説明

配線・配管材等の支持具および支持装置

【課題】 配線・配管材等をその重さに関わらず、適切に支持することができ、しかも、取り扱いに優れる、配線・配管材等の支持具を提供する。
【解決手段】 支持具3は、支持具本体5を備える。この支持具本体5は、デッキプレート等の金属製の被取着面1に吸着可能な磁石部6と、配線・配管材2を支持するための支持部7とを有する。ここで、支持具本体5には、一の支持具3の支持具本体5と他の支持具3の支持具本体5とを相互に連結する連結部8が設けられている。そして、一の支持具3の支持具本体5と他の支持具3の支持具本体5とが前記連結部8により連結された状態で、一の支持具3の支持部7に支持された配線・配管材2の重さでその一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間するのをその被取着面1への他の支持具3の磁石部6の吸着力により阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デッキプレート等の金属製の被取着面に対して、配線・配管材等を支持するための、配線・配管材等の支持具および支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、コンクリート天井壁を構成するデッキプレート等の金属製プレートの下方に、配線・配管材を吊設する場合に、吊り具に備わる磁石部を、被取着面としてのプレート下面に吸着させ、その吸着力により、配線・配管材を吊設することが行なわれていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平5−84127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記吊り具においては、一般に普及している安価な磁石の吸着力では、重量の大きな配線・配管材を吊設するには不十分であり、吊設対象物が大きく制限される現状があった。また、磁石の吸着力による吊設にあっては、落下はしなくとも、前記プレート面に沿って支持位置がずれる虞があった。
【0005】
なお、吸着力の極めて強い磁石を使用することも考えられるが、かかる磁石は、一度吸着させてしまうと位置変更等が極めて困難となり、取り扱いが著しく不便である。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材等をその重さに関わらず、適切に支持することができ、しかも、取り扱いに優れる、配線・配管材等の支持具および支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る配線・配管材等の支持具および支持装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、デッキプレート等の金属製の被取着面に吸着可能な磁石部と、配線・配管材等を支持するための支持部とを有する支持具本体を備えた、支持具である。ここで、前記支持具本体には、一の前記支持具の支持具本体と他の前記支持具の支持具本体とを相互に連結する連結部が設けられて、前記一の支持具の支持具本体と前記他の支持具の支持具本体とが前記連結部により連結された状態で、前記一の支持具の支持部に支持された前記配線・配管材等の重さでその一の支持具の磁石部が前記被取着面から離間するのをその被取着面への前記他の支持具の磁石部の吸着力により阻止する。
【0008】
この支持具によると、この支持具を単独で用いたり、複数の支持具を、その支持具本体を連結部により連結して用いたりすることができる。ここにおいて、支持具を単独で用いると、その一つの支持具の磁石部の吸着力が被取着面に作用する。したがって、この方法は、配線・配管材等が軽い場合に適し、また、被取着面からの支持具の取り外しも容易となる。そして、複数の支持具を連結して用いると、一の支持具の支持部に支持された配線・配管材等の重さでその一の支持具の磁石部が被取着面から離間するのを、その被取着面への他の支持具の磁石部の吸着力により阻止する。したがって、この方法は、配線・配管材等が重い場合に適する。このように、配線・配管材等の重さに応じて、支持具を単独で、あるいは連結して用いることで、配線・配管材等は、その重さに関わらず、適切に支持される。そして、支持具を単独で用いた場合には、被取着面からの支持具の取り外しが容易となり、取り扱いがよい。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項1に記載の支持具において、前記連結部は、前記支持具本体の、前後または左右の、2方の側部に設けられている。このように、連結部が、支持具本体の、前後または左右の、2方の側部に設けられることで、この連結部によって、支持具本体の任意の数を、直線的に連続して連結することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項1に記載の支持具において、前記連結部は、前記支持具本体の、前後および左右の、4方の側部に設けられている。こうして、この連結部により、支持具本体の任意の数を、前後または左右に、直線的に連続して連結することができるだけでなく、前後および左右に、平面的に連続して連結することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の支持具において、前記連結部は、前記磁石部の側方に設けられている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の支持具において、前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側に向けて回動しないように連結するものである。こうすることで、一の支持具の支持部に支持された配線・配管材等の重さでその一の支持具の磁石部が被取着面から離間しようとすると、その離間しようとする力が、他の支持具に的確に伝わる。したがって、一の支持具の磁石部が被取着面から離間するのを、その被取着面への他の支持具の磁石部の吸着力により確実に阻止することができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項5に記載の支持具において、前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側および前記被取着面側に向けて回動しないように連結するものである。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材等の支持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の支持具において、前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側および/または前記被取着面側に向けて回動可能となるように連結するものである。このように、一の支持具本体と他の支持具本体とが回動可能に連結されることで、被取着面が屈曲している場合であっても、その屈曲した各面に、支持具本体のそれぞれを沿わせることができる。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材等の支持装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の支持具を複数用いた支持装置であって、複数の前記支持具本体が、前記連結部により連結されてなる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明に係る配線・配管材等の支持装置は、請求項8に記載の支持装置において、前記磁石部は、磁石と、その磁石を収容するヨークとからなる。ここで、前記磁石は、前記ヨークの開口側に臨む一端側と、前記ヨークの底面側に臨む他端側とが、異なる磁極となるように磁化され、それら磁極の極性が特定されて前記ヨーク内に収容されることで、前記ヨークの開口側に臨む一端側の磁極がNSのいずれか一方の極に設定されている。これにより、連結部により連結された支持具本体の磁石部は、各ヨークの開口側端部どうしの磁極が互いに反発し合うため、この磁石部の吸着力が大きくなる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る配線・配管材等の支持具および支持装置によれば、配線・配管材等の重さに応じて、支持具を単独で、あるいは連結して用いることで、配線・配管材等を、その重さに関わらず、適切に支持することができる。しかも、支持具を単独で用いた場合には、被取着面からの支持具の取り外しが容易となるため、この支持具は、取り扱いに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明に係る配線・配管材等の支持具および支持装置を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1ないし図12は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、例えば天井を形成する、デッキプレート等の金属製(特に鉄製等の強磁性体製)の被取着面である。2は、被支持部材としての配線・配管材等、例えば、配線材あるいは配管材である。3は、配線・配管材2を支持する支持具である。4は、支持具3を複数用いた支持装置である。
【0020】
ここで、支持具3は、支持具本体5を備え、その支持具本体5は、前記被取着面1に吸着可能な磁石部6と、配線・配管材2を吊り下げるようにして支持するための支持部7とを有している。そして、支持具本体5には、一の支持具3の支持具本体5と他の支持具3の支持具本体5とを相互に連結(図示実施の形態においては、相互に着脱自在に連結)する連結部8が設けられている。そして、一の支持具3の支持具本体5と他の支持具3の支持具本体5とが前記連結部8により連結された状態で、一の支持具3の支持部7に支持された配線・配管材2の重さでその一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間するのをその被取着面1への他の支持具3の磁石部6の吸着力により阻止する。すなわち、連結により、一の支持具3の磁石部6の吸着力を、他の支持具3の磁石部6の吸着力が補強する。そして、連結部8は、一の支持具3の支持部7に支持された配線・配管材2の重さでその一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間するのを、その被取着面1への他の支持具3の磁石部6の吸着力が阻止するような強度を備えている。また、前記連結部8は、一の支持具3の支持具本体5を、この支持具3に隣接する他の支持具3の支持具本体5に対して、連結部8を支点として被取着面1とは反対側および被取着面1側に向けて回動しないように連結するものとなっている。
【0021】
具体的には、支持具3は、前記磁石部6と、本体ケース9とから構成されている。ここにおいて、磁石部6は、磁石6aと、その磁石6aを収容するヨーク6bとからなる。磁石6aは、ヨーク6bの開口側に臨む一端側(図示実施の形態においては、上側)と、ヨーク6bの底面側に臨む他端側(図示実施の形態においては、下側)とが、異なる磁極となるように磁化されている。この磁石6aは、略長方形の板状に形成されて、その板面が上面と下面とを形成するように配置されて、その下面側が、ヨーク6bの底面に接着等により固定されている。ヨーク6bは、例えば軟鉄からなり、前記底面を形成する底板6cと、その底板6cの前後の両側から立ち上がる側板6d、6dとから構成されている(図6参照)。そこで、前記磁石6aは、底板6c上であって、この側板6d、6d間に収容される。また、ヨーク6bの底板6cの左右の両側からは、係合片6e、6eが延設されている(図5参照)。
【0022】
本体ケース9は、例えば合成樹脂製であって、前記磁石部6を収容するケース部9aと、前記支持部7と、前記連結部8とを備えている。ここで、ケース部9aは、扁平箱型であって、上方が開口している。そして、磁石部6は、ヨーク6bの側板6d、6dの先端部分が、ケース部9aの開口から突出するようにして露出し、そのケース部9aに収容される。このとき、ヨーク6bの係合片6eが、ケース部9aに形成された係合部9bに係合することで、磁石部6は、ケース部9a、すなわち本体ケース9に組み付けられている(図5参照)。
【0023】
支持部7は、ケース部9aから下方に突出して形成されている。そして、この支持部7には、支持孔7aが明けられており、その支持孔7aには、配線・配管材2を吊り下げるようにして保持する保持材10が掛け止められる(図7参照)。
【0024】
連結部8は、支持具本体5の、前後および左右の、4方の側部であって、かつ、磁石部6の側方に設けられている。図示実施の形態においては、連結部8は、磁石部6の側方となるケース部9aの側方、詳細には、ケース部9aの前後および左右の、4方に設けられている。すなわち、連結部8は、前後の第1および第2の連結部801、802、そして、左右の第3および第4の連結部803、804からなる。そして、一の支持具3の第1の連結部801と他の支持具3の第2の連結部802とが接続されることで、それらの支持具本体5、5どうしが前後方向に連結される。また、一の支持具3の第3の連結部803と他の支持具3の第4の連結部804とが接続されることで、それらの支持具本体5、5どうしが左右方向に連結される。こうして、この支持具本体5(支持具3)は、前後方向にも左右方向にも任意の数が連なることが可能となる。
【0025】
詳細には、第1の連結部801は、ケース部9aの前側面から前方に断面略T字状に突出して、前記前側面の長手方向(左右方向)に沿って延びるように形成されている。そして、第2の連結部802は、ケース部9aの後側面から後方に突出して形成されており、第1の連結部801の上部部分と係合するように鉤状に下方に折れ曲がった上部連結部8aと、第1の連結部801の下部部分と係合するように鉤状に上方に折れ曲がった下部連結部8b、8bとからなる。そして、上部連結部8aは、ケース部9aの後側面における左右の中央部分に設けられ、下部連結部8b、8bは、ケース部9aの後側面における左右の端部部分に、前記上部連結部8aとは、間隙を隔てて設けられている。
【0026】
第3および第4の連結部803、804は、それぞれ、第1および第2の連結部801、802と同様の形状をしている。すなわち、第3の連結部803は、ケース部9aの左側面から左方に断面略T字状に突出して、前記左側面の長手方向(前後方向)に沿って延びるように形成されている。そして、第4の連結部804は、ケース部9aの右側面から右方に突出して形成されており、第3の連結部803の上部部分と係合するように鉤状に下方に折れ曲がった上部連結部8cと、第3の連結部803の下部部分と係合するように鉤状に上方に折れ曲がった下部連結部8d、8dとからなる。そして、上部連結部8cは、ケース部9aの右側面における前後の中央部分に設けられ、下部連結部8d、8dは、ケース部9aの右側面における前後の端部部分に、前記上部連結部8cとは、間隙を隔てて設けられている。
【0027】
ところで、第1および第2の連結部801、802には、それらが係合したときに、その係合が簡単には外れないように、互いに掛かり合う掛合凹部8eおよび掛合凸部8fが設けられている。同様にして、第3および第4の連結部803、804にも、それらが係合したときに、その係合が簡単には外れないように、互いに掛かり合う掛合凹部8eおよび掛合凸8f部が設けられている。
【0028】
そこで、第1の連結部801と第2の連結部802とを接続するには、例えば、図8および図9に示すように、一の支持具3を他の支持具3に対して左右方向(P方向)にスライドさせることで、支持具本体5、5、ひいては支持具3、3を前後方向に連結する。第3の連結部803と第4の連結部804との接続においても、図示しないが、同様に、一の支持具3を他の支持具3に対して前後方向にスライドさせることで、支持具本体5、5、ひいては支持具3、3を左右方向に連結することができる。また、図10ないし図12は、他の接続の方法を、第3の連結部803と第4の連結部804との接続を例として示すものであるが、第1の接続部801と第2の接続部802との接続においても同様である。この接続方法は、図10および図11に示すように、一の支持具3を、第3の連結部803が上下方向に延びるように回転させた状態で、その一の支持具3を他の支持具3に近づけるようQ方向に移動させて、一の支持具3の第3の連結部803を、他の支持具3の第4の連結部804における上部連結部8cと下部連結部8dとの間の間隙に挿入する。そこで、図11および図12に示すように、一の支持具3を、その向きを戻すようにR方向に回転し、そして、左右の方向となるS方向にスライドさせる。
【0029】
図1は、支持具3を複数(詳細には、3つ)用いた支持装置4を示しており、この支持装置4は、複数(詳細には、3つ)の支持具本体5、5が、連結部8により連結されている。この図1において、中央の支持具3の支持部7には、保持材10が掛けられており、その保持材10を介して、配線・配管材2が吊り下げられている。ここで、各磁石部6、6における磁石6a、6aは、それら磁極の極性が特定されてヨーク6b、6b内に収容されることで、ヨーク6b、6bの開口側に臨む一端側の磁極がNSのいずれか一方の極に設定されている。
【0030】
次に、以上の構成からなる支持具3および支持装置4の作用効果について説明する。この支持具3によると、支持具3を単独で用いたり、複数の支持具3、3を、その支持具本体5、5を連結部8により連結して用いたりすることができる。ここにおいて、支持具3を単独で用いると、その一つの支持具3の磁石部6の吸着力が被取着面1に作用する。したがって、この方法は、配線・配管材2が軽い場合に適し、また、被取着面1からの支持具3の取り外しも容易となる。そして、複数の支持具3、3を連結して用いると、一の支持具3の支持部7に支持された配線・配管材2の重さでその一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間するのを、その被取着面1への他の支持具3の磁石部6の吸着力により阻止する。したがって、この方法は、配線・配管材2が重い場合に適する。このように、配線・配管材2の重さに応じて、支持具3を単独で、あるいは連結して用いることで、配線・配管材2を、その重さに関わらず、適切に支持することができる。そして、支持具3を単独で用いた場合には、被取着面1からの支持具3の取り外しが容易となるため、この支持具3は、取り扱いに優れる。
【0031】
また、連結部8は、支持具本体5の、前後および左右の、4方の側部に設けられている。したがって、この連結部8によって、支持具本体5の任意の数を、前後または左右に、直線的に連続して連結することができるのは勿論、前後および左右に、平面的に連続して連結することができる。また、連結部8は、一の支持具3の支持具本体5を、この支持具3に隣接する他の支持具3の支持具本体5に対して、前記連結部8を支点として被取着面1とは反対側に向けて回動しないように連結する。したがって、一の支持具3の支持部7に支持された配線・配管材2の重さでその一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間しようとすると、その離間しようとする力が、他の支持具3に的確に伝わる。よって、一の支持具3の磁石部6が被取着面1から離間するのを、その被取着面1への他の支持具3の磁石部6の吸着力により確実に阻止することができる。
【0032】
また、支持装置4においては、各磁石6a、6aは、ヨーク6b、6bの開口側に臨む一端側と、ヨーク6b、6bの底面側に臨む他端側とが、異なる磁極となるように磁化され、それら磁極の極性が特定されてヨーク6b、6b内に収容されることで、ヨーク6b、6bの開口側に臨む一端側の磁極がNSのいずれか一方の極に設定されている。これにより、連結部8により連結された支持具本体5、5の磁石部6、6は、各ヨーク6b、6bの開口側端部(つまり、側板6dの先端部)どうしの磁極が互いに反発し合い、この磁石部6、6の吸着力が大きくなる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、一の支持具3の支持具本体5と他の支持具3の支持具本体5とは、連結部8によって相互に着脱自在に連結されるが、連結後には、相互の分離が困難あるいは分離不能であっても構わない。
【0034】
また、連結部8は、支持具本体5の、前後および左右の、4方の側部に設けられているが、前後または左右の、2方の側部に設けられてもよい。このように、連結部8が、支持具本体5の、前後または左右の、2方の側部に設けられることで、この連結部8によって、支持具本体5の任意の数を、前後または左右に、直線的に連続して連結することができる。
【0035】
また、連結部8は、一の支持具3の支持具本体5を、この支持具3に隣接する他の支持具3の支持具本体5に対して、連結部8を支点として被取着面1とは反対側および被取着面1側に向けて回動しないように連結するが、連結部8を支点として被取着面1とは反対側に向けてのみ回動しないように連結するものであってもよい。
【0036】
また、被支持部材は、配線・配管材2でなくとも、照明器具とかスピーカー等であってもよい。
【0037】
さらに、図13ないし図15に示すように、連結部8は、一の支持具3の支持具本体5を、この支持具3に隣接する他の支持具3の支持具本体5に対して、連結部8を支点として被取着面1とは反対側および/または被取着面1側に向けて回動可能となるように連結するものであってもよい。この構成は、従来の吊り具が、重量の大きな配線・配管材を吊設するには不十分であり、吊設対象物が大きく制限されていたのに対し、重量の大きな被支持部材としての配線・配管材等、例えば、配線材あるいは配管材を、被取着面が屈曲している場合であっても的確に支持することができる、配線・配管材等の支持装置を提供することを目的としたものである。詳細には、連結部8は、ヒンジ構造をしており、一方の連結部としての軸受け8gに対して、他方の連結部としての軸部8hが、回動可能に嵌合している。そして、このように、一の支持具本体5と他の支持具本体5とが回動可能に連結されることで、被取着面1が屈曲している場合であっても、その屈曲した各面に、支持具本体5のそれぞれを沿わせることで、重量の大きな配線・配管材2を的確に支持することができる(図15参照)。また、この場合において、支持具3が単体ではなく、常に複数の支持具3、3(支持具本体5、5)が連結された支持装置4として用いる場合には、支持部7は、全ての支持具3、3(支持具本体5、5)に設けられる必要はなく、図16に示すように、少なくとも一つの支持具3(支持具本体5)に設けられていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施の形態の、支持装置の取付状態を示す側面図である。
【図2】同じく、支持具の正面図である。
【図3】同じく、支持具の側面図である。
【図4】同じく、支持具の平面図である。
【図5】同じく、図4におけるA−A線による断面図である。
【図6】同じく、図4におけるB−B線による断面図である。
【図7】同じく、支持具の斜視図である。
【図8】同じく、支持具どうしの連結方法を説明するための第1の斜視図である。
【図9】同じく、支持具どうしの連結方法を説明するための第2の斜視図である。
【図10】同じく、支持具どうしの他の連結方法を説明するための第1の斜視図である。
【図11】同じく、支持具どうしの他の連結方法を説明するための第2の斜視図である。
【図12】同じく、支持具どうしの他の連結方法を説明するための第3の斜視図である。
【図13】この発明の他の実施の形態の、支持装置を示す正面図である。
【図14】同じく、支持装置を示す平面図である。
【図15】同じく、支持装置の取付状態を示す正面図である。
【図16】この発明の他の実施の形態の変形例の、支持装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 被取着面
2 配線・配管材(配線・配管材等)
3 支持具
4 支持装置
5 支持具本体
6 磁石部
6a 磁石
6b ヨーク
7 支持部
8 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレート等の金属製の被取着面に吸着可能な磁石部と、配線・配管材等を支持するための支持部とを有する支持具本体を備えた、配線・配管材等の支持具であって、
前記支持具本体には、一の前記支持具の支持具本体と他の前記支持具の支持具本体とを相互に連結する連結部が設けられて、前記一の支持具の支持具本体と前記他の支持具の支持具本体とが前記連結部により連結された状態で、前記一の支持具の支持部に支持された前記配線・配管材等の重さでその一の支持具の磁石部が前記被取着面から離間するのをその被取着面への前記他の支持具の磁石部の吸着力により阻止することを特徴とする、配線・配管材等の支持具。
【請求項2】
前記連結部は、前記支持具本体の、前後または左右の、2方の側部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項3】
前記連結部は、前記支持具本体の、前後および左右の、4方の側部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項4】
前記連結部は、前記磁石部の側方に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項5】
前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側に向けて回動しないように連結することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項6】
前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側および前記被取着面側に向けて回動しないように連結することを特徴とする請求項5に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項7】
前記連結部は、前記一の支持具の支持具本体を、この支持具に隣接する前記他の支持具の支持具本体に対して、前記連結部を支点として前記被取着面とは反対側および/または前記被取着面側に向けて回動可能となるように連結することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の、配線・配管材等の支持具。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の支持具を複数用いた支持装置であって、
複数の前記支持具本体が、前記連結部により連結されてなる、配線・配管材等の支持装置。
【請求項9】
前記磁石部は、磁石と、その磁石を収容するヨークとからなり、
前記磁石は、前記ヨークの開口側に臨む一端側と、前記ヨークの底面側に臨む他端側とが、異なる磁極となるように磁化され、それら磁極の極性が特定されて前記ヨーク内に収容されることで、前記ヨークの開口側に臨む一端側の磁極がNSのいずれか一方の極に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の、配線・配管材等の支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−83904(P2006−83904A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267330(P2004−267330)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】