説明

選択式情報提示装置および選択式情報提示処理プログラム

【課題】ユーザの作業や会話の支援に適した情報を提示する。
【解決手段】会議を行なっているユーザが新たな発話を行なった場合、検出部5は、発話情報の音声認識を行なって発話者、対話者、発話内容の文章などを抽出する。メタデータ生成部6は、抽出済みの発話内容の特徴を示す検出データを生成する。検索処理部7は、作成済みファイルのそれぞれのメタデータを読み出し、当該メタデータと検出データとを照合し、作成済みファイルのうち、当該ファイルの特徴情報と検出データ中の各種情報との一致割合が基準値以上である複数のファイルを提示対象のファイルとして決定する。提示処理部8は、提示対象のファイルのうち、一度に提示可能な一定数のファイルを纏めて提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業や会話を支援するための情報を提示する選択式情報提示装置および選択式情報提示処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの技術作業や会話を支援するために動的に情報を提示するシステムとしては、例えば、特許文献1に開示されるように、ユーザの動作や発話などの状態変化に応じて話題を決定するシステム、また、その話題に関連する画像や情報を順次提示していくシステムがある。これらのシステムは、ユーザが情報を求める最適なタイミングを推定し、そのタイミングに情報を提示するシステムである。
【0003】
【特許文献1】特開2008−9552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術では、情報の提示の適切なタイミングを推測することを目指していた。しかし、人間の主観的な感覚は推測することが難しく、また、少しのずれがユーザに違和感を与えるため、ユーザの作業や会話の支援に適した情報の提示方法とは言えない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザの作業や会話の支援に適した情報を提示することが可能になる選択式情報提示装置および選択式情報提示処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係わる選択式情報提示装置は、提示候補となる提示候補情報を取得する取得手段と、取得手段により取得した提示候補情報の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、生成手段により生成した特徴情報を取得した提示候補情報ごとに記憶する記憶手段と、新たな発話内容を認識する認識手段と、認識手段による認識結果および記憶手段に記憶される特徴情報をもとに、記憶手段に記憶される特徴情報に対応する提示候補情報のうち発話内容に関連する情報としての提示に適する情報を複数検索する検索手段と、検索手段により検索した情報を提示する提示手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの作業や会話の支援に適した情報を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における選択式情報提示装置は、装置全体の処理動作を司る制御部1、キーボードやマウスなどの入力装置2、ディスプレイ装置などの表示装置3、記憶装置4、検出部5、メタデータ生成部6、検索処理部7、提示処理部8およびジェスチャ認識装置9を備え、それぞれがバス10を介して相互に接続される。
【0009】
記憶装置4は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどの記憶媒体であり、検出部5、メタデータ生成部6、検索処理部7、提示処理部8およびジェスチャ認識装置9による処理動作のためのプログラムを記憶する他、メタデータ記憶部41および検出データ記憶部42を有する。
【0010】
検出部5は、ユーザに関連する情報として、当該ユーザが作成した文書情報や当該ユーザが発した発話情報などを検出する。
メタデータ生成部6は、検出部5により検出した情報の特徴を表す情報であるメタデータを生成する。
記憶装置4のメタデータ記憶部41は、メタデータ生成部6により生成したメタデータを生成元である情報ごとに記憶する。また、記憶装置4の検出データ記憶部42は、検出部5により新たに検出した発話情報および当該発話情報の特徴情報を記憶する。
【0011】
検索処理部7は、検出部5により新たに検出した発話情報についてメタデータ生成部6により生成した特徴情報およびメタデータ記憶部41に記憶される情報をもとに、新たな発話内容に関連する情報としてユーザへの提示に適する複数種類の情報を検索することでユーザへの提示情報を決定する。
【0012】
提示処理部8は、検索処理部7により決定した提示情報を、会議への参加ユーザ全員が見える位置、例えばテーブルの上や当該テーブル外の投影スクリーン上などの所定の投影箇所に投影するなどして各ユーザの目の前に順次提示し、一定数の情報が常時提示されている状態を保つ。本実施形態では、検索処理部7より検索した提示情報の個数は一度に提示可能な一定数を超えており、当該一定数の情報が提示されるとする。
【0013】
図2は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による情報入力からメタデータ生成までの処理過程の一例を示す図である。
図2に示すように、ユーザが電子メール用アプリケーションを用いて電子メールのファイルを作成した場合、検出部5は電子メール用アプリケーションを介して電子メールのファイル中の文章を取得し、宛先、タイムスタンプ、タイトルおよび本文などを抽出する。
【0014】
さらに、メタデータ生成部6は、抽出済みのタイトルや本文の形態素解析を行ない、当該タイトルや本文に含まれる単語群の種類、出現頻度、および前述した単語群から想定される情報を生成して、当該情報、宛先、タイムスタンプ、タイトルなどを作成済みの電子メールのファイルのメタデータとする。メタデータ生成部6は、生成したメタデータを作成済みのファイルと関連付けてメタデータ記憶部41に記憶する。メタデータの生成元のファイル自体は記憶装置4に記憶される。また、メタデータ生成部6による形態素解析モジュールとしては例えばJTAG2004が挙げられる。
【0015】
単語群から想定される情報とは、例えば本文で利用されている語尾や語群が敬語を多く含むことから想定される情報、例えばユーザと当該ユーザの送り先の人物との人間関係、および話題の移り変わりから想定されるユーザの興味の対象などが挙げられる。
また、図2に示すように、ユーザが資料作成アプリケーションを用いて発表用の資料のファイルを作成した場合、検出部5は、資料作成アプリケーションを介して作成資料のファイル中の文章を取得し、作成者、編集者、ファイル作成日時であるタイムスタンプ、更新日時、更新回数、ファイル形式、タイトル、本文、当該作成資料が利用された会議の名称などを抽出する。
【0016】
この場合、メタデータ生成部6は、抽出済みのタイトルや本文の形態素解析処理を行ない、当該ファイル名や本文に含まれる単語の種類と出現頻度のデータを生成して、当該データおよび前述した作成者、編集者、タイムスタンプ、更新日時、更新回数、ファイル形式、タイトルなどを作成資料のファイルのメタデータとし、当該メタデータを作成済みのファイルと関連付けてメタデータ記憶部41に記憶する。
【0017】
また、図2に示すように、ユーザが発話した場合、検出部5は、図示しないマイクロフォンを介してユーザの発話情報を取得して当該発話情報の音声ファイルの作成を開始するとともに、当該発話情報の音声認識処理を行なうことで、発話者、対話者、録音日時であるタイムスタンプ、発話箇所である会議室の名称、発話内容の文章を抽出する。
【0018】
また、検出部5は、図示しない撮影装置により撮影された映像を認識して所定半径以内に複数のユーザがいるか否かを判別することで、一つの会話や会議の区切りがなされたことが認められる場合には、音声ファイルの作成を終了する。
この場合、メタデータ生成部6は、抽出済みの発話内容の文章の形態素解析処理を行ない、発話内容に含まれる単語の種類と出現頻度のデータを生成して、これらのデータおよび前述した発話者、対話者、タイムスタンプ、会議室の名称および作成した音声ファイルのファイル名を発話情報の音声ファイルのメタデータとし、当該メタデータを作成済みのファイルと関連付けてメタデータ記憶部41に記憶する。
【0019】
図3は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第1の構成例を表形式で示す図である。図4は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第2の構成例を表形式で示す図である。図5は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第3の構成例を表形式で示す図である。図6は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第4の構成例を表形式で示す図である。図7は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第5の構成例を表形式で示す図である。
【0020】
図3に示した構造のメタデータは電子メールの作成済みファイルのメタデータであり、種別、「アプリケーション名_日付_データ番号」、宛先の「To:」、「Cc:」、「Bcc:」、タイムスタンプ、タイトル、本文テキストファイル名およびテキストの形態素解析結果でなる。
【0021】
図4に示した構造のメタデータは作成資料のファイルのメタデータであり、種別、「アプリケーション名_日付_データ番号」、作成者、編集者、タイムスタンプ、タイトル、データファイル名およびテキストの形態素解析結果でなる。
図5に示した構造のメタデータはカメラ撮影画像のファイルのメタデータであり、種別、「アプリケーション名_日付_データ番号」、入力者、タイムスタンプおよびデータファイル名でなる。
【0022】
図6に示した構造のメタデータはタッチパネル入力データのファイルのメタデータであり、種別、「アプリケーション名_日付_データ番号」、入力者、編集者、タイムスタンプ、会議室、データファイル名およびテキストの形態素解析結果でなる。
図7に示した構造のメタデータは発話情報のファイルのメタデータであり、種別、「アプリケーション名_日付_データ番号」、発話者、対話者、タイムスタンプ、会議室、データファイル名および発話内容の形態素解析結果でなる。
【0023】
図8は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置によるメタデータの生成までの処理過程の一例を示す図である。
また、前述したように、電子メールや資料の作成時に検出部5やメタデータ生成部6が処理を行なうのではなく、作成済みの電子メールや発表用の資料のファイルのアイコンやメタデータ生成用の情報収集クライアントソフトウェアのアイコンが表示装置3に表示されている状態で、ユーザによる入力装置2への操作により前述した作成済みファイルのアイコンを情報収集クライアントソフトウェアのアイコンへドラッグアンドドロップすることで、メタデータ生成部6がメタデータの生成処理を行なうようにしても良い。
【0024】
この場合、メタデータ生成部6は、ドラッグアンドドロップされたアイコンに対応するファイルの内容を解析して頻出単語であるキーワードやタイムスタンプなどのプロパティを抽出し、抽出結果を当該ファイルのメタデータとして表示装置3に表示させる。
【0025】
画面上に表示されるキーワ一ドにはデータファイル名やタイトルが含まれ、画面上に表示されるプロパティには、ファイル作成日時、更新日時、更新回数、ファイル形式などが含まれる。
また、メタデータ生成部6は、ドラッグアンドドロップされたアイコンに対応するファイルがプレゼンテーション用の複数の画像入りのページでなるファイルであったり、画像ファイルであったりする場合には、サムネイル画像をプレビュー表示させる。
【0026】
これら表示されたキーワードなどのプロパティをユーザによる入力装置2への操作により適宜修正した上で、「はい(Y)」のアイコンが選択されると、修正されたキーワードやプロパティがメタデータとしてメタデータ記憶部41へ記憶される。
また、各種ファイルの作成時には、当該ファイルの内容を閲覧出来る者のユーザIDの情報を含ませることができる。この場合、ファイルの作成後は、当該情報の閲覧のための操作がなされた場合には、ユーザIDの入力を求めるウインドウが画面表示され、前述した、内容を閲覧出来る者のユーザIDが入力されないと閲覧が行なえない。
【0027】
また、前述したドラッグアンドドロップによるプロパティなどの画面表示およびユーザによる修正入力を省略して、ファイルをメタデータ生成用のアイコンへドラッグアンドドロップするだけで当該ファイル中の頻出単語やプロパティがメタデータとしてメタデータ記憶部41に記憶される形態としてもよい。
【0028】
次に、図1に示した構成の選択式情報提示装置の動作について説明する。
図9は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、図3から図7に示したような構造のメタデータがメタデータ記憶部41に記憶されるとする。
まず、会議を行なっている複数のユーザのうち一人が新たな発話を行なった場合、検出部5はマイクロフォンを介して発話情報を入力し(ステップS1)、当該発話情報の音声ファイルの作成を開始するとともに、発話情報の音声認識を行なうことで、発話者、対話者、発話箇所である会議室の名称および発話内容の文章を抽出する(ステップS2)。
また、検出部5は、前述したように、一つの会話や会議の区切りがなされたことが認められる場合には、音声ファイルの作成を終了する。
【0029】
そして、メタデータ生成部6は、抽出済みの発話内容の文章を形態素解析し(ステップS3)、発話内容に含まれる単語の種類を示すキーワードを出現頻度に応じて並べたデータを生成して、当該データと前述したように抽出済みの発話者、対話者、発話箇所である会議室の名称とでなる検出データを作成済みの音声ファイルと関連付けて記憶装置4の検出データ記憶部42に記憶する(ステップS4)。
【0030】
次に、検索処理部7は、メタデータ記憶部41に記憶されるメタデータに関わる各種の作成済みファイルのそれぞれについて、当該ファイルに関わるメタデータを読み出して、当該メタデータと検出データ記憶部42に記憶される検出データとを照合し(ステップS5)、メタデータ記憶部41に記憶されるメタデータに関わる作成済みファイルのうち、当該ファイルのメタデータと検出データ中のキーワードを含む各種情報との一致割合が基準値以上であるファイルが複数ある場合、これらのファイルを提示対象のファイルとして決定し(ステップS6)、これらのファイルのそれぞれについて、前述した一致割合が高い情報から順に提示順序を付与する。
なお、一致割合が同じ場合には、タイムスタンプが新しいファイルを提示順位の高いファイルとする。
【0031】
提示処理部8は、提示順序が付与されたファイルのうち、一度に提示可能な一定数のファイルを提示順序が高い順に選択し、当該選択したファイルを記憶装置4から読み出して纏めて提示する(ステップS7)。そして、提示処理部8は、ステップS4の処理で記憶装置4の検出データ記憶部42に記憶された検出データであるメタデータ群をメタデータ記憶部41にも記憶する。これにより、新たな発話がさらになされた場合の提示処理部9による処理の精度が向上する。
図10は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示形態の第1の例を示す図である。図11は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示形態の第2の例を示す図である。
図10および図11に示した例では、ユーザA,B,C,Dが会議のために集っているテーブル上のユーザAの座る位置に近い箇所において、提示順序が上位5番目までのファイルA1,A2,A3,A4,A5のコンテンツである表示オブジェクトが提示される。この表示オブジェクトにより提示対象として選択されたファイル中の情報の一部又は全部が提示される。これらのファイルの提示順序は、ファイルA1,A2,A3,A4,A5の順に低くなり、提示順序が一番高いファイルA1が右端となり、提示順序が5つのファイルの中で一番低いファイルA5が左端になるようにリング状に配列された表示オブジェクトが提示される。
【0032】
また、ユーザB,C,Dのそれぞれの座る位置に近い箇所においても、当該ユーザの新たな発話にしたがって提示対象となるファイルが決定されて、提示情報の高い複数のファイルのそれぞれを示す表示オブジェクトが提示される。
そして、提示処理部8は、新たな電子メールや資料などのファイルの作成時や任意時問の経過時に、表示オブジェクトのうち提示順序が一番高い表示オブジェクトの提示を中止して、この中止にともなって残りの各表示オブジェクトの提示位置を右方向に移動させた上で、当該移動により空いた左端部の箇所に新たなファイルの表示オブジェクトを提示させる。
【0033】
図12は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の提示位置の切り替え形態の第1の例を示す図である。図13は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の提示位置の切り替え形態の第2の例を示す図である。
加えて、ジェスチャ認識装置9は、ユーザの動作を撮影するなどして、提示された表示オブジェクト群にユーザの手50が近付いたことが認められた場合に、これを認識する。すると、提示処理部8は、前述した表示オブジェクト群の右端側の所定の空白部分に早送りボタン51を提示させ、表示オブジェクト群の左端側の所定の空白部分に巻き戻しボタン52を提示する。
【0034】
ジェスチャ認識装置9は、投影対象物における早送りボタン51の提示箇所にユーザの手50が重なる動作がなされた場合に当該早送りボタン51が選択されたことを認識する。この場合、提示処理部8は、図12に示すように、現在提示される情報のうち前述した提示順序が一番高い情報の表示オブジェクトの提示を中止して、現在提示される表示オブジェクトのそれぞれを前述した任意時間経過時より速い速度で右方向に移動させた上で、移動の結果空いた左端部の箇所には前述した提示順序が一番低いファイルより1つ低い提示順序が設定されるファイルの表示オブジェクトを新たに提示する。
【0035】
また、ジェスチャ認識装置9は、巻き戻しボタン52の提示箇所にユーザの手50が重なる動作がなされた場合に当該巻き戻しボタン52が選択されたことを認識する。この場合、提示処理部8は、図13に示すように、現在提示される情報のうち前述した提示順序が一番低い情報の表示オブジェクトの提示を中止して、現在提示される表示オブジェクトのそれぞれを左方向に移動させ、移動の結果空いた右端部の箇所には前述した提示順序が一番高いファイルより1つ高い提示順序が設定されるファイルの表示オブジェクトを新たに提示する。
【0036】
提示処理部8は、早送りボタン51と巻き戻しボタン52の何れかが選択されたことをジェスチャ認識装置9が認識した場合、当該認識後の所定時間、例えば2秒が経過した場合に早送りボタン51や巻き戻しボタン52の提示を終了する。
図14は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第3の例を示す図である。図15は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第4の例を示す図である。
提示形態の詳細を説明する。本実施形態では、提示情報の解像度はXGA(1024x768)からSXGA+(1400x1050)までの解像度に対応する。また、表示オブジェクトはマスクを指定して任意の形状で表示できる。また、表示オブジェクトの出現時と消滅時には透明度を変化させるエフェクトを施すことができる。表示オブジェクトの位置や大きさは入力装置2への所定の操作を行なうことで、図14や図15に示すように任意に設定でき、大きさは例えば直径10センチメートルの円形というように設定できる。
【0037】
ただし、ユーザが何からの操作を行なっている場合は表示オブジェクトの追加や移動はなされず、当該追加や移動の処理を行なう旨を操作中はキューに追加するなどして認識することで対処する。
図14,図15に示した例では、図12,図13に示した例と比較して、ファイルA1,A2,A3,A4,A5は、提示順序が一番高いファイルA1が左端となり、提示順序が5つのファイルの中で一番低いファイルA5が右端になるように配列された表示オブジェクトが提示される。また、図14,図15に示した例では、図12,図13に示した例と比較して、早送りボタン51は表示オブジェクト群の左端側の所定の空白部分に提示され、巻き戻しボタン52は表示オブジェクト群の右端側の所定の空白部分に提示される。
【0038】
また、前述した表示オブジェクトの移動形態は、移動中間点での速度を最大とし、滑らかに加減速する形態である。
また、表示オブジェクトの一部の提示の終了にともなって新たに提示される表示オブジェクトは、提示対象とされたファイルのうち例えば新しいファイル、利用頻度の高いファイル、アクセス権が適合するファイル、更新頻度が高いファイルもしくはランダムに選択されたファイルでもよい。
【0039】
図16は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置によるファイル属性表示形態の一例を示す図である。
提示処理部8は、提示対象のファイルの表示オブジェクトの周辺、例えば図16に示すように右肩にファイルのプロパティを示すアイコンをあわせて提示することができる。提示するアイコンは、提示対象のファイルが発表用の資料であれば、資料作成アプリケーションのアイコン、画像であれば画像編集アプリケーションのアイコンとなる。
【0040】
また、提示処理部8は、新しく提示した表示オブジェクトには文字情報「New!」をあわせて表示する。利用頻度が高い提示情報に対応する表示オブジェクトには文字情報「Hot」をあわせて提示する。
図17は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴う提示形態の切り替え形態の第1の例を示す図である。図18は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴う提示形態の切り替え形態の第2の例を示す図である。
ジェスチャ認識装置9は、ユーザの手50が何れかの表示オブジェクトと重なり、この状態のまま任意の滞留時間が経過するとユーザが当該表示オブジェクトを選択したとみなす(ステップS8)。提示処理部8は、当該選択された表示オブジェクトの周辺を拡大表示したり図17に示すようにハイライト表示したりするなどして視覚フィードバックさせた上で、当該表示オブジェクトテーブルの上や投影スクリーン上に投影する形態で別途提示する(ステップS9)。
【0041】
図17に示した例は、ユーザAが目の前のファイルA4の表示オブジェクトを選択することでファイルA4が強調表示された上でテーブル中央にファイルA4が別途拡大提示された例であり、図17に示した例は、テーブル中央にファイルA4が別途拡大提示された状態で、ユーザBの手60により目の前のファイルB2の表示オブジェクトが選択されることでファイルB2が強調表示された上でテーブル中央にファイルB2がファイルA4に上書きされる形で別途拡大提示された例である。
【0042】
図19は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴って表示されるメニュー項目の例を示す図である。図20は、本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴うメニュー項目の表示例を示す図である。
ユーザによる表示オブジェクトの選択後、提示処理部8は、さらなる処理として、図20に示すように、当該選択された表示オブジェクトの近傍にメニューを提示させる。
【0043】
メニューの内容は図19に示す順に時分割で変化する。メニューには、何も処理を行なわない事を示す欄を設けても良い。ユーザの手50が重なっていた表示オブジェクトから手が離れた事をジェスチャ認識装置9が認識すると、提示処理部8は、認識時に提示されるメニューに沿った処理を行なう。
【0044】
メニューの内容は、表示オブジェクトの提示位置をテーブル上、図12に示したユーザAから見てテーブル外の正面方向に置かれたスクリーン、テーブル外の右方向に置かれたスクリーン、テーブル外の左方向に置かれたスクリーン、テーブル外の背面方向に置かれたスクリーンに切り替える処理、または類似検索処理である。
【0045】
類似検索処理とは検索処理部7が行なう処理であり、選択されている表示オブジェクトに対応するファイルに対して、プロパティが似通っているファイルをメタデータ記憶部41から検索する処理である。
類似検索処理では、キーワード、タイムスタンプ、キーワード、ファイル名などが比較される。提示処理部8は、類似検索処理により似通っていると判断されたファイルがあった場合、現在表示中の表示オブジェクトのうち提示順位が一番低い表示オブジェクトの提示を終了して、前述したように似通っているファイルの表示オブジェクトを新たに提示する。
【0046】
また、提示処理部8は、ユーザにより選択された表示オブジェクトに対応するファイルのアクセス権が会議参加者全員となるよう、記憶装置4のメタデータ記憶部41に記憶される当該ファイルの閲覧可能者のユーザIDを修正する。
以上のように、本発明の実施形態における選択式情報提示装置では、ユーザにより作成されたファイル、つまり後の提示候補となるファイルの特徴情報を記憶しておき、新たな発話がなされた場合に、当該発話の特徴情報を生成した上で、この特徴情報と作成済みのファイルのうち新たな発話情報の特徴情報とを比較して、所定の条件を満たすファイルをユーザに複数種類提示することができる。よって、ユーザの作業や会話の支援に適した情報を提示することができる。
【0047】
また、前述したように提示情報をテーブルの上や投影スクリーン上に投影することで提示する形態に限らず、タッチパネル式の表示装置に表示することで提示を行なっても良い。
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による情報入力からメタデータ生成までの処理過程の一例を示す図。
【図3】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第1の構成例を表形式で示す図。
【図4】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第2の構成例を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第3の構成例を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第4の構成例を表形式で示す図。
【図7】本発明の実施形態における選択式情報提示装置の記憶装置に記憶されるメタデータの第5の構成例を表形式で示す図。
【図8】本発明の実施形態における選択式情報提示装置によるメタデータの生成までの処理過程の一例を示す図。
【図9】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による処理動作の一例を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示形態の第1の例を示す図。
【図11】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示形態の第2の例を示す図。
【図12】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第1の例を示す図。
【図13】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第2の例を示す図。
【図14】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第3の例を示す図。
【図15】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の表示位置の切り替え形態の第4の例を示す図。
【図16】本発明の実施形態における選択式情報提示装置によるファイル属性表示形態の一例を示す図。
【図17】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴う提示形態の切り替え形態の第1の例を示す図。
【図18】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴う提示形態の切り替え形態の第2の例を示す図。
【図19】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴って表示されるメニュー項目の例を示す図。
【図20】本発明の実施形態における選択式情報提示装置による提示情報の選択に伴うメニュー項目の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1…制御部、2…入力装置、3…表示装置、4…記憶装置、5…検出部、6…メタデータ生成部、7…検索処理部、8…提示処理部、9…ジェスチャ認識装置、10…バス、41…メタデータ記憶部、42…検出データ記憶部、51…早送りボタン、52…巻き戻しボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
提示候補となる提示候補情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した提示候補情報の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成した特徴情報を前記取得した提示候補情報ごとに記憶する記憶手段と、
新たな発話内容を認識する認識手段と、
前記認識手段による認識結果および前記記憶手段に記憶される特徴情報をもとに、前記記憶手段に記憶される特徴情報に対応する提示候補情報のうち前記発話内容に関連する情報としての提示に適する情報を複数検索する検索手段と、
前記検索手段により検索した情報を提示する提示手段と
を備えたことを特徴とする選択式情報提示装置。
【請求項2】
前記提示手段は、
前記検索手段により検索した情報のそれぞれに提示順位を付与し、前記検索手段により検索した情報の個数が同時に提示可能な個数を超える場合には、前記検索手段により検索した情報のうち前記同時に提示可能な個数の情報を前記提示順位にしたがって選択して提示する
ことを特徴とする請求項1に記載の選択式情報提示装置。
【請求項3】
前記提示手段は、
所定の操作がなされた場合に、前記提示手段により提示された情報の一部の提示を中止し、前記検索手段により検索した情報のうち現在提示していない別の情報を新たに提示する
ことを特徴とする請求項2に記載の選択式情報提示装置。
【請求項4】
前記提示手段により提示された情報のいずれかの選択を示す操作がなされた場合に、当該選択された情報を強調させて提示する
ことを特徴とする請求項1に記載の選択式情報提示装置。
【請求項5】
記憶手段を備えたコンピュータを、
提示候補となる提示候補情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得した提示候補情報の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、
前記生成手段により生成した特徴情報を前記取得した提示候補情報ごとに前記記憶装置に記憶する記憶制御手段、
新たな発話内容を認識する認識手段、
前記認識手段による認識結果および前記記憶手段に記憶される特徴情報をもとに、前記記憶手段に記憶される特徴情報に対応する提示候補情報のうち前記発話内容に関連する情報としての提示に適する情報を複数検索する検索手段、および
前記検索手段により検索した情報を提示する提示手段
として機能させるようにした選択式情報提示処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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