選択光学素子及び光ピックアップ装置
【課題】低価格で小型化可能な選択光学素子を提供する。
【解決手段】信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、を有することを特徴とする選択光学素子を提供することにより上記課題を解決する。
【解決手段】信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、を有することを特徴とする選択光学素子を提供することにより上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択光学素子及び光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽、映画、写真及びコンピュータソフト等の情報を記録するための媒体としての光ディスクにおいては、代表的な規格として、BD(blu−ray disc)、DVD(digital versatile disc)、CD(compact−disc)が存在している。
【0003】
光ディスクは記録される情報量が増加する傾向にあり、この情報量の増加に対応するため記録層を多層化した多層光ディスクが採用されており、この多層光ディスクにおいて情報を記録または再生を行うために光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置が用いられている。
【0004】
多層光ディスクは、各々の記録層と記録層の間隔、即ち、記録層間の間隔が広いと、球面収差の影響により読み取る記録層からの信号が劣化するおそれがあることから、記録層間の間隔はできるだけ狭く形成されている。一方、記録層間の間隔を狭くした場合、多層化された記録層により生じる層間クロストークにより、多層光ディスクからの反射光の光束には、読み取る記録層における反射光(信号光)のみならず。読み取る記録層以外の記録層からの反射光(迷光)も多く含まれてしまい再生信号のS/N比を低下させるおそれがあった。
【0005】
このため、多層光ディスクを再生する際に層間クロストークを低減させた抽出光学系及び光ピックアップ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、近年フォトニック結晶を用いた光ヘッド装置の検討が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1等に開示されている光ピックアップ装置における偏光抽出素子としては、回折型偏光子、吸収型偏光子等が挙げられる。しかしながら、回折型偏光子ではフォトディテクタと偏光子間の距離を大きくする必要があり大型化してしまい、また、吸収型偏光子では熱による温度上昇が再生信号の品質を低下させてしまう。
【0009】
このため、多層光ディスクを再生するための光ピックアップ装置及び光ディスク装置は、普及に伴い低価格で小型化されたものが望まれている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、一方の領域には、第1の1/2波長板が設けられており、他方の領域には、第2の1/2波長板が設けられており、前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記信号光成分の光束のうち、前記第1の1/2波長板を透過した光束は、前記第2の1/2波長板を透過するものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、一方の領域には、第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が設けられており、前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記信号光成分の光束は、前記第1の1/2波長板又は前記第2の1/2波長板のいずれか一方を透過するものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記偏光選択反射ミラーはコレステリック相液晶であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記集光光学系と前記偏光光学素子との間には1/4波長板が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記偏光選択反射ミラーにおいて、no=コレステリック相液晶の常光屈折率、ne=コレステリック相液晶の異常光屈折率、P=コレステリック相液晶の螺旋ピッチとし、
中心波長λc={(no+ne)/2}×P
波長帯域幅Δλ=(no−ne)×P
とした場合に、
前記光束における波長λは、
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)
であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記波長λは、390nm〜420nmであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、光源と、前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる前記記載の選択光学素子と、前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、光源と、前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる前記記載の選択光学素子と、前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、を有し、前記選択光学素子における分割面は、前記光ディスクのトラッキング方向に延びているものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記光源と前記対物レンズとの間に、前記光源から前記対物レンズを介し前記光ディスクに向かう光束と、前記光ディスクにおいて反射した光束とを分離するためのビームスプリッタを有し、前記ビームスプリッタにより分離された前記光ディスクにおいて反射した光束を前記選択光学素子に入射させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記光源は、390nm〜420nmの波長の光を発するものであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記光源は、少なくとも645〜675nmまたは770〜800nmの波長の光を発するものをさらに含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、前記光源は、390nm〜420nm、645〜675nm及び770〜800nmの3波長の光を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することができる。また、迷光を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】多層光ディスクの断面概要図
【図2】第1の実施の形態に係る光ピックアップ装置の構造図
【図3】第1の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図4】第1の記録層の情報を再生する際の選択光学素子における光路図
【図5】第2の記録層の情報を再生する際の選択光学素子における光路図
【図6】偏光選択反射ミラーにおける右円偏光及び左円偏光の透過スペクトル
【図7】2波長に対して作用する偏光選択反射ミラーにおける透過スペクトル
【図8】コレステリック相液晶における選択反射中心波長λcと入射角度との相関図
【図9】第2の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図10】第3の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図11】第4の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図12】第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置の構造図
【図13】光軸補正素子の構造図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における選択光学素子及び光ピックアップ装置を用いた光ディスク装置において記録または再生が行われる多層光ディスクについて説明する。
【0030】
図1に、多層光ディスクの一例として片面2層光ディスクの構造を示す。この多層光ディスク10は、レーザ光の入射側から順に、基板11、第1記録層12、中間層13、第2記録層14、背面基板15が積層された構造のものである。また、第1記録層12と中間層13との間には、金または誘電体等により形成された半透明膜16が設けられており、第2記録層14と背面基板15との間には、アルミニウム等により形成された反射膜17が設けられている。中間層13は、情報の記録や再生において用いられる光に対し透過率が高く、基板11の屈折率に近い屈折率を有している紫外線硬化型の樹脂材料が用いられている。
【0031】
尚、第1の記録層12及び第2の記録層14には、スパイラル状又は同心円状の案内用の溝を有するトラックが各々形成されている。多層光ディスク10は、第1記録層12が第2記録層14よりも光源に近くなるように設置されており、光源から照射された光束は、第1記録層12において一部反射されるが、第1記録層12により反射されなかった光束は、第1記録層12を透過し第2記録層14において反射される。
【0032】
図2に、本実施の形態における光ピックアップ装置を示す。本実施の形態における光ピックアップ装置20は、光源ユニット21、カップリングレンズ22、偏光ビームスプリッタ23、1/4波長板24、対物レンズ25、対物レンズ25を駆動するための対物レンズ駆動系26、レンズ31、1/4波長板32、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35、フォトディテクタ42を有している。尚、本実施の形態における選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35により構成されている。
【0033】
光源ユニット21は、多層光ディスク10に対応した波長の光を発光するレーザ光源を有しており、波長が390〜420nm、特に405nmのレーザ光を発する。
【0034】
カップリングレンズ22は、光源ユニット21より発せられた光束を略平行光とするものである。
【0035】
偏光ビームスプリッタ23は、光源ユニット21からの光は偏光ビームスプリッタ23を透過させることができ、後述する多層光ディスク10からの反射光は略直角に反射させることができるように構成されている。
【0036】
対物レンズ駆動系26は、フォーカシングアクチュエータとトラッキングアクチュエータを含んでいる。フォーカシングアクチュエータは、対物レンズ25の光軸方向であるフォーカシング方向に対物レンズ25を微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク10における第1の記録層12における対物レンズ25のレンズ位置と、第2の記録層14における対物レンズ25のレンズ位置とを調節するものである。また、トラッキングアクチュエータは、対物レンズ25をトラッキング方向に微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク10のトラッキング位置を調整するためのものである。
【0037】
選択光学素子30は、後述するように多層光ディスク10における第1の記録層12又は第2の記録層14からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する機能を有するものである。
【0038】
このような光ピックアップ装置20において、光源ユニット21より発せられた光束は、カップリングレンズ22を介し偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23では、光源ユニット21からの光(+X方向に進む光)はそのまま透過するため、1/4波長板24を介し、対物レンズ25により、多層光ディスク10の第1の記録層12又は第2の記録層14のどちらか一方に集光される。
【0039】
集光された光は多層光ディスク10において反射され、対物レンズ25及び1/4波長板24を介した後、偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23では、多層光ディスク10からの反射光(−X方向に進む光)は、略垂直方向(−Z方向)に反射され、レンズ31を介し、1/4波長板32により円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0040】
図3に基づき選択光学素子30について説明する。本実施の形態における選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35により構成されている。
【0041】
選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34及び偏光選択反射ミラー35について樹脂材料等により一体化して形成することが好ましい。また、この際に用いられる樹脂材料等の屈折率は、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の屈折率に近い値であることが好ましく、同じ値であることがさらに好ましい。
【0042】
樹脂材料等の屈折率の値と第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の屈折率の値との差が大きいと、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34に起因した回折光が生じる場合があり、これを防止することが好ましいからである。
【0043】
更に、選択光学素子30に1/4波長板32を貼り合わせることにより一体化して形成することも可能である。一体化して形成することにより、選択光学素子30と1/4波長板32とにおける位置合せを行うことなく、光ピックアップ装置の組立を行なうことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0044】
本実施の形態における選択光学素子30は、図3に記載されているとおり、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第1の領域R1には、第1の1/2波長板33が設けられており、第2の領域R2には第2の1/2波長板34が設けられている。第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34は、ともに入射する光軸を含む面により切断されおり補完的な形状、即ち、光軸に沿った方向において、第1の1/2波長板33が形成されていない領域に、第2の1/2波長板34が形成されている形状で構成されている。また、対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34との間の領域となるように各々配置されている。
【0045】
この選択光学素子30に入射する光束は、多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子30において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0046】
具体的には、選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過するが、右円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板32を介し左円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34をいずれも通過しない光、または、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の双方を通過する光は、ともに左円偏光の光であることから、選択光学素子30を透過する。一方、第1の1/2波長板33または第2の1/2波長板34のどちらか一方しか通過しない光は、右円偏光の光となるため選択光学素子30における選択反射ミラー35により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、左円偏光の光のみ分離することができる。
【0047】
〔多層光ディスクの再生〕
次に、多層光ディスク10に記録されている情報を再生する場合について説明する。
【0048】
図2及び図4に基づき、多層光ディスク10における第1の記録層12に記録されている情報を再生する場合について説明する。多層光ディスク10の第1の記録層12に記録されている情報の再生等を行う場合には、光源ユニット21から発生された光は対物レンズ25により多層光ディスク10の第1の記録層12に集光される。多層光ディスク10では、第1の記録層12で光束の一部を反射し、残りの一部は透過し第2の記録層14において反射する。この第1の記録層12及び第2の記録層14において反射した光は、対物レンズ25、1/4波長板24及び偏光ビームスプリッタ23を介し、レンズ31により集光され、1/4波長板32により左円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0049】
この際、信号光となる第1の記録層12において反射した光の焦点位置は、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34の間の領域における光軸上となる。
【0050】
一方、迷光となる第2の記録層14において反射した光の焦点位置は、第1の記録層12において反射した光よりも光路が長くなるため、第1の1/2波長板33の手前、即ち、1/4波長板32と第1の1/2波長板33との間の領域となる。
【0051】
信号光となる第1の記録層12により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光K1は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過することなくそのまま直進する。従って、左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光K2は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過する。即ち、左円偏光の状態から第1の1/2波長板33を通過することにより右円偏光となり、この後、第2の1/2波長板34を通過することにより左円偏光へと戻る。これにより、信号光となる光K1及びK2は、ともに左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0052】
一方、迷光となる第2の記録層14により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光M1は、第1の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光M2は、第2の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。これにより、迷光となる光M1及びM2は、右円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0053】
偏光選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過し、右円偏光の光は反射する特性を有しており、第1の記録層12において反射された信号光となる光K1及びK2は、左円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35を透過し、フォトディテクタ42に入射し電気信号に変換される。一方、第2の記録層14において反射された迷光となる光M1及びM2は、右円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35により反射され透過することはない。
【0054】
よって、フォトディテクタ42へは、第1の記録層12において反射した反射光のみが入射し、電気信号へと変換されるため、第1の記録層12に記録されていた情報のみを再生することができる。
【0055】
次に、図2及び図5に基づき、多層光ディスク10における第2の記録層14に記録されている情報を再生する場合について説明する。多層光ディスク10の第2の記録層14に記録されている情報の再生等を行う場合には、光源ユニット21から発生された光は対物レンズ25により多層光ディスク10の第2の記録層14に集光される。多層光ディスク10では、第1の記録層12で光束の一部を反射し、残りの一部は透過し第2の記録層14において反射する。この第1の記録層12及び第2の記録層14において反射した光は、対物レンズ25、1/4波長板24及び偏光ビームスプリッタ23を介し、レンズ31により集光され、1/4波長板により左円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0056】
この際、信号光となる第2の記録層14において反射した光の焦点位置は、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34の間の領域における光軸上となる。
【0057】
一方、迷光となる第1の記録層12において反射した光の焦点位置は、第2の記録層14において反射した光よりも光路が短くなるため、第2の1/2波長板34よりも遠方の領域となる。(図面では焦点は遠方であるため記載されていない)
信号光となる第2の記録層14により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光K3は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過することなくそのまま直進する。従って、左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光K4は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過する。即ち、左円偏光の状態から第1の1/2波長板33を通過することにより右円偏光となり、この後、第2の1/2波長板34を通過することにより左円偏光へと戻る。これにより、信号光となる光K3及びK4は、ともに左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0058】
一方、迷光となる第1の記録層12により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光M3は、第2の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。一方、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光M4は、第1の波長板33を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。これにより、迷光となる光M3及びM4は、右円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0059】
偏光選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過し、右円偏光の光は反射する特性を有しており、第2の記録層14において反射された信号光となる光K3及びK4は、左円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35を透過し、検出レンズ41を介しフォトディテクタ42に入射し電気信号に変換される。一方、第1の記録層12において反射された迷光となる光M3及びM4は、右円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35により反射され透過することはない。
【0060】
よって、フォトディテクタ42へは、第2の記録層14において反射した反射光の光のみが入射し、電気信号へと変換されるため、信号光である第2の記録層14に記録されていた情報のみを再生することができる。
【0061】
〔偏光選択反射ミラー〕
次に、偏光選択反射ミラー35について説明する。本実施の形態において用いられる偏光選択反射ミラー35は、コレステリック相液晶により構成されていることが好ましい。コレステリック相液晶としては、コレステリック相液晶またはカイラル剤が添加されたネマティック相液晶を用いることができる。液晶を固体化すると、温度依存性を低減できるだけでなく、液晶の漏洩を防止するためのシール構造が不要となるため、重合性液晶組成物を重合・固体化した高分子コレステリック相液晶を用いることが好ましい。
【0062】
高分子コレステリック相液晶は、少なくとも一方が重合性を有するネマティック相液晶とカイラル剤とを含む重合性液晶組成物を紫外線照射、加熱等により重合・固体化することにより得られる。
【0063】
コレステリック相液晶は、螺旋ねじれを有し、螺旋ピッチPが入射光の波長λと略等しい場合、螺旋軸方向から入射し螺旋ねじれ方向と同一方向に回転する円偏光を反射し、逆方向に回転する円偏光を透過する。尚、反射する円偏光の中心波長λc及び帯域幅Δλは数1に記載した式により得られる。
【0064】
【数1】
即ち、コレステリック相液晶は、液晶の螺旋ねじれ方向と同一方向に回転する波長λの円偏光に対して以下の性質を有するものである。
【0065】
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)の反射波長帯域内の円偏光を反射する。
【0066】
λ≦(λc−Δλ/2)、または、(λc+Δλ/2)≦の反射波長帯域外の円偏光を透過する。
【0067】
また、コレステリック相液晶は、液晶の螺旋ねじれ方向と逆方向に回転する円偏光に対しては、入射光の波長にかかわらず透過性媒体として機能し、その屈折率は液晶の常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率の平均値に略等しい。
【0068】
次に、偏光選択反射ミラー35としてのコレステリック相液晶の製造方法について説明する。
【0069】
最初に、2枚の透明基板をそれぞれ一方の面に塗布したポリイミド膜を焼成し、ラビング等の配向処理を施して配向膜を形成する。
【0070】
次に、配向膜を内側にして4.0μmの間隔を隔てて対向させた2枚の透明基板の間に重合性液晶組成物を注入する。
【0071】
次に、重合性液晶組成物に紫外線を照射することにより、重合・固体化させてコレステリック相液晶を作成する。例えば、常光屈折率no=1.48、異常光屈折率ne=1.75の重合性ネマティック相液晶に、右回りの重合性カイラル剤を所定の螺旋ピッチPとなるよう添加し、右回り円偏光(右円偏光)の光を反射する所定の高分子コレステリック相液晶層を得ることができる。
【0072】
このようにして作製された偏光選択反射ミラー35は、所定の波長帯域の光のうち、右円偏光の光のみを反射し、左回りの円偏光(左円偏光)の光を透過する。また、所定の波長帯域以外の光は、偏光状態に依存することなくすべて透過する。
【0073】
尚、高分子コレステリック相液晶層の厚さは、螺旋ピッチの5倍程度とすれば波長選択性を呈するようになるが、実際には螺旋ピッチの10倍以上であることが重要であり、より反射率を大きくするためには、螺旋ピッチの20倍以上とすることが好ましい。
【0074】
但し、高分子コレステリック相液晶層の厚さは、50μmを超えると液晶層にドメインが生じて配向が乱れるおそれがあるので、50μm以下等することが重要であり、製造上の観点からは、製造が容易な30μm以下とすることが好ましい。
【0075】
以上説明したように、上記構成の偏光選択反射ミラー35は、コレステリック相液晶の常光屈折率、異常光屈折率及び螺旋ピッチに基づいて定まる波長の円偏光のうち、コレステリック相液晶の螺旋ピッチと同一方向に回転する円偏光の光を反射させ、反対方向に回転する円偏光の光を透過させることが可能となる。
【0076】
図6に、上記製造方法により製造された偏光選択反射ミラー35の透過スペクトルを示す。図に示されるように、右円偏光の光は、波長λが390〜420nmにおいて、透過することなく反射する。
【0077】
本実施の形態によれば、偏光選択反射ミラー35を容易なプロセスにより作製することが可能であり、選択光学素子及び光ピックアップ装置の低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態において用いられる偏光選択反射ミラー35は、光を反射するものであることから、光吸収による温度上昇がなく、また、選択光学素子30の出射側に迷光が漏れることはない。このため、選択光学素子30は、フォトディテクタ42の近傍に配置することが可能となる。
【0078】
次に、BD、DVD及びCDに対応した選択光学素子について説明する。表1にBD、DVD及びCDに使用される光源からの出射波長における偏光選択反射ミラー35の透過率を示す。
【0079】
【表1】
上記説明においては、選択光学素子30は、BD波長405nmに対するクロストーク対策を行なう機能を有するものであるが、DVD波長660nm及びCD波長780nmに対しては透過素子としての機能を有している。よって、BD波長の光に対してのみクロストーク対策が必要となる多波長共通光路においても用いることが可能である。
【0080】
また、偏光選択反射ミラー35は、反射波長帯の異なる2以上のコレステリック相液晶層を積層したものであってもよい。例えば、第1の波長λ1として、390nm<λ1<420nmとなるコレステリック相液晶層と、第2の波長λ2として、645nm<λ2<675nmとなるコレステリック相液晶層とを積層することにより、BD波長及びDVD波長における双方の光について、2つの波長帯の光に対応した偏光選択反射ミラーとしての機能を有することができる。
【0081】
図7に、このような2つの波長帯の光に対応した偏光選択反射ミラーにおける右円偏光及び左円偏光の透過スペクトルの一例を示す。図に示されるように、右円偏光の光は、390nm〜420nm及び645nm〜675nmにおいて、透過することなく反射する。尚、第1の波長λ1及び第2の波長λ2は、表1に示される波長帯に限定されるものではなく、更に、反射帯波長が異なる3つ以上の3層のコレステリック相液晶層を積層したものであってもよい。
【0082】
また、偏光選択反射ミラー35として、前述の螺旋ピッチ長Pを厚さ方向で連続的に変化させ反射帯波長そのものの存在分布を形成したコレステリック相液晶層を用いてもよい。これにより、広帯域の円偏光選択反射ミラーを得ることができる。螺旋ピッチ長Pを厚さ方向で連続的に変化させる方法としては、コレステリック相液晶の組成物を紫外線露光により硬化させる際に、露光面側と出射面側の露光強度に差をもたせ、重合速度に差を付けることにより、反応速度の異なる液晶組成物について厚さ方向において組成傾斜を有するものとすることができる。
【0083】
反射帯波長を広帯域化することにより、偏光選択反射ミラー35における入射角度依存性を向上させることができる。偏光選択反射ミラー35に垂直な入射角度を0°とした場合、斜入射となり入射角度θが増加するに従い、前述の選択反射中心波長λcが短波長側にシフトすることが知られている。
【0084】
図8に、重合性ネマティック相液晶の常光屈折率no=1.48、異常光屈折率ne=1.75として、光の入射角度と選択反射中心波長λcとの関係を示す。許容される入射角度θは、選択反射帯Δλが30nmのとき、0°<|θ|<25°であるのに対し、選択反射帯Δλが50nmのときは0°<|θ|<34°となる。本実施の形態における選択光学素子30においては、光の入射角度と選択反射中心波長λcとの関係は重要である。
【0085】
反射帯波長の広帯域化は、反射帯波長が異なる2つ以上のコレステリック相液晶層を積層することによっても可能である。例えば、選択反射帯Δλが30nmである場合、波長λaが380nm<λa<410nmとなる光を反射するコレステリック相液晶層と、波長λbが400nm<λb<430nmとなる光を反射するコレステリック相液晶層とを積層することにより、380nm〜430nmの範囲の光を反射する偏光選択反射ミラーを形成することができる。
【0086】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、同一の領域に第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が配置したものである。
【0087】
図9に基づき選択光学素子130について説明する。本実施の形態における選択光学素子130は、第1の1/2波長板133、第2の1/2波長板134、偏光選択反射ミラー135により構成されている。
【0088】
本実施の形態における選択光学素子130は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第2の領域R2には、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134が設けられており、第1の領域R1には第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134が形成されていないものである。第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134は、ともに入射する光軸を含む面により切断されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板133と第2の1/2波長板134との間の領域となるように各々配置されている。
【0089】
この選択光学素子130に入射する光束は、図1に示す多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子130において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0090】
具体的には、選択反射ミラー135は、左円偏光の光は透過するが、右円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板132を介し右円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板133または第2の1/2波長板134のどちらか一方しか通過しない光は、左円偏光の光であることから、選択光学素子130を透過する。一方、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134のいずれをも通過しない光、または、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134の双方を通過する光は、ともに右円偏光の光であることから、選択光学素子130により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる左円偏光の光のみ分離することができる。
【0091】
尚、上記のように第2の領域R2に第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134に配置する構成ではなく、第1の領域R1に第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134を配置した構成であっても同様の効果を得ることができる。
【0092】
このように本実施の形態における選択光学素子130により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0093】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、選択反射ミラーが、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有するものである。
【0094】
図10に基づき選択光学素子230について説明する。本実施の形態における選択光学素子230は、第1の1/2波長板233、第2の1/2波長板234、偏光選択反射ミラー235により構成されている。
【0095】
本実施の形態における選択光学素子230は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第1の領域R1には、第1の1/2波長板233が設けられており、第2の領域R2には第2の1/2波長板234が設けられている。第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234は、ともに入射する光軸を含む面により切断されおり補完的な形状で構成されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板233と第2の1/2波長板234との間の領域となるように各々配置されている。
【0096】
この選択光学素子230に入射する光束は、多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子230において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0097】
具体的には、選択反射ミラー235は、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板232を介し右円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234をいずれも通過しない光、または、第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234の双方を通過する光は、ともに右円偏光の光であることから、選択光学素子230を透過する。一方、第1の1/2波長板233または第2の1/2波長板234のどちらか一方しか通過しない光は、左円偏光の光となるため選択光学素子230により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる右円偏光の光のみ分離することができる。尚、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有する選択反射ミラーは、第1の実施の形態とは異なる方法により作製することが可能である。
【0098】
このように、本実施の形態における選択光学素子230により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0099】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、同一の領域に第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が配置したものであって、選択反射ミラーが、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有するものである。
【0100】
図11に基づき選択光学素子330について説明する。本実施の形態における選択光学素子330は、第1の1/2波長板333、第2の1/2波長板334、偏光選択反射ミラー335により構成されている。
【0101】
本実施の形態における選択光学素子330は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第2の領域R2には、第1の3/2波長板133及び第2の1/2波長板334が設けられており、第1の領域R1には第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334が形成されていないものである。第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334は、ともに入射する光軸を含む面により切断されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板333と第2の1/2波長板334との間の領域となるように各々配置されている。
【0102】
この選択光学素子330に入射する光束は、図1に示す多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子330において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0103】
具体的には、選択反射ミラー335は、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板332を介し左円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板333または第2の1/2波長板334のどちらか一方しか通過しない光は、右円偏光の光であることから、選択光学素子130を透過する。一方、第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334のいずれをも通過しない光、または、第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334の双方を通過する光は、ともに左円偏光の光であることから、選択光学素子330により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる右円偏光の光のみ分離することができる。
【0104】
尚、上記のように第1の領域R1に第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334に配置するのではなく、第2の領域R2に第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334を配置した構成であっても同様の効果を得ることができる。又、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有する選択反射ミラーは、第1の実施の形態とは異なる方法により作製することが可能である。
【0105】
このように、本実施の形態における選択光学素子330により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、BD、DVD、CDに用いられる3波長の光に対応した光ピックアップ装置である。具体的には、390nm〜420nm、645nm〜675nm及び770nm〜800nmの波長の光に対応した光ピックアップ装置である。
【0107】
図12に基づき本実施の形態における光ピックアップ装置につて説明する。本実施の形態において用いられるレーザ光は、波長λ1、λ2、λ3の光であり、各々390nm<λ1<420nm、645nm<λ2<675nm、770nm<λ3<800nmである。
【0108】
本実施の形態における光ピックアップ装置420は、多層光ディスク410の記録再生を行うものであり、DVD、CD用レーザ光源421、BD用レーザ光源422、合波プリズム423、偏光ビームスプリッタ424、1/4波長板425、レンズ426、レンズ426を駆動するためのレンズ駆動系427、対物レンズ428、対物レンズ428を駆動するための対物レンズ駆動系429、光軸補正素子431、1/4波長板432、第1の1/2波長板433、第2の1/2波長板434、偏光選択反射ミラー435、フォトディテクタ442を有している。尚、本実施の形態における選択光学素子430は、第1の1/2波長板433、第2の1/2波長板434、偏光選択反射ミラー435により構成されている。
【0109】
DVD、CD用レーザ光源421は、λ2の波長である645〜675nm、特に660nm及びλ3の波長である770〜800nm、特に785nmの2波長のレーザ光を発するものである。
【0110】
BD用レーザ光源422は、波長がλ1の波長である390〜420nm、特に405nmの波長のレーザ光を発するものである。
【0111】
合波プリズム423は、DVD、CD用レーザ光源421から発せられた波長λ2及びλ3のレーザ光と、BD用レーザ光源422から発せられた波長λ1のレーザ光とを合波するものである。
【0112】
偏光ビームスプリッタ424は、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光は偏光ビームスプリッタ424を透過させることができ、後述する多層光ディスク410からの反射光は略直角に反射させることができるように構成されている。
【0113】
レンズ426は、球面収差を補正するためのものであり、レンズ駆動系427により位置調節がなされる。
【0114】
対物レンズ428は、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光を多層光ディスク410において集光させるためのものである。また、対物レンズ駆動系429は、フォーカシングアクチュエータとトラッキングアクチュエータを含んでいる。フォーカシングアクチュエータは、対物レンズ428の光軸方向であるフォーカシング方向に対物レンズ428を微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク410における第1の記録層における対物レンズ428のレンズ位置と、第2の記録層における対物レンズ428のレンズ位置とを調節するものである。また、トラッキングアクチュエータは、対物レンズ428をトラッキング方向に微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク410のトラッキング位置を調整するためのものである。
【0115】
選択光学素子430は、後述するように多層光ディスク10における第1の記録層又は第2の記録層からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する機能を有するものである。
【0116】
光軸補正素子431は、図13に示すように、DVD、CD及びBDに対応した光、即ち、λ1、λ2、λ3の波長の光の光軸を補正して、フォトディテクタ442に入射させるためのものである。このため、光軸補正素子431には回折格子等が形成されている。図13に示す光軸補正素子431では、BD及びCD用の波長の光は直進し、DVD用の波長の光は回折されて、同じフォトディテクタ442に入射する。
【0117】
このような光ピックアップ装置420において、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422より発せられた光束は、合波プリズム423において合波された後、偏光ビームスプリッタ424に入射する。偏光ビームスプリッタ424では、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光(+X方向に進む光)はそのまま透過するため、1/4波長板425、レンズ426を介し、対物レンズ428により、多層光ディスク410の第1の記録層又は第2の記録層のどちらか一方に集光される。
【0118】
集光された光は多層光ディスク410において反射され、対物レンズ428、レンズ426及び1/4波長板425を介した後、偏光ビームスプリッタ424に入射する。偏光ビームスプリッタ424では、多層光ディスク410からの反射光(−X方向に進む光)は、略垂直方向(−Z方向)に反射され、光軸補正素子431を介し、1/4波長板432により円偏光となり、選択光学素子430に入射する。
【0119】
選択光学素子430は、第1の実施の形態における選択光学素子30と同様のものであり、多層光ディスク410における第1の記録層又は第2の記録層からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する。これにより、読み取る対象となる記録層からの反射光の光のみをフォトディテクタ442により検出することができる。尚、本実施の形態においては、多層光ディスク410について詳しく説明したが、本実施の形態における光ピックアップ装置は、BD及びDVD以外のCDについて適用することが可能である。また、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422に代えてこれら3波長の光を発する3波長のレーザ光源を用いることも可能である。また、選択光学素子430は、第2から第4の実施の形態についても同様に用いることが可能である。
【0120】
上記のような構成とすることで、3波長であっても、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することができる。また、迷光を効果的に防止することができる。
【0121】
尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0122】
10 多層光ディスク
20 光ピックアップ装置
21 光源ユニット
22 カップリングレンズ
23 偏光ビームスプリッタ
24 1/4波長板
25 対物レンズ
26 対物レンズ駆動系
30 選択光学素子
31 レンズ
32 1/4波長板
33 第1の1/2波長板
34 第2の1/2波長板
35 偏光選択反射ミラー
42 フォトディテクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択光学素子及び光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽、映画、写真及びコンピュータソフト等の情報を記録するための媒体としての光ディスクにおいては、代表的な規格として、BD(blu−ray disc)、DVD(digital versatile disc)、CD(compact−disc)が存在している。
【0003】
光ディスクは記録される情報量が増加する傾向にあり、この情報量の増加に対応するため記録層を多層化した多層光ディスクが採用されており、この多層光ディスクにおいて情報を記録または再生を行うために光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置が用いられている。
【0004】
多層光ディスクは、各々の記録層と記録層の間隔、即ち、記録層間の間隔が広いと、球面収差の影響により読み取る記録層からの信号が劣化するおそれがあることから、記録層間の間隔はできるだけ狭く形成されている。一方、記録層間の間隔を狭くした場合、多層化された記録層により生じる層間クロストークにより、多層光ディスクからの反射光の光束には、読み取る記録層における反射光(信号光)のみならず。読み取る記録層以外の記録層からの反射光(迷光)も多く含まれてしまい再生信号のS/N比を低下させるおそれがあった。
【0005】
このため、多層光ディスクを再生する際に層間クロストークを低減させた抽出光学系及び光ピックアップ装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、近年フォトニック結晶を用いた光ヘッド装置の検討が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1等に開示されている光ピックアップ装置における偏光抽出素子としては、回折型偏光子、吸収型偏光子等が挙げられる。しかしながら、回折型偏光子ではフォトディテクタと偏光子間の距離を大きくする必要があり大型化してしまい、また、吸収型偏光子では熱による温度上昇が再生信号の品質を低下させてしまう。
【0009】
このため、多層光ディスクを再生するための光ピックアップ装置及び光ディスク装置は、普及に伴い低価格で小型化されたものが望まれている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、一方の領域には、第1の1/2波長板が設けられており、他方の領域には、第2の1/2波長板が設けられており、前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記信号光成分の光束のうち、前記第1の1/2波長板を透過した光束は、前記第2の1/2波長板を透過するものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、一方の領域には、第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が設けられており、前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記信号光成分の光束は、前記第1の1/2波長板又は前記第2の1/2波長板のいずれか一方を透過するものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記偏光選択反射ミラーはコレステリック相液晶であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記集光光学系と前記偏光光学素子との間には1/4波長板が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記偏光選択反射ミラーにおいて、no=コレステリック相液晶の常光屈折率、ne=コレステリック相液晶の異常光屈折率、P=コレステリック相液晶の螺旋ピッチとし、
中心波長λc={(no+ne)/2}×P
波長帯域幅Δλ=(no−ne)×P
とした場合に、
前記光束における波長λは、
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)
であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記波長λは、390nm〜420nmであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、光源と、前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる前記記載の選択光学素子と、前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、光源と、前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる前記記載の選択光学素子と、前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、を有し、前記選択光学素子における分割面は、前記光ディスクのトラッキング方向に延びているものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記光源と前記対物レンズとの間に、前記光源から前記対物レンズを介し前記光ディスクに向かう光束と、前記光ディスクにおいて反射した光束とを分離するためのビームスプリッタを有し、前記ビームスプリッタにより分離された前記光ディスクにおいて反射した光束を前記選択光学素子に入射させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記光源は、390nm〜420nmの波長の光を発するものであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記光源は、少なくとも645〜675nmまたは770〜800nmの波長の光を発するものをさらに含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、前記光源は、390nm〜420nm、645〜675nm及び770〜800nmの3波長の光を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することができる。また、迷光を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】多層光ディスクの断面概要図
【図2】第1の実施の形態に係る光ピックアップ装置の構造図
【図3】第1の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図4】第1の記録層の情報を再生する際の選択光学素子における光路図
【図5】第2の記録層の情報を再生する際の選択光学素子における光路図
【図6】偏光選択反射ミラーにおける右円偏光及び左円偏光の透過スペクトル
【図7】2波長に対して作用する偏光選択反射ミラーにおける透過スペクトル
【図8】コレステリック相液晶における選択反射中心波長λcと入射角度との相関図
【図9】第2の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図10】第3の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図11】第4の実施の形態に係る選択光学素子の構造図
【図12】第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置の構造図
【図13】光軸補正素子の構造図
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における選択光学素子及び光ピックアップ装置を用いた光ディスク装置において記録または再生が行われる多層光ディスクについて説明する。
【0030】
図1に、多層光ディスクの一例として片面2層光ディスクの構造を示す。この多層光ディスク10は、レーザ光の入射側から順に、基板11、第1記録層12、中間層13、第2記録層14、背面基板15が積層された構造のものである。また、第1記録層12と中間層13との間には、金または誘電体等により形成された半透明膜16が設けられており、第2記録層14と背面基板15との間には、アルミニウム等により形成された反射膜17が設けられている。中間層13は、情報の記録や再生において用いられる光に対し透過率が高く、基板11の屈折率に近い屈折率を有している紫外線硬化型の樹脂材料が用いられている。
【0031】
尚、第1の記録層12及び第2の記録層14には、スパイラル状又は同心円状の案内用の溝を有するトラックが各々形成されている。多層光ディスク10は、第1記録層12が第2記録層14よりも光源に近くなるように設置されており、光源から照射された光束は、第1記録層12において一部反射されるが、第1記録層12により反射されなかった光束は、第1記録層12を透過し第2記録層14において反射される。
【0032】
図2に、本実施の形態における光ピックアップ装置を示す。本実施の形態における光ピックアップ装置20は、光源ユニット21、カップリングレンズ22、偏光ビームスプリッタ23、1/4波長板24、対物レンズ25、対物レンズ25を駆動するための対物レンズ駆動系26、レンズ31、1/4波長板32、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35、フォトディテクタ42を有している。尚、本実施の形態における選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35により構成されている。
【0033】
光源ユニット21は、多層光ディスク10に対応した波長の光を発光するレーザ光源を有しており、波長が390〜420nm、特に405nmのレーザ光を発する。
【0034】
カップリングレンズ22は、光源ユニット21より発せられた光束を略平行光とするものである。
【0035】
偏光ビームスプリッタ23は、光源ユニット21からの光は偏光ビームスプリッタ23を透過させることができ、後述する多層光ディスク10からの反射光は略直角に反射させることができるように構成されている。
【0036】
対物レンズ駆動系26は、フォーカシングアクチュエータとトラッキングアクチュエータを含んでいる。フォーカシングアクチュエータは、対物レンズ25の光軸方向であるフォーカシング方向に対物レンズ25を微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク10における第1の記録層12における対物レンズ25のレンズ位置と、第2の記録層14における対物レンズ25のレンズ位置とを調節するものである。また、トラッキングアクチュエータは、対物レンズ25をトラッキング方向に微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク10のトラッキング位置を調整するためのものである。
【0037】
選択光学素子30は、後述するように多層光ディスク10における第1の記録層12又は第2の記録層14からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する機能を有するものである。
【0038】
このような光ピックアップ装置20において、光源ユニット21より発せられた光束は、カップリングレンズ22を介し偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23では、光源ユニット21からの光(+X方向に進む光)はそのまま透過するため、1/4波長板24を介し、対物レンズ25により、多層光ディスク10の第1の記録層12又は第2の記録層14のどちらか一方に集光される。
【0039】
集光された光は多層光ディスク10において反射され、対物レンズ25及び1/4波長板24を介した後、偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23では、多層光ディスク10からの反射光(−X方向に進む光)は、略垂直方向(−Z方向)に反射され、レンズ31を介し、1/4波長板32により円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0040】
図3に基づき選択光学素子30について説明する。本実施の形態における選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34、偏光選択反射ミラー35により構成されている。
【0041】
選択光学素子30は、第1の1/2波長板33、第2の1/2波長板34及び偏光選択反射ミラー35について樹脂材料等により一体化して形成することが好ましい。また、この際に用いられる樹脂材料等の屈折率は、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の屈折率に近い値であることが好ましく、同じ値であることがさらに好ましい。
【0042】
樹脂材料等の屈折率の値と第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の屈折率の値との差が大きいと、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34に起因した回折光が生じる場合があり、これを防止することが好ましいからである。
【0043】
更に、選択光学素子30に1/4波長板32を貼り合わせることにより一体化して形成することも可能である。一体化して形成することにより、選択光学素子30と1/4波長板32とにおける位置合せを行うことなく、光ピックアップ装置の組立を行なうことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0044】
本実施の形態における選択光学素子30は、図3に記載されているとおり、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第1の領域R1には、第1の1/2波長板33が設けられており、第2の領域R2には第2の1/2波長板34が設けられている。第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34は、ともに入射する光軸を含む面により切断されおり補完的な形状、即ち、光軸に沿った方向において、第1の1/2波長板33が形成されていない領域に、第2の1/2波長板34が形成されている形状で構成されている。また、対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34との間の領域となるように各々配置されている。
【0045】
この選択光学素子30に入射する光束は、多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子30において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0046】
具体的には、選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過するが、右円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板32を介し左円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34をいずれも通過しない光、または、第1の1/2波長板33及び第2の1/2波長板34の双方を通過する光は、ともに左円偏光の光であることから、選択光学素子30を透過する。一方、第1の1/2波長板33または第2の1/2波長板34のどちらか一方しか通過しない光は、右円偏光の光となるため選択光学素子30における選択反射ミラー35により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、左円偏光の光のみ分離することができる。
【0047】
〔多層光ディスクの再生〕
次に、多層光ディスク10に記録されている情報を再生する場合について説明する。
【0048】
図2及び図4に基づき、多層光ディスク10における第1の記録層12に記録されている情報を再生する場合について説明する。多層光ディスク10の第1の記録層12に記録されている情報の再生等を行う場合には、光源ユニット21から発生された光は対物レンズ25により多層光ディスク10の第1の記録層12に集光される。多層光ディスク10では、第1の記録層12で光束の一部を反射し、残りの一部は透過し第2の記録層14において反射する。この第1の記録層12及び第2の記録層14において反射した光は、対物レンズ25、1/4波長板24及び偏光ビームスプリッタ23を介し、レンズ31により集光され、1/4波長板32により左円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0049】
この際、信号光となる第1の記録層12において反射した光の焦点位置は、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34の間の領域における光軸上となる。
【0050】
一方、迷光となる第2の記録層14において反射した光の焦点位置は、第1の記録層12において反射した光よりも光路が長くなるため、第1の1/2波長板33の手前、即ち、1/4波長板32と第1の1/2波長板33との間の領域となる。
【0051】
信号光となる第1の記録層12により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光K1は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過することなくそのまま直進する。従って、左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光K2は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過する。即ち、左円偏光の状態から第1の1/2波長板33を通過することにより右円偏光となり、この後、第2の1/2波長板34を通過することにより左円偏光へと戻る。これにより、信号光となる光K1及びK2は、ともに左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0052】
一方、迷光となる第2の記録層14により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光M1は、第1の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光M2は、第2の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。これにより、迷光となる光M1及びM2は、右円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0053】
偏光選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過し、右円偏光の光は反射する特性を有しており、第1の記録層12において反射された信号光となる光K1及びK2は、左円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35を透過し、フォトディテクタ42に入射し電気信号に変換される。一方、第2の記録層14において反射された迷光となる光M1及びM2は、右円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35により反射され透過することはない。
【0054】
よって、フォトディテクタ42へは、第1の記録層12において反射した反射光のみが入射し、電気信号へと変換されるため、第1の記録層12に記録されていた情報のみを再生することができる。
【0055】
次に、図2及び図5に基づき、多層光ディスク10における第2の記録層14に記録されている情報を再生する場合について説明する。多層光ディスク10の第2の記録層14に記録されている情報の再生等を行う場合には、光源ユニット21から発生された光は対物レンズ25により多層光ディスク10の第2の記録層14に集光される。多層光ディスク10では、第1の記録層12で光束の一部を反射し、残りの一部は透過し第2の記録層14において反射する。この第1の記録層12及び第2の記録層14において反射した光は、対物レンズ25、1/4波長板24及び偏光ビームスプリッタ23を介し、レンズ31により集光され、1/4波長板により左円偏光となり、選択光学素子30に入射する。
【0056】
この際、信号光となる第2の記録層14において反射した光の焦点位置は、第1の1/2波長板33と第2の1/2波長板34の間の領域における光軸上となる。
【0057】
一方、迷光となる第1の記録層12において反射した光の焦点位置は、第2の記録層14において反射した光よりも光路が短くなるため、第2の1/2波長板34よりも遠方の領域となる。(図面では焦点は遠方であるため記載されていない)
信号光となる第2の記録層14により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光K3は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過することなくそのまま直進する。従って、左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。また、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光K4は、第1の1/2波長板33及び第2の波長板34を通過する。即ち、左円偏光の状態から第1の1/2波長板33を通過することにより右円偏光となり、この後、第2の1/2波長板34を通過することにより左円偏光へと戻る。これにより、信号光となる光K3及びK4は、ともに左円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0058】
一方、迷光となる第1の記録層12により反射した光のうち、図面上、光軸より上方向から入射する左円偏光の光M3は、第2の波長板34を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。一方、図面上、光軸より下方向から入射する左円偏光の光M4は、第1の波長板33を通過し、左円偏光の状態から右円偏光となる。これにより、迷光となる光M3及びM4は、右円偏光の状態で偏光選択反射ミラー35に入射する。
【0059】
偏光選択反射ミラー35は、左円偏光の光は透過し、右円偏光の光は反射する特性を有しており、第2の記録層14において反射された信号光となる光K3及びK4は、左円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35を透過し、検出レンズ41を介しフォトディテクタ42に入射し電気信号に変換される。一方、第1の記録層12において反射された迷光となる光M3及びM4は、右円偏光の状態で入射するため偏光選択反射ミラー35により反射され透過することはない。
【0060】
よって、フォトディテクタ42へは、第2の記録層14において反射した反射光の光のみが入射し、電気信号へと変換されるため、信号光である第2の記録層14に記録されていた情報のみを再生することができる。
【0061】
〔偏光選択反射ミラー〕
次に、偏光選択反射ミラー35について説明する。本実施の形態において用いられる偏光選択反射ミラー35は、コレステリック相液晶により構成されていることが好ましい。コレステリック相液晶としては、コレステリック相液晶またはカイラル剤が添加されたネマティック相液晶を用いることができる。液晶を固体化すると、温度依存性を低減できるだけでなく、液晶の漏洩を防止するためのシール構造が不要となるため、重合性液晶組成物を重合・固体化した高分子コレステリック相液晶を用いることが好ましい。
【0062】
高分子コレステリック相液晶は、少なくとも一方が重合性を有するネマティック相液晶とカイラル剤とを含む重合性液晶組成物を紫外線照射、加熱等により重合・固体化することにより得られる。
【0063】
コレステリック相液晶は、螺旋ねじれを有し、螺旋ピッチPが入射光の波長λと略等しい場合、螺旋軸方向から入射し螺旋ねじれ方向と同一方向に回転する円偏光を反射し、逆方向に回転する円偏光を透過する。尚、反射する円偏光の中心波長λc及び帯域幅Δλは数1に記載した式により得られる。
【0064】
【数1】
即ち、コレステリック相液晶は、液晶の螺旋ねじれ方向と同一方向に回転する波長λの円偏光に対して以下の性質を有するものである。
【0065】
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)の反射波長帯域内の円偏光を反射する。
【0066】
λ≦(λc−Δλ/2)、または、(λc+Δλ/2)≦の反射波長帯域外の円偏光を透過する。
【0067】
また、コレステリック相液晶は、液晶の螺旋ねじれ方向と逆方向に回転する円偏光に対しては、入射光の波長にかかわらず透過性媒体として機能し、その屈折率は液晶の常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率の平均値に略等しい。
【0068】
次に、偏光選択反射ミラー35としてのコレステリック相液晶の製造方法について説明する。
【0069】
最初に、2枚の透明基板をそれぞれ一方の面に塗布したポリイミド膜を焼成し、ラビング等の配向処理を施して配向膜を形成する。
【0070】
次に、配向膜を内側にして4.0μmの間隔を隔てて対向させた2枚の透明基板の間に重合性液晶組成物を注入する。
【0071】
次に、重合性液晶組成物に紫外線を照射することにより、重合・固体化させてコレステリック相液晶を作成する。例えば、常光屈折率no=1.48、異常光屈折率ne=1.75の重合性ネマティック相液晶に、右回りの重合性カイラル剤を所定の螺旋ピッチPとなるよう添加し、右回り円偏光(右円偏光)の光を反射する所定の高分子コレステリック相液晶層を得ることができる。
【0072】
このようにして作製された偏光選択反射ミラー35は、所定の波長帯域の光のうち、右円偏光の光のみを反射し、左回りの円偏光(左円偏光)の光を透過する。また、所定の波長帯域以外の光は、偏光状態に依存することなくすべて透過する。
【0073】
尚、高分子コレステリック相液晶層の厚さは、螺旋ピッチの5倍程度とすれば波長選択性を呈するようになるが、実際には螺旋ピッチの10倍以上であることが重要であり、より反射率を大きくするためには、螺旋ピッチの20倍以上とすることが好ましい。
【0074】
但し、高分子コレステリック相液晶層の厚さは、50μmを超えると液晶層にドメインが生じて配向が乱れるおそれがあるので、50μm以下等することが重要であり、製造上の観点からは、製造が容易な30μm以下とすることが好ましい。
【0075】
以上説明したように、上記構成の偏光選択反射ミラー35は、コレステリック相液晶の常光屈折率、異常光屈折率及び螺旋ピッチに基づいて定まる波長の円偏光のうち、コレステリック相液晶の螺旋ピッチと同一方向に回転する円偏光の光を反射させ、反対方向に回転する円偏光の光を透過させることが可能となる。
【0076】
図6に、上記製造方法により製造された偏光選択反射ミラー35の透過スペクトルを示す。図に示されるように、右円偏光の光は、波長λが390〜420nmにおいて、透過することなく反射する。
【0077】
本実施の形態によれば、偏光選択反射ミラー35を容易なプロセスにより作製することが可能であり、選択光学素子及び光ピックアップ装置の低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態において用いられる偏光選択反射ミラー35は、光を反射するものであることから、光吸収による温度上昇がなく、また、選択光学素子30の出射側に迷光が漏れることはない。このため、選択光学素子30は、フォトディテクタ42の近傍に配置することが可能となる。
【0078】
次に、BD、DVD及びCDに対応した選択光学素子について説明する。表1にBD、DVD及びCDに使用される光源からの出射波長における偏光選択反射ミラー35の透過率を示す。
【0079】
【表1】
上記説明においては、選択光学素子30は、BD波長405nmに対するクロストーク対策を行なう機能を有するものであるが、DVD波長660nm及びCD波長780nmに対しては透過素子としての機能を有している。よって、BD波長の光に対してのみクロストーク対策が必要となる多波長共通光路においても用いることが可能である。
【0080】
また、偏光選択反射ミラー35は、反射波長帯の異なる2以上のコレステリック相液晶層を積層したものであってもよい。例えば、第1の波長λ1として、390nm<λ1<420nmとなるコレステリック相液晶層と、第2の波長λ2として、645nm<λ2<675nmとなるコレステリック相液晶層とを積層することにより、BD波長及びDVD波長における双方の光について、2つの波長帯の光に対応した偏光選択反射ミラーとしての機能を有することができる。
【0081】
図7に、このような2つの波長帯の光に対応した偏光選択反射ミラーにおける右円偏光及び左円偏光の透過スペクトルの一例を示す。図に示されるように、右円偏光の光は、390nm〜420nm及び645nm〜675nmにおいて、透過することなく反射する。尚、第1の波長λ1及び第2の波長λ2は、表1に示される波長帯に限定されるものではなく、更に、反射帯波長が異なる3つ以上の3層のコレステリック相液晶層を積層したものであってもよい。
【0082】
また、偏光選択反射ミラー35として、前述の螺旋ピッチ長Pを厚さ方向で連続的に変化させ反射帯波長そのものの存在分布を形成したコレステリック相液晶層を用いてもよい。これにより、広帯域の円偏光選択反射ミラーを得ることができる。螺旋ピッチ長Pを厚さ方向で連続的に変化させる方法としては、コレステリック相液晶の組成物を紫外線露光により硬化させる際に、露光面側と出射面側の露光強度に差をもたせ、重合速度に差を付けることにより、反応速度の異なる液晶組成物について厚さ方向において組成傾斜を有するものとすることができる。
【0083】
反射帯波長を広帯域化することにより、偏光選択反射ミラー35における入射角度依存性を向上させることができる。偏光選択反射ミラー35に垂直な入射角度を0°とした場合、斜入射となり入射角度θが増加するに従い、前述の選択反射中心波長λcが短波長側にシフトすることが知られている。
【0084】
図8に、重合性ネマティック相液晶の常光屈折率no=1.48、異常光屈折率ne=1.75として、光の入射角度と選択反射中心波長λcとの関係を示す。許容される入射角度θは、選択反射帯Δλが30nmのとき、0°<|θ|<25°であるのに対し、選択反射帯Δλが50nmのときは0°<|θ|<34°となる。本実施の形態における選択光学素子30においては、光の入射角度と選択反射中心波長λcとの関係は重要である。
【0085】
反射帯波長の広帯域化は、反射帯波長が異なる2つ以上のコレステリック相液晶層を積層することによっても可能である。例えば、選択反射帯Δλが30nmである場合、波長λaが380nm<λa<410nmとなる光を反射するコレステリック相液晶層と、波長λbが400nm<λb<430nmとなる光を反射するコレステリック相液晶層とを積層することにより、380nm〜430nmの範囲の光を反射する偏光選択反射ミラーを形成することができる。
【0086】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、同一の領域に第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が配置したものである。
【0087】
図9に基づき選択光学素子130について説明する。本実施の形態における選択光学素子130は、第1の1/2波長板133、第2の1/2波長板134、偏光選択反射ミラー135により構成されている。
【0088】
本実施の形態における選択光学素子130は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第2の領域R2には、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134が設けられており、第1の領域R1には第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134が形成されていないものである。第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134は、ともに入射する光軸を含む面により切断されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板133と第2の1/2波長板134との間の領域となるように各々配置されている。
【0089】
この選択光学素子130に入射する光束は、図1に示す多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子130において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0090】
具体的には、選択反射ミラー135は、左円偏光の光は透過するが、右円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板132を介し右円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板133または第2の1/2波長板134のどちらか一方しか通過しない光は、左円偏光の光であることから、選択光学素子130を透過する。一方、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134のいずれをも通過しない光、または、第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134の双方を通過する光は、ともに右円偏光の光であることから、選択光学素子130により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる左円偏光の光のみ分離することができる。
【0091】
尚、上記のように第2の領域R2に第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134に配置する構成ではなく、第1の領域R1に第1の1/2波長板133及び第2の1/2波長板134を配置した構成であっても同様の効果を得ることができる。
【0092】
このように本実施の形態における選択光学素子130により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0093】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、選択反射ミラーが、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有するものである。
【0094】
図10に基づき選択光学素子230について説明する。本実施の形態における選択光学素子230は、第1の1/2波長板233、第2の1/2波長板234、偏光選択反射ミラー235により構成されている。
【0095】
本実施の形態における選択光学素子230は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第1の領域R1には、第1の1/2波長板233が設けられており、第2の領域R2には第2の1/2波長板234が設けられている。第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234は、ともに入射する光軸を含む面により切断されおり補完的な形状で構成されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板233と第2の1/2波長板234との間の領域となるように各々配置されている。
【0096】
この選択光学素子230に入射する光束は、多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子230において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0097】
具体的には、選択反射ミラー235は、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板232を介し右円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234をいずれも通過しない光、または、第1の1/2波長板233及び第2の1/2波長板234の双方を通過する光は、ともに右円偏光の光であることから、選択光学素子230を透過する。一方、第1の1/2波長板233または第2の1/2波長板234のどちらか一方しか通過しない光は、左円偏光の光となるため選択光学素子230により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる右円偏光の光のみ分離することができる。尚、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有する選択反射ミラーは、第1の実施の形態とは異なる方法により作製することが可能である。
【0098】
このように、本実施の形態における選択光学素子230により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0099】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における選択光学素子は、同一の領域に第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が配置したものであって、選択反射ミラーが、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有するものである。
【0100】
図11に基づき選択光学素子330について説明する。本実施の形態における選択光学素子330は、第1の1/2波長板333、第2の1/2波長板334、偏光選択反射ミラー335により構成されている。
【0101】
本実施の形態における選択光学素子330は、入射する光束の光軸を含む面により第1の領域R1と第2の領域R2に分けられており、第2の領域R2には、第1の3/2波長板133及び第2の1/2波長板334が設けられており、第1の領域R1には第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334が形成されていないものである。第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334は、ともに入射する光軸を含む面により切断されている。また、図1に示す対物レンズ25の焦点位置で反射した光束の焦点位置が、第1の1/2波長板333と第2の1/2波長板334との間の領域となるように各々配置されている。
【0102】
この選択光学素子330に入射する光束は、図1に示す多層光ディスク10からの反射光であり、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光を含んでいるため、選択光学素子330において、第1の記録層12における反射光と第2の記録層14における反射光とを分離する。
【0103】
具体的には、選択反射ミラー335は、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有している。即ち、1/4波長板332を介し左円偏光となった光のうち、第1の1/2波長板333または第2の1/2波長板334のどちらか一方しか通過しない光は、右円偏光の光であることから、選択光学素子130を透過する。一方、第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334のいずれをも通過しない光、または、第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334の双方を通過する光は、ともに左円偏光の光であることから、選択光学素子330により反射され、透過することができないのである。これにより、多層光ディスク10からの反射光のうち、信号光となる右円偏光の光のみ分離することができる。
【0104】
尚、上記のように第1の領域R1に第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334に配置するのではなく、第2の領域R2に第1の1/2波長板333及び第2の1/2波長板334を配置した構成であっても同様の効果を得ることができる。又、右円偏光の光は透過するが、左円偏光の光は透過することなく反射する機能を有する選択反射ミラーは、第1の実施の形態とは異なる方法により作製することが可能である。
【0105】
このように、本実施の形態における選択光学素子330により信号光のみを分離することができる。上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、BD、DVD、CDに用いられる3波長の光に対応した光ピックアップ装置である。具体的には、390nm〜420nm、645nm〜675nm及び770nm〜800nmの波長の光に対応した光ピックアップ装置である。
【0107】
図12に基づき本実施の形態における光ピックアップ装置につて説明する。本実施の形態において用いられるレーザ光は、波長λ1、λ2、λ3の光であり、各々390nm<λ1<420nm、645nm<λ2<675nm、770nm<λ3<800nmである。
【0108】
本実施の形態における光ピックアップ装置420は、多層光ディスク410の記録再生を行うものであり、DVD、CD用レーザ光源421、BD用レーザ光源422、合波プリズム423、偏光ビームスプリッタ424、1/4波長板425、レンズ426、レンズ426を駆動するためのレンズ駆動系427、対物レンズ428、対物レンズ428を駆動するための対物レンズ駆動系429、光軸補正素子431、1/4波長板432、第1の1/2波長板433、第2の1/2波長板434、偏光選択反射ミラー435、フォトディテクタ442を有している。尚、本実施の形態における選択光学素子430は、第1の1/2波長板433、第2の1/2波長板434、偏光選択反射ミラー435により構成されている。
【0109】
DVD、CD用レーザ光源421は、λ2の波長である645〜675nm、特に660nm及びλ3の波長である770〜800nm、特に785nmの2波長のレーザ光を発するものである。
【0110】
BD用レーザ光源422は、波長がλ1の波長である390〜420nm、特に405nmの波長のレーザ光を発するものである。
【0111】
合波プリズム423は、DVD、CD用レーザ光源421から発せられた波長λ2及びλ3のレーザ光と、BD用レーザ光源422から発せられた波長λ1のレーザ光とを合波するものである。
【0112】
偏光ビームスプリッタ424は、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光は偏光ビームスプリッタ424を透過させることができ、後述する多層光ディスク410からの反射光は略直角に反射させることができるように構成されている。
【0113】
レンズ426は、球面収差を補正するためのものであり、レンズ駆動系427により位置調節がなされる。
【0114】
対物レンズ428は、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光を多層光ディスク410において集光させるためのものである。また、対物レンズ駆動系429は、フォーカシングアクチュエータとトラッキングアクチュエータを含んでいる。フォーカシングアクチュエータは、対物レンズ428の光軸方向であるフォーカシング方向に対物レンズ428を微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク410における第1の記録層における対物レンズ428のレンズ位置と、第2の記録層における対物レンズ428のレンズ位置とを調節するものである。また、トラッキングアクチュエータは、対物レンズ428をトラッキング方向に微小駆動させるためのものであり、多層光ディスク410のトラッキング位置を調整するためのものである。
【0115】
選択光学素子430は、後述するように多層光ディスク10における第1の記録層又は第2の記録層からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する機能を有するものである。
【0116】
光軸補正素子431は、図13に示すように、DVD、CD及びBDに対応した光、即ち、λ1、λ2、λ3の波長の光の光軸を補正して、フォトディテクタ442に入射させるためのものである。このため、光軸補正素子431には回折格子等が形成されている。図13に示す光軸補正素子431では、BD及びCD用の波長の光は直進し、DVD用の波長の光は回折されて、同じフォトディテクタ442に入射する。
【0117】
このような光ピックアップ装置420において、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422より発せられた光束は、合波プリズム423において合波された後、偏光ビームスプリッタ424に入射する。偏光ビームスプリッタ424では、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422からの光(+X方向に進む光)はそのまま透過するため、1/4波長板425、レンズ426を介し、対物レンズ428により、多層光ディスク410の第1の記録層又は第2の記録層のどちらか一方に集光される。
【0118】
集光された光は多層光ディスク410において反射され、対物レンズ428、レンズ426及び1/4波長板425を介した後、偏光ビームスプリッタ424に入射する。偏光ビームスプリッタ424では、多層光ディスク410からの反射光(−X方向に進む光)は、略垂直方向(−Z方向)に反射され、光軸補正素子431を介し、1/4波長板432により円偏光となり、選択光学素子430に入射する。
【0119】
選択光学素子430は、第1の実施の形態における選択光学素子30と同様のものであり、多層光ディスク410における第1の記録層又は第2の記録層からの反射光のうち、読み取る対象となる記録層からの反射光の光を透過し、それ以外の反射光の光は反射する。これにより、読み取る対象となる記録層からの反射光の光のみをフォトディテクタ442により検出することができる。尚、本実施の形態においては、多層光ディスク410について詳しく説明したが、本実施の形態における光ピックアップ装置は、BD及びDVD以外のCDについて適用することが可能である。また、DVD、CD用レーザ光源421及びBD用レーザ光源422に代えてこれら3波長の光を発する3波長のレーザ光源を用いることも可能である。また、選択光学素子430は、第2から第4の実施の形態についても同様に用いることが可能である。
【0120】
上記のような構成とすることで、3波長であっても、低価格で小型化可能な光ディスク装置等に用いられる選択光学素子及び光ピックアップ装置を提供することができる。また、迷光を効果的に防止することができる。
【0121】
尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0122】
10 多層光ディスク
20 光ピックアップ装置
21 光源ユニット
22 カップリングレンズ
23 偏光ビームスプリッタ
24 1/4波長板
25 対物レンズ
26 対物レンズ駆動系
30 選択光学素子
31 レンズ
32 1/4波長板
33 第1の1/2波長板
34 第2の1/2波長板
35 偏光選択反射ミラー
42 フォトディテクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、
前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、
を有することを特徴とする選択光学素子。
【請求項2】
前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、
一方の領域には、第1の1/2波長板が設けられており、他方の領域には、第2の1/2波長板が設けられており、
前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、
前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする請求項1に記載の選択光学素子。
【請求項3】
前記信号光成分の光束のうち、前記第1の1/2波長板を透過した光束は、前記第2の1/2波長板を透過するものであることを特徴とする請求項2に記載の選択光学素子。
【請求項4】
前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、
一方の領域には、第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が設けられており、
前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、
前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする請求項1に記載の選択光学素子。
【請求項5】
前記信号光成分の光束は、前記第1の1/2波長板又は前記第2の1/2波長板のいずれか一方を透過するものであることを特徴とする請求項4に記載の選択光学素子。
【請求項6】
前記偏光選択反射ミラーはコレステリック相液晶であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の選択光学素子。
【請求項7】
前記集光光学系と前記偏光光学素子との間には1/4波長板が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の選択光学素子。
【請求項8】
前記偏光選択反射ミラーにおいて、no=コレステリック相液晶の常光屈折率、ne=コレステリック相液晶の異常光屈折率、P=コレステリック相液晶の螺旋ピッチとし、
中心波長λc={(no+ne)/2}×P
波長帯域幅Δλ=(no−ne)×P
とした場合に、
前記光束における波長λは、
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)
であることを特徴とする請求項7に記載の選択光学素子。
【請求項9】
前記波長λは、390nm〜420nmであることを特徴とする請求項8に記載の選択光学素子。
【請求項10】
複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる請求項1から9のいずれかに記載の選択光学素子と、
前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、
を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる請求項2から9のいずれかに記載の選択光学素子と、
前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、
を有し、前記選択光学素子における分割面は、前記光ディスクのトラッキング方向に延びているものであることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記光源と前記対物レンズとの間に、前記光源から前記対物レンズを介し前記光ディスクに向かう光束と、前記光ディスクにおいて反射した光束とを分離するためのビームスプリッタを有し、
前記ビームスプリッタにより分離された前記光ディスクにおいて反射した光束を前記選択光学素子に入射させることを特徴とする請求項10または11に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
前記光源は、390nm〜420nmの波長の光を発するものであることを特徴とする請求項10から12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項14】
前記光源は、少なくとも645〜675nmまたは770〜800nmの波長の光を発するものをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
【請求項15】
前記光源は、390nm〜420nm、645〜675nm及び770〜800nmの3波長の光を発することを特徴とする請求項10から12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項1】
信号光成分と迷光成分とが混在する光束を集光する集光光学素子からの光束を前記信号光成分の偏光状態と前記迷光成分の偏光状態とを互いに異なる偏光状態とするための偏光光学素子と、
前記偏光光学素子からの光束について、偏光状態の違いにより前記信号光成分のみを透過し、前記迷光成分を反射する偏光選択反射ミラーと、
を有することを特徴とする選択光学素子。
【請求項2】
前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、
一方の領域には、第1の1/2波長板が設けられており、他方の領域には、第2の1/2波長板が設けられており、
前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、
前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする請求項1に記載の選択光学素子。
【請求項3】
前記信号光成分の光束のうち、前記第1の1/2波長板を透過した光束は、前記第2の1/2波長板を透過するものであることを特徴とする請求項2に記載の選択光学素子。
【請求項4】
前記偏光光学素子は、前記光束の光軸を含む分割面により2つの領域に分割されており、
一方の領域には、第1の1/2波長板及び第2の1/2波長板が設けられており、
前記信号光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記第1の1/2波長板が設置される位置と前記第2の1/2波長板が設置される位置との間の領域の前記光軸上であって、
前記迷光の前記集光光学素子による焦点位置は、前記集光光学素子が設置される位置と前記第1の1/2波長板が設置される位置との間、または、前記第2の1/2波長板が設置される位置よりも遠方の前記光軸上であることを特徴とする請求項1に記載の選択光学素子。
【請求項5】
前記信号光成分の光束は、前記第1の1/2波長板又は前記第2の1/2波長板のいずれか一方を透過するものであることを特徴とする請求項4に記載の選択光学素子。
【請求項6】
前記偏光選択反射ミラーはコレステリック相液晶であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の選択光学素子。
【請求項7】
前記集光光学系と前記偏光光学素子との間には1/4波長板が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の選択光学素子。
【請求項8】
前記偏光選択反射ミラーにおいて、no=コレステリック相液晶の常光屈折率、ne=コレステリック相液晶の異常光屈折率、P=コレステリック相液晶の螺旋ピッチとし、
中心波長λc={(no+ne)/2}×P
波長帯域幅Δλ=(no−ne)×P
とした場合に、
前記光束における波長λは、
(λc−Δλ/2)<λ<(λc+Δλ/2)
であることを特徴とする請求項7に記載の選択光学素子。
【請求項9】
前記波長λは、390nm〜420nmであることを特徴とする請求項8に記載の選択光学素子。
【請求項10】
複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる請求項1から9のいずれかに記載の選択光学素子と、
前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、
を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
複数の記録層が設けられている光ディスクに用いられる光ピックアップ装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光束を前記光ディスクの複数の記録層のうち読み取る対象となる記録層に集光するための対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光の光路に設置されており、前記読み取る対象となる記録層からの反射光を信号光とし、前記読み取る対象となる記録層以外の記録層からの反射光を迷光とし、前記信号光を透過させる請求項2から9のいずれかに記載の選択光学素子と、
前記選択光学素子を透過した信号光を受光し、前記信号光の光量に応じて電気信号を生成する受光素子と、
を有し、前記選択光学素子における分割面は、前記光ディスクのトラッキング方向に延びているものであることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記光源と前記対物レンズとの間に、前記光源から前記対物レンズを介し前記光ディスクに向かう光束と、前記光ディスクにおいて反射した光束とを分離するためのビームスプリッタを有し、
前記ビームスプリッタにより分離された前記光ディスクにおいて反射した光束を前記選択光学素子に入射させることを特徴とする請求項10または11に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
前記光源は、390nm〜420nmの波長の光を発するものであることを特徴とする請求項10から12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項14】
前記光源は、少なくとも645〜675nmまたは770〜800nmの波長の光を発するものをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
【請求項15】
前記光源は、390nm〜420nm、645〜675nm及び770〜800nmの3波長の光を発することを特徴とする請求項10から12に記載の光ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−186526(P2010−186526A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31578(P2009−31578)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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