説明

部分放電監視装置

【課題】特定のGISに限らず使用でき、かつ監視者が必要とする最低限の情報をすばやく確認できることを目的とする。
【解決手段】GIS4における部分放電を監視する簡易型PDM装置1であって、デテクタボックス2から、このデテクタボックス2で行われた一次判定の結果である一次データを受信する受信部130と、一次データが部分放電に該当する情報であるか否かなどを判定する二次判定を行う二次判定処理部112と、この二次判定の結果を、蓄積データ121として記憶部120に格納するデータ蓄積処理部114と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分放電監視装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
GIS(Gas Insulated Switchgear)の主なる事故原因の6割を占めるといわれている絶縁不良の兆候である部分放電を捉えることは非常に重要であり、その監視にPDM(Partial Discharge Monitoring)装置が用いられている。
図6は、このようなPDM装置を備える従来における部分放電監視システムの例を示す図である。
各変電所7aの部分放電監視システムBにおいて、GIS4は、三相交流に対応したA相、B相、C相を有している。A相、B相、C相のそれぞれには、GIS4内の信号値を測定するセンサ3が備えられており、センサ3が取得した信号データは、ケーブル8を介してデテクタボックス2へ送信される。なお、この信号値は、GISに影響を及ぼさないような部分放電や、事前に除去できなかったノイズなども含んでおり、後記する一次判定および二次判定によりGISに影響を及ぼすPDであるか否かや、ノイズではなく本当にPDであるか否かなどが判定される。デテクタボックス2は、センサ3から送信された信号データに対し、図4で後記する一次判定を行い、取得した信号データが部分放電に該当するデータであるか否かを判定する。
【0003】
この一次判定の結果、取得した信号データが部分放電に該当すると判定されれば、デテクタボックス2は、光ケーブルなどの通信網9およびハブ10などを介して、PDM装置1aへ一次判定の結果である一次データを送信する。
同様に、他のGIS4における一次データも、センサ3→デテクタボックス2→ハブ10を介して、PDM装置1aへ集められる。
【0004】
PDM装置1aに送られる一次データは、信号値、信号の周波数、位相、時刻などの情報を含んでいる。PDM装置1aでは、送られた情報が、GIS4に影響を及ぼす部分放電であるか否かや、本当に部分放電に該当するのか否かを詳細に判定する二次判定や、GIS4のどこに部分放電が発生したかを分析する位置評定処理や事前に設定した閾値を超えた信号を時系列的に記録し、部分放電の原因判定やその危険度を判定する。ここで、閾値は超えているが、二次判定によって、部分放電ではないと判定されたり、GIS4に影響を及ぼさないと判定された一次データは「イベント」という現象として記録される。
【0005】
PDM装置1aには、表示装置12が備えられており、この表示装置12がデテクタボックス2から送られた一次データや、二次判定や、解析の結果を表示する。表示される解析の結果は、PD(Partial Discharge:部分放電)値‐周波数、PD値‐位相などのデータを2次元で表示したり、PD値‐周波数‐時間、PD値‐位相‐時間などのデータを3次元で表示したりするPDリアルタイムデータとそのトレンドデータ、GIS4のどこに部分放電が発生しているかの情報や、PD発生記録リスト、各センサ3での信号値とその周波数を表示した単線結線図などである。解析の結果として、簡易型PDM装置1や、部分放電監視システムAの状況に関する情報や、端末6を介して入力された簡易型PDM装置1の設定値の変更などに関連する手動操作の情報などが含まれる場合もある。
【0006】
また、PDM装置1aには、図示しない警報装置が接続されている。PDM装置1aは、デテクタボックス2から一次データを受信すると共に、警報装置に警報を出力させる。監視者は、警報を確認すると、PDM装置1aが設置されている部屋へ移動し、PDM装置1aに備えられている表示装置12に表示されている各情報を確認する。
【0007】
また、変電所7aの外部には、複数の変電所7aにおけるPDM装置1aを監視している遠隔監視装置11が、WAN(Wide Area Network)などの広域通信網13を介して、各変電所7aのPDM装置1aに接続されている。
【0008】
ここで、図6に示すようなPDM装置1aの分析において、位置評定処理や、単線結線図などの情報は、GIS4や、このGIS4に設置されているセンサ3の構成が分かっていないと分析することができない。そのため、図6に示すようなPDM装置1aは、予め設定されている特定のGIS4にしか使用することができない。また、このようなPDM装置1aは高価であるため、重要な変電所である200kV以上の電圧を扱う変電所7aに使用されることが多い。
しかしながら、実際には156kV以下の変電所7aなどにも使用したいといった要望がある。
【0009】
非特許文献1には、このような要望に対する一つの方法として、スマートカプラ(Smart Coupler)が提示されている。スマートカプラとは、図6におけるセンサ3とデテクタボックス2を合わせたものである。スマートカプラで測定・判定された一次データは、ベースユニット(Base Unit)に送信される。ベースユニットは、送信された一次データを格納し、LAN(Local Area Network)や、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などを介してPC(Personal Computer)へ送られる。一次データを送られたPCは、位置評定処理や、PD判定などの分析処理を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“SmartCoupler G”、[online]、2005年1月、Diagnostic Monitoring Systems Ltd、[平成21年5月21日検索、インターネット<URL:http://www.dmsystems.co.uk/brochures/SmartCoupler_G.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術は、一次データを格納するのみの機能しか有していない。従って、ベースユニットが、スマートカプラ(デテクタボックス)から一次データを受信し、警報が出力されてから、PCをベースユニットに接続し、一次データをダウンロードしても、それからPC上で、二次判定などを行う必要があり、監視者が部分放電であるか否かの結果を確認するまでに時間がかかってしまう。
【0012】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、特定のGISに限らず使用でき、かつ監視者が必要とする最低限の情報をすばやく確認できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の部分放電装置は、デテクタボックスから送信された一次データに対し、二次判定を行い、前記二次判定の結果を記憶部に格納することを特徴とする。
その他の解決手段は、実施形態中において適宜記載する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特定のGISに限らず使用でき、かつ監視者が必要とする最低限の情報をすばやく確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る部分放電監視システムの構成例を示す図である
【図2】本実施形態に係る簡易型PDM装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る全体処理の概要手順を示すフローチャートである。
【図4】デテクタボックスにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る簡易型PDM装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】従来における部分放電監視システムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る部分放電監視システムの構成例を示す図である。なお、図1において、前記した図6と同様の要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
変電所7に設置される部分放電監視システムAにおいて、GIS4は、三相交流に対応したA相、B相、C相を有している。A相、B相、C相のそれぞれには、GIS4内の信号値を常時測定するセンサ3が備えられており、センサ3が取得した信号データは、ケーブル8を介してデテクタボックス2へ逐次送信される。なお、この信号値は、GISに影響を及ぼさないような部分放電や、事前に除去できなかったノイズなども含んでおり、後記する一次判定および二次判定によりGISに影響を及ぼすPDであるか否かや、ノイズではなく本当にPDであるか否かなどが判定される。デテクタボックス2は、センサ3から送信された信号データに対し、図4で後記する一次判定を行い、取得した信号データが部分放電に該当するデータであるか否かを判定する。なお、デテクタボックス2は、固定型であってもよいし、非固定型であってもよい。
なお、特定のデテクタボックス2をマスタとして、このマスタのデテクタボックス2に簡易型PDM装置1を接続(マウント)してもよい。
【0018】
一次判定の結果、取得した信号データが部分放電に該当すると判定されれば、デテクタボックス2は、光ケーブルなどの通信網9などを介して、図1に示すようにボックス型の形状をしている簡易型PDM装置1(部分放電監視装置)へ部分放電に該当すると判定された期間の信号データ(一次データ)を送信する。
同様に、他のGIS4における一次データも、センサ3→デテクタボックス2を介して、簡易型PDM装置1へ集められる。
【0019】
簡易型PDM装置1は、デテクタボックス2から一次データを受信すると、警報装置5から警報情報を出力させるとともに、受信した一次データが本当に部分放電に該当するデータであるのか否かなどを判定するPD判定などの二次判定や、後記するその他の解析処理を行い、受信した一次データおよび二次判定の結果を記憶部120(図2)に格納する。
そして、監視者が警報出力を確認した後、ノートPCなどの端末6(外部装置)を簡易型PDM装置1に接続すると、簡易型PDM装置1から端末6へ一次データや、二次判定の結果の情報や、解析処理の結果の情報などが送られる。
また、デテクタボックス2が多い場合や、デテクタボックス2と、簡易型PDM装置1との間の距離が長くなる場合などには、簡易型PDM装置1とデテクタボックス2の間にハブを設置してもよい。
【0020】
(簡易型PDM装置構成)
図2は、本実施形態に係る簡易型PDM装置の構成例を示す図である。
簡易型PDM装置1は、受信部130と、送信部140と、端末接続部150と、処理部110と、記憶部120とを有している。受信部130は、デテクタボックス2から一次データを受信するなどの処理を行う。送信部140は、警報装置5(図1)へ情報を送信する処理を行う。端末接続部150は、USB(Universal Serial Bus)ポートなどの端末6と簡易型PDM装置1とを接続し、接続された端末6との通信を行う接続端子である。記憶部120は、一次データや、二次判定の結果や、後記する解析処理の結果の情報である蓄積データ121を格納している。なお、本実施形態に係る簡易型PDM装置1は、図6に示すPDM装置1aのような表示装置12を備えていない。表示装置12を備えないことにより、本実施形態に係る簡易型PDM装置1は、可搬性を高めることができる。
【0021】
処理部110は、警報処理部111と、二次判定処理部112と、解析処理部113と、データ蓄積処理部114と、外部装置処理部としての端末処理部115を有する。警報処理部111は、一次データの受信を検知すると、警報装置5に警報情報を出力させる処理を行う。二次判定処理部112は、PD判定などの二次判定を行う機能を有する。解析処理部113は、二次判定の結果や、部分放電データを使用して、PDリアルタイムトレンドのデータや、PDリストなどの解析処理の結果であるデータを作成する機能を有する。データ蓄積処理部114は、受信した一次データや、二次判定の結果の情報を蓄積データ121として記憶部120に記憶する処理を行う。端末処理部115は、端末接続部150における端末6の接続を検知し、端末6から蓄積データ121のダウンロードが指示されると、記憶部120の蓄積データ121を端末6へ送信する。
なお、解析処理部113は、省略可能である。
【0022】
また、処理部110の各部111〜115は、図示しないROM(Read Only Memory)や、図示しないHD(Hard Disk)に格納されたプログラムが、図示しないRAM(Random Access Memory)に展開され、図示しないCPU(Central Processing Unit)によって実行されることによって具現化する。
【0023】
(全体処理)
図3は、本実施形態に係る全体処理の概要手順を示すフローチャートである。なお、デテクタボックス2および簡易型PDM装置1の詳細な処理手順は、図4および図5を参照して後記する。
まず、センサ3は検知したGIS4における信号値に関するデータをデテクタボックス2へ送信する(S101)。
センサ3からのデータを受信した(S102)デテクタボックス2は、一次判定処理を行って(S103)、センサ3から受信したデータが部分放電に該当するか否かを判定する。一次判定処理の詳細については、図4で後記する。
一次判定処理の結果、部分放電に該当すると判定されたデータは、一次データとして簡易型PDM装置1へ送信される(S104)。
【0024】
一次データを受信した(S105)簡易型PDM装置1は、警報装置5へ警報情報を出力するよう警報指示を行う(S106)。警報指示された警報装置5は、警報を出力する(S107)。
また、簡易型PDM装置1は、受信した一次データが本当に部分放電に該当するのか否かなどを詳細に判定する二次判定処理を行い(S108)、さらに解析処理を行った(S109)後、受信した一次データや、二次判定処理の結果や、解析処理の結果の情報を記憶部120に格納するデータ蓄積処理を行う(S110)。二次判定処理の詳細は、図5で後記する。
なお、ステップS108,S109の処理後に、ステップS106の処理を行ってもよいし、ステップS108,S109の処理の間にステップS106の処理を行ってもよい。
【0025】
(デテクタボックスの処理)
次に、図1を参照しつつ、図4に沿ってデテクタボックス2における処理の説明を行う。
図4は、デテクタボックスにおける処理の手順を示すフローチャートである。
まず、デテクタボックス2は、センサ3からGIS4における信号値などのデータを受信する(S201)。
次に、デテクタボックス2は、センサ3から受信したデータが一次判定条件のすべてに適合するか、または少なくとも後記する(1)の条件を満たすか否かを判定し(S202)、当該データが部分放電に該当するか否かを判定する。なお、ステップS202の処理では、センサ3から受信したデータが一次判定条件に適合するか否かと、少なくとも後記する(1)の条件を満たすか否かの判定のどちらか一方が行われる。
一次判定条件は、以下の3つがある。
(1)値が予め設定されている所定の値以上である。
(2)前記所定の電圧値以上である時間が予め設定されている時間以上である。
(3)他の相に同様の変化が生じていない。
これらの一次判定条件のうち、(3)は、例えば、A相(図1)で信号値の変化が検知された場合、B相、C相においても同様の変化が生じていれば、外乱ノイズの影響などが考えられるためである。
【0026】
ステップS202において、受信したデータが、一次判定電条件の3つのすべてを満たすか、または少なくとも(1)の条件を満たす場合(S202→Yes)、デテクタボックス2は、受信したデータを一次データとして簡易型PDM装置1へ送信し(S203)、ステップS201へ処理を戻す。
ステップS202において、受信したデータが、一次判定条件のうち、1つでも満たさない場合もしくは少なくとも(1)の条件を満たさない場合(S202→No)、デテクタボックス2は、センサ3から受信したデータを破棄して(S204)、ステップS201へ処理をもどす。
【0027】
なお、デテクタボックス2は、前記した3つの一次判定条件のうち、少なくとも(1)の条件を満たしていれば、一次データとして簡易型PDM装置1へ送信し、簡易型PDM装置1の二次判定において、部分放電でないと判定されれば、参考のために「イベントデータ」として簡易型PDM装置1の記憶部120に保存してもよい。
【0028】
(簡易型PDM装置の処理)
次に、図1および図2を参照しつつ、図5に沿って、本実施形態に係る簡易型PDM装置1における処理を説明する。
図5は、本実施形態に係る簡易型PDM装置における処理の手順を示すフローチャートである。
まず、処理部110が、デテクタボックス2から一次データを受信したか否かを判定する(S301)。
ステップS301において、一次データを受信していない場合(S301→No)、処理部110は、ステップS306へ処理を進める。
ステップS301において、一次データを受信した場合(S301→Yes)、警報処理部111は、警報装置5に警報情報を出力するよう送信部140を介して指示する(S302)。
【0029】
次に、二次判定処理部112が、受信した一次データを使用して、二次判定処理を行う(S303)。
二次判定処理には、PD判定処理などが含まれる。PD判定処理とは、位相情報などを基に、詳細な解析を行うことで、受信した一次データが本当に部分放電に該当するのかや、GIS4に影響を及ぼす部分放電であるか否かなどを判定する処理である。つまり、デテクタボックス2における一次判定処理(S202)は、簡易的な判定処理であり、簡易型PDM装置1における二次判定処理(S303)は詳細な判定処理であるといえる。
二次判定処理の結果、部分放電に該当しないと判定されたり、GIS4に影響を及ぼさない部分放電と判定されたりした一次データは、イベントデータとして蓄積データ121に含まれる。
【0030】
次に、解析処理部113が、二次判定処理の結果や、一次データを使用して解析処理を行い(S304)、解析データを作成する。解析データとは、PD値‐周波数、PD値‐位相などのデータを2次元で表示したり、PD値‐周波数‐時間、PD値‐位相‐時間などのデータを3次元で表示したりするPDリアルタイムデータおよびトレンドデータや、部分放電リストや、イベントのリストや、一次データの来歴などに関するデータである。
なお、ステップS304では、部分放電がGIS4のどこに生じたかといった情報である位置評定など、GIS4の構造や、センサ3の構造に関する情報を必要とする解析は行わない。GIS4の構造や、センサ3の構造に関する情報を必要とする解析を行わないことにより、本実施形態に係る簡易型PDM装置1は、図6に示すPDM装置と異なり、特定のGIS4に限ることなく使用することができる。
また、ステップS304の処理は、省略してもよい。
さらに、ステップS302の処理は、ステップS301〜S305の処理の間のどこで行われてもよい。
【0031】
ステップS304の後、データ蓄積処理部114がステップS303の二次判定結果や、ステップS304の解析結果を蓄積データ121として、記憶部120に格納するデータ蓄積処理を行う(S305)。蓄積データ121には、デテクタボックス2から受信した一次データを含んでもよい。
【0032】
次に、端末処理部115は、端末接続部150に端末6が接続されたか否かを判定する(S306)。
ステップS306の結果、端末接続部150に端末6が接続されていない場合(S306→No)、処理部110がステップS301へ処理を戻す。
ステップS306の結果、端末接続部150に端末6が接続されている場合(S306→Yes)、端末処理部115が、端末接続部150を介して、端末6へ蓄積データ121を送信し(S307)、処理部110がステップS301へ処理を戻す。
【0033】
なお、端末6は、ノートPCに限らずPDA(Personal Digital Assistant)や、携帯電話など情報の表示機能を有するものであればよい。
また、簡易型PDM装置1には、持ち運びに便利なよう図示しない取っ手などを備えてもよい。
さらに、本実施形態では、簡易型PDM装置1の形状をボックス型としたが、これに限らず、持ち運べる形状であればよい。
また、蓄積データ121には、二次判定の結果のみが格納されていてもよい。
さらに、簡易型PDM装置1と、端末6の接続は、例えばUSBなどの有線接続でもよいし、ブルートゥースなどの近接無線接続でもよい。また、端末6は、通信網9などを介して簡易型PDM装置1に接続してもよい。
さらに、警報装置5は、変電所7の外部に設置されてもよい。
【0034】
(まとめ)
本実施形態に係る簡易型PDM装置1によれば、簡易型PDM装置1において部分放電の二次判定を行うことで、監視者は端末6に蓄積データ121をダウンロードするだけで必要なデータをすぐに確認することができる。非特許文献1に記載の技術では、二次判定などの処理を行わず、一次データを蓄積するだけなので、監視者が端末6に一次データをダウンロードした後、二次判定などの処理を行う必要があり、必要なデータの確認が遅れる場合がある。
さらに、本実施形態に係る簡易型PDM装置1によれば、簡易型PDM装置1においてPD値‐周波数、PD値‐位相などのデータを2次元で表示したり、PD値‐周波数‐時間、PD値‐位相‐時間などのデータを3次元で表示したりするPDリアルタイムデータとそのトレンドデータや、部分放電リストや、イベントのリストや、一次データの来歴などに関する解析データを作成することで、監視者は、これらのデータをダウンロードするだけで必要とするデータをすぐに確認できる。
【0035】
また、本実施形態に係る簡易型PDM装置1によれば、ステップS304の解析処理において部分放電がGIS4のどこに生じたかといった情報である位置評定など、GIS4の構造や、センサ3の構造に関する情報を必要とする解析を行わないことにより、特定のGIS4に限ることなく使用することができる。このため、時期をずらすことにより、1つの簡易型PDM装置1で複数のGIS4での点検を行うことができる。
さらに、表示装置12を備えないことにより、形状をコンパクトにでき、可搬性に優れた簡易型PDM装置1を提供することができる。また、表示装置12を備えず、GIS4の構造や、センサ3の構造に関する情報を必要とする解析を行わないことによりコストを削減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 簡易型PDM装置(部分放電監視装置)
2 デテクタボックス
3 センサ
4 GIS
5 警報装置
6 端末(外部装置)
7 変電所
110 処理部
111 警報処理部
112 二次判定処理部
113 解析処理部
114 データ蓄積処理部
115 端末処理部(外部装置処理部)
120 記憶部
121 蓄積データ
130 受信部
140 送信部
150 端末接続部
A 部分放電監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GISにおける部分放電を監視する部分放電監視装置であって、
前記GISに備えられているセンサからのデータに対して、デテクタボックスが行った一次判定の結果である一次データを、前記デテクタボックスから受信する受信部と、
前記一次データが部分放電に該当する情報であるか否かを判定する二次判定を行う二次判定処理部と、
前記二次判定の結果を、蓄積データとして記憶部に格納するデータ蓄積処理部と、を
有することを特徴とする部分放電監視装置。
【請求項2】
前記受信部が、前記デテクタボックスから、前記部分放電に関するデータを受信すると、警報情報を警報装置に出力させる警報処理部を、
さらに有することを特徴とする請求項1に記載の部分放電監視装置。
【請求項3】
外部装置が、前記部分放電監視装置自身に接続されると、
前記記憶部に蓄積されているデータを前記外部装置へ送信する外部装置処理部を、
さらに有することを特徴とする請求項1に記載の部分放電監視装置。
【請求項4】
前記一次データおよび前記二次判定の結果の情報のうち、少なくとも1つを用いて、前記GISの構造によらない解析データを生成する解析処理部を、
さらに有し、
前記蓄積データに、前記解析データが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の部分放電監視装置。
【請求項5】
前記解析データは、部分放電値‐周波数、部分放電値‐位相などのデータを2次元で表示するPDリアルタイムトレンド、部分放電値‐周波数‐時間、部分放電値‐位相‐時間を含むデータを3次元で表示するPDリアルタイムトレンド、部分放電リスト、前記二次判定の結果、部分放電に該当しないと判定されたイベントのリストであるイベントリスト、前記一次データの来歴に関するデータを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の部分放電監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−276551(P2010−276551A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131452(P2009−131452)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】