説明

還元水製造装置

【課題】所望な量の還元水素水や還元酸素水等の還元水を簡単に製造することのできる還元水製造装置を提供する。
【解決手段】還元水製造装置10は、水に対して磁場振動を与える磁場振動発生手段12と、水を電気分解する電気分解手段13と、磁場振動発生手段12により磁場振動を与えられた水に電気分解手段13で発生した気体を溶解させる気体溶解手段14とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元水素水や還元酸素水等の還元水を製造するための還元水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、還元水素水や還元酸素水等の還元水を製造する還元水製造装置としては、例えば、水の電気分解の性質を利用するものが知られており、この装置によれば、消毒や洗浄水に使用する酸化酸性水と、飲用に使用するアルカリ還元水とが同量生成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−113276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の還元水製造装置では、電気分解により酸化酸性水とアルカリ還元水とを生成した後、急激に水質変化が起こり、短時間に電気分解前の通常の水の状態に戻ってしまうといった問題があった。
【0004】
本発明は、上記した課題を解決すべく成されたものであり、所望な量の還元水素水や還元酸素水等の還元水を簡単に製造することのできる還元水製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る還元水製造装置は、水に対して磁場振動を与える磁場振動発生手段と、
水を電気分解する電気分解手段と、前記磁場振動発生手段により磁場振動を与えられた水に前記電気分解手段で発生した気体を溶解させる気体溶解手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
そして、前記電気分解手段は2個1組の電極を2組備えており、いずれか一方の組の電極で発生した気体を外部に放出する気体放出手段を備えているのが好ましい。
【0007】
また、前記各組の電極間には通電コイルが設けられ、該通電コイルは前記各組の電極の近接位置に該各組の電極に非接触状態で設けられているのがよい。
【0008】
さらに、前記気体溶解手段は、2個の円錐状容器がお互いの頂部で連通するように上下逆向きに連結されて形成される容器本体と前記一方の円錐状容器の底面部分の接線方向に接続される導入管とから構成される攪拌枡と、該攪拌枡内に前記導入管を介して水を圧送する攪拌用ポンプとを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望な量の還元水素水や還元酸素水等の還元水を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態に係る還元水製造装置の概略構成を示す模式図であり、この還元水製造装置10は、水を貯留する箱状のタンク11を備え、このタンク11内には、水に対して磁場振動を与える磁場振動発生手段12と、水を電気分解する電気分解手段13と、磁場振動発生手段12により磁場振動を与えられた水に電気分解手段13で発生した気体を溶解させる気体溶解手段14と、電気分解手段で発生した気体の一部を外部に放出する気体放出手段15とが設けられている。
【0012】
磁場振動発生手段12は、対向する2個1組の磁石16a,16b、17a,17bを2組備えており、一方の組の磁石16a,16bは気体溶解手段14の上流側に設けられ、他方の組の磁石17a,17bは気体放出手段15に設けられている。そして、磁場振動発生手段12は、直流電源(好ましくは、48V前後)を使用して直流電源中に±3V前後のAC(Alternating Current;交流)波動を混入させることにより各組の磁石16a,16b、17a,17b間に振動磁場を発生させるようになっている。
【0013】
電気分解手段13は、2個1組の電極18a,18b、19a,19bを2組備えており、一方の組の電極18a,18bは一方の組の磁石16a,16bの間に設けられ、他方の組の電極19a,19bは他方の組の磁石17a,17bの間に設けられている。そして、各組の電極18a,18b、19a,19b間には通電コイル20が設けられており、この通電コイル20は各組の電極18a,18b、19a,19bの近接位置に各組の電極18a,18b、19a,19bに非接触状態で設けられている。
【0014】
気体溶解手段14は、攪拌枡21と、攪拌枡21内に水を圧送する攪拌用ポンプ22とを備えて構成されている。図2及び図3に示されているように、攪拌枡21は、上下2個の円錐状容器23,24がお互いの頂部で連通するように上下逆向きに連結されて形成される容器本体25と、下方の円錐状容器24の底面部分の接線方向に接続される導入管26とから構成されており、上方の円錐状容器23と下方の円錐状容器24との間には小孔27が形成されている。また、攪拌用ポンプ22は、この小孔27に水流が達する時の遠心力としての回転数が30000rpm以上になる能力と、0.15mPa×20リットル/min以上の能力を備えているのが好ましい。
【0015】
気体放出手段15は、タンク11の上面に固定され、下面がタンク11内に開放された縦長筒状の放出気体収容部28を備えており、この放出気体収容部28の下部には他方の組の磁石17a,17bが他方の組の電極19a,19bと共に設けられている。また、放出気体収容部28の上部には放出気体検出センサ29が設けられ、タンク11の上面のこの放出気体検出センサ29の近傍位置には気体放出バルブ30が取り付けられている。
【0016】
また、タンク11の上面には、タンク11内の気体を外部に放出するためのエア抜きバルブ31と、タンク11内の圧力が設定値以上となった時に開放される安全弁32が設けられている。さらに、タンク11の側面下部には、タンク11内に水を供給する際に開放される給水バルブ33が設けられ、タンク11の側面上部には、所定の処理を行って得られた還元水を取り出すための還元水バルブ34が設けられている。
【0017】
次に、本発明の実施の形態に係る還元水製造装置10の動作について説明する。なお、以下の説明では、還元水素水を製造する時の還元水製造装置10の動作について説明する。
【0018】
開放された給水バルブ33を介してタンク11内に供給された水は、攪拌用ポンプ22により圧送され、磁場振動発生手段12に送出される。磁場振動発生手段12では、例えば、720Hz、780Hz、890Hz、950Hz、1000Hzのいずれかの周波数のAC波動が混入され、対向する一方の組の磁石16a,16bの間に磁場振動が発生されると共に、一方の組の電極18a,18bがマイナスに帯電され、水が電気分解されて水素が生成される。
【0019】
その後、攪拌用ポンプ22によって圧送された水は、磁場振動発生手段12で生成された水素と共に、導入管26を通って攪拌枡21に送出される。攪拌枡21において、この水は、下方の円錐状容器24内を上昇するに従って徐々に加圧された後、小孔27から上方の円錐状容器23内に送出され、急激に減圧される。この時、水は下の安定した分子結合(クラスター)を形成しようとし、水素を取り込んで安定したクラスター構造となる。これにより、タンク11内に還元水素水が生成され、還元水バルブ34を開放することにより、還元水素水を取り出すことができる。
【0020】
これに対して、気体放出手段15側の磁場振動発生手段12では、例えば、590Hz、760Hz、860Hz、910Hzのいずれかの周波数のAC波動が混入され、対向する他方の組の磁石17a,17bの間に磁場振動が発生されると共に、他方の組の電極19a,19bがプラスに帯電され、水が電気分解されて酸素が生成される。この時、各組の電極18a,18b、19a,19b間には通電コイル20が近接して設けられているため、電気分解が促進される。そして、放出気体センサ29がこの酸素を検出すると、気体放出バルブ30が開放され、酸素は外部に放出される。
【0021】
なお、上記説明では、還元水素水を製造する時の還元水製造装置10の動作について説明したが、各組の電極18a,18b、19a,19bの帯電の設定(プラス又はマイナス)を任意に変更することにより、還元酸素水等、他の還元水を製造することも可能である。
【0022】
このように上記した本発明の実施の形態に係る還元水製造装置10によれば、特定の周波数を利用して水に磁場振動を与えることにより、水を酸化方向にも還元方向にも変化させることができる。また、水に磁場振動を与えることにより、水の分子結合を結合クラスターの変化で希薄にも強固にもすることができるため、水分中に気体や油分等の目的の物質を溶け込ませることが可能となり、マイクロバブル化を促進させることができる。
【0023】
また、蒸留水や精製水等は含有物質が少ないため通電し難いとされているが、電気の通過効率の向上のために、電極面に水の分子を高速で当てることにより通電(電気分解)効率を上昇させることができる。
【0024】
さらに、水は小孔27を通過して上方の円錐状容器23に送出された時に下の安定したクラスターに成ろうとする結果、混入させたい電気分解した気体(酸素・水素)の一方又は両方の気体を活性状態で含んだ水を簡単に生成することができる。
【0025】
また、従来の電気分解では、プラス電極又はマイナス電極のどちらかの電極近傍の水を抽出しているため、水は酸性かアルカリ性になるが、上記した本発明の実施の形態による電気分解では、電気分解を純粋な気体(酸素・水素)の発生のために使用しているため、pH(potential Hydrogen又はpower of Hydrogenの略)が変動することはない。
【0026】
また、本発明の実施の形態に係る還元水製造装置10では、水分を含んでいれば、すべての物を処理することが可能となるため、医療用として生理食塩水を還元処理したり、飲用としてジュース等を還元処理したりすることもできる。
【0027】
さらに、本発明の実施の形態に係る還元水製造装置10は、以下のように各種用途にも利用することができる。
(1)医療分野
水素と酸素で体液のpH調整を行うことによりマイクロバブル化するため、体内に注入後、癌病巣に超音波をあてることで、マイクロバブルが発熱し、ガン治療にも有効であると考えられる。また、還元水素水は体内に混入後、活性酸素と結合し水になるため、これを利用することにより体内の炎症や各臓器の不全状態を改善することが可能となる。
(2)環境分野
水素と酸素を最適配合された処理水と重油(A・B)や軽油・灯油・ガソリン等の化石燃料とを攪拌(エマルジョン化)することによって、通常では混合しない性質のものが混合し、乳化状態(エマルジョン)になるため、燃焼カロリーを変えず、燃料の消費比率を大幅に下げ、混入されている水素や酸素の作用で排出ガスの大気汚染を軽減させることもできる。
【0028】
なお、このように処理水と化石燃料を混合してエマルジョン水として使用する場合、長期保存による分離を防止するため、使用直前まで攪拌処理を行うのが望ましい。
(3)生活分野
大規模住宅群に設置されている受水槽に設置することにより、水素を多く含んだ還元水素水を常に作り出すことができ、受水槽内部のバクテリアの発生や供給水道管の酸化による腐食を防止することができる。
【0029】
また、個別住宅の蛇口に取り付けることにより、中性の還元水を何時でも飲用として供給することができると共に、汚れ落としや殺菌に効果のある電位が低く酸素を多く含んだ活性酸素水を供給することができる。
(4)その他
水分中に大量の電子(e)が含有(−100〜−500mV前後)されているため、通常の酸化水(+550mV前後)と共に通電隔壁に入れることにより、一対で0.6V〜1V前後の能力を有する水電池を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る還元水製造装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る還元水製造装置の攪拌枡を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る還元水製造装置の攪拌枡を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 還元水製造装置
12 磁場振動発生手段
13 電気分解手段
14 気体溶解手段
18a,18b 一方の電極
19a,19b 他方の電極
20 通電コイル
21 攪拌枡
22 攪拌用ポンプ
23 上方の円錐状容器
24 下方の円錐状容器
26 導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に対して磁場振動を与える磁場振動発生手段と、
水を電気分解する電気分解手段と、
前記磁場振動発生手段により磁場振動を与えられた水に前記電気分解手段で発生した気体を溶解させる気体溶解手段と、
を備えていることを特徴とする還元水製造装置。
【請求項2】
前記電気分解手段は2個1組の電極を2組備えており、いずれか一方の組の電極で発生した気体を外部に放出する気体放出手段を備えている請求項1に記載の還元水製造装置。
【請求項3】
前記各組の電極間には通電コイルが設けられ、該通電コイルは前記各組の電極の近接位置に該各組の電極に非接触状態で設けられている請求項2に記載の還元水製造装置。
【請求項4】
前記気体溶解手段は、2個の円錐状容器がお互いの頂部で連通するように上下逆向きに連結されて形成される容器本体と前記一方の円錐状容器の底面部分の接線方向に接続される導入管とから構成される攪拌枡と、該攪拌枡内に前記導入管を介して水を圧送する攪拌用ポンプとを備えている請求項1又は2に記載の還元水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−262062(P2009−262062A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115256(P2008−115256)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(507233615)
【出願人】(597132975)
【Fターム(参考)】