説明

部屋構造

【課題】広帯域の電波の吸収が可能で、低コストの部屋構造を提供する。
【解決手段】部屋12を囲むように反射層20A〜20Dが設けられている。この反射層は、部屋12の内部で発生した電波Pを反射する。そして、単層の導電層で構成された電波吸収膜26A〜26Dが部屋12の内空間を形成する誘電部材28、30B、30D、32に設けられている。この電波吸収膜は、反射層に接触しないように設けられている。電波吸収膜に多重反射が生じると、電波吸収膜は固有の周波数の電波のみを吸収する周波数特性を有するようになるが、この周波数特性は電波吸収膜に対する電波Pの入射角によって異なる。そこで、部屋12を囲むように設けられた反射層が、部屋12の内部で発生した電波Pを繰り返し何度も反射させて、さまざまな入射角で電波吸収膜に入射させることにより、広帯域の電波を吸収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の内部で発生する電波を吸収する部屋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、部屋200の中で使用するパソコン202、無線LAN(不図示)、携帯電話204等の機器からは電波Qが発生するので、この電波Qが部屋200の外に漏洩することを防ぐために部屋200をシールド層206で覆うことがある。
【0003】
しかし、機器から発生した電波Qは部屋200の床、壁、及び天井に当たりながら何度も反射を繰り返し、長い時間を掛けて減衰するので、複数の機器を使用している場合には機器の性能に悪影響を与え、また、部屋200に居る人への影響も懸念される。
【0004】
この問題を解決するために、図6に示すように、シールドされた部屋200の天井等に電波吸収体208が張られた電波シールドルームが実用化されている。これにより、部屋200の内部で発生する電波Qを短時間で低減することが可能となる。
【0005】
しかし、図7のグラフの実線210に示すように、一般の電波吸収体208は、特定の周波数の電波を吸収するように設計されているために、他の周波数の電波を吸収することはできない。よって、部屋200の中で使用する機器が変わる毎に、電波吸収体208もその機器に対応させて変えなければならない。
【0006】
また、一般の電波吸収体208は複雑な多層構造になっているので高価であり、さらには、厚さがあるために部屋の壁、天井等に取り付けるのが難しい。
【0007】
図8に示すように、特許文献1の電波吸収体212は、極細導電繊維を含んだ透明な抵抗膜214と、光を透過する電波反射体216との間に、透明な誘電体層218を備えたものである。
【0008】
しかし、電波反射体216を有する多層の電波吸収体212には多重反射が生じるため、先に述べた図7のグラフの実線210のような、周波数に依存した電波吸収特性を示すので特定の周波数の電波しか吸収することができない。
【特許文献1】特開2005−311330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は係る事実を考慮し、広帯域の電波の吸収が可能で、低コストの部屋構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、部屋の床、壁、及び天井の一部又は全部に設けられて、前記部屋の内部で発生した電波を反射する反射層と、単層の導電層で構成され、前記部屋の内空間を形成する誘電部材に設けられた電波吸収膜と、を備え、前記電波吸収膜は、前記反射層と非接触であることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明では、部屋の床、壁、及び天井の一部又は全部に反射層が設けられている。この反射層は、部屋の内部で発生した電波を反射する。
【0012】
そして、単層の導電層で構成された電波吸収膜が部屋の内空間を形成する誘電部材に設けられている。この電波吸収膜は、反射層に接触しないように設けられている。
【0013】
よって、電波吸収膜は反射層と非接触なので所定の面抵抗値を維持し、電波吸収膜の有する電波吸収性能を効果的に発揮することができる。
【0014】
また、電波吸収膜に多重反射が生じると、電波吸収膜は固有の周波数の電波のみを吸収する周波数特性を有するようになるが、この周波数特性は電波吸収膜に対する電波の入射角によって異なる。
【0015】
そこで、請求項1では、反射層を部屋の床、壁、及び天井の一部又は全部に設け、部屋の内部で発生した電波を反射層によって繰り返し何度も反射させて、さまざまな入射角で電波吸収膜に入射させることにより、広帯域の電波を吸収することができる。
【0016】
また、電波吸収膜は単層の導電層で構成された簡単な構造なので、低コストである。
【0017】
また、電波吸収膜は膜材なので、誘電部材に容易に設けることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、前記反射層と前記電波吸収膜との間隔を、前記部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上とすることを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の発明では、部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、反射層との間隔が、部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上となるように電波吸収膜が設けられている。
【0020】
よって、反射層と電波吸収膜との間隔を、部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上とすることで、高い電波吸収性が得られる。
【0021】
ここで、同じ電波吸収性を得るためには、周波数が低い(波長が大きい)電波ほど、反射層と電波吸収膜との間隔を大きくしなければならない。
【0022】
よって、反射層と電波吸収膜との間隔を、部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い(波長が大きい)電波の波長の0.05倍以上とすることにより、この電波よりも周波数が高い(波長が小さい)電波に対しても十分な電波吸収性が得られる。これにより、低い周波数から高い周波数までの広帯域の電波を吸収することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、前記反射層との間隔が、前記最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも小さくなるように設けられた前記電波吸収膜の面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下であることを特徴としている。
【0024】
請求項3に記載の発明では、反射層との間隔が、部屋の内部で発生した電波の中で最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上であり、かつ0.1倍よりも小さくなるように電波吸収膜が設けられている。そして、この電波吸収膜の面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下となっている。
【0025】
ここで、単層の導電層で構成された電波吸収膜の中でも高い電波吸収性を有する面抵抗値が60π(Ω□)と120π(Ω□)の電波吸収膜において、反射層と電波吸収膜との間隔が電波の波長の0.1倍よりも小さいときには、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜の方が、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い電波吸収性が得られる。
【0026】
また、この特長は、電波吸収膜の面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下の範囲内において同様である。すなわち、反射層と電波吸収膜との間隔が電波の波長の0.1倍よりも小さいときには、面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下の電波吸収膜の方が、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い電波吸収性が得られる。
【0027】
よって、電波吸収膜の面抵抗値を160(Ω□)以上210(Ω□)以下とすることにより、反射層の近くに電波吸収膜を設ける(反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋の内部で発生した電波の中で最も周波数が低い電波の波長の0.1倍より小さい)場合に高い電波吸収性を発揮することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、前記反射層との間隔が、前記最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも大きくなるように設けられた前記電波吸収膜の面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下であることを特徴としている。
【0029】
請求項4に記載の発明では、反射層との間隔が、部屋の内部で発生した電波の中で最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも大きくなるように電波吸収膜が設けられている。そして、この電波吸収膜の面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下となっている。
【0030】
ここで、単層の導電層で構成された電波吸収膜の中でも高い電波吸収性を有する面抵抗値が60π(Ω□)と120π(Ω□)の電波吸収膜において、反射層と電波吸収膜との間隔が電波の波長の0.1倍よりも大きいときには、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜の方が、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い電波吸収性が得られる。
【0031】
また、この特長は、電波吸収膜の面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下の範囲内において同様である。すなわち、反射層と電波吸収膜との間隔が電波の波長の0.1倍よりも大きいときには、面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下の電波吸収膜の方が、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い電波吸収性が得られる。
【0032】
よって、電波吸収膜の面抵抗値を330(Ω□)以上420(Ω□)以下とすることにより、反射層から離れた位置に電波吸収膜を設ける(反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋の内部で発生した電波の中で最も周波数が低い電波の波長の0.1倍より大きい)場合に高い電波吸収性を発揮することができる。
【0033】
請求項5に記載の発明は、前記部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、前記反射層と前記電波吸収膜との間隔が異なることを特徴としている。
【0034】
請求項5に記載の発明では、部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、反射層との間隔が異なるように電波吸収膜が設けられている。
【0035】
ここで、反射層と電波吸収膜との間で多重反射が生じると、電波吸収膜は、固有の周波数の電波のみを吸収する周波数特性を有するようになるが、この周波数特性は反射層と電波吸収膜との間隔によって異なる。
【0036】
よって、部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、電波吸収膜と反射層との間隔を異ならせることによって、より効果的に広帯域の電波を電波吸収膜に吸収させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明は上記構成としたので、低コストの部屋構造で、広帯域の電波を吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る部屋構造を説明する。
【0039】
なお、本実施形態では、建物の部屋に本発明の部屋構造を適用した例を示すが、これに限らずに、航空機、電車等の室空間に対しても本実施形態を適用することができる。
【0040】
まず、本発明の第1の実施形態に係る部屋構造10について説明する。
【0041】
図1に示すように、建物の部屋12を形成する躯体床14、躯体壁16B、16D、躯体天井18の内面に、反射層としての電波シールド層20A〜20Dがそれぞれ設けられている。すなわち、部屋12は、床、壁、及び天井の全部に反射層が設けられた電波シールドルームになっている。
【0042】
部屋12の中には、パソコン22や携帯電話24が存在し、パソコン22の無線LANや携帯電話24の通信時に電波Pが発生する。そして、電波シールド層20A〜20Dは、部屋12の内部で発生した電波Pを反射する。
【0043】
部屋12の床面には、躯体床14の上面に設けられた電波シールド層20Aと間隔を空けて内装床28が設けられ、二重床構造となっている。内装床28は、誘電部材としてのコンクリート製の床パネルを複数並べて配置することによって構築されており、各床パネルは電波シールド層20A上に設けられた支持脚(不図示)によって支持されている。
【0044】
部屋12の壁面には、躯体壁16B、16Dの内面に設けられた電波シールド層20B、20Dと間隔を空けて内装壁30B、30Dが設けられ、二重壁構造となっている。内装壁30B、30Dは、誘電部材としての木製のボード材を複数並べて配置することによって構築されており、各ボード材は電波シールド層20B、20Dとの間に設けられたスペース部材(不図示)によって固定されている。
【0045】
部屋12の天井面には、躯体天井18の下面に設けられた電波シールド層20Cと間隔を空けて内装天井32が設けられ、二重天井構造となっている。内装天井32は、誘電部材としての岩綿吸音板を複数並べて配置することによって構築されており、各岩綿吸音板は躯体天井18から吊るされたロッド(不図示)によって懸架されている。
【0046】
そして、これらの内装床28、内装壁30B、30D、及び内装天井32によって部屋12に内空間を形成している。
【0047】
内装床28の内側の表面には電波吸収膜26Aが貼り付けられ、内装天井32の内側の表面には電波吸収膜26Cが貼り付けられている。また、内装壁30Bの内側の表面には電波吸収膜26Bが貼り付けられ、内装壁30Dの内側の表面には電波吸収膜26Dが貼り付けられている。電波吸収膜26A〜26Dは、単層の導電層で構成されている。
【0048】
よって、電波シールド層20Aの面と電波吸収膜26Aの面、電波シールド層20Bの面と電波吸収膜26Bの面、電波シールド層20Cの面と電波吸収膜26Cの面、電波シールド層20Dの面と電波吸収膜26Dの面は、それぞれ非接触な状態になっている。
【0049】
電波吸収膜26Aと26Cの右側の端部は、電波シールド層20Bの面と接触し、電波吸収膜26Aと26Cの左側の端部は、電波シールド層20Dの面と接触しているが、電波吸収膜と電波シールド層の面同士が接触してなければよい。冬場等において電波吸収膜が帯電すると、部屋12に居る人に不快な思いをさせることがあるので、図1のように、電波吸収膜26A、26Cの端部を電波シールド層20B、20Dの面と接触させてアースの役割りを持たせた方が好ましい。また、別途アースを取ることがより好ましい。電波吸収膜の面抵抗値が小さくならない程度の接触であれば、例えば、電波吸収膜の端部を少し折り曲げて、この折り曲げた部分の面が電波シールド層の面と接触するようにしてもよい。
【0050】
次に、本発明の第1の実施形態に係る部屋構造10の作用及び効果について説明する。
【0051】
図1に示すように、電波吸収膜26A〜26Dは反射層としての電波シールド層20A〜20Dとそれぞれ非接触なので所定の面抵抗値を維持し、電波吸収膜26A〜26Dの有する電波吸収性能を効果的に発揮することができる。
【0052】
図2は、反射板と電波吸収膜との間隔を10mmとしたときの電波吸収膜の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果である。電波吸収膜の面抵抗値は60π(Ω□)とした。横軸は電波の周波数(GHz)であり、縦軸は電波吸収特性(dB)である。電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0053】
電波の入射面に対して偏波面を垂直にしたTE波において、符号36は入射角が15°のときの値を示し、符号38は入射角が30°のときの値を示し、符号40は入射角が45°のときの値を示している。また、電波の入射面に対して偏波面を平行にしたTM波において、符号42は入射角が15°のときの値を示し、符号44は入射角が30°のときの値を示し、符号46は入射角が45°のときの値を示している。また、符号48は入射角が0°(正面照射)のときの値を示している。
【0054】
図2に示されているように、電波吸収膜に多重反射が生じると、電波吸収膜の電波吸収特性は固有の周波数で電波吸収のピークを持つ波形となる。すなわち、電波吸収膜は固有の周波数の電波のみを吸収する周波数特性を有するようになる。そして、この周波数特性は電波吸収膜に対する電波の入射角によって異なる。
【0055】
そこで、これらの特性を生かして、第1の実施形態では、部屋の床、壁、及び天井に設けられた反射層としての電波シールド層20A〜20Dによって、部屋の内部で発生した電波Pを繰り返し何度も反射させて、電波Pをさまざまな入射角で内装床28、内装壁30B、30D、及び内装天井32に設けられた電波吸収膜26A〜26Dに入射させる。そして、これにより広帯域の電波を吸収することができる。
【0056】
なお、図2は、電波吸収膜の面抵抗値を60π(Ω□)としたときの有限要素シミュレーション結果であるが、他の面抵抗値の電波吸収膜を用いた場合においても、「固有の周波数で電波吸収のピークを持つ。」、「周波数特性は電波吸収膜に対する電波の入射角によって異なる。」といった図2と同様の特性を示す。
【0057】
単層の導電層で構成された電波吸収膜26A〜26Dは、多層の電波吸収体に比べて一度に吸収できる電波の量は小さい。例えば、高い電波吸収性を有する面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜においても、電波吸収膜に照射された電波の50%程度しか吸収できない。しかし、第1の実施形態のように、反射層が設けられた部屋内では電波が何度も反射するので数回の反射のうちにエネルギーを低減させることができる。
【0058】
さらに、第1の実施形態は、電波吸収膜26A〜26Dは単層の導電層からなる簡単な構造なので、低コストである。
【0059】
また、電波吸収膜26A〜26Dは膜材なので、誘電部材に容易に設けることができる。さらに、第1の実施形態では、広帯域の電波を吸収することができるので、部屋12に存在する電波発生源となる機器が変わっても電波吸収膜26A〜26Dを張り替える必要がない。
【0060】
なお、第1の実施形態では、電波吸収膜26A〜26Dを内装床28、内装壁30B、30D、及び内装天井32の内側の表面に貼り付けた例を示したが、電波吸収膜は部屋12の内空間を形成する誘電部材に設けられていればよく、内装床28、内装壁30B、30D、及び内装天井32の外側の表面に貼られたり、内部に設けられていてもよい。また、電波吸収膜を有するカーペット等を床パネル上に敷いてもよい。
【0061】
また、図1では、説明の都合上、電波吸収膜26A〜26Dの厚さが厚く描かれているが、電波吸収膜26A〜26Dは厚さが5μm〜60μm程度の薄い膜材である。
【0062】
また、部屋の内空間を形成する誘電部材として、コンクリート製の床パネルを複数並べた内装床28、木製のボード材を複数並べた内装壁30B、30D、及び岩綿吸音板を複数並べた内装天井32を用いた例を示したが、これに限らずに、木製のドア、コンクリート製の間仕切壁等の建材、木製のタンス、木製の本棚等の家具、誘電性材料で作られたカーテン等を用いてもよい。
【0063】
木製の本棚や誘電性材料で作られたカーテン等によって部屋を間仕切って、これらに電波吸収膜を設けても第1の実施形態と同様の電波吸収効果を得ることができる。広い面を有する誘電部材に電波吸収膜を設けた方がより高い電波吸収効果を得ることができるので好ましい。
【0064】
また、反射層としての電波シールド層20A〜20Dが部屋12全体を覆う例を示したが、反射層は部屋12の床、壁、及び天井の一部又は全部に設けられていればよく、部屋12には窓や出入り口等の電波が逃げる開口があってもよい。反射層は、部屋12の内部で発生した電波を反射するものであればよく、鉄筋入りのコンクリート壁、床や天井に配置された金属製のデッキプレート、電波を反射するスチール家具等であってもよい。
【0065】
また、電波発生源としてのパソコン22、携帯電話24を部屋12内に存在させた例を示したが、第1の実施形態は、広帯域の電波を吸収することができるので、電波を発生するさまざまな機器を部屋12内で使用してもよい。例えば、携帯電話24の電界強度が低減して使用に支障を来す場合には、ブースタを用いてその周波数だけ増幅すればよい。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態に係る部屋構造50について説明する。
【0067】
第2の実施形態は、第1の実施形態の部屋構造10の電波シールド層20A〜20Dと電波吸収膜26A〜26Dとの間隔を限定したものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0068】
図1に示すように、反射層としての電波シールド層20Aの上面と電波吸収膜26Aの下面との間の距離をh、反射層としての電波シールド層20Bの左側面と電波吸収膜26Bの右側面との間の距離をh、反射層としての電波シールド層20Cの下面と電波吸収膜26Cの上面との間の距離をh、反射層としての電波シールド層20Dの右側面と電波吸収膜26Dの左側面との間の距離をhとしたときに、h〜hは部屋12の内部で発生した電波Pのうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上となっている。例えば、部屋12に存在する電波発生源が、パソコン22と携帯電話24だけであり、パソコン22の無線LANの電波が2.45GHz、携帯電話の電波が800MHzの場合には、最も周波数が低い電波は800MHzとなるので、h〜hはこの電波の波長0.375mの0.05倍の18.75mm以上になっている。
【0069】
次に、本発明の第2の実施形態に係る部屋構造50の作用及び効果について説明する。
【0070】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
図3は、電波吸収膜に対して電波を正面照射した場合における、反射板と電波吸収膜との間隔に対する電波吸収膜の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果である。符号52は面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜の値を示し、符号53は面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜の値を示している。横軸は反射板と電波吸収膜との間隔を、照射する電波の波長λの倍数で示したものであり、縦軸は電波吸収特性(dB)である。電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0072】
図3の符号52に示されているように、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜では、反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λのときに電波吸収特性は−3dBとなる。この値は、周辺に反射体がない自由空間に電波吸収膜を置いたときの電波吸収特性の最大値(電波吸収膜に照射された電波の50%を吸収)に相当する。この程度の電波吸収特性が得られれば、反射層が設けられた部屋内における数回の反射によってエネルギーを効果的に低減させることができ、広帯域の電波に対する高い吸収特性を発揮することが可能になる。
【0073】
図3では、さらに、反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λよりも大きくなるほど、電波吸収特性が高くなっていることが示されている。
【0074】
そこで、これらの特性を生かして、第2の実施形態では、電波シールド層20A〜20Dと電波吸収膜26A〜26Dとの間隔を電波Pの波長の0.05倍よりも大きくすることで、高い電波吸収性を得ることができる。
【0075】
なお、図3の符号53に示されているように、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜では、反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λのときに電波吸収特性は−2dBとなる。また、符号52と同様に、反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λよりも大きくなるほど、電波吸収特性が高くなっている。面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜は、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜よりも、反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λのときの電波吸収特性が低いが、この程度の値(−2dB)でも反射層が設けられた部屋内における数回の反射によってエネルギーを効果的に低減させることができ、広帯域の電波に対する高い吸収特性を発揮することが可能になる。
【0076】
また、60π(Ω□)及び120π(Ω□)以外の面抵抗値の電波吸収膜においても、電波吸収特性を有するものであれば、符号52、53と同様に反射板と電波吸収膜との間隔が0.05λよりも大きくなるほど、電波吸収特性が高くなる。よって、1回の反射による電波吸収量は小さくなり、エネルギーを低減させるための反射回数も増えるが、符号52、53と同様の作用によって広帯域の電波に対する吸収特性を発揮する。
【0077】
広帯域の電波に対する高い吸収特性を発揮させるには、面抵抗値が60π(Ω□)又は120π(Ω□)の電波吸収膜を用いることが好ましい。
【0078】
ここで、同じ電波吸収性を得るためには、周波数が低い(波長が大きい)電波ほど電波シールド層20A〜20Dと電波吸収膜26A〜26Dとの間隔を大きくしなければならない。
【0079】
よって、電波シールド層20A〜20Dと電波吸収膜26A〜26Dとの間隔を、最も周波数が低い(波長が大きい)電波の波長の0.05倍以上とすることにより、この電波よりも周波数が高い(波長が小さい)電波に対しても十分な電波吸収性が得られる。これにより、低い周波数から高い周波数までの広帯域の電波を吸収することができる。
【0080】
例えば、部屋12に存在する電波のうち10MHzや30MHzが最も低い周波数の場合に、10MHzの電波の波長は30mとなり、30MHzの電波の波長は10mとなる。よって、反射層と電波吸収膜の間隔を、これらの波長の0.05倍である1.5mや0.5m以上にすればよい。
【0081】
一般的なオフィスでは、フリーアクセスフロアの床面と躯体床に配置された金属製デッキプレートの距離が0.3m程度であり、天井ボードとなる岩綿吸音板と躯体天井に配置された金属製デッキプレートの距離が1m程度なので、金属製デッキプレートが反射層の役割りを果たせればフリーアクセスフロアの表面のカーペットに電波吸収帯を挟み込んだり、岩綿吸音板の裏面に電波吸収体を貼り付けることによって、広帯域の電波を十分に吸収することができる。
【0082】
また、電波発信源がPLC(Power Line Communication)等の場合には、発生する電波の周波数は1.7MHz程度であり176mという長い波長となるので、波長の0.05倍も8.8mとなってしまう。しかし、部屋12全体を共振箱と考え、対面する一方の壁面に設けられた反射層と他方の壁面に設けられた電波吸収膜の組合せ、天井面に設けられた反射層と床面に設けられた電波吸収膜の組合せ、又は床面に設けられた反射層と天井面に設けられた電波吸収膜の組合せによって、広帯域の電波を吸収することができる。
【0083】
なお、第2の実施形態では、h〜hの全てが部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上となるようにした例を示したが、部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、反射層としての電波シールド層20A〜20Dとの間隔が、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上となるように電波吸収膜26A〜26Dが設けられていればよい。第2の実施形態のようにh〜hの全てを最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上とした方が、広帯域のより高い電波吸収性が得られる。
【0084】
次に、本発明の第3の実施形態に係る部屋構造54について説明する。
【0085】
第3の実施形態は、第1の実施形態の部屋構造10の電波吸収膜26A〜26Dの面抵抗値を限定したものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0086】
図1に示す電波シールド層20Bの左側面と電波吸収膜26Bの右側面との間の距離h及び電波シールド層20Dの右側面と電波吸収膜26Dの左側面との間の距離hは、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上であり、かつ0.1倍よりも小さくなっている。そして、これらの電波吸収膜26B、26Dの面抵抗値は60π(Ω□)となっている。
【0087】
また、電波シールド層20Aの上面と電波吸収膜26Aの下面との間の距離h及び電波シールド層20Cの下面と電波吸収膜26Cの上面との間の距離hは、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも大きくなるように電波吸収膜が設けられている。そして、これらの電波吸収膜26A、26Cの面抵抗値は120π(Ω□)となっている。
【0088】
次に、本発明の第3の実施形態に係る部屋構造54の作用及び効果について説明する。
【0089】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
ここで、図3に示すように、単層の導電層で構成された電波吸収膜の中でも高い電波吸収性を有する面抵抗値が60π(Ω□)と120π(Ω□)の電波吸収膜において、反射板と電波吸収膜との間隔が0.1λよりも小さいときには、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜(符号52)の方が高い吸収性能が得られる。
【0091】
よって、電波シールド層20B、20Dから近い(反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上であり、かつ0.1倍より小さい)位置に設けられた電波吸収膜26B、26Dの面抵抗値を60π(Ω□)とすることにより、高い電波吸収性を効果的に発揮することができる。
【0092】
また、図3に示すように、反射板と電波吸収膜との間隔が0.1λよりも大きいときには、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜(符号53)の方が高い吸収性能が得られる。
【0093】
よって、電波シールド層20A、20Cから遠い(反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.1倍より大きい)位置に設けられた電波吸収膜26A、26Cの面抵抗値を120π(Ω□)とすることにより、高い電波吸収性を効果的に発揮することができる。
【0094】
なお、第3の実施形態では、床面に設けられた電波吸収膜26Aと、天井面に設けられた電波吸収膜26Cの面抵抗値を120π(Ω□)とし、壁面に設けられた電波吸収膜26B、26Dの面抵抗値を60π(Ω□)としたが、これに限らずに、反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上であり、かつ0.1倍より小さい位置に設けられた電波吸収膜の面抵抗値を60π(Ω□)とし、反射層と電波吸収膜との間隔が、部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.1倍より大きい位置に設けられた電波吸収膜の面抵抗値を120π(Ω□)とすれば、部屋12のどの面に、60π(Ω□)及び120π(Ω□)のどちらの面抵抗値の電波吸収膜を設けてもよい。
【0095】
また、電波吸収膜26B、26Dの面抵抗値を60π(Ω□)としたが、電波吸収膜の面抵抗値は、160(Ω□)以上210(Ω□)以下の範囲内であればよい。反射板と電波吸収膜との間隔が0.1λよりも小さいときには、面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下の電波吸収膜の方が、面抵抗値が120π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い吸収性能が得られることは、図3と同様の有限要素シミュレーションによって確認されている。
【0096】
また、電波吸収膜26A、26Cの面抵抗値を120π(Ω□)としたが、電波吸収膜の面抵抗値は、330(Ω□)以上420(Ω□)以下の範囲内であればよい。反射板と電波吸収膜との間隔が0.1λよりも大きいときには、面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下の電波吸収膜の方が、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜よりも高い吸収性能が得られることは、図3と同様の有限要素シミュレーションによって確認されている。
【0097】
電波吸収膜の面抵抗値が経年変化を起こした場合においても、電波吸収膜はこれらの範囲内の面抵抗値を有していることが望ましい。
【0098】
次に、本発明の第4の実施形態に係る部屋構造56について説明する。
【0099】
第4の実施形態は、第1の実施形態の部屋構造10の電波シールド層20A〜20Dと電波吸収膜26A〜26Dとの間隔を全て異ならせたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0100】
図1に示す電波シールド層20Aの上面と電波吸収膜26Aの下面との間の距離h、電波シールド層20Bの左側面と電波吸収膜26Bの右側面との間の距離h、電波シールド層20Cの下面と電波吸収膜26Cの上面との間の距離h、及び電波シールド層20Dの右側面と電波吸収膜26Dの左側面との間の距離hは、それぞれ異なった値となっている。
【0101】
次に、本発明の第4の実施形態に係る部屋構造56の作用及び効果について説明する。
【0102】
第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
図4は、面抵抗値が60π(Ω□)の電波吸収膜に対して電波を正面照射した場合における、周波数に対する電波吸収膜の電波吸収特性を有限要素シミュレーションにより計算した結果である。符号58は反射板と電波吸収膜との間隔が300mmのときの値を示し、符号60は反射板と電波吸収膜との間隔が280mmのときの値を示している。横軸は周波数であり、縦軸は電波吸収特性(dB)である。電波吸収特性のマイナスの値が大きい(縦軸の下に行く)ほど、電波吸収特性が高い(電波吸収量が多い)ことを示している。
【0104】
図4の符号58からわかるように、反射板と電波吸収膜との間隔が300mmのときには、1GHz〜10GHzの帯域では、18個の電波吸収ピーク(実線の谷部)が得られ、反射板と電波吸収膜との間隔が280mmのときには、1GHz〜10GHzの帯域では、17個の電波吸収ピーク(点線の谷部)が得られる。
【0105】
このように、電波吸収膜に多重反射が生じると、電波吸収膜の電波吸収特性は固有の周波数で電波吸収のピークを持つ波形となる。すなわち、電波吸収膜は固有の周波数の電波のみを吸収する周波数特性を有するようになる。
【0106】
電波吸収膜で反射される電波と、反射板で反射した後に電波吸収膜を透過する電波との位相が逆になったときに電波同士が打ち消し合い、電波吸収特性がピーク値を示す。よって、反射板と電波吸収膜との間隔が(1/4)波長と等しいときに、往復分の距離が(1/2)波長となるので逆位相になりピーク値が得られる。
【0107】
反射板と電波吸収膜との間隔が大きくなれば、(1/4)波長の奇数倍でもピーク値が得られるので、図4に示すように電波吸収ピークは複数になる。そして、当然に、反射板と電波吸収膜との間隔が異なれば、電波吸収ピークの数やその周波数は異なって(ずれて)くる。また、このような現象は、電波吸収膜の面抵抗値が変わっても同様に起こる。
【0108】
よって、第4の実施形態では、電波シールド層と電波吸収膜との間隔h〜hをそれぞれ異なった値とすることによって、より効果的に広帯域の電波を電波吸収膜に吸収させることができる。
【0109】
第4の実施形態では、電波シールド層と電波吸収膜との間隔h〜hの全ての間隔が異なるようにした例を示したが、これに限らず、部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、反射層との間隔が異なるように電波吸収膜を設ければ第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
なお、これまで述べた実施形態において、第2の実施形態では、電波シールド層と電波吸収膜との間隔h〜hを部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上とし、第3の実施形態では、電波シールド層と電波吸収膜との間隔h〜hを部屋12の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも小さく、又は大きくした例を示したが、反射層と電波吸収膜の間に誘電体が入っている場合には、電波は誘電体を通過すると波長が短くなるので、これらの波長を誘電体の厚さと誘電率を考慮した実効波長にすることが望ましい。
【0111】
また、第1〜第4の実施形態では、電波吸収膜を内装床28、内装天井32、内装壁30B、30Dの内側の表面に貼り付けた例を示したが、これら誘電部材の外側の表面に貼り付けてもよいし、これら誘電部材の内部に設けてもよい。
【0112】
このように、第1〜第4の実施形態では、低コストの部屋構造で広帯域の電波を吸収することができるので、部屋内で使用する機器を制限することなく、部屋内の電磁エネルギー密度を低減することができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る部屋構造を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電波吸収膜の周波数に対する電波吸収特性を示す線図である。
【図3】本発明の第2、3の実施形態に係る電波吸収膜の設置間隔に対する電波吸収特性を示す線図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る電波吸収膜の周波数に対する電波吸収特性を示す線図である。
【図5】従来の電波シールドルームを示す説明図である。
【図6】従来の電波シールドルームを示す説明図である。
【図7】従来の電波吸収体の周波数に対する電波吸収特性を示す線図である。
【図8】従来の電波吸収体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0115】
10 部屋構造
12 部屋
14 躯体床(床)
16B 躯体壁(壁)
16D 躯体壁(壁)
18 躯体天井(天井)
20A 電波シールド層(反射層)
20B 電波シールド層(反射層)
20C 電波シールド層(反射層)
20D 電波シールド層(反射層)
26A 電波吸収膜
26B 電波吸収膜
26C 電波吸収膜
26D 電波吸収膜
28 内装床(誘電部材)
30B 内装壁(誘電部材)
30D 内装壁(誘電部材)
32 内装天井(誘電部材)
50 部屋構造
54 部屋構造
56 部屋構造
P 電波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の床、壁、及び天井の一部又は全部に設けられて、前記部屋の内部で発生した電波を反射する反射層と、
単層の導電層で構成され、前記部屋の内空間を形成する誘電部材に設けられた電波吸収膜と、
を備え、
前記電波吸収膜は、前記反射層と非接触であることを特徴とする部屋構造。
【請求項2】
前記部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、前記反射層と前記電波吸収膜との間隔を、前記部屋の内部で発生した電波のうち最も周波数が低い電波の波長の0.05倍以上とすることを特徴とする請求項1に記載の部屋構造。
【請求項3】
前記反射層との間隔が、前記最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも小さくなるように設けられた前記電波吸収膜の面抵抗値が160(Ω□)以上210(Ω□)以下であることを特徴とする請求項2に記載の部屋構造。
【請求項4】
前記反射層との間隔が、前記最も周波数が低い電波の波長の0.1倍よりも大きくなるように設けられた前記電波吸収膜の面抵抗値が330(Ω□)以上420(Ω□)以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の部屋構造。
【請求項5】
前記部屋の床面、壁面、及び天井面の少なくとも1つで、前記反射層と前記電波吸収膜との間隔が異なることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の部屋構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−106455(P2008−106455A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287945(P2006−287945)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年7月31日 社団法人 日本建築学会発行の「2006年度大会(関東)学術講演梗概集」に発表
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】