説明

部材締結構造及び部材締結用のクリップ

【課題】部材締結構造及び部材締結用のクリップに関し、取付部材と脚部材との間に、少なくとも一つの傾斜面を有する突部と、当該突部の傾斜面に当接する突壁とを設けることで、少なくとも突壁の構造を簡便化することができるようにしたものである。
【解決手段】部材締結構造10は、取付部材(例えばグロメット40)と、脚部材(例えばピン50)とからなる。取付部材(例えばグロメット40)と脚部材(例えばピン50)との間には、少なくとも一つの傾斜面を有する突部、弾性脚片が拡開されている状態で、脚部材(例えばピン50)が回転された場合に、突部の傾斜面に当接し、脚部材(例えばピン50)を取付部材(例えばグロメット40)から離脱する方向に案内する突壁73を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部材締結構造及び部材締結用のクリップに関し、取付部材と脚部材との間に、少なくとも一つの傾斜面を有する突部と、当該突部の傾斜面に当接する突壁とを設けることで、少なくとも突壁の構造を簡便化することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、雌留め具と雄留め具との間に、互いに当接するカム部をそれぞれ設けた留め具が知られている(特許文献1の4頁左欄の4〜8行、同頁左欄最下行〜同頁右欄3行及び図1参照)。
上記した従来の雌留め具のカム部は、傾斜状に起立して設けられていた(特許文献1の4頁左欄の7行〜8行及び図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録2512362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の雌留め具のカム部は、その環状凹段部の円周方向に傾斜状に起立して設けられているので、円周方向の前後に対し非対称形状となり、雌留め具の製造が困難であるという問題点があった。
すなわち、従来の雌留め具を、例えば金型を使用して射出成形する場合には、金型の構造が複雑化するため、金型の作図工数及び設計工数の増加を引き起こしていた。また、従来の雌留め具では、金型の構造が複雑であったため、金型や成形上の不具合に設計者が気付き難く、同様の不具合が発生する可能性が高いという欠点もあった。
【0005】
特にバンパリテーナーのような車両の左右が対称な製品においても、上記した従来の雌留め具のカム部を左右非対称に作図しなければならず、作図工数の増加、設計ミス、金型製造ミスを引き起こしていた。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、取付部材と脚部材との間に、少なくとも一つの傾斜面を有する突部と、当該突部の傾斜面に当接する突壁とを設けることで、少なくとも突壁の構造を簡便化することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項2に記載の発明は、突壁を取付部材に設けらることで、取付部材の構造、並びに製造を簡便にすることができるようにしたものである。
これに加え、請求項2に記載の発明は、取付部材に設けられた突壁を、貫通孔を中心とした円周方向の前後に対して対称形状に形成することで、取付部材の構造、並びに製造を一層、簡便にすることができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項3に記載の発明は、突部を脚部材のフランジの下側に形成することで、突壁を取付部材の鍔状部に形成することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項4に記載の発明は、突部を脚部材の太径部と細径部との間に形成することで、突壁を取付部材の弾性脚片に形成することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の部材締結構造に好適な部材締結用のクリップを提供することができるようにしたものである。
【0010】
これに加え、請求項5に記載の発明は、ピンがグロメットに対してロックされた状態で、フランジが回転された場合に、ロック解除部の傾斜面に弾性的に当接する凸部の弾性復元力を利用して、ピンの軸部をグロメットの貫通孔から抜け出る方向に付勢することができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項6に記載の発明は、請求項1〜4に記載の部材締結構造に好適な部材締結用のクリップを提供することができるようにしたものである。
これに加え、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明と同様に、ピンがグロメットに対してロックされた状態で、フランジが回転された場合に、当該フランジの弾性体に蓄積された弾性復元力により、ピンの軸部をグロメットの貫通孔から抜け出る方向に付勢することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0013】
第1に、部材締結構造(10)は、例えば図1及び図2に示すように、次の構成からなる。
(1)取付部材(例えばグロメット40)
(2)脚部材(例えばピン50)
上記取付部材(例えばグロメット40)には、例えば図1及び図2に示すように、次の構成が設けられている。
【0014】
(3)鍔状部(70)
鍔状部(70)は、例えば図1〜4に示すように、厚さ方向に貫通孔(71)を有するものである。
(4)弾性脚片(110,120)
弾性脚片(110,120)は、例えば図3、図4及び図8に示すように、鍔状部(70)の他方の側に筒状に列設されて、該鍔状部(70)の貫通孔(71)に連通する筒状部を形成するとともに、対向している内側の面に凸部(111,121)が設けられているものである。
【0015】
上記脚部材(例えばピン50)には、例えば図1及び図2に示すように、次の構成が設けられている。
(5)フランジ(100)
(6)太径部(91)と細径部(92)
太径部(91)と細径部(92)とは、例えば図1及び図2に示すように、フランジ(100)から一体に突設されており、少なくとも先端側に向けて連続して設けられている。
【0016】
第2に、脚部材(例えばピン50)の細径部(92)から太径部(91)の円周方向に、例えば図1及び図2に示すように、カム部(93)が隆設されている。
第3に、取付部材(例えばグロメット40)への脚部材(例えばピン50)の挿入によって弾性脚片(110,120)の凸部(111,121)がカム部(93)に乗り上げ、弾性脚片(110,120)が拡開される部材締結構造(10)である。
【0017】
第4に、取付部材(例えばグロメット40)と脚部材(例えばピン50)との間には、例えば図1及び図2に示すように、次の構成を設けている。
(7)突部(103)
突部(103)は、例えば図2に示すように、少なくとも一つの傾斜面(104)を有するものである。
【0018】
(8)突壁(73)
突壁(73)は、例えば図1及び図2に示すように、弾性脚片(110,120)が拡開されている状態(例えば図4参照)で、脚部材(例えばピン50)が回転された場合に、突部(103)の傾斜面(104)に当接し、脚部材(例えばピン50)を取付部材(例えばグロメット40)から離脱する方向に案内するものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
第1に、突壁(73)は、例えば図1及び図2に示すように、取付部材(例えばグロメット40)に設けられている。
第1に、突壁(73)は、例えば図1及び図2に示すように、貫通孔(71)を中心とした円周方向の前後に対して対称形状に形成されている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
第1に、突部(103)は、例えば図2に示すように、脚部材(例えばピン50)のフランジ(100)の下側に形成されている。
第2に、突壁(73)は、例えば図1及び図2に示すように、取付部材(例えばグロメット40)の鍔状部(70)に形成されている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0021】
第1に、突部(例えばロック解除部500)は、例えば図27、図29〜32に示すように、脚部材(例えばピン50)の太径部(91)と細径部(92)との間に形成されている。
第2に、突壁(例えば第2凸部121)は、例えば図27〜32に示すように、取付部材(例えばグロメット40)の弾性脚片(例えば第2弾性脚片120)に形成されている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0022】
第1に、クリップ(30)には、例えば図27及び図28に示すように、次の構成を備える。
(1)グロメット(40)
(2)ピン(50)
上記グロメット(40)には、例えば図28に示すように、次の構成を有する。
【0023】
(3)鍔状部(70)
(4)脚部(80)
脚部(80)は、例えば図28に示すように、鍔状部(70)から垂設したものである。
(5)貫通孔(71)
貫通孔(71)は、例えば図28に示すように、鍔状部(70)から脚部(80)に貫通するものである。
【0024】
上記ピン(50)には、例えば図27及び図28に示すように、次の構成を有する。
(6)軸部(90)
軸部(90)は、例えば図26に示すように、貫通孔(71)に挿入することで、脚部(80)を拡径可能なものである。
(7)フランジ(100)
フランジ(100)は、例えば図27及び図28に示すように、軸部(90)より張り出し、貫通孔(71)より大径のものである。
【0025】
第2に、脚部(80)と軸部(90)との間に、例えば図27及び図28に示すように、脚部(80)を拡径可能した状態で互いに弾性的にはまり合うことで、貫通孔(71)中での軸部(90)の軸方向の移動を阻止するための凹部(94)と凸部(例えば第2凸部121)とのいずれか一方をそれぞれに設けている。
第3に、凹部(94)の円周方向には、例えば図27及び図29〜32に示すように、当該凹部(94)と凸部(例えば第2凸部121)とがはまり合った状態(例えば図28参照)で、フランジ(100)が回転された場合に、凹部(94)から抜け出た凸部(例えば第2凸部121)が、弾性的に当接するとともに、貫通孔(71)中での軸部(90)の軸方向の移動を許容するロック解除部(500)を設けている。
【0026】
第4に、ロック解除部(500)には、例えば図27及び図29〜32に示すように、当該ロック解除部(500)に弾性的に当接する凸部(例えば第2凸部121)の弾性復元力を利用して、軸部(90)が貫通孔(71)から抜け出る方向に付勢する傾斜面(501)を設けている。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0027】
第1に、クリップ(30)には、例えば図27及び図28に示すように、次の構成を備える。
(1)グロメット(40)
(2)ピン(50)
上記グロメット(40)には、例えば図28に示すように、次の構成を有する。
【0028】
(3)鍔状部(70)
(4)脚部(80)
脚部(80)は、例えば図28に示すように、鍔状部(70)から垂設したものである。
(5)貫通孔(71)
貫通孔(71)は、例えば図28に示すように、鍔状部(70)から脚部(80)に貫通するものである。
【0029】
上記ピン(50)には、例えば図27及び図28に示すように、次の構成を有する。
(6)軸部(90)
軸部(90)は、例えば図26に示すように、貫通孔(71)に挿入することで、脚部(80)を拡径可能なものである。
(7)フランジ(100)
フランジ(100)は、例えば図27及び図28に示すように、軸部(90)より張り出し、貫通孔(71)より大径のものである。
【0030】
第2に、脚部(80)と軸部(90)との間に、例えば図27及び図28に示すように、脚部(80)を拡径可能した状態で互いに弾性的にはまり合うことで、貫通孔(71)中での軸部(90)の軸方向の移動を阻止するための凹部(94)と凸部(例えば第2凸部121)とのいずれか一方をそれぞれに設けている。
第3に、凹部(94)の円周方向には、例えば図27及び図29〜32に示すように、当該凹部(94)と凸部(例えば第2凸部121)とがはまり合った状態(例えば図28参照)で、フランジ(100)が回転された場合に、凹部(94)から抜け出た凸部(例えば第2凸部121)が、弾性的に当接するとともに、貫通孔(71)中での軸部(90)の軸方向の移動を許容するロック解除部(500)を設けている。
【0031】
第4に、フランジ(100)の周縁には、例えば図27〜29に示すように、弾性を有する弾性体(101)を設けている。
第5に、鍔状部(70)には、例えば図28に示すように、脚部(80)を拡径可能した状態で、弾性体(101)と弾性的に当接する壁部(72)を設けている。
第6に、脚部(80)を拡径可能した状態で、フランジ(100)が回転された場合に、例えば図29に示すように、弾性体(101)に蓄積された弾性復元力により、軸部(90)が貫通孔(71)から抜け出る方向に付勢されるようにしている。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、取付部材と脚部材との間に、少なくとも一つの傾斜面を有する突部と、当該突部の傾斜面に当接する突壁とを設けることで、少なくとも突壁の構造を簡便化することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0033】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、突壁を取付部材に設けらることで、取付部材の構造、並びに製造を簡便にすることができる。
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、取付部材に設けられた突壁を、貫通孔を中心とした円周方向の前後に対して対称形状に形成することで、取付部材の構造、並びに製造を一層、簡便にすることができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0034】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、突部を脚部材のフランジの下側に形成することで、突壁を取付部材の鍔状部に形成することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0035】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、突部を脚部材の太径部と細径部との間に形成することで、突壁を取付部材の弾性脚片に形成することができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4に記載の部材締結構造に好適な部材締結用のクリップを提供することができる。
【0036】
これに加え、請求項5に記載の発明によれば、ピンがグロメットに対してロックされた状態で、フランジが回転された場合に、ロック解除部の傾斜面に弾性的に当接する凸部の弾性復元力を利用して、ピンの軸部をグロメットの貫通孔から抜け出る方向に付勢することができる。
(請求項6)
請求項6に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
【0037】
すなわち、請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜4に記載の部材締結構造に好適な部材締結用のクリップを提供することができる。
これに加え、請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明と同様に、ピンがグロメットに対してロックされた状態で、フランジが回転された場合に、当該フランジの弾性体に蓄積された弾性復元力により、ピンの軸部をグロメットの貫通孔から抜け出る方向に付勢することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】部材締結構造の分解斜視図である。
【図2】クリップの分解斜視図である。
【図3】クリップの取付状態の断面図である。
【図4】クリップの取付状態の他の断面図である。
【図5】ピンの仮留め状態の断面図である。
【図6】ピンの仮留め状態の断面図である。
【図7】グロメットの斜視図である。
【図8】グロメットの他の斜視図である。
【図9】グロメットの正面図である。
【図10】グロメットの側面図である。
【図11】グロメットの平面図である。
【図12】グロメットの底面図である。
【図13】グロメットの一半を断面にした正面図である。
【図14】グロメットの一半を断面にした側面図である。
【図15】ピンの斜視図である。
【図16】ピンの他の斜視図である。
【図17】ピンの正面図である。
【図18】ピンの一半を断面にした側面である。
【図19】ピンの平面図である。
【図20】ピンの一部拡大図である。
【図21】図18のA−A線に沿う断面図である。
【図22】グロメットの突壁とピンの突部との係合状態を説明するための説明図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態を説明するためのグロメットの一部平面図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態を説明するためのグロメットの一部平面図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態を示し、クリップの取付状態の断面図である。
【図26】本発明の第4の実施の形態を示し、クリップの取付状態の他の断面図である。
【図27】本発明の第5の実施の形態を示し、ピンの斜視図である。
【図28】本発明の第5の実施の形態を示し、クリップの取付状態の断面図である。
【図29】図28のピンを回転させた状態を示す断面図である。
【図30】図29の丸で囲んだA部分の拡大図である。
【図31】図28のX−X線に沿う断面図である。
【図32】図29のY−Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(部材締結構造10)
図1中、10は、部材締結構造を示し、部材締結構造10は、図示しないが、例えば自動車のボディーであるベース20に、部品の一例であるバンパー(図示せず)を、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成するクリップ30を介して締結するものである。
ベース20には、図1に示すように、クリップ30を取り付けるための取付穴21を設けている。取付穴21は、ベース20の表裏面に貫通するとともに、非円形、例えば方形に形成している。
【0040】
なお、取付穴21を、方形に形成したが、これに限定されず、クリップ30が回転しない非円形であれば良い。
一方、ベース20として、自動車のボディーを例示したが、これに限定されず、自動車用に限らず、他の乗り物や建物、家具、事務機器等でも良い。
また、部品として、バンパーを例示したが、これに限定されない。また、バンパーリテーナー(図示せず)及びクリップ30も、部品の一部と考えているが、この点については、「部品の態様」として後述する。
【0041】
さらに、クリップ30を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。
(クリップ30)
クリップ30は、図1及び図2に示すように、大別すると、次の構成を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
【0042】
(1)グロメット40(取付部材)
(2)ピン50(脚部材)
(3)パッキング60
なお、クリップ30の構成は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(グロメット40)
グロメット40は、図1〜4に示すように、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成し、ベース20の取付穴21に取り付けられ、後述するピン50を挿入することで、ベース20に対して締結されるものであり、取付部材を構成する。バンパーリテーナーは、グロメット40を介してベース20に対して締結される。グロメット40は、適度な弾性と剛性とを有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0043】
なお、グロメット40を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。また、取付部材として、グロメット40を例示したが、これに限定されない。
具体的には、グロメット40に、図7〜14に示すように、次の各部を有する。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
【0044】
(1)鍔状部70
(2)脚部80
なお、グロメット40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(ピン50)
ピン50は、図1〜4に示すように、グロメット40に挿入されることで、グロメット40をベース20に対して締結するものであり、脚部材を構成する。ピン50は、適度な弾性と剛性とを有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0045】
なお、脚部材として、ピンを例示したが、これに限定されない。
具体的には、ピン50に、図15〜21に示すように、次の各部を有する。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)軸部90
(2)フランジ100
なお、グロメット40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(パッキング60)
パッキング60は、図1に示すように、ベース20とグロメット40との間に位置し、ベース20の取付穴21からの水の浸入を防止するためのものである。パッキング60は、弾性に富む材質により形成され、例えば方形の板状に形成されている。パッキング60の中央には、表裏面に貫通し、後述するグロメット40の脚部80の外形に適合した方形の中心孔61を形成している。
(鍔状部70)
鍔状部70は、図1〜4に示すように、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成するととともに、ベース20に当接するものである。
【0046】
具体的には、鍔状部70は、平面が長円形の円盤形に形成され、その外形をベース20の取付穴21の内径より大きく設定している。
なお、鍔状部70を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。また、鍔状部70を、ベース20に直接的に当接させたが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成した場合には、バンパーリテーナーを介してベース20に間接的に当接させるようにしても良い。
【0047】
鍔状部70には、図7〜14に示すように、次の各部を有する。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)貫通孔71
(2)壁部72
(3)突壁73
なお、鍔状部70の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(貫通孔71)
貫通孔71は、図1〜4に示すように、ピン50の軸部90が挿通するものである。
【0048】
具体的には、貫通孔71は、鍔状部70の中央に円形に形成され、表裏面、すなわち図1において上下方向に貫通している。
(壁部72)
壁部72は、図1〜4に示すように、ピン50の挿入方向に向かって延びるものである。
具体的には、壁部72は、貫通孔71を中心とし、一回り大きな環状なリブ状に形成され、鍔状部70の上面から突出している。壁部72は、傾斜面74を貫通孔71の中心に向けた断面が台形形に形成されている。傾斜面74は、壁部72の内壁、より具体的には内側側面に位置し、貫通孔71の方向に向かって下り傾斜している。また、壁部72の上面である頂面75は、壁部72の上面と平行に形成され、傾斜面74との間の角部には接続部76が形成されている。
(突壁73)
突壁73は、図2及び図22に示すように、貫通孔71と壁部72と間に位置し、後述するピン50を回転させた際に、そのフランジ100の下側に形成された突部103に当接し、ピン50の軸部90が貫通孔71から抜ける方向に案内するものである。
【0049】
具体的には、突壁73は、鍔状部70の上面から突出し、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状に形成され、貫通孔71を中心に放射状に4個形成されている。各突壁73は、平面が「やじり」或いは「矢印」形に形成され、その「やじり」或いは「矢印」の先端部の三角形に尖った先を貫通孔71に向かわせている。突壁73の三角形の先端部の両側には、円周方向の前後に位置し、先細状に傾斜した傾斜面77,77を形成している。
【0050】
突壁73は、後述するピン50のフランジ100の下面から突出する突部103に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に深く挿入すると、フランジ100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面に位置する。この状態で、ピン50を回転すると、その突部103と、鍔状部70の上面から突出する突壁73とが当接する。ピン50を更に回転すると、その突部103の後述する傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50のフランジ100が浮上する方向に案内される。
(脚部80)
脚部80は、図3、図4及び図8に示すように、貫通孔71の周囲から垂下するとともに、ピン50の挿入によって、ベース20に設けられた取付穴21の孔淵に係合する複数、例えば計4個の第1、第2弾性脚片110,120を有するものである。脚部80は、図8及び図12に示すように、計4個の第1、第2弾性脚片110,120を角筒形に配置して形成し、当該筒内部は貫通孔71に連通している。
【0051】
なお、弾性脚片110,120を、計4個設けたが、これに限定されず、少なくとも一対あれば良い。
また、計4個の第1、第2弾性脚片110,120から構成される脚部80の外形は、ベース20の取付穴21の内形にほぼ一致させている。
計4個の第1、第2弾性脚片110,120のうち、2個の第1弾性脚片110は、図8、図12及び図13に示すように、離れて相対向し、相対向した内側面には、上下に延びたリブ状の第1凸部111を設けている。
【0052】
第1弾性脚片110は、図4に示すように、ベース20の取付穴21に挿入された状態で、貫通孔71を介して後述するピン50の軸部90が挿入されることにより、軸部90の外周によりリブ状の第1凸部111が押されることで、互いに離隔する方向に拡開する。このため、グロメット40は、鍔状部70の下面と拡開した一対の第1弾性脚片110の間で、ベース20を表裏面より挟み持つことで、ベース20の取付穴21に固定される。すなわち、グロメット40が、バンパーリテーナー(図示せず)の一部として構成されていることから、バンパーリテーナーがベース20に対して固定される。
【0053】
一方、計4個の第1、第2弾性脚片110,120のうち、2個の第2弾性脚片120は、図8、図12及び図14に示すように、離れて相対向し、先端部の相対向した内側面には、断面L字形に屈曲した爪状の第2凸部121を設けている。
第2弾性脚片120は、図3に示すように、ベース20の取付穴21に挿入された状態で、貫通孔71を介して後述するピン50の軸部90が挿入されることにより、その爪状の第2凸部12
1が、軸部90の後述する凹部94にはまり込むことで、ピン50の軸部90の挿入方向の移動を阻止する。
(軸部90)
軸部90は、図15〜18に示すように、後述するフランジ100から垂下するものである。
【0054】
具体的には、フランジ100の下面から垂下し、全体が略四角柱形に形成され、先端部が先細状に尖っている。
軸部90には、図15〜18に示すように、次の各部を有する。
軸部90の各部は、次の(1)〜(6)に限定されない。
(1)太径部91
太径部91は、図15〜18に示すように、軸部90の長さの途中に位置し、比較的、太径に設定されている。
【0055】
太径部91は、図4に示すように、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、第1弾性脚片110の間隔内に割り込むことで、第1弾性脚片110を拡開させる。
(2)細径部92
細径部92は、図15〜18に示すように、軸部90の先端部に位置し、太径部91と比較して細径に設定されている。
【0056】
細径部92が、図6に示すように、第1弾性脚片110の間隔内に割り込んだ位置では、第1弾性脚片110は拡開しない。
(3)カム部93
カム部93は、図15〜18に示すように、太径部91と細径部92との間に位置し、細径部92から太径部91に向かって徐々に太くなっている。
【0057】
図6に示すように、細径部92が第1弾性脚片110の間隔内に割り込んだ位置から、軸部90を貫通孔71中に押し込むと、第1弾性脚片110のリブ状の第1凸部111がカム部93に当接する。軸部90が更に押し込まれると、カム部93が太径部91に向かって徐々に太くなっていることから、第1弾性脚片110のリブ状の第1凸部111がカム部93の外周に押され、第1弾性脚片110が次第に拡径し、図4に示すように、太径部91に至る。
【0058】
(4)凹部94
凹部94は、図15〜18に示すように、太径部91に形成され、凹状に凹んでいる。
凹部94には、図3に示すように、第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121がはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止する。
(5)抜止部95
抜止部95は、図15〜18に示すように、細径部92に隣接し、軸部90の先端部に位置し、細径部92より太く、先細状に傘形或いは円錐形に張り出している。
【0059】
抜止部95は、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、第1弾性脚片110のリブ状の第1凸部111に当接し、第1弾性脚片110を押し開くようにして、第1凸部111の間隔内を通過する。第1凸部111の間隔内を抜止部95が通過すると、第1弾性脚片110は樹脂の復元力により復元することで、軸部90の抜けを阻止する。
同時に、抜止部95は、第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121に当接し、第2弾性脚片120を押し開くようにして、第2凸部121の間隔内を通過する。第2凸部121の間隔内を抜止部95が通過すると、第2弾性脚片120は樹脂の復元力により復元することで、軸部90の抜けを阻止する。
【0060】
(6)ガイドリブ96
ガイドリブ96は、図15〜18に示すように、軸部90の中心から放射状に計4個延び、軸部90の軸方向に沿って形成されている。
ガイドリブ96は、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、隣接する第1弾性脚片110と第2弾性脚片120との間の隙間内にはまり込み、脚部80の中空内部内でのピン50の軸部90が不用意に回転しないようにしている。
(フランジ100)
フランジ100は、軸部90の上端部から円盤状に張り出し、その外径を貫通孔71の内径より大きく設定している。
【0061】
具体的には、フランジ100に、図15〜19に示すように、次の各部を有する。
フランジ9の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)弾性体101
弾性体101は、図17及び図18に示すように、フランジ100の外周からストレート形状に延びる薄肉状のものである。
【0062】
具体的には、弾性体101は、フランジ100の下側から環状に延びている。弾性体101は、フランジ100の厚みを、例えば2mmとした場合に、その1/8の0.25mmに設定されている。
弾性体101は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に挿入すると、弾性体101の下面が鍔状部70の上面から突出する壁部72の上面である頂面75に当接する。軸部90を更に深く挿入すると、弾性体101の下面が、頂面75と、壁部72の内側側面に位置する傾斜面74との間の角状の接続部76に押されて、図3及び図4に示すように、逆反りした状態となる。この弾性体101が逆反りした状態の位置において、図3に示すように、グロメット40の第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121が、ピン50の軸部90の凹部94にはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止される。このため、弾性体101が逆反りした状態で、角状の接続部76に圧接した状態を維持する。
【0063】
(2)治具係合部102
治具係合部102は、図示しないが、例えば「+」(プラス)のドライバー等の治具と係合するものであり、例えば+(プラス)溝を設けている。
なお、治具として、ドライバーを例示したが、これに限定されず、又、治具係合部102も+溝に限定されない。
【0064】
(3)突部103
突部103は、図15、図17及び図20に示すように、フランジ100の下側に位置し、軸部90の外周からその半径方向外向きに突出し、少なくとも一つの傾斜面104を有するものである。
具体的には、突部103は、三角柱形に形成され、傾斜面104を軸部90の外周方向に向けている。突部103は、軸部90の直径方向に一対形成している。
【0065】
なお、突部103を、一対形成したが、これに限定されず、単数或いは3個以上形成しても良い。また、傾斜面104を、フランジ100の円周方向の片側に1個形成したが、これに限定されず、図示しないが、傾斜面をフランジ100の円周方向の両側に2個形成し、突部103をフランジ100の円周方向の前後に対して対称形状に形成しても良い。このように、突部を円周方向の前後に対して対称形状に形成することで、ピン50の製造を簡便にするとともに、ピン50の回転方法の方向性を無くすることで、操作性を向上することができる。
【0066】
突部103は、図22に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に深く挿入
すると、フランジ100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面に位置する。この状態で、ピン50を回転すると、その突部103と、鍔状部70の上面から突出する突壁73とが当接する。ピン50を更に回転すると、その突部103の傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50のフランジ100が浮上する方向に案内される。
(クリップ30の取付方法)
つぎに、上記した構成を有するグロメット40とピン50とからなるクリップ30の取付方法について説明する。
【0067】
まず、グロメット40に対して、ピン50とパッキング60とを予め組み付けておく。
なお、グロメット40を、ベース20に取り付ける際に、ピン50とパッキング60とを取り付けても良い。
まず、グロメット40の脚部80を、パッキング60の中心孔61に合わせて挿入し、パッキング60を鍔状部70の下面の下側に位置させる。
【0068】
つぎに、ピン50の軸部90を、図5及び図6に示すように、グロメット40の貫通孔71に合わせて挿入する。
ピン50の軸部90を挿入すると、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入される。その後、軸部90の先端部の抜止部95が、第1弾性脚片110の第1凸部111と、第2弾性脚片120の第2凸部121とに当接し、第1弾性脚片110と第2凸部121とを押し開くようにして、第1凸部111の間隔内と、第2凸部121の間隔内を通過し、第1凸部111と第2凸部121とが、軸部90の細径部92に位置する。このため、軸部90は、脚部80の中空内部から抜けなくなり、ピン50がグロメット40に対して仮留めされる。
【0069】
つぎに、グロメット40の脚部80を、図3及び図4に示すように、ベース20の取付穴21に合わせて挿入する。
グロメット40の脚部80を挿入すると、その鍔状部70の下面が、パッキング60を介してベース20の表面に当接する。
その後、ピン50のフランジ100を、図3及び図4に示すように、グロメット40に対して押し込む。
【0070】
ピン50を押し組むと、その軸部90が脚部80の中空内部を進行し、太径部91によりグロメット40の第1弾性脚片110を押し開くことで、図4に示すように、グロメット40の脚部80の外径が拡開する。このため、グロメット40は、鍔状部70の下面と拡開した一対の第1弾性脚片110の間で、ベース20を表裏面より挟み持つことで、ベース20の取付穴21に固定される。すなわち、グロメット40が、バンパーリテーナー(図示せず)の一部として構成されていることから、バンパーリテーナーがベース20に対して固定される。
【0071】
同時に、ピン50の凹部94内に、図3に示すように、グロメット40の第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121がはまり込むことで、ピン50の軸部90の挿入方向の移動が阻止される。
一方、ピン50の弾性体101は、図3及び図4に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接する。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に挿入すると、弾性体101の下面が鍔状部70の上面から突出する壁部72の上面である頂面75に当接する。軸部90を更に深く挿入すると、弾性体101の下面が、頂面75と、壁部72の内側側面に位置する傾斜面74との間の角状の接続部76に押されて、逆反りした状態となる。この弾性体101が逆反りした状態の位置において、図3に示すように、グロメット40の第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121が、ピン50の軸部90の凹部94にはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止される。このため、弾性体101が逆反りした状態で、角状の接続部76に圧接した状態を維持する。
(クリップ30の取外方法)
一方、取り付けたクリップ30の取外方法について、説明する。
【0072】
ピン50の+(プラス)溝である治具係合部102に、図示しないが、「+」(プラス)のドライバー等の治具を係合させ、ピン50のフランジ100を一方向、例えば反時計回りに回転させる。
ピン50のフランジ100を回転させると、フランジ100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接する。
【0073】
ピン50のフランジ100を更に回転させると、図22に示すように、その突部103の傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50のフランジ100が浮上する方向に案内される。
ピン50のフランジ100が上昇すると、その軸部90が脚部80の中空内部を抜ける方向、すなわち上方に移動することで、軸部90の凹部94にはまり込んでいたグロメット40の第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121が係脱する。このため、グロメット40の第1弾性脚片110が、軸部90の太径部91から細径部92に移動することで、グロメット40の脚部80の外径が縮径する。
【0074】
このため、グロメット40の脚部80を、ベース20の取付穴21から引き抜くことができる。
なお、このとき、ピン50は、グロメット40に対して仮留めされた状態を維持する。
(第2の実施の形態)
つぎに、図23を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁200を、図23に示すように、平面において長円に形成した点である。
【0075】
長円の突壁200は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状となる。
なお、本実施の形態の説明においては、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(第3の実施の形態)
つぎに、図24を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0076】
本実施の形態の特徴は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁210を、図24に示すように、平面において矩形に形成した点である。
矩形の突壁210は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状となる。
なお、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態では、突壁73を、平面において「やじり」或いは「矢印」形に形成し、図23を用いて説明した第2の実施の形態では、突壁200を平面において長円に形成し、本実施の形態では、突壁210を平面において矩形に形成したが、突壁73,200,210は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状であれば良く、これらの形状に限定されない。
【0077】
また、本実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(第4の実施の形態)
つぎに、図25及び図26を用いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、図25及び図26に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する壁部400を、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態の壁部72のようにリブ状でなく、段差状に形成した点である。
【0078】
すなわち、壁部72は、鍔状部70の上面から外周方向に斜め上向きに傾斜した傾斜面401と、壁部72の上面である頂面402と、傾斜面401と頂面402との間の角部に位置する接続部403とから構成している。
なお、本実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(第5の実施の形態)
つぎに、図27〜32を用いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0079】
本実施の形態の特徴は、第1に、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態のピン50(脚部材)の「突部103」及び「傾斜面104」を省き、これに代えて、図27及び図29〜32に示すように、ピン50(脚部材)の凹部94の円周方向に、「ロック解除部500」を形成し、当該ロック解除部500を「突部」とした点にある。
第2に、本実施の形態の特徴は、先に説明した第1の実施の形態のグロメット40(取付部材)の「突壁73」及び「傾斜面77」を省き、これに代えて、図27〜32に示すように、グロメット40(取付部材)の第2弾性脚片120の「第2凸部121」を「突壁」として併用した点にある。
【0080】
ロック解除部500は、図31及び図32に示すように、ピン50の軸部80の円周方向に、放射状に複数個、例えば90度間隔で計4個設けている。また、ロック解除部500は、図27、図29及び図30に示すように、軸部80の太径部91と細径部92との間に位置し、軸部80の軸方向に延びている。
ロック解除部500の外側面には、図30に示すように、細径部92の方向に向かって縮径、すなわち下り傾斜した傾斜面501を形成している。
【0081】
なお、ロック解除部500を、4個設けたが、これに限定されず、単数、或いは2個、3個、5個以上設けても良い。
また、本実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(クリップ30の取付方法)
まず、上記した構成を有するグロメット40とピン50とからなるクリップ30の取付方法について説明する。
【0082】
ピン50の軸部80をグロメット40の貫通孔71に挿入すると、当該軸部80の凹部94に、図29及び図31に示すように、第2弾性脚片120の爪状の第2凸部121がはまり込むことでロックされ、ピン50の軸部90の挿入方向の移動が阻止される。
このとき、ピン50の弾性体101の下面が、図29に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する壁部72に押されて、逆反りした状態となる。
【0083】
また、本実施の形態では、図示しないが、第1の実施の形態の先に説明した図4に示すように、グロメット40の第1弾性脚片110が拡開することで、ベース20に対して固定される。
(クリップ30の取外方法)
つぎに、取り付けたクリップ30の取外方法について説明する。
【0084】
ピン50のフランジ100を45度回転させると、軸部80の凹部94にはまり込んでいた爪状の第2凸部121が、図29、図30及び図32に示すように、凹部94からロック解除部500に移動し、当該ロック解除部500に乗り上がる。
このとき、図29に示すように、逆反りした状態の弾性体101の反力Fxにより、ピン50を浮き上げる第1の力F1が発生し、ロック状態が解除される。
【0085】
このため、ピン50の軸部90の軸方向の移動が可能となり、軸部90が脚部80の中空内部を抜ける方向、すなわち上方に移動する。このとき、爪状の第2凸部121が、軸部90の細径部92に向かって移動し、凹部94に戻れなくなる。
同時に、爪状の第2凸部121がロック解除部500に乗り上がると、図30に示すように、当該ロック解除部500の傾斜面501に当接する。
【0086】
このとき、図30に示すように、傾斜面501に対し、爪反力Fyにより、ピン50を浮き上げる第2の力F2が発生し、ロック状態が解除される。
本実施の形態では、傾斜面501の傾斜角度を緩く設定しているので、第2の力F2単独では、ロック状態を解除できず、第1の力F1との合成力(F1+F2)によりロック状態が解除されるようにしている。なお、傾斜面501の傾斜角度を急勾配とすることで、第2の力F2単独で、ロック状態を解除することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
(第1の実施の形態)
10 部材締結構造
20 ベース 21 取付穴
30 クリップ
40 グロメット(取付部材)
50 ピン(脚部材)
60 パッキング 61 中心孔
70 鍔状部 71 貫通孔
72 壁部 73 突壁
74 傾斜面 75 頂面
76 接続部 77 傾斜面
80 脚部
90 軸部
91 太径部 92 細径部
93 カム部 94 凹部
95 抜止部 96 ガイドリブ
100 フランジ
101 弾性体 102 治具係合部
103 突部 104 傾斜面
110 第1弾性脚片 111 第1凸部
120 第2弾性脚片 121 第2凸部(突壁)
(第2の実施の形態)
200 突壁(長円)
(第3の実施の形態)
210 突壁(矩形)
(第4の実施の形態)
400 壁部
401 傾斜面 402 頂面
403 接続部
(第5の実施の形態)
500 ロック解除部(突部)
501 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に貫通孔を有する鍔状部、
前記鍔状部の他方の側に筒状に列設されて、該鍔状部の前記貫通孔に連通する筒状部を形成するとともに、対向している内側の面に凸部が設けられている弾性脚片からなる取付部材と、
フランジ、
前記フランジから一体に突設されており、少なくとも先端側に向けて太径部と細径部とが連続して設けられている脚部材とからなり、
前記脚部材の細径部から太径部の円周方向にカム部が隆設されており、
前記取付部材への前記脚部材の挿入によって弾性脚片の凸部がカム部に乗り上げ、前記弾性脚片が拡開される部材締結構造であって、
前記取付部材と前記脚部材との間には、
少なくとも一つの傾斜面を有する突部と、
前記弾性脚片が拡開されている状態で、前記脚部材が回転された場合に、前記突部の傾斜面に当接し、前記脚部材を前記取付部材から離脱する方向に案内する突壁とを設けていることを特徴とする部材締結構造。
【請求項2】
前記突壁は、
前記取付部材に設けられ、
前記貫通孔を中心とした円周方向の前後に対して対称形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の部材締結構造。
【請求項3】
前記突部は、前記脚部材の前記フランジの下側に形成され、
前記突壁は、前記取付部材の前記鍔状部に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部材締結構造。
【請求項4】
前記突部は、前記脚部材の前記太径部と前記細径部との間に形成され、
前記突壁は、前記取付部材の前記弾性脚片に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部材締結構造。
【請求項5】
鍔状部、
前記鍔状部から垂設した脚部、
鍔状部から脚部に貫通する貫通孔を有するグロメットと、
前記貫通孔に挿入することで、前記脚部を拡径可能な軸部、
前記軸部より張り出し、前記貫通孔より大径のフランジを有するピンとを備えるクリップであって、
前記脚部と前記軸部との間に、
前記脚部を拡径可能した状態で互いに弾性的にはまり合うことで、前記貫通孔中での前記軸部の軸方向の移動を阻止するための凹部と凸部とのいずれか一方をそれぞれに設け、
前記凹部の円周方向には、
当該凹部と凸部とがはまり合った状態で、前記フランジが回転された場合に、前記凹部から抜け出た前記凸部が、弾性的に当接するとともに、前記貫通孔中での前記軸部の軸方向の移動を許容するロック解除部を設け、
前記ロック解除部には、
当該ロック解除部に弾性的に当接する前記凸部の弾性復元力を利用して、
前記軸部が前記貫通孔から抜け出る方向に付勢する傾斜面を設けていることを特徴とする部材締結用のクリップ。
【請求項6】
鍔状部、
前記鍔状部から垂設した脚部、
鍔状部から脚部に貫通する貫通孔を有するグロメットと、
前記貫通孔に挿入することで、前記脚部を拡径可能な軸部、
前記軸部より張り出し、前記貫通孔より大径のフランジを有するピンとを備えるクリップであって、
前記脚部と前記軸部との間に、
前記脚部を拡径可能した状態で互いに弾性的にはまり合うことで、前記貫通孔中での前記軸部の軸方向の移動を阻止するための凹部と凸部とのいずれか一方をそれぞれに設け、
前記凹部の円周方向には、
当該凹部と凸部とがはまり合った状態で、前記フランジが回転された場合に、前記貫通孔中での前記軸部の軸方向の移動を許容するロック解除部を設け、
前記フランジの周縁には、
弾性を有する弾性体を設け、
前記鍔状部には、
前記脚部を拡径可能した状態で、前記弾性体と弾性的に当接する壁部を設け、
前記脚部を拡径可能した状態で、前記フランジが回転された場合に、前記弾性体に蓄積された弾性復元力により、前記軸部が前記貫通孔から抜け出る方向に付勢されるようにしていることを特徴とする部材締結用のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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