説明

部材の搬送軌道の制御方法および装置

【課題】シートに幅変動や蛇行が生じた場合でも、常に一定の配置パターンで部材を該シート上に配置することのできる部材の搬送軌道の制御方法及び装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明部材の搬送軌道の制御方法は、搬送されるシート100に、該シート100の搬送方向に直交する方向の位置を変えながら配置され、該シート100上に、周期的な配置パターンで配置される部材110の搬送軌道を制御する方法であり、前記シート100上に配置された部材110の幅方向の位置及び該シート100の幅方向の端部位置について、前記部材のパターン1周期内の複数箇所で同時に検出することで前記部材の配置パターンを求め、その配置パターンと予め登録している部材の基準パターンを比較し、その差に基づいて前記部材110の前記シート100への供給位置に補正を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシート上に配置される部材の搬送軌道に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシ−ト)、失禁パッド、パンツおむつ等の各種吸収性物品は、搬送されるシートに別の部材を固定して製造される。例えば、おむつ等のパンツ型吸収性物品には、快適な装着感を提供することを目的として製品前後方向に曲線を描くように部材(主に弾性伸縮部材)が取り付けられている。
部材の配置は、被取り付け材(以下、シートと呼ぶ)が連続的に流れるライン方向(以下、搬送方向と呼ぶ)と直交する方向(以下、幅方向と呼ぶ)に部材の位置決めガイドを設け、この位置決めガイドを往復移動させた後にシートと部材をホットメルトや超音波シールなどにより接合して固定する方法が一般的である(例えば、特許文献1,2参照)。
しかし、上記の方法ではシートの幅変動や蛇行、テンション変動による長さ変動が生じても、常に一定のパターンで部材を供給するため、配置パターンの位置ずれが生じてしまい、部材がずれたまま固定されてしまう場合がある。そこで、搬送されるシートに別の部材を固定する場合には、シートと部材が接合される接合手段の下流においてシート上に配置された部材の幅方向の位置を検出し、その位置データをもとに接合手段の上流において部材の搬送軌道を制御する、フィードバック制御が用いられる(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−332913号公報
【特許文献2】特開2001−310867号公報
【特許文献3】特開2006−282372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に示す方法ではシートと部材の幅方向の位置を1箇所で見ているため、パターンとしては判断できず、部材を曲線形状で貼り合わせる場合には適さない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各種吸収性物品の製造等においてシートの幅変動や蛇行が生じた場合でも、常に一定の配置パターンで部材を配置することのできる部材の搬送軌道の制御方法及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、搬送されるシートに、該シートの搬送方向に直交する方向である幅方向の位置を変えながら供給され、該シート上に、周期的なパターンで配置される部材の搬送軌道を制御する方法であって、前記シート上に配置された前記部材の幅方向の位置及び該シートの幅方向の端部位置について、前記部材のパターン1周期内の複数箇所で同時に検出することで前記部材の配置パターンを求め、その配置パターンと予め登録している部材の基準パターンを比較し、その差に基づいて前記部材の前記シートへの供給位置に補正を加える、部材の搬送軌道の制御方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、前述した部材の搬送軌道の制御方法を実施するための装置であって、部材が配置されたシートについて部材の配置パターン1周期内の複数箇所で部材の幅方向の位置及びシートの幅方向の端部位置を同時に検出する位置検出手段と、前記シートの一定長さ毎に一回転するロールの回転位置を検出し、該ロールが一定位置にある時に前記位置検出手段を作動させるタイミング制御手段と、前記シートの搬送軌道における前記位置検出手段の上流に配され、移動位置と移動速度を調整可能な往復運動機構を有し、前記部材の搬送軌道を変更する軌道変更手段と、前記位置検出手段で検出された部材の幅方向の位置およびシートの幅方向の端部位置から、部材の配置パターンを求めるとともに予め登録しておいた部材の基準パターンからのずれを求め、該ずれに基づいて該軌道変更手段を作動させて前記部材の搬送軌道を制御する制御手段と、を備えている部材の搬送軌道の制御装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートのテンション変動や坪量ムラによりシートの幅に変動が生じた場合やシートの蛇行が生じた場合でも、搬送中のシートの端部に沿って、正確に部材を配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の部材の搬送軌道の制御装置(以下、単に制御装置ともいう。)を、吸収性物品に用いられる複合シートの製造工程に用いた一実施形態を模式的に示すものである。図1において、符号1は制御装置、100はシート、110は部材、10は、シートと部材とが接合された複合シートを示している。
【0011】
また、図2は、本発明によるシート上に配置された部材の配置パターンの検出方法を模式的に示すものである。図2において、100Aはシート100の幅方向の端部位置、110Aは部材110の幅方向の位置(シート100の幅方向と同じ方向における位置。以降、部材位置ともいう)、110Bは部材110の配置パターン、110Cは部材110の基準パターン、120は検査領域、130は撮像領域を示している。図2で示すxはシート100の幅方向、yはシート100の長さ方向である。y方向はシート100の搬送方向でもある。
図2中の、配置パターン110B上の小円は、撮像領域130内に複数設けられた各検査領域120において検出した、部材110のシート幅方向の位置(部材位置)を強調して示し、基準パターン110C上に四角は、各検査領域120における基準パターン110Cの位置を強調して示すものである。
【0012】
本実施形態の制御装置1は、搬送されるシート100の上に所望のパターンで配置される部材110の供給位置を制御するものである。
【0013】
制御装置1は、シート100の搬送上流から下流に従い、まず、部材110の搬送軌道を変更する軌道変更手段5を備えている。軌道変更手段5は、部材110の供給手段でもある。そして、その下流に部材110が配置されたシート100上の部材110の幅方向の位置及びシート100の幅方向の端部位置を同時に検出する位置検出手段2を備えている。また、図1のように、位置検出手段2を作動させるタイミング制御手段4と、軌道変更手段5を作動させて部材110の搬送軌道を制御する制御手段7とを備えている。
【0014】
また、シート100の搬送軌道における軌道変更手段5と位置検出手段2との間には、シート100と部材110を接合する接合手段6が配されている。
【0015】
制御装置1は、長手方向に搬送されてくるシート100の上に配置された部材位置110A及び、シート端部位置100Aを同時に検出する位置検出手段2を備えている。
また、位置検出手段2の下流には、シート100を吸収性物品1個に用いる長さに切断する切断手段3を備えている。切断手段3は、シート100の一定長さ毎に一回転するカットロール31を備えており、本実施形態のカットロール31は、1回転でシート100を吸収性物品1個に用いる長さに切断している。
【0016】
位置検出手段2は、部材位置110Aおよびシート端部位置100Aを所定の画角で撮影するCCD(電荷結合素子)カメラ(撮像機)21と、シート100のCCDカメラ21による撮像部分を裏側から照らす照明器22と、CCDカメラ21で撮影された画像データを受け取って画像処理を行い部材110の配置パターン110Bを検出する画像処理装置23とを備えている。
【0017】
切断手段3は、1回転毎に吸収性物品1個に用いる長さ、すなわち部材配置パターン110Bの1周期分に相当する長さでシート100を切断するカットロール31と、カットロール31を所定の速度で回転させるサーボモータ32と、サーボモータ32の回転をカットロール31に伝えるプーリ33およびベルト34とを備えている。
【0018】
タイミング制御手段4は、カットロール31の回転位置を検出する位置検出器41と、位置検出器41により検出したカットロール31の回転位置が予め設定した特定の位置にある時に、画像処理装置23へアナログ信号を伝達する電子カム装置42を備えている。タイミング制御手段4は、画像処理装置23へアナログ信号を伝達することにより、位置検出手段2を作動させる。
【0019】
また、画像処理装置23は、電子カム装置42からアナログ信号を受け取ると同時にCCDカメラ21を作動させることで、部材の位置データを含んだ画像を撮影し、CCDカメラ21から受け取った画像に対して画像処理を行うことで、部材110の配置パターン110Bを検出する。
【0020】
軌道変更手段5は、シート100の搬送軌道における位置検出手段2の上流に配され、移動位置と移動速度を調整可能な往復運動機構を有している。詳細には、往復運動機構は、部材110を支持する支持具51と、支持具51と非固定状態で接触し支持具51をシート100の搬送軌道に直交する方向にスライドすることができるレール52と、支持具51と連結し支持具51をレール52に沿って往復運動させるベルト53と、ベルト53を所定の速度で往復させるサーボモータ54と、サーボモータ54の回転をベルト53に伝えるプーリ55とを備え、支持具51はレール52に沿ってその移動位置と移動速度が調整可能にされている。すなわち、シート100に対する部材110の供給位置及び該供給位置を移動させる支持具51等の移動速度を自在に調整可能な往復運動機構を有している。これにより、部材110はシート100の搬送方向に直交する方向である幅方向(x方向)の位置(軌道)を変えながら供給される。
【0021】
接合手段6は、シート100とその上に所望のパターンで供給された部材110を、接着剤またはヒートシール、超音波シールなどの既知の接合方法により配置パターンを崩すことなく接合する接合装置を備えている。
【0022】
制御手段7は、位置検出手段2の画像処理装置23で検出された部材110の幅方向の位置110Aおよびシート端部位置100Aから、部材配置パターン110Bを求め、予め制御手段7のいずれかの機器に登録しておいた部材の基準パターン110Cからのずれ140を求めるとともに、ずれ140を制御手段7に応じたアナログ信号に変換する信号変換機能を有するシーケンサ71を備えている。
【0023】
また、制御手段7は、シーケンサ71から出力されるアナログ信号もしくは図4に示すような部材基準カム曲線150Aに基づいてサーボモータ53を制御するコントローラ72を備えている。
【0024】
更に、図1のように、表示・設定手段8を備える。表示・設定手段8は、画像処理装置23で処理された画像を表示する画面を備えるとともにシーケンサ71の設定を行う設定装置を備えている。
【0025】
次に、本発明の部材の搬送軌道の制御方法の好ましい実施形態を、制御装置1を使用した部材110の搬送軌道の制御方法に基づいて説明する。
【0026】
本実施形態の制御方法においては、先ず、図1に示すように、シート100の搬送経路に制御装置1を配置する。そして、予め軌道変更手段5によって所望のパターンで配置され、接合手段6によってシート100と接合された状態で搬送されてくる部材110の幅方向の位置である部材位置110A、および該シート100の幅方向の端部位置100Aを位置検出手段2で検出する。
具体的には、軌道変更手段5を経て送られてくる部材位置110Aおよびシート端部位置100Aを、部材の配置パターン1周期分の範囲の撮像部分を裏側から照明器22で照らした状態で、当該撮影部分の表面をCCDカメラ21で撮影する。CCDカメラ21で撮影された画像データは、画像処理装置23が受け取り、画像処理を行い部材110の配置パターン110Bを検出する。
【0027】
位置検出手段2での検出においては、位置検出器41が検出したカットロール31の回転位置が電子カム装置42に伝えられ、カットロール31の回転位置が予め設定した特定の回転位置となった時に電子カム装置42より画像処理装置23へアナログ信号を伝達し、アナログ信号に基づいてCCDカメラ21を作動させて部材110が配置されたシート100を撮影し、撮影された画像データが画像処理装置23に受け取られる。
【0028】
電子カム装置42から画像処理装置23へのアナログ信号の伝達タイミングの設定は、任意の速度でシート100を長手方向に送りつつ軌道変更手段5を作動させ、部材110を所望のパターンで配置した際に、部材の配置パターン1周期分が撮像領域130に収まるように、表示・設定手段8で画像データを確認しつつ設定することが好ましい。
【0029】
次に、画像処理装置23による部材位置110Aおよびシート端部位置100Aの検出について説明する。CCDカメラ21で撮像された配置パターン1周期分の画像データは、画像処理装置23で処理される。具体的には、図2で示す、所定の画角で撮像された撮像領域130内の複数箇所に配置した検査領域120は、CCDカメラ21の画素数分の画素データ(0〜255階調)で表され、例えば図3(a)に示すようなグラフで表される。なお、撮像された撮像領域130には、図2に示す基準パターン110Cは現れないが、理解を容易にするために記載している。
【0030】
図3(a)に示すグラフは、図2に示す検査領域120のy方向の任意の1画素に対する検査領域120内のx方向の画素データである。図3(a)においては、シート100および部材110のいずれも写っていない部分(左のシート端部位置100Aの左側部分、右のシート端部位置100Aの右部分)は画像として明るく、画素データの数値は大きい。一方、シート100(図3(a)の100A)や部材110(図3(a)の110A)の部分は、前述の何も写っていない部分と比較すると画像として暗く、画素データの数値は小さい。また、シート100(図3(a)の100A)の上に配置されている部材110(図3(a)の110A)は、シート100よりも画像として暗く、画素データの数値は小さい。
このようにして1つの検査領域120のy方向の全画素数分に相当する数のグラフ(図3(a)はその中の1つ)を積算平均化した上で微分し、微分結果の最大最小値を±100%になるようにデータ変換すると、図3(b)のようになる。
【0031】
そして、部材位置110Aおよびシート端部位置100Aを特定するために設定された閾値に基づいて、検査領域120の部材位置110Aおよびシート端部位置100Aの位置データを算出する。同じ撮像領域130内の他の検査領域120についても同様に処理し、複数の検査領域120の位置データの算出を行う。本実施形態では、吸収性物品1個分毎(カットロール1回転毎)に行い、吸収性物品1個分毎のシート100上に配置された部材110の検査領域120毎の幅方向の位置110Aを算出する。検査領域120は、吸収性物品1個分毎では、4〜10個設定するのが好ましい。このようにして、同じ撮像領域130内の複数の検査領域120について処理することにより、シート100上に配置された部材位置110A及びシート端部位置100Aを、部材110のパターン1周期内の複数箇所で同時に検出する。
【0032】
次に、画像処理装置23により算出された、各検査領域120の部材位置110Aおよびシート端部位置100Aの各位置データは、シーケンサ71に送られる。シーケンサ71では、部材110の配置パターンを求めるため、部材位置110A及びシート端部位置100Aより部材110の配置データ110Dを算出する。詳細には、シート端部位置100Aを基準とし、シート端部位置100Aと部材位置110Aの減算により算出するとともに、これらの配置データ110Dをコントローラ72に応じたアナログ信号に変換する。なお、図2には左右2箇所のシート端部位置100Aを示したが、基準とするのはどちらか一方でよく、また左右2箇所のシート端部位置100Aよりシート中心位置を求めて、それを基準として配置データ110Dを求めてもよい。
【0033】
コントローラ72では、シーケンサ71から送られた配置データ110Dを、各検査領域120のy方向の並びと同じ順に並べて曲線で結び、図4(a),(b)に示すように部材110の配置パターン110Bを求める。また、予め部材配置パターン110Bの1周期のうち1つを基準パターン110Cとしてコントローラ72に登録し、基準パターン110Cをサーボモータへの速度指令に適したアナログ信号に変換し、基準カム曲線150Aを作成する。
【0034】
また、コントローラ72は、基準パターン110Cと部材配置パターン110Bを比較し、部材の幅方向のずれ140を算出する。そして、図4に示すように部材の幅方向のずれ140が無くなる方向に部材基準カム曲線150Aにずれ補正140Aを加え、部材補正カム曲線150Bを作成する。さらに、上記のようにして作成した部材補正カム曲線150Bのデータを部材基準カム曲線150Aに写し、ずれ140が補正された部材基準カム曲線150Aを元にサーボモータ54を制御する。このような部材基準カム曲線150Aの補正は、製品1個毎に行う。
【0035】
ここで、図1と図4(a)、(b)を搬送方向に沿って見た時のサーボモータ54の制御について具体的に述べる。図1において、サーボモータ54を右(左)回転させた場合、その回転はプーリ55とベルト53を介して支持具51に伝えられるため、支持具51は右(左)側に移動する。また、図4(a)に示すようにサーボモータ54は部材基準カム曲線150Aに沿って制御する為、部材配置パターン周期の0°〜90°は左回転、90°〜270°では右回転、270°〜360°では左回転する。従って、軌道変更手段5によって供給される部材110は、部材基準カム曲線150Aに沿った形状でシート100上に配置される。
【0036】
しかし、実際の配置パターン110Bは、基準パターン110Cと比べてずれ140が生じる場合がある。その場合は、ずれ140と同じ大きさで向きを逆にしたずれ補正140分だけ部材基準カム曲線150Aを補正した部材補正カム曲線150Bを作成し、部材基準カム曲線150Aに写し、それを元にサーボモータ54を制御する。
【0037】
よって、サーボモータ54は、配置パターン110Bと基準パターン110Cを比較して得た差に基づいて部材110のシート100への供給位置に補正を加えることができる。また、ずれ140が補正された後の部材基準カム曲線150Aに従って軌道変更手段5を作動させて部材110の搬送軌道を制御するため、吸収性物品1個毎に適切なパターンで部材110を供給することができる。
【0038】
シート100は、テンション変動による変形で部材位置110Aが著しく変動しないために非伸縮性であることが好ましい。また、CCDカメラ21を用いて部材配置パターン110Bを検出するため、遮光性が低くかつ坪量ムラが少ない材料を使用することが好ましい。
【0039】
部材110は、曲線状に配置した際の歪みや皺を抑えるために薄肉かつ幅細であり、弾性と伸縮性を有する材料であることが好ましい。また、CCDカメラ21を用いてシート100とのコントラストの違いにより部材配置パターン110Bを検出するので、遮光性が高い材料を使用することが好ましい。
【0040】
シート100と部材110の接合方法に特に制限はないが、部材配置パターン110Bを崩すことなく接合すること、部材配置パターン110Bの安定検出を考慮するとホットメルト等の接着剤、ヒートシール、超音波シールによる接合が好ましい。
【0041】
本実施形態の制御装置1およびこれを用いた部材110の搬送軌道の制御方法によれば、以下の効果が奏される。本実施形態では、部材の配置パターン1周期内の複数箇所でシート上に配置された部材の幅方向の位置およびシートの幅方向の端部位置を同時に検出しているため、シート100の幅が変動したり、蛇行が生じた場合でも、シート端部位置100Aを正確に検出できるので、シート端部位置100A100Bに沿って部材110を高精度に位置決めすることができる。
【0042】
また、部材配置パタ−ン110Bを二次元で検出するため、シート100の厚み変動や材料ムラの影響を抑えることができる。よって、シート100と合流する部材110を高精度に位置決めすることができる。
【0043】
また、部材配置パターン110Bを所望の吸収性物品の製品1個周期で検出しているため、吸収性物品の幅検査と外観検査を行うことができる。
【0044】
さらに、画像処理装置23の画像をモニタしながら、表示・設定手段8を介してシーケンサ71の設定を変更することで、部材配置パターンを変えることができる。
【0045】
以上、本発明の部材の搬送軌道の制御方法及び制御装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
【0046】
例えば、前記実施形態の制御装置1および制御方法では、位置検出手段2として光学式の撮像機(カメラ)を用いたが、ラインセンサなどの1次元センサをシートの搬送方向に直交する向きで搬送方向に沿って複数本並べたものを用いることもできる。
【0047】
また、検査領域120の数と同じ数だけ軌道変更手段5を設け、各検査領域で検出した部材110の位置に応じて部材110の搬送軌道を制御しても良い。
【0048】
前記実施形態の制御装置1では、シーケンサ71とコントローラ72とを用いたが、これらの機能を備えた一つのコントロ−ラに置き換えることもできる。
【0049】
また、本発明は、前記実施形態のように、1枚のシートに1本の部材を配置する場合の部材の搬送軌道の制御に限られず、2枚以上のシートを重ねたもの、あるいは2枚以上のシートを幅方向に貼り合わせたものに1本および2本以上の部材を配置する場合の部材の反動軌道の制御にも適用することができる。
【0050】
本発明の吸収性物品としては、主として尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品は、一般に、着用時に着用者の肌に当接する肌当接面及びそれとは反対側(通常、ショーツ等の衣類側)に向けられる非肌当接面を有し、表面シートは、肌当接面側に配され、裏面シートは、非肌当接面側に配される。表面シート、吸収体及び裏面シートとしては、それぞれ、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば表面シートとしては、開孔フィルムや不織布等からなる液透過性シートを用いることができ、吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができ、裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。
【0051】
吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。
例えば使い捨ておむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の長手方向の両側部には、それぞれ、帯状のシート材及び該シート材に伸長状態で固定された糸状の弾性部材からなる立体ガードを配置することができる。本発明の方法及び装置を用いてシートに配置する部材の一例としては、そのような立体ガードも挙げられる。立体ガードを配置する場合のシートとしては、吸収性物品の表面シート等が挙げられる。
【0052】
本発明は、前記実施形態におけるような、吸収性物品に用いられる部材の搬送軌道の制御の以外の部材の搬送軌道の制御にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の部材の搬送軌道の制御装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】位置検出手段による部材配置パターンの検出方法を説明するための模式図であり、撮像部分の平面図である。
【図3】検知手段による部材位置およびシート端部位置の検出方法を説明するための模式図であり、(a)は検査領域内の画素データの一例であり、(b)は(a)の画素データを微分した結果を示す図である。
【図4】制御手段による部材基準カム曲線の補正方法を説明するための模式図であり、(a)はパターン1周期分のカム曲線、(b)は(a)の一部を拡大し、詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 部材の搬送軌道の制御装置
2 位置検出手段
21 CCDカメラ(撮像機)
22 照明器
23 画像処理装置
3 切断手段
31 カットロール
32 サーボモータ
33 プーリ
34 ベルト
4 タイミング制御手段
41 位置検出器
42 電子カム装置
5 軌道変更手段
51 支持具
52 レール
53 ベルト
54 サーボモータ
55 プーリ
6 接合手段
7 制御手段
71 シーケンサ
72 コントローラ
8 表示・設定手段
10 複合シート
100 シート
100A シート端部位置
110 部材
110A 部材位置
110B 配置パターン
110C 基準パターン
120 検査領域
130 撮像領域
140 ずれ
150 カムデータ
150A 部材基準カム曲線
150B 部材補正カム曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートに、該シートの搬送方向に直交する方向である幅方向の位置を変えながら供給され、該シート上に、周期的なパターンで配置される部材の搬送軌道を制御する方法であって、
前記シート上に配置された前記部材の幅方向の位置及び該シートの幅方向の端部位置について、前記部材のパターン1周期内の複数箇所で同時に検出することで前記部材の配置パターンを求め、その配置パターンと予め登録している部材の基準パターンを比較し、その差に基づいて前記部材の前記シートへの供給位置に補正を加える、部材の搬送軌道の制御方法。
【請求項2】
前記シートに周期的なパターンで配置された前記部材の配置パターンを、パターン1周期毎に検出する、請求項1記載の部材の搬送軌道の制御方法。
【請求項3】
前記部材として、搬送方向に伸縮性を有する帯状の材料を使用する、請求項1又は2記載の部材の搬送軌道の制御方法。
【請求項4】
前記部材として、帯状の非伸縮性の材料に伸縮性の材料を貼り合わせて伸縮性を持たせた材料を使用する、請求項1又は2記載の部材の搬送軌道の制御方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の部材の搬送軌道の制御方法を実施するための装置であって、
部材が配置されたシートについて部材の配置パターン1周期内の複数箇所で部材の幅方向の位置及びシートの幅方向の端部位置を同時に検出する位置検出手段と、
前記シートの一定長さ毎に一回転するロールの回転位置を検出し、該ロールが一定位置にある時に前記位置検出手段を作動させるタイミング制御手段と、
前記シートの搬送軌道における前記位置検出手段の上流に配され、移動位置と移動速度を調整可能な往復運動機構を有し、前記部材の搬送軌道を変更する軌道変更手段と、
前記位置検出手段で検出された部材の幅方向の位置およびシートの幅方向の端部位置から、部材の配置パターンを求めるとともに予め登録しておいた部材の基準パターンからのずれを求め、該ずれに基づいて該軌道変更手段を作動させて前記部材の搬送軌道を制御する制御手段と、
を備えている部材の搬送軌道の制御装置。
【請求項6】
前記位置検出手段は、部材接合後のシートを撮像する撮像機と、前記シートの前記撮像機による撮像部分の裏側を照らす照明器と、を備えている請求項4記載の部材の搬送軌道の制御装置。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかに記載の部材の搬送軌道の制御方法又は請求項5若しくは請求項6の制御装置を用いた、シートと部材が接合された複合シートの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法により製造された複合シートが、構成材料の一つに含まれる吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−155705(P2010−155705A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335342(P2008−335342)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】