説明

配管システム

【課題】液体原料又は分析用液体等の液体を希釈液で希釈して所望の濃度に調整可能とすることにより液体貯留用のタンクの個数と容量を減らすことができる配管システムを提供する。
【解決手段】複数のタンクT1〜T4に個別に接続する複数の専用配管SP1〜SP4と、製造装置又は分析装置Eに個別に接続する2本の主配管P1,P2と、各専用配管と2本の主配管P1,P2とを接続する切替装置SW1〜SW4とを備え、切替装置SW1〜SW4は、2つの各仕切壁に個別に形成され隣接する液体室間で液体を流すことを可能とする切替用ポートと、2つの切替用ポートを個別に開閉する2つの弁体とを備え、専用配管SP1〜SP4は、中央の液体室に連通する切替装置本体の中央ポート10P−1に接続され、2本の主配管P1,P2は、中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室に連通する切替装置本体の2つのポート10P−2,10P−4にそれぞれ接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管システムに係り、特に液体を貯留した複数のタンクから2つのタンクを任意に選択して2つのタンクから液体を2本の主配管に個別に供給することが可能な配管システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、化粧品、医薬品等の各種製品の製造設備においては、種々の濃度に調整された液体原料を必要とするため、予め所定濃度に調整された液体原料を多数のタンクに個別に貯留しておき、各タンクと製造装置とを専用配管を介して接続し、これら多数のタンクから一つのタンク又は複数のタンクを選択し、一種又は複数種の液体原料を専用配管を介して製造装置に供給し、所定の処理を施して液体状の製品(液体製品)を製造することが行われている。
また、製造された各種製品などの成分分析を行う分析設備においては、種々の濃度に調整された分析用液体を必要とするため、予め所定濃度に調整された分析用液体(例えば、精製バッファ(緩衝液))を多数のタンクに個別に貯留しておき、各タンクと分析装置(例えば、液体クロマトグラフ装置)とを専用配管を介して接続し、これら多数のタンクから一つのタンク又は複数のタンクを選択し、一種又は複数種の分析用の液体を分析対象物であるサンプルとともに分析装置に供給し、分析装置によりサンプルの成分等を分析することが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の製造設備や分析設備においては、種々の濃度に調整された液体原料又は分析用液体を必要とするため、予め所定濃度に調整された液体原料又は分析用液体を貯留したタンクを多数用意しておく必要があり、設備コストが増加するという問題点がある。
また、各タンクと製造装置又は分析装置とを個別に接続する専用配管も多数必要とするため、この点からも設備コストが増加するという問題点がある。この場合、複数のタンクと製造装置又は分析装置とを切替バルブを有した共用の一本の配管で接続する方式もあるが、一個のタンク内の液体が空になって、他のタンクの液体を使用する場合に、空になったタンクおよびこのタンクに接続された共用の配管を洗浄することができないので、共用の配管に接続された全てのタンクが空になって初めてタンクおよび共用の配管の洗浄が可能になるという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、液体原料又は分析用液体等の液体を希釈液で希釈して所望の濃度に調整可能とすることにより液体貯留用のタンクの個数と容量を減らすことと液だまりを少なくすることができ、複数のタンクから2つのタンクを選択して2種類の液体を製造装置又は分析装置に供給して所望の混合化で混合することができ、かつ一つのタンク内の液体を使用して空になった場合にこの空になったタンクと空になったタンクに接続された配管とを洗浄している間に他のタンクから液体を製造装置又は分析装置に供給することができる配管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の配管システムは、液体を貯留した複数のタンクから2つのタンクを任意に選択し、選択された2つのタンクから個別に液体を製造装置又は分析装置に供給することが可能な配管システムであって、前記複数のタンクに個別に接続する複数の専用配管と、前記製造装置又は分析装置に個別に接続する2本の主配管と、前記各専用配管と前記2本の主配管とを接続する切替装置とを備え、前記切替装置は、内部に2つの仕切壁によって仕切られた3つの液体室を有した切替装置本体と、前記2つの各仕切壁に個別に形成され隣接する液体室間で液体を流すことを可能とする切替用ポートと、前記切替装置本体内に設けられ前記2つの切替用ポートを個別に開閉する2つの弁体とを備え、前記専用配管は、前記3つの液体室のうち中央の液体室に連通する前記切替装置本体の中央ポートに接続され、前記2本の主配管は、前記3つの液体室のうち前記中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室に連通する前記切替装置本体の2つのポートにそれぞれ接続されることを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、複数のタンクから2つのタンクを任意に選択し、選択された2つのタンクから液体を個別に専用配管を介して2つの切替装置に移送し、一方の切替装置を専用配管と一方の主配管とが連通するように一方の切替用ポートを開いておいて前記専用配管から移送された液体を切替装置を介して一方の主配管に移送し、さらに該一方の主配管を介して液体を製造装置又は分析装置に供給すると同時に、他の切替装置を専用配管と他方の主配管とが連通するように一方の切替用ポートを開いておいて前記専用配管から移送された液体を他の切替装置を介して他方の主配管に移送し、さらに該他方の主配管を介して液体を製造装置又は分析装置に供給することができる。このとき、専用配管と主配管とを接続するために用いていない切替装置においては、2つの切替用ポートは、共に閉じておき、切替装置の中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室を前記2つの主配管にそれぞれ連通する流路として利用し、これらの切替装置が2つの主配管を流れる液体の流れを阻害しないようにしている。
したがって、選択された2つのタンクのうち、一方のタンクに希釈液を貯留しておき、他方のタンクに原液を貯留しておけば、一方のタンクから配管システムの一方の主配管を介して希釈液を製造装置又は分析装置に供給し、他方のタンクから配管システムの他方の主配管を介して原液を製造装置又は分析装置に供給することができる。そして、製造装置又は分析装置内の混合装置(ミキサ)において、原液を希釈液によって所望の濃度に希釈することができる。
また、選択された2つのタンクのうち、一方のタンクに1つの液体を貯留しておき、他方のタンクに他の液体を貯留しておけば、一方のタンクから配管システムの一方の主配管を介して1つの液体を製造装置又は分析装置に供給し、他方のタンクから配管システムの他方の主配管を介して他の液体を製造装置又は分析装置に供給することができる。そして、製造装置又は分析装置内の混合装置(ミキサ)において、2種類の液体を所望の混合比で混合することができる。
【0007】
本発明の1態様によれば、前記切替装置は、前記2つの弁体を駆動して前記2つの切替用ポートを共に開き、または共に閉じ、または一方を閉じ他方を開くことにより流路切替を行うことを特徴とする。
本発明によれば、切替装置における2つの弁体を駆動して2つの切替用ポートを共に開くことにより、専用配管を介して切替装置本体の中央ポートに移送された液体を2つの切替用ポートを通過させて中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室に移送し、該2つの液体室から液体を切替装置本体の2つのポートを介して2本の主配管に移送することができる。また、2つの切替用ポートを共に閉じることにより、中央の液体室と中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室とを連通する流路を遮断して専用配管と2つの主配管とが連通しないようにし、中央の液体室を挟むように配置された前記2つの液体室を2つの主配管にそれぞれ連通する流路として利用することができる。さらに、一方の切替用ポートを開き、他方の切替用ポートを閉じることにより、専用配管および中央ポートを介して中央の液体室に移送された液体を一方の切替用ポートを通過させて隣接する一方の液体室に移送し、該液体室から液体を切替装置本体の1つのポートを介して一方の主配管に移送することができ、また中央の液体室と、中央の液体室に隣接する他方の液体室とを連通する流路を遮断して専用配管と他方の主配管とが連通しないようにし、前記他方の液体室と他方の主配管とも連通させて流路として利用することができる。
【0008】
本発明の1態様によれば、前記製造装置又は分析装置とは異なる製造装置又は分析装置に個別に接続する2本の主配管を更に設け、前記各専用配管と、これら更に設けた2本の主配管とを接続する切替装置を更に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、並列に設置された2セットの製造装置又は分析装置に、同時に2種類の液体を供給することができる。
【0009】
本発明の1態様によれば、前記分析装置は、液体クロマトグラフ装置であることを特徴とする。
本発明によれば、複数のタンクに種々の異なるバッファ(緩衝液)等の液体を貯留しておき、液体クロマトグラフの仕様に応じて所望の液体を配管システムを介して供給することができる。
【0010】
本発明の1態様によれば、前記複数のタンクのうち、少なくとも1つのタンクは希釈液を貯留し、他のタンクは原液を貯留することを特徴とする。
本発明によれば、1つのタンクから希釈液を配管システムを介して製造装置又は分析装置に供給し、他のタンクから原液を配管システムを介して製造装置又は分析装置に供給することにより、製造装置又は分析装置内において所望の濃度の液体を調整することができる。したがって、従来の製造設備又は分析設備においては、所望の濃度に予め調整した液体を貯留するタンクを多数必要としていたが、本発明によれば、希釈液により原液を所望の濃度に調整することができるため、液体貯留用のタンクの個数と容量を飛躍的に減らすことができる。
【0011】
本発明の1態様によれば、洗浄液を供給するための洗浄用配管を更に備え、該洗浄用配管は、前記各タンク又は前記専用配管又は前記主配管にバルブを介して接続可能であることを特徴とする。
本発明によれば、一つのタンク内の液体を使用して空になった場合に、空になったタンクと空になったタンクに接続された専用配管を直ちに洗浄することができる。また、使用済の主配管も直ちに洗浄することができる。
【0012】
本発明の1態様によれば、前記複数のタンクのうち1つのタンクが空になったら、前記洗浄用配管から洗浄液を供給して前記空になったタンクを洗浄している間に、他のタンクから配管システムを介して前記製造装置又は分析装置に液体を供給することを特徴とする。
本発明によれば、一つのタンク内の液体を使用して空になった場合に、この空になったタンクと空になったタンクに接続された配管とを直ちに洗浄することができるとともに、この洗浄中に他のタンクから液体を製造装置又は分析装置に供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液体原料又は分析用液体等の液体を希釈液で希釈して所望の濃度に調整可能とすることにより液体貯留用のタンクの個数と容量を減らすことができ、複数のタンクから2つのタンクを選択して2種類の液体を製造装置又は分析装置に供給して所望の混合化で混合することができる。
また、本発明によれば、一つのタンク内の液体を使用して空になった場合に、この空になったタンクと空になったタンクに接続された配管とを直ちに洗浄することができるとともに、この洗浄中に他のタンクから液体を製造装置又は分析装置に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る配管システムの実施形態を図1乃至図11を参照して説明する。
図1は、本発明の配管システムを備えた製造設備又は分析設備の全体構成を示す模式的平面図である。図1に示すように、製造設備又は分析設備は、液体を貯留した複数のタンクT1,T2,T3,T4と、製造装置(又は分析装置)Eと、複数のタンクT1,T2,T3,T4と製造装置(又は分析装置)Eと連結する配管システムPSとを備えている。配管システムPSは、製造装置(分析装置)Eに接続される2本の主配管P1,P2と、複数のタンクT1,T2,T3,T4に個別に接続される専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と、各専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と前記2本の主配管P1,P2とを接続する切替装置SW1,SW2,SW3,SW4とを備えている。
【0015】
図2(a)乃至図2(d)は、図1に示す切替装置SW1〜SW4の詳細を示す模式的断面図であり、図2(a)乃至図2(d)は切替装置SW1〜SW4の構成および切替例を示す図である。切替装置SW1〜SW4は、バルブ本体内に多数の流路を有し多様な流路切替が可能なマルチチャンネルバルブユニットとも称すべき切替装置である。図2(a)乃至図2(d)に示すように、切替装置SW1〜SW4は、内部に複数の液体室を有したバルブ本体10を備えている。すなわち、バルブ本体10は、2つの仕切壁11−1,11−2によって仕切られた3つの液体室R−1,R−2,R−3を有している。各仕切壁11−1,11−2には、隣接する液体室間で液体を流し流路切替を可能とする切替用ポート11P−1,11P−2が形成されている。そして、バルブ本体10内には、2つの弁体12−1,12−2が設置されており、これらの弁体12−1,12−2は仕切壁11−1,11−2に形成された切替用ポート11P−1,11P−2をそれぞれ開閉するようになっている。前記弁体12−1,12−2は、それぞれ弁体駆動シリンダ14−1,14−2に連結されており、切替用ポート11P−1,11P−2を開閉するようになっている。また、バルブ本体10には、3つの液体室R−1,R−2,R−3に液体を流入させるか、又は3つの液体室R−1,R−2,R−3から液体を流出させる複数の流出入用ポート10P−1,10P−2,10P−3,10P−4,10P−5を有している。
【0016】
次に、図2(a)乃至図2(d)に示す切替状態を個別に説明する。
図2(a)は、弁体駆動シリンダ14−1,14−2により弁体12−1,12−2を後退させて切替用ポート11P−1,11P−2を開いた状態を示す図である。この状態でバルブ本体10の中央ポート10P−1から液体室R−1に液体Aを供給すると、液体Aは液体室R−1から切替用ポート11P−1,11P−2を通って液体室R−2,R−3に流入した後にポート10P−2,10P−3およびポート10P−4,10P−5から流出する。
【0017】
図2(b)は、弁体駆動シリンダ14−1,14−2により弁体12−1,12−2を前進させて切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態を示す図である。この状態で、バルブ本体10のポート10P−1から液体室R−1に液体Aを供給すると、液体Aは液体室R−1内にとどまる。ポート10P−2から液体室R−2に液体Bを供給すると、液体Bはポート10P−3から流出する。ポート10P−4から液体室R−3に液体Cを供給すると、液体Cはポート10P−5から流出する。
【0018】
図2(c)は、一方の弁体駆動シリンダ14−1により弁体12−1を後退させ、他方の弁体駆動シリンダ14−2により弁体12−2を前進させることにより、一方の切替用ポート11P−1を開き、他方の切替用ポート11P−2を閉じた状態を示す図である。この状態で、バルブ本体10のポート10P−1から液体室R−1に液体Aを供給すると、液体Aは切替用ポート11P−1を通って液体室R−2に流入した後にポート10P−2,10P−3から流出する。また、ボート10P−4から液体室R−3に液体Cを供給すると、液体Cはポート10P−5から流出する。
【0019】
図2(d)は、一方の弁体駆動シリンダ14−1により弁体12−1を前進させ、他方の弁体駆動シリンダ14−2により弁体12−2を後退させることにより、一方の切替用ポート11P−1を閉じ、他方の切替用ポート11P−2を開いた状態を示す図である。この状態で、バルブ本体10のポート10P−1から液体室R−1に液体Aを供給すると、液体Aは切替用ポート11P−2を通って液体室R−3に流入した後にポート10P−4,10P−5から流出する。また、ポート10P−2から液体室R−2に液体Bを供給すると、液体Bはポート10P−3から流出する。
【0020】
図3は、本発明に係る配管システムPSが適用された製造設備(又は分析設備)の一例を示す図である。図3に示す例においては、本発明に係る配管システムPSが2セット用いられている。図3に示すように、製造設備(又は分析設備)は、希釈液を貯留したタンクT1と、液体Aを貯留したタンクT2と、液体Bを貯留したタンクT3と、液体Cを貯留したタンクT4と、製造装置(又は分析装置)Eと、複数のタンクT1,T2,T3,T4と製造装置(又は分析装置)Eとを連結する配管システムPSとを備えている。図3に示す例においては、タンクT1,T2,T3,T4の容量は、数キロリットル〜数十キロリットルに設定されている。また配管システムPSに用いられている配管径は、50mmに設定されている。勿論、各タンクの容量や配管径は各製造設備(又は分析設備)の仕様に応じて任意に設定可能である。
【0021】
配管システムPSは、製造装置(分析装置)Eに接続される2本の主配管P1,P2と、複数のタンクT1,T2,T3,T4に個別に接続される専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と、各専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と前記2本の主配管P1,P2とを接続する切替装置SW1,SW2,SW3,SW4とを備えている。各専用配管SP1、SP2,SP3,SP4は、各切替装置SW1,SW2,SW3,SW4のポート10P−1に接続される第1配管SP1−1,SP2−1,SP3−1,SP4−1と、CIP配管等に接続される第2配管SP1−2,SP2−2,SP3−2,SP4−2とに分岐されている。各配管システムPSの主配管P1,P2は、製造装置(又は分析装置)Eに接続されている。
【0022】
図4乃至図9は、図3に示す製造設備(分析設備)において、所望の濃度の液体や所望の数種類の液体を製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートの設定方法を示す図である。図4乃至図9において、液体が流される配管ルートは、太線を用いて表示される。また、切替装置SW1〜SW4において、開いている弁体(切替用ポート)は白い三角形を用いて示し、閉じている弁体(切替用ポート)は黒い三角形を用いて示している。
図4は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT1から希釈液を製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、切替装置SW1は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。切替装置SW2は、図2(c)に示すように、切替用ポート11P−1を開き、切替用ポート11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW3は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW4は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。
【0023】
切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、タンクT1内の希釈液を次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT1→専用配管SP1→第1配管SP1−1→切替装置SW1のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW1の切替用ポート11P−2→液体室R−3→主配管P2→切替装置SW2のポート10P−4→液体室R−3→切替装置SW2のポート10P−5→主配管P2→切替装置SW3のポート10P−4→液体室R−3→切替装置SW3のポート10P−5→主配管P2→切替装置SW4のポート10P−4→液体室R−3→切替装置SW4のポート10P−5→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT2内の液体Aを次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→切替装置SW2のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P―3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P―2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P―3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
上記2つのルートで希釈液と液体Aとが製造装置(又は分析装置)Eに供給され、希釈液と液体Aとは製造装置(又は分析装置)E内で混合され、液体Aは希釈液により所望の濃度に希釈される。なお、切替装置SW1のポート10P−2は、開閉バルブV1によって閉塞されており、切替装置SW1から液体Aが流出しないようになっている。また、切替装置SW1のポート10P−4は、開閉バルブV2によって閉塞されており、切替装置SW1から希釈液が流出しないようになっている。
【0024】
図5は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、切替装置SW1は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW2は、図2(c)に示すように、切替用ポート11P−1を開き、切替用ポート11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW3は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW4は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。
【0025】
切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、タンクT2内の液体Aを次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P−3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT4内の液体Cを次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT4→専用配管SP4→第1配管SP4−1→切替装置SW4のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW4の切替用ポート11P−2→液体室R−3→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
上記2つのルートで液体Aと液体Cとが製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Aと液体Cとは製造装置(又は分析装置)E内で混合される。なお、液体Aは、切替装置SW2のポート10P−2から主配管P1、切替装置SW1のポート10P−3を介して切替装置SW1の液体室R−2に流入するが、切替装置SW1のポート10P−2は開閉バルブV1により閉塞されており、切替装置SW1から液体Aが流出しないようになっている。また、液体Cは、切替装置SW4のポート10P−4、主配管P2、切替装置SW3のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW2のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW1のポート10P−5を介して切替装置SW1の液体室R−3に流入するが、切替装置SW1のポート10P−4は開閉バルブV2により閉塞されており、切替装置SW1から液体Cが流出しないようになっている。
【0026】
図6は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつタンクT3および専用配管SP3をCIP(Cleaning in Place;定置洗浄)するルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、切替装置SW1は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW2は、図2(c)に示すように、切替用ポート11P−1を開き、切替用ポート11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW3は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。切替装置SW4は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。
【0027】
切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、タンクT2内の液体Aを次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→切替装置SW2のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P−3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT4内の液体Cを次のルートで製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT4→専用配管SP4→第1配管SP4−1→切替装置SW4のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW4の切替用ポート11P−2→液体室R−3→切替装置SW4のポート10P−5→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
さらに、CIP専用配管CIP−P1からタンクT3および専用配管SP3に洗浄液を次のルートで供給して洗浄する。
CIP→CIP専用配管CIP−P1→タンクT3→専用配管SP3→第2配管SP3−2→CIP専用配管CIP−P2→CIP
【0028】
上記3つのルートで液体Aと液体Cとが製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Aと液体Cとは製造装置(又は分析装置)E内で混合される。また、同時に、先に使用したタンクT3および専用配管SP3を迅速にCIPできる。なお、液体Aは、切替装置SW2のポート10P−2から主配管P1、切替装置SW1のポート10P−3を介して切替装置SW1の液体室R−2に流入するが、切替装置SW1のポート10P−2は開閉バルブV1により閉塞されており、切替装置SW1から液体Aが流出しないようになっている。また、液体Cは、切替装置SW4のポート10P−4、主配管P2、切替装置SW3のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW2のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW1のポート10P−5を介して切替装置SW1の液体室R−3に流入するが、切替装置SW1のポート10P−4は開閉バルブV2により閉塞されており、切替装置SW1から液体Cが流出しないようになっている。
【0029】
図7は、図3に示す製造設備(分析設備)において、2セットの配管システムPSを用いてタンクT2から液体Aを上下の製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを下の製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつタンクT3から液体Bを上の製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、上下の切替装置SW1は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。上下の切替装置SW2は、図2(c)に示すように、切替用ポート11P−1を開き、切替用ポート11P−2を閉じた状態とする。上の切替装置SW3は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。下の切替装置SW3は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。上の切替装置SW4は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。下の切替装置SW4は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。
【0030】
上下の切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、タンクT2内の液体Aを次のルートで上の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→切替装置SW2のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P−3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT2内の液体Aを次のルートで下の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→切替装置SW2のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P−3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT3内の液体Bを次のルートで上の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT3→専用配管SP3→第1配管SP3−1→切替装置SW3のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW3の切替用ポート11P−2→液体室R−3→切替装置SW3のポート10P−5→主配管P2→切替装置SW4のポート10P―4→液体室R−3→切替装置SW4のポート10P―5→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT4内の液体Cを次のルートで下の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT4→専用配管SP4→第1配管SP4−1→切替装置SW4のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW4の切替用ポート11P−2→液体室R−3→切替装置SW4のポート10P−5→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
上記4つのルートで液体Aが上下の製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Bが上の製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Cが下の製造装置(又は分析装置)Eに供給される。したがって、液体Aと液体Bとは上の製造装置(又は分析装置)E内で混合され、液体Aと液体Cとは下の製造装置(又は分析装置)E内で混合される。なお、液体Aは、切替装置SW2のポート10P−2から主配管P1、切替装置SW1のポート10P−3を介して切替装置SW1の液体室R−2に流入するが、切替装置SW1のポート10P−2は開閉バルブV1により閉塞されており、切替装置SW1から液体Aが流出しないようになっている。液体Bは、切替装置SW3のポート10P−4、主配管P2、切替装置SW2のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW1のポート10P−5を介して切替装置SW1の液体室R−3に流入するが、切替装置SW1のポート10P−4は開閉バルブV2により閉塞されており、切替装置SW1から液体Bが流出しないようになっている。また、液体Cは、切替装置SW4のポート10P−4、主配管P2、切替装置SW3のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW2のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW1のポート10P−5を介して切替装置SW1の液体室R−3に流入するが、切替装置SW1のポート10P−4は開閉バルブV2により閉塞されており、切替装置SW1から液体Cが流出しないようになっている。
【0031】
図8は、図3に示す製造設備(分析設備)において、2セットの配管システムPSを用いてタンクT2から液体Aを下の製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを下の製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつ上の配管システムPSおよび専用配管SP3をCIPするルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、上下の切替装置SW1は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。上の切替装置SW2は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。下の切替装置SW2は、図2(c)に示すように、切替用ポート11P−1を開き、切替用ポート11P−2を閉じた状態とする。上の切替装置SW3は、図2(a)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を開いた状態とする。下の切替装置SW3は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。上の切替装置SW4は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。下の切替装置SW4は、図2(d)に示すように、切替用ポート11P−1を閉じ、切替用ポート11P−2を開いた状態とする。
【0032】
上下の切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、タンクT2内の液体Aを次のルートで下の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT2→専用配管SP2→第1配管SP2−1→切替装置SW2のポート10P−1→液体室R−1→切替装置SW2の切替用ポート11P−1→液体室R−2→切替装置SW2のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW3のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW3のポート10P−3→主配管P1→切替装置SW4のポート10P−2→液体室R−2→切替装置SW4のポート10P−3→主配管P1→製造装置(又は分析装置)E
また、タンクT4内の液体Cを次のルートで下の製造装置(又は分析装置)Eに供給する。
タンクT4→専用配管SP4→第1配管SP4−1→切替装置SW4のポート10P―1→液体室R−1→切替装置SW4の切替用ポート11P−2→液体室R−3→切替装置SW4のポート10P−5→主配管P2→製造装置(又は分析装置)E
さらに、CIP専用配管CIP−P1から専用配管SP3と上の配管システムPSに洗浄液を次の2つのルートで供給して洗浄する。
1)CIP→CIP専用配管CIP−P1→CIPバイパス管CIP−B3→専用配管SP3→第2配管SP3−2→CIP専用配管CIP−P2→CIP
2)CIP→CIP専用配管CIP−P1→CIPバイパス管CIP−B1→上の配管システムPS→上の製造装置(又は分析装置)Eの直上流より排出
上記2つのルートで液体Aが下の製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Cが下の製造装置(又は分析装置)Eに供給され、液体Aと液体Cとは下の製造装置(又は分析装置)E内で混合される。なお、液体Aは、切替装置SW2のポート10P−2から主配管P1、切替装置SW1のポート10P−3を介して切替装置SW1の液体室R−2に流入するが、切替装置SW1のポート10P−2は開閉バルブV1により閉塞されており、切替装置SW1から液体Aが流出しないようになっている。また、液体Cは、切替装置SW4のポート10P−4、主配管P2、切替装置SW3のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW2のポート10P−5,液体室R−3,ポート10P−4、主配管P2、切替装置SW1のポート10P−5を介して切替装置SW1の液体室R−3に流入するが、切替装置SW1のポート10P−4は開閉バルブV2により閉塞されており、切替装置SW1から液体Cが流出しないようになっている。
【0033】
図9は、図3に示す製造設備(分析設備)において、二つの製造装置(分析装置)Eのうち、一方の製造装置(分析装置)Eの停止中に他方の製造装置(分析装置)Eに液体を供給する配管システムPSを洗浄するルートを設定する方法を示す模式図である。この場合、上の切替装置SW1〜SW4は、図2(a)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を開いた状態とする。下の切替装置SW1〜SW4は、図2(b)に示すように、切替用ポート11P−1,11P−2を閉じた状態とする。
上下の切替装置SW1〜SW4を上述のように設定することにより、CIP専用配管CIP−P1から上の配管システムPSおよび専用配管SP1,SP2,SP3,SP4に洗浄液を次の2つのルートで供給して洗浄する。
1)CIP→CIP専用配管CIP−P1→CIPバイパス管CIP−B1→上の配管システムPS→上の製造装置(又は分析装置)Eの直上流より排出
2)CIP→CIP専用配管CIP−P1→CIPバイパス管CIP−B2,CIP−B3,CIP−B4,CIP−B5→専用配管SP2,SP3,SP4,SP1→第2配管SP2−2,SP3−2,SP4−2→CIP専用配管CIP−P2→CIPとし、必要に応じて第2配管SP1−2→CIP専用配管CIP−P2→CIPとする。
【0034】
図10は、本発明に係る配管システムPSが適用された分析設備の一例である液体クロマトグラフ設備を示す図である。図10に示す例においては、本発明に係る配管システムPSが2セット用いられており、2セットの液体クロマトグラフ装置Eにバッファ(緩衝液)が供給可能になっている。図10に示すように、液体クロマトグラフ設備は、希釈液を貯留したタンクT1と、バッファ(緩衝液)Aを貯留したタンクT2と、バッファ(緩衝液)Bを貯留したタンクT3と、バッファ(緩衝液)Cを貯留したタンクT4と、液体クロマトグラフ装置Eと、複数のタンクT1,T2,T3,T4と液体クロマトグラフ装置Eとを連結する配管システムPSとを備えている。図10に示す例においては、タンクT1,T2,T3,T4の容量は、数キロリットル〜数十キロリットルに設定されている。また配管システムPSに用いられている配管径は、50mmに設定されている。勿論、各タンクの容量や配管径は各液体クロマトグラフ装置の仕様に応じて任意に設定可能である。
【0035】
配管システムPSは、液体クロマトグラフ装置Eに接続される2本の主配管P1,P2と、複数のタンクT1,T2,T3,T4に個別に接続される専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と、各専用配管SP1,SP2,SP3,SP4と前記2本の主配管P1,P2とを接続する切替装置SW1,SW2,SW3,SW4とを備えている。各専用配管SP1、SP2,SP3,SP4は、図3と同様に、各切替装置SW1,SW2,SW3,SW4のポート10P−1に接続される第1配管SP1−1,SP2−1,SP3−1,SP4−1と、CIP配管等に接続される第2配管SP1−2,SP2−2,SP3−2,SP4−2とに分岐されている。各配管システムPSの主配管P1,P2は、液体クロマトグラフ装置Eに接続されている。
【0036】
図10に示す液体クロマトグラフ設備において、所望の濃度のバッファ(緩衝液)や所望の数種類のバッファ(緩衝液)を液体クロマトグラフ装置Eに供給するルートの設定方法は、図4乃至図9に示した方法と同様である。
【0037】
次に、液体クロマトグラフ装置Eの装置構成について図10を参照して説明する。
液体クロマトグラフ装置Eは、配管システムPSの主配管P1,P2に接続された装置内の配管EP1,EP2を有しており、配管EP1,EP2にはポンプ20,20および流量計21,21が設置されている。そして、配管EP1,EP2は合流してインラインミキサ22に接続されている。また、液体クロマトグラフ装置Eにより分析される試料(sample)は、配管EP3を介して装置内に供給され、配管EP3は配管EP1に合流される。
【0038】
上述のように構成された装置内の配管系路において、配管システムPSを介して供給されたバッファ(緩衝液)A又はバッファB又はバッファCと、配管システムPSを介して供給された希釈液とは、インラインミキサ22で混合される。この際、バッファ(緩衝液)の流量および希釈液の流量は、それぞれ流量計21,21により計測され、これら計測値に基づいてポンプ20,20の回転速度を制御することにより、バッファおよび希釈液の流量は正確にコントロール可能である。したがって、インラインミキサ22において所望の濃度のバッファ(緩衝液)を調整することができる。
また、配管システムPSを介して二種類のバッファをインラインミキサ22に供給することにより、二種類のバッファの混合液を得ることができる。この際、二種類のバッファの流量は、それぞれ流量計21,21により計測され、これら計測値に基づいてポンプ20,20の回転速度を制御することにより、二種類のバッファの流量は正確にコントロール可能である。したがって、インラインミキサにおいて二種類のバッファの混合比を所望の比率に調整した混合緩衝液を得ることができる。
一方、試料(sample)は、インラインミキサ22でバッファと混合される場合とされない場合がある。そして、試料とバッファの混合液は、バブルトラップ23およびフィルタ24を介してカラム25に供給される。カラム25において、試料中の成分が分離され、分離された成分が検出器で検出されることは、通常のクロマトグラフ装置と同様である。
【0039】
図11は、切替装置SW1〜SW4を一体化した切替装置ブロックを示す図であり、図11(a)は切替装置ブロックの平面図、図11(b)は切替装置ブロックの正面図、図11(c)は切替装置ブロックの側面図である。
図11(a)乃至図11(c)に示すように、図1乃至図10に示す4つの切替装置SW1〜SW4は、物理的に一体化されて1つの切替装置ブロックSWBを形成している。すなわち、切替装置SW1〜SW4は、隣接するバルブ本体10,10が相互に接続されて1つのブロックとして一体化されている。そして、主配管P1,P2は、切替装置SW1,SW4の端部から左右に延びている。また、切替装置SW1〜SW4の中央ポート10P−1には、それぞれ第1配管SP1−1,SP2−1,SP3−1,SP4−1が接続されている。
図11に示す切替装置ブロックによれば、切替装置SW1〜SW4をコンパクトにまとめることができ、切替装置SW1〜SW4を相互に接続するための主配管P1,P2を省略でき、液だまりを少なくすることができる。すなわち、主配管P1,P2は、切替装置SW1,SW4の端部のみから左右に延ばせばよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の配管システムを備えた製造設備又は分析設備の全体構成を示す模式的平面図である。
【図2】図2(a)乃至図2(d)は切替装置の構成および切替例を示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る配管システムが適用された製造設備(又は分析設備)の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT1から希釈液を製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートを設定する方法を示す模式図である。
【図5】図5は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを製造装置(又は分析装置)Eに供給するルートを設定する方法を示す模式図である。
【図6】図6は、図3に示す製造設備(分析設備)において、タンクT2から液体Aを製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつタンクT3および専用配管SP3をCIP(Cleaning in Place;定置洗浄)するルートを設定する方法を示す模式図である。
【図7】図7は、図3に示す製造設備(分析設備)において、2セットの配管システムPSを用いてタンクT2から液体Aを上下の製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを一方の製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつタンクT3および専用配管SP3をCIPするルートを設定する方法を示す模式図である。
【図8】図8は、図3に示す製造設備(分析設備)において、2セットの配管システムPSを用いてタンクT2から液体Aを下の製造装置(又は分析装置)Eに供給するとともにタンクT4から液体Cを下の製造装置(又は分析装置)Eに供給し、かつ上の配管システムPSおよび専用配管SP3をCIPするルートを設定する方法を示す模式図である。
【図9】図9は、図3に示す製造設備(分析設備)において、二つの製造装置(分析装置)のうち、一方の製造装置(分析装置)の停止中に他方の製造装置(分析装置)に液体を供給する配管システムを洗浄するルートを設定する方法を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明に係る配管システムが適用された分析設備の一例である液体クロマトグラフ設備を示す図である。
【図11】図11は、切替装置を一体化した切替装置ブロックを示す図であり、図11(a)は切替装置ブロックの平面図、図11(b)は切替装置ブロックの正面図、図11(c)は切替装置ブロックの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 バルブ本体
10P−1,10P−2,10P−3,10P−4,10P−5 流出入用ポート
11−1,11−2 仕切壁
11P−1,11P−2 切替用ポート
12−1,12−2 弁体
14−1,14−2 弁体駆動シリンダ
20 ポンプ
21 流量計
22 インラインミキサ
23 バブルトラップ
24 フィルタ
25 カラム
A,B,C 液体
CIP−P1,CIP−P2 CIP専用配管
CIP−B1,CIP−B2,CIP−B3,CIP−B4,CIP−B5 CIPバイパス管
E 製造装置(又は分析装置)
EP1,EP2,EP3 配管
PS 配管システム
P1,P2 主配管
R−1,R−2,R−3 液体室
SP1,SP2,SP3,SP4 専用配管
SP1−1,SP2−1,SP3−1,SP4−1 第1配管
SP1−2,SP2−2,SP3−2,SP4−2 第2配管
SW1,SW2,SW3,SW4 切替装置
SWB 切替装置ブロック
T1,T2,T3,T4 タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留した複数のタンクから2つのタンクを任意に選択し、選択された2つのタンクから個別に液体を製造装置又は分析装置に供給することが可能な配管システムであって、
前記複数のタンクに個別に接続する複数の専用配管と、
前記製造装置又は分析装置に個別に接続する2本の主配管と、
前記各専用配管と前記2本の主配管とを接続する切替装置とを備え、
前記切替装置は、内部に2つの仕切壁によって仕切られた3つの液体室を有した切替装置本体と、前記2つの各仕切壁に個別に形成され隣接する液体室間で液体を流すことを可能とする切替用ポートと、前記切替装置本体内に設けられ前記2つの切替用ポートを個別に開閉する2つの弁体とを備え、
前記専用配管は、前記3つの液体室のうち中央の液体室に連通する前記切替装置本体の中央ポートに接続され、
前記2本の主配管は、前記3つの液体室のうち前記中央の液体室を挟むように配置された2つの液体室に連通する前記切替装置本体の2つのポートにそれぞれ接続されることを特徴とする配管システム。
【請求項2】
前記切替装置は、前記2つの弁体を駆動して前記2つの切替用ポートを共に開き、または共に閉じ、または一方を閉じ他方を開くことにより流路切替を行うことを特徴とする請求項1記載の配管システム。
【請求項3】
前記製造装置又は分析装置とは異なる製造装置又は分析装置に個別に接続する2本の主配管を更に設け、
前記各専用配管と、これら更に設けた2本の主配管とを接続する切替装置を更に設けたことを特徴とする請求項1記載の配管システム。
【請求項4】
前記分析装置は、液体クロマトグラフ装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配管システム。
【請求項5】
前記複数のタンクのうち、少なくとも1つのタンクは希釈液を貯留し、他のタンクは原液を貯留することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配管システム。
【請求項6】
洗浄液を供給するための洗浄用配管を更に備え、該洗浄用配管は、前記各タンク又は前記専用配管又は前記主配管にバルブを介して接続可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配管システム。
【請求項7】
前記複数のタンクのうち1つのタンクが空になったら、前記洗浄用配管から洗浄液を供給して前記空になったタンクを洗浄している間に、他のタンクから配管システムを介して前記製造装置又は分析装置に液体を供給することを特徴とする請求項6記載の配管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−151461(P2010−151461A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327165(P2008−327165)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】