説明

配信方法、配信装置、再生装置、配信システム、配信プログラム

【課題】コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、コンテンツを連続再生する技術を提供する。
【解決手段】HTTPリクエスト受信部28は、ネットワークを介して接続された再生装置12から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を受けつける。配信用生成部24は、受けつけたHTTPコンテンツ要求に含まれたアドレスをもとに、第1記憶部20に記憶された第1のデータを取得する。追加部26は、再生装置12が取得可能な第2のデータのアドレスも取得する。HTTPレスポンス送信部30は、取得した第1のデータと、第2のデータのアドレスとが含まれたHTTPコンテンツ応答を再生装置12へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信技術に関し、特にデータを配信する配信方法、配信装置、再生装置、配信システム、配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
AV(Audio Visual)家電のホームネットワーク化に伴って、ホームネットワークサーバに併設されたテレビジョン受像装置(以下、「TV」という)だけでなく、別部屋のTVでも、ホームネットワークサーバに記憶されたコンテンツが視聴可能になる。例えば、ホームネットワークサーバは、動画データ、写真データ、音楽データなどのデジタルコンテンツを記憶する。また、HTTP(Hyper Transfer Text Protocol)やUPnP(Universal Plug & Play)をベースにしたDLNA(Digital Living Network Alliance)ガイドラインの策定により、ホームネットワークシステムの普及が進んでいる。それとともに、コンテンツのネットワーク再生として、単一のコンテンツ再生だけでなく、商品価値の高いデジタル写真のスライドショー、音楽のアルバム再生などのコンテンツ連続再生機能が必要とされる。また、テープメディアからハードディスクなどに記録媒体が変わりつつある家庭用ビデオレコーダやビデオカメラでは、1回の録画ごとに動画ファイルが作成されるので、ユーザの利便性を向上するために、複数の動画ファイルの連続再生が必要になる。
【0003】
一方、上記のガイドラインでは、ホームネットワークサーバに記憶されたコンテンツに対する再生に必要な情報や属性情報が、コンテンツ単位にクライアントに予め提供されている。クライアントは、その情報をもとにHTTPによるネットワーク再生を実施する。このように、ホームネットワークサーバが、複数のコンテンツの再生順序、時間、再生のために必要な情報などを予めプレイリストとして作成し、クライアントに提供することによって、複数のコンテンツの連続再生が可能にされている(例えば、特許文献1参照)。この場合、次に再生するコンテンツのメタ情報を現在再生中のコンテンツ再生終了前に取得するための特殊なネットワーク送受信処理とその機能がクライアントに必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−152672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プレイリストを使用する場合、コンテンツの連続再生の前に、プレイリスト自身のネットワーク送受信処理、プレイリストの解析機能およびその内容を保持するためのメモリが必要になる。また、プレイリストに含まれるコンテンツの数や各種情報の増加によって、クライアントにおけるプレイリスト使用の負担が増加する。そのため、特開2008−165656号公報では、すべての連続再生コンテンツ情報をクライアントに予め提供する代わりに、クライアントが、次に再生すべきコンテンツのメタ情報を現在再生中のコンテンツ再生終了前に取得する。その結果、クライアントは、逐次処理により連続再生コンテンツの情報を保持することなく、連続再生を実現する。この場合においても、次に再生するコンテンツのメタ情報を現在再生中のコンテンツ再生終了前に取得するための特殊なネットワーク送受信処理とその機能がクライアントに必要とされる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、コンテンツを連続再生する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の配信方法は、ネットワークを介して接続された再生装置から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスを受けつけるステップと、受けつけたアドレスをもとに、記憶媒体に記憶された第1のデータを取得するとともに、再生装置が取得可能な第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスも取得するステップと、取得した第1のデータと、第2のデータのアドレスとを一体的に組み合わせて出力するステップと、を備える。
【0008】
この態様によると、要求に応じて第1のデータを送信する際に、第2のデータのアドレスも一体的に送信するので、データの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、第2のデータのアドレスを通知できる。
【0009】
出力するステップは、ヘッダと、取得した第1のデータとを組み合わせたフレームを出力しており、第2のデータのアドレスをヘッダに含めてもよい。この場合、第2のデータのアドレスをヘッダに含めるので、ヘッダのみを出力することによっても、第2のデータのアドレスを通知できる。
【0010】
取得するステップは、再生装置が取得可能な第2のデータの属性情報も取得し、出力するステップは、第2のデータのアドレスとともに、第2のデータの属性情報も出力してもよい。この場合、第2のデータのアドレスとともに、第2のデータの属性情報も出力するので、第2のデータの属性情報を通知できる。
【0011】
本発明の別の態様は、配信装置である。この装置は、ネットワークを介して接続された再生装置から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を受けつける受付部と、受付部において受けつけたHTTPコンテンツ要求に含まれたアドレスをもとに、記憶媒体に記憶された第1のデータを取得するとともに、再生装置が取得可能な第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスも取得する取得部と、取得部において取得した第1のデータを、HTTPコンテンツ要求に対するHTTPコンテンツ応答として再生装置へ出力する際に、HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに、取得した第2のデータのアドレスを含めて出力する出力部と、を備える。
【0012】
この態様によると、要求に応じて第1のデータを送信する際に、第2のデータのアドレスも一体的に送信するので、データの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、第2のデータのアドレスを通知できる。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、再生装置である。この装置は、ネットワークを介して接続された配信装置へ、再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を出力する出力部と、出力部がHTTPコンテンツ要求を出力した配信装置から、アドレスに対応した第1のデータが含まれたHTTPコンテンツ応答を受けつける受付部と、受付部において受けつけたHTTPコンテンツ応答に含まれた第1のデータを再生するとともに、HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに含まれている、取得可能な第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスを取得する再生部とを備える。出力部は、新たなHTTPコンテンツ要求に、第2のデータのアドレスを含める。
【0014】
この態様によると、要求に応じた第1のデータを受信する際に、第2のデータのアドレスも一体的に受信するので、データの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、第2のデータのアドレスを取得できる。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、配信システムである。この配信システムは、ネットワークを介して、再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を出力する再生装置と、受けつけたHTTPコンテンツ要求に含まれたアドレスをもとに、記憶媒体に記憶された第1のデータを取得した後、第1のデータをHTTPコンテンツ要求に対するHTTPコンテンツ応答として再生装置へ出力する際に、HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに、取得した第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスを含めて出力する配信装置とを備える。再生装置は、受けつけたHTTPコンテンツ応答に含まれた第1のデータを再生するとともに、新たなHTTPコンテンツ要求に、取得可能な第2のデータのアドレスを含める。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、コンテンツを連続再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る再生システムの構成を示す図である。
【図2】図2(a)−(b)は、図1の再生システムにおいて使用されるHTTPリクエストとHTTPレスポンスの一例を示す図である。
【図3】図1の第2記憶部に記憶された連続再生コンテンツグループの情報が示されたテーブルのデータ構造を示す図である。
【図4】図1の表示部に表示されたコンテンツ選択画面を示す図である。
【図5】図1の配信装置におけるコンテンツの送信手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の再生装置におけるコンテンツの再生手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の変形例に係る再生システムにおいて使用されるHTTPレスポンスの一例を示す図である。
【図8】本発明の変形例に係る表示部に表示されたコンテンツ選択画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、ネットワークを介して互いに接続された配信装置と再生装置によって形成され、配信装置がコンテンツを送信するとともに、再生装置がコンテンツを再生する再生システムに関する。ここでは、コンテンツとして、複数の静止画像によって形成されたグループを説明の対象にする。なお、以下では、静止画像そのもの、静止画像のデジタルデータを区別せずに「静止画像」という。前述のごとく、配信装置がプレイリストを予め提供していない状況下において、再生装置が、配信装置との間でコンテンツの送受信とは別のネットワークを設定することなく、新たなコンテンツのアドレスを取得するために、本実施例は、次の処理を実行する。
【0020】
配信装置と再生装置とは、ネットワークを介して接続されている。再生装置は、再生が要求されているコンテンツのアドレスが含まれたHTTPリクエストを配信装置へ送信する。配信装置は、受けつけたHTTPリクエストに含まれたアドレスをもとに、内蔵の記憶媒体に記憶されたコンテンツを取得する。また、配信装置は、再生装置が当該コンテンツの次に取得可能な別のコンテンツのアドレスも取得し、取得したアドレスをHTTPヘッダに格納する。配信装置は、取得したコンテンツをボディに格納し、HTTPヘッダを付加することによって、一体的なHTTPレスポンスを生成し、これを再生装置へ送信する。再生装置は、HTTPレスポンスに含まれたコンテンツを再生するとともに、新たなHTTPリクエストに、HTTPヘッダに含まれたアドレスを含ませる。
【0021】
図1は、本発明の実施例に係る再生システム100の構成を示す。再生システム100は、配信装置10、再生装置12を含む。配信装置10は、第1記憶部20、第2記憶部22、配信用生成部24、追加部26、HTTPリクエスト受信部28、HTTPレスポンス送信部30、配信用制御部32を含む。再生装置12は、HTTPリクエスト送信部40、HTTPレスポンス受信部42、再生用生成部44、HTTPヘッダ解析部46、再生部48、操作部50、表示部52、再生用制御部54を含む。
【0022】
HTTPリクエスト受信部28は、ネットワークを介して接続された再生装置12から、HTTPリクエストを受信する。HTTPリクエストには、再生装置12において再生が要求されているコンテンツのアドレスが含まれている。ここで、再生の要求は、再生装置12において実行されているアプリケーションプログラムや、再生装置12を使用しているユーザによってなされている。また、コンテンツのアドレスは、後述の第1記憶部20に記憶されているコンテンツのアドレスに相当する。再生装置12がアドレスを取得するための処理については後述する。
【0023】
図2(a)−(b)は、再生システム100において使用されるHTTPリクエストとHTTPレスポンスの一例を示す。図2(a)がHTTPリクエストに相当し、図2(b)がHTTPレスポンスに相当する。ここでは、図2(a)のみを説明する。「GET」がそれにつづくコンテンツを取得するための命令に相当し、「/Contents/File106.jpg」が前述のコンテンツのアドレスに相当する。また、「File106.jpg」が再生装置12において再生が要求されているコンテンツである。図1に戻る。
【0024】
第1記憶部20は、再生装置12に配信すべき複数のコンテンツを記憶する。前述のごとく、コンテンツは静止画像データであるので、第1記憶部20は、デジタルデータを記憶するためのハードディスク等の記憶媒体によって構成されている。また、第1記憶部20は、論理的なディレクトリ構造を形成し、ディレクトリ中にコンテンツを記憶する。例えば、「File106.jpg」は、「/Contents」の配下に相当するアドレスに記憶されている。なお、第1記憶部20は、配信装置10に内蔵されているが、これに限らず、第1記憶部20は、配信装置10の外部に配置されていてもよい。
【0025】
配信用生成部24は、HTTPリクエスト受信部28において受信したHTTPリクエストから、コンテンツのアドレスを抽出する。配信用生成部24は、抽出したアドレスをもとに、第1記憶部20に記憶されたコンテンツを取得する。具体的には、アドレスにて示されたURL(Uniform Resource Locator)に記憶されたコンテンツが取得される。配信用生成部24は、コンテンツをHTTPボディに格納する。また、HTTPボディの前段にHTTPヘッダを付加することによって、配信用生成部24はHTTPレスポンスを生成する。
【0026】
第2記憶部22は、第1記憶部20に記憶された複数のコンテンツに関する情報を記憶する。ここで、コンテンツに関する情報の一例がアドレスである。また、2以上のコンテンツが、連続再生されるためにグループ化されている場合、第2記憶部22は、グループ化の情報も記憶する。図3は、第2記憶部22に記憶された連続再生コンテンツグループの情報が示されたテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、コンテンツ名欄200、アドレス欄202が含まれている。コンテンツ名欄200には、コンテンツの名称が示されており、アドレス欄202には、第1記憶部20に記憶されたコンテンツのアドレスが示されている。また、図3のテーブルは、ひとつの連続再生コンテンツグループに相当する。そのため、当該テーブルは、例えば、「File106」の前段および後段には、「File105」および「File107」が配置されていることを示している。つまり、テーブルの縦方向に示されたコンテンツは連続している。なお、第2記憶部22は、別の連続再生コンテンツグループに対して別のテーブルを記憶する。図1に戻る。
【0027】
追加部26は、配信用生成部24において抽出されたアドレスを入力する。追加部26は、入力したアドレスをもとに、第2記憶部22から、再生装置12が取得可能な別のコンテンツのアドレスも取得する。ここで、取得可能な別のコンテンツとは、配信用生成部24において取得されたコンテンツに隣接したコンテンツであるとする。これは、配信用生成部24において取得されたコンテンツの前段に配置されたコンテンツと、後段に配置されたコンテンツである。図3をもとに説明すると、これは、配信用生成部24において取得されたコンテンツが「File106」である場合、「File105」および「File107」に相当する。追加部26は、図3のアドレス欄202から、「File105」および「File107」に対するアドレスを取得する。
【0028】
追加部26は、アドレスを取得した場合、HTTPヘッダに独自のコンテンツのURL情報を追加させる。なお、HTTP規格では、このような独自定義のヘッダを「X−」で始まるヘッダとして送信、受信することが可能である。ここでは、図2(b)に示されたHTTPレスポンスのHTTPヘッダを説明する。図示されたHTTPヘッダ群において、「X−NextPlayURL」の独自フィールド名を持つヘッダが、後段のコンテンツ「File107」に該当するURL情報を示す。また、「X−PreviousPlayURL」の独自フィールド名を持つヘッダが、前段のコンテンツ「File105」に該当するURL情報を示す。図1に戻る。
【0029】
その結果、配信用生成部24は、HTTPヘッダに別のコンテンツのアドレスを含ませ、HTTPボディにコンテンツを含ませることによって、取得したコンテンツに別のコンテンツのアドレスを一体的に組み合わせたHTTPレスポンスを生成する。HTTPレスポンス送信部30は、配信用生成部24において生成したHTTPレスポンスを再生装置12へネットワークを介して送信する。配信用制御部32は、配信装置10の動作タイミングを制御する。
【0030】
HTTPリクエスト送信部40は、ネットワークを介して接続された配信装置10へ、再生が要求されているコンテンツのアドレスが含まれたHTTPリクエストを出力する。なお、HTTPリクエストは、後述の再生用生成部44において生成されている。また、HTTPリクエストの構成は、図2(a)に示したとおりである。HTTPレスポンス受信部42は、HTTPリクエスト送信部40がHTTPリクエストを出力した配信装置10から、アドレスに対応したコンテンツがHTTPボディに含まれたHTTPレスポンスを受信する。当該HTTPレスポンスは、前述のHTTPレスポンス送信部30によって送信されたHTTPレスポンスに相当する。
【0031】
再生部48は、HTTPレスポンス受信部42において受信したHTTPレスポンスに含まれたHTTPボディ、つまりコンテンツを抽出する。再生部48は、抽出したコンテンツを再生する。コンテンツが静止画像である場合、再生部48は、静止画像を生成する。再生部48は、再生したコンテンツを表示部52へ出力する。表示部52は、ディスプレイ等によって構成されており、再生部48おいて再生されたコンテンツを表示する。例えば、表示部52は、静止画像を表示する。操作部50は、キーボードやマウス等によって構成されており、ユーザからの指示を受けつける。操作部50は、受けつけた指示を再生部48へ出力する。
【0032】
HTTPヘッダ解析部46は、HTTPレスポンス受信部42において受信したHTTPレスポンスに含まれたHTTPヘッダを抽出する。HTTPヘッダの構成は、図2(b)に示したとおりである。HTTPヘッダ解析部46は、HTTPヘッダの内容を解析する。特に、HTTPヘッダ解析部46は、HTTPヘッダ中の独自フィールド名を持つヘッダ部分を解析する。その結果、HTTPヘッダ解析部46は、取得可能な別のコンテンツのアドレスを取得する。HTTPヘッダ解析部46は、取得した別のコンテンツのアドレスのいずれかを再生用生成部44へ出力する。なお、再生用生成部44へ出力すべきアドレスは、アプリケーションプログラムやユーザによって選択される。
【0033】
このような選択に先立って、ここでは、図4をもとに、コンテンツが選択される際の動作を説明する。図4は、表示部52に表示されたコンテンツ選択画面を示す。図示のごとく、第1記憶部20に記憶された複数の静止画像、例えば、500枚のデジタル写真画像のうち、途中の10枚が「File101」から「File110」としてサムネイル表示されている。再生部48は、現時点においてこの10枚のコンテンツのアドレスであるURLを保持している。また、再生部48は、当該10枚のコンテンツに対して、コンテンツ選択画面に表示するための各タイトル名に関する情報も保持している。なお、残りのコンテンツに対するアドレス等は、再生部48に保持されていない。
【0034】
配信装置10の第1記憶部20において、500枚のデジタル写真画像は、撮影時間をもとに時系列に連続再生可能なように、連続再生コンテンツグループを形成している。また、第2記憶部22には、当該連続再生コンテンツグループの情報が記憶されている。図1の表示部52がコンテンツ選択画面を表示しているときに、ユーザが操作部50を操作することによって、「File106」のコンテンツが選択される。これにつづいて、前述のHTTPリクエストおよびHTTPレスポンスの送信がなされ、表示部52は、「File106」のコンテンツを表示する。図1に戻る。
【0035】
「File106」のコンテンツが表示された後、再生部48において実行されているアプリケーションプログラムが、時間軸に沿ったスライドショーであるならば、再生部48は、コンテンツ選択画面に戻らない。その代わりに、再生部48は、直ちに「X−NextPlayURL」にて示された「File107」のURLを選択する。また、アプリケーションプログラムが、時間軸と逆方向のスライドショーであるならば、再生部48は、直ちに「X−PreviousPlayURL」にて示された「File105」のURLを選択する。なお、前述のごとく、再生部48は、予め10枚分のコンテンツに対するURL情報を保持しているので、HTTPヘッダの「X−NextPlayURL」や「X−PreciousPlayURL」に含まれたアドレスを使用しなくてもよい。
【0036】
しかしながら、スライドショーによって、表示すべきコンテンツが変更され、「File110」より後段のコンテンツや、「File101」より前段のコンテンツを連続して再生するためには、それらのアドレスが必要になる。一方、HTTPヘッダ解析部46は、「File110」のコンテンツが格納されたHTTPレスポンスにおいて、「X−NextPlayURL」にて示された「File111」のコンテンツのURLを抽出している。また、HTTPヘッダ解析部46は、「File101」のコンテンツが格納されたHTTPレスポンスにおいて、「X−PreviousPlayURL」にて示された「File100」のコンテンツのURLを抽出している。
【0037】
その結果、前述の10枚のコンテンツ以外のコンテンツを連続再生する場合であっても、HTTPヘッダ解析部46や再生部48は、それらのコンテンツのURLを別途取得しなくてもよい。また、HTTPヘッダ解析部46や再生部48は、すべてのコンテンツのURLが示されたプレイリストを保持せずにすむ。さらに、配信装置10と再生装置12間の通信は、HTTP規格の範囲内だけなので、特殊な通信機能の追加が必要とされない。図2(b)に示した独自フィールド名を持つヘッダに非対応の再生装置は、当該ヘッダを無視すればよいので、そのような再生装置に与える影響が低減される。なお、「X−NextPlayURL」、「X−PreviousPlayURL」は、HTTPレスポンスとしてHTTPヘッダだけを要求するための「HTTP HEADメソッド」にも含まれる。そのため、HTTPレスポンスにコンテンツを含めなくても、当該コンテンツの前後のコンテンツのURLが取得されるので、前方向、後方向へのコンテンツのスキップが迅速に実現される。
【0038】
再生用生成部44は、HTTPヘッダ解析部46から、別のコンテンツのアドレスを入力し、アドレスをもとにHTTPリクエストを生成する。前述のごとく、HTTPリクエストのフォーマットの一例は、図2(a)である。HTTPリクエスト送信部40は、HTTPヘッダ解析部46において生成したHTTPリクエストであって、かつ新たなコンテンツのアドレスが含まれたHTTPリクエストを送信する。再生用制御部54は、再生装置12の動作タイミングを制御する。
【0039】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0040】
以上の構成による再生システム100の動作を説明する。図5は、配信装置10におけるコンテンツの送信手順を示すフローチャートである。HTTPリクエスト受信部28が、HTTPリクエストを受信すれば(S10のY)、配信用生成部24は、要求されたコンテンツが連続再生コンテンツグループに属するかを第2記憶部22に問い合わせる(S12)。要求されたコンテンツが連続再生可能である場合(S14のY)、追加部26は、要求されたコンテンツに隣接したコンテンツの情報を取得して、HTTPヘッダを生成する(S16)。要求されたコンテンツが連続再生可能でない場合(S14のN)、ステップ16はスキップされる。配信用生成部24は、第1記憶部20から、要求されたコンテンツを取得する(S18)。配信用生成部24は、HTTPレスポンスを生成する(S20)。HTTPレスポンス送信部30は、HTTPレスポンスを送信する(S22)。一方、HTTPリクエスト受信部28が、HTTPリクエストを受信しなければ(S10のN)、処理は終了される。
【0041】
図6は、再生装置12におけるコンテンツの再生手順を示すフローチャートである。HTTPリクエスト送信部40は、HTTPリクエストを送信する(S50)。HTTPレスポンス受信部42は、HTTPレスポンスを受信する(S52)。HTTPヘッダ解析部46は、HTTPヘッダを解析する(S54)。再生部48は、コンテンツを再生する(S56)。再生終了でなければ(S58のN)、ステップ56に戻る。再生終了であり(S58のY)、連続再生可能であれば(S60のY)、再生用生成部44は、HTTPヘッダを生成し(S62)、ステップ50に戻る。連続再生可能でなければ(S60のN)、処理は終了される。
【0042】
次に、変形例を説明する。変形例も、実施例と同様の再生システムであって、配信装置がコンテンツを送信し、再生装置がコンテンツを再生する。実施例では、コンテンツとして静止画像を説明の対象にした。しかしながら変形例では、コンテンツとして、静止画像だけではなく、動画像も説明の対象にする。そのため、HTTPヘッダには、コンテンツのアドレスに加えて、当該コンテンツの属性情報も格納される。ここで、コンテンツの属性情報では、例えば、コンテンツの種類が示される。変形例にかかる再生システム100は、図1に示された再生システム100と同様のタイプである。そのため、ここでは、差異の部分を中心に説明する。
【0043】
第2記憶部22は、実施例と同様に、第1記憶部20に記憶された複数のコンテンツに関する情報として、アドレスを記憶する。また、第2記憶部22は、複数のコンテンツのそれぞれに対する属性の情報(以下、「属性情報」という)も記憶する。属性情報とは、例えば、コンテンツの種別であり、コンテンツが静止画像、動画像等のいずれかに相当するかに関する情報である。また、属性情報は、動画像の場合に、MPEG(Moving Picture Experts Group)2などの圧縮方式を示していてもよい。追加部26は、実施例での処理に加えて、第2記憶部22から、再生装置12が取得可能な別のコンテンツの属性情報も取得する。配信用生成部24は、HTTPレスポンスを生成する際、HTTPヘッダに、別のコンテンツのアドレスとともに、当該別のコンテンツの属性情報も含める。
【0044】
図7は、本発明の変形例に係る再生システム100において使用されるHTTPレスポンスの一例を示す。図示されたHTTPヘッダ群において、前述のごとく、「X−NextPlayURL」の独自フィールド名を持つヘッダが、後段のコンテンツ「File107」に該当するURL情報を示す。さらに、「X−NextPlayContentsFormat」の独自フィールド名を持つヘッダが、後段のコンテンツ「File107」に該当する属性情報を示す。ここでは、「MPEG_TS」と示されているので、コンテンツ「File107」は、MPEG2にて圧縮された動画像である。
【0045】
次に、図8をもとに、再生装置12においてコンテンツが選択される際の動作を説明する。図8は、表示部52に表示されたコンテンツ選択画面を示す。第1記憶部20に記憶された複数の静止画像や動画像、例えば、500のコンテンツのうち、途中の10のコンテンツが「File101」から「File110」としてサムネイル表示されている。ここで、「File101」は静止画像であり、「File102」は動画像であるように、コンテンツとして、静止画像と動画像とが混在している。また、500のコンテンツは、連続再生コンテンツグループを形成している。再生部48は、現時点においてこの10のコンテンツのアドレスであるURL、コンテンツの種類、サイズを保持している。なお、残りのコンテンツに対するアドレス等は、再生部48に保持されていない。
【0046】
図1の表示部52がコンテンツ選択画面を表示しているときに、ユーザが操作部50を操作することによって、「File106」のコンテンツが選択される。これにつづいて、前述のHTTPリクエストおよびHTTPレスポンスの送信がなされ、表示部52は、「File106」のコンテンツを表示する。「File106」のコンテンツが表示された後、再生部48において実行されているアプリケーションプログラムが、時間軸に沿ったスライドショーであるならば、再生部48は、コンテンツ選択画面に戻らない。その代わりに、再生部48は、直ちに「X−NextPlayURL」にて示された「File107」のURLを選択する。また、再生部48は、「X−NextPlayContentsFormat」にしたがって、動画像を再生するための準備を実行する。なお、次のコンテンツを再生するのに必要な独自ヘッダとして、各種コンテンツフォーマット別に必要な再生属性情報、以前途中まで再生した動画や音楽におけるレジューム再生位置情報が含まれていてもよい。
【0047】
本発明の実施例によれば、HTTPリクエストに応じてコンテンツを送信する際に、別のコンテンツのアドレスもHTTPレスポンスにて送信するので、コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、別のコンテンツのアドレスを通知できる。また、HTTPレスポンスにて別のコンテンツのアドレスとコンテンツとを通知するので、コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、コンテンツを連続再生できる。また、別のコンテンツのアドレスをHTTPヘッダに含めるので、HTTPヘッダのみを出力することによっても、別のコンテンツのアドレスを通知できる。また、別のコンテンツのアドレスをHTTPヘッダに含めるので、HTTPボディを送信しなくても、別のコンテンツのアドレスを通知できる。
【0048】
また、別のコンテンツのアドレスとともに、別のコンテンツの属性情報も出力するので、別のコンテンツの属性情報を通知できる。また、別のコンテンツのアドレスとともに、別のコンテンツの属性情報も出力するので、さまざまな種類のコンテンツが混在している場合でも対応できる。また、HTTPレスポンスに応じたコンテンツを受信する際に、別のコンテンツのアドレスも一体的に受信するので、コンテンツの送受信以外のネットワーク通信を不要としながらも、別のコンテンツのアドレスを取得できる。また、別のコンテンツのアドレスを取得するので、直ちに当該アドレスへのHTTPリクエストを送信できる。
【0049】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0050】
本発明の実施例において、追加部26は、HTTPヘッダに独自フィールドとして、別のコンテンツのアドレスや属性情報を追加している。しかしながらこれに限らず例えば、追加部26は、独自ヘッダに他の内容を追加してもよい。例えば、連続再生中に前回再生したコンテンツにスキップして戻り再生を行うために、前回のコンテンツのURLが示されたヘッダ、連続再生コンテンツのフォーマットの違いやサイズなどの違いによって、再生部48が初期設定を変更できるように、これらの情報が示されたヘッダが追加されてもよい。本変形によれば、再生部48において再生されるコンテンツの多様化を実現できる。
【符号の説明】
【0051】
10 配信装置、 12 再生装置、 20 第1記憶部、 22 第2記憶部、 24 配信用生成部、 26 追加部、 28 HTTPリクエスト受信部、 30 HTTPレスポンス送信部、 32 配信用制御部、 40 HTTPリクエスト送信部、 42 HTTPレスポンス受信部、 44 再生用生成部、 46 HTTPヘッダ解析部、 48 再生部、 50 操作部、 52 表示部、 54 再生用制御部、 100 再生システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された再生装置から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスを受けつけるステップと、
受けつけた前記アドレスをもとに、記憶媒体に記憶された前記第1のデータを取得するとともに、前記再生装置が取得可能な前記第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスも取得するステップと、
取得した前記第1のデータと、前記第2のデータのアドレスとを一体的に組み合わせて出力するステップと、
を備えることを特徴とする配信方法。
【請求項2】
前記出力するステップは、ヘッダと、前記取得した第1のデータとを組み合わせたフレームを出力しており、前記第2のデータのアドレスを前記ヘッダに含めることを特徴とする請求項1に記載の配信方法。
【請求項3】
前記取得するステップは、前記再生装置が取得可能な前記第2のデータの属性情報も取得し、
前記出力するステップは、前記第2のデータのアドレスとともに、前記第2のデータの属性情報も出力することを特徴とする請求項1または2に記載の配信方法。
【請求項4】
ネットワークを介して接続された再生装置から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を受けつける受付部と、
前記受付部において受けつけた前記HTTPコンテンツ要求に含まれた前記アドレスをもとに、記憶媒体に記憶された前記第1のデータを取得するとともに、前記再生装置が取得可能な前記第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスも取得する取得部と、
前記取得部において取得した前記第1のデータを、前記HTTPコンテンツ要求に対するHTTPコンテンツ応答として前記再生装置へ出力する際に、前記HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに、取得した前記第2のデータのアドレスを含めて出力する出力部と、
を備えることを特徴とする配信装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続された配信装置へ、再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を出力する出力部と、
前記出力部が前記HTTPコンテンツ要求を出力した配信装置から、前記アドレスに対応した前記第1のデータが含まれたHTTPコンテンツ応答を受けつける受付部と、
前記受付部において受けつけたHTTPコンテンツ応答に含まれた前記第1のデータを再生するとともに、HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに含まれている、取得可能な前記第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスを取得する再生部とを備え、
前記出力部は、新たなHTTPコンテンツ要求に、前記第2のデータのアドレスを含めることを特徴とする再生装置。
【請求項6】
ネットワークを介して、再生が要求されている第1のデータのアドレスが含まれたHTTPコンテンツ要求を出力する再生装置と、
受けつけた前記HTTPコンテンツ要求に含まれた前記アドレスをもとに、記憶媒体に記憶された前記第1のデータを取得した後、前記第1のデータを前記HTTPコンテンツ要求に対するHTTPコンテンツ応答として前記再生装置へ出力する際に、前記HTTPコンテンツ応答のHTTPヘッダに、取得した前記第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスを含めて出力する配信装置とを備え、
前記再生装置は、受けつけた前記HTTPコンテンツ応答に含まれた前記第1のデータを再生するとともに、新たなHTTPコンテンツ要求に、取得可能な前記第2のデータのアドレスを含めることを特徴とする配信システム。
【請求項7】
ネットワークを介して接続された再生装置から、当該再生装置において再生が要求されている第1のデータのアドレスを受けつけるステップと、
受けつけた前記アドレスをもとに、記憶媒体に記憶された前記第1のデータを取得するとともに、前記再生装置が取得可能な前記第1のデータとは別のデータである第2のデータのアドレスも取得するステップと、
取得した前記第1のデータと前記第2のデータのアドレスとを一体的に組み合わせて出力するステップと、
をコンピュータに実行させるための配信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−204911(P2010−204911A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49217(P2009−49217)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】