説明

部品実装方法と装置

【課題】 金属接合部どうしの超音波振動などによる摩擦接合を図って部品を実装対象物に実装するのに、金属接合部を所定の高さにできるようにする。
【解決手段】 部品取り扱いツール14で部品3を保持し、この部品3の金属接合部5を実装対象物4の金属接合部5に対向させて加圧し、部品取り扱いツール14に超音波振動を与えて、電気接合部5、6どうしを加圧状態で摩擦させ超音波接合し部品3を実装対象物4に実装するのに、部品取り扱いツール14が電気接合部5、6どうしを圧接させたときの位置Hsから、電気接合部5、6どうしの超音波接合が終了するまでの部品取り扱いツール14の進出量Hを制御して、接合後の電気接合部5、6の高さを揃え、かつ、金属接合部5、6どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動による接合エネルギの大きさを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装方法と装置、より詳しくは、部品を金属接合部どうしの摩擦接合により実装対象物に実装する部品実装方法と装置に関し、例えば、プリント配線板などの回路基板に実装して電子回路基板を製造するようなICチップなどの電子部品の実装に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ベアICチップなどのICチップは、回路基板にプリント配線などして形成された導体ランドに電気接合するための電極が接合面に形成され、この接合面を回路基板の導体ランドを持った接合面に対向させて、導体ランドおよび電極間の電気接合を図った状態で固定するいわゆる面実装が行われる。
【0003】
このような実装を行うのに本出願人は、ICチップの電極の上に金属製のバンプをワイヤボンディングなどによって形成し、このICチップを吸着ノズルによって吸着、保持して取り扱い、位置決めされた回路基板の上の所定位置に対向させて、前記バンプを回路基板の導体ランドに押し当てた状態で、吸着ノズルの揺動できるように支持された支持点と吸着面との間に超音波振動を与えてICチップを振動させることにより、バンプおよび導体ランドどうしを摩擦溶融させて超音波接合し、ICチップを回路基板に実装する方法を先に提案している。
【0004】
これにより、ICチップなどの部品を金属の溶融を伴う接合により、確実な電気接合と高い実装強度を満足して、しかも迅速に回路基板に実装することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような部品実装において、部品を実装した後のバンプの高さにバラツキが生じ、これが原因してICチップの電極にダメージを受けたり、ICチップの特性のバラツキがあったりする。これは、金属接合部どうしを超音波接合するのに部品にボンディング荷重を掛け続けることが原因していると思われる。これは、超音波接合する場合にかかわらず、部品および実装対象物の相対移動によって双方の金属接合部どうしを加圧しながら摩擦溶融させて接合するあらゆる場合に共通する。
【0006】
また、ワイヤボンディングで形成したバンプは、電極面に所定の大きさおよび厚みを持って溶融固着される基部に対し、先端部がボンディング終了時のボンディングワイヤの引きちぎりによって形成される先細り形状を有し、先端部を所定高さまで押し潰すいわゆるレベリング処理をするにしても先細り形状は残る。従って、金属接合部どうしを加圧しながら接合するとき接合が進むにつれて接合面積が徐々に増大する。このとき、接合の安定のために接合面積が増大するにつれて相対移動による摩擦あるいは超音波振動による摩擦での接合エネルギを大きくしていくことが考えられるが、一定の加圧を掛け続ける上でバンプの高さにバラツキが生じやすい。
【0007】
本発明の目的は、金属接合部どうしの超音波振動などによる摩擦接合を図って部品を実装対象物に実装するのに、金属接合部を所定の高さに揃えられる、部品実装方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段と発明の効果】
【0008】
上記のような目的を達成するため、本発明の部品実装方法は、部品の金属接合部を実装対象物の金属接合部に対向させて加圧しながら、部品と実装対象物との相対移動により、金属接合部どうしを前記加圧状態で摩擦させて接合し部品を実装対象物に実装し、部品と実装対象物との金属接合部どうしが圧接したときの位置から、金属接合部どうしの接合が終了するまでの部品と実装対象物との近づき量を制御して、前記接合を行い部品を実装対象物に実装する部品実装方法であって、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して摩擦による接合エネルギの大きさを制御することを特徴としている。
【0009】
これにより、部品の金属接合部と実装対象物の金属接合部とを対向させて加圧しながら、部品と実装対象物との相対移動によりそれら金属接合部どうしを接合するのに併せ、金属接合部どうしが圧接した時点の位置からの部品と実装対象物との間の近づき量を制御することにより、金属接合部どうしの摩擦接合が終了する時点の部品と実装対象物との近接位置を規制して、接合した金属接合部を所定高さに揃えることができ、接合した金属接合部の高さのバラツキやこれによる影響を防止することができる。
【0010】
本発明はまた、部品取り扱いツールにて部品を保持し、この部品の金属接合部を実装対象物の金属接合部に対向させて加圧しながら部品取り扱いツールに超音波振動を与えて、金属接合部どうしを前記加圧状態で摩擦させ超音波接合し部品を実装対象物に実装し、部品取り扱いツールが金属接合部どうしを圧接させたときの位置から、金属接合部どうしの超音波接合が終了するまでの部品取り扱いツールの進出量を制御して、前記超音波接合を行い部品を実装対象物に実装することを特徴とする部品実装方法であって、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動による接合エネルギの大きさを制御することも1つの特徴としている。
【0011】
これによると、部品の金属接合部と実装対象物の金属接合部とを部品を保持している部品取り扱いツールにより加圧しながら、部品取り扱いツールを通じて部品に超音波振動を与えて摩擦させ金属接合部どうしを超音波接合するのに併せ、金属接合部どうしが圧接した時点からの部品取り扱いツールの進出量を制御することにより、部品の実装対象物への金属接合部どうしの摩擦溶融あるいは電子間結合による接合を超音波振動にて短時間で確実に達成しながら、金属接合部どうしの超音波接合が終了する時点の部品の実装対象物に対する近接位置を規制して、上記の場合と同様に接合した金属接合部を所定高さに揃えることが、部品取り扱いツール側の制御だけで達成し、超音波接合した金属接合部の高さのバラツキやこれによる影響を防止することができる。
【0012】
しかも上記各発明においては、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して相対移動や超音波振動による摩擦の接合エネルギの大きさを超音波振動の周波数やその大きさなどにより制御しているので、金属接合部を所定の高さに規制しながら、接合面の大きさおよびその変化に合わせた大きさの接合エネルギで、摩擦接合や超音波接合を安定して達成することができる。
【0013】
上記発明において、部品と実装対象物とを相対移動させるツール、例えば部品取り扱いツールの進出、加圧動作をそれに連結したボイスコイルモータの駆動制御で行って、金属接合部どうしを超音波接合して部品を実装対象物に実装するのに併せ、金属接合部どうしが圧接したときの部品取り扱いツールの位置をボイスコイルモータの駆動電流の変化から検出すれば、この検出位置を制御基点としてそれ以降のボイスコイルモータによる部品取り扱いツールの進出量を制御することができ、ボイスコイルモータとその制御手段だけで超音波接合のための金属接合部どうしの加圧と部品取り扱いツールの進出量の制御が達成される。
【0014】
これら制御する近づき量や、進出量が、金属接合部に応じて設定した一定量であると、相対移動や超音波振動による摩擦接合のための押し潰し代を、バンプなど金属接合部の種類や大きさに合った所定量に設定して摩擦接合を首尾よく達成しながら、接合後の金属接合部の高さにバラツキが生じるのを防止することができる。
【0015】
上記のような方法を達成する本発明の部品実装装置は、部品を所定位置に供給する部品供給部と、金属接合により部品を実装する実装対象物を部品実装位置に供給して位置決めし部品実装後に他へ移す実装対象物取り扱い手段と、所定位置に供給される部品を部品取り扱いツールにてピックアップして取り扱い部品実装位置に位置決めされている実装対象物に双方の金属接合部どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段と、部品取り扱いツールを通じてこれが保持している部品に超音波振動を与える超音波振動手段と、部品実装位置にて、実装対象物取り扱い手段が取り扱う実装対象物の金属接合部に、部品取り扱い手段が取り扱う部品の金属接合部に対向させて加圧しながら超音波振動手段を働かせ、部品取り扱いツールが金属接合部どうしを圧接させたときの位置から、金属接合部どうしの超音波接合が終了するまでの部品取り扱いツールの進出量を制御して金属接合部どうしを超音波接合させ、部品を実装対象物に実装する制御手段とを備えた部品実装装置であって、制御手段は、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動の周波数や大きさを制御することを特徴とする。これによれば上記部品実装方法を所定のプログラムに従った制御手段による制御で自動的に安定して高速度で達成することができる。
【0016】
特に制御手段は、上記方法のように金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動による接合エネルギの大きさを超音波振動の周波数や大きさなどにより制御することができる。また、部品取り扱い手段に部品取り扱いツールに連結してそれを進出、加圧動作させるボイスコイルモータを備えることにより、ボイスコイルモータによる部品取り扱いツールの進出、加圧動作を制御して金属接合部どうしの超音波接合をするのに、金属接合部どうしの圧接をボイスコイルモータの駆動電流の変化によって検出し、その検出時点から部品取り扱いツールの進出量を制御することができる。このときの進出量は、上記方法のように金属接合部に応じて設定した一定量であるのが好適である。
【0017】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。また、本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の部品の実装方法およびその装置の実施の形態について、実施例とともに図1〜図7を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0019】
本実施の形態は、図3に示すように半導体ウエハ1がダイシングシート2上で個々のベアICチップ3にダイシングされたものを部品として取り扱い、図1に示すようにプリント配線板などの回路基板4を実装対象物とし、双方の金属接合部である電気接合部5、6の超音波接合、つまり電気接合を伴ってベアICチップ3を回路基板4に実装する場合の一例であり、1つの実施例としてベアICチップ3の電気接合部5は半導体ウエハ1の上に薄膜技術によって形成された電極7にワイヤボンディング技術で形成した金属製のバンプ8とし、回路基板4の電気接合部6はその表面に形成された導体ランド9としてある。もっとも、本発明はこれに限られることはなく、部品と実装対象物との相対移動や少なくとも一方に超音波振動を与えることにより金属接合部どうしを摩擦させて溶融あるいは電子間結合を伴い接合するあらゆる場合、および、他のICチップなど各種の電子部品や電子部品以外の種々な部品を種々な金属接合部の摩擦接合を伴って、回路基板以外の板状物や他の形態のものを含む種々な実装対象物に各種に実装する全ての場合に適用できる。
【0020】
本実施の形態の部品実装方法は、図1の(a)に示すように、ベアICチップ3の金属接合部5を回路基板4の金属接合部6に対向させて加圧しながら、ベアICチップ3と回路基板4との相対移動により、電気接合部5、6どうしを加圧状態で摩擦させて溶融あるいは電子間結合を伴い接合するのに、ベアICチップ3と回路基板4との電気接合部5、6どうしが圧接したときの図1の(b)に示す位置関係から、電気接合部5、6どうしの接合が終了する図1の(b)に仮想線で示す時点までのベアICチップ3と回路基板4との近づき量(進出量H)を制御して、前記接合を行いベアICチップ3を回路基板4に実装する。
【0021】
これにより、ベアICチップ3の金属接合部5と回路基板4の金属接合部6とを対向させて加圧しながら、ベアICチップ3と回路基板4との相対移動によりそれら電気接合部5、6どうしを摩擦させて溶融あるいは電子間結合を伴い接合するのに併せ、電気接合部5、6どうしが圧接した時点からのベアICチップ3と回路基板4との間の図1の(a)、(b)に示す近づき量Hを制御することにより、電気接合部5、6どうしの摩擦接合が終了する時点のベアICチップ3と回路基板4との近接位置を規制して、接合した電気接合部5、6の総高さを所定高さHhに揃えることができ、接合した電気接合部5、6の高さHhにバラツキが生じるようなことを防止し、そのようなバラツキによりICチップの電極にダメージを受けたり、ICチップの特性にバラツキがあったりするような影響を回避することができる。
【0022】
さらに具体的には、部品取り扱いツールである例えば吸着ノズル14にてベアICチップ3を保持し、このベアICチップ3の電気接合部5を回路基板4の電気接合部6に対向させて加圧しながら吸着ノズル14に超音波振動手段24により超音波振動を与えて、電気接合部5、6どうしを摩擦させ超音波接合しベアICチップ3を回路基板4に実装するようにしていて、電気接合部5、6どうしの接合を超音波振動による振動的摩擦を部品取り扱いツールである吸着ノズル14を利用して巧みに与えて、1/10秒単位という極く短時間に確実に達成しながら、吸着ノズル14が電気接合部5、6どうしを圧接させたときの図1の(a)に示す位置Hsから、電気接合部5、6どうしの超音波接合が終了する時点までの吸着ノズル14の進出量Hを制御して、前記超音波接合を行いベアICチップ3を回路基板4に実装することにより、金属製の電気接合部5、6どうしの超音波接合が終了する時点の最終進出位置Heを規制できるようにし、接合後の電気接合部5、6の高さHhのバラツキやそれによる影響を防止するとができ、部品取り扱いツール側の位置制御だけで達成される。
【0023】
なお、ベアICチップ3を取り扱う本実施の形態では、ベアICチップ3がパッケージを施されていないものであるのに対応して、電気接合部5、6を金属の溶融あるいは電子間結合を伴った溶接接合部10を持って超音波接合するのに併せ、バンプ8を回路基板4の導体ランド9に圧接させるときのベアICチップ3と回路基板4との近づきによって、それらの一方または双方に予め供与してある例えばシリカと樹脂バインダなどからなる図1に仮想線で示すような封止材11を双方で圧迫しながらそれらの間の必要範囲、例えば図1に示すように双方の対向し合う接合面3aおよび4aの間の周囲から外回りに適度なぬれ広がり部13を持つような範囲に充満させることにより、電気接合部5、6およびベアICチップ3の接合面3aなどをまわりから封止する封止処理をするようにしている。
しかし、ベアICチップ3などのようにパッケージを施されない電子部品以外では、電気接合部5、6の接合部を回りから封止するだけでもよいし、そのような封止処理を省略することもできるなど、封止処理は電子部品の種類に応じて必ずしも必須ではない。
【0024】
また、本実施の形態では、上記摩擦接合において、電気接合部5、6どうしの接合面積の大きさに対応して相対移動や超音波振動による接合エネルギの大きさを制御する。接合エネルギの大きさを変えるファクタは、相対移動や超音波振動の速度、周波数、強さ、加圧力などがあり、超音波振動では振動数を大きくするのが簡単で安定した制御ができる。これにより、電気接合部5、6を所定の高さHhに規制しながら、摩擦接合時の相対移動や超音波振動による接合エネルギを接合面の大きさおよびその変化に合わせたものとして、摩擦接合を安定して達成することができる。
【0025】
このような操作で、電気接合部5、6の接合面積がそれぞれにおいて固有の大きさがある場合の違いにも対応することができるが、図1の(b)に示すワイヤボンディング技術で形成されたバンプ8のように、電極7に溶融固着される所定の大きさおよび高さH2を持った基部8aに対し、ボンディング終了時点でワイヤの引きちぎりにより生じる高さH2の先細り部8bを有したような形状の電気接合部5などでは、接合の進行による近づき量Hの増大とともにバンプ8の押し潰され量が増大し、接合面積および摩擦抵抗が徐々に増大するので、この接合面積が増大するのに従って、図2に示す1つの実施例して超音波振動の振動数を大きくする。
【0026】
以上のように、ベアICチップ3および回路基板4の電気接合部5、6の少なくとも一方にバンプ8を用いると、ベアICチップ3と回路基板4との局部的な電気接合部5、6どうしの摩擦接合が、ベアICチップ3および回路基板4間の干渉なく、バンプ8による十分な押し潰し代H2を持って確実に達成される。
【0027】
また、本実施の形態では、部品取り扱いツールである吸着ノズル14の進出、加圧動作をそれに連結した図3、図6、図7に示すボイスコイルモータ15の駆動制御で行って、電気接合部5、6どうしを超音波接合してベアICチップ3を回路基板4に実装するのに併せ、電気接合部5、6どうしが圧接したときの吸着ノズル14の位置Hsをボイスコイルモータ15の駆動電流の変化から検出し、この検出位置Hsを制御基点としてそれ以降のボイスコイルモータ15による吸着ノズル14の進出量を制御する。これにより、ボイスコイルモータ15とその図3、図7に示すような制御手段25だけで超音波接合のための電気接合部5、6どうしの加圧と吸着ノズル14の進出量の制御を達成することができる。
【0028】
この制御する進出量HないしはベアICチップ3などの部品と回路基板4などの実装対象物との近づき位置が、電気接合部5、6に応じて設定した一定量であると、摩擦接合のための電気接合部5、6の押し潰し代を、バンプ8など電気接合部5、6の種類や大きさに合った所定量、例えばH2に設定して超音波接合を首尾よく達成しながら、超音波接合後の電気接合部5、6の高さHhのバラツキやその影響を防止することができる。
【0029】
1つの実施例データを示すと、ベアICチップ3のバンプ8を回路基板4の導体ランド9に圧接させながら超音波を与える吸着ノズル14は、図3に示す部品実装装置のように、吸着ノズル14を昇降させるボイスコイルモータ15による下方への進出量の制御とその際の荷重制御とで荷重500g〜5Kg程度の磁気加圧力で前記圧接と加圧を行い、吸着ノズル14に圧電素子16からの振動を受けるホーン17を接続して、吸着ノズル14に、振動数60KHz、振幅1〜2μm程度の超音波振動を与えて、前記圧接されているバンプ8と導体ランド9とに摩擦を生じさせて、双方の溶融あるいは電子間結合を伴い超音波接合するようにしている。また、バンプ8の基部8aの高さH1は35μm前後、先細り部8bの高さH2は40μm前後で、全高さH0は75μm前後である。
【0030】
押し潰し代は前記のように先細り部8bの高さH2に設定してあり、その押し潰しは、その開始時点ts から接合が終了する時点te まで約0.3秒で達成され、その間超音波振動の振動数を前記60KHzから数%徐々に高めて接合面積が増大するのに対応している。前記押し潰し代H2の設定によって、接合後の電気接合部5、6の高さHhはバンプ8の基部8aの高さH1に電極7や導体ランド9の高さを加えた寸法となり、バンプ8は電極7と導体ランド9との間で図1の(b)に仮想線で示すように整った一塊の形状になる。もっとも、電極7や導体ランド9が接合面3aや4aと面一に設けられる場合はそれら接合面3a、4aと面一にされるものの高さは当然入らない。
【0031】
なお、部品の種類によってはチャックタイプや接着、ねじなどにより保持するものなど各種の部品取り扱いツールを用いることができ、超音波接合する場合はそれら部品取り扱いツールを介して取り扱う部品に超音波振動を与えればよい。
吸着ノズル14は図7に示すように上記超音波振動が与えられたときに折損しないように、これの支持軸81に弾性チューブ82を介して接続され、弾性チューブ82を通じて支持軸81側からの吸引作用も吸着ノズル14に及ぶようにしている。しかし、そのための具体的な構成は特に問うものではなく種々に設計することができる。
【0032】
以上のように本実施の形態では、ベアICチップ3のバンプ8と回路基板4の導体ランド9との圧接状態で、ベアICチップ3に超音波振動を与えてバンプ8と導体ランド9とを摩擦させ、それら電気接合部5、6どうしを溶融あるいは電子間結合を伴い超音波接合して電気的にも接合するのと同時に、バンプ8および導体ランド9どうしを圧接する際にベアICチップ3および回路基板4の接合面3a、4aの少なくとも一方に予め供与されている封止材11を互いの近づきによって圧迫し、特別な作業および時間なしに相互間の必要な範囲に強制的に一瞬に充満させられるので、バンプ8および導体ランド9どうしの電気的な接合と、封止材11を必要範囲に充満させること、を1つの作業のうちに短時間で達成することができ、用いる装置も1つで足りる。
【0033】
また、用いる封止材11は流し込みの場合のような粘度の制限はなく、例えば2000〜10000cpsと云った広範囲な粘度設定ができ、高い粘度のものを用いて例えば25℃程度の低い温度で前記作業とともに短時間に硬化させられる。封止材11の種類としては、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系などがあり、これに硬化材として酸無水物系やフェノール系が混合された接着剤をシリカなどのフィラー材のバインダとしたものを用いた。しかし、これらに限られることはなく、これから開発されるものを含め種々なものを採用することができる。
【0034】
要するに、ベアICチップ3などの部品の回路基板4などの実装対象物への実装が1つの簡単な作業および装置で短時間に少ない熱消費で達成される。例えば10mm×10mmの大きさのベアICチップ3の場合で、封止処理を含む接合に要した時間は図2に示すように0.4秒程度であった。しかも、電気接合部5、6であるバンプ8や導体ランド9などの電気的な接合は金属接合、特に溶接接合や電子間結合を伴うもので確実であり、接触不良による不良品の発生がなく歩留りが向上する。従って、製品コストの低減が図れる。
【0035】
また、封止材11はベアICチップ3や回路基板4の接合面3a、4aの少なくとも一方に一塊に供与しておけばよく空気が混入しにくい利点がある。封止材11の供与はディスペンサで塗布して、あるいは印刷によって、あるいは、転写によって適時に供与すればよい。印刷や転写は下向き面に供与するのに垂れなどがなく好適である。もっとも、山盛り状態にした封止材11に吸着ノズル14で吸着保持したベアICチップ3の接合面3aを近づけて行って付着させ供与するようにもできる。これらの作業は、前記部品実装のためのベアICチップ3や回路基板4の取り扱い作業中のタイムラグを利用して、簡単かつ短時間に行える。
場合によっては取り扱い作業に関連した前作業などで行ってもよい。
【0036】
上記のような部品実装方法を達成する部品の実装装置としては、図3に示すように、ベアICチップ3などの部品を所定位置Aに供給する部品供給部21と、電気接合部5、6の接合を伴ってベアICチップ3などの部品を実装する回路基板4などの実装対象物を部品実装位置Bに供給して部品の実装に供した後、これを他へ移す実装対象物取り扱い手段22と、部品供給部21で供給される部品を吸着ノズル14などの部品取り扱いツールで保持して取り扱い、ベアICチップ3のバンプ8などの電気接合部5を有した接合面3aを回路基板4の導体ランド9などの電気接合部6を有した接合面4aに対向させて、双方の電気接合部5、6どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段23と、吸着ノズル14などの部品取り扱いツールを通じてこれが保持している部品に超音波振動を与える超音波振動手段24と、部品実装位置Bにて、実装対象物取り扱い手段22が取り扱う回路基板4などの実装対象物の金属製の電気接合部である導体ランド9などに、部品取り扱い手段23が取り扱うベアICチップ3などの部品の金属製の電気接合部であるバンプ8などを対向させて加圧しながら超音波振動手段24を働かせ、吸着ノズル14が電気接合部5、6どうしを圧接させたときの位置Hsから、電気接合部5、6どうしの超音波接合が終了するまでの吸着ノズル14の進出量Hを制御して電気接合部5、6どうしを超音波接合させ、ベアICチップ3を回路基板4に実装するようにした制御手段25とを備えれば足り、図7に示す所定のプログラムデータ26に従った制御手段25による制御で、上記のような部品実装方法を自動的に安定して高速度で達成することができる。
【0037】
制御手段25にはCPUやマイクロコンピュータを用いるのが好適であるが、これに限られることはなく、種々な構成および制御形式を採用することができる。プログラムデータ26は制御手段25の内部または外部のメモリに記憶されたもの、あるいはハード回路で構成されたシーケンス制御によるものなど、どの様な形態および構成のものでもよい。
【0038】
図3に示す実施例では、基台31の前部に実装対象物取り扱い手段22が設けられ、回路基板4をそのベアICチップ3との接合面4aが上向きとなるように取り扱い、上方から簡易に実装されるようにしている。実装対象物取り扱い手段22はレール32に沿って回路基板4を一端のローダ部33から他端のアンローダ部34までX方向に搬送する搬送手段をなしている。しかし、回路基板4が小さいなど実装対象物の大きさや形状、形態などによっては、これを把持して持ち運ぶタイプの手段とすることもできる。レール32はローダ部33の下流側直ぐに設定された部品実装位置Bの範囲の部分が、図3、図4に示すように独立したレール32aとされ、このレール32aと、このレール32aに受け入れた回路基板4を下方から吸着保持するボンディングステージ35とを、前記X方向と直行するY方向に移動させるY方向テーブル36で支持して設け、レール32と並ぶ回路基板4の受け渡し位置B1と、これよりも後方の部品の実装作業を行う図3に示す実装作業位置B2との間で往復移動させる。
【0039】
これにより、ローダ部33から部品実装位置Bのレール32a上に回路基板4が到達する都度、ボンディングステージ35ではその回路基板4をストッパ30aが所定位置に受止めた後、受け止めた回路基板4を押圧子30bによりレール32aの一方に押圧して位置規正する。位置規正後の回路基板4はボンディングステージ35で吸着保持する。これに併せ、ボンディングステージ35を前記実装作業位置B2に移動して位置決めし、吸着保持している回路基板4への部品の実装に供する。実装作業位置B2で部品の実装が終了する都度ボンディングステージ35はレール32と並ぶ受け渡し位置B1に移動されて、回路基板4の吸着を解除するとともに部品実装後の回路基板4をレール32aからレール32の下流側に送りだしてアンローダ部34まで搬送し他への搬出を図る。以上で多数の回路基板4を順次にベアICチップ3などの部品の実装に供して電子回路基板を連続的に製造することができる。
【0040】
一方、ローダ部33およびボンディングステージ35にはヒータを埋蔵するなどした予備加熱部33aおよび本加熱部35aが設けられ、部品の実装に供される回路基板4をそれぞれの位置にある間予備加熱、および本加熱して、回路基板4とベアICチップ3との間に充満される封止材11を25℃程度に加熱できるようにする。比較的低温な加熱であるのでベアICチップ3を回路基板4に超音波接合する作業のうちに封止材11をほぼ硬化させることができ予備加熱を省略することはできる。しかし、予備加熱を行えばより無理なく加熱できる。もっとも、封止材11を硬化させるのに紫外線など光を用いることもできる。
【0041】
レール32の部品実装位置Bの下流側でレール32の後方に部品供給部21が設けられ、ダイシングシート2上で半導体ウエハ1が個々のベアICチップ3にダイシングされた部品をストックする部品マガジン38を装着して昇降させるマガジンリフタ41と、部品マガジン38にストックされた所定の種類のベアICチップ3が、マガジンリフタ41による部品マガジン38の高さ設定によって図示しない出し入れ手段に対向させることで、ダイシングシート2ごと押し出され、または引き出されるのを保持し、ダイシングシート2をエキスパンドして各ベアICチップ3の間隔を広げてピックアップされやすくするエキスパンド台37とを設置している。
【0042】
エキスパンド台37はX方向テーブル42によりX方向に、Y方向テーブル43によりY方向に移動されて、ダイシングシート2上のベアICチップ3のうちの供給するものをダイシングシート2の下方から突き上げられる突き上げ棒44のある部品供給位置Aに順次に位置決めして、必要なだけ供給できるようにする。ベアICチップ3の供給を終えるか、供給するベアICチップ3の種類を変えるような場合、エキスパンド台37上のダイシングシート2を必要なものと交換する。これにより、各種のベアICチップ3を必要に応じて順次自動的に供給して実装されるようにすることができる。もっとも、部品供給部21は実装する部品の種類や形態に応じた構成にすればよいし、各種の構成の部品供給部21を併設することができる。これに対応して部品取り扱い機構23を複数備え、あるいは複数種類の部品取り扱いツールを切換え、あるいは交換して選択的に用いるようにすることができる。
【0043】
上記のように、回路基板4をその接合面4aが上向きとなるようにしてベアICチップ3などの部品の実装に供し、部品供給部21が接合面3aを上にしたベアICチップ3を供給して前記上向きの回路基板4への実装に供するものであるのに対応して、本実施の形態では部品取り扱い手段23を、接合面3aが上向きとなったこのベアICチップ3などの部品を部品取り扱いツールの1例である吸着ノズル45などによって上方から保持してピックアップした後、それを反転さるように、具体的には部品取り扱い側の、部品取り扱い端である吸着面45a上、あるいは図5に示すように吸着面45aから離れた位置Cを中心に旋回させて接合面3aを下向きに反転させるようにベアICチップ3などの部品を取り扱う図3、図5に示すような部品反転手段23aと、超音波振動手段24を装備し、部品反転手段23aにより接合面3aを下にされたベアICチップ3などの部品を上方から保持してピックアップした後、実装対象物取り扱い手段22によって部品実装位置Bで接合面4aが上向きにされている回路基板4などの実装対象物との超音波接合に供するように部品を取り扱う図3、図6、図7に示すような接合手段23bとで構成している。
【0044】
これにより、半導体ウエハ1が、ダイシングシート2上でダイシングされて接合面3aが上に向いたベアICチップ3などで、所定位置にてエキスパンド台37によりダイシングシート2をエキスパンドした荷姿状態で供給され、それを図の実施例のように専用して、あるいは別の荷姿の部品と複合して供給される場合でも多数を繰り返し用いて、繰り返し実装するようなときに、ダイシングシート2上のベアICチップ3などを反転手段23aによって上方からピックアップして接合面3aが下向きとなるように反転させた後、これを接合手段23bにより上方からピックアップして、実装対象物取り扱い手段22によって取り扱われ部品実装位置Bで接合面4aが上向きにされている回路基板4などの実装対象物に上方から圧接させて双方の電気接合部5、6であるバンプ8および導体ランド9どうしを超音波接合する。このように、反転手段23aと接合手段23bとが協働したベアICチップ3などの部品の取り扱いによって、ベアICチップ3などの上向きで供給される部品を上向きで取り扱われる回路基板4などの実装対象に順次混乱なく多数繰り返し実装することができる。
【0045】
図3に示す実施例では、反転手段23aは供給されるベアICチップ3などの部品をピックアップする部品供給位置Aと、ピックアップしたベアICチップ3の接合面3aが下向きとなるように反転させた後、接合手段23bによる接合のためのピックアップに供する受け渡し位置Dとの間をX方向テーブル56により往復移動される基台57に、モータ51およびこれによって回転駆動される横軸52を設け、この横軸52のまわりに部品取り扱いツールの一例である吸着ノズル45が1本、あるいは複数本放射状方向に装備した部品反転ヘッド54を持ち、吸着ノズル45は部品反転ヘッド54上でエアシリンダ55により軸線方向に進退させられる。
【0046】
これにより、反転手段23aは下向きにされた吸着ノズル45が部品供給位置Aにて昇降して、そこに供給されているベアICチップ3を吸着してピックアップした後、吸着ノズル45を前記位置Cの回りに回動させて上向きにすることで、前記ピックアップしたベアICチップ3の接合面3aを上向きから下向きに反転させて、受け渡し位置Dに移動して接合手段23bによるピックアップに供する。
【0047】
接合手段23bは上記吸着ノズル14を持ったもので、X方向テーブル58により受け渡し位置Dと実装位置Bとの間を往復移動して、受け渡し位置Dで接合面3aが下向きにされたベアICチップ3を吸着してピックアップし、これを実装位置Bの実装位置B1へ移動されて、そこに位置決めされている回路基板4の所定位置に圧接させ、上記のように超音波接合を行うことを繰り返す。従って、反転手段23aと接合手段23bの協働により、部品供給部21で接合面3aが上向きで供給されるベアICチップ3を回路基板4の上に必要なだけ実装することができる。もっともこれには、反転手段23aの側はX方向に移動せず部品供給位置Aに定置されていても、接合手段23bが部品供給位置Aと実装位置Bとの間を往復移動できればよい。また、逆であってもよい。
【0048】
接合手段23bのX方向の移動と、前記ボンディングステージ35のY方向の移動との複合で、回路基板4のどの位置にもベアICチップ3などの部品を実装できる。しかし、そのための移動方式も必要に応じて種々に変更することができる。
【0049】
もっとも、これら反転手段23aや接合手段23bは、直線往復移動されるものに限らず、非直線移動を含む各種の移動を複合した動きをするものとすることができるし、多関節ロボットによれば1つの動作手段によって達成することもできる。
【0050】
本実施の形態の部品実装装置は、さらに、図7に示すように接合手段23bでの部品実装のための接合を行う部品取り扱いツールとしての吸着ノズル14の進出、加圧動作をそれに連結したボイスコイルモータ15の制御手段25による駆動制御で行い、電気接合部5、6どうしを超音波接合して部品を実装対象物に実装するのに併せ、制御手段25により電気接合部どうしが圧接したときの吸着ノズル14の位置Hsをボイスコイルモータ15の駆動電流の変化を電流計81を通じるなどして負荷の増大によりボイスコイルモータ15のコイルの電流が増大する変化を検出し、このときの検出位置Hsを制御基点としてそれ以降のボイスコイルモータ15による吸着ノズル14の進出量Hを制御するようにしている。
【0051】
これにより、ボイスコイルモータ15とそれを制御する制御手段25だけで超音波接合のための電気接合部5、6どうしの加圧と吸着ノズル14の進出量の制御が達成される。制御手段25はまた超音波振動手段24を駆動制御するのに、電気接合部5、6どうしの接合の進行に伴い前記接合面積が増大するのに合わせ、接合エネルギを大きくする制御、例えば振動数を徐々に増大させる制御も行うが、部品ごとの電気接合部5、6の接合面積の大きさの違いには、プログラムデータ26によるそのときどきに実装する部品のデータ、あるいは部品供給部21で供給される部品のデータ、供給された部品に関する認識データ、制御手段25の内部や外部のメモリ25aに記憶された実装部品のデータなどによって、現時点で実装している部品の種類を知ることにより対応することができる。
【0052】
もっとも、摩擦接合時の接合面積の大きさに応じた接合エネルギの設定は、超音波振動手段24によって吸着ノズル14などに超音波振動を与えて接合動作しているときに、接合面積の大きさによって摩擦抵抗が異なることによって生じる、吸着ノズル14の実際の振動状態と設定値とのずれを検出し、この検出したずれに応じて接合エネルギを調整するようにしても、上記の場合同様に対応できる。
【0053】
なお、本実施の形態の装置は、図3に示すように実装対象物取り扱い手段22が取り扱う回路基板4などの実装対象物と、部品取り扱い手段23が取り扱うベアICチップ3などの部品との接合面3a、4aの少なくとも一方に、それらが前記位置合わせされるまでの段階で制御手段25により働かされて封止材11を供与する封止材供与手段61を備えている。これにより、ベアICチップ3などの部品および回路基板4などの実装対象物の少なくとも一方への封止材11の供与も含めて、1つの装置でベアICチップ3などの部品の実装を自動的に達成することができる。
【0054】
図に示す実施例では、X方向テーブル58により、接合手段23bとともにX方向に移動されるように封止材供与手段61を装備し、例えば実装位置Bに移動してディスペンサ62をシリンダ63で下降させて回路基板4の接合面4aの側に図1に仮想線で示すように封止材11を供与し、供与が終了すればディスペンサ62を上動させて封止材供与手段61を側方に退避させるのと同時に、接合手段23bを部品実装位置Bに移動させて吸着ノズル14が保持しているベアICチップ3などの部品を供与された封止材11の上から回路基板4に圧接させて超音波接合する。
【0055】
また、図3に示す装置は、部品供給位置Aに設けられるベアICチップ3などの種類を画像認識するための認識カメラ73、部品実装位置Bの実装位置B2に設けられて吸着ノズル14に保持された部品の回転補正のための吸着向きや、回路基板4の接合面の状態などを画像認識するために、上向きおよび下向きに切換え働かされる認識カメラ74を有している。さらに、制御状態またはそれに関する情報を表示するディスプレイ75、認識カメラ73、74などによる認識画像をモニタするモニタ76なども設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、部品の金属接合部と実装対象物の金属接合部とを対向させて加圧しながら、部品と実装対象物との相対移動や、超音波振動によりそれら金属接合部どうしを摩擦させて溶融あるいは電子間結合を伴い接合するのに、金属接合部どうしの摩擦接合が終了する時点の部品の実装対象物に対する近接位置、ないしは、前記接合を行う部品取り扱いツールの金属接合部どうしが圧接した時点からの進出量を規制して、接合した金属接合部を所定高さに揃えることができ、接合した金属接合部の高さのバラツキやこれによる影響を防止することができる部品実装方法や部品実装装置に適用すると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の部品実装方法および装置の実施の形態を示し、その(a)は超音波接合動作状態での要部の断面図、その(b)は接合のために電気接合部どうしを圧接させたときの側面図である。
【図2】図1の(a)の部品実装状態での部品取り扱いツールの進出量ないしは部品と実装対象物の近づき量の制御状態、および超音波振動の制御状態を示すグラフである。
【図3】図1の装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3の装置の部品実装位置にあるボンディングステージの斜視図である。
【図5】図3の装置の部品取り扱い手段における反転手段を示す斜視図である。
【図6】図3の装置の部品取り扱い手段における接合手段を示す斜視図である。
【図7】図6の接合手段の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
3 ベアICチップ
4 回路基板
3a、4a 接合面
5、6 電気接合部
7 電極
8 バンプ
9 導体ランド
10 溶接接合部
14 吸着ノズル
15 ボイスコイルモータ
21 部品供給部
22 実装対象物取り扱い手段
23 部品取り扱い手段
23a 反転手段
23b 接合手段
24 超音波振動手段
25 制御手段
26 プログラムデータ
33 ローダ部
34 アンローダ部
35 ボンディングステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の金属接合部を実装対象物の金属接合部に対向させて加圧しながら、部品と実装対象物との相対移動により、金属接合部どうしを前記加圧状態で摩擦させて接合し部品を実装対象物に実装し、部品と実装対象物との金属接合部どうしが圧接したときの位置から、金属接合部どうしの接合が終了するまでの部品と実装対象物との近づき量を制御して、前記接合を行い部品を実装対象物に実装する部品実装方法であって、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して摩擦による接合エネルギの大きさを制御することを特徴とする部品実装方法。
【請求項2】
部品取り扱いツールにて部品を保持し、この部品の金属接合部を実装対象物の金属接合部に対向させて加圧しながら部品取り扱いツールに超音波振動を与えて、金属接合部どうしを前記加圧状態で摩擦させ超音波接合し部品を実装対象物に実装し、部品取り扱いツールが金属接合部どうしを圧接させたときの位置から、金属接合部どうしの超音波接合が終了するまでの部品取り扱いツールの進出量を制御して、前記超音波接合を行い部品を実装対象物に実装することを特徴とする部品実装方法であって、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動による接合エネルギの大きさを制御することを特徴とする部品実装方法。
【請求項3】
部品の金属接合部を実装対象物の金属接合部に対向させて加圧しながら、部品と実装対象物との相対移動により、金属接合部どうしを前記加圧状態で摩擦させて接合し部品を実装対象物に実装し、部品と実装対象物との金属接合部どうしが圧接したときの位置から、金属接合部どうしの接合が終了するまでの部品と実装対象物との近づき量を制御して、前記接合を行い部品を実装対象物に実装する部品実装方法であって、金属接合部どうしの圧接を、部品と実装対象物とを相対移動させるツールに連結して進出、加圧動作させるボイスコイルモータの駆動電流の変化によって検出することを特徴とする部品実装方法。
【請求項4】
部品を所定位置に供給する部品供給部と、金属接合により部品を実装する実装対象物を部品実装位置に供給して位置決めし部品実装後に他へ移す実装対象物取り扱い手段と、所定位置に供給される部品を部品取り扱いツールにてピックアップして取り扱い部品実装位置に位置決めされている実装対象物に双方の金属接合部どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段と、部品取り扱いツールを通じてこれが保持している部品に超音波振動を与える超音波振動手段と、部品実装位置にて、実装対象物取り扱い手段が取り扱う実装対象物の金属接合部に、部品取り扱い手段が取り扱う部品の金属接合部に対向させて加圧しながら超音波振動手段を働かせ、部品取り扱いツールが金属接合部どうしを圧接させたときの位置から、金属接合部どうしの超音波接合が終了するまでの部品取り扱いツールの進出量を制御して金属接合部どうしを超音波接合させ、部品を実装対象物に実装する制御手段とを備えた部品実装装置であって、制御手段は、金属接合部どうしの接合面積の大きさに対応して超音波振動の周波数や大きさを制御することを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
部品を所定位置に供給する部品供給部と、金属接合により部品を実装する実装対象物を部品実装位置に供給して位置決めし部品実装後に他へ移す実装対象物取り扱い手段と、所定位置に供給される部品を部品取り扱いツールにてピックアップして取り扱い部品実装位置に位置決めされている実装対象物に双方の金属接合部どうしが対向するように位置合わせして圧接させ実装に供する部品取り扱い手段と、部品取り扱いツールを通じてこれが保持している部品に超音波振動を与える超音波振動手段と、部品実装位置にて、実装対象物取り扱い手段が取り扱う実装対象物の金属接合部に、部品取り扱い手段が取り扱う部品の金属接合部に対向させて加圧しながら超音波振動手段を働かせ、部品取り扱いツールが金属接合部どうしを圧接させたときの位置から、金属接合部どうしの超音波接合が終了するまでの部品と実装対象物との近づき量を制御して金属接合部どうしを超音波接合させ、部品を実装対象物に実装する制御手段とを備えた部品実装装置であって、部品取り扱い手段は部品取り扱いツールをそれに連結して進出、加圧動作させるボイスコイルモータを備え、制御手段はボイスコイルモータによる部品取り扱いツールの進出、加圧動作を制御して金属接合部どうしの超音波接合をするのに、金属接合部どうしの圧接を、これに対応したボイスコイルモータの駆動電流の変化によって検出することを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−13216(P2007−13216A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282286(P2006−282286)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【分割の表示】特願平10−371618の分割
【原出願日】平成10年12月25日(1998.12.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】