説明

配管構造及び配管システム

【課題】漏水を未然に防止する効果の高い配管構造と、この配管構造を備えた配管システムを得る。
【解決手段】継手部材28には縮径部41が構成され、縮径部41よりも上流側で、保持部材50及び保持棒60によって縮径部41の内径D4よりも大きい直径D3を有する弁部材62が保持されている。保持棒60はパイプ部材24、26と同材質とされ、その本体部60Hは、パイプ部材24、26の肉厚T1よりも小さい直径D1とされている。パイプ部材24、26の劣化による漏水が発生する前に、本体部60Hが劣化により破断され、下流側に移動した弁部材62が縮径部42に接触して流路18が閉塞される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造と、この配管構造を備えた配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の配管部材(パイプ)は、施工性等に優れているため広く用いられているが、このような樹脂製の配管部材が劣化した場合に、漏水を抑制することが望まれる。
【0003】
たとえば、特許文献1には、配管継手部のカバー体の小孔を介して流出した液体を色で表示する表示手段を設け、この表示手段の色を目視することで継目部からの漏水を発見できるようにした配管継手部の漏水発見装置が記載されている。また、特許文献2には、管継手の弾性層にICチップ及びアンテナを備え、接水時に電波の発信機能を停止する等によって、漏水の発生を事前に検知できるようにした漏水検知型継手が記載されている。特許文献3には、漏水を一時的に貯水し、漏水検知装置が漏水を検知した時に遮断弁を作動させて水の流れを遮断する漏水自動検知システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−183849号公報
【特許文献2】特開2007−218839号公報
【特許文献3】特開平7−260098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構造では、継目部からの漏水が発生した後に、これを発見できるようにしたものであり、漏水を防止するものではない。特許文献2の構造では、ICチップ及びアンテナを有しており、これらの動作の安定性への依存度が高いため、より確実に漏水を防止することが望まれる。特許文献3の構造においても、漏水が発生した後に遮断弁を作動させる構造であり、漏水を防止するものではない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、漏水を未然に防止する効果の高い配管構造と、この配管構造を備えた配管システムを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、流体の流路を構成し少なくとも一部が樹脂製とされた流路部材と、前記流路部材の内部において前記流路を局所的に縮径した縮径部と、前記流路部材の内部において前記縮径部よりも上流側に設けられ、下流側に移動すると前記縮径部に接触して流路を閉塞する弁部材と、少なくとも一部が前記流路部材と同材質の樹脂で形成され流路部材の内部で前記弁部材を前記縮径部よりも上流側で保持すると共に、流路部材の樹脂部分の劣化による漏水よりも前に劣化して弁部材の保持を解除する保持部材と、を有する。
【0008】
この配管構造では、通常状態では、弁部材が保持部材によって、縮径部よりも上流側で保持されている。したがって、弁部材が縮径部に接触して流路を閉塞することはない。
【0009】
保持部材の少なくとも一部は、流路部材の少なくとも一部を構成する樹脂と同材質の樹脂で構成されている。したがって、流路部材の樹脂部分と同じように、保持部材の樹脂部分が劣化する。そして、保持部材は、流路部材の樹脂部分の劣化による漏水よりも前に劣化して破断し、弁部材の保持を解除する。保持解除された弁部材は、そのまま下流側へと移動し、縮径部に接触して流路を閉塞する。この段階では、流路部材の樹脂部分の劣化による漏水は発生していない。すなわち、漏水の発生よりも前に、流路が閉塞されるため、漏水を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記保持部材が、棒状に形成された前記樹脂製の棒状部を備え、前記棒状部の長手方向と直交する方向の断面において最も長さの長い部分が、前記流路部材の樹脂部分の肉厚の最も薄い部分よりも短くされている。
【0011】
このように、棒状部の断面積の上限を決めておくことで、流路部材の樹脂部分の劣化による漏水よりも前に、保持部材による弁部材の保持を確実に解除させて流路を閉塞することが可能になる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記保持部材の棒状部の長手方向と直交する方向の断面積をS1、外周部分の表面積をS2としたとき、棒状部の形状係数K=S1/S2が、前記流路部材の樹脂部分の劣化による想定寿命に応じて一意に決められている。
【0013】
すなわち、棒状部は、その断面積S1に比例して形状係数Kが高くなる。また、棒状部の形状係数Kは、外周部分の表面積S2に反比例する。すなわち、断面積S1を小さくすれば、それにあわせて表面積S2も小さくすることで、棒状部の劣化対する強度(耐性)を同一にすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記流路部材が、前記樹脂製の複数のパイプ部材と、前記パイプ部材の端部に設けられパイプ部材どうしを接続する継手部材と、を備え、前記縮径部、前記弁部材及び前記保持部材が前記継手部材に備えられている。
【0015】
したがって、継手部材を用いて、複数のパイプ部材を接続することができる。縮径部、弁部材及び保持部材は継手部材に備えられているため、これらは、パイプ部材の長手方向端部に位置することになる。したがって、縮径部、弁部材及び保持部材をパイプ部材の長手方向中間部に設けた構造と比較して、製造や施工が容易になる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記樹脂がポリブテン又は架橋ポリエチレンである。
【0017】
流路部材の樹脂部分をポリブテン又は架橋ポリエチレンとすることで、施工性及び耐久性にすぐれた流路部材となる。そして、保持部材の樹脂部分もポリブテンなので、流路部材の樹脂部分と同程度に劣化が進行する。
【0018】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配管構造と、前記配管構造の上流側及び下流側にそれぞれ備えられた配管部材と、を備えている。
【0019】
すなわち、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配管構造に対し、その上流側及び下流側に配管部材が供えられることで、全体としての配管システムが構成される。請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配管構造を備えているので、配管システムにおいて漏水の発生よりも前に流路が閉塞され、漏水を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成としたので、漏水を未然に防止する効果の高い配管構造と、この配管構造を備えた配管システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の配管構造を備えた配管システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の配管構造を継手部材の近傍で拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の配管構造を継手部材の近傍で拡大して示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の配管構造を流路を閉塞していない状態で、継手部材の近傍で拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の配管構造を流路を閉塞した状態で、継手部材の近傍で拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の配管構造における保持部材の直径とパイプ部材の肉厚との関係を示す断面図である。
【図7】(A)〜(D)はいずれも、本発明の第1実施形態の配管構造に適用可能な保持部材の変形例の断面形状を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の配管構造に適用可能な保持部材の変形例の断面形状を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の配管構造を継手部材の近傍で拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の配管構造を弁部材の近傍で部分的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2〜図5には、本発明の第1実施形態の配管構造22が示されている。また、図1には、配管構造22を備えた配管システム12が示されている。この配管構造22では、2本のパイプ部材24、26が継手部材28によって接続されており、パイプ部材24、26及び継手部材28の内部に流体の流路18が構成されている。図面において、この流れを矢印F1で示す。また、単に「上流」及び「下流」というときは、この流れの方向における上流及び下流をいうものとする。
【0023】
図1に示す配管システム12では、一例として、上流側の水道メーター14から、下流側の水栓16に至る流体(たとえば水)の流路18(図4参照)を、配管部材20により構成しており、流路18の途中に、本実施形態に係る配管構造22が配設されている。したがって、配管構造22の上流側及び下流側にそれぞれ配管部材20が備えられ、全体として配管システム12が構成されている。なお、配管構造22の前後では、パイプ部材24、26が配管部材20を兼ねている。
【0024】
パイプ部材24、26はいずれも同一材料の樹脂製とされており、同一の内径及び外径を有している。本実施形態では特に、パイプ部材24、26をポリブテン(PB)又は架橋ポリエチレン(PFX)で構成しており、配管構造22として、他の材料を用いた場合と比較して高い施工性及び耐久性を得ている。
【0025】
継手部材28は、2つの継手構成体(上流側継手構成体30及び下流側継手構成体32によって構成されている。上流側継手構成体30は、上流側のパイプ部材24の下流端に取り付けられ、下流側継手構成体32は、下流側のパイプ部材26の上流端に取り付けられるようになっている。そして、上流側継手構成体30と下流側継手構成体32とを接続して一体化する(継手部材28を構成する)ことで、2本のパイプ部材24、26が接続される。なお、上流側継手構成体30と下流側継手構成体32とを接続する構造は特に限定されず、ワンタッチ継手(上流側継手構成体30と下流側継手構成体32を互いに開口部分に当てて押し込むだけで接続される構造)や、ねじ込み式のもの等を採用できるが、ワンタッチ継手とすれが、施工性に優れる。いずれの構成においても、上流側継手構成体30と下流側継手構成体32とを接続した状態で、図示しないロック手段により、不用意に外れないようにロックされる。
【0026】
上流側継手構成体30の上流側端部には、パイプ部材24への接続用とされる小径部33が形成されており、上流側継手構成体30は、この小径部33の下流側端部に設けられた円板部34、さらに、この円板部34の外周から下流側へ連続する円筒状の大径部36を有している。これに対し、下流側継手構成体32の下流側端部には、パイプ部材26への接続用とされる円筒状の小径部38と、上流側端部において小径部38よりも大径とされる円筒状の大径部42とを有し、さらに、小径部38と大径部42とが略円錐台状のテーパー部40によって連続した形状とされている。下流側継手構成体32の大径部42は、上流側継手構成体30の大径部36と略同様の内径及び外径を有している。また、小径部38では、大径部42と比較して流路18が局所的に縮径されており、本発明に係る縮径部41となっている。
【0027】
大径部36、42の対向部分には、接合時に嵌合する嵌合環状部44、46が形成されている。本実施形態では、大径部36の嵌合環状部44の内側に、大径部42の嵌合環状部46が入り込んで嵌合されるようになっており、嵌合状態でこれらの間を閉塞するリング状のガスケット48が取り付けられている。
【0028】
嵌合環状部44、46の間には、保持部材50が配置されている。保持部材50は、嵌合環状部44、46の間に挟持されて保持される環状の大リング部52と、この大リング部52と同心で配置された小リング部54、さらに径方向に沿って配置され大リング部52と小リング部54とを接続する複数本(図2及び図3では3本)接続部56で構成されている。保持部材50は、パイプ部材24、26を構成する材料よりも、流体に晒された場合に劣化しづらい材料(たとえば金属が挙げられるが、樹脂であってもよい)により形成されている。
【0029】
小リング部54の中央には挿通孔58が形成されており、この挿通孔58には、パイプ部材24、26と同材質(本実施形態ではポリブテン)で円柱の棒状に形成された保持棒60の本体部60Hが挿通されている。保持棒60の上流側端部は挿通孔58よりも大径に形成された抜け止め部60Dとされており、保持棒60が挿通孔58から下流側に抜け出ないようになっている。
【0030】
保持棒60の本体部60Hにおける下流側端部には、弁部材62がねじ込み、あるいは圧入等により取り付けられている。弁部材62は、下流側に向かって先細りとなる円錐状に形成されており、底面(上流側の端面)の直径D3は、縮径部41の内径D4よりも大きくされている。
【0031】
図6に詳細に示すように、保持棒60をその長手方向と直交する方向の断面で見たときの直径D1は、パイプ部材24、26を構成している樹脂の最も薄い部分の肉厚T1よりも短くされている。パイプ部材24、26と保持棒60とは同じ材質で構成されているので、流路18内を流れる流体が接触して劣化する場合には、同程度に劣化が進行するが、パイプ部材24、26が劣化によって穿孔されたり破断されたりするよりも前に、保持棒60が破断されるようになっている。これは、パイプ部材24、26は、その内周面側からのみ劣化するのに対し、保持棒60は全周から劣化するためである。
【0032】
また、保持棒60において、上記と同様の断面で見たときの断面積S1は、保持棒60が劣化により破断される場合の耐性と比例している(断面積S1が大きくなるほど、保持棒60は破断され難くなる)。さらに、実質的に弁部材62を保持している部分(劣化によって破断される可能性がある部分)である本体部60Hの表面積S2は、保持棒60が劣化により破断される場合の耐性と反比例している(表面積S2が大きくなるほど、保持棒60は流体に晒されて劣化する面積も広くなり、破断され易くなる)。ここで、形状係数Kとして、K=S1/S2を導入し、この形状係数Kを決めることで、保持棒60の形状が、破断に対する所望の耐性を持ったものとして決定できる。
【0033】
そして、通常状態、すなわち保持棒60が破断されていない状態では、弁部材62が縮径部41よりも上流側において、縮径部41から離間した位置に保持されているが、保持棒60が破断されて弁部材62の保持が解除されると、弁部材62は下流側へ移動し、縮径部41に接触して流路18を閉塞するようになっている。なお、このように弁部材62が下流側へ移動するとき、テーパー部40は、弁部材を縮径部41へと案内する作用を奏する。
【0034】
次に、本実施形態の配管構造22の作用を説明する。
【0035】
通常状態では、図4に示すように、保持棒60は破断されておらず、弁部材62は保持棒60及び保持部材50によって、縮径部41よりも上流側で保持されている。弁部材62は縮径部41に接触しておらず、流路18を閉塞していないので、矢印F1で示すように、流路18内を流体が流れる。
【0036】
流路18内を流れる流体によってパイプ部材24、26は徐々に劣化する。すなわち、パイプ部材24、26を構成する樹脂材料には、たとえば老化防止剤が含まれているが、使用環境(流体の温度、塩素濃度、使用時間等)に依存して老化防止剤が消費され、分子量も徐々に低下していく。流路18内を流れる流体が水である場合を想定すると、この場合には、パイプ部材24、26の樹脂材料の中に含まれる老化防止剤が熱や塩素等より消費される。そして、老化防止剤が枯渇した後で分子量が低下し、分子の結合が切れて物性が低下する。
【0037】
本実施形態では、保持棒60は、パイプ部材24、26と同じ材質で形成されているので、パイプ部材24、26と同程度に保持棒60の劣化も進行する。ここで、図6に示したように、保持棒60の断面の直径D1は、パイプ部材24、26の最薄部分の肉厚T1よりも短くされており、パイプ部材24、26が劣化によって穿孔されたり破断されたりするよりも前に、保持棒60が破断される。そして、保持棒60の破断により弁部材62の保持が解除されると、弁部材62は下流側へ移動し、縮径部41に接触して流路18を閉塞する。すなわち、パイプ部材24、26の劣化による漏水が発生する前に、流路18が閉塞され、パイプ部材24、26からの漏水を防止できる。
【0038】
そして、配管システム12の使用者(配管システム12により流体の共有を受けている者)は、水栓16等から流体が流出しなくなるので、パイプ部材24、26の寿命が近づいていることを知ることが可能である。
【0039】
しかも、本実施形態では、形状係数K=S1/S2を用いて、保持棒60の破断に対する耐性からその形状を決定している。すなわち、断面積S1を小さくすれば、それにあわせて表面積S2も小さくすることで、形状係数Kを一定に維持し、棒状部の劣化対する強度(耐性)を同一にすることができる。
【0040】
なお、上記の例では、本発明に係る保持部材の樹脂部分として、円柱状の本体部60Hを有する保持棒60、すなわち、図6にも示したように断面が円形のものを挙げているが、保持棒60の本体部60Hの断面形状は円形に限定されない。たとえば、図7(A)に示す正方形状、図7(B)に示す長方形状、図7(C)に示す三角形状、図7(D)に示す断面形状等であってもよい。これらの断面において、最も長さの長い部分の長さL2を、パイプ部材24、26の最薄部分の肉厚T1よりも短くしておくと、パイプ部材24、26の穿孔や破断の前に保持棒60が破断されるための十分条件を満たすことになる。また、断面積が小さく、実質的に糸状とみなせるような形状のものであっても、パイプ部材24、26よりも前の段階で劣化による破断が生じるように構成されていれば、本発明に係る保持手段の樹脂部分となりうる。
【0041】
また、図8に示す変形例のように、保持棒60の本体部60Hに切れ込み60Cを入れて局所的に細くすることで、保持棒60の耐性を低下させたものを用いてもよい。この構成では、保持棒60の本体部60Hの破断に対する耐性が、切れ込み60Cが形成された箇所の断面積に依存すると考えられるため、切れ込み60C以外の箇所においては、保持棒60(特に本体部60H)の形状の自由度が高くなる。
【0042】
さらに、図9に示す第2実施形態の構造としてもよい。この第2実施形態では、第1実施形態の保持部材50に代えて、パイプ部材24、26と同材質の保持部材70が用いられ、その中心部分に、球形の弁部材72が保持されている。弁部材72の直径D5は、縮径部41の内径D4よりも大きくされている。
【0043】
図10にも詳細に示すように、保持部材70は、第1実施形態の大リング部52と略同様に環状に形成された大リング部74を有しており、この大リング部74からは、円柱状に形成された複数本(本実施形態では3本)の保持棒76が径方向内側に延出されている。これに対し、弁部材72には、保持棒76のそれぞれに対応した位置に挿入孔72Hが形成されている。保持棒76のそれぞれの先端は、部分的に弁部材72の挿入孔72Hに挿入されており、これによって、弁部材72が縮径部41よりも上流側の所定位置で保持されている。保持棒76は、第1実施形態の保持棒60と同様に、その長手方向と直交する断面での直径D2が、パイプ部材24、26を構成している樹脂の最薄部分の肉厚T1よりも短くされている。なお、第2実施形態において、これ以外は第1実施形態と同様の構成とされているので、同一の構成要素、部材等については第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0044】
このような構成とされた第2実施形態においても、パイプ部材24、26が劣化によって穿孔されたり破断されたりするよりも前に、保持棒76が破断され、弁部材72の保持が解除される。これにより、図9に二点鎖線で示すように、弁部材62は下流側へ移動して縮径部41に接触し、流路18を閉塞する。
【0045】
また、上記では、本発明の配管構造が継手部材28の内部に構成されたものを挙げているが、本発明の配管構造としては、要するに配管システム12のいずれかの箇所に設けられていればよく、たとえば、パイプ部材24、26の内部に設けてもよい。実際の配管システム12では、住宅内等において、途中の分岐部から配管が複数の系統に分岐されることがある。この場合には、分岐部よりも上流側(住宅への配管の入口部分)に1箇所設けてもよいし、分岐部よりも下流側で系統毎に設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
12 配管システム
14 水道メーター
16 水栓
18 流路
20 配管部材
22 配管構造
24 パイプ部材(流路部材)
26 パイプ部材(流路部材)
28 継手部材(流路部材)
41 縮径部
50 保持部材
60 保持棒
60H 本体部
62 弁部材
70 保持部材
72 弁部材
76 保持棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を構成し少なくとも一部が樹脂製とされた流路部材と、
前記流路部材の内部において前記流路を局所的に縮径した縮径部と、
前記流路部材の内部において前記縮径部よりも上流側に設けられ、下流側に移動すると前記縮径部に接触して流路を閉塞する弁部材と、
少なくとも一部が前記流路部材と同材質の樹脂で形成され流路部材の内部で前記弁部材を前記縮径部よりも上流側で保持すると共に、流路部材の樹脂部分の劣化による漏水よりも前に劣化して弁部材の保持を解除する保持部材と、
を有する配管構造。
【請求項2】
前記保持部材が、棒状に形成された前記樹脂製の棒状部を備え、
前記棒状部の長手方向と直交する方向の断面において最も長さの長い部分が、前記流路部材の樹脂部分の肉厚の最も薄い部分よりも短くされている請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記保持部材の棒状部の長手方向と直交する方向の断面積をS1、外周部分の表面積をS2としたとき、棒状部の形状係数K=S1/S2が、前記流路部材の樹脂部分の劣化による想定寿命に応じて一意に決められている請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記流路部材が、
前記樹脂製の複数のパイプ部材と、
前記パイプ部材の端部に設けられパイプ部材どうしを接続する継手部材と、
を備え、
前記縮径部、前記弁部材及び前記保持部材が前記継手部材に備えられている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項5】
前記樹脂がポリブテン又は架橋ポリエチレンである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の配管構造と、
前記配管構造の上流側及び下流側にそれぞれ備えられた配管部材と、
を備えた配管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106541(P2011−106541A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260827(P2009−260827)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】