説明

選曲者に対応したローレベル楽曲検索システム

【課題】 利用者が自らの歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲を選曲することが可能なローレベル選曲を行う際に、容易に楽曲を検索できるようにする。
【解決手段】 任意の利用者が歌唱容易楽曲の選曲を行う際に、楽曲別歌唱レベル管理手段35で管理された広域歌唱レベルデータ45bを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、利用者別歌唱レベル管理手段37で管理されている利用者別歌唱レベルデータ45cを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するための選曲表示制御手段22cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムに関し、さらに詳しくは、選曲に際して、利用者が自らの歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲を選曲することが可能なシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ利用者が所望の楽曲を選曲する際には、冊子状の目次本を用いて目的の楽曲を探し当て、当該楽曲に付与されている楽曲IDをリモコン装置に入力することにより選曲を行っていたが、近年では、GUI機能を備えた電子目次本と称されるリモコン装置を用いて選曲を行うことが一般的となっている。この電子目次本は楽曲の検索機能を備えており、歌手名や楽曲名、リリース年、ジャンル等を入力することにより、液晶表示装置等からなる入出力用表示部に検索結果が一覧表示されるようになっている。そして、利用者は、一覧表示された検索結果の中から所望の楽曲を探し当てて選曲指定を行うことにより、冊子状の目次本と比較して容易に目的の楽曲を探し当てることができるという利便性を有している。
【0003】
ところで、電子目次本を用いて楽曲の検索を行った場合には、検索キーワードを含む楽曲のすべてが選曲対象として一覧表示される。この際、一覧表示される楽曲数が少なければ、所望の楽曲をいち早く探し当てることができるが、一覧表示される楽曲数が多いと、複数ページにわたって検索結果が表示され、所望の楽曲を探し当てるために時間を要する場合がある。
【0004】
また、利用者の中には、自らが無難に歌える楽曲を歌唱したいという欲求がある。このような楽曲として、例えば、自らが頻繁に歌唱するアーティストの楽曲がある。すなわち、自らが頻繁に歌唱するアーティストの楽曲は、テンポや音域が利用者の好みに合っており、歌い易いものとなっている。
【0005】
従来、自らが好むアーティストの新曲が発表された場合に、当該アーティストの新曲をいち早く歌唱したいという要望があり、このような楽曲を利用者ができるだけ早いタイミングで選曲して歌唱できるようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されている技術は、所定の検索モードにおいてヒットした楽曲の中から、利用者が任意の楽曲を指定した状態で新譜データ抽出操作を行った場合、当該指定楽曲と同じアーティストに属する新譜データがあれば、これらを優先的に表示させる機能を有している。
【0006】
【特許文献1】特開2005−283806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された技術は、電子目次本を用いて楽曲の検索を行う際に、利用者が好むアーティストの新曲データを容易かつ効果的に知らしめて、いち早く当該楽曲を歌唱できるという優れた効果を奏することができる。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、一般的な検索において選曲対象となる楽曲数が多すぎた場合には、所望の楽曲をいち早く探し当てるという点で、さらなる工夫が必要であった。
ところで、カラオケを利用した歌唱を十分に楽しむためには、自らが上手に歌唱できる楽曲を選曲することが好ましい。特に、グループでカラオケを楽しむ場合に、難しい楽曲にチャレンジして上手に歌いこなせないと、人前で恥をかいてしまうのではないかと危惧することがある。また、利用者が常に同じ楽曲ばかり歌唱していたのでは、レパートリーが増えず歌唱がマンネリ化してしまう。
そこで、自ら上手に歌える楽曲や、歌唱経験がなくても無難に歌いこなせる楽曲を選曲して、カラオケを利用した歌唱を十分に楽しみたいという要望がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、利用者が楽曲の選曲を行う際に、当該利用者が自らの歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲を容易に検索することが可能な選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムは、上述した目的を達成するために提案されたもので、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムは、任意のカラオケ演奏端末にシステムログインした利用者による楽曲検索結果を表示部に一覧表示させ、選曲指定された楽曲に選曲者の利用者IDを付帯させて予約登録する機能を有し、選曲に際して、当該利用者が自らの歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲を選曲することが可能なシステムであって、ログイン利用者管理手段と、楽曲別歌唱レベル管理手段と、利用者別歌唱レベル管理手段と、選曲表示制御手段とを備えている。
【0011】
ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏端末にログインしている利用者を、利用者IDに基づき特定して管理するための手段である。楽曲別歌唱レベル管理手段は、楽曲別歌唱レベル管理データベースにおいて、任意のカラオケ演奏端末で任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、それぞれの歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲別に管理するための手段である。利用者別歌唱レベル管理手段は、利用者別歌唱レベル管理データベースにおいて、任意のカラオケ演奏端末で任意の利用者が利用者IDを付帯して選曲した楽曲を当該利用者の歌唱履歴楽曲とすると共に、それぞれの歌唱採点値の偏差値を利用者別歌唱レベルとして利用者別に管理するための手段である。選曲表示制御手段は、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、楽曲別歌唱レベル管理手段で管理されている広域歌唱レベルデータを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、利用者別歌唱レベル管理手段で管理されている利用者別歌唱レベルデータを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するための手段である。
【0012】
また、本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムは、上述した構成に加えて、利用者の属性に応じて歌唱レベルを管理することが可能である。すなわち、楽曲別歌唱レベル管理手段は、予め設定された利用者属性別に、歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲毎に管理するための手段として機能する。また、選曲表示制御手段は、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、当該利用者の利用者属性に基づいて、楽曲別歌唱レベル管理手段で管理された利用者属性別の広域歌唱レベルデータを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、利用者別歌唱レベル管理手段で管理されている利用者別歌唱レベルデータを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い利用者属性別の広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するための手段として機能する。
【0013】
また、本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムにおいて、選曲表示制御手段は、当該利用者の歌唱履歴楽曲を除いて、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するための手段として機能させることが可能である。
なお、利用者の属性とは、利用者の年齢、性別、居住地域等のことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムでは、利用者が選曲を行う際に、当該利用者の歌唱レベルと比較して、難易度が低い楽曲のみを選曲対象として表示することができる。したがって、自らの歌唱レベルを勘案して容易に歌唱が可能な楽曲を選曲できるので、カラオケ装置を用いた歌唱の楽しさを十分に味わうことが可能となる。
【0015】
また、利用者の属性に応じて歌唱レベルを管理することにより、利用者毎に適切な楽曲を選曲対象とすることができ、より一層適切な選曲を行うことが可能となる。
【0016】
また、利用者の歌唱履歴楽曲を除いて、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲のみを選曲対象として表示することにより、歌唱経験のない楽曲の中から容易に歌唱できる楽曲を選曲して、自らのレパートリーを増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムの実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係る選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムは、任意のカラオケ演奏端末にシステムログインした利用者による楽曲検索結果を表示部に一覧表示させ、選曲指定された楽曲に選曲者の利用者IDを付帯させて予約登録する機能を有している。
【0018】
<カラオケシステムの概要>
図1は通信ネットワークを用いてカラオケシステムを構成した場合の模式図、図2はカラオケ演奏端末の概略構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係る選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムを適用するカラオケシステムは、図1に示すように、通信ネットワーク12を介して相互に接続されたホスト装置13と複数のカラオケ演奏端末11とを備えている。通信ネットワーク12は、公衆電話回線、専用電話回線、光通信回線、LAN等を用いることができるが、ネットワークに対する第三者の侵入やデータの傍聴及び改竄が困難であると共に、帯域を独占せず安価な通信網であるという点で、インターネットにより構成されるVPNを利用することが好ましい。
【0019】
<ホスト装置/送受信部>
ホスト装置13は、図1に示すように、制御手段31、送受信部32、データ処理手段33、楽曲別歌唱レベル管理手段35、利用者別歌唱レベル管理手段37、顧客データベース34、楽曲別歌唱レベル管理データベース36、利用者別歌唱レベル管理データベース38を備えている。
【0020】
送受信部32は、各カラオケ演奏端末11との間でデータの送受信を行うための手段であり、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための通信回路やソフトウェアにより構成される。制御手段31は、ホスト装置13を統括的に制御するための手段であり、CPU及びその周辺機器を含んで構成され、CPU等がROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより制御機能を発揮するようになっている。
【0021】
<楽曲別歌唱レベル管理手段/楽曲別歌唱レベル管理データベース>
楽曲別歌唱レベル管理手段35は、楽曲別歌唱レベル管理データベース36において、任意のカラオケ演奏端末11で任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、それぞれの歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲別に管理するためのプログラムからなる。
また、利用者の属性に基づき歌唱レベルを管理する場合には、楽曲別歌唱レベル管理手段35は、予め設定された利用者属性別に、歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲毎に管理するためのプログラムとして機能する。
【0022】
図3は、楽曲別歌唱レベル管理データベース36の構成例を示す説明図である。楽曲別歌唱レベル管理データベース36は、図3に示すように、楽曲毎に、その歌唱採点値の偏差値である広域歌唱レベルを管理するためのデータベースである。図3に示す例では、全体の偏差値と共に、利用者の属性(年代)毎の偏差値を管理しているが、利用者の属性を考慮しない場合には、利用者の属性毎の偏差値は不要となる。また、管理対象となる利用者の属性は、年代、性別、居住地域等、どのような属性であってもよい。
なお、楽曲別歌唱レベル管理手段35において広域歌唱レベルを管理する範囲は、全国に設置されたカラオケ演奏端末11、任意のエリア(例えば、関東地方、中部地方、関西地方等のエリア)に設置されたカラオケ演奏端末11、任意の店舗に設置されたカラオケ演奏端末11等、どのような管理範囲を設定してもよい。
【0023】
<利用者別歌唱レベル管理手段/利用者別歌唱レベル管理データベース>
利用者別歌唱レベル管理手段37は、利用者別歌唱レベル管理データベース38において、任意のカラオケ演奏端末11で任意の利用者が利用者IDを付帯して選曲した楽曲を当該利用者の歌唱履歴楽曲とすると共に、それぞれの歌唱採点値の偏差値を利用者別歌唱レベルとして利用者別に管理するためのプログラムからなる。具体的には、利用者別歌唱レベル管理手段37では、任意のカラオケ演奏端末11において各利用者がシステムログインしている間に、自らの利用者IDに紐付けして選曲し演奏された楽曲、及びその楽曲の歌唱採点値の偏差値を取得して、利用者別歌唱レベル管理データベース38を構築する。
【0024】
図4は、利用者別歌唱レベル管理データベース38の構成例を示す説明図である。利用者別歌唱レベル管理データベース38は、図4に示すように、利用者毎に、歌唱経験がある楽曲及びその歌唱採点値の偏差値である個別楽曲歌唱レベル偏差値と、個別楽曲歌唱レベル偏差値の平均値である総合歌唱レベル偏差値により構成されている。この総合歌唱レベル偏差値が、当該利用者の歌唱レベルを表す利用者別歌唱レベルとなる。
なお、利用者別歌唱レベル管理データベース38を別途構築するのではなく、顧客データベース34の構成要素として利用者別歌唱レベル管理データベース38を構築してもよい。
【0025】
<データ処理手段/顧客データベース>
データ処理手段33は、顧客データベース34にアクセスして、データの抽出、変更、追加を処理するためのプログラムからなる。顧客データベース34は、利用者毎に利用者情報が登録されたデータベースである。この顧客データベース34は、利用者毎に、利用者ID、氏名、セカンドネーム(例えば愛称)、住所、電話番号、生年月日、性別、職業等が関連付けて構成されている。上述したように、この顧客データベース34における構築データとして、利用者別歌唱レベルを含めてもよい。
【0026】
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係るカラオケ演奏端末11は、図2に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、ミキシングアンプ23、スピーカ24、マイクロホン25、表示手段26を備えている。カラオケ本体21と表示手段26とは、有線方式又は無線方式により接続されている。
【0027】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21のローカル送受信手段47に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっており、データの送受信を行うための回路基板及びプログラムと、楽曲検索手段22aとして機能させるためのプログラムと、楽曲索引データベース22bと、選曲表示制御手段22cとして機能させるためのプログラムと、一時記憶領域であるフラッシュメモリ(図示せず)とを備えている。
【0028】
<楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aが参照する楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏端末11で演奏に供される楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。なお、楽曲索引データベース22bの内容は、カラオケ演奏端末11がホスト装置13と通信を行う際に、適宜なタイミングで最新のものに更新される。
【0029】
<選曲表示制御手段>
選曲表示制御手段22cは、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、楽曲別歌唱レベル管理手段35で管理された広域歌唱レベルデータ45bを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、利用者別歌唱レベル管理手段37で管理されている利用者別歌唱レベルデータ45cを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するためのプログラムからなる。
【0030】
また、楽曲別歌唱レベル管理手段35において、利用者の属性に基づき広域歌唱レベルを管理している場合には、選曲表示制御手段22cは、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、当該利用者の利用者属性に基づいて、楽曲別歌唱レベル管理手段35で管理された利用者属性別の広域歌唱レベルデータ45bを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、利用者別歌唱レベル管理手段37で管理されている利用者別歌唱レベルデータ45cを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い利用者属性別の広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示するためのプログラムとして機能する。
【0031】
また、選曲表示制御手段22cは、当該利用者の歌唱履歴楽曲を除いて、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示する手段として機能させてもよい。
選曲表示制御手段22cにおける選曲表示制御は、後に詳述する。
【0032】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、バス41、ネットワーク送受信手段42、中央制御手段43、ROM44、RAM45、HDD46、ローカル送受信手段47、予約管理手段48、音楽再生制御手段49、A/Dコンバータ50、映像再生制御手段51、利用者ID取得手段52、ログイン利用者管理手段53、歌唱採点手段54を備えている。
【0033】
<中央制御手段>
中央制御手段43は、カラオケ演奏端末11を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM44等に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0034】
<ROM/RAM>
ROM44は、カラオケ演奏端末11を構成する各機器を制御するためのアプリケーションプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM45は、アプリケーションプログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM45を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM45を構成してもよい。本実施形態では、RAM45に、予約待ち行列45a、広域歌唱レベルデータ45b、利用者別歌唱レベルデータ45cが格納されている。広域歌唱レベルデータ45b及び利用者別歌唱レベルデータ45cは、ホスト装置13とデータの送受信を行う際に受信し、RAM45に一時的に格納されるデータである。
【0035】
<HDD/楽曲データベース/映像データベース>
HDD46には、楽曲データベース46a及び映像データベース46bが格納されている。なお、HDD46に替えて、あるいはHDD46と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
楽曲データベース46aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ格納したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞テロップデータは演奏データに同期された楽曲の歌詞文字データである。映像データベース46bは、演奏される楽曲に対応した背景映像を、当該楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0036】
<利用者ID取得手段>
利用者ID取得手段52は、利用者がカラオケ演奏端末11を利用する際に、利用者が所持するID媒体61から利用者IDを取得するための電子回路及びプログラムからなる。利用者ID取得手段52で取得した利用者IDは、RAM45に一時的に記憶され、ログイン利用者管理手段53で管理される。ID媒体61は、例えば、非接触型のICカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、利用者ID取得手段52との間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0037】
<ログイン利用者管理手段>
ログイン利用者管理手段53は、現に当該カラオケ演奏端末11にログインしている利用者を、利用者IDに基づき特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、ログイン利用者管理手段53では、利用者ID取得手段52により利用者IDが取得された場合に、この利用者IDに基づいてカラオケ演奏端末11にログインしている利用者を特定して管理する。
【0038】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段54は、歌唱者となる利用者を利用者IDに基づき特定して、当該歌唱者の歌唱力を所定数の歌唱区間において採点するためのプログラムからなる。
歌唱採点では、マイクロホン25より入力された歌唱者の音声信号から、音程、声量、テンポ等の歌唱評価データを抽出すると共に、この歌唱評価データと演奏楽曲の主旋律等のリファレンス情報とを比較して採点を行う。このような歌唱採点方法については、特開2007−121917号公報等に詳細に記載されている。
歌唱採点手段54における歌唱採点値は、ホスト装置13に送信され、楽曲別歌唱レベル管理手段35及び利用者別歌唱レベル管理手段37において管理される。
【0039】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段49は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース46aから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ23に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ23は、マイクロホン25から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段49から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ24より出力させるための装置である。なお、マイクロホン25の数は1本に限られず、2本以上であってもよい。
また、マイクロホン25は、A/Dコンバータ50を介してバス41に接続されており、マイクロホン25から入力された音声信号が歌唱採点手段54における歌唱採点に使用される。
【0040】
<映像再生制御手段/表示手段>
映像再生制御手段51は、カラオケ演奏中に、映像データベース46bから抽出した映像データ、及び楽曲データベース46aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示手段26に出力するための電子回路である。さらに、映像再生制御手段51は、カラオケリモコン装置22を介した利用者からの操作指示による予約楽曲リストの表示等を表示手段26に表示させる機能も有している。
表示手段26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0041】
<予約管理手段>
予約管理手段48は、利用者によりカラオケリモコン装置22における楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、ローカル送受信手段47を介して送信された当該選曲者の利用者情報(例えば利用者ID)及び選曲された楽曲IDを対応付けて予約待ち行列45aとしてRAM45に格納し、管理するためのプログラムである。なお、楽曲選択の表示や予約待ち行列45aの表示は、カラオケリモコン装置22の入出力用表示部及び表示手段26のいずれか一方、あるいは双方で行うことができる。
【0042】
<送受信手段>
ローカル送受信手段47は、カラオケリモコン装置22との間でデータの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。ネットワーク送受信手段42は、通信ネットワーク12を介してホスト装置13との間でデータの送受信を行う際に、通信ネットワーク12における通信方式の整合性を保つための電子回路及びプログラムからなる。
【0043】
<ローレベル選曲(1)>
次に、ローレベル選曲を行う際の選曲表示制御について説明する。図5は、第1の実施形態に係るローレベル選曲を行う際の選曲表示制御の説明図である。
第1の実施形態では、図5に示すように、利用者がローレベル選曲を指定すると、利用者別歌唱レベル管理データベース38から取得してRAM45に一時記憶した当該利用者の利用者別歌唱レベルデータ45cと、楽曲別歌唱レベル管理データベース36から取得してRAM45に一時記憶した広域歌唱レベルデータ45bとを比較する。そして、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として入出力用表示部に一覧表示する。
ここで、広域歌唱レベルの偏差値が小さい楽曲は、多くの利用者が容易に歌唱できる楽曲であり、難易度が低い楽曲である。一方、広域歌唱レベルの偏差値が大きい楽曲は、多くの利用者にとって歌唱が難しい楽曲であり、難易度が高い楽曲である。
【0044】
図5に示す例では、利用者歌唱レベルである総合歌唱レベル偏差値は「57」となっている。そして、利用者Aがローレベル選曲を行う際に検索ヒット楽曲となったのは、楽曲a、楽曲f、楽曲g、楽曲i、楽曲k、楽曲m、楽曲n、楽曲sであったとする。
【0045】
ここで、利用者Aの歌唱履歴楽曲と検索ヒット楽曲とを比較し、検索ヒット楽曲の中から、広域歌唱レベルが利用者Aの歌唱レベル「57」以下である楽曲を表示対象として抽出する。図5に示す例では、広域歌唱レベルが「54」である楽曲f、広域歌唱レベルが「49」である楽曲i、広域歌唱レベルが「52」である楽曲k、広域歌唱レベルが「53」である楽曲sが表示対象として抽出される。
【0046】
そして、図7に示すように、カラオケリモコン装置22の入出力表示部において、表示対象となった楽曲f、楽曲i、楽曲k、楽曲sを表示する。図7は、ローレベル選曲の表示例を示す模式図である。
【0047】
<ローレベル選曲(2)>
図6は、第2の実施形態に係るローレベル選曲を行う際の選曲表示制御の説明図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態の選曲表示制御の条件に加えて、検索ヒット楽曲の中から、当該利用者の歌唱履歴楽曲を除いて表示対象とする。
第2の実施形態では、図6に示すように、利用者がローレベル選曲を指定すると、利用者別歌唱レベル管理データベース38から取得してRAM45に一時記憶した当該利用者の利用者別歌唱レベルデータ45cと、楽曲別歌唱レベル管理データベース36から取得してRAM45に一時記憶した広域歌唱レベルデータ45bとを比較する。そして、検索ヒット楽曲の中から、当該利用者の歌唱履歴楽曲を除き、さらに、当該利用者の利用者別歌唱レベル以下の広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として入出力用表示部に一覧表示する。
【0048】
図6に示す例では、利用者歌唱レベルである総合歌唱レベル偏差値は「57」となっている。そして、利用者Aがローレベル選曲を行う際に検索ヒット楽曲となったのは、楽曲a、楽曲f、楽曲g、楽曲i、楽曲k、楽曲m、楽曲n、楽曲sであったとする。
【0049】
ここで、利用者Aの歌唱履歴楽曲と検索ヒット楽曲とを比較し、検索ヒット楽曲の中から、利用者Aの歌唱履歴楽曲を除くと共に、広域歌唱レベルが利用者Aの歌唱レベル「57」以下である楽曲を表示対象として抽出する。図6に示す例では、広域歌唱レベルが「54」である楽曲f、広域歌唱レベルが「49」である楽曲i、広域歌唱レベルが「52」である楽曲k、広域歌唱レベルが「53」である楽曲sが、利用者Aの歌唱レベル「57」以下である。しかし、楽曲fは利用者Aの歌唱履歴楽曲であるため、この楽曲が除かれて、楽曲i、楽曲k、楽曲sが表示対象として抽出される。そして、カラオケリモコン装置22の入出力表示部において、表示対象となった楽曲i、楽曲k、楽曲sを表示する。
【0050】
また、利用者の属性に基づき歌唱レベルを管理し、利用者の属性に応じてチャレンジ楽曲を抽出する場合には、比較対象となる広域歌唱レベルが、当該利用者の属性に応じた広域歌唱レベルとなる。例えば、20代の利用者がローレベル選曲を行う場合には、楽曲別歌唱レベル管理手段35において20代の利用者に対応した利用者属性別の広域歌唱レベルとして管理されているデータに基づいて、歌唱レベルの比較が行われ、選曲対象となる楽曲が選定される。
なお、ローレベル選曲の指定は、例えば、カラオケリモコン装置22の入出力用表示部に表示されるローレベル選曲ボタンにタッチすることにより行われる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、カラオケシステムの利用目的等に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【0052】
さらに、顧客データベース34、楽曲別歌唱レベル管理手段35、楽曲別歌唱レベル管理データベース36、利用者別歌唱レベル管理手段37、及び利用者別歌唱レベル管理データベース38をホスト装置13の構成要素とするのではなく、カラオケ演奏端末11の構成要素として、ローカルで顧客情報の管理及び歌唱レベルの管理を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムを適用するカラオケシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】カラオケ演奏端末の構成を示すブロック図。
【図3】楽曲別歌唱レベル管理データベースの構成例を示す説明図。
【図4】利用者別歌唱レベル管理データベースの構成例を示す説明図。
【図5】第1の実施形態に係るローレベル選曲を行う際の選曲表示制御の説明図。
【図6】第2の実施形態に係るローレベル選曲を行う際の選曲表示制御の説明図。
【図7】ローレベル選曲の表示例を示す模式図。
【符号の説明】
【0054】
11 カラオケ演奏端末
12 通信ネットワーク
13 ホスト装置
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c 選曲表示制御手段
23 ミキシングアンプ
24 スピーカ
25 マイクロホン
26 表示手段
31 制御手段
32 送受信部
33 データ処理手段
34 顧客データベース
35 楽曲別歌唱レベル管理手段
36 楽曲別歌唱レベル管理データベース
37 利用者別歌唱レベル管理手段
38 利用者別歌唱レベル管理データベース
41 バス
42 ネットワーク送受信手段
43 中央制御手段
44 ROM
45 RAM
45a 予約待ち行列
45b 広域歌唱レベルデータ
45c 利用者別歌唱レベルデータ
46 HDD
46a 楽曲データベース
46b 映像データベース
47 ローカル送受信手段
48 予約管理手段
49 音楽再生制御手段
50 A/Dコンバータ
51 映像再生制御手段
52 利用者ID取得手段
53 ログイン利用者管理手段
54 歌唱採点手段
61 ID媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のカラオケ演奏端末にシステムログインした利用者による楽曲検索結果を表示部に一覧表示させ、選曲指定された楽曲に選曲者の利用者IDを付帯させて予約登録する機能を有し、選曲に際して、当該利用者が自らの歌唱レベルと比較して難易度が低い楽曲を選曲することが可能な選曲者に対応したローレベル楽曲検索システムであって、
ログイン利用者管理手段と、楽曲別歌唱レベル管理手段と、利用者別歌唱レベル管理手段と、選曲表示制御手段とを備え、
前記ログイン利用者管理手段は、現にカラオケ演奏端末にログインしている利用者を、利用者IDに基づき特定して管理し、
前記楽曲別歌唱レベル管理手段は、楽曲別歌唱レベル管理データベースにおいて、任意のカラオケ演奏端末で任意の利用者が歌唱した任意の楽曲について、それぞれの歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲別に管理し、
前記利用者別歌唱レベル管理手段は、利用者別歌唱レベル管理データベースにおいて、任意のカラオケ演奏端末で任意の利用者が利用者IDを付帯して選曲した楽曲を当該利用者の歌唱履歴楽曲とすると共に、それぞれの歌唱採点値の偏差値を利用者別歌唱レベルとして利用者別に管理し、
前記選曲表示制御手段は、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、前記楽曲別歌唱レベル管理手段で管理されている広域歌唱レベルデータを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、前記利用者別歌唱レベル管理手段で管理されている利用者別歌唱レベルデータを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示する、
ことを特徴とする選曲者に対応したローレベル楽曲検索システム。
【請求項2】
前記楽曲別歌唱レベル管理手段は、予め設定された利用者属性別に、歌唱採点値の偏差値を広域歌唱レベルとして楽曲毎に管理し、
前記選曲表示制御手段は、任意の利用者がローレベル選曲を行う際に、当該利用者の利用者属性に基づいて、前記楽曲別歌唱レベル管理手段で管理された利用者属性別の広域歌唱レベルデータを取得すると共に、当該利用者の利用者IDに基づいて、前記利用者別歌唱レベル管理手段で管理されている利用者別歌唱レベルデータを取得し、検索結果である楽曲の中から、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い利用者属性別の広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システム。
【請求項3】
前記選曲表示制御手段は、当該利用者の歌唱履歴楽曲を除いて、当該利用者の利用者別歌唱レベルと比較して難易度が低い広域歌唱レベルである楽曲のみを選曲対象として表示部に一覧表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の選曲者に対応したローレベル楽曲検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−8847(P2010−8847A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170000(P2008−170000)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】