説明

部品供給装置

【課題】ねじ締め作業を行う作業者の手元へねじを供給するためのものであって、ねじの締め忘れを防止する部品供給装置を提供する。
【解決手段】上記課題は、多数貯留されたねじを定量供給する供給ユニット2と、この供給ユニット2から供給される小物部品を一時貯留して作業者が手動で取り出し可能な取出しユニット3と、この取出しユニット3へのねじの供給量を検出するとともに、このねじの供給量を表示部26に表示する一方、電動ねじ締め機からのねじ締め完了信号を受信してねじ締め完了回数を表示部26に表示する制御ユニット4とを備える部品供給装置1によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物部品を作業者の手元へ定量供給するための部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手動式の小物部品供給装置(以下、手動式部品供給装置という)としては、特許文献1に示すものがある。この手動式小物部品供給装置は、小物部品の一例であるねじを多数貯留するとともに、これを撹拌する回転ドラムと、回転ドラム内で撹拌されて落下するねじを吊下し、これを整列搬送する搬送レールとを備えている。また、搬送レールの搬送最終端にはセンサが設けられており、所定量のねじを搬送最終端に貯留するよう構成されている。さらに、搬送最終端には作業者によって手動で開閉可能なゲートが設けられており、当該ゲートを開放することによって所定量のねじが作業者の手元へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−179013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記手動式部品供給装置では、作業者へ供給されたねじの供給量と、実際に締め付けられたねじの本数を検出する手段とを有していない。そのため、ねじの締め忘れが発生しても、これを見過ごすことになり、不良品を生産する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の部品供給装置は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、多数貯留されたねじを定量供給する供給ユニットと、この供給ユニットから供給される小物部品を一時貯留して作業者が手動で取り出し可能な取出しユニットと、この取出しユニットへのねじの供給量を検出するとともに、このねじの供給量を表示部に表示する一方、電動ねじ締め機からのねじ締め完了信号を受信してねじ締め完了回数を表示部に表示する制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の部品供給装置は、供給ユニットから取出しユニットへ供給されたねじの供給量と、ねじ締め機によって締め付けられたねじの締め付け完了数とを検出し、これを表示するように構成されている。これにより、作業者によるねじの締め忘れを防止し、不良品を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の部品供給装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の部品供給装置の供給ユニットの構成を示す図である。
【図3】本発明の部品供給装置の取出しユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は部品供給装置であり、小物部品の一例であるねじを多数貯留してこれを定量供給する供給ユニット2と、この供給ユニット2とは分離して配置され、当該供給ユニット2から供給されるねじを一時貯留するとともに、これを作業者が手動で取り出し可能な取出しユニット3と、前記供給ユニットにより供給されるねじの供給量を表示する一方、ねじ締め機(図示せず)に接続され、ねじ締め完了回数を表示する制御ユニット4とを備えている。
【0009】
前記供給ユニット4は、図2に示すように、すくい板5の揺動によって貯留部6に貯留されたねじをすくい上げ、これを搬送レール7に移載して整列搬送するように構成されている。このすくい板5は、搬送レルール7上には常時、ねじが満杯状態となる速度で作動し、ねじをすく上げるよう設定されている。また、搬送レール7の搬送最終端には、到着したねじを下方へ案内する案内口8を有するエスケープユニット9が連設されている。そして、当該案内口8の下端にはホース10が繋がれており、ねじを前記取出しユニット3へ圧送するように構成されている。
【0010】
前記エスケープユニット9は、搬送最終端に到達したねじの頭部を支持する送出しブロック11を備えている。この送出しブロック11は、エアシリンダ12の駆動により、一定間隔で、搬送レール7の延びる方向と交差する方向に往復移動し、ねじを個別に分離して前記案内口8へ落下するよう構成されている。また、エアシリンダ12の駆動信号は、前記制御ユニット4に送信され、この信号をカウントすることにより、ねじの供給量を算出するとともに、当該供給量を表示部26に表示するように構成されている。
【0011】
前記取出しユニット3は、図3に示すように、ねじを多数貯留可能な貯留容器13を有する。この貯留容器13は、口径の異なる開口を上端および下端に有するペットボトル型を成しており、立設した支柱(図示せず)に固定された取付台16に支持されている。また、この取付台16は、その中央近傍に前記貯留容器の小口径の開口14を支持する支持穴17を有しており、当該開口14を支持穴17に挿入することで貯留容器13が支持されるように構成されている。
【0012】
一方、貯留容器13の下端の開口14には蓋体18が被せられており、前記取付台16に立設した三本の支持棒19,20,21に支持されている。この蓋体18には、挿入口22が設けてあり、ここに前記ホース10を接続し、貯留容器13にねじを貯留するように構成されている。
【0013】
また、前記貯留容器13の上端の開口(図示せず)には、前記蓋体18を貫くようにしてロッド22が挿入されており、当該ロッド22の下端を作業者が押上げることにより、貯留容器13内を往復移動可能に構成されている。しかも、このロッド22には、前記貯留容器13の内部に収納するようにして開閉部材23が取付けられている。この開閉部材23は、開口14よりも大径を成しており、ロッド22の往復移動に伴って当該開口14を開閉するように構成されている。これにより、貯留容器13内のねじが開口14から滑落し、作業者の手元へ供給される。
【0014】
さらに、前記蓋体18の上面には上限用近接センサ24、下限用近接センサ25が取付けられている。これら近接センサ24,25は、ロッド22が完全に押上げられたか否かを検出するものであり、下限用近接センサ25がロッド22の移動開始を検出した後、上限用検出センサ25がロッド22を検出すれば、ロッド22が完全に押上げられたとして、貯留容器13内のねじの供給完了信号を制御ユニット4へ送信する。一方、下限用検出センサ24がロッド22を検出した後、上限用検出センサ24がロッド22を検出しないときは、ロッド22の押上が不完全であるから、供給不良信号を送信するとともに、スピーカ27から警告音を発するよう構成されている。
【0015】
前記制御ユニット4は、前記エアシリンダ12の駆動信号を受信して送出しブロック11の往復移動回数を検出することにより、ねじの供給量を表示部26にリアルタイムに表示するように構成されている。
【0016】
また、前記制御ユニット4は、ハンドタイプの電動式ねじ締め機に接続され、このモータ(図示せず)の負荷電流値を検出する。これにより、ねじ締めが完了した際に発生するモータのトルクアップを制御ユニット4が検出することにより、ねじ締めの完了回数を算出するよう構成されている。そして、このねじ締め完了回数を表示部26に表示する。
【0017】
さらに、前記制御ユニット4には、ねじの総供給量、ならびに取出しユニット3の貯留容器13へ一時的に供給されるねじの一時供給量を設定することができる。例えば、総供給量1000本、取出しユニット3への一時供給量10本を設定した場合、貯留容器内に10本のねじが供給されるまで供給ユニット2は供給を続け、10本に到達すると、エアシリンダ12に停止信号を送信して供給を一時中断する。そして、作業者が取出しユニット2のロッド22を操作することにより、センサ24,25がロッド22の移動を検出すると、再び、エアシリンダ12に作動開始信号を送信し、貯留容器13内に10本のねじが貯留されるまで供給を続ける。これを100回繰り返すと、総供給量が1000本に達し、部品供給が終了する。
【0018】
本発明の部品供給装置1によれば、供給ユニット2から取出しユニット3へ供給されたねじの供給量と、ねじ締め機によって締め付けられたねじの締め付け完了回数とを検出し、これを表示部26に表示するように構成されている。この表示部26を作業者が確認することにより、ねじの締め忘れを防止するとともに、適正なねじ締め管理を実現することができる。
【0019】
1 部品供給装置
2 供給ユニット
3 取出しユニット
4 制御ユニット
5 すくい板
6 貯留部
7 搬送レール
8 案内口
9 エスケープユニット
10 ホース
11 送出しブロック
12 エアシリンダ
13 貯留容器
14 開口
16 取付台
17 支持穴
18 蓋体
19,20,21 支持棒
22 ロッド
23 開閉部材
24 上限用近接センサ
25 下限用近接センサ
26 表示部
27 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数貯留されたねじを定量供給する供給ユニットと、
この供給ユニットから供給される小物部品を一時貯留して作業者が手動で取り出し可能な取出しユニットと、
この取出しユニットへのねじの供給量を検出するとともに、このねじの供給量を表示部に表示する一方、電動ねじ締め機からのねじ締め完了信号を受信してねじ締め完了回数を表示部に表示する制御ユニットと
を備えることを特徴とする部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12151(P2012−12151A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149271(P2010−149271)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】