説明

部品交換システム

【課題】サーバラックに格納されたサーバの部品交換を自動的に行う。
【解決手段】サーバ20,30内の部品と交換可能な部品を交換部品プール装置40にストックしておき、部品の交換が必要となった場合、交換制御装置52において、組み合わせデータベース53を参照して互換性がある部品を検索し、交換の必要が生じた部品をアーム装置12によってサーバ20,30の側面から取り出し、交換部品プール装置40から検索された部品をサーバ20,30の側面から挿入して実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバラックに格納されたサーバの部品交換を部品交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラックマウント式サーバのように多数のサーバを管理している環境においては、サーバラックは限られた設置面積で多数のサーバを収納し、個々のサーバをラック筐体から引き出して部品交換等のメンテナンス作業が可能なために非常に有用であるが、類似したサーバが並んでいるために、故障しているサーバを目視で特定することが困難であり、また、ラック筐体の高い位置に格納されている場合には、引き出してメンテナンスする際にラック筐体全体のバランスが悪くなるうえに、手が届きにくく交換作業が困難となるほか、重い筐体を格納する作業にも危険を伴う。
【0003】
また、電源ケーブルやネットワークケーブル等の抜き差し、あるいは故障したディスクや拡張カードの交換等、サーバ装置の物理的な構成変更には現地での作業が必要であるが、このような交換作業を人間が実施する場合には、静電気の除去等の手順の確認不足や、経験不足による接続方法のミス等により、かえって装置を破損させてしまう場合があり、ある程度の専門知識がなければむやみに故障部品の交換をすべきではない。そのため、ベンダーの保守サービスに依頼して保守員を呼ぶ必要があるが、その場合、保守員が交換部品を持って到着するまでの間復旧することができず、また、計画的に保守作業を行なう場合でも、深夜や休日などのサービス停止時間帯に交換する場合が多く、人的、時間的な制約から交換作業のスケジューリングに制限が生じてしまう。
【0004】
ここで、遠隔地において、サーバの障害を検知するシステムが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。このようなシステムを用いれば、サーバの障害を遠隔地にて検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−259339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムにおいては、サーバの障害を遠隔地にて検知することができるものの、上述したような部品交換までは行うことができない。部品交換を行う場合は、結局、サーバが設置されている場所に作業員が実際に出向いて作業を行うこととなり、上述したような問題は解決されない。
【0007】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであって、サーバラックに格納されたサーバの部品交換を自動的に行うことができる部品交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
サーバラックに格納されたサーバ内の部品を交換する部品交換システムであって、
前記サーバ内の部品には、当該部品の前記サーバへの実装に必要となる情報が読み出し可能に書き込まれた記録媒体が取り付けられ、
前記サーバ内の部品と交換可能な部品を、当該部品の前記サーバへの実装に必要となる情報が読み出し可能に書き込まれた記録媒体が取り付けられた状態で格納する交換部品プール装置と、
前記サーバ内の部品と前記交換部品プール装置に格納された部品との互換性が、前記記録媒体に書き込まれた情報を用いて登録されたデータベースと、
前記サーバ内の部品に交換の必要が生じた場合、前記データベースを参照し、前記交換部品プール装置に格納された部品のうち、前記サーバ内にて交換の必要が生じた部品と互換性がある部品を検索し、前記部品の交換を指示する交換制御装置と、
前記交換制御装置の指示に基づいて、前記サーバ内にて交換の必要が生じた部品を当該サーバの側面から取り外し、前記交換部品プール装置から検索された部品を当該サーバの側面から挿入して実装するアーム装置とを有する。
【0009】
このような部品交換システムにおいては、交換する部品や基板の種類が限定されている工場内の組み立て・交換作業では、その種別が判明しているだけで問題ないが、ユーザが運用中の環境では、多種多様な部品を持つ複数種のサーバを混在させている場合が多く、物理的形状(高さ、幅、ケーブルの接続位置等)についての情報が必要不可欠となる。
【0010】
また、例えば、種別としては同じネットワークカードであっても製品として転送速度が異なる場合には使用できるケーブルが限定される場合がある(1Gbpsではカテゴリー5以上のケーブルなど)など、互換性に関する情報が非常に重要であり、それらの物理的形状、互換性を情報をもとに交換を実施するのが本発明の特徴である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述したように構成されているので以下に記載するような効果を奏する。
【0012】
(1)交換部品プール装置に格納された部品を用いて、交換制御装置の制御によって部品の交換が行われるため、保守員が現地作業を行なうことなく、専門知識のないオペレータでも交換作業を実施することができる。
【0013】
(2)交換が必要となる部品をサーバの側面から取り外し、新たな部品をサーバの側面から挿入してサーバに実装するため、ラックマウント式サーバの部品交換作業を、設置した高さによらず容易に行うことができる。
【0014】
(3)部品に取り付けられた記録媒体に、その部品のサーバへの実装に必要となる情報が書き込まれており、その情報に基づいて部品の交換が行われるため、静電気対策忘れ、不完全な部品の接続、手順ミス等を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の部品交換システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したサーバとアーム装置の構成例を示す図である。
【図3】図1に示したサーバとケーブル集約装置の構成例を示す図である。
【図4】図1に示したサーバに実装される部品の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の部品交換システムの実施の一形態を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本形態においては、ラック筐体10に2台のサーバ20,30が格納されている。なお、本形態ではラック筐体10に2台のサーバ20,30が格納されているが、格納するサーバの数は2台に限らない。サーバ20,30は、それぞれマザーボード21,31を内蔵し、これらマザーボード21,31上には、その種別や拡張スロットの位置等、サーバ20,30への実装に必要となる情報が書き込まれた記録媒体であるICタグ22,32が実装されている。サーバ20には、交換対象となる部品26が実装され、部品26には、その種別や接続するケーブルの種類や位置等、サーバ20,30への実装に必要となる情報が書き込まれた記録媒体であるICタグ27が実装されている。
【0019】
サーバ20,30のそれぞれには、ケーブル集約装置23,33から、それぞれネットワークケーブル24,34や電源ケーブル25,35等のケーブルが接続されている。ケーブル集約装置23,33は、外部接続装置11に接続され、ラック筐体10外部の電源やネットワーク等に接続される。
【0020】
また、ラック筐体10には、アーム装置12が設置され、アーム制御装置51の制御によってラック筐体10内でアームを移動し、交換部品プール装置40に格納された部品41,42等の交換部品をサーバ装置20,30に着脱し、部品交換を実施する。交換部品プール装置40に格納された部品41,42には、部品26と同様に、その種別や接続するケーブルの情報等、サーバ20,30への実装に必要となる情報が書き込まれた記録媒体であるICタグ43,44が実装されており、交換部品として使用可能かどうかを確認することができる。
【0021】
アーム装置12には、ICタグ読み取り装置13が実装されており、ICタグ22,27,32,43,44から情報を読み出し、組み合わせデータベース53と照合し、交換可能かどうかを判定するためにその情報を利用することができる。
【0022】
交換制御装置52は、サーバ20,30にどのような部品がどの位置に接続されたかを記憶し、ICタグ22,27,32,43,44及び組み合わせデータベース53から得られた情報を用いて、交換作業を総合的に管理、実施する。交換制御装置52は、通信装置54によりネットワーク60を介して保守作業PC55と接続される。
【0023】
保守作業PC55は、作業者が交換作業を指示したり、進捗状況や、サーバ20,30の現在の部品実装状態等の情報を取得したりすることができるように、交換制御装置52とメッセージの交換を行なう。
【0024】
図2は、図1に示したサーバ20とアーム装置12の構成例を示す図である。なお、図2では、アーム装置12がサーバ20に部品26を取り付けている状況を示している。
【0025】
サーバ20は、上述したようにマザーボート21を内蔵している。マザーボード21は、部品26を側面から簡単に着脱するためのドータボード112を実装している。ドータボード112には、接続スロット113が実装され、部品26と接続することができる。また、ドータボード112には、部品26を接続スロット113に接続する際に容易に位置合わせをするための部品装着用ガイド114が設置されている。
【0026】
アーム装置12は、アーム131と、アーム制御装置133と、アーム131を移動するためのアーム移動用レール132と、アーム131を移動するための動力となるアーム移動用モーター134とから構成されている。アーム131は、交換部品プール装置40から部品を取り外してサーバ20に実装するものであり、部品を移動、実装する際に部品26を安定させるための部品装着用ガイド35を備えている。この部品装着用ガイド35は、部品を固定するための溝を有しており、この溝とアーム31によって掴むことにより、サーバ20に実装する部品を安定させて導く機能を有する。
【0027】
図3は、図1に示したサーバ20とケーブル集約装置23の構成例を示す図である。
【0028】
本例においては、図3に示すように、交換可能な部品として、電源211、拡張カード212,213、ハードディスク214,215がサーバ20に実装されている。サーバ20には、ケーブル集約装置23が隣接、もしくは内蔵して設置される。サーバ20,30毎にケーブル集約装置23,33が存在する理由は、第1にケーブルが短くて済み結線がシンプルにできるためであり、第2にサーバ20,30毎に接続されうるケーブルが異なるため、ケーブル集約装置23,33内に要求される内部の配線や提供するケーブルの数や種類はサーバ20,30毎に異なり、固有のものとなるためである。
【0029】
電源211は、ケーブル集約装置23と外部接続装置11を経由して外部の電源に接続され、マザーボード21に電源を供給する。拡張カード212は、ケーブル集約装置23と外部接続装置11を経由して外部のネットワークやストレージに接続されている。拡張カード213は、ケーブル集約装置23を経由してハードディスク214,215と接続されており、外部には接続されていない。
【0030】
ケーブル集約装置23には、未接続コネクタ格納装置221が存在し、部品にまだ接続されていないコネクタはここに格納される。未接続コネクタ格納装置221の役割は、未接続のコネクタの位置を特定し、アーム装置12がケーブルを接続する際に正確にコネクタを掴めるようにすることである。ケーブル集約装置23内の配線や、未接続コネクタの初期位置に関する情報は、マザーボード21上のICタグ22から読み出され、交換管理制御装置52にて記憶、管理されている。
【0031】
図3に示した例においては、ケーブル241〜243は既に結線済みで、その一端がケーブル集約装置23に接続され、他端はそれぞれ電源211,拡張カード212,213、ハードディスク214,215に接続されている。また、ケーブル244においては、使用されていないため、その一端はケーブル集約装置23に接続されているが、他端は未接続コネクタ格納装置221に格納され、新しく追加する部品のために備えられる。ケーブル集約装置23は、外部接続装置11と接続され、ラック筐体10外部のネットワークや電源と接続される。
【0032】
図4は、図1に示したサーバ20,30に実装される部品の構造を示す図であり、交換部品プール装置40に格納された部品41を例として示す。
【0033】
図1に示したサーバ20,30に実装される部品41は、図4に示すように、サーバ20,30の側面から差し込みやすいように、マザーボード接続部311とケーブル接続部312が互いに反対方向を向くように配置されている。この構造により、アーム装置12が一方向に部品41を押し込むだけでマザーボード21,31への実装することを可能としつつ、ケーブルの抜き差しも容易にする。また、部品41は取り外すことを容易にするための部品取り外し用フック313を有し、アーム装置12が部品41を一方向に引き出すだけで部品41を取り外すことを容易にする。
【0034】
次に、ICタグ22,27,32,43,44に書き込まれた情報について説明する。マザーボード21,31に実装されたICタグ22,32は、マザーボード21,31上にどのようなドータボード112が実装されているかや、部品と接続するスロットがどのような種類で物理的にどの位置にあるかや、セットで使用されるケーブル集約装置23,33における未接続コネクタの初期位置等の情報が書き込まれており、交換制御装置52において、その情報が記憶、管理されている。そして、交換制御装置52は、この情報を用いてアーム装置12をどこに移動すべきかを判断する。そのため、マザーボード21,31上のICタグ22,32に書き込まれた情報は、ドータボード112やケーブル集約装置23,33を交換した場合に、正確な情報を示すように適切に維持される必要がある。
【0035】
また、部品26,41,42に実装されたICタグ27,43,44には、部品26,41,42そのものの形状や、接続するケーブルの種別、コネクタの物理的な位置の情報が書き込まれており、交換制御装置52において、これらの情報が同様に記憶、管理されている。そして、交換制御装置52は、ドータボード112の接続スロット位置からの相対位置によりケーブルの接続位置を認識し、ケーブルの挿抜を行なう。
【0036】
上述したように、本形態においては、ラックマウント式のサーバ20,30の部品(ホストバスアダプタ、ネットワークインターフェースカード、電源、ネットワークケーブル、ディスクドライブ装置等)を、サーバ20,30の側面から単純な操作で抜き差しできる構造とするとともに、交換用の部品を交換部品プール装置40に格納しておき、交換が必要になった場合、ラック筐体10に設置された自動制御式のアーム装置12による物理的な抜き差しにより部品を交換する。また、各サーバ20,30のマザーボード21,31や部品26は、実装可能な組み合わせや交換手順を特定できるように、サーバ20,30への実装に必要となる情報をICタグに書き込んでおくとともにその情報を交換制御装置52にて管理しておき、また、部品の互換性をICタグに書き込まれた情報を用いて組み合わせデータベース53に登録しておき、これらの情報に基づいてサーバ20,30間で交換用部品を共有する。
【0037】
このような仕組みにより、保守員が遠隔地からサーバの故障を診断したうえで、現地に赴かずに交換を実施したり、専門知識のない作業者が交換作業を実施したりすることが可能となる。また、ラック筐体10の手が届きにくい位置に設置したサーバのメンテナンスも容易となる。交換の際、交換部品は事前にストックしておくことで、部品調達に時間を費やすことなく、部品交換を実施できる。
【0038】
以下に、上記のように構成された部品交換システムの動作について説明する。
【0039】
まず、全体の動作の流れについて説明する。
【0040】
図1に示した部品交換システムにおいて、ラック筐体10に格納されたサーバ20に故障が発生し、サーバ20自体の自己診断機能や、保守員による保守作業PC55を用いた遠隔地からの調査によって故障箇所が特定されると、サーバの管理者は、保守作業PC55から、ネットワーク60を介して通信装置54に接続し、交換制御装置52に部品26の交換を指示する。
【0041】
交換制御装置52は、ICタグ22,27から予め読み取られた情報により、マザーボード21と部品26の種別や接続状態を記憶、管理している。また、交換制御装置52は、同様に、ICタグ43,44から読み取られた情報により、交換部品プール装置40に部品41,42がストックされていることも記憶、管理している。また、組み合わせデータベース53には、部品26,41,42について、互いに交換可能であるか、すなわち互換性についての情報が、ICタグ22,27,43,44に書き込まれた情報を用いて登録されている。例えば、種別について互いに異なる種別であっても互換性があるものどうしが対応づけられている。
【0042】
交換制御装置52は、現在のサーバ20に部品26が実装されていることを確認し、組み合わせデータベース53を参照し、交換部品プール装置40に格納された部品41,42の中から、これら部品41,42に実装されたICタグ43,44に書き込まれた情報と部品26に実装されたICタグ27に書き込まれた情報とを用いて、部品26の代用として使用できる部品41を検索する。
【0043】
交換制御装置52は、上述したように、サーバ20における現在の接続状態を記憶しているため、部品26がサーバ20のどの位置に接続され、どの種類のケーブルが接続されているかを記憶している。そのため、交換制御装置52は、この情報を用いて、アーム制御装置51に対して部品26を部品41に交換するための指示を出す。
【0044】
すると、アーム制御装置51は、アーム装置12を動作させ、部品26からのケーブルの抜去及びサーバ20から部品26の取り外しを行い、部品26を交換部品プール装置40へ格納する。その後、交換制御装置52は、アーム制御装置51に指示を出してアーム装置12を動作させ、交換部品プール装置40に格納されていた部品41をサーバ20に実装し、ケーブルを部品41に接続し、交換作業を完了する。
【0045】
このように、交換可能な部品を交換部品プール装置40にストックしておき、部品交換を実施すべき状況であると判明した場合に、ストックされた部品の中から交換すべき部品と互換性がある部品を検索し、ラック筐体10に設置されたアーム装置12を使用して部品交換を実施するため、保守員が現地に出張して交換する場合に比べ、サーバが停止している時間が短縮されることに加え、部品調達の必要がなくなる。
【0046】
また、個々のサーバ20,30における実装すべき拡張スロットの位置や、サーバ20,30に実装される部品における挿抜すべきケーブルの種別やコネクタの位置や数等、サーバ20,30への実装に必要となる情報が、マザーボード21,31や部品26にそれぞれ実装されたICタグ22,27,32から読み出されて交換制御装置52にて記録、管理されているので、部品交換を実施する際には、それらの情報に基づいてアーム装置12の制御手順を導出して自動的に交換を実施することとなり、また、その際にマザーボードと部品を組み合わせて使用可能であるかについて、組み合わせデータベース53に登録された情報に基づいて確認することとなるため、人手で交換を実施することによる作業ミスを防止できるほか、専門知識のないオペレータだけでも交換作業を行なうことが可能となる。なお、取り外した故障部品は、保守員が後日新規補充部品と交換することで次回の故障に備える。
【0047】
次に、図2を参照しながら、アーム装置12が部品を交換する動作について説明する。
【0048】
アーム制御装置51は、アーム移動用モーター134を動作させることにより、アーム移動用レール132上にてアーム131をサーバ20の位置まで移動させる。この移動位置は、サーバ20をラック筐体10に格納した際に、マザーボード21上に実装されたICタグ22読み取ることでマザーボード21を一意に特定し、その位置を記録することによって交換制御装置52にて事前に把握されている。
【0049】
アーム制御装置51は、さらにアーム131を部品26に位置を合わせて部品装着用ガイド114,135上を滑らせてアーム装置12側に移動させる。この引き抜く作業においては、図4に示した部品取り外し用フック313にアーム131を引っ掛けることにより実施する。なお、この部品取り外し用フック313の正確な位置は、部品26に実装されたICタグ27に書き込まれた情報によって事前に取得されている。
【0050】
このようなアーム131の移動に伴って接続スロット113から引き抜かれた部品26は、アーム移動用レール132とアーム移動用モーター134により、交換部品プール装置40の空き領域に移動、収納される。
【0051】
その後、交換部品プール装置40から検索された交換部品がサーバ20に実装されることになるが、その交換部品の実装においては、上述した手順が逆に行われることとなる。
【0052】
次に、図3を参照しながら、サーバ20に実装された部品からケーブルの挿抜を行う動作について説明する。
【0053】
サーバ20に実装された部品は、マザーボードに接続されるだけでなくケーブルにより結線し、電源や外部のネットワーク等に接続される必要がある。そのため、交換制御装置52は、マザーボード及び各部品のICタグから読み出された情報から、接続すべきケーブルの種別とコネクタの物理的な位置情報を導出する。ケーブルを接続する際、交換制御装置52は、アーム131を移動させ、未接続コネクタ格納装置221から、適切な種類のケーブルを選択し、個々の部品のコネクタと接続する。ケーブルを抜去する際には、未接続コネクタ格納装置221へ移動し、マザーボードのICタグから読み出した、ケーブルの初期格納位置に戻される。
【0054】
以上説明した部品交換システムは、出荷前のサーバ装置と拡張カード類の膨大な組み合わせ評価を自動化する等といった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
10 ラック筐体
11 外部接続装置
12 アーム装置
13 ICタグ読み取り装置
20,30 サーバ
21,31 マザーボード
22,27,32,43,44 ICタグ
23,33 ケーブル集約装置
24 ネットワークケーブル
25 電源ケーブル
26,41,42 部品
40 交換部品プール装置
51 アーム制御装置
52 交換制御装置
53 組み合わせデータベース
54 通信装置
55 保守作業PC
60 ネットワーク
112 ドータボード
113 接続スロット
114,135 部品装着用ガイド
131 アーム
132 アーム移動用レール
211 電源
212,213 拡張カード
214,215 ハードディスク
221 未接続コネクタ格納装置
241〜244 ケーブル
311 マザーボード接続部
312 ケーブル接続部
313 部品取り出し用フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバラックに格納されたサーバ内の部品を交換する部品交換システムであって、
前記サーバ内の部品には、当該部品の前記サーバへの実装に必要となる情報が読み出し可能に書き込まれた記録媒体が取り付けられ、
前記サーバ内の部品と交換可能な部品を、当該部品の前記サーバへの実装に必要となる情報が読み出し可能に書き込まれた記録媒体が取り付けられた状態で格納する交換部品プール装置と、
前記サーバ内の部品と前記交換部品プール装置に格納された部品との互換性が、前記記録媒体に書き込まれた情報を用いて登録されたデータベースと、
前記サーバ内の部品に交換の必要が生じた場合、前記データベースを参照し、前記交換部品プール装置に格納された部品のうち、前記サーバ内にて交換の必要が生じた部品と互換性がある部品を検索し、前記部品の交換を指示する交換制御装置と、
前記交換制御装置の指示に基づいて、前記サーバ内にて交換の必要が生じた部品を当該サーバの側面から取り外し、前記交換部品プール装置から検索された部品を当該サーバの側面から挿入して実装するアーム装置とを有する部品交換システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品交換システムにおいて、
前記交換制御装置は、ネットワークを介して遠隔制御される部品交換システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品交換システムにおいて、
前記アーム装置は、前記部品を実装する際に当該部品を導くガイドを有する部品交換システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品交換システムにおいて、
前記部品は、前記アーム装置によって前記サーバの側面から取り外し可能とするためのフックを有する部品交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−170416(P2011−170416A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31124(P2010−31124)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】