説明

配管の内部洗浄装置

【課題】洗浄対象配管に洗浄水又は空気を混入させた洗浄水を強制的に循環させることにより当該配管内の付着物の除去と洗浄効果を高めた配管の内部洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄対象配管(p)に接続する吸入管路6に、洗浄水を導入する切り替え弁と、フィルタ及び第1電磁弁を順に介装し、洗浄対象配管に接続する吐出管路12と吸入管路との間にベンチュリノズル15と送水用ポンプ25を並列に接続し、ベンチュリノズル内に連通するように設けた第2電磁弁に、空気導入管を接続すると共に当該導入管に逆止弁と手動開閉弁を順に介装し、吐出管路から分岐されて送水用ポンプの吸入管に接続されるリリーフ回路に送水用ポンプの吐出圧力の調整を施すリリーフ弁を介装した洗浄回路部5と、複数の洗浄パターンから入力手段35によって選択される特定の洗浄パターンに基づき第1電磁弁及び第2電磁弁の開閉動作を自動制御する制御部30とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等の配管内壁のスケール等の付着物の除去と洗浄処理を施すために使用される配管の内部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給水管の給水栓に取り付けられる取付金具に接続された二又管の一方の口に逆止弁を介して圧縮ガス供給装置を接続すると共に当該二又管の他方の口に排出バルブを接続し、その圧縮ガス供給装置に、コンプレッサー、空気タンク、圧力調整弁、前記逆止弁に接続される電磁弁を順に配管すると共に当該電磁弁を所定パターンで開閉作動させる制御手段を備え、水圧のかかった給水管内に圧縮空気を断続的に噴出させることにより当該管内に付着したスケールを除去する給水管の内部洗浄装置が開示されている。
【0003】
上記洗浄装置では、圧縮空気の微粒子気泡によってスケールを除去するとされているが、給水栓からの管内の奥方まで微粒子気泡が到達するのか明らかとされていなく、おそらく給水栓に近いところまでにしか除去処理が及ばないのではないか、と思われる。
【0004】
特許文献2には、蛇口に接続するホースに接続した管路に電磁弁とコンプレッサーを介装し、コンプレッサーの圧縮空気を水の供給がされた状態の配管内に送り込むことにより当該配管内に付着したスケールを除去するという配管洗浄装置が開示されている。
【0005】
上記洗浄装置においても特許文献1の洗浄装置と同様に、圧縮空気が水と混合した状態で蛇口からの配管の奥方まで到達するか否かについて明らかでなく、スケール等の付着物を管全体にわたって除去可能かについては定かでない。また、配管内に送り込まれた圧縮空気は、除去された付着物と一緒に他の蛇口から吐出されると説明されているが、付着物が蛇口の狭い弁通路に溜まって蛇口の開閉動作に支障をきたす等の問題が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−88822号公報
【特許文献2】特開2004−105885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、洗浄対象配管に洗浄水又は気泡を混入させた洗浄水を強制的に循環させることにより当該配管内の付着物の除去と洗浄効果を高めた配管の内部洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、洗浄対象の配管の出口部に接続する吸入管路に、タンクに貯留される洗浄水を当該管路に導入するための切り替え弁と、フィルタ及び第1電磁弁を順に介装し、洗浄対象の配管の入口部に接続する吐出管路と該吸入管路との間にベンチュリノズルと送水用ポンプとを並列に接続し、そのベンチュリノズル内の通路に連通するように設けた第2電磁弁に、外部から供給される圧縮空気を導入するための空気導入管を接続すると共に当該空気導入管に逆止弁と手動開閉弁を順に介装し、前記吐出管路から分岐されて前記送水用ポンプの吸入管に接続されるリリーフ回路に前記送水用ポンプの吐出圧力の調整を施すリリーフ弁を介装してなる洗浄回路部と、
予め設定された複数の洗浄パターンから入力手段によって選択される特定の洗浄パターンに基づいて第1電磁弁及び第2電磁弁の開閉動作を自動制御する制御部が本体ケースに設けられ、
洗浄対象の配管と前記吸入管路及び吐出管路からなる閉回路内に、前記洗浄水又は前記空気導入管から導入される空気を混入させた洗浄水を循環させることにより洗浄対象の配管内の付着物の除去と洗浄を施すことを特徴とする。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した配管の内部洗浄装置において、前記空気導入管の逆止弁と手動開閉弁との間に副空気導入管を接続すると共に当該副空気導入管に副手動開閉弁を介装したことを特徴とするものである。
【0010】
コンプレッサー等から圧縮空気を得られない場合において、送水用ポンプの作動による負圧作用を利用して大気を副空気導入管から取り込み、取り込まれる空気がベンチュリノズルを介して洗浄水に混合された状態となって洗浄対象の配管と吸入管路及び吐出管路からなる閉回路内を強制的に循環することにより、洗浄対象とする配管内の付着物の除去と洗浄を効率よく施すことができる。
【0011】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した配管の内部洗浄装置において、前記本体ケースに内蔵されたコンプレッサーによって前記空気導入管に圧縮空気を供給するように設けたことを特徴とするものである。
【0012】
コンプレッサーを当該洗浄装置に内蔵する構成とすることにより、常に圧縮空気を得られるので利便性に優れる。
【発明の効果】
【0013】
この配管の内部洗浄装置は、入力手段によって選択される洗浄パターンに基づいて、洗浄対象の配管と吸入管路及び吐出管路からなる閉回路内に、タンクから吐出管路内に取り込まれた洗浄水又は気泡を混入させた洗浄水を強制的に循環させることにより、洗浄対象の配管内にこびりついたスケール等の付着物の除去と洗浄を効率よく施すことができる。
【0014】
加えて、洗浄対象の給湯機等の配管の汚れ具合に対応して複数の洗浄パターンから特定の洗浄パターンを選択して付着物の除去と洗浄処理を施すことができるので、大変使い勝手が良い。また、洗浄対象の配管から剥離して洗浄水に混入する付着物はフィルタによって取り除かれるので、除去処理が円滑に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る配管の内部洗浄装置の説明図
【図2】各洗浄パターンにおけるタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明に係る配管の内部洗浄装置Cは、図1に示すように、本体ケース1内に洗浄回路部5と制御部30を設け、本体ケース1の正面に入力手段35を備えた概要構造とされている。洗浄対象の配管としては、主に給湯器、温水機等に使用されている小径の配管である。
【0018】
(洗浄回路部)
図1に示すように、洗浄回路部5には、主たる吸入管路6と吐出管路12を設けている。その吸入管路6には、小型タンク8に貯留される洗浄水を吸入管路6に導入するための切り替え弁7と、フィルタ9及び常時開の第1電磁弁10を順に介装している。そして、切り替え弁7の接続口には、洗浄対象の配管(p)の出口部(o)と接続するためのホース(a)等が取り付けることができるように設けられている。
【0019】
なお、洗浄水としては、水道水を使用することを基本としているが、洗浄用溶液を使用することも可能である。
【0020】
吐出管路12と吸入管路6との間には、ベンチュリノズル15と送水用ポンプ25とを並列に接続している。ベンチュリノズル15内の通路15aに連通するように設けられた常時閉の第2電磁弁16の入口ポートには、別途外部に設置されるコンプレッサー(c)等から供給される圧縮空気を導入するための空気導入管17の一端を接続している。空気導入管17には、逆止弁18と手動開閉弁19を順に介装している。逆止弁18と手動開閉弁19との間には、副空気導入管20の一端が接続されている。21は副空気導入管20の他端の入口側に介装された副手動開閉弁である。
【0021】
吐出管路12に設けた接続継手13には、洗浄対象の配管(p)の入口部(i)と接続するためのホース(b)等が取り付けられるように設けられている。
【0022】
26は吐出管路12から分岐されて送水用ポンプ25の吸入管24に接続されるリリーフ回路である。27は送水用ポンプ25の吐出圧力の調整を施すためにリリーフ回路26に介装されたリリーフ弁である。
【0023】
(制御部)
制御部30については、後述する予め設定された複数の洗浄パターンから押釦等を備えた入力手段35により選択される特定の洗浄パターンに基づいて前記第1電磁弁10及び第2電磁弁16の開放及び閉止動作を自動制御するように設けられている。
なお、具体的な電子制御回路については、一般的な電子技術に属する内容であることから説明を省略する。
【0024】
しかして、洗浄処理を施す当初の準備段階でタンク8から吸入管路6に取り込まれた洗浄水、又はコンプレッサー(c)から供給される圧縮空気若しくは副空気導入管20から取り込まれる空気を混合させた洗浄水を送水用ポンプ25の作動によって洗浄対象の配管(p)と吸入管路6及び吐出管路12からなる閉回路内に特定の洗浄パターンに基づいて循環させることにより、洗浄対象の配管(p)内の付着物の除去と洗浄を施す本発明に係る配管の内部洗浄装置Cが構成される。
【0025】
洗浄対象の配管(p)の内壁から除去される付着物を含んだ洗浄水は、フィルタ9によって濾過されて前記閉路内を循環する。また、洗浄水から分離された付着物は、フィルタ9内に貯留されるので、適宜廃棄処分を行なうものとする。
【0026】
本発明に係る配管の内部洗浄装置Cにおける洗浄パターンとしては、3つのパターンがある。各パターンを図2に示すタイムチャートに基づいて説明する。最初に、送水用ポンプ25を作動させて吐出管路12を負圧に保持した状態とし、その後に、切り替え弁7を操作してタンク8に貯留される洗浄水を吸入管路6に導入する操作を行なう。
【0027】
(洗浄パターン1)
入力手段35により洗浄パターン1が選択されると、送水用ポンプ25の運転により洗浄水がフィルタ9及び常時開の第1電磁弁10を通り吸入管路6から吐出管路12に所定圧力で送られる。このときに、第1電磁弁10が制御部30によって所定時間内に5秒間閉止と5秒間開放の動作を繰り返し行なうように制御されるので、洗浄水は脈動しつつ吸入管路6内を通過する。
しかして、洗浄水が閉回路内を所定時間にわたり循環することにより、洗浄対象の配管(p)内の付着物の除去と洗浄処理が簡易に施される。
【0028】
なお、第1電磁弁10の閉止と開放動作時間については、上記時間に限らず、図示しないタイマーにより調整可能に設けるものとする。
【0029】
(洗浄パターン2)
入力手段35により洗浄パターン2が選択されると、送水用ポンプ25の運転により洗浄水がフィルタ9及び常時開の第1電磁弁10を通り吸入管路6から吐出管路12に所定圧力で送られる。これと同時に、第2電磁弁16が制御部30によって所定時間内に5秒間閉止と1秒間開放の動作を繰り返し行なうように制御されるので、コンプレッサー(c)から供給される圧縮空気が空気導入管17からベンチュリノズル15を通って吐出管路12に気泡状態で脈動しつつ送り込まれる。
しかして、気泡が混入した洗浄水が閉回路内を所定時間だけ循環することにより、洗浄対象の配管(p)内の付着物の除去と洗浄処理が効率よく施される。
【0030】
なお、第2電磁弁16の閉止と開放動作時間については、図示しないタイマーにより調整可能に設ける。
【0031】
(洗浄パターン3)
入力手段35により洗浄パターン3が選択されると、送水用ポンプ25の運転により洗浄水がフィルタ9を通り吸入管路6から吸入管22を経て吐出管路12に所定圧力で送られる。このときに、常時開の第1電磁弁10が所定時間内に5秒間閉止と5秒間開放の動作を繰り返し行なうように制御されるので、洗浄水は脈動しつつ吸入管路6から吐出管路12内を通過する。これと同時に、第2電磁弁16が制御部30によって所定時間内に5秒間閉止と1秒間開放の動作を繰り返し行なうように制御されるので、コンプレッサー(c)から供給される圧縮空気が空気導入管17からベンチュリノズル15を通って吐出管路12に気泡状態で脈動しつつ送り込まれる。
しかして、気泡が混入した洗浄水が閉回路内を所定時間にわたり循環することにより、配管(p)内の付着物の除去と洗浄処理が強力に施される。
【0032】
なお、コンプレッサー(c)を利用できなくて圧縮空気が得られない場合には、送水用ポンプ25の作動による負圧作用を利用して大気を副空気導入管20からベンチュリノズル15に取り込むことができるので、利便性が良い。
【符号の説明】
【0033】
C・・・本発明に係る配管の内部洗浄装置
5・・・洗浄回路部
6・・・吸入管路
8・・・タンク
9・・・フィルタ
10・・・第1電磁弁
12・・・吐出管路
15・・・ベンチュリノズル
16・・・第2電磁弁
17・・・空気導入管
20・・・副空気導入管
24・・・吸入管
25・・・送水用ポンプ
26・・・リリーフ回路
27・・・リリーフ弁
30・・・制御部
35・・・入力手段
c・・・コンプレッサー
p・・・洗浄対象の配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象の配管の出口部に接続する吸入管路に、タンクに貯留される洗浄水を当該管路に導入するための切り替え弁と、フィルタ及び第1電磁弁を順に介装し、洗浄対象の配管の入口部に接続する吐出管路と該吸入管路との間にベンチュリノズルと送水用ポンプとを並列に接続し、そのベンチュリノズル内の通路に連通するように設けた第2電磁弁に、外部から供給される圧縮空気を導入するための空気導入管を接続すると共に当該空気導入管に逆止弁と手動開閉弁を順に介装し、前記吐出管路から分岐されて前記送水用ポンプの吸入管に接続されるリリーフ回路に前記送水用ポンプの吐出圧力の調整を施すリリーフ弁を介装してなる洗浄回路部と、
予め設定された複数の洗浄パターンから入力手段によって選択される特定の洗浄パターンに基づいて第1電磁弁及び第2電磁弁の開閉動作を自動制御する制御部が本体ケースに設けられ、
洗浄対象の配管と前記吸入管路及び吐出管路からなる閉回路内に、前記洗浄水又は前記空気導入管から導入される空気を混入させた洗浄水を循環させることにより洗浄対象の配管内の付着物の除去と洗浄を施すことを特徴とする配管の内部洗浄装置。
【請求項2】
前記空気導入管の逆止弁と手動開閉弁との間に副空気導入管を接続すると共に当該副空気導入管に副手動開閉弁を介装したことを特徴とする請求項1に記載した配管の内部洗浄装置。
【請求項3】
前記本体ケースに内蔵したコンプレッサーによって前記空気導入管に圧縮空気を供給するように設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した配管の内部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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