説明

還元鉄粉及び焼成副原料を高温塊状化する溶融鉄製造装置及びその溶融鉄製造方法

本発明は、還元鉄粉及び焼成副原料を高温塊状化し、溶融ガス化炉に供給して溶融鉄を製造する溶融鉄製造装置及び溶融鉄製造方法に関するものである。このために本発明の溶融鉄製造方法は、多段の気泡流動層から高温の還元鉄粉及び焼成副原料が混合された還元体を製造する段階、還元体を少なくとも一対の圧着成形ロールに装入する段階、一対の圧着成形ロールにより還元体を圧着成形し、圧着両面に突起が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する段階、塊状体を破砕する段階、破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階、及び石炭充填層に酸素を吹き込んで溶融鉄を製造する段階を含み、塊状体を製造する段階で、塊状体を圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面の長さ方向の中心線と、断面において圧着両面の最も近接した溝を互いに連結する連結線とが鋭角及び鈍角を形成することを特徴とする。溶融鉄製造装置は前述の溶融鉄製造方法を実行する装置からなる。このような本発明によれば、溶融鉄の製造工程の操業を便利にし、効率性及び生産性を向上させ、塊状体の製造時に設備稼動の柔軟性を確保できるという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融鉄製造装置及びその溶融鉄製造方法に係り、より詳しくは、還元鉄粉及び焼成副原料を高温塊状化した後、溶融ガス化炉に供給して溶融鉄を製造する溶融鉄製造装置、及び溶融鉄製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼産業は、自動車、造船、家電、建設などの産業全体に基礎素材を供給する核心基幹産業であって、人類と共に発展してきた最も歴史の古い産業の一つである。鉄鋼産業の中枢的な役割を担当する製鉄所では、原料として鉄鉱石及び石炭を利用して溶融鉄(すなわち溶融状態の銑鉄)を製造した後、これより鋼を製造して各需要者に供給している。
【0003】
現在、全世界の鉄生産量の60%程度が、14世紀に開発された高炉法によって生産されている。高炉法は、焼結過程を経た鉄鉱石と瀝青炭を原料として製造したコークスなどを高炉に共に入れ、酸素を吹き込んで鉄鉱石を鉄に還元して溶融鉄を製造する方法である。溶融鉄の生産設備の主な特徴である高炉法は、その反応特性上一定の水準以上の強度を保有し、炉内の通気性確保を保障することができる粒度を保有した原料を要求するので、前述のように、燃料及び還元剤として用いる炭素源としては、特定の原料炭を加工処理したコークスに依存し、鉄源としては、一連の塊状化工程を経た焼結鉱に主に依存している。そのため、現在の高炉法では、コークスの製造設備及び焼結設備などの原料予備処理設備を必ず伴うため、高炉以外の附帯設備を構築しなければならない必要があるだけでなく、附帯設備で発生する諸般環境汚染物質に対する環境汚染防止設備も設置する必要があるため、投資費用が相当なものとなり、最終的には製造原価が上昇する。
【0004】
このような高炉法の問題点を解決するために、世界各国の製鉄所では、燃料及び還元剤として一般炭を直接使用し、鉄源としては、全世界鉱石生産量の80%以上を占める粉鉱を直接使用して溶融鉄を製造する溶融還元製鉄法の開発に多くの努力を注いでいる。
【0005】
下記特許文献1は、一般炭及び粉鉱を直接使用する溶融鉄の製造設備を開示している。図9は、特許文献1に開示された溶融鉄製造装置を簡略化して示したものである。図9に示したように、従来の溶融鉄製造装置900は、気泡流動層が形成された3段の流動還元炉910と、これに連結された溶融ガス化炉960とからなる。常温の粉鉱及び副原料は最初の流動還元炉に装入された後、3段の流動還元炉910を順に経る。3段の流動還元炉910には溶融ガス化炉960から高温還元ガスが供給されるので、常温の粉鉱及び副原料が高温還元ガスと接触して温度が上がる。これと同時に、常温の粉鉱及び副原料は90%以上還元され、30%以上焼成されて溶融ガス化炉960内に装入される。
【0006】
溶融ガス化炉960内には、石炭が供給されて石炭充填層が形成されており、常温の粉鉱及び副原料が石炭充填層内で溶融及びスラギングされて溶融鉄及びスラグとして排出される。溶融ガス化炉960の外壁に設置された複数の羽口を介して酸素が吹き込まれて石炭充填層を燃焼しながら高温の還元ガスに転換され、流動還元炉910に送られて常温の粉鉱及び副原料を還元した後、外部に排出される。
【0007】
しかし、前述の溶融鉄製造装置900には、溶融ガス化炉960の上部に高速のガス気流が形成されているため、溶融ガス化炉960に装入される還元鉄粉及び焼成副原料が飛散損失する問題点がある。また、還元鉄粉及び焼成副原料を溶融ガス化炉960に装入する場合、溶融ガス化炉960内の石炭充填層の通気性及び通液性の確保が難しい問題点がある。
【0008】
このような問題点を解決するために、還元鉄粉及び焼成副原料を高温塊状化して溶融ガス化炉に装入する方法が研究されている。これと関連し、下記特許文献2は、楕円形の海綿鉄ブリケットを製造する方法と装置を開示している。また、下記特許文献3、4、及び5は、板状又は波板状の不整形海綿鉄ブリケットを製造する方法と装置を開示している。このような海綿鉄ブリケットは、還元鉄粉を高温塊状化し、冷却して、密度が5ton/m以上になるようにして、長距離輸送に適するように製造する。
【特許文献1】米国特許公報第5,534,046号
【特許文献2】米国特許公報第5,666,638号
【特許文献3】米国特許第4,093,455号
【特許文献4】米国特許第4,076,520号
【特許文献5】米国特許第4,033,559号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述のように密度の大きな塊状体を溶融ガス化炉に装入する場合、溶融ガス化炉内の石炭充填層で溶融される還元鉄の溶融点が高くなる。したがって、還元鉄の溶融に必要な燃料の増加により、エネルギーの消耗が多くなる問題点がある。
【0010】
また、長距離輸送のために高圧で成形を行うので、圧着成形ロールが容易に摩耗してしまう。したがって、整備費の増加により生産原価が上昇するという問題点がある。
【0011】
そして、板状又は波板状の不整形に還元鉄粉を塊状化する場合、所定の厚さ以上になると、塊状体の長さ方向に割れる現象が発生する問題点がある。この場合、塊状体の厚さが薄くなり、破砕の後に平たい形状になるため、溶融ガス化炉への装入時に塊状体が密集して充填されて、溶融ガス化炉内の通気性が低下する。
【0012】
また、還元鉄粉を圧着成形する場合、生産量を増大させるために還元鉄粉の装入量を増加させる必要がある。この場合、塊状体が厚くなって連続的に形成されず、中間で切れてしまう現象が発生する。これにより、板状の塊状体の還元速度が増加して、1次破砕機で破砕されないままで通過するため、塊状体の集合物が多く生成し、2次破砕機に大きな負荷がかかる問題点がある。また、2次破砕機で破砕される塊状体が多くなると、破砕時の粉の発生量が多くなり、溶融ガス化炉への装入時に通気性が悪化する問題点がある。
【0013】
本発明は前述の問題点を解決するためのものであって、還元鉄粉及び焼成副原料を高温塊状化して使用した溶融鉄製造方法及びその溶融鉄製造装置を提供することにその目的がある。
【0014】
また、本発明は、割れや切れ現象がなく、連続的に繋がって、粉の発生量が少ない塊状体を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の目的を達成するための本発明の溶融鉄製造方法は、多段の気泡流動層から高温の還元鉄粉及び焼成副原料が混合された還元体を製造する段階、還元体を少なくとも一対の圧着成形ロールに装入する段階、一対の圧着成形ロールにより還元体を圧着成形し、圧着両面に溝が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する段階、塊状体を破砕する段階、破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階、及び石炭充填層に酸素を吹き込んで溶融鉄を製造する段階を含み、塊状体を製造する段階で、塊状体を圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面の長さ方向の中心線と、断面において圧着両面の最も近接した溝とを互いに連結する連結線が、鋭角及び鈍角を形成することを特徴とする。
【0016】
前述の還元体を装入する段階で、還元体を、圧着成形ロールに垂直な方向に対して鋭角に傾いた2つの方向から圧着成形ロールに装入するのが好ましい。
【0017】
また、塊状体を製造する段階で、製造した塊状体は、厚さが3〜30mmであり、比重が3.5〜4.2ton/mであるのが好ましい。
【0018】
そして、塊状体を破砕する段階で、塊状体の平均粒度が50mm以下であり、不整形になるように破砕するのが好ましい。
【0019】
また、本発明は、破砕した塊状体を迂回(by-pass)させる段階、迂回させた塊状体を冷却する段階、及び冷却した塊状体を保存する段階をさらに含むことができる。
【0020】
そして、破砕した塊状体の平均粒度が30mmを超える場合、破砕した塊状体を再び破砕する段階をさらに含むことができる。
【0021】
一方、本発明は、前述の各段階に窒素を供給する段階をさらに含むことができる。
【0022】
そして、本発明は、各段階で発生する粉塵を捕集する段階、捕集した粉塵を湿式除塵する段階、湿式除塵した粉塵の水分を除去する段階、及び水分を除去した粉塵を外部に排出する段階をさらに含むことができる。
【0023】
また、本発明は、多段の気泡流動層から高温の還元鉄粉を製造する段階、還元鉄粉を一対の圧着成形ロールに装入する段階、一対の圧着成形ロールにより還元鉄粉を圧着成形し、圧着両面に突起が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する段階、塊状体を破砕する段階、破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階、及び石炭充填層に酸素を吹き込んで溶融鉄を製造する段階を含み、塊状体を製造する段階で、塊状体を圧着成形ロールの軸方向に垂直で長さ方向に切断した断面において、塊状体の第1表面の隣接する溝の間に塊状体の第2表面の溝が位置することを特徴とする。
【0024】
一方、塊状体を製造する段階で、第1表面の隣接する溝の間の距離に対し、第2表面の溝に対応する第1表面の対応部と第1表面の隣接する溝とのうちの少なくとも一つの溝との間の距離の比は0.3乃至0.5であるのが好ましい。
【0025】
そして、本発明は、多段の気泡流動層から、高温の焼成副原料を還元鉄粉と混合して各段階を実行する段階をさらに含むことができる。
【0026】
また、焼成副原料は、前記塊状体全体の3〜20重量%であるのが好ましい。
【0027】
本発明の塊状体を製造する段階では、一対の圧着成形ロールにより還元鉄粉を400〜800℃で圧着成形するのが好ましい。
【0028】
そして、塊状体を製造する段階で、一対の圧着成形ロールにより還元鉄粉を140〜250barで圧着成形することができる。
【0029】
一方、塊状体を製造する段階で、製造した塊状体は、厚さが3〜30mmであり、比重が3.5〜4.2ton/mであるのが好ましい。
【0030】
また、塊状体を破砕する段階で、破砕した塊状体は平均粒度が50mm以下であり、不整形であってもよい。
【0031】
そして、塊状体の平均粒度は30mm以下であるのが好ましい。
【0032】
破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階では、塊状体の粒度が1〜30mmであるものが全体の25〜100重量%を占めるのが好ましい。
【0033】
本発明は、流動還元炉からの高温の還元鉄粉及び焼成副原料が混合された還元体の供給を受ける装入槽、装入槽からの還元体を装入し、還元体を圧着成形して、連続的に繋がった塊状体を製造する少なくとも一対の圧着成形ロール、圧着成形ロールにより製造した塊状体を破砕する破砕機、及び破砕機で破砕した塊状体を装入する溶融ガス化炉を含み、少なくとも一対の圧着成形ロールの表面には、凹溝が圧着成形ロールの軸方向に沿って並んで連続形成されて、圧着成形ロールの円周方向に沿って隣接する凹溝の間に突起を形成し、少なくとも一対の圧着成形ロールは、塊状体の製造時、第1圧着成形ロールの表面の隣接する突起の間に第2圧着成形ロールの突起が位置するように作動することを特徴とする。
【0034】
また、装入槽は、圧着成形ロールの間の垂直上部に位置する中空型チャンバー、中空型チャンバーの上部に連結されて還元体を供給する還元体流入管、及び還元体流入管の両側で圧着成形ロールの垂直方向に対して鋭角に傾いて回転駆動することにより、中空型チャンバー内の還元体を圧着成形ロールに装入する装入部材を含むのが好ましい。
【0035】
そして、本発明による溶融鉄製造装置は、破砕した塊状体を迂回させて水で冷却する冷却器と、冷却器で冷却した塊状体を移送して保存する保存タンクをさらに含んでもよい。
【0036】
また、冷却器は、破砕された塊状体の供給を受け、塊状体を水に沈積させて冷却しながら保存タンクに移送する第1コンベヤーと、複数のブレードが設置されており、底に沈積した破砕された塊状体の粉をブレードで集めて保存タンクに供給する第2コンベヤーとを含んでもよい。
【0037】
本発明の溶融鉄製造装置は、破砕した塊状体のうち、粒度が30mm以上である塊状体を選別する高温選別機、及び高温選別機により選別した塊状体を再び破砕する別途の破砕機をさらに含んでもよい。
【0038】
また、本発明の溶融鉄製造装置は、圧着成形ロール、第1破砕機、及び第2破砕機に窒素を供給する窒素供給装置をさらに含んでもよい。
【0039】
圧着成形ロールは、第1圧着成形ロールの表面の隣接する突起の間の弧の長さに対し、第2圧着成形ロールの突起に対応する第1圧着成形ロールの対応部と、第1圧着成形ロールの表面の突起とのうちの少なくとも一つの間の弧の長さの比が、0.3乃至0.5になるように作動するのが好ましい。
【0040】
また、圧着成形ロールは油圧圧着器をさらに含み、第1成形ロールは定位置回転し、油圧圧着器により第1成形ロールと第2成形ロールとの距離を変化させるのが好ましい。
【0041】
一方、本発明の溶融鉄製造装置は、装入槽、圧着成形ロール、及び破砕機で発生する粉塵を捕集する集塵ポート、集塵ポートに捕集した粉塵を湿式除塵する湿式除塵器、及び湿式除塵器により湿式除塵した粉塵から水分を除去する水分除去機をさらに含むことができる。
【0042】
そして、圧着成形ロールにより製造した塊状体は、厚さが3〜30mmであり、比重が3.5〜4.2ton/mであるのが好ましい。
【0043】
破砕した塊状体は、平均粒度が50mm以下であり、不整形であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明による一般炭及び粉鉄鉱石を利用した溶融鉄製造方法及び溶融鉄製造装置は、還元鉄粉を高温塊状化する方法を提供して溶融鉄製造工程の操業を便利にし、効率性及び生産性を向上させ、塊状体の製造時の設備稼動柔軟性を確保することができる。
【0045】
また、一対の圧着成形ロールのうち、第1圧着成形ロールの表面の隣接する突起の間に第2圧着ロールの突起が位置するようにして塊状体を圧着成形するので、塊状体の溝が互いに交差して形成され、切れたり割れたりしない適当な粒度を有する塊状体を製造することができる。したがって、圧着成形した塊状体が連続的に繋がった状態で破砕機に供給されるので、破砕機に大きな負荷はかからない。
【0046】
また、本発明による圧着成形ロールは、第1圧着成形ロールの表面の隣接する突起の間の弧の長さに対し、第2圧着成形ロールの突起に対応する第1圧着成形ロールの対応部と、第1圧着成形ロールの表面の突起とのうちの少なくとも一つの間の弧の長さの比が0.3乃至0.5になるように作動するので、塊状体が切れる現象を予め防止することができる。
【0047】
還元体は、圧着成形ロールに垂直な方向に対して鋭角に傾いた2つの方向に装入するので、還元体の飛散を防止しながら、効率的に還元体を圧着成形することができる。
【0048】
塊状体の厚さを3〜30mmにするので、塊状体が切れる虞がないだけでなく、塊状体の量が多くて圧着成形ロールの表面が損なわれることも少ない。
【0049】
本発明では特に、破砕した塊状体を迂回させて冷却した後、保存することができるので、溶融ガス化の作業異常の場合や塊状体の品質が不良な場合、もう少し融通性のある工程を行うことができる。
【0050】
また、本発明の溶融鉄製造方法で製造した塊状体を溶融ガス化炉に直ちに使用するので、3.5〜4.2ton/m程度の密度であれば移送するのに充分であり、圧着成形時に圧着成形ロールに加えられる圧力がそれほど高くないので、圧着成形ロールの破損危険が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる最も好ましい実施形態と添付した図面を利用し、本発明を詳細に説明する。しかし、この実施形態は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がこれに限られるわけではない。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態による溶融鉄製造装置の概略的な図である。図1に示した溶融鉄製造装置10に含まれた高温塊状化装置100は、より詳細な説明のために、他の装置に比べて実際の大きさより若干拡大して示す。
【0053】
本発明の一実施形態による溶融鉄製造装置10は、大きく高温塊状化装置100、流動還元炉ユニット300、及び溶融ガス化炉ユニット400に分けられる。ここで、流動還元炉ユニット300は、内部に気泡流動層を有する多段の流動還元炉を含むが、図1では、4段の流動還元炉を例として示した。図1に示した流動還元炉の段の数は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がこれに限られるわけではない。4段の流動還元炉は、第1予熱炉310、第2予熱炉320、予備還元炉330、及び最終還元炉340からなる。4段の流動還元炉は、溶融ガス化炉430から供給される還元ガスにより常温の粉鉱及び副原料を還元及び焼成して混合した還元体を製造し、高温塊状化装置100に供給する。高温塊状化装置100は、還元体を圧着成形及び破砕して塊状体を製造した後、溶融ガス化炉ユニット400に供給する。
【0054】
本発明の一実施形態による高温塊状化装置100は、大きく装入槽20、一対の圧着成形ロール30、及び第1破砕機40を含む。それ以外に、高温塊状化装置100は、高温保存槽11、冷却器60、保存タンク69、高温分岐器50、高温選別機70、第2破砕機80、及び高温移送機90をさらに含むことができる。本発明の一実施形態による高温塊状化装置100は、それ以外に、その他の必要な装置を含むことができる。
【0055】
以下では、高温塊状化装置100を構成している各装置について詳細に説明する。
【0056】
まず、多段の流動還元炉内の気泡流動層を経た700℃以上、見掛け比重約2ton/m程度の還元鉄粉及び焼成副原料を混合した還元体を移送し、高温保存槽11に保存する。最終流動還元炉の排出圧力は3barであり、流量は3000m/hであるので、高温保存槽11へ高温の還元鉄粉及び焼成副原料が圧送される。焼成副原料なしで高温の還元鉄粉のみを単独として使用することもできるが、高温の還元鉄粉が溶融ガス化炉内で容易に崩れないようにするためには、焼成副原料を高温の還元鉄粉と混合して全体の3〜20重量%になるようにするのが好ましい。
【0057】
高温保存槽11は、下部の側面にレベル制御装置13を備える。レベル制御装置13は、高温保存槽11に保存した還元体のレベルを検出し、予め設定されたレベルに到達すれば、流動還元炉からの還元体の移送を遮断する。
【0058】
高温保存槽11の下端には、開閉式バルブ15を備える。開閉式バルブ15は、高温保存槽11の下端を開閉する開閉用プレート15aと、開閉用プレート15aを制御する油圧アクチュエータ15bとを備える。
【0059】
高温保存槽11の下部には、高温保存槽11から還元体の供給を受ける装入槽20が設置されている。装入槽20は、開閉式バルブ15の開放時に内部に還元体の供給を受け、電気モータを駆動してこれを圧着成形ロールに強制的に装入させる。装入槽20については図2を参照してより詳細に説明する。
【0060】
図2は、本発明の一実施形態による断面図であって、還元体の装入方向に沿って切断した装入槽20の断面図である。
【0061】
装入槽20は、内部に中空型チャンバー200を含む。還元体流入管210は、中空型チャンバー200の上部に連結されて還元体を供給する。装入部材220a、220bは、還元体流入管210の両側に垂直方向に対して鋭角に傾いて回転駆動することにより、中空型チャンバー200内の還元体を下部の圧着成形ロールに強制的に供給する。図2には2個の装入部材を示したが、これは単に本発明を例示するためのものであって、本発明がこれに限られるわけではない。このように、垂直方向に対して鋭角に傾いた2つの方向から、還元体を強制的に圧着成形ロールに装入するので、飛散したり漏出する還元体の量を最小化することができるだけでなく、還元体を同一な量で装入することができる。
【0062】
装入槽20は、還元体の装入量を1時間当り最大60tonまで可変制御することができる。装入部材220a、220bは螺旋形であり、その上部には各々の装入部材220a、220bを回転駆動するための電気モータ240a、240bが備えられており、下部には、装入のためのスクリューが設置されている。装入部材220a、220bは、高温状態で摩耗を最大限防止するために、高温強度の優れた材質で製造する。漏出防止部260a、260bは、下部に位置した一対の圧着成形ロールが回転する場合、上部側面に還元体が漏出することを防止する。
【0063】
図1に再び戻れば、装入槽20の下端には、還元体を連続的に繋がった塊状体に圧着成形する少なくとも一対の圧着成形ロール30が設置されている。このような圧着成形ロールの数は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がこれに限られるわけではない。したがって、複数の圧着成形ロールを付着することもできる。
【0064】
圧着成形ロール30には、装入槽20から還元体を装入し、還元体を圧着成形して、圧着両面に突出部が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する。圧着成形ロール30は、互いに反対方向に回転しながら還元体を圧着成形する。この場合、還元鉄粉を含む還元体を400〜800℃、140〜250barで圧着成形するのが好ましい。
【0065】
図1に示してはいないが、第1圧着成形ロール31及び第2圧着成形ロール33は、各々油圧モータに連結されて回転駆動する。圧着成形ロール30には油圧圧着器37が設置されて、定位置回転する第1圧着成形ロール31と第2圧着成形ロール33との間の距離を変化させる。これによって塊状体の厚さを調節することができる。距離は水平に変化可能である。つまり、第1圧着成形ロール31は、定位置で回転する固定式であり、第2圧着成形ロール33は、油圧圧着器37によって水平に変化可能な移動式構造である。これとは反対の構造にすることもできる。圧着成形ロール30の間には漏出防止膜35を設置して、圧着成形された塊状体が側面に漏出できないように防止する。
【0066】
図1には示していないが、圧着成形ロール30は、油圧モータに連結された本体シャフトと、その周囲を囲んだロールタイヤとからなる。ここで、圧着成形時、圧着成形ロール30の冷却のために、本体シャフト内部には冷却水が流れる。また、ロールタイヤの表面、つまり、圧着成形ロール30の表面には、凹溝が圧着成形ロール30の軸方向に沿って並んで連続形成されて、圧着成形ロール30の円周方向に沿って隣接する凹溝の間に突起を形成する。圧着成形ロール30の表面は、高温状態で摩耗を最大限防止することができる材質を使用する。
【0067】
ロールの回転方向に並行な凹溝の長さは1〜5mmが好ましく、突起から凹溝の最も深い所までの垂直距離は3〜15mmが好ましく、突起と突起との間の距離は20〜50mm程度が好ましい。
【0068】
以下では、図3を参照して、本発明の実施形態における圧着成形ロールの表面の形状についてもう少し詳しく説明する。
【0069】
図3は、本発明の一実施形態による圧着成形ロールの表面形状と、これで成形した塊状体を概略的に示す図である。
【0070】
図3に示したような塊状体を製造する場合、第1圧着成形ロール31の表面の隣接する突起の間に第2圧着成形ロール33の突起が位置するように、一対の圧着成形ロールを作動させる。例えば、第1成形ロール31の隣接する突起31a、31bの間に第2成形ロール33の突起33cが位置するように、一対の圧着成形ロールを作動させる。この場合、連続的に連結されながら圧着両面の溝が互いに対向しないように形成された塊状体500を製造することができる。
【0071】
また、本発明の一実施形態では、第1圧着成形ロール31の表面の隣接する突起の間の弧の長さに対し、第2圧着成形ロール33の突起に対応する第1圧着成形ロール31の対応部と、第1圧着成形ロール31の表面の突起とのうちの少なくとも一つの間の弧の長さの比が0.3乃至0.5になるように作動させるのが好ましい。つまり、図3の拡大円で、第1圧着成形ロール31の表面の隣接する突起31a、31bの間の弧の長さをmとし、第2圧着成形ロール33の突起33cに対応する第1圧着成形ロール31の対応部31cと、第1圧着成形ロール31の表面の突起31a、31bとのうちの少なくとも一つまでの弧の長さをnとすれば、n/mが0.3乃至0.5になるように作動させるのが好ましい。図3では、弧の長さnを突起31aと対応部31cとの間の距離を例に挙げたが、nを突起31bと対応部31cとの間の距離としても差し支えない。
【0072】
第2圧着成形ロール33の突起33cは、第1圧着成形ロール31の表面の突起31a、31bの間に位置して、その中央を中心に上下に動くので、前述の0.3乃至0.5の比率は、相対的に0.5乃至0.7の比率と本質的に同一である。n/mの比が0乃至0.3未満であると、圧着両面の突起が隣接して突起付近の塊状体の厚さが薄くなるため、塊状体が切れる現象が発生する虞がある。
【0073】
前述のような圧着成形ロールを利用して製造した塊状体の断面形状について、図4を参照してより詳しく説明する。図4は、本発明の一実施形態によって製造した塊状体500を、圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面図である。
【0074】
本発明による塊状体500は、圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面の長さ方向の中心線と、断面において圧着両面の最も近接した溝とを互いに連結する連結線が鋭角及び鈍角を形成する。例えば、図4に示した中心線500lと圧着両面の最も近接した溝500a、500bとを互いに連結する連結線は交差点500cで相互交差しており、鋭角及び鈍角を形成する。
【0075】
また、本発明による塊状体500は、圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面に対し、圧着両面のうちの一側を第1表面とし、他の側を第2表面とすれば、第1表面の隣接する溝の間に第2表面の溝が位置する。したがって、圧着両面の溝が相互交差して位置する。例えば、図4に示したように、第1表面の隣接する溝500d、500eの間に第2表面の溝500fが位置する。
【0076】
また、本発明によって製造した塊状体は、第1表面の隣接する溝の間の距離に対し、第2表面の溝に対応する第1表面の対応部と、第1表面の隣接する溝のうちの少なくとも一つの溝との間の距離の比が0.3乃至0.5である。例えば、図4に示したように、第1表面の隣接する溝500d、500eの間の距離をkとし、第2表面の溝500fに対応する第1表面の対応部500gと第1表面の隣接する溝のうちの一つである溝500dとの距離をlとすれば、l/kは0.3乃至0.5である。これとは反対に、また他の第1表面の溝500eに適用しても同様な比率を有する。l/kが0乃至0.3未満であると、圧着両面の溝が隣接して溝付近の塊状体の厚さが薄くなるため、切れる現象が発生する虞がある。
【0077】
本発明で、圧着成形ロールを作動させて製造した塊状体の厚さは3〜30mmであり、密度は3.5〜4.2ton/mである。このように製造した塊状体は、厚さが3mm未満であると切れる虞があり、厚さが30mmを超えると、塊状体の量が多くて圧着成形ロールの表面が損なわれる虞があるので、前記範囲の厚さの塊状体を製造する。塊状体を溶融ガス化炉に直ちに使用するので、前述の3.5〜4.2ton/mの密度程度であれば移送するのに充分であり、圧着成形時に圧着成形ロールに加えられる圧力がそれほど高くないので、圧着成形ロールの破損危険が少ない。次の段階では、圧着成形した塊状体を一定の大きさに破砕する。
【0078】
図1に再び戻れば、圧着成形ロール30の下部には第1破砕機40を設置する。第1破砕機40は、圧着成形ロール30により成形した塊状体を溶融ガス化炉430に装入することができる大きさに1次分離/破砕する装置である。これと関連し、図5に第1破砕機40をより詳細に示す。
【0079】
図5は、本発明の一実施形態による圧着成形ロールと第1破砕機の作動を概略的に示す図である。
【0080】
圧着成形ロール30で圧着成形した塊状体500は、連続的に繋がって第1破砕機40で破砕される。支持台46は塊状体500を第1破砕機40に誘導し、塊状体500の破砕時に第1破砕機40を支持する。第1破砕機40は、油圧モータ49の回転軸に連結されて回転する複数の破砕板41が、塊状体500に衝撃を与えて破砕する。破砕板41の間にはスペーサ環43が介在していて、破砕板41の間の間隔を調節することができる。また、破砕板41は、複数の尖った突起45を備えて、破砕板41の回転時に慣性力による衝撃を与えて塊状体500を分離及び破砕する。第1破砕機40により破砕する場合、塊状体の平均粒度が50mm以下になるように破砕し、好ましくは溶融ガス化炉に使用適合するように30mm以下にし、不整形になるようにする。
【0081】
図1に戻れば、第1破砕機40の下部には高温分岐器50が設置されている。高温分岐器50は、破砕した高温の塊状体を迂回させて冷却及び保存したり、溶融ガス化炉に移送するように分岐することができる。図1で高温分岐器50は、流入口64を介して塊状体を流入した後、左側の排出口53を介して高温の塊状体を冷却器60で冷却処理して保存タンク69に保存したり、右側の排出口55を介して高温の塊状体を溶融ガス化炉430に移送する。
【0082】
図示してはいないが、高温分岐器50の内部には、油圧シリンダーにより作動する分岐板が回転可能であるように設置されていて、塊状体の供給方向を左側排出口53又は右側排出口55に調節する。高温分岐器50は特に、溶融ガス化炉430に異常が生じて塊状体を供給できなくなったり塊状体の品質が適当しない場合、分岐板を切換えて冷却器60側に塊状体を移送する。これと反対の場合には、正常に溶融ガス化炉430に塊状体を供給する。
【0083】
冷却器60は、高温の塊状体を水で冷却して保存タンク69に放出する装置である。以下では、図6を参照して、冷却器60についてより詳細に説明する。
【0084】
図6は、本発明の一実施形態による冷却器の概略的な断面図であって、塊状体の流入方向に沿って切断した断面図である。図6に示した冷却器60は、破砕された塊状体の供給を受け、塊状体を水に沈積させて冷却しながら保存タンクに移送する第1コンベヤー61と、複数のブレード631が設置されて、底に沈積した破砕された塊状体の粉をブレード631で集めて保存タンクに供給する第2コンベヤー63とを含む。その他にも、冷却器60は冷却に必要ないろいろな附帯装置を含むことができる。
【0085】
上下に設置された第1コンベヤー61及び第2コンベヤー63は、鉄板からなるベルトを、モータに連結されたローラにより回転して操作される。そのために、水槽65に満たしてある水67により塊状体を冷却した後、外部の保存タンクに排出する。保存タンク69(図1に図示)は、このように冷却した塊状体を保存し、後で再び使用する。
【0086】
再び図1に戻れば、正常な状態では、高温分岐器50から分岐された高温の塊状体が高温選別機70に移送されて選別過程を経る。高温選別機70は、破砕後に発生する粒度が50mm以上である塊状体、好ましくは30mm以上である塊状体を選別する装置であって、時間当り最大120トンまで選別することができる。高温選別機70は、上部側の吹出し口に流入した塊状体に対し、内部に設置されたスクリーンに振動を付与して、前述の所望の大きさの粒子を選別する。
【0087】
高温選別機70は、大粒排出口73を通して粒度が50mm以上、好ましくは30mm以上の塊状体を排出し、小粒排出口71を通して前述の大きさ以下の塊状体を排出する。塊状体の粒度が30mmを超えると溶融ガス化炉への便用に適合しないので、再び破砕する過程を経る。高温選別機70の大粒排出口73の下部には、塊状体を溶融ガス化炉430に使用するのに適した大きさに再び破砕する第2破砕機80を備える。また、高温選別機70の小粒排出口71の下部には、塊状体を溶融ガス化炉430に移送するための高温移送機90が設置されている。
【0088】
図示してはいないが、第2破砕機80は2個の破砕ロールからなるが、スペースリングを間に置いて複数のディスク型ブレードをタイボルトで固定した後、これを油圧モータにより回転させる。これにより、ブレードに形成された突起部を互いに隣接するように配置し、その間を通過する大粒の塊状体を破砕する。特に、スペースリングの厚さを異なるようにしてブレードの間の間隔を変化させることにより、多様な粒度を有する塊状体に破砕することができる。2個の破砕ロールのうちの一つの破砕ロールは固定し、他の破砕ロールは油圧装置を利用して水平方向に移動可能であるようにして、破砕ロール間の間隔を調節することができる。また、油圧モータに供給されるオイルの量を調節し、油圧モータの回転数を調節して塊状体を破砕することもできる。
【0089】
小粒排出口71を介して排出された塊状体と、第2破砕機80を通じて再び破砕された塊状体とは、高温移送機90によって塊状体保存槽95に移送される。高温移送機90は、駆動モータの回転軸に複数のスプロケットを装着してチェーンを無限軌道型に回転させ、滑車と結合したバケットをチェーンに連結して、塊状体を塊状体保存槽95に移送する。
【0090】
塊状体保存槽95の下部に設置した複数の高温均排圧装置410により、溶融ガス化炉430との圧力を均一に調整する。その次、塊状体保存槽95から塊状体を溶融ガス化炉430に装入する。
【0091】
ここで、好ましい塊状体の粒度分布は1mm未満が10重量%以下、1〜10mmが5〜30重量%、10〜20mmが10〜40重量%、20〜30mmが10〜40重量%、30〜50mmが20重量%以下になるようにする。特に、平均粒度が1〜30mmである塊状体が全体の25〜100重量%を占めるのが好ましい。
溶融ガス化炉430内には、塊炭か又は微粉炭を成形した成形炭からなる石炭充填層が形成されており、溶融ガス化炉430の外壁から石炭充填層に酸素(O)を吹き込んで溶融鉄を製造する。
【0092】
一方、本発明の一実施形態による溶融鉄製造装置10は、高温の塊状体が大気に接触する場合、酸素による再酸化によって発熱及び火災が発生する虞があるので、不活性雰囲気を造成するのが必要である。したがって、塊状体の酸化を防止するために窒素供給装置である窒素注入管を設置し、窒素を充填して酸素濃度を低下させた状態で工程を進行する。窒素は図1に示したように、塊状体が外部の大気と接触する可能性の高い開閉式バルブ15、圧着成形ロール30、第1破砕機40、第2破砕機80、及び高温移送機90などに設置することができる。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態による集塵装置700の概略図である。
【0094】
集塵装置700は、本発明の溶融鉄製造装置で塊状体の移送、装入、破砕、及び選別過程で発生する高温の粉塵を集塵する。図7に示した集塵装置700は、図1の圧着成形ロール30、第1破砕機40、冷却器60、高温選別機70、第2破砕機80、及び高温移送機90が設置されて、ここで発生する粉塵を捕集する各々の集塵ポート(図示せず)、集塵ポート(図示せず)に集塵した粉塵を湿式除塵する湿式除塵器710、及び湿式除塵器710で湿式除塵した粉塵から水分を除去する水分除去機720を含む。湿式除塵作業の後には、煙突730を通して外部に粉塵を排出する。前述のような方法で塊状体を製造する場合、粉塵発生量を5%未満と低くすることができる。
【実施例】
【0095】
以下では、本発明の実験例を説明する。このような実験例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がこれに限られるわけではない。
【0096】
実験例
流動還元炉から排出される750℃程度の高温還元鉄粉及び焼成副原料の混合物である還元体より、多様な形態の圧着成形ロールを利用して連続的に繋がった塊状体を製造した。
【0097】
第1比較例
図8の(A)の左側に示したように、表面が平坦な圧着成形ロールを利用して塊状体を圧着成形した。その結果、図8の(A)の右側のような形状の厚さが8mmである塊状体を得た。この場合、塊状体の密度は3.8g/cmであり、1mm以下の粉塵は10重量%程度発生した。また、図8の(A)の右側に示したように、塊状体の長さ方向に割れる現象が観察された。
【0098】
第2比較例
図8の(B)の左側に示したように、表面に溝を一定に形成した圧着成形ロールを利用して塊状体を圧着成形した。その結果、図8の(B)の右側のように、厚さが10mmである塊状体を得た。この場合、塊状体の密度は3.8g/cmであり、1mm以下の粉塵は8重量%程度発生した。しかし、還元鉄粉と圧着成形ロールとの間に粘着性が増加したため、割れが発生した。
【0099】
第3比較例
図8の(C)の左側に示したように、凹溝が圧着成形ロールの軸方向に沿ってその表面に並んで連続形成されている一対の圧着成形ロールを使用して塊状体を製造した。この場合、 同調式に、つまり一対の圧着成形ロールの突起が互いに対向するように圧着成形ロールを作動させて、厚さ16mmの塊状体を製造した。この場合、塊状体の密度は3.8g/cmであった。しかし、図8の(C)の右側に示したように、圧着両面の溝が互いに対向して位置するため、塊状体に切れ部分80aが発生するだけでなく、長さ方向に沿って割れ部分80bがよく発生した。
【0100】
実施例
本発明では図3に示したように、凹溝が圧着成形ロールの軸方向に沿ってその表面に並んで連続形成されている一対の圧着成形ロールを使用して塊状体を製造した。この場合、非同調式に、つまり一対の圧着成形ロールのうちの第1成形ロールの表面に隣接する突起の間に第2圧着成形ロールの突起が位置するように圧着成形ロールを作動させ、厚さ16mmの塊状体を製造した。この場合、塊状体の密度は3.8g/cmであり、生産性は200%向上し、1mm以下の粉塵発生率は5重量%であった。
前述の内容を整理すれば、次の表1の通りである。
【0101】
【表1】

【0102】
表1から分かるように、本発明の一実施形態によって製造した塊状体は、厚さを16mm以下に製造することができるので、生産性が向上するだけでなく、粉の発生量が低減される利点があった。また、本発明の実施形態では切れ現象や割れ現象が現れず、第1比較例乃至第3比較例によって製造された塊状体に比べてその性質が優れていた。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施するのが可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態による溶融鉄製造装置の概略的な図である。
【図2】本発明の一実施形態による装入槽の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による圧着成形ロールと、これにより成形した塊状体を概略的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によって製造した塊状体の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による圧着成形ロールと第1破砕機の作動を概略的に示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による冷却器の断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による集塵装置の概略的な図である。
【図8】従来の圧着成形ロール及びこれにより製造した塊状体を概略的に示した図である。
【図9】従来の溶融鉄製造装置を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段の気泡流動層から、高温の還元鉄粉及び焼成副原料が混合された還元体を製造する段階、
前記還元体を少なくとも一対の圧着成形ロールに装入する段階、
前記一対の圧着成形ロールにより前記還元体を圧着成形し、圧着両面に溝が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する段階、
前記塊状体を破砕する段階、
前記破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階、及び
前記石炭充填層に酸素を吹き込んで溶融鉄を製造する段階を含み、
前記塊状体を製造する段階で、塊状体を前記圧着成形ロールの軸方向に垂直に長さ方向に切断した断面の長さ方向の中心線と、前記断面において前記圧着両面の最も近接した溝とを互いに連結する連結線が、鋭角及び鈍角を形成する、溶融鉄製造方法。
【請求項2】
前記還元体を装入する段階で、
前記還元体を、前記圧着成形ロールに垂直な方向に対して鋭角に傾いた2つの方向から前記圧着成形ロールに装入する、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項3】
前記塊状体を製造する段階で、
製造した前記塊状体は、厚さが3〜30mmであり、密度が3.5〜4.2ton/mである、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項4】
前記塊状体を破砕する段階で、
前記塊状体の平均粒度が50mm以下であり、不整形になるように破砕する、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項5】
前記破砕した塊状体を迂回させる段階、
前記迂回させた塊状体を冷却する段階、及び
前記冷却した塊状体を保存する段階
をさらに含む、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項6】
前記破砕した塊状体の平均粒度が30mmを超える場合、
前記破砕した塊状体を再び破砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項7】
前記各段階に窒素を供給する段階をさらに含む、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項8】
前記各段階で発生する粉塵を捕集する段階、
前記捕集した粉塵を湿式除塵する段階、
前記湿式除塵した粉塵の水分を除去する段階、及び
前記水分を除去した粉塵を外部に排出する段階
をさらに含む、請求項1に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項9】
多段の気泡流動層から高温の還元鉄粉を製造する段階、
前記還元鉄粉を少なくとも一対の圧着成形ロールに装入する段階、
前記一対の圧着成形ロールにより前記還元鉄粉を圧着成形し、圧着両面に溝が形成されて連続的に繋がった塊状体を製造する段階、
前記塊状体を破砕する段階、
前記破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階、及び
前記石炭充填層に酸素を吹き込んで溶融鉄を製造する段階を含み、
前記塊状体を製造する段階で、塊状体を前記圧着成形ロールの軸方向に垂直で長さ方向に切断した断面において、前記塊状体の第1表面の隣接する溝の間に前記塊状体の第2表面の溝が位置する、溶融鉄製造方法。
【請求項10】
前記塊状体を製造する段階で、前記第1表面の隣接する溝の間の距離に対し、前記第2表面の溝に対応する前記第1表面の対応部と、前記第1表面の隣接する溝のうちの少なくとも一つの溝との間の距離の比は0.3乃至0.5である、請求項9に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項11】
前記多段の気泡流動層から高温の焼成副原料を前記還元鉄粉と混合して、前記各段階を実行する段階をさらに含む、請求項9に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項12】
前記焼成副原料は、前記塊状体全体の3〜20重量%である、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項13】
前記塊状体を製造する段階で、
前記一対の圧着成形ロールにより、前記還元鉄粉を400〜800℃で圧着成形する、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項14】
前記塊状体を製造する段階で、
前記一対の圧着成形ロールにより、前記還元鉄粉を140〜250barで圧着成形する、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項15】
前記塊状体を製造する段階で、
製造した前記塊状体は、厚さが3〜30mmであり、比重が3.5〜4.2ton/mである、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項16】
前記塊状体を破砕する段階で、
破砕した前記塊状体は、平均粒度が50mm以下であり、不整形である、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項17】
前記塊状体の平均粒度は30mm以下である、請求項16に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項18】
前記破砕した塊状体を石炭充填層に装入する段階で、
前記塊状体の粒度が1〜30mmであるものが全体の25〜100重量%である、請求項11に記載の溶融鉄製造方法。
【請求項19】
多段の流動還元炉からの高温の還元鉄粉及び焼成副原料が混合された還元体の供給を受ける装入槽、
前記装入槽からの還元体を装入し、前記還元体を圧着成形して、連続的に繋がった塊状体を製造する少なくとも一対の圧着成形ロール、
前記圧着成形ロールにより製造した前記塊状体を破砕する破砕機、及び
前記破砕機で破砕した前記塊状体を装入する溶融ガス化炉を含み、
前記少なくとも一対の圧着成形ロールの表面には、凹溝が前記圧着成形ロールの軸方向に沿って並んで連続形成されて、前記圧着成形ロールの円周方向に沿って隣接する前記凹溝の間に突起を形成し、
前記少なくとも一対の圧着成形ロールは、前記塊状体の製造時、第1圧着成形ロールの表面にある隣接する突起の間に第2圧着成形ロールの突起が位置するように作動する、溶融鉄製造装置。
【請求項20】
前記装入槽は、
前記圧着成形ロールの間の垂直上部に位置する中空型チャンバー、
前記中空型チャンバーの上部に連結されて前記還元体を供給する還元体流入管、及び
前記還元体流入管の両側に、前記圧着成形ロールの垂直方向に対して鋭角に傾いて回転駆動することによって、前記中空型チャンバー内の還元体を前記圧着成形ロールに装入する装入部材
を含む、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項21】
前記破砕した塊状体を迂回させて水で冷却する冷却器、及び
前記冷却器で冷却した塊状体を移送して保存する保存タンク
をさらに含む、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項22】
前記冷却器は、
前記破砕された塊状体の供給を受け、前記塊状体を水に沈積させて冷却しながら前記保存タンクに移送する第1コンベヤー、及び
複数のブレードが設置されており、底に沈積した前記破砕された塊状体の粉を前記ブレードで集めて前記保存タンクに供給する第2コンベヤー
を含む、請求項21に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項23】
前記破砕した塊状体のうち、粒度が30mm以上である塊状体を選別する高温選別機、及び
前記高温選別機により選別した前記塊状体を再び破砕する別途の破砕機
をさらに含む、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項24】
前記別途の破砕機に窒素を供給する窒素供給装置をさらに含む、請求項23に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項25】
前記圧着成形ロール及び前記破砕機に窒素を供給する窒素供給装置をさらに含む、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項26】
前記圧着成形ロールは、前記第1圧着成形ロールの表面の隣接する突起の間の弧の長さに対して、前記第2圧着成形ロールの突起に対応する第1圧着成形ロールの対応部と前記第1圧着成形ロールの表面の突起とのうちの少なくとも一つの間の弧の長さの比が、0.3乃至0.5になるように作動する、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項27】
前記圧着成形ロールは油圧圧着機をさらに含み、
前記第1成形ロールは定位置回転し、前記油圧圧着機により前記第1成形ロールと前記第2成形ロールとの距離を変化させる、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項28】
前記装入槽、前記圧着成形ロール、及び前記破砕機で発生する粉塵を捕集する集塵ポート、
前記集塵ポートに捕集した粉塵を湿式除塵する湿式除塵器、及び
前記湿式除塵器により湿式除塵した粉塵から水分を除去する水分除去機
をさらに含む、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項29】
前記圧着成形ロールにより製造した前記塊状体は、厚さが3〜30mmであり、比重が3.5〜4.2ton/mである、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。
【請求項30】
前記破砕した塊状体は、平均粒度が50mm以下であり、不整形である、請求項19に記載の溶融鉄製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−511706(P2006−511706A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562094(P2004−562094)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002789
【国際公開番号】WO2004/057042
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【Fターム(参考)】