説明

部品の良否判定装置及び良否判定方法

【課題】外的要因によって大きなノイズが加えられるおそれのある環境下でも、正確に部品の良否判定可能な良否判定装置を提供する。
【解決手段】部品(2)の動作によって生じる時系列信号を取得するセンサ部(10)を有する良否判定判定装置において、センサ部(10)で取得された時系列信号に基づいて、所定の状態が連続する異常連続期間を検出する異常連続状態検出手段(222)と、異常連続期間が所定の条件を満たす場合に部品(2)が不良品であると判定し、所定の条件を満たさない場合には良品と判定する良否判定手段(223)を有するように良否判定装置(1)を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の良否判定装置及び良否判定方法に関するものであり、より詳しくは、回転体などの部品が生ずる時系列信号を解析して、その部品の良否を判定する良否判定装置及び良否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアコンの送風を行うブロアファンなど、連続的に動作を行うことによって所定の機能を実現する部品や装置が多数使用されている。そして、これらの部品や装置が、良品か不良品かを判定したり、異常の発生を検知するために様々な検査装置、又は検査方法が開発されている。
【0003】
例えば、回転体を所定の検査用ベンチに取り付け、所定の回転速度で回転させて、その時に生じる音をマイクロフォンで集音し、その音の大きさ、又は周波数を解析し、音量の最大値が所定の閾値以上の場合に、回転体を不良と判定する検査方法が知られている。このような検査方法では、回転体以外から生じる音によるノイズを極力少なくするため、防音室内で検査を行う必要があった。
【0004】
一方、ファン、モータなどの回転機械のケーシングに、振動センサを装着し、回転機械の動作によって生じた振動を振動センサで検出して、その振動振幅が予め定める値を超えたとき、異常となったことを検出する振動測定器が知られている(特許文献1参照)。しかし、回転機械の異常測定中に、その回転機械のケーシングに対して何らかの接触や外部で発生した振動が伝わってきた場合に、振動振幅が上記の予め定められた値を超えるような場合がある。このような場合、回転機械自体には異常が発生していないにもかかわらず、振動測定器は、回転機械に異常が発生したと誤判定するおそれがあった。
【0005】
また、回転自在に支持されたシャフトが軸線回りに回転した場合に生じる信号を、振動センサで検出して、その検出された信号の周波数解析を行ってシャフトの変形の有無を検査するシャフト検査装置が知られている(特許文献2参照)。しかし、特許文献2に記載されたシャフト検査装置においても、検査中にシャフトの支持機構への接触があった場合などに生じる大きな振動によって、検出された信号の周波数成分は変動し、正常なシャフトと変形のあるシャフトの区別を正しく行うことができない場合があった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−313728号公報
【特許文献2】特開平7−159383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題点に鑑み、本発明は、検査対象の部品以外に起因する大きなノイズが生じる環境下でも、検査対象の部品の良否を正確に判定できる良否判定装置及び良否判定方法を提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、防音室、除振装置などの特別な検査設備を必要とすることなく、検査対象の部品の良否を判定できる良否判定装置及び良否判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の形態によれば、本発明に係る部品の良否判定装置(1)が、センサ部(10)で取得された時系列信号に基づいて、所定の状態が連続する異常連続期間を検出する異常連続状態検出手段(222)と、異常連続期間が所定の条件を満たす場合に部品(2)が不良品であると判定し、所定の条件を満たさない場合には良品と判定する良否判定手段(223)とを有することにより、外的要因によってセンサで取得された測定信号に非常に大きなノイズが加えられるような場合でも、正確に部品の良否を判定することができる。また、防音室、除振装置などの特別な検査設備を必要とすることなく、検査対象の部品の良否を判定することができる。
【0010】
また請求項2に記載のように、本発明に係る良否判定装置(1)が、時系列信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出する周波数解析手段(221)を有し、異常連続状態検出手段(222)が、複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて異常連続期間を検出することにより、不良原因に起因して特定の周波数帯域で異常な信号が検知される場合に、より正確に部品の良否を判定することができる。
【0011】
この場合において、請求項3に記載のように、良否判定手段(223)が、複数の周波数帯域の何れかにおいて、時系列スペクトルに基づいて算出された異常連続期間が、所定の条件を満たす場合に部品(2)が不良品であると判定し、複数の周波数帯域の何れの時系列スペクトルに基づいて検出された異常連続期間も、所定の条件を満たさない場合には部品(2)が良品であると判定することが好ましい。
【0012】
また請求項4に記載のように、センサ部(10)は振動センサ(11)を含み、時系列信号は、部品(2)の動作によって生じる振動の加速度の時系列変化を含むことが好ましい。
また請求項5に記載のように、センサ部(10)はマイクロフォン(12)を含み、時系列信号は、部品(2)の動作によって生じる音量の時系列変化を含むことが好ましい。
【0013】
また請求項6に記載のように、異常連続期間は、時系列信号又は時系列スペクトルが予め定められた第1の閾値以上となる期間であることが好ましい。
さらに請求項7に記載のように、所定の条件は、所定の測定期間内において検出された異常連続期間の合計とその所定の測定期間との比が予め定められた第2の閾値以上となることであるのが好ましい。若しくは請求項8に記載のように、所定の条件は、異常連続期間が予め定められた第3の閾値以上となることであるのが好ましい。
【0014】
また請求項9に記載のように、本発明に係る良否判定装置(1)は、回転体(2)の良否判定に使用するのに好適である。
【0015】
また、本発明の請求項10に記載の形態によれば、本発明に係る回転体の良否判定方法は、前記部品(2)の動作によって生じる時系列信号に基づいて、所定の状態が連続する異常連続期間を検出するステップ(S302)と、異常連続期間が所定の条件を満たす場合に部品(2)が不良品であると判定するステップ(S303)とを有することで、ノイズによってセンサで取得された測定信号に非常に大きな信号が加えられるような場合でも、正確に部品の良否を判定することができる。また、防音室、除振装置などの特別な検査設備を必要とすることなく、検査対象の部品の良否を判定することができる。
【0016】
また請求項11に記載のように、本発明に係る良否判定方法は、時系列信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出するステップ(S202)を有し、異常連続期間を検出するステップ(S302)は、複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて異常連続期間を検出することが好ましい。
【0017】
さらに請求項12に記載のように、時系列信号は、部品(2)の動作によって生じる振動の加速度の時系列変化を含むことが好ましい。または、請求項13に記載のように、時系列信号は、部品(2)の動作によって生じる音量の時系列変化を含むことが好ましい。
【0018】
また請求項14に記載のように、異常連続期間は、時系列信号又は時系列スペクトルが予め定められた第1の閾値以上となる期間であり、且つ所定の条件は、所定の測定期間内において算出された異常連続期間の合計と測定期間との比が予め定められた第2の閾値以上となることであることが好ましい。
【0019】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の部品の良否判定装置の一例に係る回転体良否判定装置について詳細に説明する。
本発明の部品の良否判定装置の一例に係る回転体良否判定装置1は、検査対象の回転体が回転することによって生じる音、振動などを測定し、その測定信号が、予め定めたレベルを超える期間が、一定以上連続するとその回転体が不良品であると判定することにより、検査中に外的要因によってノイズが発生しても、回転体の良否を正確に判定できるものである。
【0021】
図1に、本発明の良否判定装置の一例に係る良否判定装置1の概略構成図を示す。
測定対象である回転体2は、車載のエアコンなどに使用されるブロアファンであり、通常使用状態で1000rpm〜4000rpmで回転するものである。また、回転体2が不良品である場合、回転体2の組み付け不良や回転体2自体の形状不良により、回転体2が良品である場合と比較して相対的に大きい振動が発生する。同様に、回転体2が動作時に筐体と接触する場合、又は筐体に隙間が生じている場合、その接触や隙間風によって、回転体2が良品である場合と比較して相対的に大きい異音が発生する。そこで良否判定装置1は、回転体2の動作によって生じる音及び振動をセンサによって検知して、回転体2の良否判定を行う。
【0022】
良否判定装置1は、回転体2を取り付ける回転軸(図示せず)を回転自在に支持する軸受け部3と、その軸受け部3が連結される検査ベンチ4とからなる。軸受け部3には、振動センサ11が取り付けられる。振動センサ11は、回転体2が回転することによって軸受け部3に伝わる振動の加速度を測定する。また、検査ベンチ4の内部には、回転軸を通じて回転体2を回転させるモータ及び制御基板(図示せず)が収納されている。さらに検査ベンチ4には、マイクロフォン12が設けられ、回転体2の回転時に発生する音を測定する。振動センサ11及びマイクロフォン12で測定されたそれぞれの信号は、検査ベンチ4から電気的に接続されたケーブルを通じて検査ユニット20に送信される。そして、検査ユニット20では、振動センサ11及びマイクロフォン12から取得した測定信号に基づいて、回転体2の良否を判定する。そして、その良否の判定結果を、操作表示部30に表示する。
【0023】
次に、図2に、良否判定装置1の機能ブロック図を示す。
図2に示すように、良否判定装置1は、検査ベンチ4に設けられた振動センサ11及びマイクロフォン12からなるセンサ部10と、センサ部10から取得した測定信号に基づき、良否判定を行う検査ユニット20と、良否判定結果を表示する操作表示部30からなる。そして、検査ユニット20は、センサ部10からの測定信号を取得し、デジタル信号に変換するセンサ信号入力部21と、そのデジタル信号に基づいて回転体2の良否を判定し、また良否判定装置1全体を制御する制御部22と、制御部22で使用するプログラム、データなどを記憶する記憶部23と、回転体2の動作を制御する制御信号の出力や、操作表示部30へ良否判定結果を出力する制御信号入出力部24などを有する。
【0024】
以下、各部について詳細に説明する。
振動センサ11は、回転体2の回転によって生じた振動の加速度を時系列的に検出し、電気信号として出力するセンサである。本実施形態では、振動センサ11として圧電式の接触型センサを用いた。また振動センサ11は、回転体2の回転軸の軸受け部3に取り付けられる。この振動センサ11では、センサ中に設けられた圧電素子(図示せず)が、回転体2の回転軸から軸受け部3に伝わる振動によって生じる加速度に比例する電荷を発生する。そこで、圧電素子で発生した電荷の量に基づいて、軸受け部3の振動による加速度を電気信号に変えて出力する。そして、約0.001m/secから約0.1m/secの加速度を検出する。
なお、振動センサ11としては、圧電式のものに限られず、例えば静電容量方式、渦電流式、光学式、差動トランス方式といった非接触型のセンサを用いてもよい。振動センサ11として、公知の各種の振動センサから、ブロアファン及び回転軸の材質及び構造にあわせて、適宜最適なものを選択することができる。
【0025】
マイクロフォン12は、回転体2の回転によって生じた音を集音し、時系列信号として出力するものであり、本実施形態では、周波数帯域20Hz〜20kHzのコンデンサ型マイクロフォンを用いた。しかし、マイクロフォン12としては、圧電型マイクロフォンなどの他の方式のマイクロフォンを使用してもよい。また、集音可能な音の周波数帯域も、上記に限られず、例えば100Hz〜18kHzのものを使用してもよい。マイクロフォンの方式、及び測定可能な周波数帯域は、回転体2の種類、構造、大きさ、回転速度などによって、適宜最適なものを選択することが可能である。
振動センサ11によって取得された測定信号Sa、及びマイクロフォン12によって取得された測定信号Ssは、それぞれ検査ユニット20のセンサ信号入力部21へ送られる。
【0026】
センサ信号入力部21は、振動センサ11及びマイクロフォン12から取得した測定信号Sa、Ssを、デジタル信号に変換するものであり、本実施形態では、増幅器、A/D変換器、ローパスフィルタなどで構成した。またセンサ信号入力部21は、それぞれの測定信号Ss、Saを、サンプリング周波数44.1kHzでサンプリングし、解像度16bitのデジタル信号Da、Dsとして出力する。なお、サンプリング周波数および解像度は、上記のものに限られない。使用可能なサンプリング周波数としては、後述するスペクトルの強度レベルを調べる周波数帯域の2倍を超えればよい。また使用可能な解像度としては、各周波数帯域における信号値について、良品の場合と不良品の場合とを区別できる程度であればよい。例えば、センサ信号入力部21に、サンプリング周波数48kHz、解像度12bitのA/D変換器を使用してもよい。
デジタル化された測定信号Ds、Daは、制御部22へ送られる。また、測定データを喪失しないように、記憶部23にデジタル化された測定信号Ds、Daを記憶するようにしてもよい。
【0027】
制御部22は、中央演算装置(CPU)、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びCPUに所定の動作をさせるプログラムなどで構成される。そして、制御部22は、周波数解析手段221、ON/OFF比率算出手段222、良否判定手段223を有し、各センサで取得され、デジタル化された測定信号に基づいて、回転体2の良否を判定する。
【0028】
また制御部22は、検査ベンチ4、操作表示部30と制御信号を送受信して、良否判定装置1全体の制御を行う。例えば、操作表示部30から、測定開始を意味する制御信号を受信すると、制御信号入出力部24を介して、回転体2に回転を始めさせる制御信号を検査ベンチ4に送信する。また、検査ベンチ4から、測定準備完了のトリガ信号を受信すると、センサ信号入力部21をアクティブにして、センサ部10からの測定信号Ss、Saの受信を開始する。
【0029】
測定対象の回転体2が不良品である場合、上述したように、回転体2の組み付け不良や回転体2自体の形状不良により、回転体2が良品である場合と比較して相対的に大きな振動が発生する。同様に、回転体2が動作時に筐体と接触する場合、又は筐体に隙間が生じている場合、その接触や隙間風によって、回転体2が良品である場合と比較して相対的に大きな異音が発生する。また、これらの振動や異音は、特定の周波数帯域で大きな値を有する。さらに、このような異常振動や異音は、回転体2の動作中、連続的に発生する。一方、回転体2の動作に起因する異音や異常振動の測定中に、測定者が検査ベンチ4に触れるなどして発生した振動や、測定者などが検査ベンチ4の近傍で行った作業により発生した音など、外乱によって生じたノイズは、比較的短時間で消滅する。
【0030】
そこで、制御部22では、周波数解析手段221において、デジタル化された音声測定信号Ds及びデジタル化された加速度測定信号Daから、複数の周波数帯域ごとにその測定信号の時系列スペクトルを求める。そして、異常連続状態検出手段222において、予め定めた第1の閾値Thd以上の値を有するスペクトルの連続期間を異常連続期間として検出し、所定の測定期間中において、その連続期間の合計と測定期間の長さとの比Rを算出する。そして、良否判定手段223において、時系列スペクトルが、スペクトルの強度に関する第1の閾値Thd以上の値を有する連続期間と測定期間との比Rを、予め定めた時間比に関する第2の閾値Thdと比較して、その比Rが第2の閾値よりも大きい場合、回転体2は不良品と判定する。
【0031】
この様子を図3(a)〜(d)に示す。図3(a)は、回転体2が良品の場合の、ある周波数帯域について測定された時系列スペクトルを示し、図3(b)は、回転体2が不良品の場合の、ある周波数帯域について測定された時系列スペクトルを示す。なお、図3(a)及び図3(b)において、グラフの横軸は測定開始からの経過時間を表し、縦軸はスペクトルの強度を表す。また、図3(c)は、図3(a)に示された時系列スペクトルに対して、上記の連続期間の様子を表し、図3(d)は、図3(b)に示された時系列スペクトルに対して、上記の連続期間の様子を表す。図3(c)及び図3(d)のグラフの横軸は、それぞれ図3(a)及び図3(b)と対応した測定開始からの経過時間を表し、グラフの縦軸は、時系列スペクトルが閾値Thd以上の値を連続して有している状態か、そうでないかを2値的に表す。具体的には、グラフの値がONの場合には、時系列スペクトルの強度が閾値Thd以上であることを表す。一方、グラフの値がOFFの場合には、時系列スペクトルの強度が閾値Thd以下であることを表す。
【0032】
図3(a)に示すように、回転体2が良品の場合、時系列スペクトルL1の値は、ノイズが加わっている部分N1、N2を除き、閾値Thdを上回ることはない。そのため、図3(c)に示すように、時系列スペクトルL1が閾値Thd以上となる連続期間τ、τは、測定期間中において離散的に観察され、その合計が全測定期間Tに占める割合は低い。
【0033】
一方、図3(b)に示すように、回転体2が不良品の場合、時系列スペクトルL2の値は、図3(a)におけるN1、N2の部分での時系列スペクトルL1の値よりも小さいものの、全測定期間Tにわたって閾値Thdを超える。そのため、図3(d)に示すように、時系列スペクトルL2が閾値Thd以上となる連続期間τは、全測定期間Tと等しくなる。したがって、上記のように、全測定期間Tに占める連続期間の割合が所定の第2の閾値Thdよりも高い場合に、回転体2を不良品と判定することで、外乱によるノイズの影響を受け難く、回転体2の良否を正確に判定できる。
【0034】
制御部22は、デジタル化された測定信号Ds、Daを受け取ると、周波数解析手段221で、複数の周波数帯域ごとに、測定信号の時系列スペクトルを求める。
ここで、周波数解析手段221は、ウェーブレット変換に基づいて、測定信号を計測開始からの経過時間の関数として、周波数帯域ごとの測定信号のスペクトル強度を算出する。ウェーブレット変換は、周知のように以下の式に基づいて行われる。
【数1】

ここでh(t)は、測定開始からの経過時間tにおける、測定信号のスペクトル強度であり、関数Ψ(y)は、マザーウェーブレットである。また、aは周波数を決定するためのパラメータ、bは時間軸上の平行移動量を規定するパラメータである。
【0035】
本実施形態では、マザーウェーブレットとして、ガボール関数を用いた。また、マザーウェーブレットの形状は、1次元配列MWで規定し、記憶部23に予め記憶させた。そして、周波数解析を行う際に記憶部23から1次元配列MWを読み込んで使用するようにした。
【0036】
また、解析を行う周波数帯域を決定するために、すなわち、上記の式でaの値の範囲を定めるために、予め回転体2の良品と不良品を作成し、どの周波数帯域で最も測定信号の時系列スペクトルに差が生じるかを調べておくことが好ましい。本実施形態では、音量に対するデジタル化された測定信号Dsに対しては、2kHzから6kHzまでを、対数で表して8等分した各周波数帯域ごとに測定信号値の時系列スペクトルを算出する。同様に、加速度に対するデジタル化された測定信号Daに対しては、40Hzから1kHzまでを、対数で表して8等分した各周波数帯域ごとに測定信号値の時系列スペクトルを算出する。なお、周波数帯域の区分は、上記に限られない。
測定信号Ds及びDaについて算出された各周波数帯域ごとの時系列スペクトルは、異常連続状態検出手段222へ送られる。
【0037】
なお、本実施形態では、マザーウェーブレットとしてガボール関数を使用したが、ガボール関数の代わりに、メキシカンハット関数など、音声解析等の信号解析においてマザーウェーブレットとして使用される別の関数を使用してもよい。
【0038】
異常連続状態検出手段222は、デジタル化された測定信号Ds及びDaについて算出された各周波数帯域ごとの時系列スペクトルに対して、スペクトル強度に関する第1の閾値Thd以上の値を連続して有する期間を異常連続期間τとして求め、さらに、異常連続期間τが、全測定期間T中に占める比率を検出する。
【0039】
具体的には、検出対象となる周波数帯域の時系列スペクトルに対し、測定開始時間Tから、測定終了時間Tまで順に、スペクトル値と閾値Thdを比較する。スペクトル値が閾値Thd以上となると、次にスペクトル値が閾値Thd未満となるまでの連続期間τを求める。そして、再びスペクトル値が閾値Thd以上となると、再度スペクトル値が閾値Thd以上となってから、再度スペクトル値が閾値Thd未満となるまでの連続期間τを求める。そして、測定開始時間Tから測定終了時間Tまでの間の全ての連続期間τ(j=1,2,...)を合計して異常連続期間τを求める。そして、異常連続期間τと全測定期間T=(T−T)との比を、異常連続状態検出比R(k=1,2,・・・,16)として算出する。なお、R〜Rは、それぞれ、測定信号Dsについての時系列スペクトルにおいて、低周波側から高周波側へ順に算出された異常連続状態検出比である。またR〜R16は、それぞれ、測定信号Daについての時系列スペクトルにおいて、低周波側から高周波側へ順に算出された異常連続状態検出比である。
【0040】
なお、本実施形態では、全測定期間Tを1秒とした。また、ノイズによる誤検出を防ぐため、各連続期間τの算出において、算出された連続期間が0.1秒を下回る場合は、異常状態の連続期間としてカウントせず、無視することとした。
【0041】
なお、上記において、スペクトル強度に関する閾値Thdは、周波数帯域ごとに異なる値とすることが好ましい。回転体2が良品の場合でも、音の時系列スペクトル及び振動の加速度の時系列スペクトルは、周波数帯域ごとに異なるためである。そこで、本実施形態では、閾値Thdを以下のように決定した(なお、以下では、閾値Thdが周波数帯域ごとに異なる値を有することを強調するために、Thd1k(k=1,2,・・・,16と表現する)。概略を述べると、まず回転体2の良品について、各周波数帯域ごとの時系列スペクトルを取得する。そして各周波数帯域の時系列スペクトルに対して、閾値Thd1kを少しずつ変更して、上述の異常連続状態検出比Rを求める。そして求めた比Rが、回転体2を不良品と判定する時間比に関する閾値Thdよりも若干低く設定された閾値Thdをぎりぎりで超えなくなった場合、閾値Thd1kをその比Rの算出に用いた値とする。
【0042】
このような手順で閾値Thd1kを設定することにより、回転体2の良品に対して求めた上記の異常連続状態検出比Rが、回転体2を不良品と判定する閾値Thdを上回ることがなく、且つ少しの異音であっても、定常的に生じた場合には、その比Rが閾値Thdを上回るようにして、正しく良否を判定することができる。なお、以下の説明では、音に対する閾値の決定手順についてのみ説明するが、振動の加速度に対する閾値も、同様の手順で決定することができる。
【0043】
図4に、音に対するスペクトル強度に関する閾値Thd1kの決定手順のフローチャートを示す。まず、良品であることが予め分かっている回転体2について、上記の周波数解析手段221によって各周波数帯域の時系列スペクトルを取得する(ステップS101)。次に、閾値Thd1kの初期値Thd、及び閾値Thd1kの値を変化させる際の変化量Δvを設定する(ステップS102)。一例として、閾値Thd1kの初期値Thdは、その周波数帯域における時系列スペクトルの最大値とし、閾値Thd1kの変化量Δvは、時系列スペクトルの最大値と最小値の差の1/2に設定する。
【0044】
次に、最も低い周波数帯域について、閾値Thd11(=Thd)を用いて、時系列スペクトルが閾値Thd1k以上となる連続期間τ(j=1,2,・・・)を算出する(ステップS103)。そして、連続期間τの合計と、全測定期間Tとの比Rを求める(ステップS104)。
【0045】
が求められると、時間比に関する上記の閾値Thdよりも若干低く設定した時間比の閾値Thdと比較する(ステップS105)。そして、Rが閾値Thd以下の場合は、音の時系列スペクトルが閾値Thd11を上回る期間を増やし、Rの値が大きくなるように閾値Thd11を所定の変化量Δvだけ小さくする(ステップS106)。逆に、Rの値が閾値Thdよりも大きい場合、音の時系列スペクトルが閾値Thd11を上回る期間を減らし、Rの値が小さくなるようにスペクトル閾値Thd11を変化量Δvだけ大きくする(ステップS107)。なお、ここでは、閾値Thdは0.7とした。
新たな閾値Thd11が求まると、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS108)。終了条件は、Rの値が閾値Thdより小さく、且つ変化量Δvが所定の値以下となることである。終了条件を満たさない場合、閾値の変化量Δvの値を変更する(ステップS110)。ステップS110では、ステップS105における今回の判定結果P(i=1,2,・・・)が、前回の判定結果Pi−1と逆の場合には、変化量Δvの値を半分にする。一方、前回の判定結果Pi−1と今回の判定結果Pが同じ場合には、変化量Δvの値を変更しない。なお、一度目の判定の場合には、常に次回の変化量Δvを今回の半分の値とする。なお、上記のように、判定結果Pの参照を可能とするために、判定結果Pを、R≦Thdの場合1、R>Thdの場合0で表して、記憶部23に保存する。そして、変化量Δvを算出すると、ステップS103の前に戻り、ステップS103〜ステップS108を繰り返す。
【0046】
一方、ステップS108で、終了条件を満たす場合、その時の閾値Thd11を、スペクトル閾値Thd11として決定する(ステップS109)。そして、対象となる周波数帯域を一つ高周波側へ変更し、ステップS102〜S110を繰り返し、閾値Thd12〜Thd18を決定する(ステップS111)。その際、最も高い周波数帯域のスペクトル閾値Thd18が算出されていれば、処理を終了する。
【0047】
異常連続状態検出手段222は、デジタル化された測定信号Ds及びDaの各周波数帯域ごとに算出された異常連続状態検出比R(k=1,2,・・・,16)を、良否判定手段223へ送る。
【0048】
良否判定手段223は、取得された異常連続状態検出比Rを予め定められた時間比に関する閾値Thdと比較する。そして、何れかの異常連続状態検出比Rが、閾値Thd以上となった場合、回転体2は不良品であると判定する。
本実施形態では、閾値Thdを0.9とした。しかし、閾値Thdの値は、これに限られるものではない。回転体2の構造、各センサの特性などに応じて、適宜最適な値に調整すればよい。
【0049】
記憶部23は、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD−RW、DVD−R/Wのような読み書き可能な光記録媒体からなる。記憶部23は、制御部23で使用されるプログラム、各種のパラメータ、閾値、また測定対象の回転体の良否判定結果、測定信号などを記憶する。
【0050】
制御信号入出力部24は、検査ユニット20と検査ベンチ4、操作表示部30との間で制御信号などを送受信する入出力インタフェースであり、USB、SCSI、RS232Cなどの各種のI/Oポート及びそれらのドライバで構成される。そして、検査ベンチ4、操作表示部30から受信した制御信号を制御部22へ渡す。逆に、制御部22が発信する信号は、制御信号入出力部23を介して、検査ベンチ4又は操作表示部30へ送信される。
【0051】
操作表示部30は、測定者が操作を行い、又は良否判定結果などを表示するものであり、タッチパネル付き液晶ディスプレイなどで構成される。そして、操作表示部30の画面に表示される操作ガイダンスに従って、測定者が画面上の所定の領域に触れることにより、操作表示部30は、測定者が触れた領域に対応付けられた信号を検査ユニット20に送信する。また、検査ユニット20で、良否判定結果が得られると、その良否判定結果を表示して、測定者に知らせる。
なお、操作表示部30として、CRTなど液晶ディスプレイ以外の表示用デバイスと、マウスなどのポインティングデバイスで構成してもよい。
【0052】
以下、本発明の良否判定装置の一例に係る回転体良否判定装置1の動作について説明する。
図5及び図6に、回転体良否判定装置1の動作フローチャートを示す。
まず、操作表示部30より測定開始を指示されると、検査ユニット20の制御部22より検査ベンチ4に制御信号が送信され、検査ベンチ4で回転体2を回転させ始めるとともに、測定開始OKを示すトリガ信号が検査ユニット20へ送信されて、測定が開始される。
【0053】
図5に示すように、測定が始まると、センサ部10の振動センサ11及びマイクロフォン12で取得された測定信号Sa及びSsは検査ユニット20のセンサ信号入力部21へ送られ、センサ信号入力部21においてA/D変換される(ステップS201)。検査ユニット20では、デジタル化された測定信号Da及びDsが取得されると、制御部22の周波数解析手段221において、スペクトル解析をおこなって、各周波数帯域ごとに時系列スペクトルが算出される(ステップS202)。
周波数帯域ごとの時系列スペクトルが求まると、制御部22は、それら周波数帯域ごとの時系列スペクトルを用いて、回転体2の良否を判定する(ステップS203)。
【0054】
図6に示すように、良否の判定においては、異常連続状態検出手段222において、まず音の測定信号Ds及び振動の加速度の測定振動Daの各周波数帯域について以下の処理を行う。すなわち、測定期間中において時系列スペクトルが閾値Thd以上の状態が続く連続期間τ(j=1,2,・・・)を求める(ステップS301)。そして、連続期間τの合計である異常連続期間τを検出し、異常連続期間τと全測定期間Tとの比である、異常連続状態検出比R(k=1,2,・・・,16)を算出する(ステップS302)。そして、良否判定手段223において、算出された異常連続状態検出比Rと閾値Thdを比較する(ステップS303)。RがThd以上の場合、回転体2は不良品であると判定され、その判定結果が制御部22のメモリに記憶される(ステップS304)。
【0055】
一方、ステップS303において、RがThd未満の場合、音の測定信号Ds及び加速度の測定信号Daの全ての周波数帯域についてステップS301〜S303の処理が行われたか否か(k<16?)が判断される(ステップS305)。そして、全ての周波数帯域についてステップS301〜S303の処理が終了している(k≧16)場合、良否判定手段223において回転体2は良品であると判定され、その判定結果が制御部22のRAM又は記憶部23に記憶される(ステップS306)。
【0056】
ステップS305において、音の測定信号Dsについて、まだ上記のステップS301〜S303の処理がされていない周波数帯域がある場合は、一つ高周波側の周波数帯域の時系列スペクトルが選択され(k=k+1)(ステップS307)、ステップS301〜S305が繰り返される。また、音の測定信号Dsの全ての周波数帯域について、上記の処理が終了している場合には、振動の加速度の測定信号Daについて、同様に低い方の周波数帯域から高い方の周波数帯域へ、順番に各周波数帯域の時系列スペクトルについて、上記の処理が繰り返される。
【0057】
再び図5を参照し、良否判定処理が終了すると、その判定結果が、操作表示部30へ送られて、操作表示部30のディスプレイに表示される(ステップS204)。
【0058】
以上説明してきたように、本発明の良否判定装置の一例に係る回転体良否判定装置1は、一定期間連続して異常と考えられる測定信号が観察された場合に、測定対象の回転体を不良品と判定するため、測定の途中で何らかの外乱により、測定信号にノイズが加えられても、測定対象の回転体が良品か不良品かを正確に判断することができる。また、回転体の回転に伴って発生する振動と音の異なる種類の測定信号を用いて良否判定を行うため、どちらか一方の種類の測定信号のみを使用する場合と比較して、より正確に良否の判定を行うことができる。
【0059】
なお、本発明に係る良否判定装置は、上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、上記の実施形態では、本発明に係る良否判定装置は、回転体の良品、不良品を判定するものとして記述されたが、本発明に係る良否判定装置は、一定期間にわたって連続的な動作を行い、その動作において振動、音などを生じるものの良否判定に用いることもできる。
さらに、本発明に係る良否判定装置を、完成品に実装された特定の部品の異常を検知する検知手段として使用することもできる。
【0060】
また、上記の実施形態では、良否判定装置の振動センサは、振動によって軸受け部3に生じた加速度を測定信号として使用したが、代わりに軸受け部3に生じる速度や振動片振幅を使用してもよい。さらに、センサ部は、振動センサやマイクロフォンに限られず、回転体が良品の場合と不良品の場合とで測定される値が異なるような、他のセンサで構成してもよい。
また、上記の実施形態では、異常連続状態検出手段は、測定期間中とその測定期間中において、所定以上の強度のスペクトルが連続する期間の比を求め、良否判定手段は、その比に基づいて良否判定を行ったが、異常連続状態検出手段は、測定期間中において、所定以上の強度のスペクトルが連続する期間の最大長を求め、良否判定手段では、その最大長が、所定の第3の閾値以上となる場合に、回転体を不良品と判定するようにしてもよい。
【0061】
さらに、上記の実施形態では、各測定信号について周波数解析を行って、周波数帯域毎に良否判定を行ったが、特定の周波数帯域において他の周波数帯域よりも大きな測定信号が得られるような場合、周波数解析を行わず、スペクトルの代わりに測定信号自体について、連続して所定の閾値以上となる期間を算出し、その期間と測定期間の比に基づいて、良否判定を行ってもよい。
なお、良否判定装置は、測定対象の回転体が不良品と判定された場合に、音声でその判定結果を報知する警報器をさらに有してもよい。
上記のように、本発明に係る良否判定装置は、本発明の範囲内で適宜最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る良否判定装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る良否判定装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る良否判定装置の判定原理を説明する図であり、(a)は回転体の良品についての時系列スペクトル測定結果を表すグラフであり、(b)は回転体の不良品についての時系列スペクトル測定結果を表すグラフであり、(c)は、(a)のグラフにおいて時系列スペクトルが閾値以上の値を有する連続期間を表すグラフであり、(d)は(b)のグラフにおいて時系列スペクトルが閾値以上の値を有する連続期間を表すグラフである。
【図4】スペクトル閾値の決定手順のフローチャートである。
【図5】本発明に係る良否判定装置の動作フローチャートである。
【図6】本発明に係る良否判定装置の良否判定処理の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 良否判定装置
2 回転体
3 軸受け部
4 検査ベンチ
10 センサ部
11 振動センサ
12 マイクロフォン
20 検査ユニット
21 センサ信号入力部
22 制御部
221 周波数解析手段
222 異常連続状態検出手段
223 良否判定手段
23 記憶部
24 制御信号入出力部
30 操作表示部
L1、L2 時系列スペクトル
Thd 閾値
N1、N2 ノイズ印加期間
τ、τ、τ 連続期間
測定開始時間
測定終了時間
全測定期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(2)の動作によって生じる時系列信号を取得するセンサ部(10)を有する該部品(2)の良否判定装置であって、
前記センサ部(10)で取得された時系列信号に基づいて、所定の状態が連続する異常連続期間を検出する異常連続状態検出手段(222)と、
前記異常連続期間が所定の条件を満たす場合に前記部品(2)が不良品であると判定し、該所定の条件を満たさない場合には良品と判定する良否判定手段(223)と、
を有することを特徴とする良否判定装置。
【請求項2】
前記時系列信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出する周波数解析手段(221)を有し、
前記異常連続状態検出手段(222)は、前記複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて前記異常連続期間を検出する、請求項1に記載の良否判定装置。
【請求項3】
前記良否判定手段(223)は、前記複数の周波数帯域の何れかにおいて、前記時系列スペクトルに基づいて算出された前記異常連続期間が、前記所定の条件を満たす場合に前記部品(2)が不良品であると判定し、前記複数の周波数帯域の何れの時系列スペクトルに基づいて検出された前記異常連続期間も、前記所定の条件を満たさない場合には前記部品(2)が良品であると判定する、請求項2に記載の良否判定装置。
【請求項4】
前記センサ部(10)は振動センサ(11)を含み、前記時系列信号は、前記部品(2)の動作によって生じる振動の加速度の時系列変化を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項5】
前記センサ部(10)はマイクロフォン(12)を含み、前記時系列信号は、前記部品(2)の動作によって生じる音量の時系列変化を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項6】
前記異常連続期間は、前記時系列信号又は前記時系列スペクトルが予め定められた第1の閾値以上となる期間である、請求項1〜5の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、所定の測定期間内において検出された前記異常連続期間の合計と該所定の測定期間との比が予め定められた第2の閾値以上となることである、請求項1〜6の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記異常連続期間が予め定められた第3の閾値以上となることである、請求項1〜6の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項9】
前記部品(2)は回転体である、請求項1〜8の何れか一項に記載の良否判定装置。
【請求項10】
部品(2)の良否判定方法であって、
前記部品(2)の動作によって生じる時系列信号を取得するステップ(S201)と、
前記時系列信号に基づいて、所定の状態が連続する異常連続期間を検出するステップ(S302)と、
前記異常連続期間が所定の条件を満たす場合に前記部品(2)が不良品であると判定するステップ(S303)と、
を有することを特徴とする良否判定方法。
【請求項11】
前記時系列信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出するステップ(S202)を有し、
前記異常連続期間を検出するステップ(S302)は、前記複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて前記異常連続期間を検出する、請求項10に記載の良否判定方法。
【請求項12】
前記時系列信号は、前記部品(2)の動作によって生じる振動の加速度の時系列変化を含む、請求項10又は11に記載の良否判定方法。
【請求項13】
前記時系列信号は、前記部品(2)の動作によって生じる音量の時系列変化を含む、請求項10〜12の何れか一項に記載の良否判定方法。
【請求項14】
前記異常連続期間は、前記時系列信号又は前記時系列スペクトルが予め定められた第1の閾値以上となる期間であり、且つ
前記所定の条件は、所定の測定期間内において算出された前記異常連続期間の合計と該測定期間との比が予め定められた第2の閾値以上となることである、請求項10〜13の何れか一項に記載の良否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−163408(P2007−163408A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363118(P2005−363118)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】