説明

配線保持雨樋

【課題】別部材を用いることなく、外観が見苦しくないように配線コードを保持することができる配線保持雨樋を提供する。
【解決手段】筒状をした樋体11の外面の一部に、前記樋体11の長手方向に亘って凸となる一対の凸条12が形成され、前記一対の凸条12の突出端間の距離L1が前記凸条12の中間部間の距離L2よりも短く形成され、その内部が配線2が保持される保持部10となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線保持機能を有する雨樋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、屋根上に設置されるテレビのアンテナ線や太陽電池パネルの給電線などの配線は、建物の軒下にぶら下がっていたり、建物の壁面に乱雑に這わせているのが実情であり、このため建物の外観が見苦しくなり、また強風時に配線が暴れて断線するなどの問題があった。
【0003】
そこで、かかる問題を解消するために、従来より、雨樋(竪樋)の側面にその全長に亘って縦長形状の配線ダクトを並設して、この配線ダクト内部に配線を収納するようにした配線構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−217469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが上記特許文献1に開示された従来技術にあっては、強風時に配線が暴れたりする惧れが殆どなく、建物の外観も見苦しくない。しかしながら、配線ダクトが必要となるとともに、雨樋に配線ダクトが装着される必要があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、別部材を用いることなく、外観が見苦しくないように配線を保持することができる配線保持雨樋を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0008】
筒状をした樋体の外面の一部に、前記樋体の長手方向に亘って凸となる一対の凸条が形成され、前記一対の凸条の突出端間の距離が前記凸条の中間部間の距離よりも短く形成され、その内部が配線が保持される保持部となることを特徴とする。
【0009】
また、前記凸条が弾性を備えていることが好ましい。
【0010】
また、継手部材を介してアンテナを備えた雨樋が接続され、前記アンテナの給電部に接続される配線が前記保持部に保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、別部材を用いることなく、外観が見苦しくないように配線を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の配線を保持した雨樋を示し、(a)は水平断面図であり、(b)は側面図である。
【図2】雨樋の他例の水平断面図である。
【図3】同上の雨樋と、アンテナを備えた雨樋とが建物の壁面に取り付けられた状態を示す側面図である。
【図4】同上のアンテナを備えた雨樋(但し外筒は省略)および継手部材の斜視図である。
【図5】同上のアンテナを備えた雨樋の破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基いて説明する。
【0014】
配線保持雨樋(以下、単に雨樋1という)は、図3に示すように、住宅やビルなどの建物の壁面3に沿って上下に取り付けられる竪樋で、壁面3に取り付けられる控え具31により保持される。
【0015】
雨樋1は、図1に示すように、合成樹脂で形成される筒状をした樋体11で、断面形状は本実施形態では円形であるが、四角形や八角形や他の形状でもよく、また材質も合成樹脂に限定されない。
【0016】
樋体11には、その外面の周方向の一部に、配線2を保持するための保持部10が形成される。保持部10は、一対の凸条12と樋体11の外面とで概ね囲まれる内部の空間である。凸条12は、樋体11の長手方向(すなわち上下方向)に亘って樋体11の外面から凸となるもので、樋体11の外面の周方向に間隔をあけて一対形成される。本実施形態では、凸条12は弾性を備えたリブで構成される。
【0017】
一対の凸条12は、その突出端間の距離L1が、中間部間の距離L2よりも短く形成されるものである。内部に収容される配線2は、その径が前記距離L1よりも大きく距離L2よりも小さい。これにより、内部の保持部10に収容された配線2が保持部10から抜け落ちないものである。なお、一対の凸条12の突出基部間の距離は、距離L1や距離L2より大きくても小さくてもよい。
【0018】
以上のような雨樋1とすることで、保持部10内に配線2が収容されて、強風時に配線2が暴れたりすることがない。また、配線2が露出しないため、建物の外観も見苦しくない。特に、図3に示すように保持部10が壁面3と対向するように配置することで、建物から離れた位置から雨樋1を見ても、保持部10が雨樋1の裏側に位置して目立たず、建物の外観が非常に良好となる。
【0019】
また、これにあたり、従来のように配線ダクトを必要としないため、雨樋1に配線ダクトが装着されるための作業も不要となり、配線ダクトのような別部材のためのコストがかからず、また作業も煩雑とならない。
【0020】
また、凸条12が弾性を備えていることで、凸条12の突出端間を広げて配線2を挿通させることができ、配線2を保持部10へ収納する作業や、配線2を保持部10から取り出す作業がし易くなり、さらに、図3に示すように配線2が凸条12の途中で取り出されることも可能である。
【0021】
また、図2に示すように水平断面において凸条12の外面と樋体11の外面とが滑らかな曲線13として連続してもよい。ここで、滑らかとは、水平断面における凸条12と樋体11の外面の接線方向の変化が連続していて、エッジ状に尖ったり凹んだりした部分がないことをいう。これにより、側面視において凸条12が樋体11と一体に見えて、見栄えが向上する。
【0022】
また、配線保持雨樋1が、アンテナを備えた雨樋4と接続されてもよい。図3〜図5に示すように、アンテナを備えた雨樋4は、アンテナ5が取り付けられる内筒41(樋本体)と、内筒41の外側に同心円状に設けられる外筒42(カバー)とを備え、上下端部に継手部材6が設けられる。アンテナ5は、ボウタイ状のスロット51が形成されたスロットアンテナ5で、断面略C字状に曲げられて内筒41に巻き付けられ、取付け部材43により固定される。アンテナ5は、スロット51の略中央部分の最も幅狭となる部分が給電部52となり、配線2が接続される。配線2は、内筒41の軸方向に沿って這うように配置され、継手部材6に設けられた配線導出部61を介してこの雨樋4の外方へ導出される。
【0023】
このアンテナ5を、スロット51が垂直(鉛直)となるように配置すると、水平偏波が良好に受信可能となり、日本の大部分の地域で地上デジタル放送用電波として用いられる水平偏波が良好に受信されるものである。
【0024】
そして、このようなアンテナを備えた雨樋4に配線保持雨樋1が接続されることで、雨樋4の外方へ導出された配線2が保持部10に収容され、良好な建物の外観が得られる。また、上述した他の効果も勿論得られるものである。
【符号の説明】
【0025】
1 雨樋
10 保持部
11 樋体
12 凸条
13 滑らかな曲線
2 配線
3 壁面
31 控え具
4 アンテナを備えた雨樋
41 内筒
43 取付け部材
42 外筒
5 アンテナ
51 スロット
52 給電部
6 継手部材
61 配線導出部
L1 突出端間の距離
L2 中間部間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をした樋体の外面の一部に、前記樋体の長手方向に亘って凸となる一対の凸条が形成され、前記一対の凸条の突出端間の距離が前記凸条の中間部間の距離よりも短く形成され、その内部が配線が保持される保持部となることを特徴とする配線保持雨樋。
【請求項2】
前記凸条が弾性を備えていることを特徴とする請求項1記載の配線保持雨樋。
【請求項3】
継手部材を介してアンテナを備えた雨樋が接続され、前記アンテナの給電部に接続される配線が前記保持部に保持されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線保持雨樋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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