説明

配線システム

【課題】機能モジュールの配置を容易に変更できる配線システムを提供する。
【解決手段】腰板モジュールAは、建物の壁の室内側表面の下側部に取着される腰板パネル1を有し、腰板パネル1の上側縁に係止溝2を形成し、当該係止溝2の内側に電力供給のための電源ラインを構成する導電板L1と、情報信号の伝送のための情報ラインを構成する導電板L2とを設けてある。機能モジュールBのモジュール本体4は、電源コンセント10aおよび情報コンセント10bが前面に設けられる本体部4aと、本体部4aの下側部背面側から下方に突出して腰板パネル1の係止溝2に引掛係止する突出部4bとで構成され、突出部4bの前面側には導電板L1,L2にそれぞれ電気的に接続される電源接続端子5a、情報接続端子5bを設けてあり、両接続端子5a,5bを介して腰板モジュールAから電力の供給と情報信号の授受とを行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の屋内配線では、建物の壁の裏側に電気配線を先行配線しておき、壁の要所に設けたスイッチボックスまで電気配線を導入していた。そして、コンセントやスイッチなどの埋込型配線器具を配設する際には、スイッチボックスから引き出した電気配線を埋込型配線器具の端子部に接続した後、配線器具用に規格化された取付枠を用いて配線器具をスイッチボックスに埋込配設していた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−37037号公報(段落[0002]、及び、第13図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の屋内配線では、スイッチボックスの施工場所が予め決められており、埋込型の電源コンセントや情報コンセントなどの場所を自由に移動させることができなかった。そのため、電気機器を設置したい場所の近くに電源コンセントや情報コンセントが無い場合は、離れた場所にある電源コンセントや情報コンセントからテーブルタップやモジュラコードを用いて延長配線しなければならず、電源コードやモジュラコードを床に引き回すため、配線が見苦しく部屋の美観を損ねるという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、機能モジュールの配置を容易に変更できる配線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、建物の壁の室内側表面に配設される配線モジュール本体を有し、当該配線モジュール本体の側縁に係止溝を形成し、当該係止溝の内側に電力供給および情報信号の伝送を行うための導電路が配置された配線モジュールと、前記係止溝に引掛係止する係止手段、導電路に電気的に接続する接続手段および所定の機能を有する機能部を有し、係止手段を係止溝に引掛係止させることで配線モジュールに取着した状態で、接続手段を介して導電路から電力の供給又は情報信号の授受の内少なくとも何れか一方又は両方を行う機能モジュールと、で構成されることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、機能モジュールは機能部を挟んで両側に係止手段を備え、一方の係止手段に電力供給を行うための接続手段を、他方の係止手段に情報信号の伝送を行うための接続手段をそれぞれ設けるとともに、各係止手段がそれぞれ引掛係止される係止溝を配線モジュール本体に設け、一方の係止手段が引掛係止される係止溝に電力供給のための導電路を、他方の係止手段が引掛係止される係止溝に情報信号の伝送を行うための導電路をそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、配線モジュール本体が、建物の壁の下側部に取着される腰板からなることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、機能モジュールは、配線モジュールの係止溝に係止する手段を具備して配線モジュールに取着される造作部材とは別体に形成された機能モジュール本体に、係止手段と接続手段と機能部とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、機能モジュールは、配線モジュールの係止溝に係止する手段を具備して配線モジュールに取着される造作部材とは別体に形成された機能モジュール本体に、係止手段と接続手段と機能部とを設けてあり、機能モジュール本体を他の造作部材と組み合わせることで見切り縁を構成することを特徴とする。ここに、見切り縁とは、幅木や周り縁や腰見切り縁などの見切りに取り付ける部材のことである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、機能モジュールは、配線モジュールに取着される見切り縁よりなる機能モジュール本体に、係止手段と接続手段と機能部とを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1つの発明において、機能モジュール本体に、接続手段を介して導電路に接続される接続口を具備したゲート装置を設け、接続口に接続される被接続部を具備して当該被接続部を接続口に接続した状態で機能モジュール本体の室内側の表面に配置され、ゲート装置を介して電力の供給又は情報信号の授受の内の少なくとも何れか一方又は両方を行う基本機能モジュールを設け、当該基本機能モジュールにより機能部を構成することを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、基本機能モジュールと並べて機能モジュール本体の室内側の表面に配置され、基本機能モジュールを介して電力の供給又は情報信号の授受の内の少なくとも何れか一方又は両方を行う拡張機能モジュールを設け、当該拡張機能モジュールが基本機能モジュールとともに機能部を構成することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか1つの発明において、ガイド灯と、周囲照度が所定のしきい値よりも暗くなると制御信号を含む情報信号を送信する明るさセンサからの制御信号を受け取るとガイド灯を点灯させる点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、明るさセンサが制御信号を出力すると機能モジュールの点灯制御部がガイド灯を点灯させることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1乃至8の何れか1つの発明において、ガイド灯と、ガイド灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、機能モジュールの点灯制御部がガイド灯を点灯させることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項1乃至8の何れか1つの発明において、誘導灯と、情報信号に含まれる制御信号に応じて誘導灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、複数の機能モジュールが備える誘導灯を所定の順番でサイクリックに点滅させることを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1乃至8の何れか1つの発明において、誘導灯と、情報信号に含まれる制御信号に応じて誘導灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、機能モジュールは制御信号が入力されると誘導灯を点灯させることを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れか1つの発明において、導電路が、電源供給のための電力ラインと、情報信号を伝送するための情報ラインとで構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項14の発明は、請求項1乃至12の何れか1つの発明において、導電路が電源供給のための電力ラインからなり、電力ラインを介して電力線搬送通信により情報信号を授受する電力線搬送通信手段を、ゲート装置又は基本機能モジュールの何れかに設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、配線モジュール本体の側縁に設けた係止溝の内側に電力供給と情報信号の伝送を行うための導電路が配置されており、機能モジュールの係止手段を係止溝に引掛係止すると、機能モジュールが接続手段を介して導電路から電力の供給又は情報信号の授受の内少なくとも何れか一方又は両方を行うことができるので、配線モジュールの所望の位置に機能モジュールを取り付けることで、所望の機能を必要な場所に設けることができ、また機能モジュールの取付位置を容易に変更できるから、室内のレイアウト変更などで機能モジュールの取付位置を変更したい場合にも容易に対応できるという効果がある。
【0020】
請求項2の発明によれば、機能部を挟んで両側に設けた係止手段の内の一方に電力供給を行うための接続手段を、他方に情報信号の伝送を行うための接続手段をそれぞれ設けているので、電源ラインと情報ラインとを分離して配置することで、絶縁性を高めることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、腰板に機能モジュールを取り付けることで、腰高の位置に機能モジュールを配置することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、機能モジュール本体が単体で配線モジュールに取り付けられるので、自由な位置に機能モジュールを取り付けることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、機能モジュール本体を他の造作部材と組み合わせて配線モジュールに取り付けることで、見切り縁を構成でき、室内の美観を高めることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、機能モジュール本体が造作部材で構成されているので、機能モジュール本体を配線モジュールに取り付けることで、室内の美観を高めることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、基本機能モジュールは、機能モジュール本体に設けたゲート装置に取着され、ゲート装置を介して電源の供給と情報信号の授受とを行っており、ゲート装置に接続する基本機能モジュールを変更することで、所望の機能を有する基本機能モジュールを使用でき、基本機能モジュールの機能変更や更新に容易に対応できるという効果がある。
【0026】
請求項8の発明によれば、基本機能モジュールに対して拡張機能モジュールを並べて配置すると、拡張機能モジュールは基本機能モジュールを介して電力の供給又は情報信号の授受の内の少なくとも何れか一方又は両方を行えるので、機能の拡張や変更にも容易に対応できるという効果がある。
【0027】
請求項9および10の発明によれば、複数の機能モジュールの光を連ねてガイド灯として機能させることができる。
【0028】
請求項11の発明によれば、誘導灯と点灯制御部とを備えた複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、複数の機能モジュールが備える誘導灯を所定の順番でサイクリックに点滅させているので、複数の機能モジュールの光が連なって誘導灯として機能するとともに、点滅する光が走行する方向に人を誘導することができる。
【0029】
請求項12の発明によれば、複数の機能モジュールの光が連なって誘導灯として機能させることができる。
【0030】
請求項13の発明によれば、電力ラインと情報ラインとを用いて電力の供給と情報信号の伝送とを行うことができる。
【0031】
請求項14の発明によれば、電力ラインが情報ラインを兼用しているので、造営面の内側に情報線を先行配線しておく必要が無く、電力線のみを先行配線しておけば良いので、配線施工を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
(実施形態1)
本発明に係る配線システムの実施形態1を図1〜図5に基づいて説明する。なお以下の説明では特に断りが無いかぎり、図1(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図1(a)の正面を前面とする。したがって図1(b)における右端は後端となる。
【0034】
この配線システムは、建物の壁の室内側表面の下側部に、左右方向に並べて取着される複数の腰板モジュール(配線モジュール)Aと、腰板モジュールAに取り付けられ腰板モジュールAを介して電力の供給と情報信号の授受とを行う機能モジュールBとで構成される。
【0035】
腰板モジュールAは、建物の壁の室内側表面の下側部に取着される腰板パネル(配線モジュール本体)1を有し、腰板パネル1の上側縁の背面側には左右方向の略全体に亘って係止溝2を形成してある。そして、係止溝2の内側面には、電力供給のための電源ラインを構成する帯板状の導電板L1と、情報信号の伝送のための情報ラインを構成する帯板状の導電板L2とが、左右方向に沿って係止溝2の略全体に亘って配設されており、これら導電板L1,L2は、それぞれ、壁の裏側に先行配線された電力線および情報線(図示せず)に電気的に接続されている。また導電板L1,L2の左右方向の両端部には、隣接する腰板パネル1に設けた導電板L1,L2にそれぞれ電気的に接続するための接続コネクタを設けてあり、複数の腰板パネル1を並設すると、各々の腰板パネル1に設けた導電板L1,L2がそれぞれ接続コネクタを介して電気的に接続されるのである。
【0036】
機能モジュールBは、図1及び図2に示すように腰板パネル1に取着される造作部材3a,3bとは別体に形成されたモジュール本体(機能モジュール本体)4を有しており、モジュール本体4は、機能部16(例えば電源コンセント10aおよび情報コンセント10b)が前面に設けられた直方体状の本体部4aと、本体部4aの背部より下方に突出して、腰板パネル1の係止溝2に引掛係止される突出部4b(係止手段)とを一体に設けてある。そして、係止溝2の内側面に対向配置される突出部4bの前面部には、係止溝2の内側面に設けた導電板L1に接続される一対の電源接続端子5aと、導電板L2に電気的に接続される一対の情報接続端子5bとが配設されている。
【0037】
次に、機能モジュールBの回路構成について図4(a)の回路図を参照して説明する。機能モジュールBは、電源接続端子5aを介して導電板L1に接続され、導電板L1を介して供給される商用電源を負荷に供給する電源コンセント10aと、導電板L1を介して供給される商用電源を整流、平滑することにより、所定電圧値の直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vを得るAC/DCコンバータ部12と、情報接続端子5bを介して接続される導電板L2を通じて情報信号を送受信する送受信部13と、例えば情報コンセント10bに接続される通信機器との間で情報信号を授受する機能を有する機能部16と、送受信部13が受信した情報信号を取り込んで機能部16に対応したデータ信号を生成しI/Oインターフェース15を通じて機能部16に伝送する機能や、機能部16から送られてくるデータ信号をI/Oインタフェース15を通じて取り込み、送信先へ情報信号として送信させるための処理を行う演算処理部14とを備えており、機能モジュールBの種別に応じて機能部16の構成が異なるのである。ここで、本実施形態では機能部16が情報コンセント10bに接続される通信機器との間で情報信号を授受する機能を備えており、図4(b)に示すように、演算処理部14からI/Oインタフェース15を介して入力される情報信号をメディアコンバートして情報コンセント10bに出力するとともに、情報コンセント10bから入力される情報信号をメディアコンバートし、I/Oインタフェース15を介して演算処理部14に出力するCPU16aから機能部16を構成している。
【0038】
なお機能モジュールBの機能部16を電源コンセント10aや情報コンセント10bに限定する趣旨のものではなく、例えば図4(c)に示すように検知領域内の人体から放射される熱線を検出するPIRセンサ16bと、PIRセンサ16bの検出信号を信号処理することによって人の存否を検出する人体検知回路16cと、人体検知回路16cから入力される人体検知信号を、I/Oインタフェース15を介して演算処理部14に出力するCPU部16aとで構成される人体検知器型の機能部16を備えても良いし、明るさセンサや温湿度センサなどの各種のセンサ機能を有する機能部16や、非常灯LPと情報信号に含まれる制御信号に基づいて非常灯LPの点灯/消灯を制御する点灯制御部とを備え、複数の非常灯を順番に点灯させることで誘導灯として動作させる非常灯型の機能部16などを備えても良い(図3参照)。また機能部16がモジュール本体4に着脱自在に取着され、この機能部16に充電池とランプとを設け、取付状態において通電時は内蔵する充電池を充電すると共に情報信号に含まれる制御信号に応じてランプを点灯又は消灯させ、停電発生時は充電池から電力供給を受けてランプを点灯又は消灯させ、機能部16をモジュール本体4から取り外すことで懐中電灯として機能させるような非常灯型の機能部を設けても良い。
【0039】
本実施形態の配線システムを構成する腰板モジュールAおよび機能モジュールBは上記のような構成を有しており、各モジュールA,Bを配設するに当たっては、図3(a)に示すように先ず壁101a,101bの室内側表面に腰板パネル1を並設して、各腰板モジュールAの導電板L1,L2を壁の内側に先行配線された電力線および情報線にそれぞれ接続する。次に腰板パネル1の上側縁に設けた係止溝2に突出部4bを挿入して、係止溝2と突出部4bとを引掛係止させることで、機能モジュールBのモジュール本体4を腰板パネル1に取り付けると、機能モジュールBの各接続端子5a,5bが係止溝2の内側面に設けた導電板L1,L2に電気的に接続され、機能モジュールBが腰板モジュールAを介して電力の供給を受けるとともに、情報信号の授受を行えるのである。なお、導電板L2により構成される情報ラインは、複数種の機器に用いられる情報信号の信号伝送を行うものであり、例えば電話、LANなどのネットワーク機器、TV、インターホン、各種センサなどに用いられる情報信号や、照明器具などの機器を制御するための制御信号の信号伝送に用いられる。したがって、腰板モジュールAを介して機能モジュールBに複数種類の情報信号を伝達することができるから、機能モジュールBでは必要な情報信号を授受することで所定の機能を実現でき、したがって機能モジュールBに多種多様な機能を持つモジュールを使用でき、多機能なシステムを実現することができる。
【0040】
ここで、本実施形態では機能モジュールBのモジュール本体4が造作部材とは別体に形成されているので、図3に示すように機能モジュールBを腰板モジュールAの所望の位置に自由に取り付けることができるから、取付位置の自由度が向上し、また取付位置の変更にも容易に対応できる。なお腰板パネル1に設けた係止溝2において、機能モジュールBが取り付けられていない部位には目隠し蓋6を取り付けてあり、係止溝2の内側面に設けた導電板L1,L2を目隠し蓋6で覆っているので、感電の虞は無い。
【0041】
また図1(a)に示すように、機能モジュールBのモジュール本体4を、モジュール本体4と同様の係止手段を具備して腰板パネル1の係止溝2に引掛係止される造作部材3a,3bと組み合わせることで、機能モジュールBと造作部材3a,3bとにより腰見切り縁7を形成しても良く、室内の美観を向上させることができる。
【0042】
ところで、上述の配線システムは図5に示す配線システムの一部を構成するものである。この配線システムでは、建物内の適所において1乃至複数のスイッチボックス90を埋込配設してあり、始端のスイッチボックス90に対しては、屋外より配線盤70内に引き込まれ主幹ブレーカMBおよび分岐ブレーカBBを介して屋内に引き込まれた電力線Laと、外部のインターネット網NTにゲートウェイGW(ルータ、ハブ内蔵)を介して接続される情報線Lbとを導入する。また各スイッチボックス90の間は壁面内に先行配線された電力線Laと情報線Lbとを送り配線してある。
【0043】
ここで、スイッチボックス90は、例えばJISで規格化された大角形の1個モジュール寸法の埋込型の配線器具を3個取り付けることができる1連の取付枠(図示せず)に対応して規格化されたもので、図5に示すように配線盤70又は他のスイッチボックス90から送り配線されてくる電力線La及び情報線Lbを外部から導入するとともに、他のスイッチボックス90へ送り配線するための電力線La及び情報線Lbを外部へ導出している。なお、スイッチボックス90には、図5に示すように室内の天井100に設けられるものと、壁101に設けられるものと、床102に設けられるものとがある。
【0044】
そして、各スイッチボックス90の内部には、電力線Laを外部の電路に接続するための電力路接続口92と、情報線Lbを外部の情報路に接続するための情報路接続口93とを備えたゲート装置91が取付枠(図示せず)を用いて埋込配設されており、このゲート装置91に対して各種の機能を有する機能モジュール50a〜50eを接続すると、ゲート装置91を介して機能モジュール50a〜50eが電力線Laおよび情報線Lbに接続され、電力線Laから電力の供給を受けるとともに、情報線Lbを通じて情報信号の授受を行えるようになっている。ここで、天井100に設けたゲート装置91に接続する機能モジュール50としては、照明器具の引掛プラグに対応した引掛栓刃接続部94を持つ引掛シーリングローゼット型の機能モジュール50aや、BGM等のスピーカSPを持つ機能モジュール50b等がある。また壁101に設けたゲート装置91に接続する機能モジュール50としては、照明器具などをオン/オフ操作するスイッチSWを備えた機能モジュール50cや、空調機器のコントローラ等の操作器型機能モジュール(図示せず)、モニタ装置Mを備えた機能モジュール50d等がある。さらに床102に設けたゲート装置91に接続する機能モジュール50としては、電源プラグ用のコンセント部95を備えた機能モジュール50eや、スピーカSPを備えた機能モジュール50b等がある。
【0045】
なお本実施形態では、腰板パネル1の上側縁に係止溝2を形成して、この係止溝2に機能モジュールBの係止手段を引掛係止することで、機能モジュールBを腰板パネル1に取り付けているが、腰板モジュールAの代わりに壁の下側部に取着される配線モジュールを用い、この配線モジュールの上側縁に設けた係止溝に機能モジュールBの係止手段を引掛係止することで、機能モジュールBを配線モジュールに取り付け、この機能モジュールBと他の造作部材とで幅木を構成するようにしても良い。
【0046】
ところで、本実施形態では腰板パネル1の上側縁に係止溝2を形成するとともに、係止溝2の内側面に各一対の導電板L1,L2を左右方向の全体に亘って形成しているが、図18に示すように導電板L1,L1間、導電板L2,L2間、及び隣接する導電板L1,L2の間にそれぞれ凹溝2aを設け、各凹溝2a内に絶縁板2bを進退自在に配置するとともに、機能モジュールBの突出部4bに絶縁板2bが嵌合する嵌合溝4eを左右方向の全体に亘って形成しても良い。絶縁板2bは図示しない付勢ばねにより外側方向に付勢されており、機能モジュールBの突出部4bを腰板パネル1の係止溝2に上側から挿入すると、突出部4bに押されて絶縁板2bが後退し、突出部4bを正規の位置まで挿入した状態では各嵌合溝4eに対応する絶縁板2bが嵌合するようになっており、これらの絶縁板2bにより隣接する導電板L1,L1間、L1,L2間、L2,L2間の絶縁性を向上させることができる。尚、腰板パネル1の左右両側端には終端カバー(図示せず)を着脱できるようになっており、機能モジュールBの着脱作業を終えた後に腰板パネル1の端部に終端カバーを取り付けることで、充電部を覆うとともに、外観の見栄えを良くできる。
【0047】
また係止溝2は左右方向の両側が開放されているので、嵌合溝4eと絶縁板2bの位置を合わせた状態で機能モジュールBを側方から係止溝2内に挿入することで、機能モジュールBを腰板パネル1に取り付けても良い。ここで、機能モジュールBの取付方法が、側方から係止溝2内に挿入する方法(スライド取付と言う)に限定される場合には、係止溝2の内側面に配置された絶縁板2bは必ずしも進退自在に配置され、外側に向かってばね付勢されていなくても良く、係止溝2内に固定されていても良い。
【0048】
ところで、電源ラインを構成する導電板L1は例えば商用交流電源を供給するためのものであり、法律上の制約から導電板L1を露出した状態で配線することはできないが、本実施形態によれば、配線モジュールを構成する腰板パネル1の係止溝2に機能モジュールBや造作部材3a,3bの係止手段を引掛係止することによって、機能モジュールBや造作部材3a,3bを配線モジュールに取り付けており、取付完了状態においては導電板L1,L2が機能モジュールBや造作部材3a,3bによって覆われ、係止溝2内に手を入れることができないので、導電板L1,L2に手が触れて、感電などが起こるのを確実に防止することができる。
【0049】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図6に基づいて説明する。上述の実施形態1では、腰板モジュールAに電源ラインを構成する一対の導電板L1と、情報ラインを構成する一対の導電板L2とを設けているが、本実施形態では腰板モジュールAに電源ラインを構成する導電板L1のみを設け、電源ラインを通じて電力線搬送通信により情報信号を伝送しており、情報ラインを構成する導電板L2を無くすことで、導電板の本数を減らすことができ、また情報線を先行配線する必要がないので、配線施工を簡略化することができる。尚、電力線搬送通信により情報信号を伝送する点以外は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0050】
本実施形態では腰板モジュールAにおいて、係止溝2の内側面に設けた導電板L2を無くして、電源ラインを構成する導電板L1のみを設けるとともに、機能モジュールBにおいて情報接続端子5bを無くして、導電板L1に対応する部位に電源接続端子5aのみを設けてある。そして機能モジュールBの内部回路を、図6に示すように、電源接続端子5aを介して導電板L1に接続され、導電板L1を介して供給される商用電源を整流、平滑することにより、所定電圧値の直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vを得るAC/DCコンバータ部12と、導電板L1を通じて電力線搬送通信により情報信号を授受するPLCモデム(電力線搬送通信手段)17と、PLCモデム17と演算処理部14との間で情報信号の受け渡しを行う送受信部13と、機能モジュールBの種別に対応した機能を有する機能部16と、送受信部13が受信した情報信号を取り込んで機能部16に対応したデータ信号を生成しI/Oインターフェース15を通じて機能部16に伝送する機能や、機能部16から送られてくるデータ信号をI/Oインタフェース15を通じて取り込み、送信先へ情報信号として送信させるための処理を行う演算処理部14とで構成している。
【0051】
このように機能モジュールBにPLCモデム17を設けて、機能モジュールBが電力線搬送通信により情報信号を授受しているので、腰板モジュールAに情報ラインを構成する導電板を設ける必要が無くなり、導電板の本数を減らすことができ、また情報線を先行配線する必要がないので、配線施工を簡略化することができる。
【0052】
尚、PLCモデム17で採用する電力線搬送の変調方式としては広帯域スペクトラム拡散方式、マルチキャリア方式、OFDM方式等各種方式の何れでも良いので、ここでは特に説明はしない。
【0053】
なお電源ラインを構成する導電板L1は例えば商用交流電源を供給するためのものであり、法律上の制約から導電板L1を露出した状態で配線することはできないが、本実施形態においても実施形態1と同様、配線モジュール(例えば腰板パネル1)の係止溝2に機能モジュールBや造作部材3a,3bの係止手段を引掛係止することによって、機能モジュールBや造作部材3a,3bを配線モジュールに取り付けており、取付完了状態においては導電板L1が機能モジュールBや造作部材3a,3bによって覆われ、係止溝2内に手を入れることができないので、導電板L1に手が触れて、感電などが起こるのを確実に防止することができる。
【0054】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図7に基づいて説明する。上述の実施形態1では機能モジュールBのモジュール本体4を造作部材とは別体に形成しているのに対して、本実施形態の機能モジュールBでは、図7に示すように腰板パネル1に取着される腰見切り縁からなるモジュール本体4’を用いている。なおモジュール本体4’以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0055】
上述のように本実施形態では機能モジュールBのモジュール本体4’自体が腰見切り縁で構成されているので、このモジュール本体4’を腰板パネル1の上側縁に設けた係止溝2に引掛係止させるとともに、他の造作部材3をモジュール本体4’と同様の係止手段により腰板パネル1の上側縁に取り付けることで、機能モジュールBと他の造作部材3とにより腰見切り縁7が構成され、室内の美観を向上させることができる。なお図7に示す機能モジュールBは人体検知器型の機能部16を有しており、モジュール本体4’の正面に透光性のカバー20を設け、このカバー20の内側にPIRセンサ(図示せず)を収納してある。
【0056】
なお本実施形態ではモジュール本体4’を腰見切り縁で構成しているが、腰板モジュールAの代わりに壁の下側部に取着される配線モジュールを用いるともに、幅木からなるモジュール本体4’を用い、配線モジュールの上側縁に設けた係止溝にモジュール本体4’を引掛係止させて取り付けることで、この機能モジュールBと他の造作部材とから幅木を構成するようにしても良い。
【0057】
また電源ラインを構成する導電板L1は例えば商用交流電源を供給するためのものであり、法律上の制約から導電板L1を露出した状態で配線することはできないが、本実施形態においても実施形態1と同様、配線モジュール(例えば腰板パネル1)の係止溝2に機能モジュールBの係止手段を引掛係止することによって、機能モジュールBを配線モジュールに取り付けており、取付完了状態においては導電板L1,L2が機能モジュールBによって覆われ、係止溝2内に手を入れることができないので、導電板L1,L2に手が触れて、感電などが起こるのを確実に防止することができる。
【0058】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図8〜図15に基づいて説明する。上述の実施形態4では、モジュール本体4’に機能部16を設けているのに対して、本実施形態では図8に示すように、モジュール本体4’の本体部4a前面に開口4cを形成し、この開口4cに臨ませてモジュール本体4’内にゲート装置Cを収納してある。そして、このゲート装置Cの前面側に図11及び図12に示す基本機能モジュールDを接続することで、ゲート装置Cを介して基本機能モジュールDに電力の供給と情報信号の授受とを行うようになっている。また基本機能モジュールDに並べて拡張機能モジュールEを連設することにより、基本機能モジュールDを介して拡張機能モジュールEが電力供給と情報信号の授受とを行うようになっている。
【0059】
ゲート装置Cは、図8及び図10に示すように、電源接続端子5aに電気的に接続された接触部を備えた電力路接続口8Aと、情報接続端子5bに電気的に接続された接触部を備えた情報路接続口8Bとを有してモジュール化した接続口を、ボディ8の前面部に備えている。これら接続口8A,8Bは両者間の間隔及び内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化されている。基本機能モジュールDは、ゲート装置Cのボディ8前面部を覆うようにしてモジュール本体4’の開口4cに取り付けられており、その背面部に設けたコネクタ9の被接続部9A、9Bが各接続口8A,8Bに着脱自在に結合されるようになっている。
【0060】
基本機能モジュールDは、図11及び図12(a)に示す合成樹脂製で扁平なモジュール本体40内に図10に示す回路を内蔵しているもので、背面部のコネクタ9の被接続部9A,9Bをゲート装置Cの接続口8A,8Bに結合させることで、モジュール本体4’の開口4cを覆うとともに、周部のフランジをモジュール本体4’の開口4c周辺の壁面に重ねた状態となり、その状態で上、下部の中央に穿孔している取付孔80に取り付けねじ(図示せず)を前面部側から挿通させてモジュール本体4’に設けたねじ孔4dに螺入締結することでモジュール本体4’に取着される。
【0061】
またモジュール本体40の前面部には、上、下の取付孔80の開口位置より上又は下側位置において、図12(a)に示すようにモジュール本体40の幅方向に幅広溝81aと幅狭溝81bとからなる連結用溝部81を中央の仕切壁82で左右に二分されるように形成している。
【0062】
この仕切壁82の左側又は右側の連結用溝部81には図9に示す合成樹脂製の連結体42の片側半分を仕切壁82に当たる位置まで嵌め込み、この連結体42の残り半分を図9に示すように拡張機能モジュールE側に同様に設けてある連結用溝部81に嵌め込むことで、基本機能モジュールDと拡張機能モジュールEとを機械的に結合できるようになっている。連結体42は背面に幅広溝81a,幅狭溝81bを仕切る仕切壁81cが嵌る溝42aを設け、両溝81a、81bに跨るように挿入される。そして基本機能モジュールDでは前面部側から化粧カバー41を着脱自在に被着することで、また拡張機能モジュールEでは蓋部83を閉じることで、両者の連結用溝部81に跨るように嵌め込んである連結体42が脱落しないように保持して連結状態を維持するようになっている。而して連結体42と連結用溝部81とが基本機能モジュールDと拡張機能モジュールEとの連結手段を構成する。
【0063】
基本機能モジュールDは、図10に示すように、被接続部9Aを介して接続される商用電源ACを所定電圧に降下させるとともに周波数を高くし、この高い周波数に変換した低圧交流電源をコア21に巻装したコイル22に印加するAC/ACコンバータ23と、低圧交流電源を整流平滑後、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vを得る直流電源部24と、被接続部9Bを介して接続される導電板L2を通じて双方向に伝送される情報信号を送受信部25と、導電板L2を介して受信される情報信号をE/O変換して発光素子LEDを通じて送出するするE/O変換部26と、後述する拡張機能モジュールE側から送られくる光信号からなる情報信号を受光素子PDで受光してO/E変換して送受信部25に渡すO/E変換部27とを備えている。
【0064】
コイル22及びコア21は基本機能モジュールDと連結する拡張機能モジュールEに電力を非接触で供給するための給電手段を構成するトランスの一次側となる電磁結合部を構成するもので、連結する拡張機能モジュールE(図13参照)側に設けたコイル22’を巻回したコア21’にコア21が磁気結合してトランス作用によりコイル22’側に低圧交流電源電圧を誘起させて電源供給を行うようになっている。ここでAC/ACコンバータ23により商用周波数よりも周波数が高い交流電源に変換することで、電磁結合部によるトランス構成の小型化を図っている。
【0065】
一方E/O変換部26の発光素子LEDは隣接する拡張機能モジュールEに情報信号を光信号により非接触で伝達するためのもので、連結された拡張機能モジュールE側のO/E変換部27’に設けた受光素子PDに対置される。またO/E変換部27の受光素子PDは隣接する拡張機能モジュールEから光信号により伝達されてくる情報信号を受け取るためのもので、連接する拡張機能モジュールE側のE/O変換部26’の発光素子LEDに対置される。
【0066】
そしてコア21とコイル22とからなる電磁結合部は図10では1組しか示していないが実際には電気的に並列な2組備え、またE/O変換部26の発光素子LED、O/E変換部27の受光素子PDも夫々に別の発光素子LED、受光素子PDを接続しており、モジュール本体40の両側において側壁に近接する内部位置に夫々1組ずつ夫々配置している。
【0067】
ここで発光素子LEDの発光部及び受光素子PDの受光部が対向するモジュール本体40の側壁部位は光信号が透過可能なように透明部Yとしてある。尚モジュール本体40の両側では、発光素子LEDと、受光素子PDの位置が上、下で逆になるように配置され、例えば右側では発光素子LEDを上、受光素子PDを下とし、左側では発光素子LEDを下、受光素子PDを上としてある。そして電磁結合部を構成するコア21の先端部の配置位置と、発光素子LED及び受光素子PDの配置位置の上下間隔は規格化している。尚図10ではゲート装置Cの両接続口8A,8B及び基本機能モジュールDのコネクタ9の被接続部9A,9Bを縦方向で示しているが、実際は横方向になっている。
【0068】
この配線システムでは、電力供給を受けて動作する機能によって複数の種類の拡張機能モジュールEが準備されているが、基本的には図14(a)に示すようにモジュール本体43の高さ寸法を基本機能モジュールDと同じ高さ寸法に規格化され、また横幅寸法も基本機能モジュールDの幅寸法の整数倍に規格化され、またモジュール本体43の両側面の形状は基本機能モジュールDの側面と同形状とし、また背面を図9(b)、(c)に示すように平坦な面に形成してモジュール本体4’の前面に沿わせることができるようにしている。そして上下位置には上述の連結体42を基本機能モジュールDと同様に挿入するための幅広溝81a、幅狭溝81bからなる連結用溝部81を設けるとともに、この連結用溝部81を開閉する蓋部83を設け、連結体42を装着する際や外す場合にはこの蓋部83を開き、連結体42の装着状態を保持する際には上述したように閉じるようになっている(図14(c)参照)。
【0069】
モジュール本体43内には、図13に示すように上述のコイル22’、コア21’からなる電磁結合部を2組備えて、モジュール本体43の両側壁に近接する内部に配置するとともに、夫々のコイル22’同士を電気的に接続し、片側の電磁結合部が隣接する基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEの電磁結合部と電磁結合して電力を受け取る側(二次側)となると、他方の電磁結合部が電力供給側(一次側)となるようになっている。これらの電磁結合部を構成するコア21’の先端が近接配置されるモジュール本体43の側面位置が磁気結合部Xとなる。また両電磁結合部のコイル22’,22’間を接続する線路には直流電源部24’を接続し、内部回路の動作電源+Vを得るようになっている。
【0070】
更に情報信号を授受するために、モジュール本体43内には連結する基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEから送られてくる光信号からなる情報信号を受光素子PDで受光して電気的な信号に変換するO/E変換部27’と、電気信号からなる情報信号を隣接する基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEへ光信号からなる情報信号として発光素子LEDで送り出すためのE/O変換部26’と、O/E変換部27’からの電気信号からなる情報信号を受け取るとともに、電気信号からなる情報信号をE/O変換部26’へ送り出す情報信号送受信部28とからなる情報信号送受信手段を二組設け、一方の発光素子LEDと受光素子PDをモジュール本体43の左側側壁近傍の内部に、また他方の伝送処理部の発光素子LEDと受光素子PDをモジュール本体43の右側側壁近傍の内部に配置してある。ここで左側に配置される発光素子LEDの位置は受光素子PDの下側に、また右側に配置される発光素子LEDの位置は受光素子PDの上側に夫々を配置し、左側に連結される基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEの右側に配置されている発光素子LED、受光素子PDに、左側配置した受光素子PD、発光素子LEDが夫々対向し、また右側に連結される基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEの左側に配置されている発光素子LED、受光素子PDに右側配置した受光素子PD、発光素子LEDが夫々対向するようになっている。そして発光素子LED、受光素子PDが対向しているモジュール本体43の側壁は光信号が透過できるように基本機能モジュールDと同様に透明部Yとなっている。
【0071】
そして両側の情報信号送受信部28,28間をモジュール本体43内において、双方向の信号ライン29で接続して、両側に隣接する基本機能モジュールD又は拡張機能モジュールEに対して情報信号を中継できるようになっている。
【0072】
またモジュール本体43内には、信号ライン29上の情報信号を受信するとともに、信号ライン29上に情報信号を送出する送受信部25’と、この送受信部25’で受信される情報信号からデータを取り込んで処理を行うとともに、当該拡張機能モジュールEから他の拡張機能モジュールE宛にデータを送る場合のデータ生成処理を行う演算処理部30と、I/Oインターフェース31を介して演算処理部30との間でデータの授受を行って動作する機能部32とから構成され、これら各部は動作電源+Vをの直流電源部24’から供給されるのである。この機能部32の構成が拡張機能モジュールEによって異なるのである。
【0073】
ここで拡張機能モジュールEのモジュール本体43の側面に磁気結合部X及び透明部Yが形成される位置は、図11で示す基本機能モジュールDの側面の磁気結合部X及び透明部Yの位置と合うように規格化され、拡張機能モジュールE、E同士を連結させたとき或いは基本機能モジュールDと拡張機能モジュールEとを連結させてときに面接する側面側の磁気結合部X、X同士及び、透明部Y,Y同士が夫々対向するようになっている。つまり夫々の給電手段の接続口同士、情報信号の伝達手段の接続口同士が接続された状態となる。
【0074】
而して、上記の各機能モジュールD,Eを使用するに当たっては、まず、モジュール本体4’を腰板パネル1に取り付ける。ここで、電源ラインを構成する導電板L1は例えば商用交流電源を供給するためのものであり、法律上の制約から導電板L1を露出した状態で配線することはできないが、本実施形態においても実施形態1と同様、配線モジュールの係止溝2にモジュール本体4’の突出部4bを引掛係止することによって、モジュール本体4’を配線モジュールに取り付けており、取付完了状態においては導電板L1,L2がモジュール本体4’によって覆われ、係止溝2内に手を入れることができないので、導電板L1,L2に手が触れて、感電などが起こるのを確実に防止することができる。
【0075】
その後、モジュール本体4’に収納されたゲート装置Cの各接続口8A,8Bに対して基本機能モジュールDのコネクタ9の対応する被接続部9A,9Bを接続するとともに、基本機能モジュールDをゲート装置Cの前面部を覆うようにしてモジュール本体4’に取り付ける。なお基本機能モジュールDは、モジュール本体4’に取り付けた状態において両側面がモジュール本体4’の前面側に露出することになる。
【0076】
そして、拡張機能モジュールEは基本機能モジュールDの露出した両側側面の一方に片側の側面を面接させ、この状態で連結体42を用いて拡張機能モジュールEと基本機能モジュールDとを機械的に連結する。このとき拡張機能モジュールEの背面はモジュール本体4’の前面に沿うことになり、拡張機能モジュールEの前面部から操作力等が加わっても連結部位に加わる荷重を軽減することができる。
【0077】
更に先に連結した拡張機能モジュールEに別の拡張機能モジュールEを連結する場合には、対向側面を面接させた状態で連結体42により互いに機械的に連結する。このようにして順次拡張機能モジュールEを側方に連結することができる。
【0078】
尚、基本機能モジュールDは両側に拡張機能モジュールEを連結することができるため、基本機能モジュールDの両側方向に拡張機能モジュールEを連結しても良い。このようにして拡張機能モジュールEを連結した後、両端に位置する拡張機能モジュールE又は基本機能モジュールDの反連結部位の側部に着脱自在にエンドカバー45を被着することで、拡張機能モジュールEの連結施工が完了することになる(図15参照)。尚基本機能モジュールDに拡張機能モジュールEを連結しない状態、つまり未使用のまま置いておく場合にはエンドカバー45を基本機能モジュールDの両側部に被着する。
【0079】
上述のように拡張機能モジュールEを連結した基本機能モジュールDからはAC/ACコンバータ23によって商用電源ACを所定電圧に降圧し且つ周波数を高い周波数に変換した低圧交流電源を隣接する拡張機能モジュールEに磁気結合によって非接触で電力を供給されることになる。また電力が供給された拡張機能モジュールEに更に拡張機能モジュールEが連結されている場合には、内部回路を経て磁気結合による非接触で電力を更に供給する。このようにして基本機能モジュールD側から最外端に存在する拡張機能モジュールEまで低圧交流電源を非接触で供給する電力路が構築されることになる。
【0080】
また基本機能モジュールD、拡張機能モジュールEにおいて、情報信号をE/O変換を経て送り出し、情報信号をO/E変換を経て取り込むことで、連結した基本機能モジュールDと拡張機能モジュールEとの間、更に拡張機能モジュールE,E間は、光信号からなる情報信号を発光素子LED、受光素子PDを用いて非接触で双方向に伝送することができる情報路が構築されることになる。なお基本機能モジュールDに連結できる拡張機能モジュールEの数は連結部位に加わる荷重の大きさにより制限があり、また基本機能モジュールDのAC/ACコンバータ23の電力供給能力によっても制限される。
【0081】
ここで、図15は本実施形態の使用例を示しており、基本機能モジュールDに対して、空調機器の運転操作器を構成する拡張機能モジュールE1と、温度設定器を構成する拡張機能モジュールE2と、インターホンの親機を構成する拡張機能モジュールE3とを接続してある。
【0082】
なお本実施形態で説明したゲート装置Cを実施形態1〜3で説明した機能モジュールBのモジュール本体4,4’に内蔵させ、ゲート装置Cに対して基本機能モジュールDを取り付けるとともに、基本機能モジュールDと並べてモジュール本体4,4’の表面に1乃至複数の拡張機能モジュールEを配置しても良く、上述と同様に各機能モジュールD,Eに所望の機能を有するものを使用することで、所望のシステムを実現することができる。
【0083】
ところで、上述の各実施形態では、配線モジュールの配線モジュール本体を腰板パネル1で構成しているが、配線モジュール本体は腰板パネル1に限定される趣旨のものではなく、例えば図16(a)に示すように壁101a,101bの上下方向中間部において水平方向と略平行に配設される長尺のレール部材60により配線モジュール本体を構成しても良い。レール部材60は、腰板モジュールAと同様に、上部の背面側に係止溝61を設けてあり、この係止溝61の内側面に電源ラインを構成する導電板L1と情報ラインを構成する導電板L2とを配設してある。而して、レール部材60の係止溝61に、上述の各実施形態で説明した造作部材とは別体に形成されたモジュール本体4を具備した機能モジュールB1や、腰見切り縁からなるモジュール本体4’を具備した機能モジュールB2を取り付けると、機能モジュールB1,B2にレール部材60を介して電力供給と情報信号の授受とが行われる。なおこの場合に機能モジュールB1を他の造作部材(図示せず)と組み合わせることで、腰見切り縁を構成するようにしても良く、室内の美観を向上させることができる。
【0084】
また、図16(b)に示すように壁101a,101bの下部(すなわち壁101a,101bにおける床102との境界部分)に配設される長尺のレール部材62により配線モジュール本体を構成しても良い。このレール部材62は、腰板モジュールAと同様に、上部の背面側に係止溝63を設けてあり、この係止溝63の内側面に電源ラインを構成する導電板L1と情報ラインを構成する導電板L2とを配設してある。而して、レール部材62の係止溝63に、上述の各実施形態で説明した造作部材とは別体に形成されたモジュール本体4を具備した機能モジュールB1や、腰見切り縁からなるモジュール本体4’を具備した機能モジュールB2を取り付けると、機能モジュールB1,B2にレール部材60を介して電力供給と情報信号の授受とが行われる。なおこの場合に機能モジュールB1を他の造作部材(図示せず)と組み合わせることで、幅木を構成するようにしても良く、室内の美観を向上させることができる。
【0085】
また上述の各実施形態では、配線モジュール本体の上側縁に係止溝を設けて、この係止溝に機能モジュールの一部を引掛係止させているが、図19に示すように配線モジュール本体を構成する腰板1Aの下側縁に係止溝2を形成し、この係止溝2に機能モジュールB3の一部(突出部4b)を引掛係止させることで、機能モジュールB3を腰板1Aに着脱自在に取り付けるようにしても良い。
【0086】
腰板1Aは壁101の上下方向中間部に取着されており、その下側縁には左右方向の全体に亘って係止溝2を設けてある。係止溝2の内側面には、電源ラインを構成する帯板状の導電板L1と、情報ラインを構成する帯板状の導電板L2とが、左右方向に沿って係止溝2の略全体に亘って配設されており、これらの導電板L1,L2は、それぞれ、壁101の裏側に先行配線された電力線および情報線(図示せず)に電気的に接続されている。また導電板L1,L2の左右方向の両端部には、隣接する腰板1Aに設けた導電板L1,L2にそれぞれ電気的に接続するための接続コネクタを設けてあり、複数の腰板1Aを並設すると、各々の腰板1Aに設けた導電板L1,L2がそれぞれ接続コネクタを介して電気的に接続されるようになっている。また係止溝2の内側面には、導電板L1,L1間、導電板L2,L2間、及び隣接する導電板L1,L2の間にそれぞれ凹溝2aを設けてあり、各凹溝2a内に絶縁板2bを進退自在に配置してある。ここで、各絶縁板2bは図示しない付勢ばねによって外側方向に付勢されている。
【0087】
一方、腰板1Aに取着される機能モジュールB3は、造作部材とは別体に形成されたモジュール本体(機能モジュール本体)4Aを有しており、モジュール本体4Aは、機能部16(電源コンセント10aおよび情報コンセント10bからなる)が前面に設けられた直方体状の本体部4aと、本体部4aの背部より上方に突出して、腰板1Aの係止溝2に引掛係止される突出部4bとを一体に設けてある。そして、係止溝2の内側面に対向配置される突出部4bの前面部には、係止溝2の内側面に設けた導電板L1に接続される一対の電源接続端子5aと、導電板L2に電気的に接続される一対の情報接続端子5bとが配設されている。また突出部4bの前面部には、係止溝2の内側面に配設された絶縁板2bが係止離脱自在に嵌合する嵌合溝4eが形成されている。
【0088】
この機能モジュールB3を腰板1Aに取り付けるにあたっては、機能モジュールB3の突出部4bを下側から腰板1Aの係止溝2内に挿入すると、突出部4bに押されて絶縁板2bが後退し、突出部4bを正規の位置まで挿入した状態では各嵌合溝4eに対応する絶縁板2bが嵌合するとともに、接続端子5a,5bが対応する導電板L1,L2に電気的に接続されることで取付作業が完了する。ここに、腰板1Aの絶縁板2bと機能モジュールB3の嵌合溝4eとで取付手段が構成される。
【0089】
一方、機能モジュールB3を取り外す際には、機能モジュールB3のモジュール本体4Aを下側に引っ張ると、嵌合溝4eの端面に押されて絶縁板2bが凹溝2a内に後退し、絶縁板2bと凹溝2aとの係止状態が解除されるので、機能モジュールB3を容易に取り外すことができる。尚、腰板1Aの左右両側端には終端カバー65を着脱できるようになっており、機能モジュールB3の着脱作業を終えた後に腰板1Aの端部に終端カバー65を取り付けることで、充電部を覆うとともに、外観の見栄えを良くできる。
【0090】
また、係止溝2は左右方向の両端側が開放されているので、嵌合溝4eと絶縁板2bの位置を合わせた状態で、左右何れかの端部から係止溝2内に突出部4bを挿入することによって、機能モジュールB3を腰板1Aに取り付けるようにしても良い。なお、モジュール本体4Aの取付方法が、係止溝2の側方から挿入する方法(スライド取付)のみに限定される場合には、係止溝2の内側面に配置された絶縁板2bは必ずしも進退自在に配置され、外側に向かってばね付勢されていなくても良く、係止溝2内に固定されていても良い。
【0091】
また、図19では腰板1Aからなる配線モジュール本体を例に説明を行ったが、図20に示すように幅木66からなる配線モジュール本体の下側縁に係止溝67を設けて、この係止溝67内に機能モジュールB3の一部(突出部4b)を挿入した状態で、機能モジュールB3を幅木66に取り付けるようにしても良い。
【0092】
幅木66は、床102との間に本体部4aを取付可能な隙間を開けた状態で壁101に取着されており、その下側縁には左右方向の全体に亘って係止溝67を設けてある。係止溝67の内側面には、電源ラインを構成する帯板状の導電板L1と、情報ラインを構成する帯板状の導電板L2とが、左右方向に沿って係止溝67の略全体に亘り配設されており、これらの導電板L1,L2は、それぞれ、壁101の裏側に先行配線された電力線および情報線(図示せず)に電気的に接続されている。また導電板L1,L2の左右方向の両端部には、隣接する幅木66に設けた導電板L1,L2にそれぞれ電気的に接続するための接続コネクタ(図示せず)を設けてあり、複数の幅木66を並設すると、各々の幅木66に設けた導電板L1,L2がそれぞれ接続コネクタを介して電気的に接続されるようになっている。また係止溝67の内側面には、導電板L1,L1間、導電板L2,L2間、及び隣接する導電板L1,L2の間にそれぞれ凹溝67aを設けてあり、各凹溝67a内に絶縁板67bを進退自在に配置してある。ここで、各絶縁板67bは図示しない付勢ばねによって外側方向に付勢されている。
【0093】
一方、幅木66に取着される機能モジュールB3は、造作部材とは別体に形成されたモジュール本体4Aを有しており、モジュール本体4Aは、機能部16が前面に設けられた直方体状の本体部4aと、本体部4aの背部より上方に突出して、幅木66の係止溝67に引掛係止される突出部4bとを一体に設けてある。そして、係止溝67の内側面に対向配置される突出部4bの前面部には、係止溝67の内側面に設けた導電板L1に接続される一対の電源接続端子5aと、導電板L2に電気的に接続される一対の情報接続端子5bとが配設されている。また突出部4bの前面部には、係止溝67の内側面に配設された絶縁板67bが係止離脱自在に嵌合する嵌合溝4eが形成されている。
【0094】
この機能モジュールB3を幅木66に取り付けるにあたっては、壁101に沿ってモジュール本体4Aをスライド移動させ、左右何れかの端部から係止溝67内に突出部4bを挿入することによって、突出部4bと係止溝67とが係止するとともに、接続端子5a,5bが対応する導電板L1,L2に電気的に接続されるようになっている。一方、機能モジュールB3を取り外す際には、モジュール本体4Aを壁101に沿ってスライドさせ、幅木66の左右何れかの端部から外側にモジュール本体4Aを移動させることで、機能モジュールB3を容易に取り外すことができる。尚、幅木66の左右両側端には終端カバー65を着脱できるようになっており、機能モジュールB3の着脱後に腰板1Aの端部に終端カバー65を取り付けることで、充電部を覆うとともに、外観の見栄えを良くできる。なお機能モジュールB3のモジュール本体4Aを幅木66に取り付けるに当たっては、モジュール本体4Aを幅木66の側方からスライドさせて、突出部4bを係止溝67内に挿入しており、取付方法が側方からのスライド取付に限定される場合には、係止溝67の内側面に配置された絶縁板67bは必ずしも進退自在に配置され、外側に向かってばね付勢されていなくも良く、係止溝67内に固定されていても良い。
【0095】
また上述の各実施形態では、配線モジュール本体の上下何れかの側縁に係止溝を形成するとともに、この係止溝に係止する突出部を機能モジュールに設け、突出部に電源ラインを構成する導電板L1と情報ラインを構成する導電板L2とを配設しているが、図21(a)に示すように配線モジュールとして2つの腰板1,1Aを上下に配置し、下側の腰板1の上側縁と上側の腰板1Aの下側縁とにそれぞれ係止溝2A,2Bを形成して、一方の係止溝2Aに電源ラインとなる一対の導電板L1を幅方向の全体に亘って配設するとともに、他方の係止溝2Bに情報ラインとなる一対の導電板L2を幅方向の全体に亘って配設するようにしても良い。ここで、各係止溝2A,2Bには、導電板L1,L1間、導電板L2,L2間にそれぞれ凹溝2aを設けてあり、各凹溝2a内に絶縁板2bを進退自在に配置してある。一方、この配線モジュールに使用される機能モジュールB4は、機能部16(電源コンセント10aおよび情報コンセント10b)が前面に設けられた直方体状の本体部4aと、本体部4aの背部より上下両側にそれぞれ突出して、腰板1,1Aの係止溝2A,2Bにそれぞれ挿入される突出部4bとで構成されるモジュール本体4Bを備えている。各突出部4bには、係止溝2A,2Bにそれぞれ配設された絶縁板2bが嵌合する嵌合溝4eを左右方向の全体に亘って形成してあり、下側の突出部4bには嵌合溝4eを挟んで上下両側に一対の導電板L1にそれぞれ電気的に接続される接続端子5aが設けられ、上側の突出部4bには嵌合溝4eを挟んで上下両側に一対の導電板L2にそれぞれ電気的に接続される接続端子5bを設けてある。
【0096】
この機能モジュールB4を腰板1,1Aに取り付けるに当たっては、壁101に沿ってモジュール本体4Bをスライド移動させ、左右何れかの端部から係止溝2A,2B内に突出部4b,4bをそれぞれ挿入すると、突出部4b,4bと係止溝2A,2Bとが係止するとともに、機能部16が腰板1,1Aの隙間から前面側に露出し、各一対の接続端子5a,5bが対応する導電板L1,L2に電気的に接続されるようになっている。一方、機能モジュールB4を取り外す際には、モジュール本体4Bを壁101に沿ってスライドさせ、腰板1,1Aの左右何れかの端部から外側にモジュール本体4Bを移動させることで、機能モジュールB4を容易に取り外すことができる。このように機能モジュールB4では、機能部16が前面に設けられた本体部4aを挟んで両側に突出部4bを設け、一方の突出部4bに電源ラインに接続される接続端子5aを、他方の突出部4bに情報ラインに接続される接続端子5bを配置すると共に、腰板1,1Aには一方の係止溝2Aに電源ラインとなる導電板L1を、他方の係止溝2Bに情報ラインとなる導電板L2を配置しているので、電源ラインと情報ラインとを分離して配置することで、絶縁性を向上させることができる。尚、腰板1,1Aの左右両側端には終端カバー(図示せず)を着脱できるようになっており、機能モジュールB4の着脱後に腰板1,1Aの端部に終端カバーを取り付けることで、充電部を覆うとともに、外観の見栄えを良くできる。
【0097】
また、図21(b)に示すようにモジュール本体4Bの本体部4aの前側部分を略円盤状に形成するとともに、突出部4b,4bの角部を丸めることによって、モジュール本体4Bを腰板1,1Aの間に挿入した状態で回転可能に形成すれば、モジュール本体4Bを腰板1,1Aの前面側から取り付けることができる。なお、モジュール本体4Bの取付方法が側方からのスライド取付のみに限定される場合には、係止溝2A,2Bの内側面に配置された絶縁板2bは必ずしも進退自在に配置され、外側に向かってばね付勢されていなくても良く、係止溝2A,2B内に固定されていても良い。
【0098】
このモジュール本体4Bの取り付けに当たっては、モジュール本体4Bの長手方向を左右方向に向けた状態で、腰板1,1Aの前面側から腰板1,1Aの間の隙間を通してモジュール本体4Bを挿入し、その後モジュール本体4Bを90度回転させると、両突出部4b,4bが係止溝2A,2B内に進入し、各突出部4b,4bが係止溝2A,2Bと係止することで、モジュール本体4Bが腰板1,1Aに取り付けられる。またモジュール本体4Bを正規の位置まで回転させると、係止溝2A,2B内に進退自在に配置された絶縁板2b,2bが嵌合溝4e,4eと嵌合するとともに、各一対の接続端子5a,5bが対応する導電板L1,L2に電気的に接続されるので、モジュール本体4Bが位置決めされて、接続端子5a,5bを導電板L1,L2に確実に接触させることができる。なお、モジュール本体4Bを取り外す際には、取り付け状態からモジュール本体4Bを90度回転させると、突出部4b,4bと係止溝2A,2Bとの係止が解除され、腰板1,1A間の隙間内に進入するので、この状態でモジュール本体4Bを前方に移動させることによって、モジュール本体4Bを容易に取り外すことができる。
【0099】
また、図17は本発明に係る配線システム利用した誘導照明装置を示し、モジュール本体4’の前面に誘導灯の発光部64を配置するとともに、情報信号に含まれる制御信号に基づいて誘導灯の点灯状態を制御する点灯制御部をモジュール本体4’の内部に収納した複数の機能モジュールB11,B12,B13…を用い、これら機能モジュールB11,B12,B13…の突出部4bを図16(b)で説明したレール部材60の係止溝61に引掛係止することによって、各機能モジュールB11,B12,B13…をレール部材60に取り付けてある。ここで、情報ラインには各機能モジュールB11…に対して制御信号を送信する制御モジュール(図示せず)が接続されており、通常時は制御モジュールが明るさセンサ(図示せず)や人感センサ(図示せず)の検知信号を監視し、周囲照度が所定のしきい値レベルよりも暗く、且つ、人感センサが人を検知すると、各機能モジュールB11…に点灯制御信号を出力し、各機能モジュールB11…において点灯制御部が誘導灯の発光部64を点灯させることで、夜間などに通路の照明を確保することができる。また火災などの非常時には、制御モジュールが火災感知器(図示せず)からの発報信号に基づいて各機能モジュールB11…に順番に点滅制御信号を出力し、各機能モジュールB11…が非常電源(図示せず)からの電源供給を受け、所定の順番でサイクリックに点灯制御部が誘導灯の発光部64を点滅させることで、複数の機能モジュールB11…の光が連なって誘導灯として機能するとともに、点滅する光が走行する方向に人を誘導することができる。なお、この誘導照明装置では制御モジュールが複数の機能モジュールB11…に順番に点滅制御信号を出力し、各機能モジュールB11…の誘導灯を所定の順番でサイクリックに点灯させているが、制御モジュールからの点灯制御信号を受けて各機能モジュールB11…が誘導灯を点灯し続けるようにしても良い。なお、この場合には誘導灯の発光部64に誘導方向を示す矢印などのマークを表示しておけば良い。
【0100】
また本装置では火災などの非常時に各機能モジュールB11…の誘導灯を所定の順番でサイクリックに点滅させているが、各機能モジュールB11…に誘導灯の代わりに一般的な照明器具よりも光出力が小さいガイド灯を設けるとともに、周囲の明るさが所定のしきい値よりも暗くなると点灯制御信号を出力する明るさセンサ(図示せず)を設け、明るさセンサが点灯制御信号を出力すると、制御モジュールが各機能モジュールB11…の備えるガイド灯を点灯させる制御信号を含む情報信号を出力し、各機能モジュールB11…が、制御モジュールからの制御信号を受け、センサ(本実施形態では明るさセンサ)に連動してガイド灯を常時点灯させるようにしても良く、複数の機能モジュールB11…の光を連ねてガイド灯として機能させることができ、廊下などの空間を夜間に低照度で照明することができる。また明るさセンサなどのセンサに連動せず、各機能モジュールB11…において、モジュール本体に内蔵したガイド灯を点灯させるようにしても良く、複数の機能モジュールB11…の光を連ねてガイド灯として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施形態1の配線システムに用いる機能モジュールを腰板モジュールに取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図2】同上に用いる機能モジュールを示し、(a)は外観斜視図、(b)は正面図である。
【図3】同上の使用状態を説明する説明図である。
【図4】(a)は同上に用いる機能モジュールのブロック図、(b)(c)は機能モジュールの要部のブロック図である。
【図5】同上を用いる配線システムのシステム構成図である。
【図6】実施形態2の配線システムに用いる機能モジュールのブロック図である。
【図7】実施形態3の配線システムに用いる機能モジュールを腰板モジュールに取り付けた状態の一部省略せる外観斜視図である。
【図8】実施形態4の配線システムに用いる機能モジュールから基本機能モジュールを外した状態の外観斜視図である。
【図9】同上に用いる基本機能モジュールと拡張機能モジュールとの連結構成の説明図である。
【図10】同上に用いるゲート装置と基本機能モジュールの回路構成図である。
【図11】同上に用いる基本機能モジュールを背面側から見た外観斜視図である。
【図12】(a)は同上に用いる基本機能モジュールの化粧カバーを外した状態の斜視図、(b)は同上に用いる連結体の斜視図である。
【図13】同上に用いる拡張機能モジュールの回路構成図である。
【図14】同上に用いる拡張機能モジュールを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は蓋部を開き、連結体を外した状態の側面図である。
【図15】同上に用いる機能モジュールを腰板モジュールに取り付けた状態の外観斜視図である。
【図16】(a)(b)は配線モジュールの他の構成を示す説明図である。
【図17】同上の配線システムを用いた誘導照明装置の説明図である。
【図18】同上の配線システムに用いる腰板および機能モジュールの接続部分の説明図である。
【図19】同上の配線システムに用いる腰板および機能モジュールの接続部分の説明図である。
【図20】同上の配線システムに用いる幅木および機能モジュールの接続部分の説明図である。
【図21】同上の配線システムに用いる腰板および機能モジュールの接続部分の説明図である。
【符号の説明】
【0102】
A 腰板モジュール
B 機能モジュール
L1,L2 導電板
1 腰板パネル
2 係止溝
4 モジュール本体
4a 本体部
4b 突出部
5a 電源接続端子
5b 情報接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁の室内側表面に配設される配線モジュール本体を有し、当該配線モジュール本体の側縁に係止溝を形成し、当該係止溝の内側に電力供給および情報信号の伝送を行うための導電路が配置された配線モジュールと、前記係止溝に引掛係止する係止手段、導電路に電気的に接続する接続手段および所定の機能を有する機能部を有し、係止手段を係止溝に引掛係止させることで配線モジュールに取着した状態で、接続手段を介して導電路から電力の供給又は情報信号の授受の内少なくとも何れか一方又は両方を行う機能モジュールと、で構成されることを特徴とする配線システム。
【請求項2】
前記機能モジュールは機能部を挟んで両側に係止手段を備え、一方の係止手段に電力供給を行うための接続手段を、他方の係止手段に情報信号の伝送を行うための接続手段をそれぞれ設けるとともに、各係止手段がそれぞれ引掛係止される係止溝を配線モジュール本体に設け、一方の係止手段が引掛係止される係止溝に電力供給のための導電路を、他方の係止手段が引掛係止される係止溝に情報信号の伝送を行うための導電路をそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1記載の配線システム。
【請求項3】
前記配線モジュール本体が、建物の壁の下側部に取着される腰板からなることを特徴とする請求項1又は2記載の配線システム。
【請求項4】
前記機能モジュールは、前記配線モジュールの係止溝に係止する手段を具備して配線モジュールに取着される造作部材とは別体に形成された機能モジュール本体に、前記係止手段と前記接続手段と前記機能部とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項5】
前記機能モジュールは、前記配線モジュールの係止溝に係止する手段を具備して配線モジュールに取着される造作部材とは別体に形成された機能モジュール本体に、前記係止手段と前記接続手段と前記機能部とを設けてあり、機能モジュール本体を他の造作部材と組み合わせることで見切り縁を構成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項6】
前記機能モジュールは、前記配線モジュールに取着される見切り縁よりなる機能モジュール本体に、前記係止手段と前記接続手段と前記機能部とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項7】
前記機能モジュール本体に、接続手段を介して前記導電路に接続される接続口を具備したゲート装置を設け、前記接続口に接続される被接続部を具備して当該被接続部を前記接続口に接続した状態で前記機能モジュール本体の室内側の表面に配置され、ゲート装置を介して電力の供給又は情報信号の授受の内の少なくとも何れか一方又は両方を行う基本機能モジュールを設け、当該基本機能モジュールにより前記機能部を構成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項8】
前記基本機能モジュールと並べて機能モジュール本体の室内側の表面に配置され、前記基本機能モジュールを介して電力の供給又は情報信号の授受の内の少なくとも何れか一方又は両方を行う拡張機能モジュールを設け、当該拡張機能モジュールが前記基本機能モジュールとともに前記機能部を構成することを特徴とする請求項7記載の配線システム。
【請求項9】
ガイド灯と、周囲照度が所定のしきい値よりも暗くなると制御信号を含む情報信号を送信する明るさセンサからの制御信号を受け取ると前記ガイド灯を点灯させる点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、明るさセンサが制御信号を出力すると機能モジュールの点灯制御部がガイド灯を点灯させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項10】
ガイド灯と、前記ガイド灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、機能モジュールの点灯制御部がガイド灯を点灯させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項11】
誘導灯と、情報信号に含まれる制御信号に応じて前記誘導灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、複数の機能モジュールが備える誘導灯を所定の順番でサイクリックに点滅させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項12】
誘導灯と、情報信号に含まれる制御信号に応じて前記誘導灯の点灯状態を制御する点灯制御部とで構成される機能部を具備した複数の機能モジュールを配線モジュールに取り付け、機能モジュールは制御信号が入力されると誘導灯を点灯させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項13】
前記導電路が、電源供給のための電力ラインと、情報信号を伝送するための情報ラインとで構成されることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の配線システム。
【請求項14】
前記導電路が電源供給のための電力ラインからなり、前記電力ラインを介して電力線搬送通信により情報信号を授受する電力線搬送通信手段を、前記ゲート装置又は前記基本機能モジュールの何れかに設けたことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の配線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−192018(P2007−192018A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344868(P2006−344868)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】