部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラム
【課題】容易かつ高い効率での部品配置の設計を可能とする部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】入力部1から図形領域発生部6が発生させる図形領域に関する条件を設計者が入力する。図形領域発生部6が貫通穴を介してリードを部品面側から半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる。合成領域発生部7が複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる。領域干渉判定部9が表面実装部品の配置と図形領域及び合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する。そして、表示部4が領域干渉判定部9による判定結果を表示する。
【解決手段】入力部1から図形領域発生部6が発生させる図形領域に関する条件を設計者が入力する。図形領域発生部6が貫通穴を介してリードを部品面側から半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる。合成領域発生部7が複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる。領域干渉判定部9が表面実装部品の配置と図形領域及び合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する。そして、表示部4が領域干渉判定部9による判定結果を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品面の挿入部品と半田面の表面実装部品とが混載するプリント基板の部品配置の設計に好適な部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の部品実装に高密度化が求められており、プリント基板の半田面にも表面実装部品の配置が行われつつある。この場合、半田面においては、フロー半田付けする挿入部品のリードとリフロー半田付けする表面実装部品とが混在して配置されることになる。このような半田面に表面実装部品を装着する半田付けの手順や工法が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の手順では、半田面に配置された表面実装部品をリフロー半田付け処理した後、半田面に溶融半田の噴流を供給することにより、挿入部品のリードを半田面に設けたランド104に固定する。この手順では、図14に示すように、半田面113を下向きにしてプリント基板112を載置板108に載せ、フロー半田装置内を進行方向116に移動させて処理を実行する。載置板108には、リード102等の半田付けすべき部分に対応する開口部109が設けており、フロー半田の噴流115がこの半田付けすべき部分に供給される。更に、載置板108には、半田面113の既にリフロー半田付けが済んだ表面実装部品105等が納められる逃げ溝110が形成されている。このため、リフロー半田付けが済んだ表面実装部品105等には、フロー半田の噴流115は当たらない。このように、半田面の表面実装部品105を噴流115から遮蔽するのは、表面実装部品115の耐熱性等の観点から、フロー半田噴流による再半田処理を避けることが必要だからである。特許文献2では、フロー半田付けでのこの載置板と同様機能の冶工具を自動半田付けのマスキング治具とよんでいる。
【0004】
但し、逃げ溝110の周囲には遮蔽構造部111が必要である。このため、挿入部品101に近接して表面実装部品105を配置するには、挿入部品101のリード102とそれに近接する表面実装部品105の端子用半田付けパッド106の端との距離を、少なくとも遮蔽構造部111が機能し得る程度とする必要がある。以下、この距離を制約距離又はリード−表面実装部品間距離とよぶことがある。制約距離は、開口部109や逃げ溝110等の構造製作条件や半田処理条件等に依存して決定されている。そして、半田面側の配置設計に当たっては、リードから制約距離以下の部分を表面実装部品の配置禁止領域とし、この配置禁止領域内には表面実装部品を配置しないようにしている。
【0005】
CAD(computer aided design)を用いた部品配置設計方法において、半田面に挿入部品のリードと表面時実装部品とを混在配置する場合の、製造工程上の制約による配置禁止領域を考慮して部品配置する方法が、特許文献3に開示されている。但し、特許文献3に記載の方法では、実装装置や実装工具(例えばインサーションやマウント用の工具)の動作領域と設計された配置の部品との干渉を考慮しているのみであり、予め部品毎に配置禁止領域を定めている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−190667号公報
【特許文献2】特開平7−202411号公報
【特許文献3】特開2000−331060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来の配置設計方法では、仮の部品配置後に、対象となるリード−表面実装部品間距離を人手で一個一個確認して適正配置への修正する作業を繰返す必要がある。このため、作業工数が多く、また、部品配置密度が十分とはいえないこともある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、容易かつ高い効率での部品配置の設計を可能とする部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0010】
本発明に係る部品配置設計支援装置は、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援装置において、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる図形領域発生手段と、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生手段と、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る部品配置設計支援方法は、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援方法において、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生ステップと、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生ステップと、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計の支援をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、コンピュータに、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生処理と、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生処理と、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データ中の表面実装部品の配置と合成領域等との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かが判定され、その結果が出力されるため、プリント基板の設計者は、予め作成され挿入部品及び表面実装部品の配置内容を含むデータの的確性を容易に判断することができる。このため、設計者は修正すべき点を容易に把握することができる。更に、表面実装部品を配置すべきでない領域をも出力すれば、設計者は修正後の配置候補地を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置10は、部品配置設計者が、プリント基板における挿入部品及び表面実装部品の配置設計を行う際に用いる設計支援装置である。本実施形態では、挿入部品として、貫通穴を介してリードを部品面側から半田面側に突出させて半田付けする部品のみを用い、表面実装部品として、半田面に装着する部品のみを用いることとするが、挿入部品が半田面側に配置されてもよく、表面実装部品が部品面側に配置されてもよい。
【0017】
このプリント基板用部品配置設計支援装置10には、データの処理を行うデータ処理部3、データ処理部3が行う処理の条件等を部品配置設計者が入力する入力部1、仮の部品配置がされたプリント基板の設計データ等を記憶する記憶部2、及び、データ処理部3が処理した判定結果等を表示する表示部4(出力手段)が設けられている。
【0018】
入力部1は、例えば、キーボード又はテンキー等の入力装置である。
【0019】
記憶部2は、ハードデスクドライブ又はCD−ROM等から構成されており、仮の部品配置が行われたプリント基板の設計データ等を記憶している。
【0020】
データ処理部3には、入力部1から入力され、データ処理部3が処理を行うに当たって必要な処理条件等を取得する処理条件取得部5、及び、記憶部2等から読み込んだ部品配置設計データ等に基づいて、挿入部品のリード位置を内包する所定形状の図形領域を発生させる図形領域発生部6が設けられている。ここで、図形領域発生部6は、所定形状の図形領域を発生させるに当たり、処理条件取得部5が取得した条件を考慮する。データ処理部3には、更に、図形領域発生部6により発生させられた図形領域のうちで、互いに重なり合うものが存在すれば、これらを合成して合成領域を発生させる合成領域発生部7、及び半田面に配置した表面実装部品の部品配置図形が合成領域と重なっているかを判定する領域干渉判定部9が設けられている。領域干渉判定部9による判定結果は、表示部4に表示される。部品配置図形については、図5A〜図5C及び図6A〜図6Cを参照しながら後述する。
【0021】
表示部4は、ディスプレーやプリンタ等から構成されており、プリント基板の部品配置の設計データやデータ処理部3での処理結果等を表示する。
【0022】
次に、上述のように構成されたプリント基板用部品配置設計支援装置10の動作及び当該装置10を用いた配置設計方法について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【0023】
先ず、ステップS1において、入力部1から入力された図形領域の形状条件を処理条件取得部5が取得する。ここでは、図形領域の形状条件として、矩形領域の形状条件を取得することとする。なお、矩形領域の形状条件は、例えば、矩形領域の長さ、矩形のプリント基板の特定の一辺と矩形領域の特定の一辺との角度、及び矩形領域の中心をどこに位置させるか等を示す条件である。例えば、矩形領域を一辺の長さが10mmの正方形とし、プリント基板の特定の一辺と矩形領域の特定の一辺とが略平行とし、矩形領域の中心を挿入部品のリードの位置と一致させることが矩形領域の形状条件として取得される。なお、矩形領域の形(アスペクト比)及び辺の長さ等は、例えばプリント基板を載置する載置板等の製作条件や半田処理条件等に依存する制約に基づいて、任意に決定することができる。
【0024】
ここで、載置板等の製作条件や半田処理条件等に依存する制約に基づく矩形領域の形及び辺の長さ等の決定について、具体的に説明する。矩形領域の形及び辺の長さ等は、実装の高密度化の観点からできるだけ小さくすることが好ましく、載置板の遮蔽構造部が機能し得る最小のものとすることが好ましい。そこで、矩形領域の形及び辺の長さ等は、例えば経験的に、図14中の開口部109、遮蔽構造部111及び逃げ溝110等の寸法に基づいて、挿入部品のリードの半田付けを適正に行うための半田処理条件の観点(貫通穴上部までの半田供給充分性等)と、載置板108の加工上や構造・強度上の観点とからできるだけ小さなものに決定することが好ましい。
【0025】
次に、ステップS2において、図形領域発生部6がステップS1で取得した矩形領域の形状条件に従い、記憶部2から読み込んだ仮の部品配置が済んだプリント基板設計データに基づいて、矩形領域を発生させる。
【0026】
ここで、プリント基板設計データと矩形領域との関係について詳述する。プリント基板設計データは、例えば図3Aに示すようなものである。即ち、このデータは、コネクタCN1及びCN2、トランジスタTr1〜Tr3、ダイオードDi1及びDi2、ディスクリート型抵抗R1、並びにディスクリート型コンデンサーCa1が部品面に配置され、チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2が半田面に配置されることを示している。ここで、部品面に配置される部品はいずれも挿入部品であり、各々のリード13(黒丸で示す)が、プリント基板11に形成された貫通穴14(白丸で示す)の中央を部品面側から半田面側に突出するように設計されている。一方、半田面に配置される部品はいずれも表面実装部品であり、挿入部品のフロー半田付けに先立ってリフロー半田付けされ、その後のフロー半田付けの際には噴流から遮蔽されるべき部品である。なお、図3Aは、プリント基板11を半田面側から見たときの配置を示しており、半田面側の表面実装部品を実線で示し、部品面側の挿入部品を破線で示している。
【0027】
そして、ステップS2では、図3Aに示すようなプリント基板設計データに対し、図3Bに示すように、各リード13の位置を中心として、一辺の長さが10mmの正方形を矩形領域15として発生させる。このとき、矩形領域の形状条件に従って、各矩形領域15の特定の一辺を、プリント基板11の特定の一辺12と略平行にする。この結果、図3Bに示すように、一部の矩形領域15同士が重なり合っている。
【0028】
次いで、ステップS3において、図3Cに示すように、合成領域発生部7が、重なり合った矩形領域15を合成して合成領域16を発生させる。そして、本実施形態では、残存している矩形領域15の他に、合成領域16をも半田面における表面実装部品の配置禁止領域とする。即ち、矩形領域15又は合成領域16には表面実装部品を配置しないこととする。
【0029】
その後、ステップS4において、領域干渉判定部9が、半田面に配置された表面実装部品の全て(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)に関して、部品配置図形と矩形領域15又は合成領域16のいずれかとの重なりがあるか否かを判定する。この判定の結果、重なりがある場合には、ステップS5へ移行し、重なりがない場合には、処理を終了する。ここで、部品配置図形とは、図5A及び図6Aに示すように、表面実装部品そのものの輪郭22(図5B及び図6B)と、表面実装部品の端子を半田付けするために設けたパッドの輪郭23(図5C及び図6C)とから構成される図形24をいい、配置されたときの表面実装部品の実質的な輪郭を表している。図3A乃至図3Cでは、全ての表面実装部品を部品配置図形で表記している。また、本実施形態で扱う部品配置した設計データも同様の表記で構成されている。
【0030】
ステップS5では、重なりがある表面実装部品を特定して、その部品名を表示部4に表示させる。図3Cに示す例では、チップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2が合成領域16と重なっているため、これらの部品名を表示させることとなる。そして、処理を終了する。
【0031】
なお、ステップS5では、部品名を表示させるだけでなく、プリント基板設計データに基づいて、図3Cに示すように、配置禁止領域(矩形領域15及び合成領域16)と仮配置済みの表面実装部品(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)との位置関係が視覚的に確認できるように表示部4に表示させることが好ましい。
【0032】
その後、プリント基板の部品配置設計者は、ステップS5の表示結果に基づいて、矩形領域15又は合成領域16と重なった表面実装部品のチップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2について、矩形領域15又は合成領域16と重ならないように配置をやり直すこととなる。この修正した部品配置設計の結果一例を図4に示す。
【0033】
このような第1の実施形態によれば、予め設定された図形領域(矩形領域)の形状条件に基づいて、自動的に配置禁止領域が設定され、この配置禁止領域と重なる表面実装部品があれば、それが特定される。このため、部品配置設計者が部品ごとに確認を行う必要がなくなると共に、必要以上にマージンを確保することが抑制される。従って、容易に適正な部品配置設計を効率的に行うことが可能となる。
【0034】
なお、図4に示す修正後の配置例は、表面実装部品の配置位置を修正した例であるが、チップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2に近接する挿入部品の配置位置を修正してもよい。但し、このような修正を行った場合には、その後に、再度ステップS1〜S5の手順を実行することにより、配置禁止領域との重なりがないか再確認することが好ましい。
【0035】
また、図形領域の形状は矩形に限定されるものではなく、例えば円形としてもよい。例えば、図3Aに示すプリント基板設計データに対し、図7に示すように、半径が5mmの円形領域19が、その中心がリード13の位置と一致するような図形領域の形状条件をステップS1において設定してもよい。この条件下では、図7に示すように、チップ抵抗CR2は合成領域と重ならない。従って、上述の実施形態と比較すると、表面実装部品の配置密度が向上すると共に、修正点が少なく部品配置設計が容易となる。
【0036】
更に、図形領域の中心をリードの位置に一致させる必要はなく、リードの位置が図形領域に内包されていれば、例えば半田フロー時のプリント基板の進行方向を考慮した上でこれらを互いにずらしてもよい。
【0037】
例えば、図8Aに示すように、図3Aに示すプリント基板設計データに対し、半径が5mmの円形領域が、その中心がリード13の位置からプリント基板の進行方向30の前方側に2mmずれるような図形領域の形状条件をステップS1において設定してもよい。このような形状条件が設定された場合、ステップS3では、図8Bに示すように、互いに重なり合う円形領域19同士を合成して合成領域16を発生させる。なお、ステップS4では、SOP型集積回路IC2が合成領域16と重なっていると判定されるが、図8Bには、その後のステップS5の表示に基づいて、SOP型集積回路IC2の配置位置を修正した結果の一例を示してある。
【0038】
このような形状条件を設定した場合には、載置板の開口部にフロー半田の噴流の流れ込みを誘導しやすいという効果が得られる。特に、載置板の設計に当たり、開口部の位置を最終的に得られた矩形領域15又は合成領域16と一致させれば、より一層高い効果が得られる。
【0039】
このように、リード13の位置を中心として図形領域を発生させなくとも、フロー半田処理の内容に依存して予め決定された制約に従って、リード13の位置に対して図形領域の発生位置を設定することが好ましい。この際、プリント基板11の進行速度にもよるが、リード13の位置を基準としてプリント基板の進行方向30の前方へ、例えば2mm程度ずらして半田面の表面実装部品を配置することが好ましい。
【0040】
また、上述の実施形態では、挿入部品のリード13の断面形状を小さい円形と想定し、矩形領域15をリード13の位置を中心とする一辺の長さが10mmの正方形としている。これに対し、挿入部品がDIP(dual-in-line package)のIC又はDIP型コネクタ等の場合には、リードの断面が長方形であるため、図9Aに示すように、例えば、リード20の位置を中心とし、リード20の輪郭(長方形)の各辺に所定長を加えて形成される矩形領域21を図形領域としてもよい。この例も、フロー半田付けの処理における配置制約に基づいているため、好ましいといえる。
【0041】
更に、図9Bに示すように、プリント基板のフロー半田槽への進行方向30を長径とする楕円領域25を図形領域としてもよい。このような設定をステップS1で行うことにより、フロー半田の流れ方向での挿入部品のリード−表面実装部品間距離が余裕ある適正距離をより確実に確保できることになる。このため、この距離間での半田付け不具合をより一層低減することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【0043】
本実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置40は、データ処理部3に、処理条件取得部5により取得された処理条件に従って、矩形領域及び合成領域とこれらの領域に囲まれるか、又は挟まれた領域とを合せた領域を拡張領域として発生させる拡張領域発生部8が設けられている点で第1の実施形態と相違している。他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
次に、上述のように構成されたプリント基板用部品配置設計支援装置40の動作及び当該装置40を用いた配置設計方法について説明する。図11は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、ステップS11において、第1の実施形態と同様に、入力部1から入力された図形領域の形状条件を処理条件取得部5が取得する。更に、本実施形態では、処理条件取得部5は、拡張領域を発生させる基準となる拡張条件をも入力部1から取得する。ここでも、図形領域の形状条件として、矩形領域の形状条件を取得することとする。なお、拡張条件は、例えば互いに対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔等を示す条件である。例えば、互いに対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が4mm以下の場合に拡張領域を発生させることが拡張条件として取得される。なお、この基準とする間隔等は、例えばプリント基板を載置する載置板等の製作条件等に依存する制約に基づいて、任意に決定することができる。
【0046】
ここで、載置板等の製作条件等に依存する制約に基づく間隔等の決定について、具体的に説明する。後述のように、矩形領域又は合成領域のデータは、載置板等における開口部の設計データに応用することができる。この場合、矩形領域又は合成領域同士の間隔に基づいて、載置板に設ける開口部同士の間隔が決定されることとなる。従って、例えば経験的に、開口部の設計データに応用した場合に、載置板において適切な強度を確保し、また、構造上の欠点が生じないように、矩形領域又は合成領域同士の基準とする間隔を決定することが好ましい。なお、載置板の材質としては、一般に、半田の濡れがなく、位置精度の観点でプリント基板と同熱膨張率等の要求から樹脂が多用されている。
【0047】
次に、ステップS12において、第1の実施形態と同様にして、図形領域発生部6がプリント基板設計データに基づいて矩形領域を発生させる。
【0048】
次いで、ステップS13において、第1の実施形態と同様にして、合成領域発生部7が、重なり合った矩形領域15を合成して合成領域16を発生させる。
【0049】
その後、ステップS14において、拡張領域発生部8が、互いに対向する矩形領域15又は合成領域16同士の間隔が、ステップS11において取得された基準距離以下である領域を探す。本実施形態では、ステップS11において、基準とする距離を4mmとすることが拡張条件として設定されているため、間隔が4mm以下の領域を探す。そして、図12Aに示すように、このような領域17が存在する場合には、図12Bに示すように、この領域17と矩形領域15及び合成領域16とを合わせた領域を拡張領域18として発生させる。そして、本実施形態では、拡張領域18を半田面における表面実装部品の配置禁止領域とする。即ち、拡張領域18には表面実装部品を配置しないこととする。
【0050】
なお、拡張条件を満たす領域が存在しない場合には、矩形領域15と合成領域16とを合わせた領域を拡張領域18とみなす。
【0051】
続いて、ステップS15において、領域干渉判定部9が、第1の実施形態と同様にして、半田面に配置された表面実装部品の全てに関して、部品配置図形と配置禁止領域である拡張領域18との重なりがあるか否かを判定する。この判定の結果、重なりがある場合には、ステップS16へ移行し、重なりがない場合には、処理を終了する。
【0052】
ステップS16では、重なりがある表面実装部品を特定して、その部品名を表示部4に表示させる。図12Bに示す例では、チップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2が拡張領域18と重なっているため、これらの部品名を表示させることとなる。そして、処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS16では、部品名を表示させるだけでなく、プリント基板設計データに基づいて、図12Bに示すように、配置禁止領域(拡張領域18)と仮配置済みの表面実装部品(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)との位置関係が視覚的に確認できるように表示部4に表示させることが好ましい。
【0054】
その後、プリント基板の部品配置設計者はステップS16の表示結果に基づいて、拡張領域18と重なった表面実装部品のチップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2について、拡張領域18と重ならないように配置をやり直すこととなる。この修正した部品配置設計の結果一例を図13に示す。
【0055】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。但し、第2の実施形態では、半田面での部品配置密度が第1の実施形態よりも低くなる可能性がある。それでも、本発明の目的を達成することは可能であり、また、より単純で簡単な部品配置が得られ、フロー半田用冶具である載置板等の製作が容易になるという利点もある。
【0056】
なお、図13に示す修正後の配置例は、表面実装部品の配置位置を修正した例であるが、第1の実施形態と同様に、チップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2に近接する挿入部品の配置位置を修正してもよい。但し、このような修正を行った場合には、その後に、再度ステップS11〜S16の手順を実行することにより、配置禁止領域との重なりがないか再確認することが好ましい。また、第1の実施形態と同様に、他の種々の変更も可能である。例えば、図8A及び図8Bに示す中心位置をずらすという方法を採用する場合には、載置板の設計に当たり、開口部の位置を最終的に得られた拡張領域18と一致させることにより、フロー半田の噴流の流れ込みを極めて誘導しやすいという効果が得られる。
【0057】
第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれにおいても、矩形領域15の特定の一辺をプリント基板11の特定の一辺と略平行になるように矩形領域の形状条件を設定している。これは、プリント基板11への部品配置に際して、配置密度及び配線性等の合理性の観点から、略矩形の部品の一辺を略矩形のプリント基板11の一辺と平行に配置することが多く、また、その部品に付随するリードの配列もプリント基板11の一辺に平行に配列させることが多いためである。即ち、矩形領域15の一辺をプリント基板11の一辺に平行にすることにより、矩形領域15はリード13の配列に従って整列すると共に、その後に作成される合成領域16及び拡張領域18も整然たる形状となりやすくなり、合理的な部品配置設計が可能となるのである。
【0058】
また、フロー半田付けの際には、載置板の代わりにマスキング治具等を用いて表面実装部品への噴流を遮断してもよい。
【0059】
なお、本発明の実施形態における図1に示す構成(第1の実施形態)及び図10に示す構成(第2の実施形態)は、例えばコンピュータが実行するプログラムによっても実現することができる。そして、図2に示すフローチャート(第1の実施形態)及び図11に示すフローチャート(第2の実施形態)は、例えばコンピュータが当該プログラムを実行したときの動作となる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0060】
このように、本発明によれば、プリント基板の半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在する部品配置設計において、フロー半田付けの際の部品配置上の制約を考慮した効率的で品質の良い部品配置設計を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上の記述から判るように、本発明は、プリント基板の半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在する部品配置設計において、フロー半田付け工程における部品配置上の制約を考慮した効率的で品質の良い部品配置設計に利用可能である。更に本発明において作成される合成領域又は拡張領域に関する図形データは、半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在するプリント基板のフロー半田付け工程で用いる載置板やマスキング治具の設計に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【図3A】プリント基板設計データの一例を示す図である。
【図3B】図3Aに示すデータに対して発生させられた矩形領域を示す図である。
【図3C】図3Bに示す矩形領域に対して発生させられた合成領域を示す図である。
【図4】図3Aに示すデータに対する修正例(第1の実施形態)を示す図である。
【図5A】チップ抵抗の部品配置図形を示す図である。
【図5B】チップ抵抗そのものの輪郭を示す図である。
【図5C】チップ抵抗用のパッドの輪郭を示す図である。
【図6A】SOP型集積回路の部品配置図形を示す図である。
【図6B】SOP型集積回路そのものの輪郭を示す図である。
【図6C】SOP型集積回路用のパッドの輪郭を示す図である。
【図7】図形領域の一例である円形領域を示す図である。
【図8A】円形領域の配置位置の例を示す図である。
【図8B】図8Aに示す円形領域に対して発生させられた合成領域を示す図である。
【図9A】図形領域の他の例を示す図である。
【図9B】図形領域の更に他の例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【図12A】図3Cに示す合成領域の間に存在する所定の領域を示す図である。
【図12B】図3Cに示す矩形領域及び合成領域に対して発生させられた拡張領域を示す図である。
【図13】図3Aに示すデータに対する修正例(第2の実施形態)を示す図である。
【図14】フロー半田付け処理を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1:入力部
2:記憶部
3:データ処理部
4:表示部
10、40:プリント基板用部品配置設計支援装置
11:プリント基板
12:輪郭
13、20:リード
14:貫通穴
15、21:矩形領域
16:合成領域
17:間隔が4mm以下の領域
18:拡張領域
19:円形領域
24:部品配置図形
25:楕円領域
101:挿入部品
102:リード
103:貫通穴
104:ランド
105:表面実装部品
106:パッド
108:載置板
109:開口部
110:逃げ溝
111:遮蔽構造部
112:プリント基板
113:半田面
114:部品面
115:噴流
116:プリント基板の進行方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品面の挿入部品と半田面の表面実装部品とが混載するプリント基板の部品配置の設計に好適な部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の部品実装に高密度化が求められており、プリント基板の半田面にも表面実装部品の配置が行われつつある。この場合、半田面においては、フロー半田付けする挿入部品のリードとリフロー半田付けする表面実装部品とが混在して配置されることになる。このような半田面に表面実装部品を装着する半田付けの手順や工法が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の手順では、半田面に配置された表面実装部品をリフロー半田付け処理した後、半田面に溶融半田の噴流を供給することにより、挿入部品のリードを半田面に設けたランド104に固定する。この手順では、図14に示すように、半田面113を下向きにしてプリント基板112を載置板108に載せ、フロー半田装置内を進行方向116に移動させて処理を実行する。載置板108には、リード102等の半田付けすべき部分に対応する開口部109が設けており、フロー半田の噴流115がこの半田付けすべき部分に供給される。更に、載置板108には、半田面113の既にリフロー半田付けが済んだ表面実装部品105等が納められる逃げ溝110が形成されている。このため、リフロー半田付けが済んだ表面実装部品105等には、フロー半田の噴流115は当たらない。このように、半田面の表面実装部品105を噴流115から遮蔽するのは、表面実装部品115の耐熱性等の観点から、フロー半田噴流による再半田処理を避けることが必要だからである。特許文献2では、フロー半田付けでのこの載置板と同様機能の冶工具を自動半田付けのマスキング治具とよんでいる。
【0004】
但し、逃げ溝110の周囲には遮蔽構造部111が必要である。このため、挿入部品101に近接して表面実装部品105を配置するには、挿入部品101のリード102とそれに近接する表面実装部品105の端子用半田付けパッド106の端との距離を、少なくとも遮蔽構造部111が機能し得る程度とする必要がある。以下、この距離を制約距離又はリード−表面実装部品間距離とよぶことがある。制約距離は、開口部109や逃げ溝110等の構造製作条件や半田処理条件等に依存して決定されている。そして、半田面側の配置設計に当たっては、リードから制約距離以下の部分を表面実装部品の配置禁止領域とし、この配置禁止領域内には表面実装部品を配置しないようにしている。
【0005】
CAD(computer aided design)を用いた部品配置設計方法において、半田面に挿入部品のリードと表面時実装部品とを混在配置する場合の、製造工程上の制約による配置禁止領域を考慮して部品配置する方法が、特許文献3に開示されている。但し、特許文献3に記載の方法では、実装装置や実装工具(例えばインサーションやマウント用の工具)の動作領域と設計された配置の部品との干渉を考慮しているのみであり、予め部品毎に配置禁止領域を定めている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−190667号公報
【特許文献2】特開平7−202411号公報
【特許文献3】特開2000−331060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来の配置設計方法では、仮の部品配置後に、対象となるリード−表面実装部品間距離を人手で一個一個確認して適正配置への修正する作業を繰返す必要がある。このため、作業工数が多く、また、部品配置密度が十分とはいえないこともある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、容易かつ高い効率での部品配置の設計を可能とする部品配置設計支援装置、部品配置設計支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0010】
本発明に係る部品配置設計支援装置は、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援装置において、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる図形領域発生手段と、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生手段と、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る部品配置設計支援方法は、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援方法において、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生ステップと、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生ステップと、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計の支援をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、コンピュータに、前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生処理と、前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生処理と、前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データ中の表面実装部品の配置と合成領域等との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かが判定され、その結果が出力されるため、プリント基板の設計者は、予め作成され挿入部品及び表面実装部品の配置内容を含むデータの的確性を容易に判断することができる。このため、設計者は修正すべき点を容易に把握することができる。更に、表面実装部品を配置すべきでない領域をも出力すれば、設計者は修正後の配置候補地を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置10は、部品配置設計者が、プリント基板における挿入部品及び表面実装部品の配置設計を行う際に用いる設計支援装置である。本実施形態では、挿入部品として、貫通穴を介してリードを部品面側から半田面側に突出させて半田付けする部品のみを用い、表面実装部品として、半田面に装着する部品のみを用いることとするが、挿入部品が半田面側に配置されてもよく、表面実装部品が部品面側に配置されてもよい。
【0017】
このプリント基板用部品配置設計支援装置10には、データの処理を行うデータ処理部3、データ処理部3が行う処理の条件等を部品配置設計者が入力する入力部1、仮の部品配置がされたプリント基板の設計データ等を記憶する記憶部2、及び、データ処理部3が処理した判定結果等を表示する表示部4(出力手段)が設けられている。
【0018】
入力部1は、例えば、キーボード又はテンキー等の入力装置である。
【0019】
記憶部2は、ハードデスクドライブ又はCD−ROM等から構成されており、仮の部品配置が行われたプリント基板の設計データ等を記憶している。
【0020】
データ処理部3には、入力部1から入力され、データ処理部3が処理を行うに当たって必要な処理条件等を取得する処理条件取得部5、及び、記憶部2等から読み込んだ部品配置設計データ等に基づいて、挿入部品のリード位置を内包する所定形状の図形領域を発生させる図形領域発生部6が設けられている。ここで、図形領域発生部6は、所定形状の図形領域を発生させるに当たり、処理条件取得部5が取得した条件を考慮する。データ処理部3には、更に、図形領域発生部6により発生させられた図形領域のうちで、互いに重なり合うものが存在すれば、これらを合成して合成領域を発生させる合成領域発生部7、及び半田面に配置した表面実装部品の部品配置図形が合成領域と重なっているかを判定する領域干渉判定部9が設けられている。領域干渉判定部9による判定結果は、表示部4に表示される。部品配置図形については、図5A〜図5C及び図6A〜図6Cを参照しながら後述する。
【0021】
表示部4は、ディスプレーやプリンタ等から構成されており、プリント基板の部品配置の設計データやデータ処理部3での処理結果等を表示する。
【0022】
次に、上述のように構成されたプリント基板用部品配置設計支援装置10の動作及び当該装置10を用いた配置設計方法について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【0023】
先ず、ステップS1において、入力部1から入力された図形領域の形状条件を処理条件取得部5が取得する。ここでは、図形領域の形状条件として、矩形領域の形状条件を取得することとする。なお、矩形領域の形状条件は、例えば、矩形領域の長さ、矩形のプリント基板の特定の一辺と矩形領域の特定の一辺との角度、及び矩形領域の中心をどこに位置させるか等を示す条件である。例えば、矩形領域を一辺の長さが10mmの正方形とし、プリント基板の特定の一辺と矩形領域の特定の一辺とが略平行とし、矩形領域の中心を挿入部品のリードの位置と一致させることが矩形領域の形状条件として取得される。なお、矩形領域の形(アスペクト比)及び辺の長さ等は、例えばプリント基板を載置する載置板等の製作条件や半田処理条件等に依存する制約に基づいて、任意に決定することができる。
【0024】
ここで、載置板等の製作条件や半田処理条件等に依存する制約に基づく矩形領域の形及び辺の長さ等の決定について、具体的に説明する。矩形領域の形及び辺の長さ等は、実装の高密度化の観点からできるだけ小さくすることが好ましく、載置板の遮蔽構造部が機能し得る最小のものとすることが好ましい。そこで、矩形領域の形及び辺の長さ等は、例えば経験的に、図14中の開口部109、遮蔽構造部111及び逃げ溝110等の寸法に基づいて、挿入部品のリードの半田付けを適正に行うための半田処理条件の観点(貫通穴上部までの半田供給充分性等)と、載置板108の加工上や構造・強度上の観点とからできるだけ小さなものに決定することが好ましい。
【0025】
次に、ステップS2において、図形領域発生部6がステップS1で取得した矩形領域の形状条件に従い、記憶部2から読み込んだ仮の部品配置が済んだプリント基板設計データに基づいて、矩形領域を発生させる。
【0026】
ここで、プリント基板設計データと矩形領域との関係について詳述する。プリント基板設計データは、例えば図3Aに示すようなものである。即ち、このデータは、コネクタCN1及びCN2、トランジスタTr1〜Tr3、ダイオードDi1及びDi2、ディスクリート型抵抗R1、並びにディスクリート型コンデンサーCa1が部品面に配置され、チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2が半田面に配置されることを示している。ここで、部品面に配置される部品はいずれも挿入部品であり、各々のリード13(黒丸で示す)が、プリント基板11に形成された貫通穴14(白丸で示す)の中央を部品面側から半田面側に突出するように設計されている。一方、半田面に配置される部品はいずれも表面実装部品であり、挿入部品のフロー半田付けに先立ってリフロー半田付けされ、その後のフロー半田付けの際には噴流から遮蔽されるべき部品である。なお、図3Aは、プリント基板11を半田面側から見たときの配置を示しており、半田面側の表面実装部品を実線で示し、部品面側の挿入部品を破線で示している。
【0027】
そして、ステップS2では、図3Aに示すようなプリント基板設計データに対し、図3Bに示すように、各リード13の位置を中心として、一辺の長さが10mmの正方形を矩形領域15として発生させる。このとき、矩形領域の形状条件に従って、各矩形領域15の特定の一辺を、プリント基板11の特定の一辺12と略平行にする。この結果、図3Bに示すように、一部の矩形領域15同士が重なり合っている。
【0028】
次いで、ステップS3において、図3Cに示すように、合成領域発生部7が、重なり合った矩形領域15を合成して合成領域16を発生させる。そして、本実施形態では、残存している矩形領域15の他に、合成領域16をも半田面における表面実装部品の配置禁止領域とする。即ち、矩形領域15又は合成領域16には表面実装部品を配置しないこととする。
【0029】
その後、ステップS4において、領域干渉判定部9が、半田面に配置された表面実装部品の全て(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)に関して、部品配置図形と矩形領域15又は合成領域16のいずれかとの重なりがあるか否かを判定する。この判定の結果、重なりがある場合には、ステップS5へ移行し、重なりがない場合には、処理を終了する。ここで、部品配置図形とは、図5A及び図6Aに示すように、表面実装部品そのものの輪郭22(図5B及び図6B)と、表面実装部品の端子を半田付けするために設けたパッドの輪郭23(図5C及び図6C)とから構成される図形24をいい、配置されたときの表面実装部品の実質的な輪郭を表している。図3A乃至図3Cでは、全ての表面実装部品を部品配置図形で表記している。また、本実施形態で扱う部品配置した設計データも同様の表記で構成されている。
【0030】
ステップS5では、重なりがある表面実装部品を特定して、その部品名を表示部4に表示させる。図3Cに示す例では、チップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2が合成領域16と重なっているため、これらの部品名を表示させることとなる。そして、処理を終了する。
【0031】
なお、ステップS5では、部品名を表示させるだけでなく、プリント基板設計データに基づいて、図3Cに示すように、配置禁止領域(矩形領域15及び合成領域16)と仮配置済みの表面実装部品(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)との位置関係が視覚的に確認できるように表示部4に表示させることが好ましい。
【0032】
その後、プリント基板の部品配置設計者は、ステップS5の表示結果に基づいて、矩形領域15又は合成領域16と重なった表面実装部品のチップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2について、矩形領域15又は合成領域16と重ならないように配置をやり直すこととなる。この修正した部品配置設計の結果一例を図4に示す。
【0033】
このような第1の実施形態によれば、予め設定された図形領域(矩形領域)の形状条件に基づいて、自動的に配置禁止領域が設定され、この配置禁止領域と重なる表面実装部品があれば、それが特定される。このため、部品配置設計者が部品ごとに確認を行う必要がなくなると共に、必要以上にマージンを確保することが抑制される。従って、容易に適正な部品配置設計を効率的に行うことが可能となる。
【0034】
なお、図4に示す修正後の配置例は、表面実装部品の配置位置を修正した例であるが、チップ抵抗CR2及びSOP型集積回路IC2に近接する挿入部品の配置位置を修正してもよい。但し、このような修正を行った場合には、その後に、再度ステップS1〜S5の手順を実行することにより、配置禁止領域との重なりがないか再確認することが好ましい。
【0035】
また、図形領域の形状は矩形に限定されるものではなく、例えば円形としてもよい。例えば、図3Aに示すプリント基板設計データに対し、図7に示すように、半径が5mmの円形領域19が、その中心がリード13の位置と一致するような図形領域の形状条件をステップS1において設定してもよい。この条件下では、図7に示すように、チップ抵抗CR2は合成領域と重ならない。従って、上述の実施形態と比較すると、表面実装部品の配置密度が向上すると共に、修正点が少なく部品配置設計が容易となる。
【0036】
更に、図形領域の中心をリードの位置に一致させる必要はなく、リードの位置が図形領域に内包されていれば、例えば半田フロー時のプリント基板の進行方向を考慮した上でこれらを互いにずらしてもよい。
【0037】
例えば、図8Aに示すように、図3Aに示すプリント基板設計データに対し、半径が5mmの円形領域が、その中心がリード13の位置からプリント基板の進行方向30の前方側に2mmずれるような図形領域の形状条件をステップS1において設定してもよい。このような形状条件が設定された場合、ステップS3では、図8Bに示すように、互いに重なり合う円形領域19同士を合成して合成領域16を発生させる。なお、ステップS4では、SOP型集積回路IC2が合成領域16と重なっていると判定されるが、図8Bには、その後のステップS5の表示に基づいて、SOP型集積回路IC2の配置位置を修正した結果の一例を示してある。
【0038】
このような形状条件を設定した場合には、載置板の開口部にフロー半田の噴流の流れ込みを誘導しやすいという効果が得られる。特に、載置板の設計に当たり、開口部の位置を最終的に得られた矩形領域15又は合成領域16と一致させれば、より一層高い効果が得られる。
【0039】
このように、リード13の位置を中心として図形領域を発生させなくとも、フロー半田処理の内容に依存して予め決定された制約に従って、リード13の位置に対して図形領域の発生位置を設定することが好ましい。この際、プリント基板11の進行速度にもよるが、リード13の位置を基準としてプリント基板の進行方向30の前方へ、例えば2mm程度ずらして半田面の表面実装部品を配置することが好ましい。
【0040】
また、上述の実施形態では、挿入部品のリード13の断面形状を小さい円形と想定し、矩形領域15をリード13の位置を中心とする一辺の長さが10mmの正方形としている。これに対し、挿入部品がDIP(dual-in-line package)のIC又はDIP型コネクタ等の場合には、リードの断面が長方形であるため、図9Aに示すように、例えば、リード20の位置を中心とし、リード20の輪郭(長方形)の各辺に所定長を加えて形成される矩形領域21を図形領域としてもよい。この例も、フロー半田付けの処理における配置制約に基づいているため、好ましいといえる。
【0041】
更に、図9Bに示すように、プリント基板のフロー半田槽への進行方向30を長径とする楕円領域25を図形領域としてもよい。このような設定をステップS1で行うことにより、フロー半田の流れ方向での挿入部品のリード−表面実装部品間距離が余裕ある適正距離をより確実に確保できることになる。このため、この距離間での半田付け不具合をより一層低減することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【0043】
本実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置40は、データ処理部3に、処理条件取得部5により取得された処理条件に従って、矩形領域及び合成領域とこれらの領域に囲まれるか、又は挟まれた領域とを合せた領域を拡張領域として発生させる拡張領域発生部8が設けられている点で第1の実施形態と相違している。他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
次に、上述のように構成されたプリント基板用部品配置設計支援装置40の動作及び当該装置40を用いた配置設計方法について説明する。図11は、本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、ステップS11において、第1の実施形態と同様に、入力部1から入力された図形領域の形状条件を処理条件取得部5が取得する。更に、本実施形態では、処理条件取得部5は、拡張領域を発生させる基準となる拡張条件をも入力部1から取得する。ここでも、図形領域の形状条件として、矩形領域の形状条件を取得することとする。なお、拡張条件は、例えば互いに対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔等を示す条件である。例えば、互いに対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が4mm以下の場合に拡張領域を発生させることが拡張条件として取得される。なお、この基準とする間隔等は、例えばプリント基板を載置する載置板等の製作条件等に依存する制約に基づいて、任意に決定することができる。
【0046】
ここで、載置板等の製作条件等に依存する制約に基づく間隔等の決定について、具体的に説明する。後述のように、矩形領域又は合成領域のデータは、載置板等における開口部の設計データに応用することができる。この場合、矩形領域又は合成領域同士の間隔に基づいて、載置板に設ける開口部同士の間隔が決定されることとなる。従って、例えば経験的に、開口部の設計データに応用した場合に、載置板において適切な強度を確保し、また、構造上の欠点が生じないように、矩形領域又は合成領域同士の基準とする間隔を決定することが好ましい。なお、載置板の材質としては、一般に、半田の濡れがなく、位置精度の観点でプリント基板と同熱膨張率等の要求から樹脂が多用されている。
【0047】
次に、ステップS12において、第1の実施形態と同様にして、図形領域発生部6がプリント基板設計データに基づいて矩形領域を発生させる。
【0048】
次いで、ステップS13において、第1の実施形態と同様にして、合成領域発生部7が、重なり合った矩形領域15を合成して合成領域16を発生させる。
【0049】
その後、ステップS14において、拡張領域発生部8が、互いに対向する矩形領域15又は合成領域16同士の間隔が、ステップS11において取得された基準距離以下である領域を探す。本実施形態では、ステップS11において、基準とする距離を4mmとすることが拡張条件として設定されているため、間隔が4mm以下の領域を探す。そして、図12Aに示すように、このような領域17が存在する場合には、図12Bに示すように、この領域17と矩形領域15及び合成領域16とを合わせた領域を拡張領域18として発生させる。そして、本実施形態では、拡張領域18を半田面における表面実装部品の配置禁止領域とする。即ち、拡張領域18には表面実装部品を配置しないこととする。
【0050】
なお、拡張条件を満たす領域が存在しない場合には、矩形領域15と合成領域16とを合わせた領域を拡張領域18とみなす。
【0051】
続いて、ステップS15において、領域干渉判定部9が、第1の実施形態と同様にして、半田面に配置された表面実装部品の全てに関して、部品配置図形と配置禁止領域である拡張領域18との重なりがあるか否かを判定する。この判定の結果、重なりがある場合には、ステップS16へ移行し、重なりがない場合には、処理を終了する。
【0052】
ステップS16では、重なりがある表面実装部品を特定して、その部品名を表示部4に表示させる。図12Bに示す例では、チップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2が拡張領域18と重なっているため、これらの部品名を表示させることとなる。そして、処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS16では、部品名を表示させるだけでなく、プリント基板設計データに基づいて、図12Bに示すように、配置禁止領域(拡張領域18)と仮配置済みの表面実装部品(チップ抵抗CR1〜CR3、並びにSOP型集積回路IC1及びIC2)との位置関係が視覚的に確認できるように表示部4に表示させることが好ましい。
【0054】
その後、プリント基板の部品配置設計者はステップS16の表示結果に基づいて、拡張領域18と重なった表面実装部品のチップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2について、拡張領域18と重ならないように配置をやり直すこととなる。この修正した部品配置設計の結果一例を図13に示す。
【0055】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。但し、第2の実施形態では、半田面での部品配置密度が第1の実施形態よりも低くなる可能性がある。それでも、本発明の目的を達成することは可能であり、また、より単純で簡単な部品配置が得られ、フロー半田用冶具である載置板等の製作が容易になるという利点もある。
【0056】
なお、図13に示す修正後の配置例は、表面実装部品の配置位置を修正した例であるが、第1の実施形態と同様に、チップ抵抗CR1〜CR3及びSOP型集積回路IC2に近接する挿入部品の配置位置を修正してもよい。但し、このような修正を行った場合には、その後に、再度ステップS11〜S16の手順を実行することにより、配置禁止領域との重なりがないか再確認することが好ましい。また、第1の実施形態と同様に、他の種々の変更も可能である。例えば、図8A及び図8Bに示す中心位置をずらすという方法を採用する場合には、載置板の設計に当たり、開口部の位置を最終的に得られた拡張領域18と一致させることにより、フロー半田の噴流の流れ込みを極めて誘導しやすいという効果が得られる。
【0057】
第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれにおいても、矩形領域15の特定の一辺をプリント基板11の特定の一辺と略平行になるように矩形領域の形状条件を設定している。これは、プリント基板11への部品配置に際して、配置密度及び配線性等の合理性の観点から、略矩形の部品の一辺を略矩形のプリント基板11の一辺と平行に配置することが多く、また、その部品に付随するリードの配列もプリント基板11の一辺に平行に配列させることが多いためである。即ち、矩形領域15の一辺をプリント基板11の一辺に平行にすることにより、矩形領域15はリード13の配列に従って整列すると共に、その後に作成される合成領域16及び拡張領域18も整然たる形状となりやすくなり、合理的な部品配置設計が可能となるのである。
【0058】
また、フロー半田付けの際には、載置板の代わりにマスキング治具等を用いて表面実装部品への噴流を遮断してもよい。
【0059】
なお、本発明の実施形態における図1に示す構成(第1の実施形態)及び図10に示す構成(第2の実施形態)は、例えばコンピュータが実行するプログラムによっても実現することができる。そして、図2に示すフローチャート(第1の実施形態)及び図11に示すフローチャート(第2の実施形態)は、例えばコンピュータが当該プログラムを実行したときの動作となる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0060】
このように、本発明によれば、プリント基板の半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在する部品配置設計において、フロー半田付けの際の部品配置上の制約を考慮した効率的で品質の良い部品配置設計を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上の記述から判るように、本発明は、プリント基板の半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在する部品配置設計において、フロー半田付け工程における部品配置上の制約を考慮した効率的で品質の良い部品配置設計に利用可能である。更に本発明において作成される合成領域又は拡張領域に関する図形データは、半田面に挿入部品のリードと表面実装部品とが混在するプリント基板のフロー半田付け工程で用いる載置板やマスキング治具の設計に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【図3A】プリント基板設計データの一例を示す図である。
【図3B】図3Aに示すデータに対して発生させられた矩形領域を示す図である。
【図3C】図3Bに示す矩形領域に対して発生させられた合成領域を示す図である。
【図4】図3Aに示すデータに対する修正例(第1の実施形態)を示す図である。
【図5A】チップ抵抗の部品配置図形を示す図である。
【図5B】チップ抵抗そのものの輪郭を示す図である。
【図5C】チップ抵抗用のパッドの輪郭を示す図である。
【図6A】SOP型集積回路の部品配置図形を示す図である。
【図6B】SOP型集積回路そのものの輪郭を示す図である。
【図6C】SOP型集積回路用のパッドの輪郭を示す図である。
【図7】図形領域の一例である円形領域を示す図である。
【図8A】円形領域の配置位置の例を示す図である。
【図8B】図8Aに示す円形領域に対して発生させられた合成領域を示す図である。
【図9A】図形領域の他の例を示す図である。
【図9B】図形領域の更に他の例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るプリント基板用部品配置設計支援装置の動作及び配置設計方法を示すフローチャートである。
【図12A】図3Cに示す合成領域の間に存在する所定の領域を示す図である。
【図12B】図3Cに示す矩形領域及び合成領域に対して発生させられた拡張領域を示す図である。
【図13】図3Aに示すデータに対する修正例(第2の実施形態)を示す図である。
【図14】フロー半田付け処理を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1:入力部
2:記憶部
3:データ処理部
4:表示部
10、40:プリント基板用部品配置設計支援装置
11:プリント基板
12:輪郭
13、20:リード
14:貫通穴
15、21:矩形領域
16:合成領域
17:間隔が4mm以下の領域
18:拡張領域
19:円形領域
24:部品配置図形
25:楕円領域
101:挿入部品
102:リード
103:貫通穴
104:ランド
105:表面実装部品
106:パッド
108:載置板
109:開口部
110:逃げ溝
111:遮蔽構造部
112:プリント基板
113:半田面
114:部品面
115:噴流
116:プリント基板の進行方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援装置において、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる図形領域発生手段と、
前記図形領域発生手段が発生させる図形領域に関する条件を入力する入力手段と、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生手段と、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする部品配置設計支援装置。
【請求項2】
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生手段を有し、
前記判定手段は、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項3】
前記図形領域発生手段は、その中心を前記リードの位置に一致させて前記図形領域を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項4】
前記図形領域発生手段は、その中心を前記リードの位置よりも、フロー半田装置内での前記プリント基板の進行方向側に位置させて前記図形領域を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項5】
前記図形領域発生手段は、前記図形領域として矩形の領域を発生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項6】
前記図形領域発生手段は、前記プリント基板の平面形状が実質的に矩形である場合に、前記矩形の領域の一辺を前記プリント基板の一辺と平行なものとすることを特徴とする請求項5に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項7】
前記図形領域発生手段は、前記図形領域として円形又は楕円形の領域を発生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記表面実装部品を配置すべきではない領域をも出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項9】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援方法において、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生ステップと、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生ステップと、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする部品配置設計支援方法。
【請求項10】
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生ステップを有し、
前記判定ステップにおいて、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定することを特徴とする請求項9に記載の部品配置設計支援方法。
【請求項11】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計の支援をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生処理と、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生処理と、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生処理を実行させ、
前記判定処理において、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項1】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援装置において、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を擬似的に発生させる図形領域発生手段と、
前記図形領域発生手段が発生させる図形領域に関する条件を入力する入力手段と、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生手段と、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする部品配置設計支援装置。
【請求項2】
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生手段を有し、
前記判定手段は、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項3】
前記図形領域発生手段は、その中心を前記リードの位置に一致させて前記図形領域を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項4】
前記図形領域発生手段は、その中心を前記リードの位置よりも、フロー半田装置内での前記プリント基板の進行方向側に位置させて前記図形領域を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項5】
前記図形領域発生手段は、前記図形領域として矩形の領域を発生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項6】
前記図形領域発生手段は、前記プリント基板の平面形状が実質的に矩形である場合に、前記矩形の領域の一辺を前記プリント基板の一辺と平行なものとすることを特徴とする請求項5に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項7】
前記図形領域発生手段は、前記図形領域として円形又は楕円形の領域を発生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記表面実装部品を配置すべきではない領域をも出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の部品配置設計支援装置。
【請求項9】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計を支援する部品配置設計支援方法において、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生ステップと、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生ステップと、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする部品配置設計支援方法。
【請求項10】
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生ステップを有し、
前記判定ステップにおいて、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定することを特徴とする請求項9に記載の部品配置設計支援方法。
【請求項11】
部品面及び半田面を備え、貫通穴が形成されたプリント基板における部品配置の設計の支援をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記貫通穴を介してリードを前記部品面側から前記半田面側に突出させて半田付けされる挿入部品、及び前記半田面に装着される表面実装部品の配置内容を含むデータに対し、前記挿入部品のリードの位置を内包する複数の図形領域を、所定の条件に基づいて擬似的に発生させる図形領域発生処理と、
前記複数の図形領域のうちで重なり合うものが存在する場合に、当該重なり合う図形領域同士を合成して擬似的に合成領域を発生させる合成領域発生処理と、
前記表面実装部品の配置と前記図形領域及び前記合成領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
前記合成領域が複数存在する場合に、対向する矩形領域又は合成領域同士の間隔が所定値以下であれば、当該矩形領域又は合成領域の間に位置する領域と前記矩形領域又は合成領域と前記図形領域とを合成して擬似的に拡張領域を発生させる拡張領域発生処理を実行させ、
前記判定処理において、前記表面実装部品の配置と前記拡張領域との位置関係に基づいて、修正すべき表面実装部品の配置があるか否かを判定させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−140679(P2007−140679A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330557(P2005−330557)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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