説明

都市ごみ溶融スラグの再利用方法

【課題】都市ごみ溶融スラグの排出量に見合った経済的な再利用方法を提供すること。
【解決手段】本発明では、都市ごみの最終処理物として排出される都市ごみ溶融スラグの再利用方法において、都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグを固化剤と混合することで骨材として使用することにした。また、都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグをブラスト材として複数回繰り返して使用した後に回収し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグと混合して固化剤の骨材として使用することにした。さらに、前記固化剤として、珪酸ナトリウムと消石灰と水の混合物を用いることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ溶融スラグの再利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、廃棄物を焼却処分した際に生成される焼却灰等は、超高温度下で溶融した後に、水冷により粉砕し、都市ごみ溶融スラグとして排出されている。
【0003】
この都市ごみ溶融スラグは、主に路盤や盛土などといった土木用途で再利用可能とされている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−92402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、現実には、都市ごみ溶融スラグは、土木用途で使用するには供給量が少なく、路盤や盛土などの目的で施工現場まで運搬して使用することを考えると、コストが高くついて経済的な効果が認められないものであった。
【0006】
そこで、本発明者は、都市ごみ溶融スラグが、水砕によって一般的に0.075mm〜5mmのサイズにばらついた砂粒体として排出され、マイクロクラックが多く生じており、圧縮強度が通常の石材に比べて非常に低く割れやすいといった欠点を有しているものの、その反面、硬度がモース硬度5程度と高く、比重が通常の石材と同程度であって、しかも、吸水率が0.3%程度と低く、異物の混入が少ないといった特徴を有していることに着目し、排出量に見合った経済的な再利用方法について鋭意研究を行い、その結果、都市ごみ溶融スラグに適した再利用方法として本発明を成すに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明では、都市ごみの最終処理物として排出される都市ごみ溶融スラグの再利用方法において、都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグを固化剤と混合することで骨材として使用することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグをブラスト材として複数回繰り返して使用した後に回収し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグと混合して固化剤の骨材として使用することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記固化剤として、珪酸ナトリウムと消石灰と水の混合物を用いることにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、都市ごみ溶融スラグをブラスト材として有効に再利用することができるとともに、ブラスト材として使用した後にも骨材として有効に再利用することができ、都市ごみ溶融スラグの再利用における経済効果を従来以上に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る都市ごみ溶融スラグの有効利用方法を示す説明図。
【図2】型枠を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
都市ごみ溶融スラグは、水砕によって一般的に0.075mm〜5mmのサイズにばらついた砂粒体として排出される。また、都市ごみ溶融スラグは、マイクロクラックが多く生じており、圧縮強度が通常の石材に比べて非常に低く割れやすいといった欠点を有している。
【0013】
そのため、都市ごみ溶融スラグを土木用途以外に利用する場合には、排出された状態のままで使用するには適していない。
【0014】
一方、都市ごみ溶融スラグは、硬度がモース硬度5程度と高く、比重が通常の石材と同程度であって、吸水率が0.3%程度と低く、異物の混入が少ないといった特徴を有している。
【0015】
そこで、都市ごみ溶融スラグの上記特徴を活かした利用方法として、ショットブラストにおいて使用されるブラスト材としての利用が考えられる。
【0016】
しかしながら、排出された都市ごみ溶融スラグは、サイズのばらつき等があるために、排出された都市ごみ溶融スラグをそのままショットブラストのブラスト材として使用することはできない。
【0017】
そこで、本発明では、図1に示すように、排出された都市ごみ溶融スラグをロールクラッシャーで破砕し、その後、破砕した都市ごみ溶融スラグを1mm角メッシュのスクリーンを用いて篩選別した。
【0018】
これにより、破砕した都市ごみ溶融スラグを、篩選別にてスクリーン上に残留した所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグと、篩選別にてスクリーンを通過した所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグとに分離した。
【0019】
ここで、都市ごみ溶融スラグのサイズとしては、微粒化するほど耐圧縮強度が向上することから、求められる耐圧縮強度との関係で選択されるが、実用的には1mm以下がよく、0.5mm以下が好ましいく、望ましくは0.25mm以下がよい。
【0020】
そして、所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグを回収し、それらをショットブラストのブラスト材として供給し、ブラスト材として5〜6回繰り返して利用した。
【0021】
この所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグは、硬度が高く吸水率が低いなどの特徴から、ブラスト材として使用しても、ブラスト面の粗度やブラスト材としての沈降速度や硬度や耐久性や吸湿による流動性において全く問題がなく、優れたブラスト材として利用することができ、しかも、従来のグリット材と比較すると数分の1程度のコストとなるために、非常に経済的な効果が得られることが確認された。
【0022】
また、上記ブラスト材として供給された都市ごみ溶融スラグは、ブラスト材として5〜6回繰り返して利用した後に回収した。この回収したブラスト材(都市ごみ溶融スラグ)は、ブラスト材として繰り返して利用されることによって、粉砕や摩耗が行われ、供給時よりもサイズが小さくなっている。なお、回収する際には、ショットブラストにおいて発生する粉末状の金属や錆や塗装剤なども混合された状態で回収した。
【0023】
この回収したブラスト材(都市ごみ溶融スラグ)は、固化剤の骨材として利用することにした。その際に、回収したブラスト材だけを骨材として利用してもよいが、上記篩選別において分離された所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグと混合して固化剤の骨材として利用してもよい。
【0024】
このように、篩選別により所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグとブラスト材として繰り返して利用された都市ごみ溶融スラグは、初期の排出された都市ごみ溶融スラグと比べて微粒化されている。これは、初期の都市ごみ溶融スラグは、圧縮強度が低いために、固化剤の骨材としては不向きであるが、微粒化により圧縮強度が増大し、固化剤の骨材として大量に混合することが可能となるからである。
【0025】
固化剤は、通常のセメントなどでもよいが、ここでは、珪酸ナトリウムと消石灰と水とを混合した固化剤を用いることにした。なお、消石灰は、これが多く含有される飛灰を用いることもできる。
【0026】
この固化剤は、珪酸ナトリウムと消石灰とミョウバンとを混合し、必要に応じて、水やセルロースや多硫化カルシウムや無水石膏又は半水石膏を添加して、固化剤を生成し、この固化剤を所定形状に固化させたり既存の構造物の表面に塗布して固化させるものである。
【0027】
ここで、ミョウバンとは、1価の陽イオン(M+)の硫酸塩(M+2(SO4))と3価の金属イオン(M3+)の硫酸塩(M3+2(SO4)3)の複塩の総称をいい、M+M3+(SO4)2・12H2OやM+2(SO4)M3+2(SO4)3・24H2Oなどで表される結晶水を含む構造体のものをいう。なお、ミョウバンと同等の構造や物性を有するミョウバン類似の構造体の物質も含まれる。特に好適なミョウバンとしては硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)を含有するミョウバン(K2(SO4)Al2(SO4)324H20)である。
【0028】
また、珪酸ナトリウムと消石灰とミョウバンとの混合比率は、適宜調整できるものであるが、たとえば、重量比で珪酸ナトリウム20:消石灰60:ミョウバン20として固化剤を生成する。なお、珪酸ナトリウムと消石灰とミョウバンとの混合比率は全体を100重量部とした場合に、珪酸ナトリウム、消石灰、ミョウバンそれぞれが0.1重量部以上であれば固化剤として機能するが、望ましくは珪酸ナトリウムが20±5重量部、消石灰が60±10重量部、ミョウバンが20±5重量部となる重量比で混合する。
【0029】
この固化剤は、加水して型枠内に流し込んで成形してもよく、高温(60℃)下で1日間の強制乾燥、または、常温下で7日間の自然乾燥により固化させることができる。
【0030】
また、図2に示す固化装置1を用いることもできる。この固化装置1は、型枠2の底部に浸水膜3を張設して型枠2の内部を固化空間4と排水空間5とに分離している。
【0031】
そして、固化装置1は、固化空間4に液体状の固化剤6と固体状の骨材7とを投入して固化させる。
【0032】
一方、固化装置1は、排水空間5に吸気管8が調節バルブ9を介して接続されるとともに、排水空間5に排水管10が調節バルブ11を介して接続されている。
【0033】
そして、固化装置1は、吸気管8から加圧空気を供給して固化空間4の内部の圧力を調節するとともに、排水管10から排水するようにしている。
【0034】
この固化装置1では、排水空間5の内部の圧力に応じて一定量の水分だけが固化空間4から浸水膜3を通して排水空間5へと流動し、排水管10から外部に排出され、それと同時に固化空間4において固化剤が固化し、固化体が成型される。
【0035】
また、固化装置1では、固化空間4において、重力の作用で重量の重い粗粒状の骨材が底部に沈殿しながら固化することになるため、表面側に粗粒状の骨材を多く含有した耐摩耗性に優れた固化体を成型することができる。
【0036】
なお、ミョウバン(たとえば、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3を含有するミョウバン(K2(SO4)Al2(SO4)324H20))と水とを混合すると、ミョウバンに含有される硫酸金属(たとえば、硫酸アルミニウム)は優れた凝集力を有しているため、固化剤の固化を促進させることができる。
【0037】
また、珪酸化合物が含有する場合には、その珪酸化合物を構成する珪酸イオンがミョウバンに含有される硫酸金属(たとえば、硫酸アルミニウム)を構成する金属イオン(たとえば、アルミニウムイオン)と強く結合する。
【0038】
また、水分子は、含有される珪酸イオン及びミョウバンに含有される金属イオン(たとえば、アルミニウムイオン)と水素結合される。
【0039】
このように、ミョウバンに含有される硫酸金属(たとえば、硫酸アルミニウム)の凝集力や結合性を利用して固化体を生成することができる。
【0040】
さらに、飛灰を用いた場合には、飛灰に含有されるフッ化物イオンは、飛灰に含有される消石灰と反応して難溶性のフッ化カルシウムを生成するとともに、ミョウバンに含有される金属イオン(たとえば、アルミニウムイオン)を反応して安定なフッ化物(たとえば、フッ化アルミニウム)を生成し、これらの安定なフッ化カルシウムやフッ化アルミニウムなどのフッ化物がミョウバンの凝集力や結合性によって固化体に安定に取り込まれ、これにより、フッ化物イオンの可溶化や溶出が抑制される。
【0041】
また、飛灰に含有されるホウ素化合物も、飛灰に含有される消石灰とミョウバンに含有される金属イオン(たとえば、アルミニウムイオン)とで生成された水酸化物(たとえば、水酸化アルミニウム)との反応によって固化体に安定に取り込まれ、これにより、ホウ素化合物の可溶化や溶出が抑制される。
【0042】
さらに、固化剤に消石灰を含んでいるために、水を混合して固化する際にポリマーとなって還元反応が生じるが、珪酸とアルミニウムの水素結合体を形成するために水素が消費され、固化後の固化体の内部に空隙が生成されてしまうのを防止することができ、固化体の強度や密度を良好なものとすることができる。
【0043】
以上に説明したように、本発明では、高強度に固化させることができるとともに、飛灰に含有される重金属やフッ化物やホウ素化合物の溶出を抑制することができる。
【0044】
上記固化剤は、固化させることで、防草用途、冷却用途、充填用途、発泡用途、漁礁用途、人口石材用途、緑化用途、断熱材用途、耐火材用途、防蟻用途、舗装用途、法面保護用途、アスベスト等の廃棄物安定固化用途など多岐にわたって有効に利用することができる。
【0045】
また、上記固化剤は、珪酸ナトリウム、消石灰のいずれか又は両方を含有する物質があれば、その物質を原料として不足する珪酸ナトリウム又は消石灰とミョウバンとを添加して生成することもできる。
【0046】
ここで、消石灰やカルシウムの混合比率は適宜設定することができるが、強度の増大や長期の安定性を目的とする場合には、混合比率を1重量%以上5重量%未満とし、軽量化を目的とする場合には、混合比率を5重量%以上15重量%未満とし、多孔質体に成形する場合には、混合比率を15重量%以上20重量%未満とする。
【0047】
また、上記固化剤に重金属固定剤として多硫化カルシウム溶液を1重量%程度添加することで、重金属の溶出を防止することができる。
【0048】
この重金属固定剤としては、公知のものを利用することもできるが、飛灰を原料とした重金属固定剤を利用することで、廃棄物としての飛灰を有効に利用することができ、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0049】
たとえば、飛灰(炭種;マッセルブルグ50%、ドレイトン50%の混焼により発生したもので、アルカリ度pH13.5)を用い、飛灰20重量部、硫黄20重量部、水100重量部の配合比とし、まず、飛灰20重量部と水100重量部を反応缶に入れ、上蓋を閉じ、混合機を作動させて10分程度混合する。
【0050】
次に、安全弁を設定し上限反応圧力として排気圧を約10kg/cmにセットし、炉体冷却排水バルブ及び冷却バルブを開放するとともに冷却水入口バルブを開放して通水する。
【0051】
次に、反応中の蒸発を抑えるために、エアーコンプレッサーによる加圧によって2.5kg/cm程度の予圧をかける。
【0052】
次に、バーナに点火して、圧力計と温度計とを確認し、混合しながら昇温する。この時に、圧力は10kg/cm以下とし、温度計の表示が110℃に達してから、約30分間混合反応させる。
【0053】
次に、バーナを停止し、圧力計が下降するまで放置し、安定したら排気弁により最終残圧を完全に排出し、大気圧と同化させる。
【0054】
次に、混合機を停止させ、排出バルブを開放して、沈澱物及び液体を排出して、これらを回収する。
【0055】
次に、回収物を冷却し、沈澱分離し薬液と沈澱物を得る。ここでは、薬液130重量部と沈澱物20重量部を得ることができた。
【0056】
また、回収された薬液は、多硫化カルシウムを含有しており、液比重が1.2g/ccで黄緑色のpH10の液体であった。
【0057】
また、原料とし焼却場飛灰pH13.5を用いたところ、多硫化カルシウムを含有した液比重が1.15g/ccの茶色のpH11の液体を得た。
【0058】
このようにして生成した液体、さらには沈殿物を重金属固定剤として用いることができる。
【0059】
また、上記固化剤に廃棄処理された紙やダンボールなどのセルロースを含有する廃棄物を混合することもできる。
【0060】
このように、セルロースを混合した場合には、固化剤の固化が進行する途中において伸縮性を向上させることができ、固化途中でのクラックの防止を図ることができるとともに成形を容易なものとすることができ、また、固化後に微生物の坦体などとなる空洞を形成させることができる。
【0061】
すなわち、固化剤の固化が進行する初期の吸水膨張と乾燥時の収縮に対してセルロースが有効なテンション材として機能する。これは、通常の有機繊維では無機の結合物との接合性が悪いが、固化剤が水酸基を含むシリカ体であるためにセルロースが橋体を構成して初期の結合性に優れ、乾燥時にはセルロースが含有する水分の脱水のほうが遅く進み、セルロースの結合性によってクラックを防止することができる。また、セルロースには導水材として水分の外部への排出を促す働きがあり、一般的に見られる表面の水分のみが蒸散して内面と表面とで水バランスが図れず残留ストレスとなる現象の発生を防止しながら乾燥することになる。さらに、乾燥後にはセルロースの脱水(収縮)によって固化体の内部に空洞が形成される。この空洞は、微生物の良好な担体として或いは種子の宿体として有効に利用することができる。なお、空洞は、カルシウムや珪酸ナトリウムやミョウバンなどの水溶液を含浸させることで閉塞することもできる。
【0062】
また、上記固化剤に無水石膏(無水硫酸カルシウムCaSO4)又は半水石膏(硫酸カルシウム・1/2水和物CaSO4・1/2H2O)を添加してもよい。
【0063】
このように、無水石膏や半水石膏を添加することで、これら無水石膏や半水石膏が水和反応により二水石膏(硫酸カルシウム・2水和物CaSO4・2H2O)となって固化することになり、固化の促進を図ることができる。
【0064】
さらに、上記固化剤に骨材を混入させて固化するようにしてもよい。
【0065】
この骨材としては、公知のものを利用することもできるが、飛灰を原料とした骨材を利用することで、廃棄物としての飛灰を有効に利用することができ、廃棄物の減量化を図ることができる。
【0066】
たとえば、飛灰と珪酸ナトリウムと水とを混合し、その後、吸水性を有する状態となるように粒状に固化させて骨材を製造することができる。
【0067】
ここで、飛灰と珪酸ナトリウムと水との混合比率は、適宜調整できるものであるが、たとえば、重量比で飛灰100:珪酸ナトリウム2:水50として製造することができる。
【0068】
また、飛灰と珪酸ナトリウムと水との混合においては、飛灰と珪酸ナトリウム溶液を混合するようにしてもよい。
【0069】
また、固化は、吸水性を有する状態となるように適宜調整できるものであるが、たとえば、高温(60℃)下で1日間の強制乾燥、または、常温下で7日間の自然乾燥により吸水性を有する状態で固化させることができる。
【0070】
また、粒状に固化させるには、容器内で固化させたものを固化後に粒状に細砕してもよく、固化前に粒状に成形してから固化させてもよく、転動造粒やプレス成形や真空成形などを利用してもよい。
【0071】
以上に説明したようにして骨材を製造することができ、製造された骨材は、数十%(たとえば、30%)の吸水性を有している。
【0072】
そのため、建造物の建造や補強などにおいて特開平8−301639号公報に開示されているように飛灰と珪酸ナトリウムと水とを混合した固化剤を用いて固化を行うときに、上記骨材を固化剤に混入することで、固化剤の高流動性を保ちながら施工時に加えた水が骨材に吸水されることになり、固化や養生に要する時間を短くすることができ、施工期間を短期化させることができる。なお、上記の吸水性を有する骨材だけを使用することで減水効果が増大し軽量化を図ることができるが、軽量化が不要で増強化や全体の収縮を防止するなどの目的や施工コストの引下げなどを図るために石や砂などの一般的な骨材を混入させてもよい。
【0073】
また、骨材としては、廃石綿、廃アスベスト分解物、廃石膏等の廃半水化物、鉄鋼スラグ等の金属廃棄物、おがくず等の木材廃棄物などを添加してもよい。
【0074】
また、上記固化剤には、メッキ廃液や生コンクリート洗浄液等の廃液、卵白や魚油等の食品廃液、オレンジ等の食品残渣物、家畜糞などを混合させてもよい。
【0075】
上記固化剤の具体的な実施例としては、飛灰100重量部に対してに消石灰を5〜40重量部とセルロースを1〜5重量部を添加して10分程度ドライミキシングする一方、水30〜60重量部と多硫化カルシウム溶液0.5〜5重量部とを10分程度混合し、これらを混合したものにミョウバン0.2〜5重量部添加するとともに、珪酸ナトリウムを0.2〜5重量部添加して15分程度混合して固化剤を生成し、この固化剤を型枠内に流し込んで固化させたり、構造物の表面にコテで塗布して固化させることができる。
【0076】
特に、耐熱性が要求される場合には、飛灰に窒化灰(窒素酸化物や窒化金属等の窒素原子を含んだ灰、たとえば高温燃焼により炭化物を含んだ飛灰など)を5〜40重量部混入させてもよい。この場合には、成型時や塗布時等の固化時にガス化発泡してスポンジ状の断面を有する比重0.3〜1.0程度の軽量な耐火層を形成させることができ、高い耐火性を発揮させることができ、高温バルブや配管の保温材としても利用することができる。なお、水の混合比率を60〜150重量部程度まで増大させても自然発泡した後に固化させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 固化装置
2 型枠
3 浸水膜
4 固化空間
5 排水空間
6 固化剤
7 骨材
8 吸気管
9 調節バルブ
10 排水管
11 調節バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
都市ごみの最終処理物として排出される都市ごみ溶融スラグの再利用方法において、
都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグを固化剤と混合することで骨材として使用することを特徴とする都市ごみ溶融スラグの再利用方法。
【請求項2】
都市ごみ溶融スラグを粉砕した後に篩選別し、所定サイズ以上の都市ごみ溶融スラグをブラスト材として複数回繰り返して使用した後に回収し、所定サイズ未満の都市ごみ溶融スラグと混合して固化剤の骨材として使用することを特徴とする請求項1に記載の都市ごみ溶融スラグの再利用方法。
【請求項3】
前記固化剤として、珪酸ナトリウムと消石灰と水の混合物を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の都市ごみ溶融スラグの再利用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−246300(P2011−246300A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119419(P2010−119419)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(504038284)
【出願人】(510144904)
【Fターム(参考)】