説明

遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料、その製造方法及び応用

本発明は、1種類の遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料、その製造方法及び応用を公開する。発明した遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料は、基本的に0.7-5 nmの遷移金属或はその合金粒子と5-50 nmの磁性酸化鉄ナノ粒子によって構成される。前述の遷移金属或はその合金粒子は、前述のナノ複合材料総容量の0.1-30wt.%を占める。前述の酸化鉄はg-Fe2O3、Fe3O4、g-Fe2O3の部分的に還元によって生成する複合物、或はFe3O4の部分的に酸化するによって生成する複合物である。本発明の遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料は、産業上に、ハロゲン化芳香族アミンの製造に用いられているハロゲン化芳香族ニトロ化合物の選択的な水素化触媒反応において、高い触媒活性と極めて高い選択性を有する。また、発明したナノ複合材料触媒上に、前記の反応過程中の水素化脱ハロゲンの課題は完全に解決した。したがって、これらのナノ複合材料触媒は重要な産業応用価値がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
この発明は、1種類の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料、その製造方法及び応用に関する。特にハロゲン化芳香族アミンの製造に用いられているハロゲン化芳香族ニトロ化合物の選択的な水素化触媒反応の触媒に関する。
背景技術
遷移金属又はその合金ナノクラスターは重要なナノ材料として、様々な機能的な材料と部品の開発への応用ができることが報告されている(Y. Wang, Y.G. Wei, “Metal Nano- clusters” (chapter) in: H.S. Nalwa (Ed.), Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology, Vol. 5, pp. 337-367, 2004, American Scientific Publishers)。
【0002】
本発明者らは、同様な作製方法で、1種類の「無保護な」貴金属とその合金ナノクラスターを発明した。これらの金属ナノクラスターは、簡単なイオンと有機溶媒分子だけで安定することができる。その粒子径が小さく、粒径分布の幅が狭いし、大規模で合成することができる。さらに、酸性水溶液を加えると、「無保護な」金属ナノクラスターは、分散系から沈殿物の形で析出し、分離、純化することがとても便利である。この沈殿物は、多くの有機溶媒に再分散することができ、安定な金属コロイド溶液を形成する(Y. Wang, J.W. Ren, K. Deng, L.L. Gui, Y.Q. Tang, Chem. Mater., 2000, 12, 1622; Chinese Patent, ZL 99100052.8)。これらの金属ナノクラスターは、触媒の合成 (Y. Wang, et al., J. Catal., 2004, 222, 493)、燃料電池の電極触媒(S. Mao, G. Mao, “Supported Nanoparticle Catalyst”, USA Patent, US 2003/0104936, A1, Jun. 5, 2003; Q. Xin, et al., App. Catal. B, 2003, 46, 273), 及び水素センサー(Y. Wang, et al., Chem. Mater., 2002, 14, 3953) などの分野において用いられた。
【0003】
酸化鉄は、主に2種類があり、すなわちg-Fe2O3とFe3O4のことである。両方とも類尖晶石結晶構造を持つことを知られている。特定の条件で、互いに変えることができる。例えば、およそ523Kで、Fe3O4が酸化されると、g-Fe2O3が得る。g-Fe2O3はFe3O4より安定である。
【0004】
従来の大粒の磁性酸化鉄と異なり、ある程度に粒径は小さくなると、酸化鉄ナノ粒子は特別な電子、磁気及び光学特性が示す。超高密度データ記憶、バイオ分離、薬レリーズの制御と波-吸収材料などの分野において広範囲な応用価値がある。
【0005】
現在、産業的に最も一般のg-Fe2O3の製造方法には、まず、酸化鉄(III)前駆体を作製し、高温で焼くことによって、α-Fe2O3を生成する。それから、還元雰囲気下に、α-Fe2O3はFe3O4に還元する。最後に、高温で、Fe3O4が酸化し、g-Fe2O3を得る。高温合成の必要の温度は、通常523 Kを超えるため、g-Fe2O3とFe3O4を用いる場合には、高性能、小粒子径のナノ材料の作製が困難である。
【0006】
金属と酸化物ナノ粒子と複合するによって、新たな特性を与えることができる。通常担体上に、金属粒子を担持する方法とは、含漬法、沈殿還元法、保護された金属コロイド粒子の吸着法、配位捕獲法、析出法、とカプセル化法などがある。異なる製造方法により、作製した金属-酸化物複合材料が異なる微細構造が示す。同じ化学組成を持つ触媒にも、明らかに異なる触媒特性を示す可能性がある。また、ナノ複合材料の構成、構造、粒径と粒径分布は、かなり触媒特性に影響を及ぼすことができる。
【0007】
保護された金属コロイド粒子の複合化(Y. Wang, et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 1989, 1878)或はカプセル化技術(C. Lange, et al., Catal. Lett., 1999, 58, 207; A. Martino, et al., J. Catal., 1999, 187, 30; A.G. Sault, et al., J. Catal., 2000, 191, 474; H. Bonnemann, et al., Eur. J. Inorg. Chem., 2000, 5, 819; Top. Catal., 2002, 18, 265; G.A. Somorjai, et al., Chem. Mater., 2003, 15, 1242; J. Zhu, et al., Langmuir, 2003, 19, 4396)は、金属−無機酸化物ナノ複合物の合成が用いられるテクニックである。カプセル化技術には、通常金属−アルコール塩類[M(RO)n]のin suit加水分解で生成するアルミナまたは二酸化ケイ素などの無機酸化物は、重合体、界面活性剤または配位子によって保護されている金属コロイド粒子をカプセル化する方法である。作製した触媒中の金属と酸化物担体とが緊密に接触するために、金属ナノクラスター上に吸着した有機保護剤は、通常抽出または高温熱分解法によって除去する必要がある。これによって、金属ナノクラスターが凝集しやすく、構造を制御することが困難となる。
【0008】
Seinoらは、ポリビニルアルコール(PVA)が存在する条件下に、光照射法により、水溶液中の金属イオンを還元し、PVP保護したAu、Pt、Pd金属粒子を得る。これは、市販のg-Fe2O3(平均直径は26 nm)或はFe3O4(平均直径は100 nm)上に担持し、PVA-金属-酸化鉄ナノ複合物の磁性材料を合成した(Scripta Materialia, 2004, 51, pp. 467-472)。この合成法では、酸化鉄の濃度は比較的低かった(およそ1 g/l)ため、合成効率はあまり高くない。一方、金属ナノクラスターの粒径は、酸化鉄粒子の濃度に依存する。Fe3O4粒子が担体として使用する時、金属粒子径がほぼ全て5 nm以上となった。 また、溶液中の酸化物粒子の分散状態は、金属粒子径に影響を及ぼす。 さらに、部分のPVA保護したPt或はPdコロイド粒子は、酸化鉄担体上へ吸着することができなかった。
【0009】
ハロゲン化芳香族アミンは、染料、農薬、除草剤、薬と特種高分子材料の合成の重要な有機中間体である。ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化により、ハロゲン化芳香族アミンを製造するのは、化学工業の重要なプロセスのうちの1つである。 ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化反応において、特に、転化率が100%に近いとき、高い触媒活性をもつ、同時にC-F結合の水素化分解脱ハロゲンの副反応を防ぐことができる触媒の開発は、この合成産業の挑戦である。 生成物中に、他の電子供与体グループが芳香環の中に存在すると、脱ハロゲンの副反応がより深刻になる可能性がある(R.J. Maleski, et al., (Eastman Chemical Co.) US Patent, 6034276, (2000, 3, 7), WO 00/56698, 2000, 9, 28)。
【0010】
従来の金属触媒(例えばPt/C、Pd/CまたはレーニーNi)の上に、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化反応と一緒に、常に脱ハロゲンの副反応が行っている。臭化、またはヨウ化芳香族ニトロ化合物の水素化により、ハロゲン化芳香族アミンを製造する時、芳香族クロロニトロ化合物と比べ、脱ハロゲンの副反応より深刻である。異なるハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化脱ハロゲン副反応の活性の順番は、I > Br > Cl > Fとなる(J.R. Kosak, in: Catalysis in Organic Syntheses, Academic Press, New York, 1980, pp. 107-117)。
【0011】
JP 2004277409A(三井化学社、日本、2004)には、Pt/C触媒の上に、o-クロロアニリン(o-CAN)の脱ハロゲン副反応を抑えることの技術を公開した。反応システムに、9.8 MPaのCO2を充填することによって、o-CANに99.7mol%の選択性を達成した。明らかに、このテクノロジーは、非常に高価な反応炉を使用する必要がある。まだ完全に脱塩素の副反応を抑えることができなかった。
【0012】
金属と担体との強い相互作用が有るPt/TiO2触媒の上に、大気圧の下で、p-クロロニトロベンゼン(p-CNB)の選択的な水素化反応について調査した。p-CNBの転換率が99.7%未満のとき、p-クロロアニリン(p-CAN)への選択性は99.3%に達することができた。これは、今まで報告したPt系不均一触媒の中に、最も高い選択性である(B. Coq, A. Tijani, R. Dutartre, F. Figueras, J. Mol. Catal. A, 1993, 79, 253)。しかし、p-CNBサブストレートの完全な転換の後、p-CANの脱塩素率は、速く増加した。産業生産において、反応プロセスを精密に制御することは難しいため、この触媒上に、高純度で高効率的にハロゲン化芳香族アミンを製造することは困難である。
【0013】
反応システムに脱塩素の抑制剤を加えることは、また、脱ハロゲン副反応を抑える方法である。EP473552-A(Baumeister, et al., 1992)には、ホルマアミジンアセテートで修飾したPt/C触媒の上に、2,4-ジニトロコロロベンゼン(2,4-DNCB)の水素化反応において、サブストレートの完全な転換で、4-クロロ-m-フェニレンジアミン(4-CPDA)への選択性が98%達することができた。
発明の開示
本発明の目的は、1種類の遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料及びその製造方法を提供する。
【0014】
本発明提供した遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料は、基本的に0.7-5 nmの遷移金属あるいはその合金粒子と5-50 nmの磁性酸化鉄ナノ粒子によって構成される。前述の遷移金属あるいはその合金粒子は前述のナノ複合材料総重量の0.1-30wt.%を占める。前述の酸化鉄はg-Fe2O3、Fe3O4、g-Fe2O3の部分的に還元によって生成する複合物、或はFe3O4の部分的に酸化するによって生成する複合物である。
【0015】
g-Fe2O3の部分的に還元するによって生成する複合物とは、前述遷移金属-g- Fe2O3ナノ複合物は、還元剤(水素、グリコール酸、アルコール及びアルデヒドなど)が存在する条件下に、278-473 Kで、部分的に還元して得る複合物である。Fe3O4の部分的に酸化によって生成する複合物とは、遷移金属-Fe3O4ナノ複合物は、酸素雰囲気下に、313-523 Kで、部分的に酸化するによって生成する複合物である。
【0016】
本発明には、代表的な遷移金属はPt、Ru、Rh、或はIrなどの元素から選びことである;代表的な遷移金属合金はPt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうち、二つ以上の元素を含むことを特徴とする。磁性酸化鉄ナノ粒子の粒子径は、最優的に5-25 nmである。
【0017】
本発明の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料は、以下の2つの方法に従うことによって製造することができる。
製造方法一は、以下のステップを含む:
1)遷移金属コロイド溶液を作製:アルコール溶液またはアルコール/水混合溶液に、前述の少なくとも1種類の可溶性遷移金属塩類または遷移金属を含んでいる酸を溶かす。濃度は0.01-100 g/lの遷移金属化合物溶液を作る。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のアルコール溶液または水溶液またはアルコール/水混合液を加える。この混合溶液は、343-473 Kで加熱し、遷移金属コロイド溶液を得られる。上述のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と上述の遷移金属の可溶性塩類または遷移金属を含んでいる酸とのモル比は3から30までの範囲にある;上述のアルコールは、1つか2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールである;或は、2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールの一元メトキシル基またはエトキシル派生物である;上述のアルコール/水混合液において、水は0-50%(体積比)である。
【0018】
2)水酸化鉄コロイド溶液を作製:Fe3+を含む塩溶液にアルカリ溶液を加え、pHは4-12になるように調整し、水酸化鉄(III)の沈殿物を形成する。この沈殿物は、解こう剤中に入れて解こうし、濃度は1-300 g/lの水酸化鉄コロイド溶液を得る。上述の解こう剤は、塩化鉄溶液、硝酸鉄溶液と塩酸から選ぶ。
【0019】
3)遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料を作製:ステップ1で得る遷移金属コロイド溶液とステップ2で得る水酸化鉄コロイド溶液と混合する。遷移金属コロイド溶液:水酸化鉄コロイド溶液の質量比は1:3-13400である。313-523 Kで、1-200 h熱処理する。得られた沈殿物は、278-523Kで、乾燥して、前述の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を得ることができる。
【0020】
製造方法二は、以下のステップを含む:
1)遷移金属コロイド溶液を作製:A、アルコール溶液またはアルコール/水混合溶液に、前述の少なくとも1種類の可溶性遷移金属塩類または遷移金属を含んでいる酸を溶かす。濃度は0.01-100g/lの遷移金属化合物溶液を作る。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のアルコール溶液または水溶液またはアルコール/水混合液を加える。上述のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と上述の遷移金属の可溶性塩類または遷移金属を含んでいる酸とのモル比は3から30までの範囲にある;上述のアルコールは、1つか2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールである;或は、2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールの一元メトキシル基またはエトキシル派生物である;上述のアルコール/水混合液において、水は0-50%(体積比)である。B、得られる混合溶液は、343-473Kで加熱し、酸性水溶液を加え、遷移金属ナノクラスターの沈殿物を形成する。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のエチレングリコール溶液にまたは有機溶媒に上述の沈殿物を分散し、遷移金属コロイド溶液を得られる。代表的な有機溶媒は2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコール、ケトン、1,4-ジオキサン、DMSO、THFとDMFから選ぶ。
【0021】
2)水酸化鉄コロイド溶液を作製:Fe3+を含む塩溶液にアルカリ溶液を加え、pHは4-12になるように調整し、水酸化鉄(III)の沈殿物を形成する。この沈殿物は、解こう剤中に入れて解こうし、濃度は1-300g/lの水酸化鉄コロイド溶液を得る。上述の解こう剤は、塩化鉄溶液、硝酸鉄溶液と塩酸から選ぶ。
【0022】
3)遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料を作製:ステップ1で得る遷移金属コロイド溶液とステップ2で得る水酸化鉄コロイド溶液と混合する。遷移金属コロイド溶液:水酸化鉄コロイド溶液の質量比は1:3-13400である。これを1またはいくつかの種類の有機還元剤を加え、313-523 Kで、1-200 h熱処理する。得られた沈殿物は、278-523Kで、乾燥して、前述の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を得ることができる。上述の有機還元剤はホルムアルデヒド、グリコール酸、ナトリウム・グリコール酸塩、イソプロピルアルコール、グリオキセール、シュウ酸と水素から選ぶ。有機還元剤と水酸化鉄(III)の代表的なモル比率は、0.1-10である。
【0023】
上述の2つの作製方法、ステップ1で述べる可溶性遷移金属塩類または遷移金属を含んでいる酸はPt、Pd、Ru、Rh、OsとIrを含んでいる塩類または酸から選ぶ。
ステップ2で述べるFe3+を含む塩溶液の濃度は0.01-4mol/lであり、鉄の塩類は硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄、その他から選ぶ。 前述の代表的なアルカリはアンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、その他を含む。 前述の水酸化鉄(III)を沈殿する典型的温度は278-370 Kである。前述の解こう剤の典型的濃度は0.01-2 mol/lの範囲にある。前述の典型的解こうする温度は278-373Kである。
【0024】
ステップ3で述べる熱処理法とは、溶媒熱処理法、加熱還流法、電子レンジ加熱法を含む。 前述の乾燥処理法は、以下のいくつかの方法を含む:真空乾燥で、遷移金属-Fe3O4ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を酸化、乾燥すると、遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を部分的に酸化し、乾燥すると、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る。上述の磁性酸化鉄はFe3O4の部分的に酸化するによって生成する複合物である。また、遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物は、還元剤が存在する条件下に、278-473 Kで、部分的に還元され、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る。上述の磁性酸化鉄はg- Fe2O3が部分的に還元するによって生成する複合物である。上述の還元剤は水素、グリコール酸、アルコールとアルデヒドなどから選ぶ。
【0025】
本発明のもう一つの目的とは、遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料の応用を提供する。
本発明の発明者らの研究により、本発明の遷移金属ナノクラスターと磁性酸化鉄ナノ粒子から成るナノ複合材料がハロゲン化芳香族ニトロ化合物の選択的な水素化反応において、優れた触媒特性、特に高い触媒活性と優れた選択性があることを示した。さらに、ナノ複合材料を持つ磁気特性を利用し、外部磁場を用いて、とても便利に触媒が反応システムから切り離すことを提供する。
【0026】
発明したナノ複合物触媒の上に、多くのハロゲン化芳香族ニトロ化合物(例えばハロニトロベンゼン、ハロジニトロベンゼンとハロニトロジフェニル)の水素化反応は非常に高い選択性で行うことができる。すなわち、これらの触媒の上に、ハロゲン化芳香族アミンの水素化脱ハロゲンの副反応が起こらない。通常、水素化反応条件は:温度は273-393 Kとし、水素圧力は0.1-10 MPaとする。水素化反応において使われる代表的な溶媒は、アルコールまたは他の有機溶媒(例えばTHF、DMSOとトルエン)から選ぶことができる。反応が完全に終わるとき、触媒は磁気分離、遠心分離または濾過によって、反応システムから切り離すことができて、再利用することができる。
【0027】
前述の芳香族のハロニトロ化合物の典型的構造は、式Iに示す。
【0028】
【化1】

【0029】
式IのXは、 Cl、Br或は I; YはH、R、COOR、RO、Cl、Br、I、NO2或は NH2(RはC1-C4の飽和アルキル)。
或は、式IIに示す構造がある。
【0030】
【化2】

【0031】
式IIのXは、 Cl、Br或は I; X’、Y、Y’はH、R、COOR、RO、Cl、Br或はI; Zは H、NO2或はNH2 (RはC1-C4の飽和アルキル)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の目的と長所はさらに以下の実施例で示す。しかし、本発明は、以下述べる特定の材料と実施例の範囲に限りない。
第1節:ナノ複合材料を作製する実施例
実施例1
1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
エチレングリコール(EG)50mlにNaOHを溶かし、0.5 mol/lのNaOH/EG溶液Aを作る。EG 50 mlにH2PtCl6・6H2O 1.0 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、453 K、3 hで還流され、暗褐色の「無保護な」Ptナノクラスター(3.75 g/l)のコロイド溶液が得られる。TEM分析により、Ptナノ クラスターの平均直径は2.0 nmである。
【0033】
100 mlの4%塩化鉄水溶液に、pHをおよそ7.5になるまで、10%アンモニア水溶液を滴下する。5分間老化し、水酸化鉄(III)沈殿物を生成した。これを濾過洗浄し、沈殿物中に含まれているCl-を取り除く。濾過洗浄した物に、4%水酸化鉄(III)水溶液を30 ml加えて解こうし、323 Kで加熱すると水酸化鉄(III)コロイド溶液が得られる。室温で保存する。
【0034】
攪拌しながら、用意された水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ptコロイド溶液を2.6 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、353 Kで72 h加熱し、黒い磁性沈殿物が得られる。濾過と洗浄処理を行って、Cl-を取り除く。そして、空気雰囲気、353 Kで48 h乾燥酸化して、1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物が得られる。TEM分析により、g-Fe2O3ナノ粒子の平均粒径は16 nmである。
【0035】
図1は実施例1に係るPtナノ クラスターのTEM写真を示す図である。図2は実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物のSTEM写真を示す図である。図3は実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物のEDXパターンを示す図である。上記の分析結果から、Ptナノ粒子が酸化鉄粒子上によく分散することが示した。明らかな凝集がなかった。図4は実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物のRamanスペクトルを示す図である。複合物中の酸化鉄がg-Fe2O3であることを証明する。
実施例2
30wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
EG/H2O (体積比4:1) 125 mlにBa(OH)2を溶かし、0.1 mol/lのBa(OH)2/EG水溶液Aを作る。 EG 50 mlにH2PtCl6・6H2O1.0 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、433 K、3 hで還流し、「無保護な」Ptナノクラスター(3.75 g/l)コロイド溶液が得られる。TEM分析により、Ptナノ クラスターの平均直径は3.0 nmである。
【0036】
100 mlの4%塩化鉄水溶液に、pHをおよそ8.0になるまで、10%アンモニア水溶液を滴下する。3分間老化し、水酸化鉄(III)沈殿物を生成した。これを濾過洗浄し、沈殿物中に含まれているCl-を取り除く。濾過洗浄した物に、4%水酸化鉄(III)水溶液を30 ml加えて解こうし、323 Kで加熱すると水酸化鉄(III)コロイド溶液が得られる。室温で保存する。
【0037】
攪拌しながら、用意された水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ptコロイド溶液を78.0 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、353 Kで72 h加熱し、磁性沈殿物が得られる。濾過と洗浄の処理行って、Cl-を取り除く。そして、空気雰囲気、353 Kで48 h乾燥酸化し、30wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物を作製する。TEM分析により、g-Fe2O3ナノ粒子の平均粒径は9 nmである。
実施例3
3wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物の作製
Ptナノクラスターと水酸化鉄(III)コロイド溶液は実施例1のように用意する。
【0038】
攪拌しながら、30 mlの水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ptコロイド溶液を7.8 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、353 Kで72 h加熱し、磁性沈殿物が得られる。濾過と洗浄の処理行って、Cl-を取り除く。そして、真空下に、353 Kで乾燥させ、3wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物を作製する。TEM分析により、Fe3O4ナノ粒子の平均粒径は16 nmである。図5実施例3に係る3wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物のRamanスペクトルを示す図である。複合物中の酸化鉄がFe3O4であることを証明する。
実施例4
0.1wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物の作製
エチレングリコール(EG)50 mlにNaOHを溶かし、0.05 mol/lのNaOH/EG溶液Aを作る。
【0039】
EG 50 mlにH2PtCl6・6H2O 0.1 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、433 K、3 hで還流し、「無保護な」Ptナノクラスター(0.375 g/l)コロイド溶液が得られる。TEM分析により、Ptナノ クラスターの平均直径は1.0 nmである。
【0040】
200 mlの2%塩化鉄水溶液に、pHをおよそ12になるまで、10%アンモニア水溶液を滴下する。10分間老化し、水酸化鉄(III)沈殿物を生成した。これを濾過洗浄し、沈殿物中に含まれているCl-を取り除く。濾過洗浄した物に、2%水酸化鉄(III)水溶液を60 ml加えて解こうし、363 Kで加熱すると水酸化鉄(III)コロイド溶液が得られる。室温で保存する。
【0041】
攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ptコロイド溶液を2.6 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、413 Kで160 h加熱し、磁性沈殿物が得られる。濾過と洗浄処理を行って、Cl-を取り除く。そして、真空下に、48 h乾燥し、0.1wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物を作製する。TEM分析により、Fe3O4ナノ粒子の平均粒径は45 nmである。
実施例5
1wt.%Ru/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
50mlの 0.5 mol/lのKOH/EG水溶液(EG:H2Oの体積比= 1:1)を作る(溶液A)。エチレングリコール・モノメチル・エーテル 50 mlにRuCl3×3H2O 1.0 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、373 K、3 hで還流し、「無保護な」Ruナノクラスター(3.75 g/l)コロイド溶液が得られる。TEM分析により、Ruナノ クラスターの平均直径は1.3 nmである。
【0042】
150 mlの4%硝酸鉄(III)水溶液に、pHをおよそ4になるまで、10%水酸化テトラメチルアンモニウム(CH3)4NOH溶液を滴下する。3分間老化し、生成した水酸化鉄(III)沈殿物を濾過洗浄した後、1%希塩酸水溶液を30 ml加えて解こうし、333 Kで加熱する。得られた水酸化鉄(III)コロイド溶液が室温で保存する。
【0043】
攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ruコロイド溶液を2.6 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、313 Kで72 h加熱し、黒い沈殿物が得られる。濾過と洗浄処理を行って、Cl-を取り除く。そして、空気雰囲気、353 Kで48 h乾燥酸化し、1wt.% Ru/g-Fe2O3 ナノ複合物を作製する。TEM分析により、g-Fe2O3ナノ粒子の平均粒径は6 nmである。
実施例6
5wt.%Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
Ptナノクラスターと水酸化鉄(III)コロイド溶液は実施例1のように用意する。
【0044】
Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物は次のように作製する。まず、13.1 mlの3.75 g/l Ptコロイド溶液に、13 ml塩酸水溶液(1mol/l)を加え、Ptナノクラスターの沈殿物が形成する。この沈殿物は遠心分離によって切り離され、5.6 mlのNaOH/EG水溶液(0.5 mol/l)中に再分散する。これに0.3 gのグリコール酸を加え、Ptナノクラスターのコロイド溶液が得られる。用意した30 mlの水酸化鉄(III)コロイド溶液に、すばやく攪拌しながら、Ptコロイド溶液を滴下する。そして、窒素雰囲気下に、373 K、72 hで還流し、生成した黒い沈殿物を濾過洗浄する。 空気雰囲気下に、353 K、48 hで乾燥酸化し、5wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物を作製する。
【0045】
773 Kで2 h、得られたサンプルを焼くと、か焼した5wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物が得られる。XRDの測定により、ナノ複合物中の酸化鉄がg-Fe2O3であることを確認した。
実施例7
3wt.%Pt/磁性酸化鉄ナノ複合物の作製
Ptナノクラスターと水酸化鉄(III)コロイド溶液は実施例1のように用意する。
【0046】
すばやく攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Ptコロイド溶液(3.75 g/l)を7.8 ml滴下する。 これは窒素雰囲気下に、24 hで加熱還流し、生成した沈殿物を濾過洗浄する。 空気雰囲気下に、333 K、12 hで乾燥酸化し、3wt.% Pt/g-Fe2O3 とFe3O4の混合ナノ複合物を作製する。Ramanスペクトルの分析により、この複合物中にg-Fe2O3 とFe3O4二つ種類の酸化鉄を含まれている。
実施例8
6wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物の作製
Ptナノクラスターと水酸化鉄(III)コロイド溶液は実施例1のように用意する。
【0047】
15.6 mlの3.75 g/l Ptコロイド溶液に、15 ml塩酸水溶液(1 mol/l)を加え、Ptナノクラスターの沈殿物が形成する。この沈殿物は遠心分離によって切り離され、9 mlのKOH/THF溶液(1 mol/l KOH)中に再分散する。すばやく攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液30 mlに、得られたPtコロイド溶液を滴下する。これには0.5 gナトリウム・グリコール酸塩を含んでいる10 mlのTHF溶液を加え、攪拌してから、電子レンジ中に2hで加熱し、生成した沈殿物を濾過洗浄する。真空条件の下に、353K、24hで乾燥し、6wt.% Pt/Fe3O4ナノ複合物を作製する。
実施例9
1wt.%(Pt-Ru,モル比1:1)/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
エチレングリコール(EG)25 mlにNaOHを溶かし、1.0 mol/lのNaOH/EG溶液Aを作る。 EG 25 mlにH2PtCl6・6H2O 0.5179 gとRuCl3×3H2O 0.2073 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、453K、3hで還流し、「無保護な」Pt-Ru合金ナノクラスターコロイド溶液が得られる。Pt-Ruの濃度は5.92 g/lである。
【0048】
2.5 mlの10mol/l塩化鉄水溶液に、pHをおよそ7.5になるまで、10%アンモニア水溶液を滴下する。5分間老化し、水酸化鉄(III)沈殿物を生成した。これを濾過洗浄し、沈殿物中に含まれているCl-を取り除く。濾過洗浄した物に、10 mol/l水酸化鉄(III)水溶液を30 ml加えて解こうし、323 Kで加熱すると水酸化鉄(III)コロイド溶液が得られる。室温で保存する。
【0049】
すばやく攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Pt-Ru合金コロイド溶液を1.65 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、393 Kで72 h加熱し、黒い沈殿物が得られる。濾過と洗浄処理を行って、Cl-を取り除く。そして、空気雰囲気下に、393 Kで48 h乾燥酸化し、1wt.%(Pt-Ru)/g-Fe2O3 ナノ複合物が得られる。
実施例10
1wt.%(Pt-Ir,モル比1:1)/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
グリセロール50 mlにNaOHを溶かし、0.6 mol/lのNaOH/グリセロール溶液Aを作る。 グリセロール 50 mlにH2PtCl6・6H2O 0.5179 gとIrCl3×3H2O 0.2986 gを溶かし、これを攪拌しながら、溶液Aを加える。得られた溶液を室温でさらに5分間攪拌する。そして、窒素雰囲気下に、453 K、3 hで還流し、「無保護な」Pt-Ir合金ナノクラスターコロイド溶液が得られる。Pt-Ir の濃度は3.87 g/lである。
【0050】
25 mlの1mol/l塩化鉄水溶液に、pHをおよそ7.5になるまで、2% KOH水溶液を滴下する。5分間老化し、水酸化鉄(III)沈殿物を生成した。これを濾過洗浄し、沈殿物中に含まれているCl-を取り除く。濾過洗浄した物に、室温で4%水酸化鉄(III)水溶液を30 ml加えて解こうし、水酸化鉄(III)コロイド溶液が得られる。
【0051】
すばやく攪拌しながら、上記の水酸化鉄(III)コロイド溶液に、Pt-Ir合金コロイド溶液を2.52 ml滴下する。これをテフロン・コーティングした圧力かま中に、353 Kで72 h加熱し、黒い沈殿物が得られる。濾過と洗浄処理を行って、Cl-を取り除く。そして、空気雰囲気下に、423 Kで48 h乾燥酸化し、1wt.%(Pt-Ir)/g-Fe2O3 ナノ複合物が得られる。
実施例11
1wt.% Rh/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
実施例1中のH2PtCl6・6H2Oを同じモルのRhCl3×3H2Oに取り替える。同じ方法を用い、1wt.% Rh/g-Fe2O3 ナノ複合物を作製することができる。
実施例12
1wt.%(Pt-Pd, モル比4:1)/g-Fe2O3 ナノ複合物の作製
実施例9中RuCl3・3H2OをPdCl2・xH2Oに取り替える。PtとPdのモル比は4:1である。同じ方法を用い、1wt.% Pt-Pd/g-Fe2O3 ナノ複合物を作製することができる。
実施例13
Pt/磁性酸化鉄ナノ複合物の作製
実施例1により作製した赤褐色の1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物は、水素雰囲気下に、333 Kで1 h処理する。黒いPt/磁性酸化鉄ナノ複合物を得られる。Ramanスペクトルの分析により、この複合物中にg-Fe2O3 とFe3O4二つ種類の酸化鉄を含まれている。
【0052】
実施例1-13で記述するように、Pt、Rh、Ru、Ir、OsとPdの2またはいくつかの種類の可溶性塩類を選んで、類似した方法を用い、遷移金属合金-磁性酸化鉄ナノ複合物を作製することができる。

第2節:ナノ複合材料の触媒反応の実施例
本発明によって提供する遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料は、塩化、臭化、またはヨウ化芳香族ニトロ化合物(例えば、ハロニトロベンゼンとハロニトロジフェニル)の水素化により、ハロゲン化芳香族アミンを製造する反応において、高い触媒活性、優れた安定性と極めて高い選択性を示した。本発明のナノ複合物触媒上には、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の転換率が100%のとき、ハロゲン化芳香族アミンへの選択性は99.9%以上に達することができた。特に、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物を完全に転換した後、触媒とハロゲン化芳香族アミンと水素(0.1-4.0 MPaの水素圧)と共存しても、生成物に選択性の減少を起こらない。言い換えると、これらのナノ複合物触媒上に、ハロゲン化芳香族アミンの水素化脱ハロゲンの副反応を完全に妨げることができた。したがって、実際応用には、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化反応において、高水素圧の下で速く、完全に行うことができ、高効率で高純度のハロゲン化芳香族アミンを製造する目的を現実化する。また、製品の分離処理には、便利になる。ナノ複合物触媒の磁性或は超常磁性の特性があるので、外部磁場によって触媒を反応システムから切り離すことができる。
【0053】
典型的水素化触媒反応の実験では、発明した遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料は適当な量の有機溶媒中に分散し、水素雰囲気の下で活性化する。それから、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の有機溶液は、反応炉に加え、反応を始める。 生成物はガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。反応が完全に終わったあと、外部磁場を用い、触媒が反応システムから切り離され、洗浄して、次の反応に再利用する。 触媒分離は、また、従来の方法(例えば濾過または遠心分離)によって行うことができる。反応温度は273-393Kとした。水素圧は0.1から10 MPaまで変動した。
実施例14
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上のo-クロロニトロベンゼン(o-CNB)の選択的な水素化触媒反応
1)0.1 MPaの水素圧
反応炉中に、実施例1の方法により作製した1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに13.0 mmolのo-CNBを溶かす。これも反応炉中に入れ、すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化触媒反応を行う。生成物はガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。
【0054】
2)2.0 MPaの水素圧
1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物触媒0.05 gと13.0 mmolのo-CNBはを25 mlのメタノール溶液中に加え、2.0 MPaの水素圧の下に、333 Kで水素化触媒反応を行う。生成物はGCにより分析した。
【0055】
3)4.0 MPaの水素圧
1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物触媒0.05 gと13.0 mmolのo-CNBはを25 mlのメタノール溶液中に加え、4.0 MPaの水素圧の下に、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより分析した。
【0056】
触媒活性と選択性の結果は、表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例15
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上のp-クロロニトロベンゼン(p-CNB)の選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1 wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下で、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。これも反応炉中に入れ、すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表2に示す。
【0059】
反応が完全に終わった後、外部磁場を加え、触媒は反応系から切り離して、メタノールで洗浄して、再利用する。その触媒性能はほぼ変わらない。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例15
Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物上の2,4-ジニトロクロロベンゼン(2,4-DNCB)の選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物触媒0.10 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolの2,4-DNCBを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表3に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
実施例17
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上のo-ブロモニトロベンゼン(o-BNB)の選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.04 gを100 mlの1.27 mol/l o-BNBメタノール溶液に加える。すばやく攪拌しながら、3.6 MPaの水素圧の下に、303 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
実施例18
Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物上のp-ヨードニトロベンゼン(p-INB)の選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.15 gを5 mlのTHF溶液に分散して、0.1MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。THF溶液10 mlに0.15 mmolのp-INBを加える。すばやく攪拌しながら、303 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表5に示す。
【0066】
【表5】

【0067】
実施例19
Pt/g-Fe2O3 ナノ複合物上の3,4-ジクロロニトロベンゼン(3,4-DCNB)の選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolの3,4-DCNBを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表6に示す。
【0068】
【表6】

【0069】
実施例20
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上の2-クロロ-6-ニトロトルエンの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液2 mlに1.27 mmolの2-クロロ-6-ニトロトルエンを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表7に示す。
【0070】
【表7】

【0071】
実施例21
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上のメチル-4-クロロ-3-ニトロ安息香酸エステルの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのメチル-4-クロロ-3-ニトロ安息香酸エステルを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表8に示す。
【0072】
【表8】

【0073】
実施例22
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上の4-クロロ-3-ニトロ-メトキシベンゼンの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液30 mlに1.27 mmolの4-クロロ-3-ニトロ-メトキシベンゼンを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表9に示す。
【0074】
【表9】

【0075】
実施例23
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上の4-クロロ-3-ニトロ-ジフェニルの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのTHF溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。THF溶液30 mlに1.27 mmolの4-クロロ-3-ニトロ-ジフェニルを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表10に示す。
【0076】
【表10】

【0077】
実施例24
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上の4-クロロ-3-ニトロ-4'-メチルジフェニルの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのトルエン溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、383 Kで30分間を活性化する。トルエン溶液30 mlに1.27 mmolの4-クロロ-3-ニトロ-4'-メチルジフェニルを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表11に示す。
【0078】
【表11】

【0079】
実施例25
Pt/g-Fe2O3ナノ複合物上の4-クロロ-3-ニトロ-4'-メチル-3'-ニトロ-ジフェニルの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのTHF溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、383 Kで30分間を活性化する。THF溶液50 mlに1.27 mmolの4-クロロ-3-ニトロ-4'-メチル-3'-ニトロ-ジフェニルを加える。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表12に示す。
【0080】
【表12】

【0081】
実施例26
Pt/磁性酸化鉄ナノ複合物上のp-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、3wt.% Pt/磁性酸化鉄ナノ複合物触媒0.1 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。これも反応炉中に入れ、すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表13に示す。
【0082】
【表13】

【0083】
実施例27
Pt/磁性酸化鉄ナノ複合物上のm-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、実施例13の方法により作製したPt/磁性酸化鉄ナノ複合物触媒0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのm-CNBを溶かす。これも反応炉中に入れ、すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表14に示す。
【0084】
【表14】

【0085】
実施例28
Pt-Pd/g-Fe2O3ナノ複合物上のp-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、実施例12の方法により作製したPt-Pd/g-Fe2O3ナノ複合物触媒(貴金属担持量1wt.%, Pt:Pdのモル比は4:1)0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表15に示す。
【0086】
【表15】

【0087】
実施例29
Pt-Ru/g-Fe2O3ナノ複合物上のp-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、実施例9の方法により作製したPt-Ru/g-Fe2O3ナノ複合物触媒(貴金属担持量1wt.%, Pt:Ruのモル比は1:1)0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表16に示す。
【0088】
【表16】

【0089】
実施例30
Pt-Os/g-Fe2O3ナノ複合物上のp-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、実施例9の方法により作製したPt-Os/g-Fe2O3ナノ複合物触媒(貴金属担持量1wt.%, Pt:Osのモル比は20:1)0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表17に示す。
【0090】
【表17】

【0091】
実施例31
Pt-Ir/g-Fe2O3ナノ複合物上のp-CNBの選択的な水素化触媒反応
反応炉中に、実施例10の方法により作製したPt-Os/g-Fe2O3ナノ複合物触媒(貴金属担持量1wt.%, Pt:Irのモル比は1:1)0.2 gを5 mlのメタノール溶液に分散して、0.1 MPaの水素圧の下に、333 Kで30分間を活性化する。メタノール溶液20 mlに1.27 mmolのp-CNBを溶かす。すばやく攪拌しながら、333 Kで水素化反応を行う。生成物はGCにより測定した。触媒活性と選択性の結果は、表17に示す。
【0092】
【表18】

【0093】
このセクションの結果より、本発明のナノ複合物触媒は、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化により、ハロゲン化芳香族アミンを製造する反応において、高い触媒活性と優れた選択性を有することが明らかにした。 本発明のナノ複合物触媒上には、水素化脱ハロゲンの副反応が完全に妨げられた。したがって、本発明のナノ複合物触媒を用い、高効率的に高純度のハロゲン化芳香族アミンを製造できることを示す。
産業上の利用可能性
本発明は、金属ナノクラスターの触媒作用を利用し、相対的な低温で1種類の新な遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を製造することに成功した。
【0094】
本発明により提供する製造方法の主な特徴を挙げると、まず、「無保護な」遷移金属ナノクラスター或はその合金ナノクラスターのコロイド溶液を作製し、これと水酸化鉄コロイド溶液と複合コロイド溶液を形成すること;還元剤(例えばアルコール、アルデヒドとグリコール酸)が存在する条件下に、熱処理を行い、生成物は洗浄、乾燥或は酸化し、上述の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を得られること。
【0095】
本発明の遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料は、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物の水素化により、ハロゲン化芳香族アミンを製造する反応において、高い選択性を有する。初めて、この過程中の水素化脱ハロゲンの課題を完全に解決した。さらに、2つあるいは2つ以上の機能的なナノ粒子で構成され、またその協同効果があるので、本発明の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料は、触媒材料、波-吸収材料と磁気分離などの分野において広い応用価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例1に係るPtナノクラスターのTEM写真を示す図である。
【図2】実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物のSTEM写真を示す図である。
【図3】実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物のEDXパターンを示す図である。
【図4】実施例1に係る1wt.% Pt/g-Fe2O3ナノ複合物のRamanスペクトルを示す図である。
【図5】実施例3に係る3wt.% Pt/ Fe3O4ナノ複合物のRamanスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類の遷移金属−磁性酸化鉄ナノ複合材料において、基本的に0.7-5 nmの遷移金属或はその合金粒子と5-50 nmの磁性酸化鉄ナノ粒子によって構成される。前述の遷移金属或はその合金粒子は前述のナノ複合材料総重量の0.1-30wt.%を占める。前述の酸化鉄はg-Fe2O3、Fe3O4、g-Fe2O3の部分的に還元によって生成する複合物、或はFe3O4の部分的に酸化するによって生成する複合物である。
【請求項2】
請求項1に記載のナノ複合材料において、前記のg-Fe2O3の部分的に還元によって生成する複合物とは、遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物は、還元剤(水素、グリコール酸、アルコール及びアルデヒドなど)が存在する条件下に、278-473 Kで、部分的に還元するによって生成する複合物であることを特徴とする請求項1に記載のナノ複合材料、である。
【請求項3】
請求項1に記載のナノ複合材料において、前記のFe3O4の部分的に酸化するによって生成する複合物とは、遷移金属-Fe3O4ナノ複合物は、酸素雰囲気下に、313-523 Kで、部分的に酸化するによって生成する複合物であることを特徴とする請求項1に記載のナノ複合材料、である。
【請求項4】
請求項1また2また3に記載のナノ複合物において、前記遷移金属はPt、Ru、Rh、Os或はIrから選ぶ;前記遷移金属合金はPt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうち、二つ以上の元素を含むことを特徴とするナノ複合材料、である。
【請求項5】
請求項1また2また3に記載のナノ複合物において、前記酸化鉄ナノ粒子の粒子径は5-25 nmであること特徴とするナノ複合材料、である。
【請求項6】
請求項1に記載のナノ複合物の製造方法は、以下のステップを含む:
1. 遷移金属コロイド溶液を作製:アルコール溶液またはアルコール/水混合溶液に、前述の少なくとも1種類の可溶性遷移金属塩類または遷移金属を含んでいる酸を溶かす。濃度は0.01-100 g/lの遷移金属化合物溶液を作る。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のアルコール溶液または水溶液またはアルコール/水混合溶液を加える。この混合溶液は、343-473 Kで加熱し、遷移金属コロイド溶液を得られる。上述のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と上述の遷移金属の可溶性塩類または遷移金属を含んでいる酸とのモル比は3から30までの範囲にある;上述のアルコールは、1つか2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールである;或は、2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールの一元メトキシル基またはエトキシル派生物である;上述のアルコール/水混合液において、水は0-50%(体積比)である。
2. 水酸化鉄コロイド溶液を作製:Fe3+を含む塩溶液にアルカリ溶液を加え、pHは4-12になるように調整し、水酸化鉄(III)の沈殿物を形成する。この沈殿物は、解こう剤中に入れて解こうし、濃度は1-300 g/lの水酸化鉄コロイド溶液を得る。上述の解こう剤は、塩化鉄溶液、硝酸鉄溶液と塩酸から選ぶ。
3.遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を作製:ステップ1で得る遷移金属コロイド溶液とステップ2で得る水酸化鉄コロイド溶液と混合する。遷移金属コロイド溶液:水酸化鉄コロイド溶液の質量比は1:3-13400である。313-523 Kで、1-200 h熱処理する。得られた沈殿物は、278-523 Kで、乾燥して、前述の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を得ることができる。
【請求項7】
請求項6のステップ1に記載の製造方法において、前記の可溶性塩或は酸は、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir元素を含む塩或は酸から選びことを特徴とする製造方法、である。
【請求項8】
請求項6のステップ2に記載の製造方法において、前記の塩溶液中のFe3+濃度は0.01-4 mol/lである;前記のアルカリはアンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム水酸化テトラメチルアンモニウム、ブチルアミンなどを含む;前記の水酸化鉄を沈殿する温度は278-370 Kとする。前記のコロイド溶媒の濃度は0.01-2 mol/lである;前記の解こうする温度は278-373 Kとすることを特徴とする製造方法、である。
【請求項9】
請求項6のステップ3に記載の製造方法において、前記の熱処理法は、溶媒熱処理法、加熱還流法、電子レンジ加熱法を含むことを特徴とする製造方法、である。
【請求項10】
請求項6に記載の製造方法において、前記の乾燥には、真空条件下に、313-523 Kで、沈殿物を乾燥して、遷移金属-Fe3O4ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を酸化し、乾燥して、遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を部分的に酸化し、乾燥して、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る(磁性酸化鉄はFe3O4が部分的に酸化するによって生成する複合物)ことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法において、前記の遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物は、還元剤が存在する条件下に、278-473 Kで、部分的に還元され、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る(磁性酸化鉄はg-Fe2O3が部分的に還元するによって生成する複合物)ことを特徴とする製造方法、である。上述の還元剤は水素、グリコール酸、アルコールとアルデヒドなどである。
【請求項12】
請求項1に記載のナノ複合物の製造方法は、以下のステップを含む:
1. 遷移金属コロイド溶液を作製:A、アルコール溶液またはアルコール/水混合溶液に、前述の少なくとも1種類の可溶性遷移金属塩類または遷移金属を含んでいる酸を溶かす。濃度は0.01-100 g/lの遷移金属化合物溶液を作る。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のアルコール溶液または水溶液またはアルコール/水混合溶液を加える。上述のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物と上述の遷移金属の可溶性塩類または遷移金属を含んでいる酸とのモル比は3から30までの範囲にある;上述のアルコールは、1つか2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールである;或は、2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコールの一元メトキシル基またはエトキシル派生物である;上述のアルコール/水混合液において、水は0-50%(体積比)である。B、得られる混合溶液は、343-473 Kで加熱し、酸性水溶液を加え、遷移金属ナノクラスターの沈殿物を形成する。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物のエチレングリコール溶液にまたは有機溶媒に上述の沈殿物を分散し、遷移金属コロイド溶液を得られる。有機溶媒は2つか3つの水酸基を含むC1-C8のアルコール、ケトン、1,4-ジオキサン、DMSO、THFとDMFから選ぶ。
2. 水酸化鉄コロイド溶液を作製:Fe3+を含む塩溶液にアルカリ溶液を加え、pHは4-12になるように調整し、水酸化鉄(III)の沈殿物を形成する。この沈殿物は、解こう剤中に入れて解こうし、濃度は1-300 g/lの水酸化鉄コロイド溶液を得る。上述の解こう剤は、塩化鉄溶液、硝酸鉄溶液と塩酸から選ぶ。
3. 遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を作製:ステップ1で得る遷移金属コロイド溶液とステップ2で得る水酸化鉄コロイド溶液と混合する。遷移金属コロイド溶液:水酸化鉄コロイド溶液の質量比は1:3-13400である。これを1またはいくつかの種類の有機還元剤を加え、313-523 Kで、1-200 h熱処理する。得られた沈殿物は、278-523 Kで、乾燥して、前述の遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合材料を得ることができる。上述の有機還元剤はホルムアルデヒド、グリコール酸、ナトリウム・グリコール酸塩、イソプロピルアルコール、グリオキセール、シュウ酸と水素から選ぶ。
【請求項13】
請求項12のステップ1に記載の製造方法において、前記の可溶性塩或は酸とは、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir元素を含む塩或は酸から選びことを特徴とする製造方法、である。
【請求項14】
請求項12のステップ2に記載の製造方法において、その特徴とは、前記のFe3+を含む塩溶液の濃度は0.01-4 mol/lである;前記のアルカリはアンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む;前述の水酸化鉄(III)を沈殿する温度は278-370 Kである;前述の解こう剤の濃度は0.01-2 mol/lの範囲にある;前述の解こうする温度は278-373 Kである。
【請求項15】
請求項12のステップ3に記載の製造方法において、前述の有機還元剤と水酸化鉄(III)のモル比率は、0.1-10であることを特徴とする製造方法、である。
【請求項16】
請求項12のステップ3に記載の製造方法において、前述の熱処理法とは、溶媒熱処理法、加熱還流法、電子レンジ加熱法を含むことを特徴とする製造方法、である。
【請求項17】
請求項12のステップ3に記載の製造方法において、その特徴とは、前述の乾燥処理は、313-523 Kで、真空乾燥で、遷移金属-Fe3O4ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を酸化、乾燥すると、遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物を得る;また、酸素雰囲気下に、沈殿物を部分的に酸化し、乾燥すると、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る。上述の磁性酸化鉄はFe3O4を部分的に酸化するによって生成する複合物である。
【請求項18】
請求項17に記載の製造方法において、その特徴とは、前述の遷移金属-g-Fe2O3ナノ複合物は、還元剤が存在する条件下に、278-473 Kで、部分的に還元され、遷移金属-磁性酸化鉄ナノ複合物を得る。上述の磁性酸化鉄はg-Fe2O3が部分的に還元するによって生成する複合物である。上述の還元剤は水素、グリコール酸、アルコールとアルデヒドから選ぶ。
【請求項19】
請求項1に記載において、前述のナノ複合材料は、ハロゲン化芳香族アミンの製造に用いられているハロゲン化芳香族ニトロ化合物の選択的な水素化触媒反応の触媒とする応用がある。
【請求項20】
請求項19に記載の応用において、前記のハロゲン化芳香族ニトロ化合物は式Iの構造が持つ。
【化1】

式IのXは、 Cl、Br或は I; YはH、R、COOR、RO、Cl、Br、I、NO2或は NH2(RはC1-C4の飽和アルキル)。
【請求項21】
請求項19に記載の応用において、前記のハロゲン化芳香族ニトロ化合物は式IIの構造が持つ。
【化2】

式IIのXは、 Cl、Br或は I; X’、Y、Y’はH、R、COOR、RO、Cl、Br或はI; Zは H、NO2或はNH2 (RはC1-C4の飽和アルキル)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−516882(P2008−516882A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537102(P2007−537102)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001673
【国際公開番号】WO2006/042453
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504415968)北京大学 (3)
【Fターム(参考)】