位元素に対する領域または空間をモニタリングする際に存在し得る予想される物質を表すデータを生成するように動作可能な論理であって、
複数のエネルギーレベルにおける放射と、該予想される物質がグループ分けされる複数の物質のグループの各々の、複数のサブグループの各々に対する代表的な物質との間の相互作用を表す第一のデータを格納する論理であって、各物質のグループは、物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて複数のサブグループに細分化される、論理と
該複数のエネルギーレベルにおいて、各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納する論理と、
各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と、各物質のグループの該複数のサブグループに対する該第一のデータとの相互作用を表すスペクトルデータを計算する論理と
該スペクトルデータをライブラリに格納する論理と
を備えている、論理。
(項目15)
上記スペクトルデータを計算する上記論理は、関心のある1つ以上の放射性同位元素の各々に対する第二のデータと、上記複数のサブグループの1つ以上の組み合わせに対する第一のデータとの間の相互作用を計算する命令を備えている、項目14に記載の論理。
(項目16)
検出器デバイスに関連付けられた量子効率特性に対する上記スペクトルデータの調整を計算する論理をさらに備えている、項目14に記載の論理。
(項目17)
検出器デバイスの分解能に対する上記スペクトルデータの調整を計算する論理をさらに備えている、項目14に記載の論理。
(項目18)
上記第一のデータを格納する上記論理は、
物質のグループの各サブグループに対する行列を格納する命令を備え、該行列は、放射と上記複数のエネルギーレベルのサブグループにグループ分けされる物質との間の相互作用を表す、項目14に記載の論理。
(項目19)
上記第一のデータを格納する上記論理は、行列Mを格納することを包含する、物質のグループの各サブグループに対する該行列を格納する命令を備え、ここで、
【0015】
【化22】

であり、式中、Ei,jは、Eの単一なエネルギー源の輸送に起因するMonte Carlo Neutron and Photon(MCNP)計算値(すなわち集計値)を表す、項目15に記載の論理。
(項目20)
上記第二のデータを格納する上記論理は、真空において関心のある放射性同位元素のスペクトルを表す関心のある各放射性同位元素に対するベクトル
【0016】
【化23】

に対するデータを格納する命令を備え、
ここで
【0017】
【化24】

であり、
,a,…,aは、それぞれ、エネルギービンE,…Eのスペクトル振幅である、項目19に記載の論理。
(項目21)
上記スペクトルデータを計算する上記論理は、
【0018】
【化25】

を計算する命令を備え、ここでPはスペクトルデータである、項目19に記載の論理。
(項目22)
上記計算する論理は、密度ρおよび厚さrの物質の相互作用に対するスペクトルデータを、
【0019】
【化26】

として計算する命令を備え、ここでΓ=αρrであり、αは負でない整数である、項目19に記載の論理。
(項目23)
上記計算する論理は、
【0020】
【化27】

を包含する、複数の関心のある放射性同位元素と、上記サブグループの各々との間の相互作用を計算する命令を備え、ここでδiは、
【0021】
【化28】

で関心のある表現されたJ個の個別の放射性同位元素の各々による放射の重み付け率である、項目19に記載の論理。
(項目24)
項目13に記載のコンピュータ読み取り可能媒体を備えているシステムであって、関心のある領域または空間をインターロゲートし、スペクトルデータを生成するよういに構成されている検出器デバイスと、計算デバイスとを備えており、該計算デバイスは、スペクトルデータと上記ライブラリに格納されたスペクトルデータとを比較して、該検出器デバイスによって生成されたスペクトルデータと該ライブラリ内のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、関心のある放射性同位元素の存在を決定する、システム。
(項目25)
スペクトルデータを含むデータのライブラリを格納するデータストレージユニットであって、該スペクトルデータは、予想される物質を複数の物質のグループのうちの1つにグループ分けすることと、物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて、該物質のグループを複数のサブグループに細分化することと、該複数の物質のグループの各々のサブグループの各々に対する第一のデータを格納することであって、該第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す、ことと、該複数のエネルギーレベルにおける各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納することと、各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と各物質のグループの該複数のサブグループの各々に対する該第一のデータとの間の相互作用を表すスペクトルデータを計算することとによって生成される、データストレージユニットと、
領域または空間をインターロゲートし、該領域または該空間のインターロゲートから生じるスペクトルデータを出力するように構成されている検出器デバイスと、
該検出器デバイスに結合されている計算デバイスであって、該計算デバイスは、該検出器デバイスによって生成された該スペクトルデータと、スペクトルデータのライブラリとを比較して、該検出器デバイスによって生成された該スペクトルデータと該ライブラリ内のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、関心のある放射性同位元素の存在を決定する、計算デバイスと
を備えている、システム。
【0022】
(摘要)
関心のある放射性同位元素の領域または空間をモニタリングする際に存在し得る全ての予想される物質を表すデータを生成する方法、論理およびシステムが提供される。放射性同位元素が相互作用し得る、全ての予想される物質は、複数の物質のグループのうちの1つにグループ分けされるか、またはカテゴライズされる。各物質のグループは、物質の原子番号に基づいて複数のサブグループにさらに細分化される。第一のデータは複数の物質のグループの各々のサブグループの各々に格納され、ここで第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と、複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す。複数のエネルギーレベルにおいて、関心のある各放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータが格納される。関心のある放射性同位元素に対して、第二のデータを用いて、各物質のグループの複数のサブグループの各々に対する第一のデータとの間の相互作用から由来するスペクトルデータを生成するために計算がなされる。次いで、スペクトルデータが、検出器からの出力を用いた現場での後の使用のためにライブラリに格納される。スペクトルデータは、現場で使用される特定の検出器に対して格納され、そのために、このような検出器特有のスペクトルライブラリデータが調整され得、検出器の量子効率と分解能特性とを考慮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、放射性同位元素物質の存在を検出する検出システムのブロック図の例である。
【図2】図2は、単純な放射線輸送装置の例を描く。
【図3】図3は、関心のある放射性同位元素と物質との相互作用を表すデータのライブラリを生成するように構成されたシステムのブロック図の例である。
【図4】図4は、関心のある放射性同位元素と物質との相互作用を表すデータを生成するライブラリ生成プロセスのフローチャートの例である。
【図5】図5は、ライブラリ生成プロセスによって作成されたデータを用いる検出プロセスのフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
最初に図1を参照すると、任意の領域または空間10内の関心のある放射性同位元素の存在を検出し、識別するために有用なシステム5のブロック図が示される。検出器20は、関心のある放射性同位元素物質と関連付けられたスペクトルサインについて、領域または空間10をインターロゲートする。概して、検出器20は、スペクトルを生成する任意の検出器または検出システムであり得る。
【0025】
領域または空間10は、任意の開放空間または閉鎖空間であり得、これらの空間は、小さなコンテナ、大きなコンテナ(例えば、カーゴ輸送コンテナ)、手荷物、車両、ハンドバッグ、バックパック、衣服などを含むがこれらに限定はされない。領域10は、静止していても良いし、動いていても良い。
【0026】
検出器20の出力を受信するように結合された計算リソース30はコンピュータ読み取り可能メモリ50に格納された比較アルゴリズムまたは整合アルゴリズム40に対するコンピュータソフトウェア命令を実行することによって検出器出力を分析する。メモリ50は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、これらの組み合わせ、または任意の他のタイプの適切なコンピュータ読み取り可能メモリであり得る。一例において、メモリ50は、計算リソース30内(この場合にはデスクトップコンピュータ)に存在し得る。しかしながら、比較アルゴリズム40のためのプログラムを含むメモリ50が有線接続または無線接続(ネットワークまたは専用の接続)を介して計算リソース30によってアクセス可能であることもまた可能であり、その結果、計算リソース30は検出器20に接続されたままである。比較アルゴリズム40を実行している際に、コンピュータリソース30は、1つ以上の関心のある放射性同位元素物質と、検出器20の面と関心のある放射性同位元素との間に存在し得る全ての関心のある予想される物質との間の数学的にモデル化された物理的な相互作用を表すデータを含むデータライブラリ60を参照する。ライブラリ60におけるデータの生成を単純化する能力は、より信頼性が高く実際に有用なシステム5を提供するために望ましい。比較/整合アルゴリズム40は、検出器が、出力としてある種のスペクトル(すなわち、エネルギーレベル対周波数、またはエネルギーレベル対波長)を生成している限り、任意の特定の形式またはタイプの検出器20と共に使用されるように限定されないが、それにもかかわらず、このような検出器20の例は、半導体技術に基づく検出器(シリコン検出器、ダイヤモンド検出器、ゲルマニウム検出器、テルル化カドミウム検出器、ヨウ化水銀検出器、テルル化カドミウム亜鉛検出器、四ホウ化トリウム検出器、ハロゲン化ランタノイド(lanthaide)またはハロゲン化アクチノイド検出器を含むがこれらに限定されない)、シンチレータ技術に基づく検出器(アルカリハライド(ヨウ化ナトリウムを含む)、低速有機シンチレータ(例えば、硫化亜鉛)、不活性高速無機シンチレータ(例えば、ヨウ化セシウム)、セリウム活性化高速無機シンチレータ(例えば、セリウムドーピングしたイットリウムアルミニウムガーネットすなわちYAG:Ce)、およびガラスシンチレータ(例えば、セリウム活性リチウムガラス)を含むがこれらに限定されない)、またはそれらの任意の派生物、あるいは物理的「ゲーティング」または飛行時間に基づく検出器である。
【0027】
このために、データライブラリ60における使用のために必要とされるデータ生成の複雑性およびデータの量を低減するために、技術が提供される。本明細書に説明される技術に対する根拠として、以下の議論のために図2に対する参照がここでなされる。
【0028】
図2は、放射の輸送の問題を示し、ここでは、中心においてエネルギーEの単一のエネルギー(mono−energetic)点光子源が、半径rおよび密度ρを有する単一で、一様な物質の球の中心70において示される。光子の輸送の計算において、結果は、rにおいて、球の外部表面上で集計される。
【0029】
放射は周知の方法で物質と相互作用する。本来の強度Iの分数として任意の所与の経路に沿う単色の光子源からの放射の強度Iが、以下の関係
【0030】
【数1】

によって与えられ、ここで、粒子(本発明に関しては、光子または中性子のいずれか)は、密度ρ、相互作用の全断面σ(特定の粒子に依存するだけでなく、物質と相互作用する際には粒子のエネルギーEにも依存する)、および粒子が移動する経路長xを有する単一の物質を通って移動する。より一般化された関係性が複数の物質との相互作用に対して書き込まれ得る。それゆえ、放射が様々な物質(空気を含む)を移動する場合には、検出されたスペクトル(サイン)は、弱くなる(振幅が減少する)傾向にあり、スペクトルの様々なピークがエネルギーにおいてシフトされる傾向にある。各スペクトル特性は、他とは異なるように影響され得る。特定の放射性同位元素の識別は、信号対ノイズ比条件の問題であるだけでなく、放射と物質との相互作用を、エンドユーザが利益を有する方法で、理解すること、モデル化することおよびコード化することを含む。
【0031】
これらの様々な相互作用は、概して、理解され、(例えば、「MCNP」または「PENELOPE」として、当該分野で公知のモンテカルロコンピュータソフトウェアを用いて)非常に良好にモデル化および予測され得るが、これらは全体の幾何学形状(物質特性を含む)が特定化されることを必要とする。いったん、幾何学形状が規定されると、これらのソフトウェアアルゴリズムはモンテカルロ技術および大規模な断面ライブラリ(例えば、National Nuclear Data Center、Radiation Safety Information Computational CenterおよびNuclear Reaction Data Centersにより配布される“ENDF−VI”ライブラリ、これらのライブラリは、大量のコンピュータストレージスペースの使用を必要とし得る)を用いて、特定の問題をシミューレーションする。物質の全て、それらの物理的特性(例えば、密度)および特定の化学組成物、ならびに問題のあるそれぞれの位置および幾何学構成が良好に規定されない場合には、これらのソフトウェアアルゴリズムは最適にならない。
【0032】
半径rおよび密度ρが非常に小さい定数値に各々設定され、初期光子エネルギーが複数のエネルギーレベルの間でEからEの範囲に及ぶことを可能にされる場合には、物質行列Mの列ベクトル
【0033】
【数2】

から、スペクトルの各々が結果として生じる。物質行列Mは、正方行列である。なぜなら列ベクトルの数とエネルギービンの数とが共に等しくnであるからである。
【0034】
【数3】

ここで、Ei,jは、物質を介したエネルギーEの単一のエネルギー供給源の輸送に起因する、Monte Carlo Neutron and Photon(MCNP)計算値(すなわち、集計値)を表す。従って、行列の各列は、複数のエネルギーレベルEからEにおける結果として生じるスペクトルを表す。行列Mは、放射と、関心のある全てのエネルギーにおいて選ばれた物質との間の相互作用を正確に表す固有性を有する。結果として、相互作用に関連付けられた輸送物理学の全ては単一の行列に概略される。一例において、x線スペクトル(ここで、放射性同位元素の放射が関連するか、または関心がある)は、非常に多数の細かく間隔を開けられたビンまたはレベルに分割され、ここでもっとも低いビンエネルギーは10keVであり、もっとも高いビンエネルギーは、2.6MeVである。
【0035】
行列Mは、関心のある放射性同位元素についての情報を全く含まない。従って、列ベクトルは、各エネルギーレベルEに対する(自己遮蔽をともなわない)関心のある放射性同位元素の真空内の事実とは異なったスペクトルで占有されるように定義される。このベクトルは、本明細書において同位体ベクトル
【0036】
【数4】

と称され、
【0037】
【数5】

であり、ここで、a,a,…,aは、それぞれ、エネルギービンE,…,Eの振幅スペクトルである。
【0038】
従って、物質と放射性同位元素との間の相互作用は、以下の行列とベクトルとの掛け算で計算される。
【0039】
【数6】

ここで、Pは結果として生じるスペクトルである。
【0040】
上述のように、ρおよびrに対する任意に小さい値が式1において行列Mを生成するように選択された。可能な限り多くの密度および経路長の組み合わせを考慮するために、これらのパラメータが組み合わされて、単一のスカラーの密度経路長量Γを形成する。
Γ=αρr (5)
ここで、αは規格化定数であり、常に負でない整数である。この構成を用いて、ρおよびrの多くの値が得られ得、実際には物理的に妥当と思える値の全てが見出され得る。なぜなら、任意の2つの値の差が非常に小さくなるからである。(これは、ρおよびrの初期値ならびに条件が任意であり得るが、非常に小さいことに起因する)。任意の密度ρおよび任意の厚さrの単一の物質と単一の放射性同位元素物質との相互作用が
【0041】
【数7】

で表され得る。ここで、Γ=0のとき、Mは項等行列になり、
【0042】
【数8】

である。
【0043】
一部の用途のために、密度/経路長項Γは、0から、整数の増分で、ある最大値までの範囲にわたり変化し得、その結果、より厚い物質のモデル化を適合させるために、Γの各値に対する異なる行列Mを生成する。
【0044】
図3は、ライブラリ60を生成する配置の例を示す。メモリ内に格納された1つ以上のソフトウェアプログラムを実行するコンピュータ(または複数のコンピュータ)80が提供される。特に、メモリ90は、100において示されるライブラリ生成プロセスのためのプログラム命令を格納する。メモリ90は、命令(およびデータ)を格納することが可能な任意のコンピュータ読み取り可能媒体である。さらに一般的に、ライブラリ生成プロセス100(および図1において上記で参照される比較/整合アルゴリズム40)が1つ以上の実体的な媒体にコード化された論理によって実装され得る(例えば、特定用途向け集積回路のような埋め込み論理、デジタル信号プロセッサのファームウェア命令、プロセッサによって実行されるソフトウェアなど)。
【0045】
ここで図4を参照すると、ライブラリ生成プロセス100の実行を描くフローチャートの例がここで説明される。110において、存在することが事前に知られている(または今後発見される)全ての予想される物質が、複数の物質のグループのうちの1つにグループ分けされる。例えば、多くの基礎材料のグループがある(例えば、プラスチック、セラミック、金属など)。次に、120において、各物質のグループは、原子番号(Z)または電子親和力に基づいて、複数のサブグループに細分化され、ここでは第一のサブグループは、小さい原子番号を有する物質に対するサブグループであり、第二のサブグループは、中程度の原子番号を有する物質に対するサブグループであり、第三のサブグループは大きな原子番号を有する物質に対するサブグループである。例えば、金属物質のグループにおいては、(例えば、アルミニウムなどの物質に対する)小さい原子番号のサブグループと、(例えば、ステンレス鋼などの物質に対する)中程度の原子番号のサブグループと、(例えば、ガドリニウムなどの物質に対する)大きな原子番号のサブグループとがある。
【0046】
図4に120で示されるように、以下の表記が単純さのために採用される。この表記とは、物質のグループの各々が、文字A、BおよびCによって表されるが、これは単なる例示であることと、3つよりも多いか、または少ない物質のグループが存在し得ることが理解されるべきである。
【0047】
物質のグループ内の小さい原子番号、中程度の原子番号および大きな原子番号の代表的な物質を表す物質のグループ内のサブグループまたはカテゴリの各々が、物質のグループの表記に対する整数の下付き数字が与えられ、例えば、A、A、Aであり、ここでAは、物質のグループAの小さい原子番号のサブグループを示し、Aは、物質のグループAの中程度の原子番号のサブグループを示し、Aは、物質のグループAの大きい原子番号のサブグループを示し、他の物質のグループに対しても同様である。
【0048】
事実上全ての物質は、上記の物質のグループと、サブグループ(カテゴリ)との組み合わせのうちの1つによって正確に表され得る。各物質のグループおよびサブグループは、それぞれの固有の物質行列Mによって表され得る。
【0049】
130において、代表的な物質が、各物質のグループ内の各サブグループに対して選択され、その選択された物質とその物質に対する既知のMCNP値とを共に用いて、そのサブグループを表す物質行列Mに対する個別の列ベクトルが計算される。
【0050】
140において、存在度が検出され、識別が確認された、関心のある1つ以上の放射性同位元素が、ライブラリに格納される相互作用を計算する目的で識別される。確かに可能ではあるが、多くの用途に対して、必ずしも全ての放射性同位元素(現在では約3800ある)をモデル化する必要はあり得ない。動物および/または植物の生活に対する、予想される放射線の脅威または核の脅威が存在する、それらの放射性同位元素とのみ、あるいは特定の半減期を有する放射性同位元素とのみ関連することが望ましくあり得る。
【0051】
150において、関心のある放射性同位元素と、全てのサブグループに対する各物質行列Mとの相互作用が計算される。しかし、当業者には認識されるように、一般的に言えば、単一の放射性同位元素と単一の物質との相互作用は、必ずしも非常に興味深かったり、有用であったりしない。
【0052】
110および120において物質のグループおよびサブグループと関連して上記されたように、物質の「世界」は、選択された数のカノニカルグループからの3つの代表的な物質を用いて、(x線のレジームにおいて)極めて正確にモデル化され得る。単純な表記のために、この物質の全体のコレクションは、κとして参照され、
κ≡{A,A,A,B,…,C} (7)
である。
【0053】
次いで、単一の放射性同位元素とこれらの物質との相互作用は、
【0054】
【数9】

である。
【0055】
一部の検出用途に対して、行列Mが交換可能である(commute)ことを仮定しているので、物質行列Mの順序は関係ないことがあり得る。各行列Mに関連付けられたΓの値は、それゆえ、κの各要素に対する個別のΓの値の全ての合計である。他方、行列が交換可能であるという仮定が保持されない用途があり得、その場合行列の順序はΓの値の他に考慮される必要があり、このことが必要とされる計算量を増加させる。
【0056】
2つ以上の放射性同位元素を含有する物質(いわゆる「ブレンドされた供給源(blended source)」)は、個別のスペクトルの線強度の比を規格化することと、それらの比を適切に
【0057】
【数10】

にスケーリングすることとによって単純にモデル化され得る。
【0058】
ライブラリ構築に際して考慮されるべき複数の放射性同位元素供給源がある場合には、式8は、単純な一次の組み合わせの級数に拡張され得る。J個の放射性同位元素供給源に対して、式8は、
【0059】
【数11】

であり、ここでδは、
【0060】
【数12】

としてモデル化された、個別のJ個の放射性同位元素供給源の各々による放射の重み付け率である。
【0061】
関心のある放射性同位元素と関心のある物質との間の相互作用が150において計算された後、結果生じる相互作用データが(図1のライブラリ60に)格納される。170および180において示されるように、150における計算および160における格納は、関心のある放射性同位元素とそれらの組み合わせとの全てに対して繰り返される。相互作用データは、相互作用データ内で考慮された1つ以上の放射性同位元素が任意の組み合わせにおける代表的な物質のうちの任意の1つ以上と共に存在した場合に検出器により生成されるスペクトルを表すが、この後に説明する、検出器量子効率(DQE)および検出器分解能を考慮していない。
【0062】
実時間で生成されたスペクトルの、ライブラリ内のスペクトルとの比較に影響を与え得る、現場で使用され得る特定の検出器の特性がある。2つのこのような特性は、DQEおよび検出器分解能である。
【0063】
概して、DQEは各検出器の形式およびモデルに対して固有である。DQE情報はまた、比較的に容易に得られる。なぜならば、検出器の製造業者は、典型的に、その検出器製品の仕様にDQE情報を提供するからである。DQEは、主対角、すなわち、各エネルギーレベルEに対する単一のスケーラ乗数(scalier multiplier)μに沿ったスカラー値[0,1]を有する行列として表され得る。この行列の対角に沿っていない全ての値は、等しくゼロである。Pの計算が既になされたという「事実の後に」、スペクトルデータPに対する調整がなされ得、その結果、
【0064】
【数13】

ここで、Sは、DQE行列Dによって後で調整されたスペクトルデータである。
【0065】
検出器デバイスの分解能はまた、ユーザに提示するための情報分析に影響を与える。選ばれるエネルギービンの分解能に依存して、所与の検出器に対する仕様および/または性能測定値に整合させるために、物質行列M、スペクトルデータPおよび/またはDQE調整スペクトルデータSにエネルギービン(E)のコレクションを共に加算することによって、分解能の補正を行うことが望ましくあり得る。いかなる場合においても、DQEに対する調整は、分解能の調整の前になされる。
【0066】
ここで、図1と関連させて図5を参照して、ライブラリ60が使用されるプロセス200の例が示される。210において、検出器20が起動し、領域または空間10と関連付けられたスペクトルデータを捕捉する。220において、計算リソース30は、検出器20からのスペクトルデータを、ライブラリ60内のスペクトルデータと比較する。230において、検出器20からのスペクトルデータが、ライブラリ内のいかなる「脅威の」スペクトルデータとも十分に整合しないことが決定された場合には、240において、この領域または空間には、(ライブラリ60に対してデータが生成されるときに考慮される)関心のある「脅威の」放射性同位元素が存在しないことが宣言される。このような場合に、「脅威でない」信号が生成され得る。他方、230において、検出器20からのスペクトルデータと「脅威の」放射性同位元素に対するライブラリ60との間に十分な整合があることが決定される場合には、次いで、250において、この領域または空間に、1つ以上の関心のある「脅威の」放射性同位元素が存在することが宣言され、その1つ以上の放射性同位元素に対する(テキスト名、化学物質名またはその他の識別子による)識別もまた決定される。このような場合に、「脅威の」信号が生成され、検出された1つ以上の放射性同位元素の識別がユーザに提示される。260において、次の検出イベントに対する準備がなされ、次の検出イベントにおいて210〜250が繰り返される。
【0067】
ライブラリ60に対してデータを生成する、本明細書に説明された技術は、これまで公知の技術よりもかなり速く、数多くの物質および検出環境に適用可能であるという点でかなり一般的である。さらに、関心のある新しい放射性同位元素に対するデータによってライブラリをアップデートすることはいくぶん(数分間)迅速なプロセスである。
【0068】
装置、システムおよび方法が、1つ以上の特定の実施例を具体化するように、本明細書に示され、説明されたが、それにもかかわらず示される詳細に限定されることを意図していない。なぜなら、多くの修正および構造的変更が、装置、システムおよび方法の範囲から逸脱することなしに、その中でなされ得、これらは特許請求の範囲の均等物の範囲および範囲内であるからである。従って、添付される特許請求の範囲は、広範囲で、かつ以下の特許請求の範囲に述べられる装置、システムおよび方法と矛盾しないように解釈されることが適切である。
【符号の説明】
【0069】
5 システム
10 任意の領域または空間
20 検出器
30 計算リソース、コンピュータリソース
40 比較/整合アルゴリズム
50 メモリ
60 ライブラリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心のある放射性同位元素の領域または空間をモニタリングする際に存在し得る予想される物質を表すデータを生成する方法であって、該方法は、
複数の物質のグループのうちの1つに、該予想される物質をグループ分けすることと、
物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて、該物質のグループのうちの各々を複数のサブグループに細分化することと、
該複数の物質のグループの各々の該サブグループの各々に対する第一のデータを格納することであって、該第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と、複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す、ことと、
該複数のエネルギーレベルにおいて、各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納することと、
各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と、各物質のグループの該複数のサブグループの各々に対する該第一のデータとの間の相互作用を表すスペクトルデータを計算することと
該スペクトルデータをライブラリに格納することと
を包含する、方法。
【請求項2】
スペクトルデータを計算することは、関心のある1つ以上の放射性同位元素の各々に対する第二のデータと、前記複数のサブグループの1つ以上の組み合わせに対する第一のデータとの間の相互作用を計算することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出器デバイスに関連付けられた量子効率特性に対して、前記スペクトルデータを調整することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出器デバイスの分解能に対して、前記スペクトルデータを調整することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一のデータを格納することは、物質のグループの各サブグループに対する行列に対するデータを格納することを包含し、該行列は放射と前記複数のエネルギーレベルにおいてそのサブグループにグループ分けされる物質との間の相互作用を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
物質のグループの各サブグループに対する行列に対するデータを格納することは、行列Mを格納することを包含し、ここで、
【数14】

であり、式中、Eijは、前記物質を介したエネルギーEの単一なエネルギー供給源の輸送に起因する、Monte Carlo Neutron and Photon(MCNP)計算値(すなわち集計値)を表す、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第二のデータを格納することは、真空において関心のある放射性同位元素のスペクトルを表す、関心のある各放射性同位元素に対するベクトル
【数15】

に対するデータを格納することを包含し、
ここで、
【数16】

であり、a,a,…,aは、それぞれ、エネルギービンE,…Eにおけるスペクトル振幅である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
計算することが、
【数17】

を計算することを包含し、ここでPはスペクトルデータである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
計算することが、密度ρおよび厚さrの物質の前記相互作用に対するスペクトルデータを、
【数18】

として計算することを包含し、ここでΓ=αρrであり、αは負でない整数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
計算することが、
【数19】

を計算することを包含する単一の放射性同位元素と前記サブグループの各々との間の相互作用を計算することを包含し、ここでκは、全ての物質のグループにわたるサブグループjに対する物質行列Mの集合である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
計算することは、
【数20】

を計算することを包含する複数の関心のある放射性同位元素と前記サブグループの各々との間の相互作用を計算することを包含し、ここでδは、
【数21】

で関心のある表現されたJ個の個別の放射性同位元素の各々による放射の重み付け率である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載のデータのライブラリを用いて関心のある放射性同位元素の存在を検出する方法であって、関心のある領域または空間をインターロゲートする際に、検出器によって生成されたスペクトルデータと該ライブラリに格納されたスペクトルデータとを比較することと、該検出器によって生成されたスペクトルデータと該ライブラリ中のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、該関心のある放射性同位元素の存在を宣言することとをさらに包含する、方法。
【請求項13】
前記関心のある放射性同位元素を、名前または他の識別子によって、識別することをさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
実行のために1つ以上の実体的な媒体にコード化され、実行されたとき、関心のある放射性同位元素に対する領域または空間をモニタリングする際に存在し得る予想される物質を表すデータを生成するように動作可能な論理であって、
複数のエネルギーレベルにおける放射と、該予想される物質がグループ分けされる複数の物質のグループの各々の、複数のサブグループの各々に対する代表的な物質との間の相互作用を表す第一のデータを格納する論理であって、各物質のグループは、物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて複数のサブグループに細分化される、論理と
該複数のエネルギーレベルにおいて、各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納する論理と、
各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と、各物質のグループの該複数のサブグループに対する該第一のデータとの相互作用を表すスペクトルデータを計算する論理と
該スペクトルデータをライブラリに格納する論理と
を備えている、論理。
【請求項15】
前記スペクトルデータを計算する前記論理は、関心のある1つ以上の放射性同位元素の各々に対する第二のデータと、前記複数のサブグループの1つ以上の組み合わせに対する第一のデータとの間の相互作用を計算する命令を備えている、請求項14に記載の論理。
【請求項16】
検出器デバイスに関連付けられた量子効率特性に対する前記スペクトルデータの調整を計算する論理をさらに備えている、請求項14に記載の論理。
【請求項17】
検出器デバイスの分解能に対する前記スペクトルデータの調整を計算する論理をさらに備えている、請求項14に記載の論理。
【請求項18】
前記第一のデータを格納する前記論理は、
物質のグループの各サブグループに対する行列を格納する命令を備え、該行列は、放射と前記複数のエネルギーレベルのサブグループにグループ分けされる物質との間の相互作用を表す、請求項14に記載の論理。
【請求項19】
前記第一のデータを格納する前記論理は、行列Mを格納することを包含する、物質のグループの各サブグループに対する該行列を格納する命令を備え、ここで、
【数22】

であり、式中、Ei,jは、Eの単一なエネルギー源の輸送に起因するMonte Carlo Neutron and Photon(MCNP)計算値(すなわち集計値)を表す、請求項15に記載の論理。
【請求項20】
前記第二のデータを格納する前記論理は、真空において関心のある放射性同位元素のスペクトルを表す関心のある各放射性同位元素に対するベクトル
【数23】

に対するデータを格納する命令を備え、
ここで
【数24】

であり、
,a,…,aは、それぞれ、エネルギービンE,…Eのスペクトル振幅である、請求項19に記載の論理。
【請求項21】
前記スペクトルデータを計算する前記論理は、
【数25】

を計算する命令を備え、ここでPはスペクトルデータである、請求項19に記載の論理。
【請求項22】
前記計算する論理は、密度ρおよび厚さrの物質の相互作用に対するスペクトルデータを、
【数26】

として計算する命令を備え、ここでΓ=αρrであり、αは負でない整数である、請求項19に記載の論理。
【請求項23】
前記計算する論理は、
【数27】

を包含する、複数の関心のある放射性同位元素と、前記サブグループの各々との間の相互作用を計算する命令を備え、ここでδiは、
【数28】

で関心のある表現されたJ個の個別の放射性同位元素の各々による放射の重み付け率である、請求項19に記載の論理。
【請求項24】
請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能媒体を備えているシステムであって、関心のある領域または空間をインターロゲートし、スペクトルデータを生成するよういに構成されている検出器デバイスと、計算デバイスとを備えており、該計算デバイスは、スペクトルデータと前記ライブラリに格納されたスペクトルデータとを比較して、該検出器デバイスによって生成されたスペクトルデータと該ライブラリ内のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、関心のある放射性同位元素の存在を決定する、システム。
【請求項25】
スペクトルデータを含むデータのライブラリを格納するデータストレージユニットであって、該スペクトルデータは、予想される物質を複数の物質のグループのうちの1つにグループ分けすることと、物質の原子番号および/または電子親和力に基づいて、該物質のグループを複数のサブグループに細分化することと、該複数の物質のグループの各々のサブグループの各々に対する第一のデータを格納することであって、該第一のデータは、対応するサブグループに対する代表的な物質と複数のエネルギーレベルにおける放射との間の相互作用を表す、ことと、該複数のエネルギーレベルにおける各関心のある放射性同位元素のスペクトル特性を表す第二のデータを格納することと、各関心のある放射性同位元素に対して、該第二のデータを用いて該関心のある放射性同位元素と各物質のグループの該複数のサブグループの各々に対する該第一のデータとの間の相互作用を表すスペクトルデータを計算することとによって生成される、データストレージユニットと、
領域または空間をインターロゲートし、該領域または該空間のインターロゲートから生じるスペクトルデータを出力するように構成されている検出器デバイスと、
該検出器デバイスに結合されている計算デバイスであって、該計算デバイスは、該検出器デバイスによって生成された該スペクトルデータと、スペクトルデータのライブラリとを比較して、該検出器デバイスによって生成された該スペクトルデータと該ライブラリ内のスペクトルデータとの間に十分な整合がある場合には、関心のある放射性同位元素の存在を決定する、計算デバイスと
を備えている、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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