説明

選択的水素添加用触媒およびこれを用いるオレフィン化合物類の精製方法

【課題】圧力損失が小さく、圧力損失による触媒性能の低下を抑制することができる選択的水素添加用触媒と、これを用いたオレフィン化合物類の精製方法を提供する。
【解決手段】所定の間隔を持って螺旋状に巻回するコイル状筒材11と該コイル状筒材11の軸方向に沿って接合された支柱12とを備えアルミナを主成分とする担体10に、パラジウムが担持されてなることを特徴とする選択的水素添加用触媒であり、オレフィン化合物中の高不飽和炭化水素化合物類、例えば、エチレン中のアセチレン、プロピレン中のプロパジエン及びメチルアセチレン、ブテン中のブタジエン及びエチルアセチレン、分解ガソリン中のジエン化合物類を、上記触媒の存在下、水素によって選択的に水素添加し、オレフィン化合物類を精製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフサのスチームクラッキング等によって得られるオレフィン化合物類中に少量存在する高不飽和炭化水素化合物類を選択的に水素添加する触媒およびオレフィン化合物類の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学工業の基礎原料として利用される各種オレフィン化合物類は、通常、ナフサのスチームクラッキングによって製造されるが、その中にはアセチレン系炭化水素とジオレフィンを含む高不飽和炭化水素化合物類が少量含有されている。そのため、高分子化学工業用原料として使用するためには、アセチレン系炭化水素とジオレフィンを含む望ましくない高不飽和炭化水素化合物類を除去しなければならない。
【0003】
従来から、望ましくないアセチレン系炭化水素とジオレフィンを含む高不飽和炭化水素化合物類の除去方法としては、これを選択的に水素添加し、精製除去するための触媒が提案されてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−515631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した選択的に水素添加する触媒を用いるオレフィン化合物類の精製は、一般に、触媒を固定床反応装置等の反応管に充填し、該反応管に原料を通じさせる方法で実施されるため、反応に際しては、反応管の入り口と出口とで圧力差、すなわち圧力損失が生じることがある。この場合の触媒の形状には、例えば、円柱状、円筒状、タブレット状、球状等が挙げられる。このように圧力損失が生じた場合、従来の触媒では、当該触媒が本来有する触媒性能(触媒活性、選択性、触媒寿命)を充分に発揮できなくなるといった問題も生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、圧力損失が小さく、圧力損失による触媒性能の低下を抑制し、高不飽和炭化水素化合物類であるアセチレン系炭化水素とジオレフィンを選択的に水素添加するための触媒と、これを用いたオレフィン化合物類の精製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、パラジウムを、アルミナを主成分とする担体に担持させた触媒が、選択的に水素添加に有効的であり、かつ、この触媒の形状を、所定の間隔を持って螺旋状に巻回するコイル状の筒材に対し、その軸方向に沿って支柱を設けた形状とすれば、圧力損失を効果的に低減することができ、触媒が本来有する性能を充分に発現させることが可能になる、という新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の選択的水素添加用触媒は、以下の構成を有する。
(1)所定の間隔を持って螺旋状に巻回するコイル状筒材と該コイル状筒材の軸方向に沿って接合された支柱とを備えアルミナを主成分とする担体に、パラジウムが担持されてなることを特徴とする選択的水素添加用触媒。
(2)前記触媒は複数の支柱を備えている、(1)記載の選択的水素添加用触媒。
(3)前記アルミナの結晶形が、χ型、κ型、ρ型、η型、γ型、擬γ型、δ型、θ型およびα型から選ばれる1種以上である(1)または(2)記載の選択的水素添加用触媒。
(4)前記アルミナは、窒素吸着一点法によるBET比表面積測定において0.1m2/g以上のBET比表面積を有するものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の選択的水素添加用触媒。
(5)前記アルミナは、水銀圧入法による細孔容積測定において、極大細孔半径が0.001μm以上であり、かつ累積細孔容積が0.10mL/g以上であるものである、(1)〜(4)のいずれかに記載の選択的水素添加用触媒。
【0009】
また、本発明に係るオレフィン化合物類の精製方法は、以下の構成を有する。
(6)オレフィン化合物中の高不飽和炭化水素化合物類を、上記(1)〜(5)に記載のいずれかの触媒の存在下、水素によって選択的に水素添加することを特徴とするオレフィン化合物類の精製方法。
(7)エチレン中のアセチレン、プロピレン中のプロパジエン及びメチルアセチレン、ブテン中のブタジエン及びエチルアセチレン、分解ガソリン中のジエン化合物類を、上記(1)〜(5)に記載のいずれかの触媒の存在下、水素によって選択的に水素添加することを特徴とするオレフィン化合物類の精製方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の触媒は、前記した特定の触媒の形状により、圧力損失が小さく、圧力損失による触媒性能の低下を抑制し、且つ複数の支柱を備えることにより充分な強度と大きな表面積を確保することができる。そのため、本発明の触媒は、高い触媒性能が期待できる。このような本発明の触媒の存在下で選択的に水素添加することにより、効率よくオレフィン化合物類を精製できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本発明の担体の一実施形態を示す側面図であり、(b)は、(a)の担体を上側から見た上面図であり、(c)は、前記上面図に示すx−x線における断面図である。
【図2】(a)は、本発明の押出成形機の一実施形態における押出し孔部を示す拡大断面図であり、(b)は、(a)の押出成形機を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(選択的水素添加用触媒の製造方法)
本発明の選択的水素添加用触媒は、アルミナを主成分とする特定形状の担体に、パラジウムが担持されてなる。
本発明の選択的水素添加用触媒における担体は、所定の間隔を持って螺旋状に巻回するコイル状筒材と該コイル状筒材の軸方向に沿って接合された複数の支柱とを備えた形状を有している。
【0013】
まず、図面を用いて、本発明の触媒における担体の形状を詳しく説明する。図1(a)は、本発明の触媒における本発明の担体の一実施形態を示す側面図であり、図1(b)は、(a)の担体を上側から見た上面図であり、図1(c)は、前記上面図に示すx−x線における断面図である。
【0014】
図1に示す担体10は、コイル状筒材11と支柱12とからなる。コイル状筒材11は、成形材料を、所定の間隔をもって螺旋状に巻回するように1本の紐状に細長く押出したものであり、筒方向に貫通する孔(貫通孔)13を有する。コイル状筒材11を形成する紐状物の断面形状は、特に制限されるものではなく、例えば、半円形、円形、三角形等のいずれであってもよい。また、その太さは、螺旋状に巻回したときに隣接する同士が所定の間隔を保持することができる程度であれば、特に制限はない。ここで言う所定の間隔とは、特に限定されないが、通常、0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mm程度がよい。なお、この間隔は螺旋の全ての部分において同じである必要はない。
【0015】
コイル状筒材11の寸法は、特に制限されるものではないが、例えば、長さ(筒の高さ)は1〜50mm、好ましくは3〜30mm程度がよく、径(筒全体の外径)は1〜50mm、好ましくは3〜30mm程度がよく、貫通孔13の孔径は0.1〜49mm、好ましくは0.2〜48mm程度がよい。
なお、図1に示す担体10の場合、コイル状筒材11は、1本の紐状物が巻回した1重螺旋の形状を呈しているが、本発明の触媒における担体の他の実施形態においては、2本の紐状物が巻回した2重螺旋の形状であってもよいし、3本以上の紐状物が巻回した多重螺旋の形状であってもよい。ただし、その場合には、各紐状物が互いに接触しないよう所定の間隔をもって平行して螺旋状に巻回していることが望ましい。
【0016】
支柱12は、コイル状筒材11に対して、その軸方向(筒方向)に沿って4本接合されている。このとき、支柱12はコイル状筒材11の周囲にほぼ同じ間隔で設けられている。なお、支柱12の本数は、図1に示す担体10の場合4本としたが、充分な強度を確保するためには、支柱12の本数は複数であることが好ましい。
【0017】
支柱12の断面形状は、特に制限されるものではなく、例えば、(略)半円形、円形、三角形等のいずれであってもよいが、コイル状筒材11との接合を確実にするためには、例えば図1(b)に示すような略半円形のように、コイル状筒材11との接合面積を充分に確保できる形状が好ましい。
【0018】
支柱12の寸法は、特に制限されるものではないが、例えば、長さは1〜50mm、好ましくは3〜30mm程度がよく、太さは、例えば略半円形の場合には、半径が0.1〜12mm、好ましくは0.2〜11mm程度がよい。
【0019】
なお、支柱12は、コイル状筒材11の軸方向に沿って接合されているものであり、図1に示す担体10の場合、真鉛直に接合されているが、本発明の触媒における担体の他の実施形態においては、必ずしも真鉛直に接合されている必要はなく、コイル状筒材11が軸方向に有する複数の隙間を通るように設けられてさえいれば、多少斜めに傾いていても差し支えない。
【0020】
また、図1に示す担体10の場合、支柱12は、コイル状筒材11の外周に面して設けられているが、本発明の触媒における担体の他の実施形態においては、コイル状筒材11の内周に面して(すなわち、貫通孔13の内部に)支柱12を設けるようにしてもよい。
【0021】
本発明の担体は、例えば、以下に詳述する本発明の製造方法により製造することができるが、本発明の担体を製造する方法はこれに限定されるわけではない。
【0022】
本発明の担体の製造方法は、外周面に溝を有する第一のダイと、該第一のダイを嵌入し内周面に溝を有するリング状の第二のダイとを備えた押出成形機を用い、第一のダイと第二のダイのいずれか一方のみを回転させながら成形材料を押出すものである。
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の担体の製造方法に用いられる本発明の押出成形機について詳しく説明する。図2(a)は、本発明の押出成形機の一実施形態における押出し孔部を示す拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)の押出成形機を示す概略断面図である。
【0024】
図2に示す押出成形機20は、外周面に溝21aを有する第一のダイ21と、該第一のダイ21を嵌入し内周面に4つの溝22aを有するリング状の第二のダイ22とを備えている。詳しくは、第一のダイ21と第二のダイ22は、第二のダイ22に第一のダイ21を嵌入した状態で、ともに押出成形機20の前面に取り付けられており、この第一のダイ21が有する溝21aと第二のダイ22が有する溝22aとから成形材料が連続的に押し出されるようになっている。
【0025】
第一のダイ21およびその溝21a、第二のダイ22およびその溝22aの寸法は、特に制限されるものではないが、例えば、第一のダイ21の外径は0.6〜49mm、好ましくは1.6〜29mm程度がよく、溝21aの深さは、R0.2〜R12mm、好ましくはR0.7〜R7mm程度がよい。ここでRは曲率半径を示す(以下同じ)。また、第二のダイ22の外径は1〜150mm、好ましくは2〜100mm程度がよく、内径は0.6〜49mm、好ましくは1.6〜29mm程度がよく、溝22aの深さは、R0.2〜R12mm、好ましくはR0.7〜R7mm程度がよい。なお、図2に示す実施形態においては、溝22aの数は4個となっているが、これに限定されるわけではなく、溝21a、溝22aの数は、それぞれ得ようとする担体の支柱12の数、コイル状筒材11を形成する紐状物の本数、および支柱12がコイル状筒材11の外周面に配設されているか、内周面に配設されているかによって、適宜設定されるものである。
【0026】
さらに、押出成形機20は、前記第一のダイ21と前記第二のダイ22のいずれか一方を回転させる回転手段23をも備えている。この回転手段23は、特に制限されるものではなく、例えばモーターなど通常の回転手段を採用すればよい。具体的には、図2に示す実施形態においては、第一のダイ21に固定した回転軸23aをモーター23bで回転駆動させることにより、第一のダイ21を回転させるようになっている。この場合、第一のダイ21の溝21aから押出された成形材料によりコイル状筒材11が形成され、第二のダイ22の4つの溝22aから押出された成形材料により支柱12が形成されることとなり、得られる担体10は、図1に示すように、コイル状筒材11の外周面に支柱12を設けたものとなる。
【0027】
なお、図2に示す実施形態とは逆に、回転手段23が第二のダイ22を回転させるものである場合には、第一のダイ21の溝21aから押出された成形材料により支柱12が形成され、第二のダイ22の溝22aから押出された成形材料によりコイル状筒材11が形成されることとなり、得られる担体は、コイル状筒材11の内周面(すなわち、貫通孔13内)に支柱12を設けたものとなる。
【0028】
押出成形機20は、このほかに、第一および第二のダイ21、22から押し出された成形材料を切断する切断装手段24をも有している。この切断手段24にて所定長さに切断することにより、担体10が連続的に得られるのである。切断手段24は、特に制限されるものではなく、例えば、カッターナイフや2つのガイドローラ間に張りわたされた線材(ピアノ線など)等をモーター等で駆動させるといった従来公知の切断手段を採用すればよい。
【0029】
また、本発明の押出成形機には、溝21aと溝22aから押出される成形材料の押出し速度を制御するために、流量制御弁(図示せず)が設けられていてもよい。
【0030】
本発明において、前記担体はアルミナを主成分とする多孔性耐火物からなるものであり、具体的には前記担体材料の全重量の90重量%以上がアルミナであるのがよい。ここで、前記担体の主成分とするアルミナの結晶層は、χ型、κ型、ρ型、η型、γ型、擬γ型、δ型、θ型およびα型から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0031】
前記担体は、水銀圧入法による細孔容積測定において極大細孔半径が0.001μm以上であり、且つ、累積細孔容積を0.10mL/g以上有するものであることが好ましい。極大細孔半径が0.001μm未満であったり、累積細孔容積が0.10mL/g未満であったりすると、充分な触媒活性が得られないおそれがある。
【0032】
前記担体は、窒素吸着一点法によるBET比表面積測定において0.1m2/g以上のBET比表面積を有するものであることが好ましい。担体のBET比表面積が0.1m2/g未満であると、充分な量の触媒成分(パラジウム)を担持させ難くなるおそれがあると同時に、オレフィン化合物類の精製時に触媒の活性部位と原料との接触効率が低くなるため、触媒活性が不充分となる傾向がある。
【0033】
本発明の触媒は、上述した担体に、触媒成分としてパラジウムを担持させたものである。パラジウムの担持量は、金属パラジウムとして、触媒全重量に対して0.01〜5重量%であることが好ましい。パラジウムの担持量が0.01重量%未満であると、充分な触媒活性が得られないおそれがあり、一方、5重量%を超えると、触媒活性の低下を招くおそれがある。なお、担持されたパラジウムは担体上で通常、金属の形態で存在するのであり、前記担持量は金属としての重量である。
【0034】
担体にパラジウムを担持させる方法は、特に制限はないが、例えば、パラジウム塩、パラジウム化合物等を適当な溶媒に溶解したパラジウム溶液を、上記担体に接触もしくは含浸させる、ついで加熱処理(乾燥および焼成)、還元処理する方法を採用すればよい。加熱処理は通常空気中で行われ、また還元処理は通常気相中、水素によって加熱下に行われる。パラジウム溶液のパラジウム濃度や、接触もしくは含浸の処理回数は、最終的に所定量のパラジウムが担持されるように適宜設定すればよい。
パラジウム化合物としては、例えば酢酸パラジウム等の有機酸の水溶性塩、塩化パラジウム、塩化パラジウムナトリウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸塩類、ジクロロジアンミンパラジウム、パラジウムのアンミン錯塩類、及びジニトロポリアンミンパラジウム類等の無機酸の水溶性塩等が使用できる。
【0035】
(オレフィン化合物類の精製方法)
本発明のオレフィン化合物類の精製方法は、前記した本発明の触媒の存在下、ナフサのスチームクラッキング等で得られるオレフィン化合物類中に少量存在する高不飽和炭化水素化合物類であるアセチレン系炭化水素とジオレフィンを、選択的に水素添加するものである。
【0036】
本発明におけるオレフィン化合物には、エチレン、プロピレン、ブテン等が含まれ、アセチレン系炭化水素には、アセチレン、メチルアセチレン、エチルアセチレン等が含まれ、ジオフィレンには、プロパジエン、ブタジエン等が含まれる。
【0037】
本発明のオレフィン化合物類の精製方法で採用しうる具体的手法は、後述する反応式の水素添加反応に基づく手法であれば特に制限されるものではなく、常法に従い適宜行えばよい。本発明の触媒は、反応装置や容器に充填してオレフィン化合物類の精製方法に用いた際に、圧力損失が小さく、しかも大きな表面積を有しながら適度な強度をも兼ね備えるので、高い触媒性能を発揮し、効率よくアセチレン系炭化水素とジオレフィンを選択的に水素添加して精製除去することができる。
【0038】
本発明のオレフィン化合物類の精製方法は、本発明の触媒を用いる点を除けば、常法に従って行うことができ、反応条件は気相反応と液相反応があり、また気相についてはフロントエンド方式とテールエンド方式がある。以下にその分類を示す。
【0039】
エチレン、プロピレンの混合オレフィン中のアセチレン、プロパジエン、メチルアセチレンの選択的水素添加の反応式は以下に示すものである(気相反応、フロントエンド方式)。
(アセチレン) C22 + H2 → C24
(メチルアセチレン) C34 + H2 → C36
(プロパジエン) C34 + H2 → C36
反応装置として固定床流通式反応器等を用い、反応温度は通常、50〜150℃、反応圧力は0.5〜4MPa、GHSV(ガス空間速度)は、4000〜8000h-1であるのが良い。
【0040】
エチレンとプロピレンを分離した後、エチレン中のアセチレンをエチレンに選択的水素添加する反応はテールエンド方式の気相反応である。
反応装置として固定床流通式反応器等を用い、反応温度は通常、20〜150℃、反応圧力は0.1〜3MPa、GHSV(ガス空間速度)は2000〜3500h-1であり、反応管に供給する水素/アセチレンのモル比は、1.0〜3.0であるのが良い。
【0041】
プロピレン中のプロパジエン、メチルアセチレンの、気相反応または液相反応による選択的水素添加の反応式は以下に示す通りである。
(メチルアセチレン) C34 + H2 → C36
(プロパジエン) C34 + H2 → C36
気相反応の場合、反応温度は通常、50〜120℃、反応圧力は0.4〜3MPa、GHSV(ガス空間速度)は1000〜3000h-1であり、(反応管に供給する水素)/(プロパジエン+メチルアセチレン)のモル比は、3.0以下であるのが良い。
また、液相反応の場合、反応温度は通常、20〜40℃、反応圧力は2〜7MPa、LHSV(液空間速度)は0.1〜10h-1であり、(反応管に供給する水素)/(プロパジエン+メチルアセチレン)のモル比は3.0以下であるのが良い。
【0042】
ブテン中のブタジエン、エチルアセチレンの選択的水素添加、および分解ガソリン中のジエン類の液相反応による選択的水素添加反応式は以下に示す通りである。
(ブタジエン) C46 + H2 → C48
(エチルアセチエン) C46 + H2 → C48
反応装置として固定床流通式反応器等を用い、反応温度は通常、40〜150℃、反応圧力は1〜7MPa、LHSV(液空間速度)は0.1〜10h-1であり、(反応管に供給する水素)/(液体原料)の容積比は50〜350であるのが良い。
【符号の説明】
【0043】
10 担体
11 コイル状筒材
12 支柱
13 貫通孔
20 押出成形機
21 第一のダイ
21a 第一のダイの溝
22 第二のダイ
22a 第二のダイの溝
23 回転手段
23a 回転軸
23b モーター
24 切断手段
25 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を持って螺旋状に巻回するコイル状筒材と該コイル状筒材の軸方向に沿って接合された支柱とを備えアルミナを主成分とする担体に、パラジウムが担持されてなることを特徴とする選択的水素添加用触媒。
【請求項2】
前記触媒は複数の支柱を備えている、請求項1記載の選択的水素添加用触媒。
【請求項3】
前記アルミナの結晶形が、χ型、κ型、ρ型、η型、γ型、擬γ型、δ型、θ型およびα型から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の選択的水素添加用触媒。
【請求項4】
前記アルミナは、窒素吸着一点法によるBET比表面積測定において0.1m2/g以上のBET比表面積を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の選択的水素添加用触媒。
【請求項5】
前記アルミナは、水銀圧入法による細孔容積測定において、極大細孔半径が0.001μm以上であり、かつ累積細孔容積が0.10mL/g以上であるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の選択的水素添加用触媒。
【請求項6】
オレフィン化合物中の高不飽和炭化水素化合物類を、請求項1〜5に記載のいずれかの触媒の存在下、水素によって選択的に水素添加することを特徴とするオレフィン化合物類の精製方法。
【請求項7】
エチレン中のアセチレン、プロピレン中のプロパジエン及びメチルアセチレン、ブテン中のブタジエン及びエチルアセチレン、分解ガソリン中のジエン化合物類を、請求項1〜5に記載のいずれかの触媒の存在下、水素によって選択的に水素添加することを特徴とするオレフィン化合物類の精製方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−72913(P2011−72913A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226921(P2009−226921)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】