説明

選択透過性保護構造およびそれより得られる物品

選択透過性保護構造、ならびに腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法であって、選択透過性保護構造中に物品を包み込むまたは覆うステップを含む方法。本発明の選択透過性構造は、少なくとも200g・mil/m2/24hの水蒸気透過値を有し液体の水に対する障壁となる膜を含み、支持基材を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い水蒸気透過率を有するが、化学物質などのその他のものに対する透過率は低い選択透過性組成物および構造、ならびにそれより製造された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
有害な化学物質および生物学的物質への曝露からの身体の保護は、消防士、開業医、および類似の状況の作業者にとって問題となることが多い。このような保護では、このような物質に対する障壁となる衣料品が使用されることが多い。標準的な保護衣中にはブチルゴムが使用されることが多い。しかし、ブチルゴムから製造された衣類は、かさばり、空気および湿気がほぼ不浸透性であり(I.Lee,Yang and Wilusz;Polymer Engineering & Science,1996,36,1217)、その結果、使用中の衣類の内側の熱が耐えられない程度になる。他の防護衣料品では、化学的および/または生物学的な障壁となるポリマー材料でコーティングされた布地が含まれる。
【0003】
広範囲の機械的性質および輸送特性を有する種々の透過性材料が周知となっている。しかし、透過性材料が使用されるべき個別の用途に依存して、複数の性質の特定の組み合わせが必要となる。たとえば、防護衣料品用途においては、材料は、水蒸気を輸送することができ、有害な化学物質および/または生物学的物質を遮断することができ、軽量であり、広い温度範囲にわたって可撓性となりうることが望ましい。たとえば膜を有する衣料品の着用者から周囲環境までの水蒸気の輸送を促進し;着用者が快適に感じるために必要な程度まで衣類が湿気を透過することで、熱ストレスを軽減することができ;特定の化合物および生物学的物質の侵入を遮断する膜特性を有する可撓性固体材料となりうる材料が必要とされている。
【0004】
機材は、輸送および保管の間の表面の損傷を防止するために、フィルムまたは防水布、フード、またはその他のカバーで包まれたり包装されたりすることが多い。これらのカバーは、高バリア性(高い水不浸透性)のフィルムおよび布(たとえば、http://www.heritagepackaging.com/productservices/barrierpackaging/bpbasics/bpbasics.htmを参照されたい)から製造することができる。
【0005】
相対的に小さい品物の多くは、フォークリフトまたは小型クレーンによる移動が容易な台であるパレット上で輸送される。パレットは、輸送用コンテナからの品物を載せたり下ろしたりする場合、より少ない量の品物を倉庫内など短距離にわたって移動させる場合、または小売の量を送達する場合に好都合である。小さな品物は、パレット上に載せられる場合、たとえば袋または箱の中で包装されない場合もあるし包装される場合もある。
【0006】
荷物が積まれたパレットは、品物が輸送中に損傷したり紛失したりしないように完全性および安定性を有することが望ましい。必要な完全性および安定性を得るために、パレットおよびその荷物は、典型的には、機械または手作業で取り付けることが可能なポリエチレンストレッチラップのオーバーラップ層などのフィルム中にまとめて包み込まれる。たとえば、米国再発行特許第38429号明細書を参照されたい。荷物が積まれたパレットに完全性および安定性を付与するために一般に実施されている別の方法としては、パレットおよびその荷物を熱収縮性フィルム中に包み込むこと、荷物が積まれたパレットを熱収縮性または伸縮自在であってよいシースまたは「フード」の中に入れること、ならびに1つのカートンまたは箱の中に品物を収容することがあげられる。これらの方法は、個別にまたは一括して「パレット利用」と呼ばれる場合がある。
【0007】
封止された袋の中で小型の物体または物品を包むためにバリアフィルムを使用することは、袋の中に封止される前に物体を乾燥することができる、および/または乾燥剤を封止した袋の中に入れることができるので、一般に好適である。この方法は、典型的にはカバーが物体の周囲で気密封止されず、物体の完全な乾燥が実現できない場合があるため、車、ボート、モーター、機械、工業製品、より小さな物品を保持するパレットまたはコンテナ、ならびにその他の嵩高い機材などの大型の物体の場合にはあまり適してない。このことは、大型の物体が長期間にわたって悪天候にさらされることがあるため、保管中や、船または鉄道による輸送時に特に問題となる場合がある。大気中の水分および/または雨が、カバーの下の空間に入り込んで閉じ込められ凝縮することがある。高バリア性カバーを使用する場合、水がカバーの外側に浸透して戻る経路が存在せず、その結果カバー内部に水分が蓄積し、腐食の可能性が生じる。
【0008】
鉄、鋼、およびその他の金属などの腐食のために、毎年大金が失われている。水分、酸素、および塩の存在など、腐食速度に影響を与える多くの要因が存在する。一般的な腐食は、高湿度条件における電気化学反応のために発生する。たとえば、鉄が湿った空気に曝露されると、酸素と反応してさび(酸化鉄)を形成する。腐食によって、容易に剥落する金属酸化物が形成されることがあり、それによって過度のくぼみ(pitting)が生じ、それによって、金属が構造的に脆弱になり崩壊することがある。腐食は、導電性の低下または表面粗さの増加などの金属部品の他の性質にも影響を与えることがあり、それによって可動部が自由に動かせなくなることがある。
【0009】
金属の腐食に加えて、機材の表面上に凝縮した水分の中でカビの増殖も起こりうる。
【0010】
高い水蒸気透過速度を有するフィルムまたはカバーを使用すると、取り込まれた水分が周囲の雰囲気中に戻る平衡状態となることによって、カバーの内側での水の凝縮を防止することができる。このようなフィルムを使用すると、さびの形成および腐食が防止または軽減され、カビの増殖の可能性が低下する。
【0011】
種々の参考文献には、保護カバーとして有用となりうる種々のポリマーから製造された半透性材料が記載されている。たとえば、米国特許第6,579,948号明細書を参照されたい。最近では、有機酸変性アイオノマー組成物を含む選択透過性膜を含む保護布が開示されている(米国特許第7,514,380号明細書)。
【0012】
多くの従来の透過性膜は微孔質である(すなわち、蒸気が通過できる微細な孔が存在するため透過性である)。不織布の上または間に積層されてもよい微孔質膜は、高い透過性を有するが、透過性が非選択的であるために、液体に対する十分な障壁とならない場合がある。加圧下の液体は、孔に侵入することができてもよい。ほとんどの微孔質フィルムは二軸延伸されており、そのためわずかな量でのみ収縮が可能であり、多孔性を失わずに収縮させることはできない。これらのフィルムは引裂強度が低い場合もあり、表面が汚れやすいために透過性が低下する場合がある。
【0013】
最近、有機酸変性アイオノマー組成物を含む選択透過性膜を含む保護布が開示されている(米国特許第7,514,380号明細書)。この文献に開示されている組成物は、優れた選択透過性が得られるが、特定の不織布地に対する接着性が不十分であって丈夫な防護衣類が得られない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
すべての技術的要求を満たし、費用対効果の高い代替品となる単一材料は出現していないため、機械的性質、低温可撓性、選択的輸送、加工の容易さ、および費用対効果を併せ持ち、それによって、腐食および/またはカビの増殖を制限する物体の保護カバーとしての使用に好適となる、選択透過性膜または構造または層が提供されることが望まれている。
【0015】
本発明は、
(a)(i)および(ii)を含むか、それらから実質的になるか、またはそれらからなる組み合わせであって、(i)が1種類以上のエチレン酸コポリマーであり;(ii)が1種類以上の有機酸であり;酸コポリマーと有機酸との中の酸性基の合計の少なくとも50%が名目上中和されて金属イオンとの塩となっており、金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンである、組み合わせと;
(b)エチレンと、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルとのターポリマーと;
(c)場合により、1種類以上のエチレン含有ポリマーであって、ポリエチレン(PE)ホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、ならびにエチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマーからなる群から選択され、エチレン含有ポリマーがカルボン酸コモノマーを含まない、1種類以上のエチレン含有ポリマーと、
を含むか、またはそれらから実質的になる組成物を含むか、またはそれらから実質的になる選択透過性構造または物品を提供する。
【0016】
本発明の選択透過性構造は、保護物品として使用することができる。特に、本発明の組成物は、水蒸気透過値(MVPV)が少なくとも200g・mil/m2/24hであり、高い水侵入圧を有し;本発明の選択透過性構造の水蒸気透過速度(MVTR)は少なくとも30g/m2/24hである。MVPVおよびMVTRは、37.8℃および相対湿度100%においてASTM F−1249に準拠して測定される。
【0017】
透過性保護構造または透過性保護物品を得ることができる物品は、基材および選択透過性膜を含む、それらから実質的になる、それらからなる、またはそれらから製造され、
この物品は、湿気に対して選択透過性であり、ASTM F2298に準拠して測定される水蒸気透過速度(MVTR)が少なくとも1800g/m2/24hとなることができ;
基材は布地または多孔質シート材料を含み;
膜は、上記開示の組成物を含むか、上記開示の組成物から実質的になるか、上記開示の組成物からなるか、上記開示の組成物から製造することができる。
【0018】
腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法であって、選択透過性保護構造中に物品を包み込むまたは覆うステップを含み、この構造が上記開示のものと同じであってよい、方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
すべての参考文献の開示全体が参照により本明細書に援用され、商品名または商標は大文字で示されている。動詞「is」が後に続く単語は、その主語の定義である場合がある。
【0020】
「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を含み、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを含む。
【0021】
「選択透過性」は、蒸気または気体などの特定の状態の特定の分子のみ透過することができ、他の分子、あるいは液体または固体などの異なる状態は透過できないことを意味する。このような分子は、本明細書において開示される組成物のフィルムまたはシートなどのある種の材料のマトリックス中に溶解または分散することができ、その後その材料に拡散または移行することができる。
【0022】
本発明の選択透過性組成物は、MVPVが少なくとも200、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1200、少なくとも2000、少なくとも4,000g・mil/m2/24hであってもよく、またはさらに高い値であってもよい。MVPVは、組成物を含む膜であって、1ミルの厚さに規格化されたフィルムまたはシートであってもよい膜の透湿性を測定することによる、組成物に固有の透過性の指標の1つである。
【0023】
選択透過性保護物品のMVTRは、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、または少なくとも1000g/m2/24hであってもよく、あるいはさらに高い値であってもよい。MVTRは、単位時間中に物品の最小寸法を透過する全水蒸気を測定したものであり、構造の厚さは無視される。特定の組成およびMVPVの膜の場合、厚さが増加するとともにMVTRが減少する。
【0024】
選択透過性物品は、機械的性質、低温可撓性、選択的輸送、加工の容易さ、および費用対効果を併せ持つ。
【0025】
米国特許第7,514,380号明細書に開示されるように有機酸変性アイオノマー組成物を含む選択透過性組成物を、紙または布などの基材上に押出コーティングをすると、組成物の基材への接着が不十分となることが分かっている。従来、選択透過性組成物(たとえば、コポリエステルアミドコポリマー[PEBAX(登録商標)])の基材に対する接着性を改善するために、20〜30重量%のエチレン(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの混入が行われている。接着性は改善されるが、エチレン(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは、コーティングの湿気透過性に悪影響を及ぼすことがある。
【0026】
驚くべきことに、エチレンアクリル酸(メタ)アクリル酸アルキルターポリマー(たとえば、エチレン(メタ)アクリル酸アクリル酸n−ブチルターポリマー)は、比較的穏やかな加工条件下で有機酸変性アイオノマーの布への接着を促進するのに有効となりうる。(エチレンアクリル酸アルキルジポリマーの場合で典型的な変性量が30重量%であるのに対して)10重量%の量で、このようなターポリマーは、布に対する接着性の向上を示しながら、元の有機酸変性アイオノマーの透湿性は適切に維持した。
【0027】
本発明の組成物から、選択透過性障壁として機能するモノリス膜または連続膜を作製することができる。微孔質膜とは対照的にモノリス連続膜は、高い水侵入圧を有し、耐水性および防液性である。高い水侵入圧は、DIN EN20811:92に記載されるような>150cm(または>250cmまたは>500cm)H2O静水頭を意味する。
【0028】
したがって、モノリス膜は、水などの液体の障壁となるが、適切な条件下では水蒸気が依然として透過性である。モノリス障壁は、水、溶媒、油、腐食性流体などの液体、あるいはほこり、刺激物、カビ胞子、アレルゲン、花粉、動物の鱗屑、毛髪などなどの粒子状物質または固体に対する曝露を防止するのにも有効である。
【0029】
本発明の選択透過性膜は、浸透物質の大きさおよび極性に依存して液体浸透物質に対して選択的であってもよく、すなわち、メタノールよりも高分子量である実質的にあらゆる有機液体よりも高い速度で水を拡散させることが可能となる選択性を有する。
【0030】
酸コポリマーは、好ましくは「直接」または「ランダム」酸コポリマーである。直接またはランダムコポリマーは、すべてのモノマーを同時に加えることによって重合させたポリマーであり、存在するポリマーの上に、多くの場合続いてフリーラジカル反応させることによって、別のモノマーをグラフトさせるグラフトコポリマーとは区別される。
【0031】
1種類以上のエチレン酸コポリマーは、E/Wエチレン酸コポリマーを含んでもよく、式中、Eはエチレンの共重合単位を表し、Wは、コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表し、残りの部分をエチレンが構成することができる。
【0032】
Wは、E/Wコポリマーの約3〜35、4〜25、または5〜20重量%であってよい。Wの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。具体的な酸コポリマーとしては、エチレン/アクリル酸ジポリマーおよびエチレン/メタクリル酸ジポリマーが挙げられる。注目されるエチレン/メタクリル酸ジポリマーの1つは、19重量%のメタクリル酸共重合単位を含む。
【0033】
エチレン酸コポリマーは、米国特許第5,028,674号明細書に開示される「共溶媒技術」の使用などの当業者に周知のあらゆる方法によって製造してもよい。
【0034】
アイオノマーは、酸コポリマーを中和することによって得られる。酸コポリマーの酸性基の少なくとも一部を中和するために、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンなどの金属陽イオンを含む中和剤が使用される。未変性アイオノマーは、米国特許第3,264,272号明細書に開示されているような酸コポリマーから調製される。「未変性」は、ブレンドしていないアイオノマーの性質に影響を与える材料が全くブレンドされていないアイオノマーを意味する。酸コポリマーを使用して、金属化合物で処理することによって未変性で溶融加工可能なアイオノマーを調製することができる。未変性アイオノマーは、酸部分の約15〜約90%または約40〜約75%などのあらゆる程度で名目上中和することができる。
【0035】
有機酸は、36個未満の炭素原子を有する一塩基酸、またはその塩であってもよい。これらの酸は、C1〜C8アルキル、OH、およびOR1(式中、それぞれのR1は独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C6アルコキシアルキル、またはCOR2であり;それぞれのR2はC1〜C8アルキルである)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。
【0036】
有機酸の例としては、C4〜C36(C34、C4~26、C6~22、またはC12~22など)の酸が挙げられる。80%を超え、最大100%までの名目上の中和(すなわち、コポリマーおよび有機酸中のすべての酸部分が名目上中和されるように十分な金属化合物が加えられる)などの高度な中和においては、揮発性が問題とならず、より低い炭素含有率の有機酸を使用してもよいが、有機酸(または塩)が不揮発性(その物質と酸コポリマーとの溶融ブレンド温度において揮発しない)、および非移行性(通常の保管条件(周囲温度)下においてポリマー表面でブルーミングが起こらない)であることが好ましい。有機酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、およびリノール酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機(脂肪)酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。ステアリン酸、アラキジン酸、およびベヘン酸などの飽和有機酸が好ましい場合がある。
【0037】
有機酸は、名称が記載される有機酸と、種々のより少量の構造的に異なる多数の酸との混合物として市販されている場合がある。ある組成物がある名称の酸を含む場合、名称が記載されていない他の酸が、名称が記載された酸の商業的供給物中に存在することが従来知られている量で存在しうる。たとえば、ある市販の酸混合物は、90重量%のアラキジン酸(C20酸)およびベヘン酸(C22酸)混合物と、6重量%のC18酸類と、4重量%のその他の酸類とを含む。
【0038】
これらの有機酸の任意の塩としては、たとえば最終組成物中に存在する金属イオンが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、および/またはセシウム塩、好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩などの少なくとも50%のアルカリ金属イオンを含むアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0039】
酸性基を中和することができる塩基性金属化合物の量は、ブレンド中の酸コポリマーおよび有機酸の中の酸部分の目標とする量を中和する(本明細書においては「%名目上中和」または「名目上中和」と記載する)ために計算された塩基性化合物の化学量論量を加えることによって得てもよい。したがって、十分な塩基性化合物がブレンド中で利用可能となり、それによって全体として記載の程度の名目上の中和が実現できる。E/Wコポリマーおよび有機酸の中の50%、60%、70%、80%、または90%を超える(あるいはさらには100%)の全酸性基を金属イオンで名目上中和されてもよく;金属イオンは、少なくとも50モル%のアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムまたはカリウムを含む。少量のアルカリ土類金属および/または遷移金属イオンの塩がアルカリ金属以外に存在してもよい。
【0040】
金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、またはセシウム、あるいはこのような陽イオンの組み合わせなどのアルカリ金属の化合物を挙げることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、セシウム、あるいはナトリウム、カリウム、および/またはセシウムのあらゆる組み合わせが挙げられ、他のアルカリ金属イオン、遷移金属イオン、またはアルカリ土類イオンなどの他の陽イオンを少量含んでいてもよい。注目される金属化合物としては、アルカリ金属、特にナトリウムおよびカリウムのイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、またはアルコキシド、ならびに、アルカリ土類金属および遷移金属のイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物、またはアルコキシドが挙げられる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムが注目される。
【0041】
エチレン酸コポリマーまたは未変性アイオノマーは、当業者に周知のあらゆる手段によって、有機酸またはその塩および/または金属化合物と混合して、前述の(1)および(2)を含むブレンドされた変性アイオノマー組成物を調製することができる。
【0042】
これは実質的に溶融加工可能であり、1種類以上のエチレン酸コポリマー、1種類以上の一塩基カルボン酸またはその塩、塩基性化合物を混合して混合物を形成し;組成物を製造するのに十分な条件下で混合物を加熱することによって製造してもよい。加熱は、約80〜約350℃、約100〜約320℃、または120〜300℃の範囲内の温度において、その温度に対応する圧力下で、約30秒から約2または3時間の時間で行ってもよい。たとえば、本発明の組成物は、酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを1種類以上の有機酸またはその塩を溶融ブレンドし;同時に、またはこれに続いて、50、60、70、80、90%を超えるレベル、ほぼ100%、または100%のレベルに名目上中和するために酸部分の中和が可能となる十分な量の塩基性金属化合物を混合することによって製造してもよい。成分のごま塩状ブレンドを加熱してもよく、成分を押出機で溶融ブレンドすることもできる。たとえば、二軸スクリュー押出機を使用して、酸コポリマーおよび有機酸(または塩)と金属化合物との混合および処理を同時に行ってもよい。成分が密接に混合され、塩基性金属化合物によって酸性部分が中和されるように、ブレンドが行われることが望ましい。
【0043】
不活性希釈剤を使用しないようなこの方法による(同時または連続した)酸コポリマーおよび有機酸の金属化合物による処理によって、アイオノマー単独の場合に生じる溶融加工性および性質の低下よりも高いレベルでの加工性または靱性および伸びなどの性質の低下を引き起こすことなく組成物を製造することができる。
【0044】
有機酸変性アイオノマーは、E/X/Yエチレン酸ターポリマー、および場合により前述の定義の第2のエチレン含有ポリマーと溶融ブレンドされる。
【0045】
エチレン酸ターポリマーは、好ましくは直接またはランダム酸コポリマーである。エチレン酸ターポリマー成分は、1種類以上のE/X/Yターポリマーを含み、式中、Eはエチレン共重合単位を表し、Xは少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表し、Yは軟化コモノマーの共重合単位を表す(軟化は、ポリマーの結晶性を低くすることを意味する)。
【0046】
Xの例としてはアクリル酸またはメタクリル酸が挙げられ、Xは、E/X/Y コポリマーの約3〜35重量%、4〜25重量%、または5〜20重量%であってよく、エチレンは残りの部分を構成することができる。Yの例としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、またはそれらの組み合わせが挙げられ、アルキル基は1〜8個、または1〜4個の炭素原子を有する。YがE/X/Yコポリマーの少なくとも1重量%、または約2〜約35重量%で存在するE/X/Yコポリマーが注目される。エチレンはE/X/Yターポリマーの残りの部分を構成することができる。
【0047】
具体的なターポリマーとしては、エチレン/アクリル酸/アクリル酸n−ブチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸n−ブチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸イソブチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸イソブチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸メチル、エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル、エチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル、およびエチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エチルターポリマー、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0048】
好ましくは、(1)および(2)の変性アイオノマーの組み合わせが調製され、続いて、E/X/Yターポリマーとブレンドされる。E/Wジポリマーを有機酸変性アイオノマーに変換する前または同時にE/X/YターポリマーとE/Wジポリマーとのブレンドを行うと、基材に対する接着性の改善が観察されない組成物が生じうる。
【0049】
場合により、追加のエチレン含有ポリマーが、有機酸変性アイオノマーおよびE/X/Yターポリマーとブレンドされてもよい。このようなポリマーとブレンドすることによって、後述の基材に接着する場合に、より良好な加工性、改善された靱性、強度、加工性、および/またはブレンドの相溶性を得てもよい。本発明の組成物は、0〜60重量%、好ましくは0〜30重量%、たとえば0.1〜60重量%または0.1〜30重量%の追加のエチレン含有ポリマーを含んでもよい。
【0050】
エチレン含有ポリマーとしては、ポリエチレン(PE)ホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。PEホモポリマーおよびコポリマーは、種々の方法、たとえば周知のZiegler−Natta触媒重合(たとえば、米国特許第4,076,698号明細書および米国特許第3,645,992号明細書)、メタロセン触媒重合、VERSIPOL触媒重合、およびフリーラジカル重合によって調製することができる。重合は、溶液相法、気相法などとして行うことができる。PEポリマーの例としては、高密度PE(HDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、低密度PE(LDPE)、極低密度または超低密度PE(VLDPEまたはULDPE)、メタロセンを使用して製造された高い可撓性および低い結晶性を有するより低密度のPE(mPE)を挙げることができる。メタロセン技術は、たとえば米国特許第5,272,236号明細書、米国特許第5,278,272号明細書、米国特許第5,507,475号明細書、米国特許第5,264,405号明細書、および米国特許第5,240,894号明細書に記載されている。
【0051】
PEの密度は、約0.865g/cc〜約0.970g/ccの範囲となりうる。直鎖状PEは、記載の密度範囲内に密度を低下させるために、ブテン、ヘキセン、またはオクテンなどのα−オレフィンコモノマーを含むことができる。たとえば、コポリマーは、3〜20個の炭素原子を有しコポリマーの最大約20重量%の別のα−オレフィンと共重合する主要部分(重量基準)のエチレンを含むことができる。別のα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、またはそれらの2種類以上の組み合わせである。エチレン/オクテンコポリマーを含むメタロセンポリエチレンが注目される。
【0052】
PEコポリマーは、二重結合を有する少量の不飽和化合物を含有するエチレンプロピレンエラストマーであってもよい。本明細書において使用される場合、用語「PE」は、前述のエチレンを含むポリマーのいずれかまたはすべてに言及するために総称的に使用される。
【0053】
ブタジエン、ノルボルナジエン、ヘキサジエン、およびイソプレンなどのジオレフィン成分を少量有するエチレンコポリマーも一般に好適となる。エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)などのターポリマーも好適となる。
【0054】
エチレン含有ポリマーとしては、エチレンと、少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマー、たとえば、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸エステルコポリマー、エチレン/メタクリル酸エステルコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/COコポリマー、エチレン/アクリル酸エステル/COコポリマー、および/またはこれらのいずれかの混合物を挙げることができる。
【0055】
EVAとしては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合、またはエチレンと、酢酸ビニルと、追加のコモノマーとの共重合によって得られるコポリマーが挙げられる。酢酸ビニルコモノマーは、2〜45重量%または6〜30重量%が酢酸ビニルから誘導されうる。EVAは、ASTM D−1238に準拠して測定して0.1〜60g/10または0.3〜30g/10分のメルトフローレートを有しうる。2種類以上の異なるEVAの混合物を使用しうる。
【0056】
エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーとしては、エチレンと1種類以上の(メタ)アクリル酸C1~8アルキルとのコポリマーが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルが挙げられる。コポリマーの例としては、エチレン/アクリル酸メチルコポリマーエチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルは、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー中に、2〜45重量%、5〜45重量%、10〜35重量%、または10〜28重量%で混入されうる。
【0057】
エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは、当業者に周知の方法によりオートクレーブまたは管型反応器のいずれかを使用して調製しうる。たとえば、米国特許第2,897,183号明細書、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書、および米国特許第6,518,365号明細書を参照されたい。エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの製造方法は周知であるので、簡潔にするための本明細書においてそれらの説明は省略する。管型反応器によって生成されたエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは、ELVALOY(登録商標)ACなどがE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)(DuPont)から市販されている。エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーは分子量を大きく変動させることができ、ポリマーのメルトインデックス(MI)グレードの選択は、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの性質と中和された有機酸およびエチレン酸コポリマーの性質とのバランスをとることによって行うことができ、それによって特定の可変透過性構造体に必要とされる可撓性および構造特性の所望の組み合わせを得ることができる。2種類以上の異なるエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーの混合物を使用することができる。第2の組成物が、5〜30重量%で存在する少なくとも1種類のエチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーを有する方法が注目される。
【0058】
好ましくは、(1)および(2)の変性アイオノマーの組み合わせが調製され、続いてE/X/Yターポリマーおよび場合によるエチレン含有ポリマーとブレンドされる。しかし、ある実施形態においては、その調製中またはE/X/Yターポリマーとブレンドする前に、エチレン含有ポリマーを有機酸変性アイオノマーの成分と溶融ブレンドしてもよい。すなわち、E/Wジポリマーおよび有機酸のエチレン含有ポリマーとのブレンドおよび中和は、1つのプロセス作業中に同時に行ってもよい。
【0059】
別の実施形態においては、(1)および(2)の変性アイオノマーの組み合わせを調製し、エチレン含有ポリマーと溶融ブレンドし、次にエチレン酸ターポリマーと溶融ブレンドしてもよい。たとえば、有機酸変性アイオノマーとエチレン含有ポリマーとのごま塩状ブレンドをそれらの溶融温度よりも高温まで加熱して混合してもよく、または成分を押出機中で溶融ブレンドしてもよい。得られる組成物は、たとえばペレットとして回収してもよく、続いてE/X/Yターポリマーとブレンドしてもよい。
【0060】
別の実施形態においては、有機酸変性アイオノマーの調製と、エチレン含有ポリマーおよびエチレン酸ターポリマーとの溶融ブレンドとを同時に行ってもよく、すなわち1つのプロセス作業中に行ってもよい。有機酸変性アイオノマーと、エチレン含有ポリマーと、エチレン酸ターポリマーとのごま塩状ブレンドを、それらの溶融温度よりも高温まで加熱して混合してもよく、あるいは、ペレットブレンドをあらかじめブレンドした後、または計量した量で成分を押出機中に供給することによってのいずれかで、成分を押出機中で溶融ブレンドしてもよい。
【0061】
ポリマー樹脂をブレンドする場合、流動性が高いまたは低粘度の樹脂は、流動性がより低い他の樹脂よりも容易に流動する傾向がある。この溶融レオロジー効果のために、溶融ブレンドプロセス中、流動性の高い樹脂のブレンド中への分散および分布がより効率的となる傾向にあり、より高い溶融剪断場との界面においてより効果的に分布することができる。ブレンドおよび押出の条件に依存するが、エチレン含有ポリマーおよびE/X/Yターポリマー成分は、押出物の表面付近に集中し、基材への接着が改善されることがある。
【0062】
一実施形態は、組成物が、
(a)(a)、(b)、および(c)のブレンドされた組み合わせを基準として30〜99重量%の、
(1)(1)および(2)の組み合わせを基準として70〜90重量%の1種類以上のE/Wエチレン酸コポリマーまたは酸コポリマーのアイオノマー(式中、Eは、エチレンの共重合単位を表し、Wは、コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表す)と;
(2)(1)および(2)の組み合わせを基準として10〜30重量%の4〜36個の炭素原子を有する1種類以上の有機酸、またはその塩との組み合わせであって;E/Wコポリマーおよび有機酸の中の酸性基の合計の少なくとも50%が名目上中和されて金属イオンとの塩となっており;金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンである組み合わせと;
(b)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として1〜30重量%のE/X/Yエチレン酸ターポリマー(式中、Eはエチレンの共重合単位を表し、Xは、コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表し、Yは、コポリマーの約1〜約35重量%で存在し、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの共重合単位を表し、(a)、(b)、および(c)の合計は100重量%である)と;
(c)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として0〜60重量%の1種類以上の第2のエチレン含有ポリマーであって、ポリエチレンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、ならびにエチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマーからなる群から選択され、不飽和カルボン酸コモノマーを含有しない第2のエチレン含有ポリマーと
を含むか、それらから実質的になるか、またはそれらからなる実施形態である。
【0063】
本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として0.01〜15重量%、0.01〜10重量%、または0.01〜5重量%の添加剤をさらに含むことができ、添加剤としては、可塑剤、粘度安定剤および加水分解安定剤などの安定剤、一次および二次酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、またはその他の着色剤、無機フィラー、難燃剤、潤滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの補強剤、合成(たとえば、アラミド)繊維またはパルプ、起泡剤または発泡剤、加工助剤、スリップ剤、シリカまたはタルクなどのブロッキング防止剤、剥離剤、粘着付与樹脂、またはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。これらの添加剤は、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyに記載されている。
【0064】
添加剤は、乾式ブレンド、種々の構成要素の混合物の押出成形、従来のマスターバッチ技術などのあらゆる周知の方法によって組成物に混入することができる。
【0065】
本発明の組成物は、限定するものではないが、リン化合物類、酸化アンチモン類、およびハロゲン化合物類、特に臭素化合物類、ならびに当技術分野において周知のその他のものなどの化学添加剤などの難燃剤をさらに含むことができる。これらの添加剤の充填量は、(最終風乾組成物または風乾フィルムの重量の)20から30%または約25%の間であってよい。
【0066】
本発明の組成物は、フィラー、繊維、またはパルプも含むことができ、その添加量は全組成物の最大30〜40重量%であってもよい。これらの材料によって、組成物の選択透過性に悪影響を与えることなく、組成物の機械的性質の補強またはその他の改質を行うことができる。フィラーとしては、たとえば、カーボンブラック、TiO2、炭酸カルシウム(CaCO3)などの無機材料が挙げられる。短繊維などの繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などが挙げられる。パルプとしては、たとえばアラミドマイクロパルプが挙げられる(マイクロパルプは約0.01〜約100マイクロメートルの体積平均長さを有する)。
【0067】
本発明のポリマー組成物は、フィルムまたはシートに成形したりそれらの中に混入したりすることができる。フィルムは、ポリマー組成物の平坦面上またはフィルム中へのキャスティング、溶融ポリマー組成物を押出機から押し出すことによるキャストフィルムの形成、あるいはポリマー組成物フィルムの押出成形およびブロー成形による押出ブローフィルムなどの周知の技術によって製造することができる。
【0068】
これらのフィルムは、1〜2500μmの厚さを有することができ、多くの保護カバー用途に好ましい厚さは約5〜10ミルの厚さ、または約120〜250μmの厚さである。
【0069】
本発明の保護構造は、たとえば、防水シート、カバー、衣類などの形態であってよい。本発明の組成物から得られる膜は、保護構造に加えられる材料の層として存在することができるし、保護構造中に組み込まれる布の一成分として存在することもできる。以下により詳細に説明するように、一般に本発明の組成物の層および支持基材は、積層または重ね合わせる方法で配置して保護構造を得ることができる。基材とともに使用する場合、本発明の選択透過性組成物は約10〜約250μmの厚さを有することができる。本発明の膜組成物は、種々の技術および方法によって基材に加工したり基材に適用したりすることができる。
【0070】
本発明の組成物は、限定するものではないが、基材への押出コーティング、または溶融形態で組成物の内部層を塗布して基材に互いに接着することによる2つの基材層の積層などによって、溶融条件下で基材に塗布することができる。ある実施形態においては、本発明のポリマー組成物は、布含浸およびコーティング技術を使用して基材上に直接コーティングすることができる。たとえば、本発明の選択透過性組成物は、(押出コーティング、吹き付け、塗装、またはその他の適切な塗布方法によって)基材上に直接塗布されるコーティングである。このようなコーティングは、ゴム製ドクターブレードまたはスリット押出機の使用などの当技術分野において周知の塗布方法を使用して塗布することができる。
【0071】
本発明の組成物は、布地基材の片面または両面に塗布することができる。基材の片面上にコーティングまたは塗布される場合、本発明の組成物を、環境に直接露出する面に塗布して、液体不浸透性外面を得ることができる。あるいは、機械的摩耗または摩滅が生じうる用途においては、本発明の組成物を、機械的摩耗に曝露される面と反対側の布地基材の面に塗布することで、ポリマー組成物を保護することができる。
【0072】
別の実施形態においては、本発明の組成物を基材中に含浸させることができ、基材を本発明のポリマー中に含浸させることができる。
【0073】
本発明の選択透過性組成物は、溶融組成物を基材に塗布し、次に基材の孔隙と接触させながら組成物を冷却することで、基材に組成物を含浸させることによって、少なくとも部分的に基材中に形成することができる。
【0074】
本発明の組成物は、目の粗い織布などの基材全体に分散させることができ、この場合、組成物が基材中の間隙に充填され、基材の表面上だけに接着することがない。積層または同時押出法によって、基材を選択透過性膜の内側に含浸させて、基材の両面上に透過性組成物を有することができる。
【0075】
本発明の組成物は、サンドイッチ状に布地の2つの層の間に配置することもできる。数層の組立体を、上下に組み合わせることもできる。たとえば、この構成は、保護構造の所望の用途に依存して、選択透過性膜層、基材層、もう1つの選択透過性膜層、もう1つの基材層などを含むことができる。他の構成では、これらを混合したものなどを含めた複数の選択透過性膜層、複数の基材層などの上記のサンドイッチ構造の変形を含むことができる。
【0076】
本発明の組成物から得た膜は、保護構造に加えられる材料の層として存在することができ、または保護構造中に組み込まれる布の一成分として存在することもできる。従来、防水シートまたはその他のカバーとして使用されたコーティング布は、少なくとも1つの耐摩耗性外層を有する場合があり、この外層は一般に、高い可撓性、摩耗、摩滅、けば立ち、および擦過による擦傷に対する高い抵抗性、高い機械的強度、ならびに靱性が一般に要求される。コーティング組成物は好ましくは、布、ならびにプラスチックフィルム、および紙や板紙などのセルロース系材料などの他の基材に対する良好な接着性を示す。これらは、良好な溶融加工性、良好な着色性、良好な印刷適正、ならびに高い透明性および/または光沢を示すことも望ましい。これらの用途の従来のコーティング組成物としては、可塑化されたまたは可撓性のポリ塩化ビニルが挙げられる。本明細書に記載の組成物は、選択透過性であるために、従来のコーティング材料よりも優れたコーティング組成物となる。
【0077】
本発明の組成物はフィルムまたはシートの形態であってよく、このフィルムは、布地に隣接して上に重なって機械的に維持または固定される。機械的な固定としては、留め金、ジッパー、マジックテープなどの締結具の使用が挙げられる。機械的固定としては、糸または繊維を使用した縫い合わせまたはキルティングも挙げられる。
【0078】
本発明の選択透過性膜は、膜層と基材との間に適合した接着剤を使用することによって基材に取り付けたり接着したりすることができる。構造の水蒸気透過性を維持するため、ある実施形態において、接着剤は膜層と基材との間の不連続層として存在し、多くの場合、接着剤は、たとえば基材表面の約10〜約40パーセントを覆う接着剤の一連の点として塗布することができる。接着剤は、膜および基材の縁端部付近に選択的に塗布することもできる。
【0079】
本発明の選択透過性膜は、ヒートシールまたは高周波(HF)溶接によって基材に取り付けることもできる。積層体は、ヒートプレスおよびカレンダー加工などのあらゆる周知の方法、あるいは層に熱を加え、次にさらに熱を加えることなく互いに押し付けることによってヒートシール(熱接合)することができる。いずれの場合も、次に軟化した層または成分によってフィルム構造が基材に接合される。ヒートシールまたはHF溶接のいずれにおいても、フィルムの基材への接合は、フィルムおよび基材の全領域にわたって連続の場合もあるし、不連続の場合もある。不連続な接合は、フィルムが基材に重なる領域の選択された部分に熱またはHF放射線を与えることによって行うことができる。
【0080】
本明細書に記載の選択透過性組成物は、最大600μm、または最大400μm、または最大200μmの大きさの粒子の粉末として調製することができる。粉末組成物は、約100〜約600μmで大きさが変動する粒子を含むことができる。粉末組成物の平均粒度は約150〜約200μmであってよい。本発明の組成物は、基材への塗布に適した所望の粒度が得られる当技術分野において周知の方法によって、粉砕、粉末化、またはその他の処理を行うことができる。
【0081】
粉末は、粉末散布などの技術によって基材に塗布することができ、基材の有効幅にわたって粉末を均等に分布させ、その後溶融させ、平滑化し、冷却して基材上に組成物の均一なコーティングが得られる。
【0082】
積層体は、接着促進物質または汚染物質遮断物質の層をさらに含むことができ、この物質は、選択透過性であり、耐摩耗性ポリマーであってもよく、選択透過性層に隣接して配置される。たとえば、この物質は、ウレタン官能基を有してもよく、約2.5〜12μmの厚さを有することができる。この層中に使用できる別のポリマーとしては、種々のエラストマー、反応性材料、および接着剤が挙げられる。好ましくは接着促進ポリマー層がフィルムとして存在するが、この層は基材のコーティングまたは含浸物でありうる。熱プレス、接合、カレンダー加工などによって積層対の層を1つにまとめることによって積層体が形成される場合、このさらなる接着促進ポリマー層が特に有用となる。この場合、耐摩耗性ポリマー層は、好ましくは選択透過性層と適合性であり、それによって部材を熱プレスしたときに、それらが互いに接着する。
【0083】
基材は、構造の機能性および取り扱い性を向上させるために、支持、形状、審美的効果、保護、表面テクスチャー、嵩容積、重量、またはそれらの2種類以上の組み合わせを付与するあらゆる材料であってよい。
【0084】
基材は、選択透過性組成物を組み込むのに役立つ媒体であってよいし、透過性を妨害しないように膜を機械的に支持してもよい。好ましくは基材は、選択透過性膜の水蒸気拡散よりも多い水蒸気拡散を示し、それによって構造の水蒸気拡散特性が、本発明の選択透過性組成物によって実質的に得られる。すなわち、基材は、水蒸気による層状構造の透過に実質的に影響を与えず、たとえば少なくとも1.8、4、5、またはさらには10Kg/m2/24時間の測定MVTRを有してもよい。
【0085】
この所望の特性に適合するあらゆる支持体または基材を本発明の選択透過性組成物とともに使用することができる。例としては、布地または多孔質シート材料が挙げられる。不織布などの合成繊維紡糸布から製造したシートを、布地基材として使用することができる。織布、メリヤス生地などの布も布地基材として好適である。布は、前述した難燃剤、フィラー、または添加剤を含むことができる。
【0086】
たとえば、布は、Bradford,RIのBradford Dyeing Association,Inc.によるものなどの50%ナイロン−50%綿の混紡織布(NYCOとも呼ばれる)を含むこともできる。注目される布は、Millikin and Company(Spartanburg,SC)のポリエステル織布である。
【0087】
基材は布地として一般に説明されるが、基材は、選択透過性組成物の分散物を1つまたは複数の層の上に配置したり、それらの中に収容したりすることができるあらゆる他の材料であってよい。
【0088】
たとえば、ペーパーウェブ(たとえばクラフト紙またはわら紙)などのセルロース系材料、合成繊維紡糸布、不織布地、微孔質フィルム、またはさらには有孔PEフィルムなどの開口面積のパーセント値が大きい有孔フィルムから製造された材料を基材の材料として使用してもよい。これらの材料は、繊維で補強してもよい。注目される微孔質フィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせから製造してもよい。これらのフィルムは、単層または多層のフィルム(たとえば、ポリエチレンの2つの外層の間にポリプロピレンの1つの内層を含む3層フィルム)であってよい。微孔質フィルムは、Celgard,LLC,Charlotte,NCよりCELGARD の商品名で入手可能である。
【0089】
微孔質フィルムに適したポリマーは、(1)固有粘度が少なくとも18、好ましくは18〜39デシリットル/グラムである直鎖状超高分子量ポリエチレン、(2)固有粘度が少なくとも6デシリットル/グラムである直鎖状超高分子量ポリプロピレン、および(3)(1)と(2)との混合物である。
【0090】
微孔質フィルムは、微粉砕された粒子状で実質的に水不溶性の無機フィラー、たとえばケイ酸含有フィラーを含むことができ、この無機フィラーはマトリックス全体に分散され、フィルムの全重量を基準として50〜90%、特に50〜85%の量で存在する。フィラーは、シリカ、沈降シリカ、または0.1μm未満の平均最終粒度を有するシリカであってよく、微孔質フィルムの全体積の35〜80%を占めることができる。これらは比較的狭い範囲の孔径を有するので、フィラーと、プロセス油、たとえばパラフィン系油、ナフテン系油、または芳香族系油とが均一に分散したポリマー組成物を押出成形し;続いてプロセス油を、たとえばトリクロロエチレンで抽出することによって、フィルムを製造してもよい。あるフィルムは、たとえば米国特許第4,937,115号明細書および米国特許第3,351,495号明細書に開示されており、PPG Industriesより商品名TESLINで販売されている。
【0091】
多孔質または有孔フィルムの具体例としては、商品名CELGARD K878でHoechst Celanese Corpより入手可能な多孔度が約55%であり孔径が約0.25ミクロンである多孔質PEフィルム;商品名MSX 1137Pで3M Co.より入手可能な多孔質PEフィルム;および名称Van Leer 10XでVan Leer Corpより入手可能なフィラー含有多孔質PEフィルムが挙げられる。TESLIN SP7は、フィラー含有多孔質PEフィルムであり、約60%のシリカを含有し、厚さが約0.18mm(0.007インチ)であり、前述のように測定される引裂強度が約90gであり、多孔度が約65%であり、平均孔径が約0.1ミクロンであり、最大孔径が4〜10ミクロンである。TESLIN X457は、TESLIN SP7と類似しているが、より多孔質である。TESLIN SP10は、TESLIN SP7と類似しているが、厚さが約0.25mm(0.010インチ)である。これら3つすべてのTESLINフィルムは、PPG Industriesより入手可能である。厚さ0.11mm(4.5ミル)であり、開口領域が約36%である有孔高密度ポリエチレンフィルムが、商品名DELNETでApplied Extrusion Technologiesより入手可能である。
【0092】
基材は、フルオロポリマーを含む多孔質シート材料であってよい。基材は、W.L.Gore & Associates(Wilmington,DE)などの多くの企業から入手可能な発泡ポリテトラフルオロエチレンから製造されたシート材料であってよい。他の多孔質基材としては、多孔質または微孔質ポリウレタンフィルム、フラッシュ紡糸ポリプロピレンなどのある種のフラッシュ紡糸不織布、およびその他のスパンボンドポリマー布、Milliporeなどの企業によるフィルター材料、ナノ繊維またはマイクロ繊維構造、天然または合成繊維、寸法安定性を付与するその他の関連する支持体、あるいはそれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0093】
保護構造は、接着層、断熱層、クッション層、吸収層、反応性層などの他の層をさらに含むことができる。
【0094】
絶縁層およびクッション層は、たとえば、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む有機熱可塑性繊維系材料を含むことができる。たとえば、断熱層またはクッション層は、ポリエステルを含む繊維充填バットである。THERMOLITE ACTIVE ORIGINALとしてDuPontより販売される繊維充填バットが好適である。あるいは、断熱層は、THINSULATEとして3Mより販売されるメルトブローンポリオレフィンなどのメルトブローン繊維を含むことができる。これらは、ガラス繊維バットなどの他の材料を含むこともできる。
【0095】
選択透過性組成物の機械的性質および加工の容易さ、ならびにその水蒸気を移動させ液体を遮断する能力を、支持基材と組み合わせることによって、輸送中および保管中に物品を覆うまたは取り囲むために保護構造を使用可能になる。このようにして製造された構造は、選択透過性膜または選択透過性構造とも呼ばれる。選択透過性構造の機械的性質および加工の容易さ、ならびにその水を輸送し有機分子を遮断する能力は、支持基材と組み合わせることによって、その保護構造が、たとえば健康管理または軍事用途における化学的および/または生物学的防護衣などの種々の用途に使用可能となる。例としては、前述の選択透過性保護構造の種々の実施形態のいずれかを含む化学的および/または生物学的防護衣料品が挙げられる。生物学的障壁は、たとえば血液、血清、およびその他の体液中に存在する場合、または、エアロゾルとして存在する場合がある細菌、微生物、ウイルスなどの有害または望ましくない生物学的物質に対する抵抗性が得られる任意の構造である。
【0096】
本発明の保護構造は、手術室、患者の見舞人、医学的、歯科的、および類似の用途などのガウンおよびその他の衣料品などの健康管理用途などの防護衣類中に使用することができる。このような衣料品は、たとえば、ガウン、エプロン、シャツ、ズボン、外套、手袋、靴、ブーツ、オーバーブーツ、靴下、フード、帽子、キャップ、マスク、およびゴーグルからなる群から選択することができる。他の健康管理用品は、たとえばスクリーン、ドレープ、および通気性ドレッシングからなる群から選択することができる。
【0097】
防護衣類は、生物学的物質および/または化学物質、熱、刺激物などからの保護を必要とする軍関係、食品の調製、輸送、工業、および製造の手順における他の用途に使用することもできる。本発明の選択透過性構造に特有の性質は、化学的脅威にさらされる状況における「第一応答者」、または危険物の取り扱いのための保護衣などの用途に有用となる。健康管理用途に関して前述した衣料品に加えて、防護衣料品としては、ヘルメットおよびガスマスクも挙げることができる。
【0098】
本発明の選択透過性保護構造は、生物学的物質および/または化学物質の流出に対応するために使用される布にも好適となりうる。本発明の構造は、テント、天幕、およびその他のシェルター用の布に使用することができる。ある場所から別の場所への物質の移動を遮断するので、これらの使用によって保護することができる。
【0099】
選択透過性構造の他の使用としては、輸送および保管の間の物体の被覆が挙げられ、これによって液体の水から保護しながら水蒸気を密閉空間外に透過させ、密閉空間内での水分の蓄積を防止し、それによって腐食、カビの増殖、および過剰の水分によって生じるその他の有害効果の可能性が軽減される。
【0100】
カバーまたは包装材料を製造するために種々の構造配置を使用することができる。たとえば、透過性が変化する多層構造は、材料の可撓性シートの形態であってよい。シート材料は、従来のプラスチックフィルムが使用される方法と同じ方法で、腐食から保護するために物品の周囲に巻き付けることができる。一部の構造配置は以下の通りである。
【0101】
(1)包装される物体の周囲に巻き付けたり上に載せたりすることが可能な選択透過性構造を含む材料のフィルムまたはシート。
【0102】
たとえば、機材の一部またはパレットおよびその荷物であってよい物体は、機械によってまたは手作業によって使用することができるフィルムの重なり合う層の中に包み込むことができる。これらのフィルムは、比較的長く幅が狭くてよく、ロールから送り出すことができる。フィルムは、延伸可能、または熱収縮性であってもよい。機械を使用して直線状に延伸されるラップフィルムで物体を包み込むことは、たとえば、物体をターンテーブル上に載せて回転させながら、フィルムを水平方向に供給し、その位置を垂直方向に変化させることによって、重なり合う層の中に物品を包み込むことによって行うことができる。手持ち式フィルムディスペンサーを作業者が使用して、十分な量のフィルムが取り付けられるまで荷物が積まれたパレットの周囲を歩くことによって、フィルムを手作業で取り付けることもできる。
【0103】
熱収縮性フィルムは、物体の周囲に巻き付けて、熱を加えることによって収縮させて、フィルムを物体の周囲にしっかりと適合させることができる。
【0104】
他の例としては、物体の上に載せることができ、(たとえばストラップ、ロープ、ゴムバンドなどを使用して)その場に機械的に固定してもよい、防水シートなどの、長さおよび幅が同程度である実質的に平坦な長方形シートが挙げられる。
【0105】
これらの包装形態は、異なる大きさ形状の多種多様な物体を特定の時間または場所において包装する場合に好ましい場合がある。
【0106】
(2)本明細書に記載の選択透過性構造のみで構成される、あるいは他のプラスチック材料、織布または不織布などの他の材料を含み、その上に選択透過性構造を含む窓、パッチ、または領域が存在する、袋、パウチ、フード、またはシース。
【0107】
これらの包装形態は、包装される物体を収容可能なくぼんだ形状に成形されたシートまたはフィルムから製造される。
【0108】
このようなものとしては、熱収縮性フードおよびパレットストレッチフードが挙げられる。パレットストレッチフードは、延伸されてパレットおよびその荷物をぴったりと覆う弾性シースである。パレットストレッチフードは、次にその弾性特性のため収縮し、その収縮力によって、荷物が積まれたパレットの完全性および安定性が得られる。
【0109】
これらの包装形態は、類似の大きさおよび形状の多数の物体が特定の時間または場所において包装される場合に好ましい場合がある。
【0110】
(3)選択透過性構造のみで構成される、あるいは可変透過性多層構造の1つ以上の窓を上に有する他の材料で一部が構成される、桶、箱、大箱などの剛性または半剛性または可撓性の構造。
【0111】
(4)選択透過性構造のみで構成される、あるいは選択透過性構造の1つ以上の窓を上に有する他の材料で一部が構成される、蓋材料。この蓋材料は、桶、箱、大箱などの剛性または半剛性または可撓性の構造とともに使用して、選択透過性構造を含む包装材料を作製することができる。
【0112】
(5)所望の透過性を付与するための包装材料の設計された開口部の上の選択透過性構造のパッチ。
【0113】
(6)適切な時点で使用者が選択透過性構造を環境に曝露することが可能となる取り外し可能な保護カバーによって選択透過性構造が覆われる包装材料。たとえば、保護カバーは、希望する時に選択透過性構造の表面から剥離することができる、選択透過性構造に対して低接着性の材料を含むことができる。あるいは、カバーは、包装材料中で選択透過性構造の上に重ねられるが、選択透過性構造には接着しない取り外し可能な材料であってもよい。たとえば、保護カバーは、希望するときに取り外すことができる保護(バリアなど)材料の蓋、フラップ、またはパッチであってよい。保護カバーは、包装材料中で選択透過性構造のパッチまたは窓の上に配置することができる。
【0114】
この形態の保護カバーは、雨またはその他の荒れた天候の間に基材を非常によく保護することができ、その後バリアフラップを取り外すことで、選択透過性膜を介して水分を排出することができる。
【0115】
これらの構造の多数の変形も可能であり、そのような構造は、本開示を読めば当業者には明らかとなるであろう。
【0116】
腐食またはカビの増殖による物品の損傷を制限する方法において、物品は上記開示の選択透過性保護構造で包み込むまたは覆うことができ、この包み込むことまたは覆うことは気密性である場合もあるし気密性でない場合もある。
【0117】
実証および例示のために以下の実施例を提供するが、これらの実施例は本発明の範囲を不当に限定するものではない。
【実施例】
【0118】
温度および圧力の制御された条件下で規定の毛細管を通過するポリマーの質量流量MIを、ASTM 1238に準拠し190℃において2160gの重りを使用してg/10分の単位で測定した。
【0119】
高い水透過性(>100g/m2・24h)のサンプルの場合、水蒸気透過試験を、Mocon PERMATRAN−W 101K上で、ASTM D6701−01に準拠し、37.8℃、相対湿度100%において行った。他のサンプルの場合、透過試験はMocon PERMATRAN−W 700上で、ASTM F1249−01に準拠して行った。フィルムサンプルに関する水蒸気透過値(MVPV)は、g・mil/m2・24hの単位で報告され、一方、MVTRはg/m2・24hの単位で報告される。本発明の組成物のMVPVは、少なくとも800(または少なくとも1200)g・mil/m2/24hであった。
【0120】
材料の「通気性」または蒸発耐性の別の測定方法では、ASTM F1868、ISO 11092に準拠したGuarded Sweating Hotplate Testを使用する。
【0121】
多層構造の水蒸気透過速度(MVTR)
これは、MVTR測定のInverted Cup法[ASTM E 96 Procedure BW,Standard Test Methods for Water Vapor Transmission of Fabrics(ASTM 1999)]から得られる方法によって測定される。上部に開口部を有する容器に水を加え、開口部最初に発泡PTFEフィルム(「ePTFE」)の水蒸気透過性(液体不浸透性)層で覆い、次にMVTRを測定するサンプルで覆い、最後に、織布オーバーレイ層[耐久性撥水仕上剤で処理したNYCO50:50ナイロン/綿混紡、6.7oz/yd2(0.23kg/m2)]で覆う。これら3層を封止して固定し、30分間反転させて層のコンディショニングを行い、最小0.001gの単位まで秤量し、次に、反転させた状態で乾燥窒素流と接触させる。23℃において19時間後、サンプルを再度秤量し、次式によってMVTRを計算する(kg/m2・24h):
MVTR=1/[(1/MVTRobs)−(1/MVTRmb)]
(式中、MVTRobsは、実験で観測されたMVTRであり、MVTRmbは、ePTFE防湿バリアのMVTR(別に測定される)である)。値は、3回繰り返したサンプルの結果の平均である。
【0122】
本明細書に記載の選択透過性組成物を含むフィルム層に関連する透湿性を示すために、以下に列挙する材料から押出キャストフィルムを作製した。本発明の選択透過性組成物は、その基材に対する接着性を示すために、基材上への押出コーティングも行った。
【0123】
熱可塑性組成物は、加圧下で加熱すると流動可能なポリマー材料である。メルトインデックス(MI)は、温度および圧力の制御された条件下で規定の毛細管を通過するポリマーの質量流量である。本明細書において報告されるメルトインデックスは、ASTM 1238に準拠し190℃において2160gの重りを使用して測定され、MI値はg/10分の単位で報告される。
【0124】
使用した材料
EAC−1:19重量%のメタクリル酸を有するエチレン/メタクリル酸ジポリマー、MIは395g/10分である。
EAC−2:エチレンと、アクリル酸n−ブチル(28重量%)と、アクリル酸(6.2重量%)とを含むターポリマー、MIは200g/10分である。
EAC−3:エチレンと、アクリル酸n−ブチル(23.5重量%)と、メタクリル酸(9重量%)とのターポリマー、MIは200g/10分である。
EAC−5:エチレンと、アクリル酸n−ブチル(15.5重量%)と、アクリル酸(8.5重量%)とのターポリマー、MIは60g/10分である。
EAC−6:エチレンと、アクリル酸n−ブチル(15.5重量%)と、アクリル酸(10.5重量%)とのターポリマー、MIは60g/10分である。
ABA:90重量%のアラキジン酸およびベヘン酸の混合物と、6重量%のC18酸と、4重量%の別の酸とを含有する混合物、商品名HYSTRENE(登録商標)9022でChemturaより市販される。
EMA−1:24重量%のアクリル酸メチルを有するエチレン/アクリル酸メチルコポリマー、MIは20g/10分である。
EBA−1:35重量%のアクリル酸ブチルを有するエチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、メルトインデックスは40g/10分である。
EBA−2:27重量%のアクリル酸ブチルを有するエチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、メルトインデックスは4g/10分である。
Mod−1:EAC−2と5重量%のABAとのブレンドであり、ターポリマーとABAとの中のカルボン酸基の合計の93%が中和されてカリウム塩になっているブレンド。
EMA−2:20重量%のアクリル酸メチルを有するエチレン/アクリル酸メチルコポリマー、MIは8g/10分である。
アイオノマーI−1:エチレンと、アクリル酸n−ブチル(23.5重量%)と、メタクリル酸(9重量%)とを含み、水酸化ナトリウムを使用して52%がナトリウムで中和されているターポリマー、MIは1である。
【0125】
Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機を使用して、EAC−1およびABAの混合物を、EMA−1中の水酸化カリウムのマスターバッチを使用して93〜95%中和して、中和レベルを93〜95%にして、組成物Aを得た。ポリマー材料の重量比を表1中にまとめている。組成物Aの一部は、未希釈の水酸化カリウムでさらに中和して、組成物Bを得た。
【0126】
表1

【0127】
つや消し面の冷却ロール、Edlon(登録商標)/Teflon(登録商標)でコーティングされた圧力ロール、コロナ処理機、およびCloeren EBR 40インチダイが取り付けられたEgan押出コーティング機を使用して、組成物Aを、0.8ミルの厚さで、ポリプロピレン不織布地(PP NW)および50ポンドクラフト紙の基材シート上に押出コーティングした。基材は3KW/平方フィートでコロナ処理した。機械の設定は、6インチの空隙および80psiのニップロール圧を含んだ。ASTM2234−95に準拠したT型剥離試験によって接着性を試験した。コーティングと基材との間の接着剥離強度を表2中にまとめている。表中の略語は以下のことを示している:「p」=剥離する、「d」=層間剥離する、「ft」=繊維が裂ける、「fp」=繊維が剥離する、および「t」=引き裂ける。これらの試験から、記載の条件下での組成物Aの不織布地に対する接着性が低いことが分かる。
【0128】
表2

【0129】
組成物Aを30重量%のEMA−2とブレンドし、次に前述のものと類似の条件を使用して375°Fにおいて0.8ミルの厚さでポリプロピレン不織布地(PP NW)および24ポンドクラフト紙基材シートの上に押出コーティングした。これらの試験から、記載の条件下でのエチレン/アクリル酸メチルコポリマーで変性した組成物Aの不織布地に対する接着性が低いことが分かる。
【0130】
表3

【0131】
同様に、組成物Aを、記載のポリエチレンおよびEAC−2と溶融ブレンドして、35重量%の組成物A、10重量%のEAC−2、および55重量%のポリエチレン;30重量%の組成物A、15重量%のEAC−2、および55重量%のポリエチレン;30重量%の組成物A、15重量%のEAC−2、および50重量%のポリエチレン;40重量%の組成物A、10重量%のEAC−2、および50重量%のポリエチレン;または45重量%の組成物A、10重量%のEAC−2、および45重量%のポリエチレンを含有する組成物を得た。
【0132】
組成物AまたはBを種々のポリマーで変性した組成物の接着性を評価するために、以下の試験を行った。Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機を使用して、組成物AおよびBをさらなる材料と溶融ブレンドして、表4中にまとめた組成物を得た。表4中の組成物を厚さ2ミルのキャストフィルムに加工した。
【0133】
フィルムサンプルの場合、Mocon Permatran−W(登録商標)101K上で、ASTM D6701−01に準拠して37.8℃において水蒸気透過試験を行った。フィルムサンプルの水蒸気透過値(WVPV)はg・mil/m2・24hの単位で報告され、水蒸気透過速度(MVTR)はg/m2・24hの単位で報告される。
【0134】
表4

【0135】
一部のフィルムの物理的性質を表5にまとめている。組成物のポリプロピレン不織布地基材への接着性を評価するために、フィルムを2つの基材層の間に325°Fおよび40psiにおいて1.0秒間ヒートシールして、PP不織布地/フィルム/PP不織布地の3層構造を得た。
【0136】
表5

【0137】
T型剥離試験によって接着性の試験を行い、表6中に報告している。
【0138】
表6.T型剥離試験

【0139】
これらの試験において、EAC−2、すなわちエチレン/アクリル酸/アクリル酸n−ブチルターポリマーで変性した組成物は、未改質の組成物およびエチレン/アクリル酸アルキルジポリマーで変性した組成物よりも、PP不織布に対して良好な接着性を示した。エチレン/アクリル酸/アクリル酸n−ブチルターポリマーがブレンド前にアイオノマーの形態であった組成物では、接着性の改善は示されなかった(実施例15〜20)。
【0140】
表7中にまとめられるように組成物を調製し、ポリプロピレン不織布地(PPNW)上、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート不織布地(PE/PETNW)上、および50ポンドクラフト紙シートの上に、約200フィート/分の速度で、前述の条件と類似の条件を使用して押出コーティングした。
【0141】
表7

【0142】
押出コーティング試験を表8中にまとめている。
【0143】
表8

【0144】
基材がポリプロピレン不織布であった試験の場合は、基材から剥離した後のコーティングに対してWVTRを測定した。基材がクラフト紙またはPE/PET不織布である試験の場合は、2層構造全体に対してWVTRを測定した。
【0145】
表9

【0146】
10重量%のEAC−2、すなわちエチレンアクリル酸アクリル酸n−ブチルターポリマーで変性した組成物Aは、クラフト紙に対して良好な接着性を示し、PE/PET NWに対して優れた接着性を示した。これらの結果は、組成物Aを30重量%のEBC−1、すなわちエチレン/アクリル酸n−ブチルジポリマーで変性した場合に得られる結果よりも優れている。EAC−2を含有する組成物はより高いWVTRも有し、組成物Aよりも高い透湿性を維持したことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を含む選択透過性構造であって、前記組成物が(a)、(b)、および場合により(c)を含み;
(a)が(i)および(ii)を含む組み合わせであって、(i)が1種類以上のエチレン酸コポリマーであり;(ii)が1種類以上の有機酸であり;前記酸コポリマーおよび前記有機酸の中の酸性基の合計の少なくとも50%が名目上中和されて金属イオンとの塩となっており、前記金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンであり;前記酸コポリマーおよび前記有機酸の中の前記酸性基の合計の少なくとも80%が中和されてアルカリ金属イオンとの塩となっている、組み合わせであり;
(b)が、エチレンと、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルとのターポリマーであり;
(c)が、ポリエチレンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、ならびにエチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマーからなる群から選択される1種類以上のエチレン含有ポリマーであり、前記エチレン含有ポリマーがカルボン酸コモノマーを含まない、構造。
【請求項2】
前記組成物が、
(a)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として30〜99重量%の、
(1)(1)および(2)の組み合わせを基準として70〜90重量%の1種類以上のE/Wエチレン酸コポリマーまたは前記酸コポリマーのアイオノマーであって、式中、Eはエチレンの共重合単位を表し、Wは、前記コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、少なくとも1種類のC3〜C8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の共重合単位を表す、と;
(2)(1)および(2)の組み合わせを基準として10〜30重量%の、4〜36個の炭素原子を有する1種類以上の有機酸、またはその塩とのブレンドされた組み合わせであって;前記E/Wコポリマーおよび前記有機酸の中の前記酸性基の合計の少なくとも50%が名目上中和されて金属イオンとの塩となっており;前記金属イオンの少なくとも50%がアルカリ金属イオンである、組み合わせと、;
(b)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として1〜30重量%のE/X/Yエチレン酸ターポリマーであって、式中、Eはエチレンの共重合単位を表し、Xは、前記コポリマーの約2〜約35重量%で存在し、アクリル酸またはメタクリル酸の共重合単位を表し、Yは、前記コポリマーの約1〜約35重量%で存在し、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの共重合単位を表す、と;
(c)(a)、(b)、および(c)の組み合わせを基準として0〜60重量%の1種類以上の第2のエチレン含有ポリマーであって、ポリエチレンホモポリマー、エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとジオレフィンとのコポリマー、ならびにエチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種類の極性モノマーとの共重合によって得られるエチレンコポリマーからなる群から選択される1種類以上の第2のエチレン含有ポリマーとを含み、前記第2のエチレン含有ポリマーはカルボン酸コモノマーを含まず;(a)、(b)、および(c)の合計が100重量%である、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記構造が、湿気に対して選択透過性であり、ASTM F2298に準拠して少なくとも1800g/m2/24hの水蒸気透過速度を有する、請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
前記構造が、少なくとも4Kg/m2/24時間の水蒸気透過速度を有し、前記アルカリ金属イオンが主としてカリウムイオンである、請求項3に記載の構造。
【請求項5】
前記構造が少なくとも10Kg/m2/24時間の水蒸気透過速度を有する、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
選択透過性構造と基材とを含む、またはそれらより製造された物品であって、選択透過性構造が請求項1、2、3、4、または5のいずれか1項に記載される特徴を有し、前記基材またはその一部は、前記組成物との同時押出、前記組成物の含浸、前記組成物の組み込み、前記組成物の積層、前記組成物の埋め込み、または前記組成物のコーティングが行われる、物品。
【請求項7】
前記基材が布地または多孔質シート材料を含み;前記基材に前記組成物がコーティングされる、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記物品が、
モノリス膜または連続膜であり、前記基材が、多孔質フィルム、フラッシュ紡糸不織布、合成繊維の織布、天然繊維、スクリム、紙、フィルター材料、またはそれらの2種類以上の組み合わせ;あるいは
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、またはそれらの組み合わせを含むフラッシュ紡糸不織布、合成繊維、天然繊維、またはそれらの2種類以上の組み合わせの織布である、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
アラミド、ガラス繊維、またはそれらの組み合わせの布を含む層をさらに含み、前記基材は、前記組成物がそこを通って分散される1つ以上の開口部、空隙、または間隙を含んでもよい、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が、布、衣料品、衣類、またはカバー、あるいはそれらの2種類以上の組み合わせであり、前記衣類または前記カバーが、入院患者の見舞人、病院の手術室、医学用途、または歯科用途のためのものである、請求項8または9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品より、生物学的物質、化学物質、刺激物、またはそれらの2種類以上の組み合わせからの保護に使用される保護物品が得られ、前記物品が、1種類以上のガウン、エプロン、シャツ、ズボン、外套、手袋、靴、ブーツ、オーバーブーツ、靴下、フード、帽子、キャップ、マスク、ゴーグル、ドレープ、テント、シェルター、防水布、ヘルメット、通気性ドレッシング、フィルム、シート、袋、パウチ、シース、桶、箱、大箱、蓋材料、または包装材料を含む、請求項8、9、または10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
腐食またはカビの増殖による物体の損傷を制限する方法であって、請求項1、2、3、4、または5のいずれか1項に記載された特徴を有する選択透過性保護構造、あるいは請求項1、8、9、10、または11のいずれか1項に記載された特徴を有する物品の中に、前記物体を包み込むまたは覆うステップを含む、方法。
【請求項13】
腐食またはカビの増殖による物体の損傷を制限するための選択透過性保護構造または物品の使用であって、請求項1、2、3、4、または5のいずれか1項に記載された特徴を有する選択透過性保護構造、あるいは請求項1、8、9、10、または11のいずれか1項に記載された特徴を有する物品の中に、前記物体を包み込むまたは覆うステップを含む、使用。

【公表番号】特表2012−524833(P2012−524833A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507370(P2012−507370)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/031994
【国際公開番号】WO2010/124051
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】