説明

配線・配管材の引出部形成装置

【課題】壁孔に取着される接続体の接続口及び長尺保護体の引出開口のいずれに対しても一種類の端末保護部材を兼用して取着して配線・配管材を保護する引出部を形成できる配線・配管材の引出部形成装置を提供する。
【解決手段】ケーブルを内部に収容する筒状の長尺保護体51、52と、長尺保護体の一端部が接続される接続口12を備えてケーブルを内部に収容する接続体11と、接続体11の接続口12に取着される筒状のブッシング31とからなり、接続体11の接続口12は、長尺保護体の外壁面に沿う内面を有し、ブッシング31は、接続体11の接続口12に取着される接続口取着部32と、ケーブルの引出口形成部33と、長尺保護体の内部に挿入可能な内挿部34とを備える。これにより、接続体11から引き出されるケーブルの引出部、及び長尺保護体の他端部から引き出されるケーブルの引出部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁孔等から引き出されるケーブル、給水管等の配線・配管材の引出箇所を覆って保護する引出部を形成する、配線・配管材の引出部形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁孔から引き出されて壁面側に曲げられるケーブルの引出屈曲箇所にはケーブルを保護するための引出具等の接続体が設置されている。この接続体においては、壁孔から引き出されたケーブルの引出屈曲箇所を覆った後直ちに露出配線する場合に、接続体における引出口である接続口に端末保護部材が取付けられることが多い。例えば、特許文献1の接続体である引出具では、その接続口である導出口に端末保護部材としての端末ブッシングが取付けられる。この端末ブッシングは、引出具の導出口から引き出されたケーブルが導出口の周縁で擦れたり導出口において急激に折り曲げられることにより、被覆面に亀裂が入ったりしてケーブルが損傷するのを防止する。
【0003】
一方、ケーブルの配線経路によっては、壁孔から引き出された屈曲箇所から直ちに露出配線するのではなく、引出具等の接続体の引出口である接続口にサヤ管、保護管等の長尺保護体を接続し、露出させる位置まで一旦長尺保護体内に配線した後、長尺保護体の引出開口から引き出して露出配線する場合もある。この場合、長尺保護体の引出開口には、長尺保護体の引出開口の周縁との擦れや急激な折り曲げによりケーブルが損傷するのを防止するために、同様に、端末保護部材が取付けられる。例えば、特許文献2には、長尺保護体である保護管の引出開口に取着される端末保護部材としての管取着体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−240115号公報(図11,段落0014〜0018)
【特許文献2】特開2006−238672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の配線・配管材の引き出しにおいては、壁孔から引き出された屈曲箇所から直ちに露出配線する場合に引出具等の接続体の接続口に取着される端末部材、及び壁孔から引き出されてから一旦サヤ管等の長尺保護体内に配線した後長尺保護体から引き出して露出配線する場合に長尺保護体の接続口に取着される端末部材は、接続体の接続口及び長尺保護体の引出開口に対してそれぞれ専用のものが取付けられていた。このため、接続対象に応じて二種類の端末保護部材を用意しなければならず、その取り扱いや部品管理が煩雑で面倒であり、コスト高ともなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、壁孔に取着される接続体の接続口及び長尺保護体の引出開口のいずれに対しても一種類の端末保護部材を兼用して取着して配線・配管材を保護する引出部を形成できる配線・配管材の引出部形成装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線・配管材の引出部形成装置は、配線・配管材の配設経路に沿って壁面に配置され、該配線・配管材を内部に収容する筒状の長尺保護体と、前記長尺保護体の一端部が接続される接続口を備え、前記配線・配管材を内部に収容する接続体と、前記接続体の接続口に取着される筒状のブッシングと、からなる。
更に、前記接続体の接続口は、前記長尺保護体の外壁面に沿う内面を有する。
また、前記ブッシングは、前記接続体の接続口内に内挿されて該接続口に取着される接続口取着部と、取着された状態で前記接続口から突出し、前記配線・配管材を引き出す引出口が先端に形成された引出口形成部と、前記接続口取着部側に設けられ、前記長尺保護体の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部と、を備えている。
そして、前記接続体の接続口に前記ブッシングの接続口取着部を内挿して取着することで、前記接続体から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されるとともに、前記長尺保護体の他端部に前記ブッシングの内挿部を内挿して取着することで、前記長尺保護体の他端部から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されるものである。
【0008】
ここで、前記ブッシングの接続口取着部は、更に、前記内挿部の先端部に、外部に突出し前記接続体の接続口に係止して該接続口からの離脱を防止する係止部が延設され、前記接続体の接続口は、前記内面より奥側に、前記ブッシングの係止部が係止する被係止部が設けられ、前記ブッシングの接続口取着部を前記接続体の接続口に内挿し前記係止部を前記被係止部に係止させることで、前記接続体に前記ブッシングが取着されるとともに、前記ブッシングの係止部を切除することにより前記内挿部が前記接続口取着部側の最端部と成るものとすることもできる。
更には、前記接続体の被係止部は、前記接続口の内面より奥側で該内面よりも内部側に突出する突出部で形成されたものとしてもよい。
【0009】
加えて、前記ブッシングの接続口取着部は、前記接続体の接続口の内面に沿うように、前記長尺保護体の外壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体外壁面近似部を有するものとすることもできる。
そして、前記ブッシングの内挿部は、前記長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有するものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の配線・配管材の引出部形成装置は、前記長尺保護体が、特に、大きさの異なる大小二種類のサイズを有するものであり、接続体の接続口が、先端側に、前記大サイズの長尺保護体の外壁面に沿う内面を有するとともに、該内面より奥側に、接続口の内面よりも内部側に突出し前記小サイズの長尺保護体の外壁面に沿う端面を先端に備えた突出部を有し、前記ブッシングが、特に、前記接続口取着部に、外部に突出し前記接続体の接続口に係止して該接続口からの離脱を防止する係止部が設けられ、前記接続口取着部における前記係止部より前記引出口形成部側の部分に、前記接続体の接続口の突出部の端面に沿い前記小サイズの長尺保護体の外壁面と近似する外面形状を有する小サイズ外壁面近似部が設けられ、前記小サイズ外壁面近似部と前記引出口形成部との間に、前記大サイズの長尺保護体の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部が設けられたものとすることができる。
ここで、前記ブッシングの内挿部は、前記大サイズの長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ブッシングが、接続体の接続口内に内挿されて接続口に取着される接続口取着部を備えるとともに、長尺保護体の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部を備えているから、一種類のブッシングを兼用して取着して、接続体から引き出される配線・配管材の引出部を形成できるとともに、長尺保護体の他端部から引き出される配線・配管材の引出部を形成できる。これにより、ブッシングの取り扱いや管理が楽になり、コストも低減できる。
しかも、接続体の接続口は、長尺保護体の外壁面に沿う内面を有しているので、接続体の接続口の内面と長尺保護体の外壁面との間が閉塞され両者間に隙間を生じない。これにより、外部から接続体及び長尺保護体の内部に塵埃等が侵入するのを防止できる。
【0012】
ブッシングの接続口取着部は、更に、内挿部の先端部に、接続体の接続口からの離脱を防止する係止部が延設され、接続体の接続口は、ブッシングの係止部が係止する被係止部が設けられたものでは、係止部を被係止部に係止させることで、ブッシングを接続体に取着でき、取着後はブッシングが接続体から離脱するのを防止できる。そして、ブッシングの係止部を切除することにより内挿部が接続口取着部側の最端部と成るので、係止部を切除して内挿部を長尺保護体の他端部に内挿し、ブッシングを長尺保護体に取着することができる。
また、接続体の被係止部が、接続口の内面よりも内部側に突出する突出部で形成されているものでは、簡易な構成で簡単に被係止部を形成できる。
【0013】
ブッシングの接続口取着部が、接続体の接続口の内面に沿うように、長尺保護体の外壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体外壁面近似部を有するものでは、ブッシングの長尺保護体外壁面近似部を接続体の接続口に挿入したときに、ブッシングの接続口取着部の外面と接続体の接続口の内面との間に隙間を生じないから、外部からブッシング及び接続体の内部に塵埃等が侵入するのを防止できる。そして、ブッシングを長尺保護体に取着したとき、ブッシングの長尺保護体外壁面近似部を有する接続口取着部の外面と長尺保護体の外壁面とは略均一面となるので、その取着部はすっきりと見栄えのよい外観が得られる。
また、ブッシングの内挿部が、長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有するものでは、ブッシングの内挿部を長尺保護体の内部に挿入したときに、ブッシングの内挿部の外面と長尺保護体の内壁面との間に隙間を生じないから、外部からブッシング及び長尺保護体の内部に塵埃等が侵入するのを防止できる。
【0014】
長尺保護体が、大きさの異なる大小二種類のサイズを有するものであり、接続体の接続口が、大サイズの長尺保護体の外壁面に沿う内面を有し、接続口の内面よりも内部側に突出し小サイズの長尺保護体の外壁面に沿う端面を先端に備えた突出部を有するとともに、ブッシングが、その接続口取着部に、接続体の接続口の突出部の内面に沿い小サイズの長尺保護体の外壁面と近似する外面形状を有する小サイズ外壁面近似部が設けられたものでは、接続体の接続口に大小二種類のサイズの長尺保護体を取着できるとともに、接続体の接続口の内面と大サイズの長尺保護体の外壁面との間、接続体の突出部の端面と小サイズの長尺保護体の外壁面との間、及び接続体の接続口の内面とブッシングの小サイズ外壁面近似部との間に隙間を生じないから、外部から各構成部材内に塵埃等が侵入するのを防止できる。
ブッシングの内挿部が、大サイズの長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有するものでは、ブッシングの内挿部を大サイズの長尺保護体の内部に挿入したときに、ブッシングの内挿部の外面と大サイズの長尺保護体の内壁面との間に隙間を生じないから、外部からブッシング及び大サイズの長尺保護体の内部に塵埃等が侵入するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の配線・配管材の引出部形成装置を示す正面図である。
【図2】図1の接続体を示し、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図3】図1の接続体を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図、(d)は(a)のA−A切断線による断面図、(e)は(a)のB−B切断線による断面図、(f)は(a)のC−C切断線による断面図、(g)は(d)の基台に蓋体を組付ける状態を示す側面図である。
【図4】図2の基台を示し、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図5】図2の蓋体を示し、(a)は斜め下方から見た斜視図、(b)は斜め上方から見た斜視図、(c)は平面図、(d)は正面図、(e)は右側面図である。
【図6】図1のブッシングを示し、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図7】図1のブッシングを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は底面図、(f)は(b)のD−D切断線による断面図、(g)は(b)のE−E切断線による断面図、(h)は(b)のF−F切断線による断面図である。
【図8】図1の大サイズの長尺保護体を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図9】図1の小サイズの長尺保護体を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図10】接続体にブッシングを取着した状態を示し、(a)は斜視図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は(b)のG−G切断線による断面図、(e)は(c)のH−H切断線による断面図、(f)は(c)のI−I切断線による断面図、(g)は(c)のJ−J切断線による断面図である。
【図11】接続体に大サイズの長尺保護体を取着し、この長尺保護体にブッシングを取着した状態を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は(a)のK−K切断線による断面図、(d)は(a)のL−L切断線による断面図である。
【図12】接続体に小サイズの長尺保護体を取着した状態を示し、(a)は背面図、(b)は(a)のM−M切断線による断面図ある。
【図13】接続体にブッシングを取着した別の状態を示す背面図である。
【図14】別の接続体に別のブッシングを取着した状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の配線・配管材の引出部形成装置を図に基づいて説明する。
図1において、引出部形成装置1は、配線・配管材の引出箇所を覆って保護する引出部を形成するものである。引出部形成装置1は、配線・配管材としてのケーブルCの配設経路に沿って壁面71に配置されてケーブルCを内部に収容する筒状に形成された大きさの異なる大小二種類のサイズの長尺保護体即ち大サイズの長尺保護体51及び小サイズの長尺保護体52と、前記長尺保護体の一端部53が接続される接続口12を備えて壁孔72から引き出されたケーブルCを内部に収容する接続体11と、接続体11の接続口12に取着される筒状のブッシング31とからなる。この引出部形成装置1は、接続体11に対してはブッシング31及び大小の長尺保護体が選択的に接続されるものとなっており、ブッシング31からみれば、接続体11及び大サイズの長尺保護体51に選択的に取着されるものとなっている。ここで、ケーブルCを保護する引出部は、壁孔72に設置された接続体11の接続口12からケーブルCが引き出される部分の他、長尺保護体の引出開口55からケーブルCが引き出される部分がある。
【0017】
各構成部材を詳細に説明すると、まず、この引出部形成装置1を構成する接続体11は、壁孔72から引き出されるケーブルCの屈曲部を覆うように保護し、ケーブルCを壁面71に沿うように配線すべく、1つの接続口12が形成されている。接続体11は、図2及び図3に示すように、基台14と蓋体21との2分割体で構成されており、これらを組付けることにより、下面を除いて全体が略袋状に形成されている。接続体11の下端部は、下面が開口し、この開口13から長尺保護体の一端部53及びブッシング31の後述する接続口取着部32が選択的に挿入される接続口12となっており、接続体11に長尺保護体及びブッシング31が選択的に取着されるようになっている。
【0018】
前記基台14は、図4に示すように、略平板状に形成され、上部に、壁孔72から引き出されたケーブルCが接続体11の内部に引き込まれる引込口15が設けられている。引込口15は丸孔で形成されている。なお、図示しないが、引込口15は、壁孔72側に突出しケーブルCが挿通する筒状の導入管を突設したもので形成してもよい。基台14の壁面71と対向する背面16は平坦面からなり壁面71と当接する当接面となっている。基台14の下部には、壁面71に固定するための固定螺子が挿通される挿通孔17が設けられている。引込口15と挿通孔17との間には内部空間側を凸とする湾曲通路18が形成されており、引込口15から引き込まれたケーブルCが緩やかに屈曲して下端の開口13に導かれるようになっている。基台14の図4における下端部は平板状の突片19が下方に延びているとともに、突片19の基部にはこの突片19を折取り可能な直線状の切込溝19aが形成されている。基台14の周縁の適宜箇所には、側方に僅かに突出する係合フランジ20が設けられている。
【0019】
一方、蓋体21は、図5に示すように、内部がケーブルCを収容する収容空間となっているとともに、基台14との対向面及び下端面24aは開口し、下端面側は接続口12を形成している。接続口12には長尺保護体が内挿されて取着されるようになっており、接続口12における内側三面からなる内面22は後述する大サイズの長尺保護体51の外壁面56に沿う形状に形成されている。接続口12において開口13から所定距離奥方に入った位置の左右の側面23には内面22よりも内部側に突出する突出部24が設けられている。この突出部24は、両側面23に沿って内部側に小さく突出する突片で形成され、その先端の端面24aは後述する小サイズの長尺保護体52の外壁面56に沿うものとなっている。蓋体21における基台14と対向する側の開口の周縁部には、基台14の係合フランジ20と対向する位置にこの係合フランジ20と係合する係合突起26が設けられている。
【0020】
蓋体21は、図3(g)に示すように、基台14と対向する開口側を基台14に対してその前方からあてがった後、基台14の背面に沿って僅かに平行移動させて基台14の係合フランジ20と蓋体21の係合突起26とを係合させることにより基台14に着脱自在に組付けられる。このようにして組付けられた接続体11は、壁孔72から引き出されたケーブルCが引込口15から内部の収容空間内に引き込まれた後、下端の開口13から引き出される。
【0021】
次に、ブッシング31は、全体が略筒状に形成され、エラストマーで一体に形成され、内部にケーブルCを収容する端末保護部材である。ブッシング31は、図6及び図7に示すように、接続体11の接続口12内に挿入されて取着される接続口取着部32と、取着された状態で接続口12から突出し、ケーブルCを引き出す引出口43を先端に有する引出口形成部33と、接続口取着部32における後述する小サイズ外壁面近似部38と引出口形成部33との間に設けられ、大サイズの長尺保護体51の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部34とを備えている。接続口取着部32は、内挿部34を挟んで取着側即ち図7(b)の上側の接続口取着部32aと引出口形成部33側即ち図7(b)の下側の接続口取着部32bとに分離されているが、いずれも接続体11への接続部分を構成する。
【0022】
ブッシング31における壁面71と対向する背面35は、平坦面からなり壁面71と当接する当接面となっているとともに、上下方向に向かう中心線上に切割溝36が形成されており、カッター等で背面35を切割溝36に沿って切断することにより背面35全長に至って切割スリットを形成できるようになっている。この切割スリットを中心に背面35を左右に拡開すれば、切割スリットの形成箇所には所定幅の切割開口が形成されるので、その切割開口からケーブルCをブッシング31内に挿入し収容させることができる。実際には、壁孔72から引き出されたケーブルCの上方からブッシング31をあてがって押し付けるだけで、切割スリットは両側に拡開し、ブッシング31内にケーブルCを収容することができる。但し、ブッシング31は、切割溝36を切断しない場合は、上部の接続口取着部32の開口からケーブルCを挿通して下端部の引出口43から引き出すこともできる。
【0023】
なお、ブッシング31は、水平断面が略C字状に形成されて、背面35に所定幅の開口が上下方向に連続して形成されたものであってもよい。このブッシング31の場合、背面35に所定幅の開口が形成され、不完全な筒状となっているものの、背面35の所定幅の開口は壁面71との当接によって閉塞されるので、前述の完全に筒状に形成されているブッシング31と同様に内部のケーブルCを保護できる。請求項の「筒状」のブッシングには、この背面35に所定幅の開口を有する筒状のブッシングも含まれる。
【0024】
更に、ブッシング31における図7(b)の上側の接続口取着部32aには、外側に突出し接続体11の突出部24に係止して接続口12からの離脱を防止する左右一対の係止部37,37が設けられている。係止部37は楔状をなし、上側の接続口取着部32aの両側面に設けられている。接続口取着部32aにおける係止部37より引出口形成部33側の部分には、接続体11の突出部24の端面24aに沿い小サイズの長尺保護体52の外壁面56と近似する外面形状を有する小サイズ外壁面近似部38が設けられている。ここで、ブッシング31の小サイズ外壁面近似部38は、前述のように、接続体11の突出部24の端面24aに沿うものでもあるので、突出部端面近似部39と言うこともできる。小サイズ外壁面近似部38と内挿部34との境界部分の上面には、ブッシング31の幅方向に直線状の凹溝40が形成されており、この部分に沿ってカッター等で切断することにより、係止部37を小サイズ外壁面近似部38とともに分離除去できるようになっている。ブッシング31における図7(b)の下側の接続口取着部32bは、大サイズの長尺保護体51の外壁面56と近似する外面形状からなる長尺保護体外壁面近似部41を有しており、その長尺保護体外壁面近似部41は下側の接続口取着部32bの外面においてケーブルCの挿通方向即ち上下方向の全長に至って形成されている。但し、長尺保護体外壁面近似部41は下側の接続口取着部32bの外面においてケーブルCの挿通方向の一部に形成されていてもよい。
【0025】
ブッシング31の内挿部34は、小サイズ外壁面近似部38と引出口形成部33との間に設けられ、大サイズの長尺保護体51の内壁面57と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部42を有しており、その長尺保護体内壁面近似部42は内挿部34の外面においてケーブルCの挿通方向即ち上下方向の全長に至って形成されている。但し、長尺保護体内壁面近似部42は内挿部34の外面においてケーブルCの挿通方向の一部に形成されていてもよい。なお、直線状の凹溝40において係止部37を小サイズ外壁面近似部38とともに切除した後は、内挿部34が接続口取着部32側の最端部と成り、この内挿部34を大サイズの長尺保護体51の他端部54の引出開口55に挿入することによりブッシング31を大サイズの長尺保護体51の他端部54に取着することが可能となる。
【0026】
引出口形成部33は、下方に向かうに従って先窄まりとなり、下部の先端には引出口43が形成されていて、この引出口43からケーブルCが引き出され外部に露出するようになっている。引出口形成部33の中間部分には幅方向に直線状の凹溝44が所定間隔をおいて複数形成されており、凹溝44に沿って切断することにより大きさの異なる複数種の引出口43が形成され、各種径のケーブルCの引き出しに対応できるようになっている。
【0027】
次に、長尺保護体は、壁孔72から所定距離離間した位置に至ってケーブルCを収容して保護するものであり、大きさの異なる大小二種類のサイズの長尺保護体即ち大サイズの長尺保護体51及び小サイズの長尺保護体52が用いられている。両長尺保護体は高さが同一で幅が異なっている。図8は大サイズの長尺保護体51を示し、図9は小サイズの長尺保護体52を示す。各長尺保護体は合成樹脂材からなり、断面形状一定の直状のダクト状の保護カバーで形成され、所定長さを有するが、中間位置で切断することにより任意の長さに形成することができる。
【0028】
各長尺保護体は、ベース体58とカバー体61との2分割体で構成されている。ベース体58は平坦面からなる底壁59を備え、この底壁59の背面は壁面71と当接する当接面となっている。底壁59の幅方向の両端には全長に至って所定形状の側壁60が立設されている。カバー体61は平板状の天壁62を備えるとともに、天壁62の幅方向の両端には全長に至って所定形状のフランジ63が斜め下方に向けて延設されている。ベース体58の側壁60の上端部には全長に至って係合部60aが形成され、カバー体61のフランジ63の下端部には全長に至ってベース体58の係合部60aと係合する被係合部63aが形成されており、互いを係合することによってベース体58とカバー体61とを組付けられるようになっている。この長尺保護体を壁面71に固定するには、ベース体58の底壁59に設けた挿通孔59aに螺子を挿通して壁面71に螺着することによりベース体58を壁面71に固定した後、カバー体61をベース体58に対してそのまま前方から強制的に押し付け、係合部60aと被係合部63aとを弾性的に係合させて組付ければよい。なお、ベース体58は、底壁59の背面に両面接着テープを貼着し、壁面71に貼着することにより固定することもできる。
【0029】
(組付け)
次に、上記のように構成された引出部形成装置1の各種の組付けについて説明する。
本実施形態の引出部形成装置1は、図1に示すように、ブッシング31を接続体11に取着することができ、また、接続体11に取着した長尺保護体の他端部に取着することもできる。更に、図1において示さないが、ブッシング31を長尺保護体の両端部に取着することもできる。
【0030】
具体的には、まず、ブッシング31を接続体11に取着する場合は、最初に、壁面71に接続体11を取付固定する。それには、壁孔72からケーブルCを引き出した後、接続体11の基台14の引込口15内にケーブルCを挿入して引き込み、基台14の挿通孔17に固定螺子を挿通し、壁面71に螺着する。次いで、接続体11の基台14に対してその前方から蓋体21をあてがい、基台14の背面に沿って僅かに移動させて組付ける。組付後は、基台14の係合フランジ20と蓋体21の係合突起26とが係合し、蓋体21が基台14から離脱するのが防止される。なお、ブッシング31の背面35は、カッター等で切割溝36に沿って切断し切割開口を形成しておく。また、ケーブルCの外径に応じてブッシング31の引出口形成部33を凹溝44に沿って切断し、引出口43からケーブルCを引き出せるようにしておく。
【0031】
壁面71に接続体11が固定されたら、ブッシング31の背面35の切割開口から内部にケーブルCを押し込みつつ、ブッシング31の接続口取着部32を接続体11の接続口12に内挿し、ブッシング31の係止部37を接続体11の被係止部25である突出部24の奥側に強制的に押し込んで突出部24に係止させる。このとき、ブッシング31の内挿部34の先端が接続体11の下端部の突片19と当接し、ブッシング31の接続口取着部32が必要以上に接続体1の内部に挿入されるのを防止している。このようにして、接続口取着部32を接続体11の接続口12内に強制的に押し込むだけでブッシング31を接続体11に取着でき、この箇所に接続体11から引き出されるケーブルCの引出部が形成される。なお、必要に応じてブッシング31の引出口形成部33の背面35に両面接着テープを貼着しておけば、ブッシング31をより安定して壁面71に沿って取付けることができる。
【0032】
接続体11にブッシング31を取着した状態においては、図10に示すように、ブッシング31の係止部37が接続体11の突出部24に係止してブッシング31が接続体11から離脱するのが防止されるとともに、ブッシング31の小サイズ外壁面近似部38でもある突出部端面近似部39の外面が接続体11の突出部24の先端の端面24aに当接或いは近接して、突出部端面近似部39の外面と突出部24の端面24aとの間が閉塞され、両者間に隙間が生じるのが防止される。
【0033】
次に、接続体11に大サイズの長尺保護体51の一端部53を接続し、その大サイズの長尺保護体51の他端部54にブッシング31を取着する場合は、最初に、前記ブッシング31の取着の場合と同様に、固定螺子を介して接続体11を壁面71に取付固定する。そして、大サイズの長尺保護体51は、予め、ベース体58の底壁59の背面に両面接着テープを貼着しておく。そこで、ベース体58上にケーブルCを載置し、ベース体58の前方からカバー体61を押し付けてベース体58の側壁60の係合部60aとカバー体61の被係合部63aとを強制的に係合させて組付け、大サイズの長尺保護体51の内部にケーブルCを収容する。続いて、大サイズの長尺保護体51の一端部53を壁面71に沿って平行移動させつつ接続体11の開口13から接続口12内に先端が接続体11の突出部24に当接するまで挿入し、ベース体58の底壁59に貼着した両面接着テープを壁面71に貼着する。これにより、接続体11に大サイズの長尺保護体51が取着される。
【0034】
なお、接続体11への大サイズの長尺保護体51の取着は以下のようにして行なうこともできる。即ち、まず、接続体11の接続口12内にベース体58を先端が接続体11の突出部24に当接するまで挿入し、ベース体58の挿通孔59aに螺子を挿通し壁面71に螺着して最初にベース体58のみを壁面71に固定する。次に、ベース体58上にケーブルCを載置し、カバー体61を前方から押し付けてベース体58の係合部60aとカバー体61の被係合部63aとを強制的に係合させて組付ける。次いで、カバー体61のみをその先端が接続体11の突出部24に当接するまでベース体58に沿って僅かに平行移動させることにより取着することもできる。このとき、ベース体58の幅は接続体11の内面22の内側寸法と略同一に形成されているので、ベース体58は接続体11の接続口12に対して横ずれすることなく一定位置に保持されるから、ベース体58を接続体11の接続口12に内挿した後でも、カバー体61のみを円滑に接続体11の接続口12内に挿入することができる。
【0035】
接続体11に大サイズの長尺保護体51の一端部53を取着した状態においては、前述のように、接続体11の接続口12の内面22は大サイズの長尺保護体51の外壁面56に沿う形状に形成されているから、図11(c)に示すように、大サイズの長尺保護体51の外壁面56は接続体11の接続口12の内面22に当接或いは近接して、大サイズの長尺保護体51の外壁面56と接続体11の内面22との間に隙間が生じるのが防止される。
【0036】
続いて、大サイズの長尺保護体51の他端部54にブッシング31を取着する。それには、まず、カッター等を使用してブッシング31の接続口取着部32の凹溝40に沿って切断して係止部37を小サイズ外壁面近似部38とともに除去し、内挿部34を接続口取着部32における最端部に位置させる。また、ブッシング31の背面35は、カッター等で切割溝36に沿って切断し切割開口を形成しておく。
【0037】
この状態で、ブッシング31の背面35の切割開口から内部にケーブルCを押し込みつつ、ブッシング31の内挿部34を大サイズの長尺保護体51の他端部54の引出開口55内に挿入し、ブッシング31の内挿部34と隣接する引出口形成部33側の接続口取着部32bの端部が大サイズの長尺保護体51の他端部54の端部に当接するまで押し込む。これにより、ブッシング31を大サイズの長尺保護体51の他端部54に取着でき、この箇所に大サイズの長尺保護体51の他端部54から引き出されるケーブルCの引出部が形成される。なお、必要に応じてブッシング31の引出口形成部33の背面35に両面接着テープを貼着しておけば、ブッシング31をより安定して壁面71に沿って取着することができる。また、ブッシング31の内挿部34の外面に両面接着テープを貼着し、大サイズの長尺保護体51の内面22に接着してもよい。
【0038】
大サイズの長尺保護体51にブッシング31を取着した状態においては、ブッシング31の内挿部34が大サイズの長尺保護体51の内壁面57と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部42を有しているので、図11(d)に示すように、ブッシング31の内挿部34の外面は、大サイズの長尺保護体51の内壁面57に当接或いは近接して、ブッシング31の内挿部34の外面と大サイズの長尺保護体51の内壁面57との間に隙間が生じるのが防止される。
【0039】
次に、接続体11に小サイズの長尺保護体52の一端部53を接続する場合について説明する。本実施形態の引出部形成装置1は、接続体11に小サイズの長尺保護体52の一端部53を接続することもできる。それには、最初に、接続体11の基台14の下端部を切込溝19aに沿って切断し平板状の突片19を除去する。そして、接続体11への大サイズの長尺保護体51の接続の場合と同様に、固定螺子を介して壁面71に接続体11を固定する。また、小サイズの長尺保護体52は、予め、ベース体58の底壁59の背面に両面接着テープを貼着しておく。
【0040】
この状態で、ベース体58上にケーブルCを載置してからカバー体61を組付けて小サイズの長尺保護体52の内部にケーブルCを挿通した後、壁面71に沿って平行移動させて小サイズの長尺保護体52の一端側53を接続体11の開口13から接続口12内に挿入し、図12に示すように、小サイズの長尺保護体52の先端が接続体11における突片19を切除した後の切込溝19aの位置に形成されている端部に当接するまで押し込み、ベース体58の背面の両面接着テープを壁面71に貼着する。これにより、接続体11に小サイズの長尺保護体52が取着される。
【0041】
接続体11に小サイズの長尺保護体52の一端部53を取着した状態においては、接続体11の突出部24の先端の端面24aが小サイズの長尺保護体52の外壁面56に沿う形状に形成されているから、図12(b)に示すように、小サイズの長尺保護体52の外壁面56は接続体11の突出部24の端面24aに当接或いは近接して、小サイズの長尺保護体52の外壁面56と接続体11の突出部24の端面24aとの間に隙間が生じるのが防止される。また、小サイズの長尺保護体52は常に接続体11の幅方向中央の一定位置に取着される。
【0042】
次に、図1において図示していないが、本実施形態の引出部形成装置1は、適用頻度は少ないものの、大サイズの長尺保護体51の他端部54に加えて一端部53にもブッシング31を接続する態様に組付けて使用することもできる。即ち、大サイズの長尺保護体51は全長に至って断面形状が一定であり、一端部53の内壁面57と他端部54の内壁面57とは同一断面形状に形成されているから、ブッシング31は大サイズの長尺保護体51の一端部53と他端部54とのそれぞれに計2個取着することもできる。
【0043】
ところで、上記実施形態においては、ブッシング31の内挿部34は、接続口取着部32の係止部37を凹溝40に沿って切断除去することにより接続口取着部32側の最端部と成し、大サイズの長尺保護体51の引出開口55に内挿できるものとしているが、当初から係止部37が形成されておらず、接続口取着部32側の最端部に内挿部34が形成されているものとすることもできる。
【0044】
また、上記実施形態においては、接続体11へのブッシング31の取着は、ブッシング31の接続口取着部32の係止部37を接続体11の突出部24に係止させることにより行なっているが、上述のように、接続口取着部32の係止部37を凹溝40に沿って切断除去することによって内挿部34を接続口取着部32側の最端部と成し、或いは、当初より内挿部34を接続口取着部32側の最端部と成している場合、即ちブッシング31に係止部37が設けられていない場合には、ブッシング31の引出口形成部33側の接続口取着部32bやブッシング31の背面35或いは接続体11の接続口12の内面22に両面接着テープを貼着し、図13に示すように、前記ブッシング31の接続口取着部32bを接続体11の接続口12の内部にまで挿入して、両面接着テープによってブッシング31の接続口取着部32bを接続体11の内面22に接合させることで、ブッシング31を接続体11に取着することもできる。
【0045】
(作用)
次に、上記のように構成された本実施形態の引出部形成装置1の作用を説明する。
引出部形成装置1は、接続体11の接続口12にブッシング31の接続口取着部32を内挿して取着することで、接続体11から引き出されるケーブルCの引出部を形成できるとともに、大サイズの長尺保護体51の他端部54にブッシング31の内挿部34を内挿して取着することで、大サイズの長尺保護体51の他端部54から引き出されるケーブルCの引出部を形成できる。つまり、ケーブルCを壁孔72から引き出された箇所から直ちに露出配線する場合、及びケーブルCを壁孔72から引き出した後大サイズの長尺保護体51内に配線してから露出配線する場合のいずれにおいても、一種類のブッシング31を兼用してケーブルCを保護する引出部を形成できる。これにより、引出部形成装置1の部品の取り扱いや管理が楽になり、装置コストも低減できる。
【0046】
また、ブッシング31の接続口取着部32の小サイズ外壁面近似部38の外面は、接続体11の接続口12の突出部24の端面24aに沿うので、接続体11に小サイズの長尺保護体52を取着することもでき、かつ、接続体11において常に幅方向中央の一定位置に取着することができる。したがって、この引出口形成装置1によれば、各種の組付態様が得られる。
【0047】
しかも、接続体11の接続口12の内面22は、大サイズの長尺保護体51の外壁面56に沿うとともに、ブッシング31の長尺保護体外壁面近似部41でもある接続口取着部32bの外面にも沿うから、取着後に、接続体11の接続口12の内面22と大サイズの長尺保護体51の外壁面56との間、及び接続体11の接続口12の内面22とブッシング31の長尺保護体外壁面近似部41の外面との間に隙間を生じない。
また、ブッシング31の内挿部34は、大サイズの長尺保護体51の内壁面57と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部42を有するので、ブッシング31の内挿部34の外面と大サイズの長尺保護体51の内壁面57との間にも隙間を生じない。
更に、接続体11の突出部24の端面24aは、ブッシング31の小サイズ外壁面近似部38の外面に沿うとともに、小サイズの長尺保護体52の外壁面56にも沿うから、接続体11の突出部24の端面24aとブッシング31の小サイズ外壁面近似部38の外面との間、及び接続体11の突出部24の端面24aと小サイズの長尺保護体52の外壁面56との間も隙間を生じない。
したがって、取着後にこれらの部材間から外部の塵埃等がこれらの部材内に侵入するのを防止することができる。
【0048】
加えて、ブッシング31の接続口取着部32aには係止部37が設けられ、接続体11の接続口12には、係止部37が係止する被係止部25としての突出部24が設けられているので、係止部37を接続体11の接続口12に挿入するだけでブッシング31を接続体11に取着でき、取着後はブッシング31が接続体11から離脱するのを防止することができる。なお、ブッシング31の係止部37はこれを切除すれば、内挿部34がブッシング31の接続口取着部32側の最端部と成り、この内挿部34を大サイズの長尺保護体51の他端部54に内挿してブッシング31を取着することができる。
ここで、接続体11の被係止部25は突出部24で形成されているので、簡易な構成で簡単に被係止部25を形成できる。
【0049】
また、ブッシング31の引出口形成部33側の接続口取着部32bは、大サイズの長尺保護体51の外壁面56と近似する外面形状からなる長尺保護体外壁面近似部41を有するので、ブッシング31を大サイズの長尺保護体51に取着したとき、ブッシング31の長尺保護体外壁面近似部41を有する接続口取着部32bの外面と大サイズの長尺保護体51の外壁面56とは略均一面となる状態で接続される。このため、この取着部はすっきりと見栄えのよい外観となる。
【0050】
(変形例等)
ところで、上記実施形態のブッシング31は、小サイズ外壁面近似部38と内挿部34との境界部に形成された直線状の凹溝40において係止部37を小サイズ外壁面近似部38とともに水平方向に切除することにより、内挿部34が接続口取着部32側の最端部と成っているが、両側方に膨出して形成されている係止部37のみを図7(b)の垂直方向にそぎ落とすように切除することによって、係止部37が切除された接続口取着部32aも内挿部34の一部として形成されるものとすることもできる。この場合、係止部37が切除されることによって形成された前記内挿部34の外面も大サイズの長尺保護体51の内壁面57の形状に沿う外面形状に形成することが必要である。これによって、接続口取着部32aに形成された内挿部34の先端は、接続口取着部32側の最端部と成り、大サイズの長尺保護体51の引出開口55内に内挿することができる。
【0051】
また、上記実施形態の接続体11の突出部24は、接続口12の左右の側面23に設けられているが、長尺保護体の高さが上記各実施形態の長尺保護体より小さい場合は、接続体11の突出部24は、接続口12の左右の側面23のみでなく内面22の周方向の全体に至って突設されたもの、即ち上端部同士が連結されて上辺部も備えたコ字板状の突片に形成されたものとしてもよい。
【0052】
或いは、接続体11の突出部24は、ブッシング31の係止部37が係止する被係止部25として機能するとともに、小サイズの長尺保護体52を取着したときの両者間の隙間を閉塞する作用を奏する他、大サイズの長尺保護体51を挿入する際の突き当て部としても作用するが、両面接着テープを貼着して接続体11からのブッシング31の離脱を防止したり、小サイズの長尺保護体52の外壁面56に接続体11の接続口12との隙間を閉塞する図示しない隙間閉塞部材を取付けたり、大サイズの長尺保護体51を特に支障なく接続体11の接続口12の適宜位置まで挿入できるような場合には、突出部24は設けないものとすることもできる。この場合、ブッシング31の小サイズ外壁面近似部38でもある突出部端面近似部39は不要となる。
【0053】
更に、上記実施形態の接続体11は、ブッシング31の係止部37に係止する被係止部25を突出部24で形成しているが、図14に示すように、係止部37の両側方への張出量を大きくするとともに、接続体11の接続口12の奥側で接続体11の内面22より両側方に突出し拡張する左右一対の段部27,27を設け、係止部37をこの段部27に係止させるようにして、この段部27で形成してもよい。
【0054】
そして、上記実施形態の大きさの異なる二種類の長尺保護体は、互いに高さは同一で幅が異なるものであるが、幅は同一で高さが異なるもの、或いは幅と高さの双方が異なるものである場合にも、同様に適用することができる。
【0055】
また、長尺保護体は、ベース体58とカバー体61とを組付ける2分割体で構成されているが、角筒等の筒状に一体物で形成したものであってもよい。ここで、長尺保護体を2分割体で構成した場合は、カバー体61を取り外すことによってケーブルCをベース体58の上方から載置し長尺保護体内に配線することができるのに対し、筒状に形成した場合は、長尺保護体の一端側の開口からケーブルCを送り込んで内部を挿通させ、他端側から引き出すことになる。
【0056】
加えて、上記実施形態の引出部形成装置1は、ブッシング31の係止部37を接続体11の被係止部25に係止させたり、ブッシング31の接続口取着部32bや背面35に両面接着テープを貼着して接着固定することにより、ブッシング31を接続体11に取着し接続しているが、切除等によって係止部37のない状態などにおいて、ブッシング31の接続口取着部32bを接続体11の接続口12内に圧入することによって取着し、ブッシング31の接続口取着部32bと接続体11の接続口12の内面22との間に生じる摩擦力によって離脱を防止することも可能である。
【0057】
上記実施形態の接続体11は、壁孔72から引き出されるケーブルCの屈曲部を覆うように保護し、壁面71に沿うように配線すべく、1つの接続口12が設けられているが、これに限られるものではなく、壁孔72から引き出される箇所以外において配設された、同一平面上で分岐するチーズ、屈曲するエルボ、直線状のソケットなどのように、複数の長尺保護体を接続すべく複数の接続口12が設けられたものであってもよい。
【0058】
なお、上記実施形態では、配線・配管材としてケーブルCが用いられているが、本発明は、他の電線等の配線材や通水管等の配管材の場合にも同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 引出部形成装置 38 小サイズ外壁面近似部
11 接続体 39 突出部端面近似部
12 接続口 41 長尺保護体外壁面近似部
22 内面 42 長尺保護体内壁面近似部
24 突出部 51 大サイズの長尺保護体
24a 端面 52 小サイズの長尺保護体
25 被係止部 53 一端部
31 ブッシング 54 他端部
32、32a、32b 接続口取着部 56 外壁面
33 引出口形成部 57 内壁面
34 内挿部 71 壁面
37 係止部 C ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線・配管材の配設経路に沿って壁面に配置され、該配線・配管材を内部に収容する筒状の長尺保護体と、
前記長尺保護体の一端部が接続される接続口を備え、前記配線・配管材を内部に収容する接続体と、
前記接続体の接続口に取着される筒状のブッシングと、
からなる配線・配管材の引出部形成装置であって、
前記接続体の接続口は、前記長尺保護体の外壁面に沿う内面を有し、
前記ブッシングは、前記接続体の接続口内に内挿されて該接続口に取着される接続口取着部と、取着された状態で前記接続口から突出し、前記配線・配管材を引き出す引出口が先端に形成された引出口形成部と、前記接続口取着部側に設けられ、前記長尺保護体の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部と、を備え、
前記接続体の接続口に前記ブッシングの接続口取着部を内挿して取着することで、前記接続体から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されるとともに、
前記長尺保護体の他端部に前記ブッシングの内挿部を内挿して取着することで、前記長尺保護体の他端部から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されることを特徴とする配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項2】
前記ブッシングの接続口取着部は、更に、前記内挿部の先端部に、外部に突出し前記接続体の接続口に係止して該接続口からの離脱を防止する係止部が延設され、
前記接続体の接続口は、前記内面より奥側に、前記ブッシングの係止部が係止する被係止部が設けられ、
前記ブッシングの接続口取着部を前記接続体の接続口に内挿し前記係止部を前記被係止部に係止させることで、前記接続体に前記ブッシングが取着されるとともに、
前記ブッシングの係止部を切除することにより前記内挿部が前記接続口取着部側の最端部と成ることを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項3】
前記接続体の被係止部は、前記接続口の内面より奥側で該内面よりも内部側に突出する突出部で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項4】
前記ブッシングの接続口取着部は、前記接続体の接続口の内面に沿うように、前記長尺保護体の外壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体外壁面近似部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項5】
前記ブッシングの内挿部は、前記長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項6】
配線・配管材の配設経路に沿って壁面に配置され、該配線・配管材を内部に収容する筒状に形成された大きさの異なる大小二種類のサイズの長尺保護体と、
前記長尺保護体の一端部が接続される接続口を備え、前記配線・配管材を内部に収容する接続体と、
前記接続体の接続口に取着される筒状のブッシングと、
からなる配線・配管材の引出部形成装置であって、
前記接続体の接続口は、先端側に、前記大サイズの長尺保護体の外壁面に沿う内面を有するとともに、該内面より奥側に、前記接続口の内面よりも内部側に突出し前記小サイズの長尺保護体の外壁面に沿う端面を先端に備えた突出部を有し、
前記ブッシングは、
前記接続体の接続口内に内挿されて該接続口に取着される接続口取着部と、取着された状態で前記接続口から突出し、前記配線・配管材を引き出す引出口が先端に形成された引出口形成部とを備え、
前記接続口取着部に、外部に突出し前記接続体の接続口に係止して該接続口からの離脱を防止する係止部が設けられ、
前記接続口取着部における前記係止部より前記引出口形成部側の部分に、前記接続体の接続口の突出部の端面に沿い前記小サイズの長尺保護体の外壁面と近似する外面形状を有する小サイズ外壁面近似部が設けられ、
更に、前記小サイズ外壁面近似部と前記引出口形成部との間に、前記大サイズの長尺保護体の内部に挿入可能な断面形状を有する内挿部が設けられており、
前記接続体の接続口に前記ブッシングの接続口取着部を内挿し、前記接続体の突出部に前記ブッシングの係止部を係止させて、前記接続体に前記ブッシングを取着することで、前記接続体から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されるとともに、
前記ブッシングの接続口取着部の係止部及び小サイズ外壁面近似部を切除することにより前記内挿部を前記接続口取着部側の最端部と成し、前記大サイズの長尺保護体の他端部に前記内挿部を内挿して取着することで、該大サイズの長尺保護体の他端部から引き出される前記配線・配管材の引出部が形成されることを特徴とする配線・配管材の引出部形成装置。
【請求項7】
前記ブッシングの内挿部は、前記大サイズの長尺保護体の内壁面と近似する外面形状からなる長尺保護体内壁面近似部を有することを特徴とする請求項6に記載の配線・配管材の引出部形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−77812(P2012−77812A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222166(P2010−222166)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】