説明

部品の搬送方法と、部品搬送用容器と、部品搬送用容器及び補強用治具

【課題】流通コストの低減により、部品の低コスト化を図る。
【解決手段】部品工場で、薄肉の高分子材料製で中空の搬送用容器14の収納空間20、20に部品を収納してから、組立工場に搬送する。この組立工場では、補強用治具15に上記搬送用容器14を載置して、この補強用治具15の上面に設けた各補強立壁29、29を、この搬送用容器14に設けた、1対の端部立壁17、17及び各中間部立壁18、18に挿入する。この様に上記搬送用容器14を補強した状態で、上記各収納空間20、20内に収納された上記各部品を、上記両端部立壁17、17と上記各中間部立壁18、18との長さ方向他端部同士の間に存在する開口部を通じて取り出す。搬送用容器14を軽量化すると共に、この搬送用容器14を部品工場に送り返す手間を不要にして、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエンジンの動弁機構を構成するカムフォロア及び複数本のニードルを、これらカムフォロア及びニードルの製造工場から、上記エンジンの組立工場に搬送する搬送方法、並びに、この搬送に使用する搬送用容器の改良に関する。合わせて、この搬送用容器の取り扱い性を確保する為の補強治具の実現を図るものである。
【背景技術】
【0002】
レシプロエンジン(往復ピストンエンジン)には、一部の2サイクルエンジンを除き、クランクシャフトの回転と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設けている。この様なレシプロエンジンでは、上記クランクシャフトの回転と同期して(4サイクルエンジンの場合には1/2の回転速度で)回転するカムシャフトの動きを、ロッカーアームにより、上記吸気弁又は排気弁である弁体に伝達し、これら弁体をそれぞれの軸方向に往復運動させる。この様なエンジンの動弁機構で、摩擦抵抗を小さく抑えてエンジンの性能(最大出力、燃費性能)を向上させる為に、上記カムシャフトに固定したカムの外周面と係合するロッカーアームの一部に円筒状のカムフォロアを、ラジアルニードル軸受により回転自在に支持する構造が、例えば特許文献1、2に記載される等により広く知られ、且つ、広く実施されている。
【0003】
図16は、このうちの特許文献1に記載された、ロッカーアーム装置の構造の1例を示している。このロッカーアーム装置は、ロッカーアーム1と、枢軸2と、ローラ3と、複数本のニードル4、4と、間座5とを備える。このうちのロッカーアーム1は、鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により、或いは軽合金をダイキャスト成形する事により造られる。又、上記枢軸2は、軸受鋼等の硬質金属製で、上記ロッカーアーム装置を組み立てた状態で、両端部を上記ロッカーアーム1を構成する1対の支持壁部6、6に支持固定される。又、上記ローラ3は、軸受鋼等の硬質金属により全体を円筒状に造られたもので、上記各ニードル4、4を介して上記枢軸2の周囲に、回転自在に支持される。更に、上記間座5は、これら各ニードル4、4の軸方向両端面と、上記両支持壁部6、6の内側面との間に設けられる。尚、上記間座5は省略する場合も多い。
【0004】
上述の様なロッカーアーム装置の組立作業は、例えばエンジンの組立工場で行なうが、上記各部品1〜5は、それぞれ部品工場で造ったものをこの組立工場に搬送する。これら各部品1〜5は、何れも小型のものである為、同種の部品を多数、単一の容器中に収納した状態で、上記部品工場から上記組立工場に搬送する。この場合に、個々の部品の姿勢が一定である事が、上記組立工場での組立作業の能率化(組立ロボットによるハンドリングの容易化)を図る面から必要である。例えば、上記ローラ3と上記各ニードル4、4とは、部品工場で、ローラ3の内周面に所定数のニードル4、4を、グリースにより貼着した状態で、図16に示す様なユニット7とする。そして、この様なユニット7を複数個、各ユニット7同士の間で中心軸を互いに平行にした状態で、図17〜19に略示する様な搬送用容器8中に収納し、上記部品工場から上記組立工場に搬送する。尚、上記ユニット7の中心部には、必要に応じて、ゴム等の弾性材製で円柱状のスペーサを、軽い締り嵌めで挿入して、上記各ニードル4、4が上記ローラ3の内周面から不用意に脱落する事を、より確実に防止する。上記スペーサは、上記組立工場で、除去、回収する。
【0005】
上記搬送用容器8は、アルミニウム合金を押し出し成形した素材を所定長さに切断すると共に所定の切削加工を施す事により造ったもので、平板状の底板部9と、それぞれがこの底板部9から上方に立上った、複数の立壁10a、10bとを有する。そして、幅方向(図17の矢印a方向)に隣り合う立壁10a、10b同士の間を、上記各ユニット7を収納する為の収納空間11、11としている。これら各ユニット7は、それぞれの中心軸の方向を上記搬送用容器8の幅方向に一致させて上記各収納空間11、11内に、この搬送用容器8の長さ方向(図17の矢印b方向)に、互いに直列に配置した状態で収納する。又、幅方向両端部の立壁10a、10aの長さ方向両端部の上部に形成した係止切り欠き12、12に1対の(図17には1個のみ図示)シャッタ部材13の両端部を、図18〜19に示す様に係止して、上記各収納空間11、11の両端部を塞ぎ、これら各収納空間11、11内に収納された上記各ユニット7が、これら各収納空間11、11の両端部開口から不用意に脱落する事を防止する。これら各収納空間11、11の両端部開口は、上記部品工場から上記組立工場への搬送中は、何れも上記両シャッタ部材13により塞いでおく。これに対して、組立工場で組み立てロボットにセットした状態では、一方のシャッタ部材13を取り外し、上記各収納空間11、11内に収納された上記ユニット7を1個ずつ取り出して、前記ロッカーアーム1及び前記枢軸2等の、別の物品に組み付ける。上記搬送用容器8は、上記各ユニット7を総て取り出した後、上記組立工場から上記部品工場に送り返して、再利用する。
【0006】
上述の様にして、上記搬送用容器8により、上記各ユニット7を上記部品工場から上記組立工場に搬送する場合、搬送用容器8の重量及び容積が嵩む事で、収納効率が悪化し、輸送コストが嵩む。しかも、上記部品工場と上記組立工場との間で絶え間なく循環させるべく、多数の搬送用容器8が必要になる。即ち、流通在庫と呼ばれる、上記部品工場から上記組立工場に搬送する途中の上記各ユニット7を収納した上記搬送用容器8の他、この組立工場から上記部品工場に送り返す搬送用容器8も必要になる。この為、この部品工場からこの組立工場に上記各ユニット7を、途切れる事なく供給し続ける為には、上記搬送用容器8の数を相当に多くする必要がある。特に、例えば国内に存在する部品工場から海外に存在する組立工場に、船便で部品供給を行なう場合、所謂洋上在庫が嵩み、上記搬送用容器8の数が膨大になる。この搬送用容器8自体、アルミニウム合金製で製造コストが嵩むものである事から、この様な搬送用容器8を多数使用して上記各ユニット7の供給を行なうと、これら各ユニット7の低価格化を図る面から相当に不利になる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−112225号公報
【特許文献2】特開2004−100499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、流通コストの低減により、部品の低コスト化を図れる部品の搬送方法と、部品搬送用容器と、部品搬送用容器及び補強用治具を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部品の搬送方法と、部品搬送用容器と、部品搬送用容器及び補強用治具のうち、請求項1に記載した部品の搬送方法の発明は、部品工場で造られた複数個の部品を搬送用容器に収納した後、この搬送用容器ごとこれら各部品を、上記部品工場から、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場に搬送し、これら各部品を上記搬送用容器から順次取り出しつつ上記他の物品への組み付けを可能にする。
特に、請求項1に記載した部品の搬送方法に於いては、上記搬送用容器は、薄肉の高分子材料製とする。又、この搬送用容器は、底板部と、1対の端部立壁と、複数の中間部立壁と、連結立壁とを備える。これら両端部立壁は、上記底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成されたもので、互いに平行である。又、上記各中間部立壁は、上記底板部のうちで上記両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成されている。又、上記連結立壁は、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成されている。更に、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁とは、下面側が開口した中空構造である。
そして、上記部品工場で上記各部品を、上記搬送用容器のうちで、上記各立壁によりそれぞれの三方を囲まれた複数の収納空間内に、これら各収納空間の長さ方向に関して互いに直列に、互いに同じ姿勢で、且つ、これら各収納空間の長さ方向への移動を可能に収納してから(但し、必要に応じて、後述するシャッタ部材により、各部品が各収納空間から不用意に脱落しない様にしてから)、上記組立工場に搬送する。
更に、この組立工場では、十分な(組立作業時に上記各部品を所定の姿勢で保持できるだけの)剛性及び強度を有する基板の上面にそれぞれが十分な剛性及び強度を有する複数の補強立壁を、上記搬送用容器の幅方向に関する、上記両端部立壁及び上記各中間部立壁のピッチと同じピッチで形成した補強用治具に上記搬送用容器を載置して、上記各補強立壁を上記両端部立壁及び上記各中間部立壁に挿入する。そして、この状態で、上記各収納空間内に収納された上記各部品を、上記両端部立壁と上記各中間部立壁との長さ方向他端部同士の間に存在する開口部を通じて取り出す。
【0010】
上述した本発明の部品の搬送方法を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記搬送用容器の幅方向に配置されたシャッタ部材を、上記各中間部立壁の長さ方向他端部に形成した切り欠き部に係止する事により、上記各収納空間の開口部を塞ぐ。そして、この状態で、上記部品工場でこれら各収納空間内に上記各部品を収納してから、これら各部品を収納した上記搬送用容器を、上記部品工場から上記組立工場に搬送する。その後、この組立工場で、上記シャッタ部材を外してから、上記各収納空間から上記各部品を取り出す。
【0011】
又、上述した本発明の部品の搬送方法を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記組立工場に、平板状の支え板とこの支え板の端部に固定した把手とを備えた移し替え用治具を用意しておく。又、上記部品工場で、それぞれが複数個の部品を収納した上記搬送用容器を、下側の搬送用容器の各収納空間に収納された上記各部品の上面に上側の搬送用容器の底板部の下面を当接させた状態で上下に複数段に重ね合わせてから上記組立工場に搬送する。そして、この組立工場で、上記移し替え用治具の支え板を最上段の搬送用容器の下側に差し込んで、この最上段の搬送用容器を取り出した後、この搬送用容器を上記支え板の上面から補強用治具の上面に移し替える。
【0012】
又、本発明のうちで、請求項4に記載した部品の搬送方法の発明は、部品工場で造られた複数個の部品を、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場に、これら各部品を搬送用容器から順次取り出しつつこの他の物品への組み付けを可能にした状態で搬送する為、上記部品工場で上記各部品を収納した上記搬送用容器を梱包材に収納する。
この様な請求項4に記載した部品の搬送方法の発明では、上記搬送用容器として、前述した請求項1に記載した発明の場合と同様の構造を有するものを使用する。
特に、請求項4に記載した、部品の搬送方法に於いては、上記部品工場で上記各部品を、上記搬送用容器のうちで、上記各立壁によりそれぞれの三方を囲まれた複数の収納空間内に、これら各収納空間の長さ方向に関して互いに直列に、互いに同じ姿勢で、且つ、これら各収納空間の長さ方向への移動を可能に収納する。この場合も、必要に応じて、シャッタ部材により、各部品が各収納空間から不用意に脱落しない様にする。
次いで、上記各部品を収納した上記搬送用容器を、移し替え用治具に設けた、この搬送用容器よりも大きな剛性及び強度を有する支え板に載せて、上記梱包材中に収納し、この梱包材中に上記各部品を収納した上記搬送用容器を複数段に重ね合わせる。その後、この梱包材を上記組立工場に向けて発送する。
【0013】
又、本発明のうちで、請求項5に記載した部品搬送用容器の発明は、前述した請求項1及び上述した請求項4に記載した部品の搬送方法の発明の実施に使用するもので、全体を薄肉の高分子材料により一体に造られた中空構造で、底板部と、この底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成された、互いに平行な1対の端部立壁と、上記底板部のうちでこれら両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成された複数の中間部立壁と、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成された連結立壁とを備える。そして、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁との下面側が開口している。
又、上述の様な請求項5に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項6に記載した様に、上記各中間部立壁の長さ方向他端部に形成された切り欠き部と、幅方向に配置されてこれら各切り欠き部に係脱自在とされたシャッタ部材とを備える。そして、このシャッタ部材の一部をこれら各切り欠き部に係合させた状態で、上記各収納空間の開口部を塞いでこれら各収納空間内に収納された部品がこれら各収納空間の収納部から抜け出る事を防止する。
【0014】
更に、本発明のうちで、請求項7に記載した部品搬送用容器及び補強用治具の発明は、全体を薄肉の高分子材料により一体に造られた中空構造の部品搬送用容器と、この部品搬送用容器と組み合わせた状態でこの部品搬送用容器を補強する補強用治具とから成る。このうちの部品搬送用容器は、上述した請求項5に記載した通りの構成を有する。これに対して、上記補強用治具は、十分な剛性及び強度を有する基板の上面にそれぞれが十分な剛性及び強度を有する複数の補強立壁を、上記部品搬送用容器の幅方向に関する、上記両端部立壁及び上記各中間部立壁のピッチと同じピッチで形成したものである。そして、上記補強用治具に上記部品搬送用容器を載置して、上記各補強立壁を上記両端部立壁及び上記各中間部立壁に挿入した状態に組み合わせている。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に構成する、本発明の部品の搬送方法と、部品搬送用容器と、部品搬送用容器及び補強用治具によれば、流通コストの低減により、部品の低コスト化を図れる。この理由に就いて、以下に説明する。
先ず、部品搬送用容器は高分子材料製で薄肉である為、材料費及び製作費を低く抑えられ、この部品搬送用容器のコスト自体を低く抑えられる。そして、この部品搬送用容器のコスト自体を低く抑えられる事に伴って、組立工場でこの部品搬送用容器の収納部から部品を取り出した後、この部品搬送用容器を部品工場に送り返す必要がなくなる。この為、空の部品搬送用容器を部品工場に送り返す為の輸送コストをなくす事によるコスト低減を図れる。
【0016】
又、上記部品搬送用容器が薄肉であり、この部品搬送用容器の容積を小さく、重量を軽く抑えられるので、単位容積当りの部品搬送用容器の収納個数を多く(収納効率を高く)すると共に、部品以外の(梱包の為に必要な)重量を軽くして、部品1個当りの輸送コストを低く抑えられる。
但し、上記部品搬送用容器を、薄肉の高分子材料製とする事で、この部品搬送用容器の剛性が低下し、そのままでは、この部品搬送用容器内に収納された各部品の位置決めが不安定になったり、或いは組立工場でこの部品搬送用容器を組立ロボットに対し所定の位置関係でセットできなくなる可能性がある。これに対して本発明の場合には、上記組立工場で上記部品搬送用容器から各部品を取り出すのに先立って、この部品搬送用容器を補強用治具に載置し、各補強立壁を両端部立壁及び各中間部立壁に挿入する。この状態で、薄肉合成樹脂製で中空の、これら両端部立壁及び各中間部立壁が、上記各補強立壁により補強されて、これら両端部立壁及び各中間部立壁の形状が安定する。従って、この状態で、各収納空間内に収納された上記各部品を、上記両端部立壁と上記各中間部立壁との長さ方向他端部同士の間に存在する開口部を通じて取り出せば、上記各部品を、一定の姿勢のまま、安定して取り出せる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜15は、本発明の実施の形態の1例を示している。先ず、搬送用容器14の構造に就いて、図1〜10により説明する。この搬送用容器14は、薄肉の高分子材料製とする。この高分子材料としては、例えばポリプロピレン(PP)が適切であるが、薄肉で安定した形状に加工できる材料であれば、他の高分子材料を使用する事もできる。肉厚(薄肉の程度)は、材料を安定して加工でき、且つ、必要最低限の強度を確保できる範囲で、できる限り薄くする事が好ましい。例えば、上記搬送用容器14をPP製とする場合で、0.5mm以下(より好ましくは0.3mm以下)に抑える事が好ましい。但し、0.1mm未満とした場合には、後述する補強用治具15の使用を考慮したとしても、必要最低限の強度を確保する事は難しい。尚、図3〜4に示した上記搬送用容器14の断面部分(及び後述する図8のシャッタ部材22の断面形状)に就いては、輪郭線に比べて太い実線で表している。又、上記合成樹脂材料による上記搬送用容器14の製造方法は特に問わない。製造用金型の精度を確保でき、且つ、成形後に金型からの取り出しが可能であれば、射出成形により造る事もできる。但し、コスト上の問題からこの精度の確保が難しい場合、或いは、金型からの取り出し容易性の問題がある場合には、ブロー成形により造る事もできる。
【0018】
何れの方法により造る場合も、上記搬送用容器14は、底板部16と、1対の端部立壁17、17と、複数の中間部立壁18、18と、連結立壁19とを備える。これら両端部立壁17、17は、上記底板部16の幅方向(図1の矢印a方向、図2の上下方向、図3の表裏方向)両端部上面に、この上面から上方に突出する状態で形成されたもので、互いに平行である。又、上記各中間部立壁18、18は、上記底板部16のうちで上記両端部立壁17、17同士の間部分に、この底板部16の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁17、17との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁17、17に対し平行に形成されている。又、上記連結立壁19は、上記底板部16の長さ方向(図1の矢印b方向、図2の左右方向、図3の左右方向)一端部上面に、上記両端部立壁17、17及び上記各中間部立壁18、18の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成されている。
【0019】
更に、これら各立壁17〜19は、下面側が開口した中空構造で、それぞれの内面は、互いに対向する内面同士の間隔が、上記底板部16から離れる程(上端に向かう程)狭くなる方向に傾斜している。従って、上記搬送用容器14の幅方向に隣り合う、上記両端部立壁17、17及び上記各中間部立壁18、18の外側面同士の間隔は、上記底板部16から離れる程(上端に向かう程)広くなっている。上記搬送用容器14の上面で、上記各立壁17〜19によりそれぞれの三方を囲まれた部分が、ローラ3とニードル4とを組み合わせたユニット7、7(図14〜16参照)を収納する為の収納空間20、20となるが、これら各収納空間20、20の幅寸法(内寸)は、上端部で上記各ユニット7、7の軸方向に関する幅寸法よりも大きく、下端部でこの幅寸法よりも小さい。従ってこれら各ユニット7、7は、上記両端部立壁17、17及び上記各中間部立壁18、18の側壁部を弾性変形させつつ、上記各収納空間20、20内に押し込み自在である。そして、上記各ユニット7、7をこれら各収納空間20、20内に、上記ローラ3の一部外周面が上記底板部16に当接する迄押し込んだ状態で、上記各ユニット7、7が上記各収納空間20、20内に、がたつきなく収納される。尚、上述の説明とは逆に、上記各収納空間20、20の幅寸法を上記各ユニット7、7の幅寸法よりも僅かに大きくする事もできる。この場合には、これら各ユニット7、7に付着した防錆油の、上記各収納空間20、20の内面への付着を最小限に抑えられる。又、上記各ユニット7、7をこれら各収納空間20、20の開口部に向けて移動させる際の摩擦抵抗を低く抑えられる。そして、これら各収納空間20、20内でのこれら各ユニット7、7のがたつきを最小限に抑えつつ、これら各収納空間20、20内からこれら各ユニット7、7を取り出す作業の容易化を図れる。
【0020】
又、上記各中間部立壁18、18の長さ方向他端部に、矩形状乃至は巾着状の切り欠き部21a、21bを形成している。そして、これら各切り欠き部21a、21bに、図1(具体的形状に就いては図7〜10参照)に示す様なシャッタ部材22を着脱自在としている。このシャッタ部材22は、上記搬送用容器14と同様の高分子材料により、同様の製造方法により造られたもので、全体としての形状が、上方が開口した舟形で、上記搬送用容器14の幅方向に配置された状態で、上記各切り欠き21a、21bと弾性的に係脱自在とすべく、一部の断面形状を、図9〜10に示す様に、上記各切り欠き部21a、21bに合わせて、矩形状若しくは巾着状としている。そして、図14に示す様に、上記シャッタ部材22の一部を上記各切り欠き部21a、21bに係合させた状態で、上記各収納空間20、20の開口部を塞ぎ、これら各収納空間20、20内に収納された上記各ユニット7、7が、これら各収納空間20、20の収納部から抜け出る事を防止する様にしている。
【0021】
尚、上記搬送用容器14は、特に大きな強度及び剛性を必要とするものではないが、軽量・薄肉化を図りつつ、強度及び剛性を確保する為に、前記補強治具15等、使用時に組み合わされる他の部材と干渉しない部分の形状を、当該部分の断面係数を向上させる形状とする事もできる。この様に断面係数を向上させるべき部分としては、上記連結立壁19が適切である。この連結立壁19の外側面複数個所に、それぞれが上下方向に亙る凹溝部或いはリブを形成したり、或いは、この連結立壁19の上面外半部分に、上記搬送用容器14の全幅に亙る凹段部を形成すれば、上記連結立壁19の断面係数を向上させて、軽量・薄肉化を図りつつ、強度及び剛性を確保できる。
【0022】
上述の様な搬送用容器14を使用して、前記部品工場から前記組立工場に、上記各ユニット7、7を搬送し、更にこの組立工場に設置された組立ロボットの部品供給部にセットする場合、先ず、上記部品工場で上記各ユニット7、7を、上記搬送用容器14の上記収納空間20、20内に収納する。この際、これら各ユニット7、7をこれら各収納空間20、20の長さ方向に関して互いに直列に、互いに同じ姿勢で、且つ、これら各収納空間20、20の長さ方向への移動を可能に収納する。具体的には、上記各ユニット7、7の中心軸の方向と上記搬送用容器14の幅方向とを一致させ、且つ、上記各収納空間20、20の長さ方向に隣り合うユニット7、7の外周面同士を近接乃至は当接させた状態で、これら各収納空間20、20内にこれら各ユニット7、7を収納する。これら各収納空間20、20の開口部は、予め上記シャッタ部材22により塞いでおくので、この開口部から上記各ユニット7、7が抜け出る事はない。又、これら各ユニット7、7は、前述した通り、上記両端部立壁17、17及び上記各中間部立壁18、18の側壁部を弾性変形させつつ、上記各収納空間20、20内に押し込まれる為、押し込み完了後の状態で、上記各ユニット7、7がこれら各収納空間20、20内でがたつく事はない。尚、前述した様に、これら各収納空間20、20内からの上記各ユニット7、7の取り出しを容易にすべく、これら各収納空間20、20の幅寸法をこれら各ユニット7、7の幅寸法よりも僅かに大きくした場合でも、これら各ユニットが上記各収納空間20、20内で問題となる程がたつく事はない。
【0023】
この様にして、上記部品工場で、上記搬送用容器14の各収納空間20、20内に上記各ユニット7、7を収納したならば、それぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14を、図11に示す様に、上下に複数段に重ね合わせる。この際、下側の搬送用容器14の各収納空間20、20に収納された上記各ユニット7、7の上面に、上側の搬送用容器14の底板部16の下面を当接させる。この様にそれぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14、14を重ね合わせる作業は、予め用意した段ボール箱等の梱包材23に収納しつつ行なう。尚、この梱包材23は、図11に示す様に、横開き式のものを使用する。この理由は、図12〜13に示した様な移し替え用治具24を使用しての、上記ユニット7、7を収納した搬送用容器14の、上記梱包材23内への収納作業を可能にする為である。即ち、上記各ユニット7、7を収納した、上記搬送用容器14は、後述する図12に示す様な移し替え用治具24の上面に載置した状態で、この搬送用容器14に上記各ユニット7、7を収納する部分から、上記梱包材23部分に迄運ぶ。そして、これら各ユニット7、7を収納した上記搬送用容器14を、上記移し替え用治具24の上面から滑り出しつつ、上記梱包材23内に収納する(移し替える)。尚、上記梱包材23は、後述する組立工場で行なう、移し替え用治具24を使用しての、上記ユニット7、7を収納した搬送用容器14の取り出し作業を可能にする為にも、横開き式の物を使用する。上述の様に、上下に重ね合わされた、それぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14、14は、上記梱包材23に収められた状態で、上記組立工場に搬送する。この組立工場への搬送時に、この梱包材23の側方を閉じておく事は勿論である。
【0024】
そして、この組立工場では上記梱包材23を、図11に示す様に側方に開いて、上下に重ね合わされた、それぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14、14を、図12に示した移し替え用治具24により上段から取り出し、補強用治具15の上面に移し替える。この移し替え用治具24は、上記部品工場で上記梱包材23内への収納作業に使用したものと同じ構造のものであるが、この部品工場に備えたものとは別に、上記組立工場に備えられているもので、平板状の支え板25とこの支え板25の基端部に固定した把手26とを備える。この支え板25は、上下に重ね合わされた、それぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14、14同士の間に差し込める様に、必要な強度及び剛性を確保できる限り、薄い事が好ましい。この為に図示の例では、上記支え板25の先端縁を除く残りの端縁である、左右両端縁と基端縁とに突壁27、27を固設し、上記支え板25の補強を図る事で、この支え板25の薄肉化を可能としている。
【0025】
又、上記補強用治具15は、図1に略示する様に、鋼板、アルミニウム合金板、ABS樹脂板等の、十分な剛性及び強度を有する、金属又は合成樹脂製の基板28の上面に、それぞれが十分な剛性及び強度を有する複数の補強立壁29、29を形成して成る。これら各補強立壁29、29のピッチは、上記搬送用容器14の幅方向に関する、前記両端部立壁17、17及び前記各中間部立壁18、18のピッチと同じにしている。又、上記各補強立壁29、29の幅(厚さ)、長さ、及び高さは、これら各立壁17、18内に挿入可能な寸法としている。尚、上記補強用治具15の剛性及び強度は、上記各ユニット7、7の姿勢を確実に規制すべく、上記搬送用容器14を補強するのに十分な値とする。
【0026】
上記組立工場で、上述の様な移し替え用治具24を使用して、上記それぞれが複数個のユニット7、7を収納した複数の搬送用容器14、14を、上記補強用治具15の上面に移し替える作業は、次の様にして行なう。先ず、図11に示す様に、前記梱包材23を、上記搬送用容器14、14の長さ方向一端部で側方に開く。次いで、上記移し替え用治具24の支え板25を最上段の搬送用容器14の下側に差し込み、図13に示す様に、この搬送用容器14を、収納した上記各ユニット7、7ごと上記梱包材23から取り出す(尚、図13は、各ユニット7、7を省略した状態で示している)。その後、この搬送用容器14を、上記支え板25の上面から上記補強用治具15の上面に移し替える。この移し替え作業は、この支え板25をこの補強用治具15の基板28の上方に位置させた状態で、上記搬送用容器14をこの支え板25に対し滑らせ、上記各補強立壁29、29を上記両端部立壁17、17及び上記各中間部立壁18、18内に進入させつつ、上記搬送用容器14を上記基板28の上面に移す事で行なう。この移し替え作業迄の間は、前記シャッタ部材22は、上記搬送用容器14に装着したままの状態とする。
【0027】
上述の様にして、上記ユニット7、7を収納した上記搬送用容器14を上記補強用治具15の上面に移し替えた状態では、この搬送用容器14の底板部16や各立壁17〜18が不適正な形状に歪む事はない。そこで、この搬送用容器14を上記補強用治具15の上面に載せたまま、組立ロボットの部品供給部にセットすると共に、上記シャッタ部材22を取り外す。この状態でこの組立ロボットが、前記各収納空間20、20内に収納された上記各ユニット7、7を1個ずつ押し出して、これら各収納空間20、20の端部開口から取り出す。この際、上記組立ロボットに設けた押し出し腕の先端部を、上記各収納空間20、20の奥端部に設けた挿入用凹部30、30に挿入してから、上記押し出し腕を、上記各ユニット7、7の1ピッチ分ずつ上記各収納空間20、20の開口部に向けて移動させ、これら各ユニット7、7を、上記開口部を通じて1個ずつ取り出す。何れかの収納空間20内に収納しておいたこれら各ユニット7、7を総て取り出したならば、上記搬送用容器14を上記各収納空間20、20の1ピッチ分だけ幅方向に移動させ、同様の作業を繰り返す。
【0028】
尚、上記シャッタ部材22は、必要に応じて、上記移し替え作業の後、アルミニウム合金の如き金属製で、より強度及び剛性の高い、組立工場用シャッタに(人手により)交換する事もできる。この様な組立工場用シャッタに交換する理由は、上記元々のシャッタ部材22は、軽過ぎて強度及び剛性が低い為、上記組立ロボットの部品供給部にセットした後、この組立ロボットにより確実に取り外す事が難しくなる可能性がある為である。しかも、上記合成樹脂製で薄肉のシャッタ部材22は、上記組立ロボットのアームが取り落として、この組立ロボットの何れかの部分に入り込んでも、検知できない可能性がある。これに対して、上記組立工場用のシャッタに交換すれば、上記組立ロボットにより確実に取り外せるだけでなく、万一取り落としてこの組立ロボットの何れかの部分に入り込んでも、金属検知器により確実に検知して、これを取り除ける。
【0029】
上述の様に構成する、本例の部品の搬送方法と、部品搬送用容器14と、部品搬送用容器14及び補強用治具15によれば、流通コストの低減により、ユニット7、7の低コスト化を図れる。この理由に就いて、以下に説明する。
先ず、部品搬送用容器14はPP等の高分子材料製で薄肉である為、材料費及び製作費を低く抑えられ、この部品搬送用容器14のコスト自体を低く抑えられる。そして、この部品搬送用容器14のコスト自体を低く抑えられる事に伴って、組立工場でこの部品搬送用容器14の収納部からユニット7、7を取り出した後、この部品搬送用容器14を部品製造工場に送り返す必要がなくなる。PP等の高分子材料は、同種の高分子材料として分別回収する事で再利用可能である為、組立工場から回収業者に渡す事で、資源の再利用を図れる。この為、空の部品搬送用容器14を部品工場に送り返す為の輸送コストをなくす事によるコスト低減を図れる。
【0030】
又、上記部品搬送用容器14が薄肉であり、この部品搬送用容器14の容積を小さく、重量を軽く抑えられるので、単位容積当りの部品搬送用容器14の収納個数を多く(収納効率を高く)すると共に、ユニット7、7以外の(梱包の為に必要な)重量を軽くして、ユニット7、7の1個当りの輸送コストを低く抑えられる。例えば、前述の図17〜19に示した様な、アルミニウム合金製の搬送用容器8を使用する場合、この搬送用容器8の重量を収納可能なユニット7、7の数で除した値(ユニット1個当りの搬送用容器の重量)が、7.9gであったのに対して、本例の部品搬送用容器14の場合には0.25gに抑えられる。この為、部品製造工場から組立工場に搬送する物品全体の重量を大きく低減して、輸送コスト、延てはこの組立工場に対する、上記各ユニット7、7の引き渡し価格の低減を図れる。
【0031】
更に、上記部品搬送用容器14を、薄肉の高分子材料製とする事で、この部品搬送用容器14の剛性が低下する為、そのままでは、この部品搬送用容器14内に収納された各ユニット7、7の位置決めが不安定になったり、或いは組立工場でこの部品搬送用容器14を組立ロボットに対し所定の位置関係でセットできなくなる可能性がある。これに対して本例の場合には、上記組立工場で上記部品搬送用容器14から各ユニット7、7を取り出すのに先立って、この部品搬送用容器14を補強用治具15に載置して、前記各補強立壁29、29を両端部立壁17、17及び各中間部立壁18、18に挿入する。この状態で、薄肉合成樹脂製で中空の、これら両端部立壁17、17及び各中間部立壁18、18が、上記各補強立壁29、29により補強されて、これら両端部立壁17、17及び各中間部立壁18、18の形状が安定する。従って、この状態で、各収納空間20、20内に収納された上記各ユニット7、7を、上記両端部立壁17、17と上記各中間部立壁18、18との長さ方向他端部同士の間に存在する開口部を通じて取り出せば、上記各ユニット7、7を、一定の姿勢のまま、安定して取り出せる。組立工場に用意しておくべき、上記補強用治具15の数は限られているので、この補強用治具15を用意する事に伴う、上記各ユニット7、7のコスト上昇は殆ど無視できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上述の説明は、本発明を、ローラ3の内周面に複数本のニードル4、4を貼着したユニット7の搬送に利用した場合に就いて行なった。これに対して本発明は、この様なユニット7の搬送に限らず、同じ姿勢で部品工場から組立工場に搬送すべき、各種小型部品の搬送に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、搬送用容器とシャッタ部材と補強用治具との略分解斜視図。
【図2】同じく搬送用容器の具体的形状を示す平面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】同B−B断面図。
【図5】同C−C拡大断面図。
【図6】同D−D拡大断面図。
【図7】シャッタ部材の平面図。
【図8】図7のE−E断面図。
【図9】同F−F拡大断面図。
【図10】同G−G拡大断面図。
【図11】組立工場で梱包を開いた状態を示す斜視図。
【図12】移し替え用治具の斜視図。
【図13】移し替え用治具に搬送用容器を載置した状態を示す部分斜視図。
【図14】補強用治具に、ユニットを収納した搬送用容器を載置した状態を、収納空間の開口部側から見た状態で示す部分斜視図。
【図15】同じく開口部と反対側から見た状態で示す部分斜視図。
【図16】ロッカーアーム装置の1例を示す分解斜視図。
【図17】従来使用されていた搬送用容器を示す略斜視図。
【図18】この搬送用容器にユニットを収納した状態を一端側から見た状態で示す部分斜視図。
【図19】同じく他端側から見た状態で示す部分斜視図。
【符号の説明】
【0034】
1 ロッカーアーム
2 枢軸
3 ローラ
4 ニードル
5 間座
6 支持壁部
7 ユニット
8 搬送用容器
9 底板部
10a、10b 立壁
11 収納空間
12 係止切り欠き
13 シャッタ部材
14 搬送用容器(部品搬送用容器)
15 補強用治具
16 底板部
17 端部立壁
18 中間部立壁
19 連結立壁
20 収納空間
21a、21b 切り欠き部
22 シャッタ部材
23 梱包材
24 移し替え用治具
25 支え板
26 把手
27 突壁
28 基板
29 補強立壁
30 挿入用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品工場で造られた複数個の部品を搬送用容器に収納した後、この搬送用容器ごとこれら各部品を、上記部品工場から、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場に搬送し、これら各部品を上記搬送用容器から順次取り出しつつ上記他の物品への組み付けを可能にする部品の搬送方法に於いて、
上記搬送用容器は、薄肉の高分子材料製で、底板部と、この底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成された、互いに平行な1対の端部立壁と、上記底板部のうちでこれら両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成された複数の中間部立壁と、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成された連結立壁とを備えたものであって、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁とは、下面側が開口した中空構造であり、
上記部品工場で上記各部品を、上記搬送用容器のうちで、上記各立壁によりそれぞれの三方を囲まれた複数の収納空間内に、これら各収納空間の長さ方向に関して互いに直列に、互いに同じ姿勢で収納してから、上記組立工場に搬送し、
この組立工場では、十分な剛性及び強度を有する基板の上面にそれぞれが十分な剛性及び強度を有する複数の補強立壁を、上記搬送用容器の幅方向に関する、上記両端部立壁及び上記各中間部立壁のピッチと同じピッチで形成した補強用治具に上記搬送用容器を載置して、上記各補強立壁を上記両端部立壁及び上記各中間部立壁に挿入した状態で、上記各収納空間内に収納された上記各部品を、上記両端部立壁と上記各中間部立壁との長さ方向他端部同士の間に存在する開口部を通じて取り出す、
部品の搬送方法。
【請求項2】
搬送用容器の幅方向に配置されたシャッタ部材を、各中間部立壁の長さ方向他端部に形成した切り欠き部に係止する事により、各収納空間の開口部を塞いだ状態で、部品工場でこれら各収納空間内に各部品を収納してから、これら各部品を収納した搬送用容器をこの部品工場から組立工場に搬送した後、この組立工場で、上記シャッタ部材を外してから上記各収納空間から上記各部品を取り出す、請求項1に記載した部品の搬送方法。
【請求項3】
組立工場に、平板状の支え板とこの支え板の端部に固定した把手とを備えた移し替え用治具を用意しておき、部品製造工場で、それぞれが複数個の部品を収納した搬送用容器を、下側の搬送用容器の各収納空間に収納された上記各部品の上面に上側の搬送用容器の底板部の下面を当接させた状態で上下に複数段に重ね合わせてから上記組立工場に搬送し、この組立工場で、上記移し替え用治具の支え板を最上段の搬送用容器の下側に差し込んで、この最上段の搬送用容器を取り出した後、この搬送用容器を上記支え板の上面から補強用治具の上面に移し替える、請求項1又は請求項2に記載した部品の搬送方法。
【請求項4】
部品工場で造られた複数個の部品を、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場に、これら各部品を搬送用容器から順次取り出しつつこの他の物品への組み付けを可能にした状態で搬送する為、上記部品工場で上記各部品を収納した上記搬送用容器を梱包材に収納する、部品の搬送方法に於いて、
上記搬送用容器は、薄肉の高分子材料製で、底板部と、この底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成された、互いに平行な1対の端部立壁と、上記底板部のうちでこれら両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成された複数の中間部立壁と、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成された連結立壁とを備えたものであって、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁とは、下面側が開口した中空構造であり、
上記部品工場で上記各部品を、上記搬送用容器のうちで、上記各立壁によりそれぞれの三方を囲まれた複数の収納空間内に、これら各収納空間の長さ方向に関して互いに直列に、互いに同じ姿勢で収納してから、
上記各部品を収納した上記搬送用容器を、移し替え用治具に設けた、この搬送用容器よりも大きな剛性及び強度を有する支え板に載せて、上記梱包材中に収納し、この梱包材中に上記各部品を収納した上記搬送用容器を複数段に重ね合わせた後、この梱包材を上記組立工場に向けて発送する、
部品の搬送方法。
【請求項5】
全体を薄肉の高分子材料により一体に造られた中空構造で、底板部と、この底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成された、互いに平行な1対の端部立壁と、上記底板部のうちでこれら両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成された複数の中間部立壁と、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成された連結立壁とを備え、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁との下面側が開口した部品搬送用容器。
【請求項6】
各中間部立壁の長さ方向他端部に形成された切り欠き部と、幅方向に配置されてこれら各切り欠き部に係脱自在とされたシャッタ部材とを備え、このシャッタ部材の一部をこれら各切り欠き部に係合させた状態で、各収納空間の開口部を塞いでこれら各収納空間内に収納された部品がこれら各収納空間の収納部から抜け出る事を防止する、請求項5に記載した部品搬送用容器。
【請求項7】
全体を薄肉の高分子材料により一体に造られた中空構造の部品搬送用容器と、この部品搬送用容器と組み合わせた状態でこの部品搬送用容器を補強する補強用治具とから成り、 このうちの部品搬送用容器は、底板部と、この底板部の幅方向両端部上面にこの上面から上方に突出する状態で形成された、互いに平行な1対の端部立壁と、上記底板部のうちでこれら両端部立壁同士の間部分に、この底板部の上面から上方に突出する状態で、且つ、幅方向に関してこれら両端部立壁との間及び互い同士の間に間隔をあけた状態で、これら両端部立壁に対し平行に形成された複数の中間部立壁と、上記底板部の長さ方向一端部上面に、これら各立壁の長さ方向一端部同士を連結した状態で形成された連結立壁とを備え、これら各立壁のうち、少なくとも上記両端部立壁と上記各中間部立壁とが下面側が開口した構造であり、
上記補強用治具は、十分な剛性及び強度を有する基板の上面にそれぞれが十分な剛性及び強度を有する複数の補強立壁を、上記部品搬送用容器の幅方向に関する、上記両端部立壁及び上記各中間部立壁のピッチと同じピッチで形成したものであり、
上記補強用治具に上記部品搬送用容器を載置して、上記各補強立壁を上記両端部立壁及び上記各中間部立壁に挿入した状態に組み合わされた、
部品搬送用容器及び補強用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−308201(P2007−308201A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97043(P2007−97043)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】