説明

配線チェッカー

【課題】例えば、接地極付きコンセントにおける中性極Nと接地線極Eの誤配線の有無を簡易な構成でありながら容易に検査できるようにする。
【解決手段】活電線極Lに接続されるべき電圧側栓刃11,中性極Nに接続されるべき中性極栓刃21および接地線極Eに接続されるべき接地線栓刃31の3つの栓刃を備え、電圧側栓刃11と中性極栓刃21との間に、好ましくは高抵抗素子RHと低抵抗素子RLとを直列に含む抵抗回路40を接続するとともに、低抵抗素子RLの両端間に電圧計50を接続し、接地線栓刃31をスイッチSW1を介して低抵抗素子RLの低電位側に接続する構成とし、スイッチSW1をオンにしたときの電圧計50の測定電圧Vonと、オフにしたときの電圧計50の測定電圧Voffとにより、誤配線の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の屋内引き込み配線の配線状態を検査する配線チェッカーに関し、さらに詳しく言えば、接地極付きコンセント等における中性極(N)と接地線極(E)の誤配線の有無を検査するのに好適な簡易な構成の配線チェッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社団法人日本電気協会より発行の改訂された内線規程によれば、電気洗濯機,電子レンジ,電気冷蔵庫等の水気を帯びる家電製品の電源コンセントについて、接地極付きコンセント(接地ピンを含む3Pプラグが入るコンセント)の使用が、これまでの勧告的事項から義務的事項に格上げされた。
【0003】
図5(a)に示すように、接地極付きコンセント1は、商用電源ラインに含まれる柱上トランスTRの二次側と接続される活電線極Lおよび中性極Nと、大地に接続される接地線極Eの3つの端子を備えている。この場合、中性極NにはB種接地工事(系統接地)が適用され、接地線極EにはD種接地工事(機器接地)が適用される。
【0004】
図5(b)に示すように、活電線極Lおよび中性極Nは、分電盤2内の漏電ブレーカ3を介して屋内に引き込まれ、接地線極Eは、分電盤2内の集中接地端子4を介して大地に接地されるが、例えば分電盤2から負荷側に至る配線工事において、図5(c)に示すように、中性極Nと接地線極Eとが逆接続(誤配線)、すなわち、中性極NがD種接地され、接地線極EがB種接地されることがある。
【0005】
このような場合、負荷を接続すると往々にして漏電ブレーカ3が落ちる。漏電ブレーカ3が何らかの原因で作動しない場合もしくは漏電ブレーカ3が設置されていない場合には、N極の接地側電線(中性線)に流れるべき電流が接地線(D種接地)から大地に流れ込み、B種接地より柱上トランスTRに帰還する現象が発生する。
【0006】
このように、大地に電流が流れることで、その大地には電位上昇が発生し、コンセントの結線が正常である近傍に設置されたコンピュータや電気機器の接地線極および水道管やガス管等の金属地中埋設物も同時に電位が上昇するため、誤動作および故障や感電,火災事故等を引き起こすおそれがある。
【0007】
中性極Nと接地線極Eの逆接続を検査する検査機器の一例として、特許文献1に記載されたコンセントテスターや特許文献2に記載された接地極付きコンセントの極性チェック装置がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1のコンセントテスターは、コンセントの3つの端子に対応した各ラインごとにそれぞれスイッチが設けられ、まず、すべてのスイッチを開にして零点調整を行ったうえで、各スイッチを所定の順序で開閉するようにしているため、操作が面倒であるばかりでなく、構成が複雑で高価でもある。
【0009】
特許文献2の極性チェック装置は、分電盤からL極,N極,E極にそれぞれ異なる信号を注入し、コンセント側でそれらの信号を検出して各極を判別する注入式と呼ばれる方式であり信頼性は高いが、親器と子器とを必要とすることから高価であり、また、作業者を2人必要とするため作業効率がよいとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−273467号公報
【特許文献2】特開2006−38707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、活電線極L,中性極Nおよび接地線極Eを有する例えば接地極付きコンセント等における中性極Nと接地線極Eの誤配線の有無を、簡易な構成でありながら容易に検査できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第2入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第2入力端子側として接続された抵抗回路と、上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、上記第2入力端子もしくは上記第3入力端子のいずれか一方の入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、上記判定手段は、上記スイッチ手段のオン・オフに応じた上記測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定することを特徴としている。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第2入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第2入力端子側として接続された抵抗回路と、上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、上記第3入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、上記判定手段は、上記スイッチ手段をオンにしたときと、上記スイッチ手段をオフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には正常配線と判定し、上記スイッチ手段をオンしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化した場合には誤配線と判定することを特徴としている。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第3入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第3入力端子側として接続された抵抗回路と、上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、上記第2入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、上記判定手段は、上記スイッチ手段をオンにしたときと、上記スイッチ手段をオフにしたときとで上記測定電圧値が変化する場合には正常配線と判定し、上記スイッチ手段をオンしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には誤配線と判定することを特徴としている。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、第1スイッチ手段を介して上記第2入力端子が選択的に接続される第1内部接点および第2内部接点と、第2スイッチ手段を介して上記第3入力端子が選択的に接続される第3内部接点および第4内部接点と、直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つの抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第1内部接点との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第1内部接点側として接続された抵抗回路と、上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、上記第2内部接点および第3内部接点が第3スイッチ手段を介して上記第2抵抗素子の低電位側に接続されているとともに、上記第4内部接点が上記第1内部接点とともに上記第2抵抗素子の低電位側に接続されており、上記判定手段は、上記第1および上記第2スイッチ手段により、上記第2入力端子が上記第1内部接点に接続され、上記第3入力端子が上記第3内部接点に接続されている第1の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化せず、かつ、上記第1および上記第2スイッチ手段により、上記2入力端子が上記第2内部接点に接続され、上記第3入力端子が上記第4内部接点に接続されている第2の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化した場合には正常配線と判定し、これに対して、上記第1の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化し、かつ、上記第2の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には誤配線と判定することを特徴としている。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、スイッチ手段を介して上記第2入力端子もしくは上記第3入力端子のいずれかが接続される内部接点と、直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つの抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記内部接点との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記内部接点側として接続された抵抗回路と、上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、上記判定手段は、上記スイッチ手段により上記第2入力端子が上記内部接点に接続されたときの電圧値をVa,上記スイッチ手段により上記第3入力端子が上記内部接点に接続されたときの電圧値をVbとして、Va>Vbの場合には正常配線と判定し、Va<Vbの場合には誤配線と判定することを特徴としている。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか1項において、上記抵抗回路に含まれる上記第1抵抗素子と上記第2抵抗素子は、相対的に上記第1抵抗素子が高抵抗素子で、上記第2抵抗素子が低抵抗素子であることを特徴としている。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項4において、上記第1スイッチ手段と上記第2スイッチ手段とが連動スイッチであり、上記第2入力端子が上記第1内部接点に接続されるに伴って上記第3入力端子が上記第3内部接点に接続され、上記第2入力端子が上記第2内部接点に接続されるに伴って上記第3入力端子が上記第4内部接点に接続されることを特徴としている。
【0019】
本発明には、請求項8に記載されているように、検査する配線対象が上記活電線,中性線および接地線が接続される接地極付きコンセント内の配線であり、上記第1ないし第3入力端子として、上記コンセントに差し込まれる栓刃が用いられる態様も含まれる。
【0020】
また、本発明には、請求項9に記載されているように、検査する配線対象が上記活電線,中性線および接地線の各引き込み配線が接続される分電盤であり、上記第1ないし第3入力端子として、上記分電盤内の配線と接触するテストプローブもしくはテストクリップの接触端子が用いられる態様も含まれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に必要とされる基本的な構成要素は、直列に接続された少なくとも2つの抵抗素子を有する抵抗回路、その抵抗回路のうちの中性極側に接続される抵抗素子の両端電圧を測定する電圧測定手段(電圧計)およびスイッチ手段でよく、いずれも安価で手軽に入手できることから、接地極付きコンセントに好適な簡易な構成で安価な配線チェッカーを提供することができる。
【0022】
また、請求項1,2,3,5に係る発明によれば、スイッチを2回切り替え2通りの電圧値を測定するだけの操作で中性極Nと接地線極Eの逆接続(誤配線)の有無を容易に検査することができる。
【0023】
これに対して、請求項4に係る発明によれば、スイッチを4回切り替え4通りの電圧値を測定することになるが、チェッカーの内部で中性極Nと接地線極Eの逆接続状態を作り出しているため、より高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、(a)正常配線時,(b)逆接続配線時の各検査状態を示す模式図。
【図2】上記第1実施形態の変形例を示す回路図。
【図3】本発明の第2実施形態に係り、(a)正常配線時,(b)逆接続配線時の各検査状態を示す模式図。
【図4】本発明の第3実施形態に係り、(a)正常配線時,(b)逆接続配線時の各検査状態を示す模式図。
【図5】内線規程による接地極付きコンセントの(a)正常配線状態を示す模式図,(b)屋内への引き込み配線状態を示す模式図,(c)逆接続の配線状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図1ないし図4により、本発明の各実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0026】
なお、各実施形態ともに検査対象は、先の図5で説明した柱上トランスTRの二次側と接続される活電線極LおよびB種接地の中性極Nと、D種接地により大地に接続される接地線極Eの3つの端子を備えている接地極付きコンセント1であり、説明の便宜上、B種接地抵抗,D種接地抵抗およびその間の大地抵抗を合算して、その抵抗値をREとしている。接地抵抗REは10〜500Ω程度である。
【0027】
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る配線チェッカー10Aについて説明する。
【0028】
この第1実施形態に係る配線チェッカー10Aは、活電線極Lに接続されるべき第1入力端子としての電圧側栓刃11,中性極Nに接続されるべき第2入力端子としての中性極栓刃21および接地線極Eに接続されるべき第3入力端子としての接地線栓刃31の3つの栓刃11,21,31を備えている。
【0029】
このうちの電圧側栓刃11と中性極栓刃21との間には、少なくとも2つの抵抗素子、好ましくは高抵抗素子RHと低抵抗素子RLとを直列に接続してなる抵抗回路40が接続されている。
【0030】
この場合、高抵抗素子RHは電圧側栓刃11側に接続され、低抵抗素子RLは中性極栓刃12側に接続される。一例として、高抵抗素子RHの抵抗値はMΩオーダー,低抵抗素子RLの抵抗値はkΩオーダーであることが好ましい。
【0031】
接地線栓刃31は、スイッチSW1を介して抵抗回路40に含まれている低抵抗素子RLの低電位側に接続されている。スイッチSW1は、機械式スイッチ,電子式スイッチのいずれが採用されてもよい。スイッチSW1は、後述するように、配線の接続状態を判定する際にオン,オフされることから、判定用のスイッチである。
【0032】
抵抗回路40の低抵抗素子RLの両端に、電圧測定手段としての電圧計50が接続されている。電圧計50にて測定された電圧は、判定回路60に与えられる。判定回路60は、その測定電圧に基づいて、中性極Nと接地線極Eとに対する配線が正常(中性極NがB種接地で、接地線極EがD種接地)であるか、逆接続(中性極NがD種接地で、接地線極EがB種接地)であるかどうかを判定し、その判定結果を報知手段61により作業者に知らせる。なお、測定された電圧を電圧計50にて直流に変換してもよい。
【0033】
判定回路60には、CPUやマイクロコンピュータ等のデジタル判定回路もしくはコンパレータを有するアナログ判定回路のいずれが用いられてもよいが、デジタル判定回路の場合には、その入力段にA/D変換器を必要とする。また、報知手段61には、ランプやブザーもしくは表示パネル等が用いられてよい。
【0034】
次に、この第1実施形態に係る配線チェッカー10Aの動作について説明する。なお、以下の説明において、高抵抗素子RH,低抵抗素子RLを単に「抵抗素子RH,RL」と言うことがある。
【0035】
コンセント1の活電線極L,中性極N,接地線極Eに、各栓刃11,21,31を差し込んだのち、スイッチSW1をオンにして接地線栓刃31を抵抗素子RLに接続した状態で、電圧計50により抵抗素子RLの両端間電圧を測定する。その測定電圧をVonとする。
【0036】
次に、スイッチSW1をオフにして電圧計50により抵抗素子RLの両端間電圧を測定する。その測定電圧をVoffとする。なお、スイッチSW1のオン,オフの順序は任意で、オフからオンとしてもよい。
【0037】
判定回路60は、VonとVoffとを対比する。ここで、図1(a)に示すように、中性極Nと接地線極Eとが正常に接続されている場合、スイッチSW1をオン,オフしても電圧計50の値は変化しない。
【0038】
したがって、判定回路60は、VonとVoffとを対比した結果、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)ならば、報知手段61により正常配線であることを作業者に知らせる。
【0039】
これに対して、図1(b)に示すように、中性極Nと接地線極Eとが逆に接続されている場合、スイッチSW1をオンにしたときには、電圧計50の値は正常配線と同程度の測定電圧Vonを示すが、スイッチSW1をオフにしたときには、測定電圧がRLとREとにより分圧されるため、電圧計50での測定電圧Voffは正常配線のときよりも低い値となる。
【0040】
したがって、判定回路60は、VonとVoffとを対比した結果、Von>Voffならば、報知手段61により誤配線であることを作業者に知らせる。
【0041】
なお、図1(b)に示す誤配線の場合、スイッチSW1がオフのとき、漏電ブレーカ3(図5(b)参照)が作動するおそれがあるが、抵抗回路40には高抵抗素子RHがあるため、漏れ電流を小さく抑えることができる。
【0042】
次に、図2により上記第1実施形態の変形例について説明する。この変形例においては、上記第1実施形態と異なり、接地線栓刃31は抵抗素子RLの低電位側に常時接続で、中性極栓刃21がスイッチSW1を介して抵抗素子RLの低電位側に選択的に接続される。
【0043】
判定回路60による判定も上記第1実施形態と逆で、VonとVoffとを対比し、Von>Voffならば正常配線で、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)ならば誤配線と判定される。
【0044】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る配線チェッカー10Bについて説明する。
【0045】
この第2実施形態に係る配線チェッカー10Bは、判定の信頼性(判定精度)をより高めるため、上記第1実施形態に係る配線チェッカー10Aの構成に加えて、中性極Nと接地線極Eとを逆接続状態にする切替回路をさらに備える。
【0046】
すなわち、中性極栓刃21および接地線栓刃31の各栓刃について、それぞれ、内部接点21a,21bと、内部接点31a,31bと、スイッチSW2a,SW2bとが用意され、中性極栓刃21がスイッチSW2aにより内部接点21a,21bのいずれか一方に選択的に接続され、接地線栓刃31がスイッチSW2bにより内部接点31a,31bのいずれか一方に選択的に接続されるようになっている。
【0047】
各内部接点のうち、内部接点21aと内部接点31bは、ともに低抵抗素子RLの低電位側に接続されている。
【0048】
また、内部接点31aは、判定用のスイッチSW1を介して低抵抗素子RLの低電位側に接続され、内部接点21bは、内部接点31aと接続されており、内部接点31aとともに判定用のスイッチSW1を介して低抵抗素子RLの低電位側に接続されている。
【0049】
この第2実施形態において、好ましくはスイッチSW2a,SW2bは連動型のスイッチであり、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに、内部接点21aと内部接点31aもしくは内部接点21bと内部接点31bのいずれか一方に切り替える。このため、スイッチSW2a,SW2bを総称してスイッチSW2と言うことがある。
【0050】
次に、この第2実施形態に係る配線チェッカー10Bの動作について説明するが、図3(a)に示すように、中性極Nと接地線極Eとが正常に接続されている場合には、次のように動作する。
【0051】
まず、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21aと内部接点31aとに接続した状態で、判定用のスイッチSW1をオン,オフすると、先の図1(a)で説明したのと同じく、オンにした際の電圧計50の値Vonと、オフにした際の電圧計50の値Voffは、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)となる。
【0052】
引き続いて、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21bと内部接点31bとに接続する。この接続状態は、先の図1(b)で説明したのと同じく、中性極Nと接地線極Eとが逆に接続されたことになる。したがって、判定用のスイッチSW1をオン,オフすると、Von>Voffとなる。
【0053】
このように、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21aと内部接点31aとに接続し、判定用のスイッチSW1をオンにしたときVon=Voff(もしくはVon≒Voff)で、かつ、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21bと内部接点31bとに接続し、判定用のスイッチSW1をオフにしたとき、Von>Voffとなれば、判定回路60は、中性極Nと接地線極Eとが正常に接続されていると判定する。
【0054】
これに対して、図3(b)に示すように、中性極Nと接地線極Eの配線が入れ違っている場合には、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21aと内部接点31aとに接続した状態で、判定用のスイッチSW1をオン,オフすると、先の図1(b)で説明したのと同じく、スイッチSW1をオンしたときには、Von>Voffとなり、スイッチSW1をオフにしたときには、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)となる。
【0055】
このように、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21aと内部接点31aとに接続し、判定用のスイッチSW1をオンにしたときVon>Voffで、かつ、スイッチSW2により、中性極栓刃21,接地線栓刃31をともに内部接点21bと内部接点31bとに接続し、判定用のスイッチSW1をオフにしたとき、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)となれば、判定回路60は、中性極Nと接地線極Eとが逆接続であると判定する。
【0056】
まとめると、スイッチSW2(SW2a,SW2b)を内部接点21aと内部接点31aとに切り替えた状態で、スイッチSW1をオン,オフにしたとき、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)で、かつ、スイッチSW2を内部接点21bと内部接点31bとに切り替えた状態で、スイッチSW1をオン,オフにしたとき、Von>Voffであれば、正常配線と判定される。
【0057】
これに対して、スイッチSW2(SW2a,SW2b)を内部接点21aと内部接点31aとに切り替えた状態で、スイッチSW1をオン,オフにしたとき、Von>Voffで、かつ、スイッチSW2を内部接点21bと内部接点31bとに切り替えた状態で、スイッチSW1をオン,オフにしたとき、Von=Voff(もしくはVon≒Voff)であれば、誤配線と判定される。
【0058】
これを自動で行うには、判定回路60により、スイッチSW1およびスイッチSW2(SW2a,SW2b)を上記のように切り替え制御するとともに、判定回路60に、それらの切り替え時におけるVon,Voffの判定パターンを記憶させておけばよい。
【0059】
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る配線チェッカー10Cについて説明する。
【0060】
この第3実施形態に係る配線チェッカー10Cは、上記第1実施形態に係る配線チェッカー10Aの構成を簡略化したもので、抵抗回路40の低抵抗素子RLの低電位側の一端を内部接点41とし、この内部接点41を判定用のスイッチSW1aより、中性極栓刃21と接地線栓刃31のいずれか一方に選択的に切り替えるようにしている。
【0061】
その動作としては、スイッチSW1aを中性極栓刃21側に切り替えたときの電圧計50の測定電圧値をVaとし、スイッチSW1aを接地線栓刃31側に切り替えたときの電圧計50の測定電圧値をVbとして、判定回路60にてVaとVbとを対比する。
【0062】
図4(a)に示すように、中性極Nと接地線極Eとが正常に接続されていれば、Va>Vbとなり、図4(b)に示すように、中性極Nと接地線極Eの配線が入れ違っていれば、Va<Vbとなるため、VaとVbの大小関係により、正常配線か誤配線かを判定することができる。
【0063】
なお、上記各実施形態では検査対象を接地極付きコンセントとしているが、本発明の配線チェッカーは、分電盤2内の各引き込み配線をも検査することができ、その場合には、電圧側栓刃11,中性極栓刃21,接地線栓刃31に代えて、各入力端子として、テストプローブもしくはテストクリップ等の接触端子を用いればよい。
【0064】
また、本発明の配線チェッカーは、チェッカー単体として構成されてもよいが、多機能の電気測定装置にその一機能として組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 接地極付きコンセント
2 分電盤
3 漏電ブレーカ
4 集中接地端子
10A,10B,10C 配線チェッカー
11 電圧側栓刃(第1入力端子)
21 中性極栓刃(第2入力端子)
31 接地線栓刃(第3入力端子)
21a,21b,31a,31b,41 内部接点
40 抵抗回路
50 電圧計(電圧測定手段)
60 判定回路
61 報知手段
E 活電線極
N 中性極
E 接地線極
RH 高抵抗素子
RL 低抵抗素子
RE 接地抵抗
SW1,SW1a 判定用のスイッチ
SW2(SW2a,SW2b) 連動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、
上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、
直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第2入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第2入力端子側として接続された抵抗回路と、
上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、
上記第2入力端子もしくは上記第3入力端子のいずれか一方の入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、
上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、
上記判定手段は、上記スイッチ手段のオン・オフに応じた上記測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定することを特徴とする配線チェッカー。
【請求項2】
商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、
上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、
直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第2入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第2入力端子側として接続された抵抗回路と、
上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、
上記第3入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、
上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、
上記判定手段は、上記スイッチ手段をオンにしたときと、上記スイッチ手段をオフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には正常配線と判定し、上記スイッチ手段をオンしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化した場合には誤配線と判定することを特徴とする配線チェッカー。
【請求項3】
商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、
上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、
直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つ抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第3入力端子との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第3入力端子側として接続された抵抗回路と、
上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、
上記第2入力端子を上記第2抵抗素子の低電位側に選択的に接続するスイッチ手段と、
上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、
上記判定手段は、上記スイッチ手段をオンにしたときと、上記スイッチ手段をオフにしたときとで上記測定電圧値が変化する場合には正常配線と判定し、上記スイッチ手段をオンしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には誤配線と判定することを特徴とする配線チェッカー。
【請求項4】
商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、
上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、
第1スイッチ手段を介して上記第2入力端子が選択的に接続される第1内部接点および第2内部接点と、第2スイッチ手段を介して上記第3入力端子が選択的に接続される第3内部接点および第4内部接点と、
直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つの抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記第1内部接点との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記第1内部接点側として接続された抵抗回路と、
上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、
上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、
上記第2内部接点および第3内部接点が第3スイッチ手段を介して上記第2抵抗素子の低電位側に接続されているとともに、上記第4内部接点が上記第1内部接点とともに上記第2抵抗素子の低電位側に接続されており、
上記判定手段は、上記第1および上記第2スイッチ手段により、上記第2入力端子が上記第1内部接点に接続され、上記第3入力端子が上記第3内部接点に接続されている第1の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化せず、かつ、上記第1および上記第2スイッチ手段により、上記2入力端子が上記第2内部接点に接続され、上記第3入力端子が上記第4内部接点に接続されている第2の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化した場合には正常配線と判定し、
これに対して、上記第1の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化し、かつ、上記第2の接続状態において、上記第3スイッチ手段をオンにしたときと、オフにしたときとで上記測定電圧値が変化しない場合には誤配線と判定することを特徴とする配線チェッカー。
【請求項5】
商用電源ラインの活電線および中性線、大地に接続される接地線の3線を含む屋内引込配線における上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を検査する配線チェッカーにおいて、
上記活電線と接続されるべき第1入力端子,上記中性線と接続されるべき第2入力端子および上記接地線と接続されるべき第3入力端子の3つの入力端子と、
スイッチ手段を介して上記第2入力端子もしくは上記第3入力端子のいずれかが接続される内部接点と、
直列に接続された第1および第2抵抗素子の少なくとも2つの抵抗素子を有し、上記第1入力端子と上記内部接点との間に、上記第1抵抗素子を上記第1入力端子側とし上記第2抵抗素子を上記内部接点側として接続された抵抗回路と、
上記第2抵抗素子の両端間に接続された電圧測定手段と、
上記電圧測定手段により測定された測定電圧値に基づいて上記中性線と上記接地線の配線接続の適否を判定する判定手段とを備え、
上記判定手段は、上記スイッチ手段により上記第2入力端子が上記内部接点に接続されたときの電圧値をVa,上記スイッチ手段により上記第3入力端子が上記内部接点に接続されたときの電圧値をVbとして、Va>Vbの場合には正常配線と判定し、Va<Vbの場合には誤配線と判定することを特徴とする配線チェッカー。
【請求項6】
上記抵抗回路に含まれる上記第1抵抗素子と上記第2抵抗素子は、相対的に上記第1抵抗素子が高抵抗素子で、上記第2抵抗素子が低抵抗素子であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線チェッカー。
【請求項7】
上記第1スイッチ手段と上記第2スイッチ手段とが連動スイッチであり、上記第2入力端子が上記第1内部接点に接続されるに伴って上記第3入力端子が上記第3内部接点に接続され、上記第2入力端子が上記第2内部接点に接続されるに伴って上記第3入力端子が上記第4内部接点に接続されることを特徴とする請求項4に記載の配線チェッカー。
【請求項8】
検査する配線対象が上記活電線,中性線および接地線が接続される接地極付きコンセント内の配線であり、上記第1ないし第3入力端子として、上記コンセントに差し込まれる栓刃が用いられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配線チェッカー。
【請求項9】
検査する配線対象が上記活電線,中性線および接地線の各引き込み配線が接続される分電盤であり、上記第1ないし第3入力端子として、上記分電盤内の配線と接触するテストプローブもしくはテストクリップの接触端子が用いられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配線チェッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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