説明

配線シート、それを備えた裏面電極型太陽電池モジュール、および、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法

【課題】裏面電極型太陽電池セルを高集積化して発電効率を確実に向上する。
【解決手段】シート状の絶縁性基材110と、長手方向を有し、絶縁性基材110の一方の表面に互いに間隔を置いて上記長手方向と直交する方向に並列に配置される複数の配線140とを備える。また、絶縁性基材110の一方の表面において、接合される裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて上記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マーク160を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線シート、それを備えた裏面電極型太陽電池モジュール、および、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギ資源の枯渇の問題および大気中のCO2の増加のような地球環境問題などの問題への対策として、クリーンなエネルギの開発が望まれている。そのなかで、太陽電池モジュールを用いた太陽光発電が、新しいエネルギ源として開発され、実用化されてきている。
【0003】
太陽電池モジュールには太陽電池セルが含まれ、従来から、太陽電池セルとしては、両面電極型太陽電池セルが主流となっている。両面電極型太陽電池セルにおいては、たとえば単結晶または多結晶のシリコン基板を用いて受光面が形成されている。シリコン基板には、シリコン基板とは反対の導電型の不純物が拡散されることによってpn接合が形成されている。受光面の反対側の裏面および受光面の両方に電極が形成されている。
【0004】
太陽電池セルとしては他にも、いわゆる裏面電極型太陽電池セルがある。裏面電極型太陽電池セルにおいては、シリコン基板の裏面に、p型用電極およびn型用電極の両方が形成されている。裏面電極型太陽電池セルを備えた裏面電極型太陽電池モジュールを開示した先行文献として、特許文献1がある。
【0005】
特許文献1に記載された裏面電極型太陽電池モジュールにおいては、複数のp型用電極と複数のn型用電極とが裏面に形成された複数の裏面電極型太陽電池セルが配線シートに接合されて、裏面電極型太陽電池ストリングが構成されている。配線シートは、絶縁性基材上に、p型用電極と接続されるp型用配線と、n型用電極と接続されるn型用配線とが形成されている。p型用配線とn型用配線とは、ともに長手方向を有し互いに並列に配置されている。
【0006】
裏面電極型太陽電池モジュールの発電効率を高めるために、裏面電極型太陽電池セルの高集積化が行なわれている。そのため、裏面電極型太陽電池セルにおいて、p型用電極とn型用電極との間の間隔が狭くなり、それに対応して、配線シートにおいて、p型用配線とn型用配線との間の間隔が狭くなる傾向にある。
【0007】
裏面電極型太陽電池ストリングにおいては、複数の太陽電池セルが電気的に直列に接続されている。高集積化された裏面電極型太陽電池セルと配線シートとの接合においては、互いに隣接する電極同士または配線同士の間の間隔が狭いため、接合不良により短絡が生じることがある。この場合、高集積化した裏面電極型太陽電池モジュールの発電効率を高めることができない。
【0008】
そこで、裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、接合不良が発生した部分の裏面電極型太陽電池セルと配線シートとが除去され、その除去部分に、互いに接合されている他の裏面電極型太陽電池セルと他の配線シートとが組み込まれる、裏面電極型太陽電池モジュールのリペアが行なわれる。他の裏面電極型太陽電池セルは、上記裏面電極型太陽電池セルと同様の構成を有している。他の配線シートは、上記配線シートと同様の構成を有している。
【0009】
互いに位置合わせされて接合される2つの部材の位置合わせ方法を開示した先行文献として、特許文献2がある。特許文献2に記載された位置合わせ方法においては、一方の部材に位置合わせマークが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−88145号公報
【特許文献2】特開2001−183692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
裏面電極型太陽電池モジュールのリペアにおいては、除去部分が除去された後の配線シートと、その除去部分に組み込まれる配線シートとを接続する必要がある。特許文献2に記載された位置合わせ方法のように、通常、2つの部材が位置合わせされて接合される場合、その2つの部材同士が対向している位置に位置合わせマークが配設される。
【0012】
裏面電極型太陽電池モジュールのリペアにおいては、裏面電極型太陽電池ストリングの除去部分に組み込まれる、他の配線シートに他の裏面電極型太陽電池が接合されたリペアユニットをあらかじめ用意する必要がある。
【0013】
リペアユニットは、他の配線シートと他の裏面電極型太陽電池セルとの間に接合材料が供給された状態で、加熱および加圧されることにより作製される。他の配線シートの配線は、他の裏面電極型太陽電池セルに比較して熱膨張係数が大きい。そのため、加熱により、他の配線シートの配線が他の裏面電極型太陽電池セルに比べて配線の長手方向に伸びた状態で、接合材料が硬化して、他の配線シートと他の裏面電極型太陽電池セルとが接合される。加熱終了後は、長手方向に伸びていた配線が縮もうとするため、リペアユニットには、配線の長手方向の中央部が端部に比べて裏面電極型太陽電池セル側に凸状となるように配線の長手方向において反りが発生する。
【0014】
そのため、裏面電極型太陽電池モジュールのリペアを行なう際には、互いに接続されるべき、裏面電極型太陽電池ストリングにおける除去部分が除去された後の配線シートの接続位置と、リペアユニットの他の配線シートの接続位置とを、互いに近接配置させることができない。よって、裏面電極型太陽電池ストリングにおける除去部分が除去された後の配線シートとリペアユニットの他の配線シートとを接続する際、それぞれの接続位置同士を位置合わせすることができない。
【0015】
仮に、強制的にリペアユニットの反りを矯正した場合、リペアユニットに負荷がかかり、他の裏面電極型太陽電池セルに割れ、または、他の配線シートに破れなどが発生する恐れがある。この場合、高集積化した裏面電極型太陽電池モジュールの発電効率を高めることができない。
【0016】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、裏面電極型太陽電池セルを高集積化して発電効率を確実に向上できる、配線シート、それを備えた裏面電極型太陽電池モジュール、および、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の局面に基づく配線シートは、半導体基板の一方の表面に複数の電極が配置されている複数の裏面電極型太陽電池セルが接合される配線シートである。配線シートは、シート状の絶縁性基材と、長手方向を有し、絶縁性基材の一方の表面に互いに間隔を置いて上記長手方向と直交する方向に並列に配置され、上記複数の電極のうちの対応する電極と各々接続される複数の配線とを備える。また、配線シートは、絶縁性基材の一方の表面において、接合される裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて上記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マークを備える。位置決め用マークは、配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよびこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する場合に、他の配線シートを裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である。
【0018】
本発明の第2の局面に基づく配線シートは、上記の他の配線シートであって、シート状の絶縁性基材と、長手方向を有し、絶縁性基材の一方の表面に互いに間隔を置いて上記長手方向と直交する方向に並列に配置され、上記複数の電極のうちの対応する電極と各々接続される複数の配線とを備える。また、配線シートは、絶縁性基材の一方の表面において、接合される裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて上記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に配置された位置決め用マークとを備える。位置決め用マークは、配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよびこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する場合に、他の配線シートを裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である。
【0019】
本発明の第1の局面に基づく裏面電極型太陽電池モジュールは、上記本発明の第1の局面に基づく配線シートを含む。
【0020】
本発明の第2の局面に基づく裏面電極型太陽電池モジュールは、上記本発明の第1の局面に基づく配線シート、および、上記本発明の第2の局面に基づく配線シートを含む。
【0021】
本発明の第3の局面に基づく裏面電極型太陽電池モジュールは、半導体基板の一方の表面上に複数の電極が配置されている複数の裏面電極型太陽電池セルと、上記複数の裏面電極型太陽電池セルと接合されている配線シートとを備える。配線シートには、上記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線が一方の表面上に配置され、かつ、裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて上記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、位置決め用マークが配置されている。位置決め用マークは、配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよびこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する場合に、他の配線シートを裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である。
【0022】
本発明の第3の局面に基づく裏面電極型太陽電池モジュールの一形態においては、半導体基板の一方の表面上に複数の電極が配置されている他の裏面電極型太陽電池セルと、上記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線が一方の表面上に配置され、かつ、裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて上記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、位置決め用マークが配置されている前記他の配線シートとを備える。他の配線シートに他の裏面電極型太陽電池セルが接合されてリペアユニットが構成されている。配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよびこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートとリペアユニットとが交換され、複数の裏面電極型太陽電池セルの位置決め用マークと他の裏面電極型太陽電池セルの位置決め用マークとが位置合わせされた状態で裏面電極型太陽電池ストリングにリペアユニットが組み込まれている。
【0023】
本発明に基づく裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法は、配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよびこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよびこの他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する方法である。複数の裏面電極型太陽電池セルおよび他の裏面電極型太陽電池セルの各々は、半導体基板の一方の表面上に複数の電極を有している。配線シートおよび他の配線シートの各々は、一方の表面上に、上記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線を有し、かつ、裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、上記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マークを有している。リペア方法は、複数の裏面電極型太陽電池セルのうちの少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルとこの裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートとが除去される工程と、他の配線シートに他の裏面電極型太陽電池セルが接合されているリペアユニットが用意される工程とを備える。また、リペア方法は、配線シートと他の配線シートとの接続用の導電性材料が供給される工程と、配線シートの位置決め用マークと他の配線シートの位置決め用マークとが位置合わせされた状態で、リペアユニットが裏面電極型太陽電池ストリングの除去された部分に配置される工程とを備える。さらに、リペア方法は、リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングが加熱されつつ加圧されることにより、配線シートと他の配線シートとが導電性材料により接続されて、リペアユニットが裏面電極型太陽電池ストリングに組み込まれる工程とを備える。
【0024】
好ましくは、リペアユニットが裏面電極型太陽電池ストリングに組み込まれる工程において、リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングの加熱が開始された後に、この裏面電極型太陽電池ストリングの加圧が開始される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、裏面電極型太陽電池セルを高集積化して発電効率を確実に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る配線シートの構成を示す平面図である。
【図2】図1の配線シートをII−II線矢印方向に見た図である。
【図3】同実施形態に係る太陽電池モジュールに含まれる裏面電極型太陽電池セルの構成を示す断面図である。
【図4】図3の裏面電極型太陽電池セルを矢印IVから見た図である。
【図5】裏面電極型太陽電池セルの電極の配置の第1の変形例を示す平面図である。
【図6】裏面電極型太陽電池セルの電極の配置の第2の変形例を示す平面図である。
【図7】同実施形態に係る裏面電極型太陽電池ストリングを受光面側から見た状態を示す平面図である。
【図8】図7をVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
【図9】同実施形態に係る裏面電極型太陽電池ストリングを透明基板上に固定した状態を示す平面図である。
【図10】図9の状態をX−X線矢印方向から見た図である。
【図11】絶縁性基材上に配線材料およびフォトレジストを形成した状態を示す断面図である。
【図12】フォトレジストをパターニングした状態を示す断面図である。
【図13】配線シートにおいて配線の長手方向に直交する方向に隣接する、第1の例の配線シートの一部を示す平面図である。
【図14】図13のXIV部の拡大図である。
【図15】配線シートにおいて配線の長手方向に直交する方向に隣接する、第2の例の配線シートの一部を示す平面図である。
【図16】図15のXVI部の拡大図である。
【図17】裏面電極型太陽電池ストリングにおいて接合不良が発生した部分の裏面電極型太陽電池セルを除去した状態を示す平面図である。
【図18】図17の裏面電極型太陽電池ストリングをXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【図19】リペアユニットを構成する他の裏面電極型太陽電池セルと他の配線シートとをラミネート装置内に配置した状態を示す断面図である。
【図20】図19のXX部の拡大図である。
【図21】ラミネート装置のゴム膜より上側の空間の圧力を大気圧にした状態を示す断面図である。
【図22】図21のリペアユニットのXXII部を拡大して示す断面図である。
【図23】リペアユニットを裏面電極型太陽電池ストリング400の除去部分に配置した状態を裏面側から見た状態を示す平面図である。
【図24】図23のXXIV部の拡大図である。
【図25】図23のXXV部の拡大図である。
【図26】リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングが加熱および加圧される状態を配線の長手方向に平行な断面から見た図である。
【図27】リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングが加熱および加圧される際のラミネート装置の状態を示す断面図である。
【図28】リペアされた裏面電極型太陽電池モジュールの構成を示す平面図である。
【図29】図28のXXIX−XXIX線矢印方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に基づく配線シート、それを備えた裏面電極型太陽電池モジュール、および、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る配線シートの構成を示す平面図である。図2は、図1の配線シートをII−II線矢印方向に見た図である。
【0029】
図1に示すように、配線シート100は、シート状の絶縁性基材110と、絶縁性基材110の一方の表面上に形成された、n型用配線120およびp型用配線130を含む配線140と、接続用配線150と、出力取出し配線120e,130eとから構成されている。
【0030】
n型用配線120、p型用配線130、接続用配線150および出力取出し配線120e,130eは、それぞれ導電性を有している。n型用配線120およびp型用配線130のそれぞれは、所定の間隔を開けて形成された長手方向を有する複数の矩形部を有している。n型用配線120の矩形部とp型用配線130の矩形部とは、矩形部の長手方向に直交する方向において、所定の間隔を置いて、1本ずつ交互に並列に配置されている。
【0031】
接続用配線150は、n型用配線120およびp型用配線130の矩形部の長手方向に直交する方向に延在し、n型用配線120およびp型用配線130の矩形部は、接続用配線150に接続されている。n型用配線120およびp型用配線130は、それぞれ櫛歯状に形成されている。n型用配線120およびp型用配線130の矩形部の長手方向に隣り合うn型用配線120とp型用配線130とは、接続用配線150によって電気的に接続されている。
【0032】
配線シート100の一方の終端に位置しているn型用出力取出し配線120eは、n型用配線120の矩形部の長手方向に直交する方向に延在して、n型用配線120に接続されている。配線シート100の他方の終端に位置しているp型用出力取出し配線130eは、p型用配線130の矩形部の長手方向に直交する方向に延在して、p型用配線130に接続されている。
【0033】
また、配線シート100においては、n型用配線120およびp型用配線130の矩形部を、それぞれ1本ずつ交互に配置したが、n型用配線120およびp型用配線130の矩形部のうちの少なくとも一方を、1本ではなく複数本ずつ交互に配置してもよい。n型用配線120またはp型用配線130のいずれか一方の配線が、他方の配線同士の間に少なくとも部分的に位置する箇所が存在するように形成されていればよい。
【0034】
図2に示すように、配線シート100においては、絶縁性基材110の一方の表面上にのみn型用配線120およびp型用配線130が形成されている。
【0035】
絶縁性基材110の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)を用いたが、電気絶縁性を有する材質であれば特に限定されない。絶縁性基材110の材質として、たとえば、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene naphthalate)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene sulfide)、ポリビニルフルオライド(PVF:Polyvinyl fluoride)およびポリイミド(Polyimide)からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含む材質を用いることが好ましい。
【0036】
また、絶縁性基材110の厚さは特に限定されず、たとえば、25μm以上150μm以下とすることができる。なお、絶縁性基材110は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0037】
配線140、接続用配線150および出力取出し配線120e,130eの材質としては、無酸素銅(OFC:oxygen free copper)を用いたが導電性の材質のものであれば特に限定されない。配線の材質として、たとえば、銅、アルミニウムおよび銀からなる群から選択された少なくとも1種を含む金属などを用いることが好ましい。また、配線16の厚さは、18μmとしたが、これに限定されず、たとえば、10μm以上50μm以下とすることができる。配線16の形状は、上述した形状に限定されず、適宜設定することができる。
【0038】
配線140の少なくとも一部の表面には、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、はんだ(SnPb)、およびITO(Indium Tin Oxide)からなる群から選択された少なくとも1種を含む導電性物質を被膜することが好ましい。この場合には、配線シート100の配線140と、後述する裏面電極型太陽電池セルの電極との電気的接続を良好なものとし、配線140の耐候性を向上させることができる。
【0039】
また、配線140の少なくとも一部の表面に、たとえば、防錆処理または黒化処理などの表面処理を施してもよい。なお、配線140は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0040】
図1,2に示すように、本実施形態の配線シートには、位置決め用マーク160が、絶縁性基材110の一方の表面上に形成されている。位置決め用マーク160の形成位置および作用については後述する。
【0041】
図3は、本実施形態に係る太陽電池モジュールに含まれる裏面電極型太陽電池セルの構成を示す断面図である。図3に示すように、裏面電極型太陽電池セル200には、n型またはp型の半導体基板であるシリコン基板210を用いた。
【0042】
裏面電極型太陽電池セル200の受光面となる、凹凸形状を有するシリコン基板210の表面上に、反射防止膜270が形成されている。裏面電極型太陽電池セル200の裏面となる、シリコン基板210の裏面上にパッシベーション膜260が形成されている。
【0043】
また、シリコン基板210の内部の裏面側に、リンなどのn型不純物が拡散されたn型不純物拡散領域220と、ボロンなどのp型不純物が拡散されたp型不純物拡散領域230とが形成されている。n型不純物拡散領域220とp型不純物拡散領域230とは、互いに所定の間隔を置いて交互に形成されている。
【0044】
パッシベーション膜260に設けられたコンタクトホールを通してn型不純物拡散領域220に接続されたn型用電極240が、パッシベーション膜260の裏面側に突出するよう形成されている。パッシベーション膜260に設けられたコンタクトホールを通してp型不純物拡散領域230に接続されたp型用電極250が、パッシベーション膜260の裏面側に突出するよう形成されている。
【0045】
n型またはp型の導電型を有するシリコン基板210の内部では、n型不純物拡散領域220またはp型不純物拡散領域230とシリコン基板210との界面において、複数のpn接合が形成されている。よって、n型不純物拡散領域220に接続されたn型用電極240、および、p型不純物拡散領域230に接続されたp型用電極250の各々は、シリコン基板210の内部の裏面側に形成された複数のpn接合にそれぞれ対応した電極となる。
【0046】
図4は、図3の裏面電極型太陽電池セルを矢印IVから見た図である。図4に示すように、n型用電極240およびp型用電極250は、所定の間隔を置いて形成された長手方向を有する複数の矩形部を有している。n型用電極240の矩形部とp型用電極250の矩形部とは、矩形部の長手方向に直交する方向において、所定の間隔を開けて、1本ずつ交互に配置されている。
【0047】
裏面電極型太陽電池セル200の裏面における一方の端部近傍に、n型用電極240の矩形部の長手方向に直交する方向に延在し、n型用電極240のすべての矩形部と連続する幹部が形成されている。このように、n型用電極240は、櫛歯状に形成されている。
【0048】
裏面電極型太陽電池セル200の裏面における他方の端部近傍に、p型用電極250の矩形部の長手方向に直交する方向に延在し、p型用電極250のすべての矩形部と連続する幹部が形成されている。このように、p型用電極250は、櫛歯状に形成されている。
【0049】
なお、n型用電極240およびp型用電極250のそれぞれの形状および配置は、上記の構成に限られず、配線シート100のn型用配線120およびp型用配線130にそれぞれ電気的に接続可能な形状および配置であればよい。
【0050】
図5は、裏面電極型太陽電池セルの電極の配置の第1の変形例を示す平面図である。図6は、裏面電極型太陽電池セルの電極の配置の第2の変形例を示す平面図である。図5に示すように、第1の変形例の裏面電極型太陽電池セル200aの電極においては、矩形状のn型用電極240aおよびp型用電極250aが、それぞれ同じ方向に延在するように設けられている。n型用電極240aおよびp型用電極250aは、シリコン基板210の裏面において、n型用電極240aおよびp型用電極250aが延在する方向に直交する方向に、それぞれ1本ずつ交互に配置されている。
【0051】
図6に示すように、第2の変形例の裏面電極型太陽電池セル200bの電極においては、点状のn型用電極240bおよびp型用電極250bが、それぞれ行列状に配置されている。n型用電極240bが配置された列と、p型用電極250bが配置された列とは、それぞれ1列ずつ交互に配置されている。n型用電極240bが配置された行と、p型用電極250bが配置された行とは、それぞれ1行ずつ交互に配置されている。
【0052】
なお、電極の配置においては、n型用電極240,240a,240bおよびp型用電極250,250a,250bを、それぞれ1本または1行もしくは1列ずつ交互に配置したが、n型用電極240,240a,240bおよびp型用電極250,250a,250bのうちの少なくとも一方を、複数本または複数行もしくは複数列ずつ交互に配置してもよい。n型用電極240,240a,240bおよびp型用電極250,250a,250bのいずれか一方の電極が、他方の電極同士の間に少なくとも部分的に位置する箇所が存在するように形成されていればよい。
【0053】
シリコン基板210としては、たとえば、n型またはp型の多結晶シリコンまたは単結晶シリコンなどを用いることができる。n型用電極240およびp型用電極250としては、たとえば、銀などの金属からなる電極を用いることができる。パッシベーション膜260としては、たとえば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層体などを用いることができる。反射防止膜270としては、たとえば、窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0054】
なお、本発明における裏面電極型太陽電池セルの概念には、上述したシリコン基板210の一方の表面側(裏面側)のみにn型用電極240およびp型用電極250が形成された構成に限られず、半導体基板に設けられた貫通孔に電極の一部を配置した構成の太陽電池セルであるMWT(Metal Wrap Through)セルなどのいわゆるバックコンタクト型太陽電池セルのすべてが含まれる。
【0055】
図7は、本実施形態に係る裏面電極型太陽電池ストリングを受光面側から見た状態を示す平面図である。図8は、図7をVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。本実施形態においては、裏面電極型太陽電池ストリングの一例として、図1,2に示す配線シート100の配線140に、図3,4に示す裏面電極型太陽電池セル200の電極を接続したが、裏面電極型太陽電池ストリングの構成はこれに限定されない。ここで、配線シート100と裏面電極型太陽電池セル200との接続とは、配線シート100の配線140と裏面電極型太陽電池セル200の電極とが導通状態となるように接続されていることをいう。
【0056】
図7,8に示すように、本実施形態の裏面電極型太陽電池ストリング300においては、裏面電極型太陽電池セル200の裏面側と、配線シート100の配線が形成されている側とが対向するように、配線シート100上に裏面電極型太陽電池セル200が配置されている。
【0057】
図8に示すように、裏面電極型太陽電池セル200の裏面に形成されたn型用電極240は、配線シート100の絶縁性基材110の表面上に形成されたn型用配線120と接続されている。裏面電極型太陽電池セル200の裏面に形成されたp型用電極250は、配線シート100の絶縁性基材110の表面上に形成されたp型用配線130と接続されている。
【0058】
図1に示すように、矩形部の長手方向において隣り合うn型用配線120とp型用配線130とは、接続用配線150によって電気的に接続されているため、配線シート100上において矩形部の長手方向に隣り合うようにして配置される裏面電極型太陽電池セル200同士は、配線を通じて互いに電気的に接続される。図7,8に示すように裏面電極型太陽電池ストリング300においては、配線シート100上に配置されたすべての裏面電極型太陽電池セル200同士が、電気的に直列に接続されている。
【0059】
裏面電極型太陽電池セル200の受光面に光が入射することによって発生した電流は、n型用電極240からn型用配線120に、p型用電極250からp型用配線130に取り出される。n型用配線120およびp型用配線130に取り出された電流は、配線シート100の終端にそれぞれ位置しているn型用出力取出し配線120eおよびp型用出力取出し配線130eから裏面電極型太陽電池ストリング300の外部に取り出される。
【0060】
図9は、本実施形態に係る裏面電極型太陽電池ストリングを透明基板上に固定した状態を示す平面図である。図10は、図9の状態をX−X線矢印方向から見た図である。図9においては、簡単のため、裏面電極型太陽電池セル200に対向している配線シート100の対向領域における配線を図示していない。
【0061】
図9,10に示すように、たとえばガラス基板である透明基板410上に、配線シート100と裏面電極型太陽電池セル200とが接合された裏面電極型太陽電池ストリング400が、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA樹脂)からなる封止材420によって接着されている。本明細書においては、この状態のものを裏面電極型太陽電池ストリング400と称する。
【0062】
図8,9に示すように、位置決め用マーク160は、配線シート100の一方の表面上において、接合される裏面電極型太陽電池セル200との対向領域の縁部に配置されている。かつ、位置決め用マーク160は、配線シート100の配線の長手方向と直交する方向に延びて、配線シート100の裏面電極型太陽電池セル200との対向領域を略2分割する仮想直線162上に配置されている。
【0063】
言い換えると、配線の長手方向と直交する方向において隣接する位置決め用マーク160同士を結ぶ仮想直線は、配線シート100の裏面電極型太陽電池セルとの対向領域である、図9に点線で示す略正方形状の領域のそれぞれを略2分割するように位置している。
【0064】
ここで、配線シート100の製造方法の一例について説明する。図11は、絶縁性基材上に配線材料およびフォトレジストを形成した状態を示す断面図である。図12は、フォトレジストをパターニングした状態を示す断面図である。
【0065】
図11に示すように、PETからなる絶縁性基材110上に、接着剤を介して配線材料180を接着する。配線材料180上に、ドライフィルムまたは液状レジストをスピンコートすることによりフォトレジスト190を形成する。この状態において、露光および現像処理を行なうことにより、図12に示すように、フォトレジスト190がパターニングされて、フォトレジスト190aおよびフォトレジスト190bが形成される。
【0066】
フォトレジスト190aは、配線を形成するためのパターンを成し、フォトレジスト190bは位置決め用マークを形成するためのパターンを成す。フォトレジスト190bは、図1中の位置決め用マーク160の位置に対応して形成されている。
【0067】
次に、上記配線材料180の上方から、エッチング液として、銅に作用する塩化第二鉄または塩化第二銅水溶液を供給する。この実施形態においては、スプレーを用いて、塩化第二鉄溶液を配線材料180に吹き付けた。なお、エッチング液を、液加圧式の一流体ノズルから吹き付けてもよく、ノズル内でエッチング液と空気とを混合させる二流体ノズルから吹き付けてもよい。また、本実施形態においては、一例として、吹き付ける塩化第二鉄溶液の濃度を38%とし、液温は40℃とした。吹き付けるスプレー圧は、0.1MPaとした。
【0068】
上記のようにエッチング液を吹き付けることにより、フォトレジスト190a,190bで覆われていない部分の配線材料180がエッチングされる。その後、フォトレジスト190a,190bを剥離して洗浄することにより、図2に示す配線シート100が得られる。
【0069】
図13は、配線シートにおいて配線の長手方向に直交する方向に隣接する、第1の例の配線シートの一部を示す平面図である。図14は、図13のXIV部の拡大図である。第1の例の位置決め用マークは、平面的に見て、矩形状の外形を有している。
【0070】
図13,14に示すように、配線シート100の一部である、1つの裏面電極型太陽電池セル200が対向配置される部分の配線シート100aには、n型用配線120aとp型用配線130aと位置決め用マーク160aとが形成されている。配線の長手方向に直交する方向において配線シート100aに隣接する、配線シート100の一部である配線シート100bには、n型用配線120bとp型用配線130bと位置決め用マーク160bとが形成されている。
【0071】
本実施形態においては、配線シート100aにおいて、位置決め用マーク160aは、最も外側に位置するn型用配線120aより外側の位置に1つ、最も外側に位置するp型用配線130aより外側の位置に1つの、合わせて2つ配置されているが、どちらか一方のみ配置されていてもよい。さらに、最も外側に位置するn型用配線120aと最も外側に位置するp型用配線130aとの間の位置に、位置決め用マーク160aが配置されていてもよい。
【0072】
同様に、配線シート100bにおいて、位置決め用マーク160bは、最も外側に位置するn型用配線120bより外側の位置に1つ、最も外側に位置するp型用配線130bより外側の位置に1つの、合わせて2つ配置されているが、どちらか一方のみ配置されていてもよい。さらに、最も外側に位置するn型用配線120bと最も外側に位置するp型用配線130bとの間の位置に、位置決め用マーク160bが配置されていてもよい。
【0073】
図13,14に示すように、互いに隣接して配置されている、位置決め用マーク160aと位置決め用マーク160bとは、それぞれの外形を構成している対向する2辺が、それぞれ連続している。
【0074】
言い換えると、位置決め用マーク160aの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの一方が、位置決め用マーク160bの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの一方と繋がっている。また、位置決め用マーク160aの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの他方が、位置決め用マーク160bの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの他方と繋がっている。
【0075】
図15は、配線シートにおいて配線の長手方向に直交する方向に隣接する、第2の例の配線シートの一部を示す平面図である。図16は、図15のXVI部の拡大図である。第2の例の位置決め用マークは、平面的に見て、矩形状の外形を有する部分と、配線の一部から三角形状に突出している部分からなる。
【0076】
図15,16に示すように、配線シート100の一部である、1つの裏面電極型太陽電池セル200が対向配置される部分の配線シート100cには、n型用配線120a,121aとp型用配線130a,131aと位置決め用マーク160a,161aとが形成されている。配線の長手方向に直交する方向において配線シート100cに隣接する、配線シート100の一部である配線シート100dには、n型用配線120b,121bとp型用配線130b,131bと位置決め用マーク160b,161bとが形成されている。
【0077】
配線シート100cにおいて、n型用配線121aは、最も外側に位置するn型用配線であり、配線の長手方向における中央部の位置決め用マーク160aと対向する位置に、位置決め用マーク161aが形成されている。また、p型用配線131aは、最も外側に位置するp型用配線であり、配線の長手方向における中央部の位置決め用マーク160aと対向する位置に、位置決め用マーク161aが形成されている。
【0078】
同様に、配線シート100dにおいて、n型用配線121bは、最も外側に位置するn型用配線であり、配線の長手方向における中央部の位置決め用マーク160bと対向する位置に、位置決め用マーク161bが形成されている。また、p型用配線131aは、最も外側に位置するp型用配線であり、配線の長手方向における中央部の位置決め用マーク160bと対向する位置に、位置決め用マーク161bが形成されている。
【0079】
図15,16に示すように、互いに隣接して配置されている、位置決め用マーク160aと位置決め用マーク160bとは、それぞれの外形を構成している対向する2辺が、それぞれ連続している。
【0080】
言い換えると、位置決め用マーク160aの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの一方が、位置決め用マーク160bの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの一方と繋がっている。また、位置決め用マーク160aの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの他方が、位置決め用マーク160bの矩形状の外形を構成している、配線の長手方向において対向する2辺のうちの他方と繋がっている。
【0081】
また、互いに隣接して配置されている、位置決め用マーク161aと位置決め用マーク161bとは、配線の長手方向に直交する方向において、互いの頂点部同士が対向している。
【0082】
言い換えると、p型用配線131aの長さ方向に直交する方向において、位置決め用マーク161aの頂点部を通過する仮想直線と、n型用配線121bの長さ方向に直交する方向において、位置決め用マーク161bの頂点部を通過する仮想直線とは重複する。
【0083】
本実施の形態においては、n型用配線121a,bおよびp型用配線131a,bの矩形部の幅を500μmとし、位置決め用マーク161a,161bの、n型用配線121a,bまたはp型用配線131a,bの矩形部の側面からの突出長さを50μmとした。
【0084】
第2の例の位置決め用マークにおいては、配線シート100を裁断してリペアユニット用の他の配線シートを用意する際に、裏面電極型太陽電池セル200と同程度の大きさで配線シートを裁断して、位置決め用マーク160a,160bがリペアユニット用の他の配線シートから切り離された場合においても、位置決め用マーク161a,161bはリペアユニット用の他の配線シートに残存する。そのため、位置決め用マーク161a,161bを使用してリペアユニットの位置決めを行なうことができる。
【0085】
なお、位置決め用マークは、上記の形状に限られず、直線の組み合わせからなる多角形状でもよいし、ライン状でもよい。
【0086】
以下、本実施形態における太陽電池モジュールのリペア方法について説明する。
図17は、裏面電極型太陽電池ストリングにおいて接合不良が発生した部分の裏面電極型太陽電池セルを除去した状態を示す平面図である。図18は、図17の裏面電極型太陽電池ストリングをXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【0087】
図9,10に示す状態の裏面電極型太陽電池ストリング400において、直列に接続された裏面電極型太陽電池セル200の出力を導通検査またはEL(Electro-Luminescence)発光測定などにより評価する。この評価によって、接合不良などの不良箇所が判明した場合、図17,18に示すように、不良箇所に該当する裏面電極型太陽電池セル200およびその裏面電極型太陽電池セル200に接続されている部分の配線シート100を除去する。本実施形態においては、不良箇所が存在した除去部分430が1つの場合について説明するが、複数の不良箇所が存在する場合には、不良箇所が存在する全ての部分においてリペアを行なう。
【0088】
除去部分430の除去方法としては、まず、除去される裏面電極型太陽電池セル200と接合されている部分の配線シート100を除去する。具体的には、カッターなどの刃物で配線シート100の除去部分430の外周に切り込みを入れ、その切り込みを起点にして配線シート100を裏面電極型太陽電池セル200から剥離させる。
【0089】
その後、封止材420により透明基板410に固着されている裏面電極型太陽電池セル200を除去する。予め、裏面電極型太陽電池セル200に金槌またはハンマーなどで亀裂を入れ、電動彫刻刀、サンドブラスト、ウォータージェット、電動かんな、超音波カッターまたはレーザーなどの方法によって裏面電極型太陽電池セル200を透明基板410から除去する。
【0090】
最後に、透明基板410上に付着している封止材420を、超音波カッターまたはウォータージェットなどにより除去する。硬度が50程度のゴムを用いて封止材420を擦ることによっても封止材420を剥離させることができる。上記の手段によって、不良箇所が存在した除去部分430から、裏面電極型太陽電池セル200および配線シート100が除去される。
【0091】
次に、除去部分430に新たに組み込まれる、他の配線シートに他の裏面電極型太陽電池セルが接合されているリペアユニットが用意される。図19は、リペアユニットを構成する他の裏面電極型太陽電池セルと他の配線シートとをラミネート装置内に配置した状態を示す断面図である。図20は、図19のXX部の拡大図である。
【0092】
図19,20に示すように、リペアユニット600は、他の配線シートである配線シート100Xと他の裏面電極型太陽電池セルである裏面電極型太陽電池セル200Xとの接合体である。
【0093】
リペアユニット600の作製方法としては、裏面電極型太陽電池セル200Xの上部に位置する、n型用電極240Xおよびp型用電極250X上に、印刷法により半田ペーストを供給する。半田ペーストを供給する方法としては、ディスペンス、スピンコートなどを用いていもよい。半田ペースト内の半田材料としては、Sn−Bi共晶半田のような比較的低融点のものを使用することが望ましい。融点の高い半田材料を使用した場合、接合される配線シート100Xの絶縁性基材110Xが熱で溶融してしまう恐れがある。
【0094】
また、裏面電極型太陽電池セル200Xの上部に位置するn型用電極240Xおよびp型用電極250Xが銀で形成されている場合は、半田材料による銀食われを防止するためにも、Sn−Bi−Ag半田を用いることが望ましい。
【0095】
本実施形態においては、n型用電極240Xおよびp型用電極250Xの高さが、シリコン基板210Xの表面から40μmであるのに対して、半田ペーストの高さはシリコン基板210Xの表面から100μmである。
【0096】
この状態において裏面電極型太陽電池セル200Xをリフローし、n型用電極240Xおよびp型用電極250Xを覆う半田バンプを形成する。その後、熱硬化性樹脂330を印刷またはディスペンスにより、n型用電極240Xとp型用電極250Xとの間に供給する。熱硬化性樹脂330としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のうちいずれか1種類以上を含むものであり、1段階以上で硬化するものが好ましい。
【0097】
このようにして半田バンプが形成された裏面電極型太陽電池セル200Xと、配線シート100Xとを、互いに位置合わせした状態で仮固定する。具体的には、裏面電極型太陽電池セル200Xのn型用電極240Xの各々と、対応する配線シート100Xのn型用配線120Xの各々とが接続され、裏面電極型太陽電池セル200Xのp型用電極250Xの各々と、対応する配線シート100Xのp型用配線130Xの各々とが接続されるように位置合わせする。
【0098】
裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとの位置合わせには、何らかの位置合わせマークを利用してもよい。たとえば、配線シート100Xに形成された位置合わせマークと裏面電極型太陽電池セル200Xに形成された位置合わせマークとが合致するように、図示しないアライメント装置を用いて裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとの相対的位置を調整してもよい。
【0099】
裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとを位置合わせした後、図20で示すように、仮固定樹脂310により、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとを仮固定する。本実施形態においては、仮固定樹脂310として、硬化前の状態において粘性を有する紫外線硬化性樹脂を用いた。仮固定することにより、配線シート100Xと裏面電極型太陽電池セル200Xとの間の相対的な位置関係を保持することができる。
【0100】
図19に示すように、真空圧着および加熱処理が可能なラミネート装置500には、チャンバ510の内部の下部にヒータ530が設けられている。チャンバ510の内部の天井部に、ゴム膜520が形成されている。チャンバ510の内壁とゴム膜520とで囲まれて形成される空間部540は、内部の圧力が調節可能なように設けられている。チャンバ510の内部において、ヒータ530とゴム膜520とで囲まれて形成される処理部550に、被加熱処理物が配置される。なお、真空圧着とは、大気圧より減圧した雰囲気下で圧着させる処理のことである。本実施形態においては、ラミネート装置500を用いたが、このような装置を使用することが必須というわけではない。
【0101】
図19に示すように、チャンバ510内に、互いに仮固定された、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとを設置する。このとき、ヒータ530の加熱温度は約160℃に維持されている。この間も、配線シート100Xと裏面電極型太陽電池セル200Xとの間の相対的な位置関係は、仮固定樹脂310によって保持されている。
【0102】
ヒータ530の上部には、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとが載置される図示しないステージが設けられている。ヒータ530とステージとは、熱的に分離された構造となっている。そのため、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとをステージ上に載置しただけでは、ヒータ530の熱はほとんど裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとに伝達されない。裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとが加圧されることにより、ステージがヒータ530に押し付けられることによって、ヒータ530から熱がステージに伝わり、ステージの熱により裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとが加熱されるようになっている。
【0103】
ヒータ530により裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとの間の温度が、約60℃以上約100℃以下に保たれた状態で、図19に示すように、ゴム膜520より上側の空間部540を真空に維持したまま、ゴム膜520の下側の処理部550内を真空にする。この状態にすることによって、配線シート100Xと裏面電極型太陽電池セル200Xとの間の領域に存在するボイド(気泡)を除去することができる。
【0104】
図21は、ラミネート装置のゴム膜より上側の空間の圧力を大気圧にした状態を示す断面図である。図22は、図21のリペアユニットのXXII部を拡大して示す断面図である。
【0105】
図21に示すように、ラミネート装置500のゴム膜520より上側の空間部540を大気圧に開放する。処理部550内は真空に維持されているため、空間部540内と処理部550内の気圧差により、ゴム膜520は処理部550側に膨らむ。
【0106】
膨らんだゴム膜520は、配線シート100Xと接して、さらに、配線シート100Xから裏面電極型太陽電池セル200Xまでの部材をヒータ530に押し付けるように圧迫する。この状態では、ヒータ530の熱がステージに伝導し、ステージに伝導した熱により、リフロー後の半田バンプ320aの温度が約160℃となり、半田バンプ320aが再び溶融し始める。
【0107】
図22に示すように、溶融した半田バンプ320aは、配線シート100Xのn型用配線120Xおよびp型用配線130Xへと濡れていき、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとの間で導通路を形成することとなる。また、半田バンプ320aの周囲に供給された熱硬化性樹脂330aは、加熱により硬化してアンダーフィルとして機能する。上記プロセスを経てリペアユニット600aが作製される。
【0108】
本実施形態においては、半田ペーストを用いて、配線シート100Xと裏面電極型太陽電池セル200Xとを接合したが、熱硬化性樹脂を用いて圧接により配線シート100Xのn型用配線120Xおよびp型用配線130Xと、裏面電極型太陽電池セル200Xのn型用電極240Xとp型用電極250Xとを、機械的に接触させる方法、または、導電性接着剤を用いて接合する方法、もしくは、はんだ粉末を含有した樹脂を用いて接合させる方法などによって接合してもよい。
【0109】
なお、作製されたリペアユニット600aは、上述のとおり、裏面電極型太陽電池セル200Xと配線シート100Xとの熱膨張係数の違いにより、配線140の長手方向の中央部が端部に比べて裏面電極型太陽電池セル200X側に凸状となるように配線140の長手方向において反っている。
【0110】
次に、図17に示す配線シート100において除去部分430と繋がっていた部分の接続用配線150上に、導電性材料が供給される。この接続用配線150においては、リペアユニット600aの配線シート100Xと接続される部分において、絶縁性基材110が除去されて接続用配線150のみになっている。導電性材料は、絶縁性基材110が除去された部分に供給される。言い換えると、接続用配線150の絶縁性基材110側の面上に供給される。
【0111】
その後、裏面電極型太陽電池ストリング400の除去部分430にリペアユニット600aが配置される。図23は、リペアユニットを裏面電極型太陽電池ストリング400の除去部分に配置した状態を裏面側から見た状態を示す平面図である。図24は、図23のXXIV部の拡大図である。図25は、図23のXXV部の拡大図である。図23においては、簡単のため、配線140の長手方向において、リペアユニット600aと接続される部分の配線シートを図示していない。
【0112】
リペアユニット600aは、配線140の長手方向の中央部が端部に比べて裏面電極型太陽電池セル200X側に凸状となるように配線140の長手方向において反っている。そのため、配線140の長手方向における配線シート100Xの一方の端部を用いて、裏面電極型太陽電池ストリング400の配線シート100との位置合わせをした場合、配線シート100Xの他方の端部は、配線シート100から大きく離隔した位置に配置される。その状態においては、後述するようにリペアユニット600aの上方に封止部材を配置することができないため、リペアすることができない。
【0113】
そこで、図23に示すように、リペアユニット600aと、配線140の長手方向と直交する方向において、組み込まれるリペアユニット600aに隣接する裏面電極型太陽電池ストリング400の配線シート100Yおよび配線シート100Zの少なくとも一方とを、位置合わせする。
【0114】
具体的には、図24に示すように、リペアユニット600aの配線シート100Xの位置決め用マーク160X,161Xと、配線シート100Yの位置決め用マーク160Y,161Yとを位置決めする。このとき、位置決め用マーク161Xの頂点部と位置決め用マーク161Yの頂点部とを結ぶ仮想直線620が、p型用配線131Yの長手方向と直交するようにする。
【0115】
または、図25に示すように、リペアユニット600aの配線シート100Xの位置決め用マーク160X,161Xと、配線シート100Zの位置決め用マーク160Z,161Zとを位置決めする。このとき、位置決め用マーク161Xの頂点部と位置決め用マーク161Zの頂点部とを結ぶ仮想直線610が、n型用配線121Zの長手方向と直交するようにする。
【0116】
このようにリペアユニット600aの反りの凸部付近で、リペアユニット600aと裏面電極型太陽電池ストリング400とを位置合わせすることにより、配線140の長手方向の中央部が端部に比べて裏面電極型太陽電池セル200X側に凸状となるように配線140の長手方向において反っているリペアユニット600aを安定して位置決めすることができる。
【0117】
図26は、リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングが加熱および加圧される状態を配線の長手方向に平行な断面から見た図である。図27は、リペアユニットを配置された裏面電極型太陽電池ストリングが加熱および加圧される際のラミネート装置の状態を示す断面図である。
【0118】
図26,27に示すように、裏面電極型太陽電池ストリング400に位置合わせされて配置されたリペアユニット600aは、EVA樹脂からなる封止材420上に載置されている。封止材420は、粘性を有しているため、裏面電極型太陽電池ストリング400とリペアユニット600aとの相対的な位置関係を保持している。
【0119】
上述のとおり、リペアユニット600aは、配線140の長手方向の中央部が端部に比べて裏面電極型太陽電池セル200X側に凸状となるように配線140の長手方向において反っている。そのため、位置合わせして配置した状態においては、リペアユニット600aの配線シート100Xと、裏面電極型太陽電池ストリング400の配線シート100とは接触していない。
【0120】
また、上述のとおり、リペアユニット600aの配線シート100Xと接合される部分である、配線シート100の端部においては、絶縁性基材110が除去されて配線140のみになっている。配線シート100の絶縁性基材110と配線140との剥離が困難な場合は、レーザーにより絶縁性基材110のみを取り除いてもよい。この配線140上に接合材料630がディスペンスにより供給されている。接合材料630としては、半田ペースト、導電性接着剤および半田粉末含有樹脂などが挙げられる。リペアユニット600aの上方に、封止材420と裏面保護シート640を配置した。
【0121】
裏面保護シート640としては、下方に配置されている封止材420の裏面を保護することができるものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば、PETなどの耐候性フィルムを用いることができる。また、封止材420中への水蒸気または酸素の透過を十分に抑制して長期的な信頼性を確保する観点から、裏面保護シート640は、たとえば、アルミニウムなどの金属フィルムを含むように形成されていてもよい。
【0122】
上記のように積層された、リペアユニット600aと裏面電極型太陽電池ストリング400とは、ラミネート装置500内において、上述のリペアユニット500aの作製方法と同様の過程を経て処理される。
【0123】
具体的には、まず、ヒータ530の加熱温度を約160℃に維持する。ヒータ530によりリペアユニット600aと裏面電極型太陽電池ストリング400との間の温度が、約60℃以上約100℃以下に保たれた状態で、空間部540を真空に維持したまま、処理部550内を真空にする。この状態にすることによって、リペアユニット600aと裏面電極型太陽電池ストリング400との間の領域に存在するボイド(気泡)を除去することができる。
【0124】
この状態において、リペアユニット600aは加熱されて、配線シート100Xが配線140の長手方向に伸び始めるため、リペアユニット600aの反りが小さくなってくる。
【0125】
図27に示すように、ラミネート装置500のゴム膜520より上側の空間部540を大気圧に開放する。処理部550内は真空に維持されているため、空間部540内と処理部550内の気圧差により、ゴム膜520は処理部550側に膨らむ。膨らんだゴム膜520は、裏面保護シート640と接する。この状態において、リペアユニット600aは、僅かに反った状態になっている。
【0126】
さらに、ゴム膜520が処理部550側に膨らむことにより、裏面保護シート640から裏面電極型太陽電池ストリング400までの部材をヒータ530に押し付けるように圧迫する。その結果、リペアユニット600aは、下方の封止材420と上方の封止材420とに挟まれて略平面状となる。このとき、配線シート100Xの配線140は、接合材料630を介して、配線シート100の配線と接続される。
【0127】
ヒータ530の熱がステージに伝導し、ステージに伝導した熱がリペアユニット600aと裏面電極型太陽電池ストリング400とに伝導することにより、封止材420は、加熱されて硬化する。その結果、リペアユニット600aが裏面電極型太陽電池ストリング400に組み込まれた状態で封止される。
【0128】
図28は、リペアされた裏面電極型太陽電池モジュールの構成を示す平面図である。図29は、図28のXXIX−XXIX線矢印方向から見た断面図である。なお、図28においては、簡単のため、裏面保護シート640および封止材420を図示していない。
【0129】
図28,29に示すように、リペア後の裏面電極型太陽電池モジュール700においては、接合不良が存在した除去部分430にリペアユニット600aが組み込まれて、複数の裏面電極型太陽電池セル200が電気的に直列に接続されている。また、作製時には、配線140の長手方向に反っていたリペアユニット600aは、略平面状に裏面電極型太陽電池ストリング400に組み込まれている。よって、裏面電極型太陽電池モジュール700は、リペアをすることによって、その厚さが厚くなることがない。
【0130】
本発明によれば、裏面電極型太陽電池セルを高集積化して配線同士の間隔および電極同士の間隔が狭くなり接合不良が発生した場合においても、配線シートに設けられている位置決め用マークを使用してリペアすることができるため、裏面電極型太陽電池モジュールの発電効率を確実に向上させることができる。
【0131】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0132】
16,140 配線、100,100X,100Y,100Z,100a,100b,100c,100d 配線シート、110,110X 絶縁性基材、120,120X,120a,120b,121a,121b,121Z n型用配線、120e n型用出力取出し配線、130,130X,130a,131a,130b,131b,131Y p型用配線、130e p型用出力取出し配線、150 接続用配線、160,160a,161a,160b,161b,160X,161X,160Y,161Y,160Z,161Z 位置決め用マーク、162 仮想直線、180 配線材料、190,190a,190b フォトレジスト、200,200X,200a,200b 裏面電極型太陽電池セル、210,210X シリコン基板、220 n型不純物拡散領域、230 p型不純物拡散領域、240,240X,240a,240b n型用電極、250,250X,250a,250b p型用電極、260 パッシベーション膜、270 反射防止膜、300,400 裏面電極型太陽電池ストリング、310 仮固定樹脂、320a 半田バンプ、330,330a 熱硬化性樹脂、410 透明基板、420 封止材、430 除去部分、500 ラミネート装置、500a,600,600a リペアユニット、510 チャンバ、520 ゴム膜、530 ヒータ、540 空間部、550 処理部、610,620 直線、630 接合材料、640 裏面保護シート、700 裏面電極型太陽電池モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の表面に複数の電極が配置されている複数の裏面電極型太陽電池セル
が接合される配線シートであって、
シート状の絶縁性基材と、
長手方向を有し、前記絶縁性基材の一方の表面に互いに間隔を置いて前記長手方向と直交する方向に並列に配置され、前記複数の電極のうちの対応する電極と各々接続される複数の配線と、
前記絶縁性基材の一方の表面において、接合される前記裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、前記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マークと
を備え、
前記位置決め用マークは、前記配線シートに前記複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよび該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび該他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する場合に、前記他の配線シートを前記裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である、配線シート。
【請求項2】
請求項1に記載の他の配線シートであって、
シート状の絶縁性基材と、
長手方向を有し、前記絶縁性基材の一方の表面に互いに間隔を置いて前記長手方向と直交する方向に並列に配置され、前記複数の電極のうちの対応する電極と各々接続される複数の配線と、
前記絶縁性基材の一方の表面において、接合される前記裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、前記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マークと
を備え、
前記位置決め用マークは、配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよび該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび該他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている前記他の配線シートとを交換する場合に、前記他の配線シートを前記裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である、配線シート。
【請求項3】
請求項1に記載の配線シートを含む、裏面電極型太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の配線シートおよび請求項2に記載の配線シートを含む、裏面電極型太陽電池モジュール。
【請求項5】
半導体基板の一方の表面上に複数の電極が配置されている複数の裏面電極型太陽電池セルと、
前記複数の裏面電極型太陽電池セルと接合されている配線シートと
を備え、
前記配線シートには、前記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線が一方の表面上に配置され、かつ、前記裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、前記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、位置決め用マークが配置され、
前記位置決め用マークは、前記配線シートに前記複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよび該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび該他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する場合に、前記他の配線シートを前記裏面電極型太陽電池ストリングに位置決め可能である、裏面電極型太陽電池モジュール。
【請求項6】
半導体基板の一方の表面上に複数の電極が配置されている前記他の裏面電極型太陽電池セルと、
前記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線が一方の表面上に配置され、かつ、前記裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、前記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、位置決め用マークが配置されている前記他の配線シートと
を備え、
前記他の配線シートに前記他の裏面電極型太陽電池セルが接合されてリペアユニットが構成され、
前記配線シートに前記複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよび該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートと前記リペアユニットとが交換され、前記複数の裏面電極型太陽電池セルの前記位置決め用マークと前記他の裏面電極型太陽電池セルの前記位置決め用マークとが位置合わせされた状態で前記裏面電極型太陽電池ストリングに前記リペアユニットが組み込まれている、請求項5に記載の裏面電極型太陽電池モジュール。
【請求項7】
配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルが接合されている裏面電極型太陽電池ストリングにおいて、少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルおよび該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の前記配線シートと、他の裏面電極型太陽電池セルおよび該他の裏面電極型太陽電池セルに接合されている他の配線シートとを交換する、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法であって、
前記複数の裏面電極型太陽電池セルおよび前記他の裏面電極型太陽電池セルの各々は、半導体基板の一方の表面上に複数の電極を有し、
前記配線シートおよび前記他の配線シートの各々は、一方の表面上に、前記複数の電極のうちの対応する電極にそれぞれ接続される長手方向を有する複数の配線を有し、かつ、前記裏面電極型太陽電池セルとの対向領域の縁部の、前記長手方向と直交する方向に延びて前記対向領域を略2分割する仮想直線上の位置に、配置された位置決め用マークを有し、
前記リペア方法は、
前記複数の裏面電極型太陽電池セルのうちの少なくとも1つの裏面電極型太陽電池セルと該裏面電極型太陽電池セルに接合されている部分の配線シートとが除去される工程と、
前記他の配線シートに前記他の裏面電極型太陽電池セルが接合されているリペアユニットが用意される工程と、
前記配線シートと前記他の配線シートとの接続用の導電性材料が供給される工程と、
前記配線シートの前記位置決め用マークと前記他の配線シートの前記位置決め用マークとが位置合わせされた状態で、前記リペアユニットが前記裏面電極型太陽電池ストリングの除去された部分に配置される工程と、
前記リペアユニットを配置された前記裏面電極型太陽電池ストリングが加熱されつつ加圧されることにより、前記配線シートと前記他の配線シートとが前記導電性材料により接続されて、前記リペアユニットが前記裏面電極型太陽電池ストリングに組み込まれる工程と
を備える、裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法。
【請求項8】
前記リペアユニットが前記裏面電極型太陽電池ストリングに組み込まれる工程において、前記リペアユニットを配置された前記裏面電極型太陽電池ストリングの加熱が開始された後に、該裏面電極型太陽電池ストリングの加圧が開始される、請求項7に記載の裏面電極型太陽電池モジュールのリペア方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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