配線基板の製造方法
【課題】簡単な構造で低コストな露光マスクを用いて、マスクパターンにおける静電破壊を防止することが可能な配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の配線基板10の製造方法では、所定の導体層44の下層の絶縁層32の上部に感光性樹脂層を形成し、導体層44の導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを感光性樹脂層の表面に配置した状態で、露光・現像を行ってめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部に金属めっきを施して導体パターンを有する金属めっき層を形成した後、めっきレジストを除去する。この場合に用いる露光マスクは、そのマスクパターンを構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされているので、隣接する図形パターン間の放電による静電破壊を防止することができる。
【解決手段】本発明の配線基板10の製造方法では、所定の導体層44の下層の絶縁層32の上部に感光性樹脂層を形成し、導体層44の導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを感光性樹脂層の表面に配置した状態で、露光・現像を行ってめっきレジストを形成し、めっきレジストの開口部に金属めっきを施して導体パターンを有する金属めっき層を形成した後、めっきレジストを除去する。この場合に用いる露光マスクは、そのマスクパターンを構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされているので、隣接する図形パターン間の放電による静電破壊を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品に対し、露光マスクを用いて所定の導体層の導体パターンを形成する配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体チップ等の素子を載置し、外部の基材と素子との間を電気的に接続するためのパッケージが広く用いられている。パッケージの構造としては、例えば、中央にコア材を配置し、その上下に導体層及び絶縁層を交互に積層した配線積層部を形成した配線基板が知られている。このような構造の配線基板を製造する場合、各々の導体層に所定の導体パターンを形成するためのマスクパターンが描画された露光マスクを用意する必要がある。そして、導体層の表面にドライフィルムを挟んで露光マスクを配置した状態で、周知の手法で露光・現像を行った後にドライフィルムを除去することにより、所望の導体パターンを形成することができる。一般に、露光マスクは製造時の取り扱いによって帯電しやすいことが知られている。露光マスクが帯電した状態になると、クロム等の金属からなる複数の図形パターンの間の放電によって静電破壊が発生する可能性があるため、こうした静電破壊に対する対策を施した露光マスクが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−122295号公報
【特許文献2】特開2009−086384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、配線基板の製造工程においては、配線基板を多数個取りするための中間製品が用いられ、1つの中間製品に対する各工程では複数の配線基板が一括して処理される。そのため、中間製品に対応する露光マスクは、透明なガラス基板上に遮光性の金属からなるマスクパターンを描画したものであって、このマスクパターンが格子状に配列された複数の製品導体パターンからなる構造を有している。例えば、各々の配線基板の導体層にベタ状の導体パターンを形成する場合、露光マスクのマスクパターンは矩形の図形パターンが隣接する配置になる。このような配置では、隣接する図形パターンのうち角部の近傍で上記静電破壊の発生が顕著になる。そのため、露光マスクは、静電破壊の影響によって角部の近傍でパターン欠損が生じ、製造歩留まりを低下させることが問題となる。露光マスクに対し、隣接する図形パターンの間の距離を十分確保すれば、静電破壊が生じにくくなるが、このような配置は導体パターンの面積が制約されるので望ましくない。一方、上記特許文献1、2に開示された対策は、グレートーンのマスク(階調マスク)の使用が前提であり、露光マスクが複雑な構造で高コストになるため望ましくない。このように、従来の配線基板の製造工程においては、簡単な構造で低コストの露光マスクを用いて、隣接する図形パターン同士の角部の近傍で発生する静電破壊を防止する手法は知られていなかった。
【0005】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、露光マスクのマスクパターンのうち隣接する図形パターン同士の角部の近傍で発生する静電破壊を防止し、簡単な構造の露光マスクを用いて配線基板の製造歩留まりを高めることが可能な配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板の製造方法は、絶縁層と導体層とを交互に積層した配線積層部を備え、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品を用いて形成される配線基板の製造方法であって、前記配線積層部に形成すべき所定の導体層の下層の絶縁層の上部に感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、前記所定の導体層における導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを、前記感光性樹脂層の表面に配置した状態で、前記感光性樹脂層を露光、現像し、前記マスクパターンに対応する開口部を有するめっきレジストを形成するレジスト形成工程と、前記めっきレジストの前記開口部に金属めっきを施して、前記マスクパターンに対応する導体パターンを有する金属めっき層を形成するめっき工程と、前記めっきレジストを除去するレジスト除去工程と、を含み、前記マスクパターンは、前記導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされていることを特徴としている。
【0007】
本発明の配線基板の製造方法によれば、中間製品を用いて複数の配線基板を製造する際、所定の導体層にめっきレジストを形成するために必要な露光マスクには、導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンが形成され、それぞれの図形パターンの各角部が面取りされている。よって、露光マスクのマスクパターンのうち、近距離で図形パターン同士が隣接配置されていたとしても、角部の近傍で発生しやすい静電破壊の発生が抑制されることになり、静電破壊に起因するパターン欠損を防止することが可能となる。この場合、露光マスクの構造を複雑にする必要がなく、かつ、所定の導体層に形成される導体パターンは、角部のみが制約されるだけであって高密度な配置を保つことができる。
【0008】
前記露光マスクのマスクパターンにおいて、図形パターンの各角部の面取り量は50μm以上に設定する必要がある。図形パターンの各角部の面取り量が50μmに満たない場合、隣接する図形パターンの角部から放電を十分に抑制することができず、静電破壊を防止する効果が得られないからである。一方、図形パターンの各角部の面取り量の上限値は特に制約されないが、面取り量が大きくなり過ぎることは、導体層に形成すべき導体パターンの面積の制約となるので好ましくない。
【0009】
また、図形パターンの各角部の面取り形状としては、例えば、円弧状のR面取りを採用することができる。この場合の面取り量は、R面取りの円弧部分の曲率半径を意味している。ただし、図形パターンの各角部の面取り形状は、R面取りには限定されず、静電破壊を防止する効果が得られる限り、直線や曲線を含む多様な形状を採用することができる。
【0010】
前記中間製品には、前記製品形成領域を取り囲む枠部を更に設けてもよい。この場合、前記導電性遮光膜は、前記枠部の導体形成部への露光光を遮光するパターンを更に含めることができる。このような導電性遮光膜を有する露光マスクを用いて所定の導体層の導体パターンを形成することにより、導体形成部を取り囲む枠部の導体形成部がダミー導体層として機能するので、中央と外側の導体分布の均一性を高めることができる。なお、露光マスクのマスクパターンのうち、製品形成領域に対応する図形パターンの角部は、枠部に対応するパターンと隣接する近傍でも面取りする必要がある。
【0011】
前記中間製品の製品形成領域に、例えばN個の製品が含まれる場合、前記露光マスクのマスクパターンは、N個の製品のそれぞれに対応する同一の図形パターンをN個配置すればよい。この場合、N個の図形パターンが矩形である場合、全部で4N個の角部を50μm以上の面取り量で面取りすればよい。
【0012】
前記配線積層部のうち、本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いる所定の導体層は、複数の導体層のうちの少なくとも1つの導体層としてもよいが、前記配線積層部に含まれる全ての導体層としてもよい。静電破壊を生じやすい導体パターンを有する導体層については、本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いることが望ましい。この場合、隣接する各々の製品の各導体層に、電源電圧又はグランドと電気的に接続されるベタ状の導体パターンが形成される場合は、広い面積を確保するために隣接する導体パターン同士が近距離で配置されるのが通常であるため、特に本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いる効果が大きい。
【0013】
本発明の配線基板の製造工程のうち前記露光マスクに関連する工程として、前記感光性樹脂層形成工程と、前記レジスト形成工程と、前記めっき工程と、前記レジスト除去工程に加えて、他の工程を更に付加してもよい。例えば、前記所定の導体層の下層の前記絶縁層の表面に金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程を前記感光性樹脂層形成工程の前に付加するとともに、前記金属めっき層及び前記金属薄膜層のうち前記金属めっき層が形成されていない部分のそれぞれの表面を所定の厚みでエッチングするエッチング工程を前記レジスト除去工程の後に付加することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、絶縁層と導体層を交互に積層した構造を有する配線基板を製造する際、所定の導体層を形成するときに用いる露光マスクのマスクパターンとして、図形パターンの各角部を所定量だけ面取りする形状を採用したので、露光マスクの図形パターン同士が隣接する場合、鋭角な角部からの放電により生じる静電破壊を防止することができる。これにより、露光マスクの静電破壊によるマスクパターンのパターン欠損を低減させ、簡単な構造で低コストな露光マスクを用いて配線基板の製造歩留まりの向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の配線基板における部分的な概略の断面構造図を示している
【図2】本実施形態の配線基板を多数個取りするための中間製品の模式的な上面図である。
【図3】本実施形態の配線基板に含まれる所定の導体層の導体パターンを形成する際に用いる露光マスクの模式的な平面図である。
【図4】図3の部分領域R1を拡大して示す図である。
【図5】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第1の断面構造図である。
【図6】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第2の断面構造図である。
【図7】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第3の断面構造図である。
【図8】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第4の断面構造図である。
【図9】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第5の断面構造図である。
【図10】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第6の断面構造図である。
【図11】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第7の断面構造図である。
【図12】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第8の断面構造図である。
【図13】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第9の断面構造図である。
【図14】本実施形態において、静電破壊の加速試験に用いた露光マスクのマスクパターンの配置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。以下の実施形態では、本発明の技術的思想を具体化した配線基板とその製造方法について説明する。
【0017】
まず、本実施形態の配線基板の具体的な構造及び特徴について、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の一例である配線基板10における部分的な概略の断面構造図を示している。図2は、図1の配線基板10を多数個取りするための中間製品60の模式的な上面図を示している。図3は、配線基板10に含まれる所定の導体層の導体パターンを形成する際に用いる露光マスク70の模式的な平面図を示すともに、図4は、図3の部分領域R1を拡大して示す図である。
【0018】
図1に示す配線基板10は、全体を支持する平板状のコア基板11を配置するとともに、コア基板11の両面側には、それぞれ絶縁層及び導体層を交互に積層形成した配線積層部が配置されている。本実施形態の配線基板10は、例えば、半導体チップ等の部品を載置して外部の基材に接続するためのパッケージとして用いられる。コア基板11は、例えばガラス繊維を含んだエポキシ樹脂によって形成される。また、図1の構造のコア基板11としては、例えば、両面銅張り積層板を用いることができる。
【0019】
コア基板11の上面側には、導体層40、絶縁層30、導体層42、絶縁層32、導体層44、絶縁層34、複数の端子パッド46、ソルダーレジスト層36がこの順に積層形成されている。また、コア基板11の下面側には、導体層41、絶縁層31、導体層43、絶縁層33、導体層45、絶縁層35、複数の端子パッド47、ソルダーレジスト層37がこの順に積層形成されている。さらに、コア基板11と、その上下の導体層40、41及び絶縁層30、31には所定箇所を積層方向に貫通するスルーホール導体20が形成されている。スルーホール導体20の内部は、例えばガラスエポキシ等からなる閉塞体21で埋められている。なお、図1では、1個のスルーホール導体20を示しているが、コア基板11の各部に複数のスルーホール導体20を形成してもよい。
【0020】
導体層40〜45には、電源やグランド電位を供給するための導体パターンや信号を伝送する信号配線用の導体パターンが形成されている。導体層40〜45のうち、所定の導体層の導体パターンは、配線基板10の製造工程において後述の露光マスク70(図3)を用いて形成される。本実施形態の配線基板10の特徴は、露光マスク70を構成する図形パターンの形状と、対応する導体層の導体パターンの形状にあるが、具体的な構造と作用については後述する。なお、図1の例では、コア基板11の両側の導体層42、43は、スルーホール導体20の上端及び下端と接続されている。
【0021】
絶縁層30〜35及びソルダーレジスト層36、37は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料によって形成されている。絶縁層30の所定箇所には、導体層40と導体層42とを積層方向に接続導通するビア導体50が設けられ、絶縁層32の所定箇所には、導体層42と導体層44とを積層方向に接続導通するビア導体52が設けられ、絶縁層34の所定箇所には、導体層44と端子パッド46とを積層方向に接続導通するビア導体54が設けられている。同様に、他方の絶縁層31、33、35には、上記ビア導体50、52、54に対応するビア導体51、53、55がそれぞれ設けられている。なお、図1では、ビア導体50〜55を各1個ずつ示しているが、それぞれの個数は特に制約されず、ビア導体50〜55の各々を複数設けてもよい。また、絶縁層34の表面には複数の端子パッド46が形成され、ソルダーレジスト層36の対応個所が開口されて複数の端子パッド46が露出している。一方、絶縁層35の表面には、比較的サイズが大きい複数の端子パッド47が形成され、ソルダーレジスト層37の対応個所が開口されて複数の端子パッド47が露出している。
【0022】
図1において、例えば、配線基板10を介して半導体チップを外部基材に接続する場合は、上方の複数の端子パッド46を半導体チップの複数のパッドに接合し、下方の複数の端子パッド47を、例えば複数の半田ボールを介して外部基材に接合すればよい。この場合、図1の断面構造では、複数の端子パッド46、ビア導体54、導体層44、ビア導体52、導体層42、スルーホール導体20、導体層43、ビア導体53、導体層45、ビア導体55、複数の端子パッド47を経由して、半導体チップと外部基材との間の電気的接続が可能となる。
【0023】
次に、本実施形態の中間製品60は、図2に示すように、矩形の平面形状に形成されている。中間製品60は、中央の矩形の製品形成領域61と、この製品形成領域61を取り囲む枠部62とに区画されている。また、製品形成領域61は、それぞれ製品(配線基板10)となるべき複数の単位領域61aにさらに区画されている。図2は上面図であるため、各々の単位領域61aに複数の端子パッド46が配置された状態が示されている。各々の単位領域61aのサイズは多様であるが、例えば、1辺が45〜60mmの範囲内の矩形に形成される。配線基板10の製造工程では、例えば、隣接する単位領域61a同士を、その間の境界Lに沿って切断することにより複数の配線基板10を分離することができる。図2の例では、製品形成領域61における16個(4×4個)の単位領域61aに各1個ずつ全部で16個の配線基板10を得ることができる。なお、図2の構成は一例であって、中間製品60に含まれる単位領域61aの個数は特に制約されない。一方、枠部62には製品形成領域61と枠部62の導体密度を揃えるべく、導体層40〜45をそれぞれ取り囲む領域にベタ状の導体パターンが形成される。
【0024】
一方、本実施形態の配線基板10の製造工程で用いる露光マスク70は、図3に示すように、中間製品60と同様の矩形の平面形状を有し、透明なガラス基板71と、このガラス基板71の一面に描画された複数の図形パターンからなる導電性遮光膜であるマスクパターン72とが形成されている。マスクパターン72は、クロム等の金属から形成され、中間製品60の各単位領域61aの所定の導体層に対応する複数の製品導体パターンPaと、中間製品60の枠部62に対応する枠部導体パターンPbとに区分される。
【0025】
図3において、各々の製品導体パターンPaは、実際には複数のビア導体50〜55やその周囲のスペース部分を含む構造を有するが、図3では簡単のため各々の製品導体パターンPaがベタ状の導体パターンである場合を示している。これにより、製品導体パターンPaに対応する図2の単位領域61aの所定の導体層には、例えば、電源電圧やグランド電位に接続されるベタ状の導体パターンを形成することができる。なお、かかる単位領域61aの所定の導体層には、部分的に信号配線が形成されていてもよいが、露光マスク70の各製品導体パターンPaを構成する図形パターンの面積が広く、かつ外周側が広がっている方が本発明で得られる効果が大きくなる。
【0026】
ここで、図4には、図3の部分領域R1として、隣接する1対の製品導体パターンPaと、これらの製品導体パターンPaの近傍の枠部導体パターンPbをそれぞれ示している。隣接する製品導体パターンPa同士は間隔G1を置いて配置され、それぞれの製品導体パターンPaと枠部導体パターンPbは間隔G2を置いて配置されている。本実施形態では、図4に示すように、各々の製品導体パターンPaにおいて、矩形の図形パターンの各角部に面取り部Raが形成されている点が特徴的である。これは、製造工程においてマスクパターン72を取り扱う際、金属の図形パターンが隣接する箇所に鋭角な角部が存在すると、図形パターンの角部からの放電により静電破壊が生じるため、鋭角の角部を面取りすることによって静電破壊を防止するものである。
【0027】
製品導体パターンPaの面取り部Raは、例えば円弧状にR面取りされた形状を有し、その曲率半径(面取り量)を50μm以上に設定することが好ましい。面取り部Raの曲率半径が小さすぎる場合は上述の静電破壊を防止する効果が不十分となる。ただし、面取り部Raの曲率半径が極端に大きすぎる場合は、製品導体パターンPaの角部付近の面積が削られ、所定の導体層に導体パターンを形成する際に制約となる。なお、図4に示す面取り部Raの形状は一例であって、R面取りの形状には限られず、鋭角の角部が存在しない形状であれば、多様な曲線や直線を組み合わせた所望の面取り形状を適用することができる。
【0028】
上記構造を有する露光マスク70は、図1の配線基板10のうちの全ての導体層40〜45に対して適用してもよいが、導体層40〜45のうちの所望の導体層のみに適用してもよい。すなわち、導体層40〜45のうち、ベタ状の導体パターンが高密度に配置される導体層に対しては上記構造の露光マスク70を用いることが望ましいが、特に外周部の付近で導体パターンが低密度であって静電破壊の可能性が小さい導体層に対して上記構造の露光マスク70を用いなくてもよい。このように、本発明は、少なくとも1層の所定の導体層に対して上記構造の露光マスク70を用いて配線基板10を製造する場合であっても適用可能である。
【0029】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について、図5〜図13を参照して説明する。なお、以下に説明する製造方法では、図1の配線基板10のうち、所定の導体層としての2層の導体層44、45に対し、図3の露光マスク70を用いて導体パターンを形成する場合を前提にする。
【0030】
まず、図5に示すように、平板状のコア基板11を用意する。このコア基板11は、配線基板10を支持し得る高い剛性を有する樹脂からなり、その両面に銅箔11a、11bが貼着されている。上述したように、中間製品60においては、複数の配線基板10を多数個取りするため、例えば一辺が300mm程度の正方形の平面形状のコア基板11が用いられる。なお、図5〜図13では、理解の容易のため、中間製品60の全体構造は示さず、1個の配線基板10の部分的な断面構造(図1と同様の範囲)を図示している。
【0031】
次に図6に示すように、コア基板11の上下の各銅箔11a、11bに対し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて導体層40、41をそれぞれパターニングする。続いて、導体層40、41のそれぞれの表面に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層30、31を形成する。
【0032】
次に図7に示すように、ドリル機を用いた孔あけ加工により、スルーホール導体20の形成位置に、コア基板11及び絶縁層30、31を貫く円筒形状の貫通孔を形成した後、この貫通孔に対して無電解銅めっき及び電解銅めっきを施すことによりスルーホール導体20を形成する。そして、スルーホール導体20の空洞部にエポキシ樹脂を主成分とするペーストを印刷した後、硬化することにより閉塞体21を形成する。また、絶縁層30、31の所定位置にレーザー加工を施してビアホールを開口し、デスミア処理を施した後にビアホール内にビア導体50、51を形成する。一方、絶縁層30、31のそれぞれの表面に電解銅めっきを施すことにより銅めっき層を形成し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて導体層42、43をそれぞれパターニングする。
【0033】
次に図8に示すように、導体層42、43のそれぞれの表面に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層32、33を形成する。そして、絶縁層32、33の所定位置にレーザー加工を施して、それぞれビア導体52、53となるべきビアホール52a、53aを開口する。
【0034】
次に図9に示すように、絶縁層32、33のそれぞれの表面に無電解銅めっきを施して銅薄膜層(不図示)を形成した後(金属薄膜層形成工程)、ドライフィルム80、81を被覆する(感光性樹脂層形成工程)。このドライフィルム80、81は、例えば、エポキシ樹脂などからなる感光性樹脂層である。この状態で、図10に示すように、ドライフィルム80、81に対して図3の構造を有する露光マスク70a、70bをそれぞれ配置し、例えば、紫外線等の露光光を所定時間だけ照射する。このとき、露光マスク70a、70bは、ガラス基板71(図3)のうち導体パターンを形成すべき位置に導電性遮光膜であるマスクパターン72が形成されている。露光により、ドライフィルム80、81のうち、露光マスク70a、70bのマスクパターン72が存在しない領域が光硬化するので、この状態で現像を行う。
【0035】
現像の結果、図11に示すように、ドライフィルム80、81のうち、マスクパターン72の直下の部分が除去され、めっきレジスト82、83が形成される(めっきレジスト形成工程)。次いで、図12に示すように、めっきレジスト82、83が存在しない領域に電解銅めっきを施すことにより、めっきレジスト82、83の開口部分に、それぞれマスクパターン72に対応する銅めっき層84、85が形成される(めっき工程)。このとき、銅めっき層84、85のうち、ビアホール52a、53a(図10)の内部領域がビア導体52、53となる。
【0036】
次に図13に示すように、剥離液などを用いてめっきレジスト82、83を除去する(レジスト除去工程)。これにより、露光マスク70a、70bのマスクパターン72に対応する導体パターンを有する導体層44、45が形成される。なお、導体層44、45のうち、銅めっき層84、85のそれぞれの表面と、銅めっき層84、85が存在しない部分の銅薄膜層とを、いずれも所定の厚みでエッチングする必要がある(エッチング工程)。このとき、銅めっき層84、85のそれぞれの表面が粗化されるとともに、銅薄膜層は除去されて下層の絶縁層32、33が部分的に露出する。
【0037】
次に図1に戻って、導体層44、45のそれぞれの上層に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層34、35を形成する。そして、絶縁層34、35に、上述のビア導体50、51と同様の手法で、ビア導体54、55を形成する。続いて、絶縁層34、35のそれぞれの表面に電解銅めっきを施すことにより銅めっき層を形成し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて、上部の複数の端子パッド46と下部の複数の端子パッド47をそれぞれパターニングする。続いて、絶縁層34の上面と絶縁層35の下面に、それぞれ感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト層36、37を形成する。その後、上部のソルダーレジスト層36に開口部をパターニングするとともに、下部のソルダーレジスト層37に開口部をパターニングする。以上の手順により、図1に示す配線基板10が完成する。
【0038】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法に基づいて得られる効果に関する具体的な評価結果について説明する。ここでは、中間製品60に対応する露光マスク70を用いて、図形パターンの各角部に図4の面取り部Raを形成した状態で静電破壊の加速試験を行った。静電破壊の加速試験は、マスク清掃用のシリコンローラーの除電機能を解除した状態で、露光マスク70をシリコンローラーによって所定回数だけ清掃した後、露光マスク70のパターン欠損を確認することにより実行した。この場合、露光マスク70に曲率半径Rが異なる複数種類の製品導体パターンPaを配置することで、静電破壊の影響と図形パターンの曲率半径Rとの関係を評価した。
【0039】
図14は、静電破壊の加速試験に用いた露光マスク70のマスクパターン72の配置を模式的に示している。図14において、それぞれ矩形の図形パターンが製品導体パターンPaに対応し、全部で5×9個(45個)の製品導体パターンPaが配置されている。各々の製品導体パターンPaに付記される数値は面取り部Raの曲率半径Rを示している。この場合、45個の製品導体パターンPaに対応して45×4個(180個)の面取り部Raが存在する。なお、各々の製品導体パターンPaの4つの面取り部Raは、いずれも同一の曲率半径Rで面取りされている。曲率半径Rとしては、R=10μm、25μm、50μm、75μm、100μmの5通りを比較した。いずれの曲率半径Rに対しても、図14において面取り部Raが36箇所存在し、均等に評価するために存在位置が偏らない配置になっている。図14に示す配置の露光マスク70に対し、上記の手法でシリコンローラーにより進行方向Aに沿って10回清掃を行った結果、静電破壊によってパターン欠損が発生した角部に対し記号×を付加して示している。
【0040】
上記のような静電破壊の加速試験を行った結果、R=50μm、75μm、100μmの3通りに関し、それぞれの36箇所の面取り部Raの全てについてパターン欠損は確認されなかった。これに対し、R=10μmに関しては、36箇所の面取り部Raのうち2箇所でパターン欠損が確認された。また、R=25μmに関しては、36箇所の面取り部Raのうち1箇所でパターン欠損が確認された。このように、上記静電破壊の加速試験の評価結果によれば、マスクパターン72中のそれぞれの面取り部Raの曲率半径Rを少なくともR=50μm以上に設定することが求められる。
【0041】
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で多様な変更を施すことができる。例えば、本実施形態では、図3の露光マスク70を用いて導体パターンを形成する所定の導体層が、図1の配線基板10の導体層44、45である場合を説明したが、これに限られることなく、所定の導体層が全ての導体層であってもよく、あるいは1層の導体層のみであってもよい。また、本実施形態では、コア基板11の両側に配線積層部が形成される構造の配線基板10について説明したが、コア基板11の片側にのみ配線積層部が形成される構造や、コア基板11を設けない構造を採用してもよい。また、本実施形態では、露光マスク70の各図形パターンが矩形である場合を説明したが、矩形以外であっても角部を面取り可能な形状であればよい。この場合、図形パターンの面取り部Raは、R面取りには限られず、多様な曲線や直線を組み合わせた面取り形状にすることができる。さらに、配線基板10の構造や、製造方法の具体的な工程に関し、上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り適宜に変形して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…配線基板
11…コア基板
20…スルーホール導体
21…閉塞体
30、31、32、33、34、35…絶縁層
36、37…ソルダーレジスト層
40、41、42、43、44、45…導体層
46、47…端子パッド
50、51、52、53、54、55…ビア導体
60…中間製品
61…製品形成領域
61a…単位領域
62…枠部
70…露光マスク
71…ガラス基板
72…マスクパターン
Pa…製品導体パターン
Pb…枠部導体パターン
Ra…面取り部
80、81…ドライフィルム
82、83…めっきレジスト
84、85…銅めっき層
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品に対し、露光マスクを用いて所定の導体層の導体パターンを形成する配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体チップ等の素子を載置し、外部の基材と素子との間を電気的に接続するためのパッケージが広く用いられている。パッケージの構造としては、例えば、中央にコア材を配置し、その上下に導体層及び絶縁層を交互に積層した配線積層部を形成した配線基板が知られている。このような構造の配線基板を製造する場合、各々の導体層に所定の導体パターンを形成するためのマスクパターンが描画された露光マスクを用意する必要がある。そして、導体層の表面にドライフィルムを挟んで露光マスクを配置した状態で、周知の手法で露光・現像を行った後にドライフィルムを除去することにより、所望の導体パターンを形成することができる。一般に、露光マスクは製造時の取り扱いによって帯電しやすいことが知られている。露光マスクが帯電した状態になると、クロム等の金属からなる複数の図形パターンの間の放電によって静電破壊が発生する可能性があるため、こうした静電破壊に対する対策を施した露光マスクが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−122295号公報
【特許文献2】特開2009−086384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、配線基板の製造工程においては、配線基板を多数個取りするための中間製品が用いられ、1つの中間製品に対する各工程では複数の配線基板が一括して処理される。そのため、中間製品に対応する露光マスクは、透明なガラス基板上に遮光性の金属からなるマスクパターンを描画したものであって、このマスクパターンが格子状に配列された複数の製品導体パターンからなる構造を有している。例えば、各々の配線基板の導体層にベタ状の導体パターンを形成する場合、露光マスクのマスクパターンは矩形の図形パターンが隣接する配置になる。このような配置では、隣接する図形パターンのうち角部の近傍で上記静電破壊の発生が顕著になる。そのため、露光マスクは、静電破壊の影響によって角部の近傍でパターン欠損が生じ、製造歩留まりを低下させることが問題となる。露光マスクに対し、隣接する図形パターンの間の距離を十分確保すれば、静電破壊が生じにくくなるが、このような配置は導体パターンの面積が制約されるので望ましくない。一方、上記特許文献1、2に開示された対策は、グレートーンのマスク(階調マスク)の使用が前提であり、露光マスクが複雑な構造で高コストになるため望ましくない。このように、従来の配線基板の製造工程においては、簡単な構造で低コストの露光マスクを用いて、隣接する図形パターン同士の角部の近傍で発生する静電破壊を防止する手法は知られていなかった。
【0005】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、露光マスクのマスクパターンのうち隣接する図形パターン同士の角部の近傍で発生する静電破壊を防止し、簡単な構造の露光マスクを用いて配線基板の製造歩留まりを高めることが可能な配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板の製造方法は、絶縁層と導体層とを交互に積層した配線積層部を備え、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品を用いて形成される配線基板の製造方法であって、前記配線積層部に形成すべき所定の導体層の下層の絶縁層の上部に感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、前記所定の導体層における導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを、前記感光性樹脂層の表面に配置した状態で、前記感光性樹脂層を露光、現像し、前記マスクパターンに対応する開口部を有するめっきレジストを形成するレジスト形成工程と、前記めっきレジストの前記開口部に金属めっきを施して、前記マスクパターンに対応する導体パターンを有する金属めっき層を形成するめっき工程と、前記めっきレジストを除去するレジスト除去工程と、を含み、前記マスクパターンは、前記導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされていることを特徴としている。
【0007】
本発明の配線基板の製造方法によれば、中間製品を用いて複数の配線基板を製造する際、所定の導体層にめっきレジストを形成するために必要な露光マスクには、導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンが形成され、それぞれの図形パターンの各角部が面取りされている。よって、露光マスクのマスクパターンのうち、近距離で図形パターン同士が隣接配置されていたとしても、角部の近傍で発生しやすい静電破壊の発生が抑制されることになり、静電破壊に起因するパターン欠損を防止することが可能となる。この場合、露光マスクの構造を複雑にする必要がなく、かつ、所定の導体層に形成される導体パターンは、角部のみが制約されるだけであって高密度な配置を保つことができる。
【0008】
前記露光マスクのマスクパターンにおいて、図形パターンの各角部の面取り量は50μm以上に設定する必要がある。図形パターンの各角部の面取り量が50μmに満たない場合、隣接する図形パターンの角部から放電を十分に抑制することができず、静電破壊を防止する効果が得られないからである。一方、図形パターンの各角部の面取り量の上限値は特に制約されないが、面取り量が大きくなり過ぎることは、導体層に形成すべき導体パターンの面積の制約となるので好ましくない。
【0009】
また、図形パターンの各角部の面取り形状としては、例えば、円弧状のR面取りを採用することができる。この場合の面取り量は、R面取りの円弧部分の曲率半径を意味している。ただし、図形パターンの各角部の面取り形状は、R面取りには限定されず、静電破壊を防止する効果が得られる限り、直線や曲線を含む多様な形状を採用することができる。
【0010】
前記中間製品には、前記製品形成領域を取り囲む枠部を更に設けてもよい。この場合、前記導電性遮光膜は、前記枠部の導体形成部への露光光を遮光するパターンを更に含めることができる。このような導電性遮光膜を有する露光マスクを用いて所定の導体層の導体パターンを形成することにより、導体形成部を取り囲む枠部の導体形成部がダミー導体層として機能するので、中央と外側の導体分布の均一性を高めることができる。なお、露光マスクのマスクパターンのうち、製品形成領域に対応する図形パターンの角部は、枠部に対応するパターンと隣接する近傍でも面取りする必要がある。
【0011】
前記中間製品の製品形成領域に、例えばN個の製品が含まれる場合、前記露光マスクのマスクパターンは、N個の製品のそれぞれに対応する同一の図形パターンをN個配置すればよい。この場合、N個の図形パターンが矩形である場合、全部で4N個の角部を50μm以上の面取り量で面取りすればよい。
【0012】
前記配線積層部のうち、本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いる所定の導体層は、複数の導体層のうちの少なくとも1つの導体層としてもよいが、前記配線積層部に含まれる全ての導体層としてもよい。静電破壊を生じやすい導体パターンを有する導体層については、本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いることが望ましい。この場合、隣接する各々の製品の各導体層に、電源電圧又はグランドと電気的に接続されるベタ状の導体パターンが形成される場合は、広い面積を確保するために隣接する導体パターン同士が近距離で配置されるのが通常であるため、特に本発明の特徴を有する前記露光マスクを用いる効果が大きい。
【0013】
本発明の配線基板の製造工程のうち前記露光マスクに関連する工程として、前記感光性樹脂層形成工程と、前記レジスト形成工程と、前記めっき工程と、前記レジスト除去工程に加えて、他の工程を更に付加してもよい。例えば、前記所定の導体層の下層の前記絶縁層の表面に金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程を前記感光性樹脂層形成工程の前に付加するとともに、前記金属めっき層及び前記金属薄膜層のうち前記金属めっき層が形成されていない部分のそれぞれの表面を所定の厚みでエッチングするエッチング工程を前記レジスト除去工程の後に付加することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、絶縁層と導体層を交互に積層した構造を有する配線基板を製造する際、所定の導体層を形成するときに用いる露光マスクのマスクパターンとして、図形パターンの各角部を所定量だけ面取りする形状を採用したので、露光マスクの図形パターン同士が隣接する場合、鋭角な角部からの放電により生じる静電破壊を防止することができる。これにより、露光マスクの静電破壊によるマスクパターンのパターン欠損を低減させ、簡単な構造で低コストな露光マスクを用いて配線基板の製造歩留まりの向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の配線基板における部分的な概略の断面構造図を示している
【図2】本実施形態の配線基板を多数個取りするための中間製品の模式的な上面図である。
【図3】本実施形態の配線基板に含まれる所定の導体層の導体パターンを形成する際に用いる露光マスクの模式的な平面図である。
【図4】図3の部分領域R1を拡大して示す図である。
【図5】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第1の断面構造図である。
【図6】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第2の断面構造図である。
【図7】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第3の断面構造図である。
【図8】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第4の断面構造図である。
【図9】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第5の断面構造図である。
【図10】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第6の断面構造図である。
【図11】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第7の断面構造図である。
【図12】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第8の断面構造図である。
【図13】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第9の断面構造図である。
【図14】本実施形態において、静電破壊の加速試験に用いた露光マスクのマスクパターンの配置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。以下の実施形態では、本発明の技術的思想を具体化した配線基板とその製造方法について説明する。
【0017】
まず、本実施形態の配線基板の具体的な構造及び特徴について、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の一例である配線基板10における部分的な概略の断面構造図を示している。図2は、図1の配線基板10を多数個取りするための中間製品60の模式的な上面図を示している。図3は、配線基板10に含まれる所定の導体層の導体パターンを形成する際に用いる露光マスク70の模式的な平面図を示すともに、図4は、図3の部分領域R1を拡大して示す図である。
【0018】
図1に示す配線基板10は、全体を支持する平板状のコア基板11を配置するとともに、コア基板11の両面側には、それぞれ絶縁層及び導体層を交互に積層形成した配線積層部が配置されている。本実施形態の配線基板10は、例えば、半導体チップ等の部品を載置して外部の基材に接続するためのパッケージとして用いられる。コア基板11は、例えばガラス繊維を含んだエポキシ樹脂によって形成される。また、図1の構造のコア基板11としては、例えば、両面銅張り積層板を用いることができる。
【0019】
コア基板11の上面側には、導体層40、絶縁層30、導体層42、絶縁層32、導体層44、絶縁層34、複数の端子パッド46、ソルダーレジスト層36がこの順に積層形成されている。また、コア基板11の下面側には、導体層41、絶縁層31、導体層43、絶縁層33、導体層45、絶縁層35、複数の端子パッド47、ソルダーレジスト層37がこの順に積層形成されている。さらに、コア基板11と、その上下の導体層40、41及び絶縁層30、31には所定箇所を積層方向に貫通するスルーホール導体20が形成されている。スルーホール導体20の内部は、例えばガラスエポキシ等からなる閉塞体21で埋められている。なお、図1では、1個のスルーホール導体20を示しているが、コア基板11の各部に複数のスルーホール導体20を形成してもよい。
【0020】
導体層40〜45には、電源やグランド電位を供給するための導体パターンや信号を伝送する信号配線用の導体パターンが形成されている。導体層40〜45のうち、所定の導体層の導体パターンは、配線基板10の製造工程において後述の露光マスク70(図3)を用いて形成される。本実施形態の配線基板10の特徴は、露光マスク70を構成する図形パターンの形状と、対応する導体層の導体パターンの形状にあるが、具体的な構造と作用については後述する。なお、図1の例では、コア基板11の両側の導体層42、43は、スルーホール導体20の上端及び下端と接続されている。
【0021】
絶縁層30〜35及びソルダーレジスト層36、37は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料によって形成されている。絶縁層30の所定箇所には、導体層40と導体層42とを積層方向に接続導通するビア導体50が設けられ、絶縁層32の所定箇所には、導体層42と導体層44とを積層方向に接続導通するビア導体52が設けられ、絶縁層34の所定箇所には、導体層44と端子パッド46とを積層方向に接続導通するビア導体54が設けられている。同様に、他方の絶縁層31、33、35には、上記ビア導体50、52、54に対応するビア導体51、53、55がそれぞれ設けられている。なお、図1では、ビア導体50〜55を各1個ずつ示しているが、それぞれの個数は特に制約されず、ビア導体50〜55の各々を複数設けてもよい。また、絶縁層34の表面には複数の端子パッド46が形成され、ソルダーレジスト層36の対応個所が開口されて複数の端子パッド46が露出している。一方、絶縁層35の表面には、比較的サイズが大きい複数の端子パッド47が形成され、ソルダーレジスト層37の対応個所が開口されて複数の端子パッド47が露出している。
【0022】
図1において、例えば、配線基板10を介して半導体チップを外部基材に接続する場合は、上方の複数の端子パッド46を半導体チップの複数のパッドに接合し、下方の複数の端子パッド47を、例えば複数の半田ボールを介して外部基材に接合すればよい。この場合、図1の断面構造では、複数の端子パッド46、ビア導体54、導体層44、ビア導体52、導体層42、スルーホール導体20、導体層43、ビア導体53、導体層45、ビア導体55、複数の端子パッド47を経由して、半導体チップと外部基材との間の電気的接続が可能となる。
【0023】
次に、本実施形態の中間製品60は、図2に示すように、矩形の平面形状に形成されている。中間製品60は、中央の矩形の製品形成領域61と、この製品形成領域61を取り囲む枠部62とに区画されている。また、製品形成領域61は、それぞれ製品(配線基板10)となるべき複数の単位領域61aにさらに区画されている。図2は上面図であるため、各々の単位領域61aに複数の端子パッド46が配置された状態が示されている。各々の単位領域61aのサイズは多様であるが、例えば、1辺が45〜60mmの範囲内の矩形に形成される。配線基板10の製造工程では、例えば、隣接する単位領域61a同士を、その間の境界Lに沿って切断することにより複数の配線基板10を分離することができる。図2の例では、製品形成領域61における16個(4×4個)の単位領域61aに各1個ずつ全部で16個の配線基板10を得ることができる。なお、図2の構成は一例であって、中間製品60に含まれる単位領域61aの個数は特に制約されない。一方、枠部62には製品形成領域61と枠部62の導体密度を揃えるべく、導体層40〜45をそれぞれ取り囲む領域にベタ状の導体パターンが形成される。
【0024】
一方、本実施形態の配線基板10の製造工程で用いる露光マスク70は、図3に示すように、中間製品60と同様の矩形の平面形状を有し、透明なガラス基板71と、このガラス基板71の一面に描画された複数の図形パターンからなる導電性遮光膜であるマスクパターン72とが形成されている。マスクパターン72は、クロム等の金属から形成され、中間製品60の各単位領域61aの所定の導体層に対応する複数の製品導体パターンPaと、中間製品60の枠部62に対応する枠部導体パターンPbとに区分される。
【0025】
図3において、各々の製品導体パターンPaは、実際には複数のビア導体50〜55やその周囲のスペース部分を含む構造を有するが、図3では簡単のため各々の製品導体パターンPaがベタ状の導体パターンである場合を示している。これにより、製品導体パターンPaに対応する図2の単位領域61aの所定の導体層には、例えば、電源電圧やグランド電位に接続されるベタ状の導体パターンを形成することができる。なお、かかる単位領域61aの所定の導体層には、部分的に信号配線が形成されていてもよいが、露光マスク70の各製品導体パターンPaを構成する図形パターンの面積が広く、かつ外周側が広がっている方が本発明で得られる効果が大きくなる。
【0026】
ここで、図4には、図3の部分領域R1として、隣接する1対の製品導体パターンPaと、これらの製品導体パターンPaの近傍の枠部導体パターンPbをそれぞれ示している。隣接する製品導体パターンPa同士は間隔G1を置いて配置され、それぞれの製品導体パターンPaと枠部導体パターンPbは間隔G2を置いて配置されている。本実施形態では、図4に示すように、各々の製品導体パターンPaにおいて、矩形の図形パターンの各角部に面取り部Raが形成されている点が特徴的である。これは、製造工程においてマスクパターン72を取り扱う際、金属の図形パターンが隣接する箇所に鋭角な角部が存在すると、図形パターンの角部からの放電により静電破壊が生じるため、鋭角の角部を面取りすることによって静電破壊を防止するものである。
【0027】
製品導体パターンPaの面取り部Raは、例えば円弧状にR面取りされた形状を有し、その曲率半径(面取り量)を50μm以上に設定することが好ましい。面取り部Raの曲率半径が小さすぎる場合は上述の静電破壊を防止する効果が不十分となる。ただし、面取り部Raの曲率半径が極端に大きすぎる場合は、製品導体パターンPaの角部付近の面積が削られ、所定の導体層に導体パターンを形成する際に制約となる。なお、図4に示す面取り部Raの形状は一例であって、R面取りの形状には限られず、鋭角の角部が存在しない形状であれば、多様な曲線や直線を組み合わせた所望の面取り形状を適用することができる。
【0028】
上記構造を有する露光マスク70は、図1の配線基板10のうちの全ての導体層40〜45に対して適用してもよいが、導体層40〜45のうちの所望の導体層のみに適用してもよい。すなわち、導体層40〜45のうち、ベタ状の導体パターンが高密度に配置される導体層に対しては上記構造の露光マスク70を用いることが望ましいが、特に外周部の付近で導体パターンが低密度であって静電破壊の可能性が小さい導体層に対して上記構造の露光マスク70を用いなくてもよい。このように、本発明は、少なくとも1層の所定の導体層に対して上記構造の露光マスク70を用いて配線基板10を製造する場合であっても適用可能である。
【0029】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について、図5〜図13を参照して説明する。なお、以下に説明する製造方法では、図1の配線基板10のうち、所定の導体層としての2層の導体層44、45に対し、図3の露光マスク70を用いて導体パターンを形成する場合を前提にする。
【0030】
まず、図5に示すように、平板状のコア基板11を用意する。このコア基板11は、配線基板10を支持し得る高い剛性を有する樹脂からなり、その両面に銅箔11a、11bが貼着されている。上述したように、中間製品60においては、複数の配線基板10を多数個取りするため、例えば一辺が300mm程度の正方形の平面形状のコア基板11が用いられる。なお、図5〜図13では、理解の容易のため、中間製品60の全体構造は示さず、1個の配線基板10の部分的な断面構造(図1と同様の範囲)を図示している。
【0031】
次に図6に示すように、コア基板11の上下の各銅箔11a、11bに対し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて導体層40、41をそれぞれパターニングする。続いて、導体層40、41のそれぞれの表面に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層30、31を形成する。
【0032】
次に図7に示すように、ドリル機を用いた孔あけ加工により、スルーホール導体20の形成位置に、コア基板11及び絶縁層30、31を貫く円筒形状の貫通孔を形成した後、この貫通孔に対して無電解銅めっき及び電解銅めっきを施すことによりスルーホール導体20を形成する。そして、スルーホール導体20の空洞部にエポキシ樹脂を主成分とするペーストを印刷した後、硬化することにより閉塞体21を形成する。また、絶縁層30、31の所定位置にレーザー加工を施してビアホールを開口し、デスミア処理を施した後にビアホール内にビア導体50、51を形成する。一方、絶縁層30、31のそれぞれの表面に電解銅めっきを施すことにより銅めっき層を形成し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて導体層42、43をそれぞれパターニングする。
【0033】
次に図8に示すように、導体層42、43のそれぞれの表面に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層32、33を形成する。そして、絶縁層32、33の所定位置にレーザー加工を施して、それぞれビア導体52、53となるべきビアホール52a、53aを開口する。
【0034】
次に図9に示すように、絶縁層32、33のそれぞれの表面に無電解銅めっきを施して銅薄膜層(不図示)を形成した後(金属薄膜層形成工程)、ドライフィルム80、81を被覆する(感光性樹脂層形成工程)。このドライフィルム80、81は、例えば、エポキシ樹脂などからなる感光性樹脂層である。この状態で、図10に示すように、ドライフィルム80、81に対して図3の構造を有する露光マスク70a、70bをそれぞれ配置し、例えば、紫外線等の露光光を所定時間だけ照射する。このとき、露光マスク70a、70bは、ガラス基板71(図3)のうち導体パターンを形成すべき位置に導電性遮光膜であるマスクパターン72が形成されている。露光により、ドライフィルム80、81のうち、露光マスク70a、70bのマスクパターン72が存在しない領域が光硬化するので、この状態で現像を行う。
【0035】
現像の結果、図11に示すように、ドライフィルム80、81のうち、マスクパターン72の直下の部分が除去され、めっきレジスト82、83が形成される(めっきレジスト形成工程)。次いで、図12に示すように、めっきレジスト82、83が存在しない領域に電解銅めっきを施すことにより、めっきレジスト82、83の開口部分に、それぞれマスクパターン72に対応する銅めっき層84、85が形成される(めっき工程)。このとき、銅めっき層84、85のうち、ビアホール52a、53a(図10)の内部領域がビア導体52、53となる。
【0036】
次に図13に示すように、剥離液などを用いてめっきレジスト82、83を除去する(レジスト除去工程)。これにより、露光マスク70a、70bのマスクパターン72に対応する導体パターンを有する導体層44、45が形成される。なお、導体層44、45のうち、銅めっき層84、85のそれぞれの表面と、銅めっき層84、85が存在しない部分の銅薄膜層とを、いずれも所定の厚みでエッチングする必要がある(エッチング工程)。このとき、銅めっき層84、85のそれぞれの表面が粗化されるとともに、銅薄膜層は除去されて下層の絶縁層32、33が部分的に露出する。
【0037】
次に図1に戻って、導体層44、45のそれぞれの上層に、エポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層した後に硬化させることで、絶縁層34、35を形成する。そして、絶縁層34、35に、上述のビア導体50、51と同様の手法で、ビア導体54、55を形成する。続いて、絶縁層34、35のそれぞれの表面に電解銅めっきを施すことにより銅めっき層を形成し、例えば公知のサブトラクティブ法を用いて、上部の複数の端子パッド46と下部の複数の端子パッド47をそれぞれパターニングする。続いて、絶縁層34の上面と絶縁層35の下面に、それぞれ感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト層36、37を形成する。その後、上部のソルダーレジスト層36に開口部をパターニングするとともに、下部のソルダーレジスト層37に開口部をパターニングする。以上の手順により、図1に示す配線基板10が完成する。
【0038】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法に基づいて得られる効果に関する具体的な評価結果について説明する。ここでは、中間製品60に対応する露光マスク70を用いて、図形パターンの各角部に図4の面取り部Raを形成した状態で静電破壊の加速試験を行った。静電破壊の加速試験は、マスク清掃用のシリコンローラーの除電機能を解除した状態で、露光マスク70をシリコンローラーによって所定回数だけ清掃した後、露光マスク70のパターン欠損を確認することにより実行した。この場合、露光マスク70に曲率半径Rが異なる複数種類の製品導体パターンPaを配置することで、静電破壊の影響と図形パターンの曲率半径Rとの関係を評価した。
【0039】
図14は、静電破壊の加速試験に用いた露光マスク70のマスクパターン72の配置を模式的に示している。図14において、それぞれ矩形の図形パターンが製品導体パターンPaに対応し、全部で5×9個(45個)の製品導体パターンPaが配置されている。各々の製品導体パターンPaに付記される数値は面取り部Raの曲率半径Rを示している。この場合、45個の製品導体パターンPaに対応して45×4個(180個)の面取り部Raが存在する。なお、各々の製品導体パターンPaの4つの面取り部Raは、いずれも同一の曲率半径Rで面取りされている。曲率半径Rとしては、R=10μm、25μm、50μm、75μm、100μmの5通りを比較した。いずれの曲率半径Rに対しても、図14において面取り部Raが36箇所存在し、均等に評価するために存在位置が偏らない配置になっている。図14に示す配置の露光マスク70に対し、上記の手法でシリコンローラーにより進行方向Aに沿って10回清掃を行った結果、静電破壊によってパターン欠損が発生した角部に対し記号×を付加して示している。
【0040】
上記のような静電破壊の加速試験を行った結果、R=50μm、75μm、100μmの3通りに関し、それぞれの36箇所の面取り部Raの全てについてパターン欠損は確認されなかった。これに対し、R=10μmに関しては、36箇所の面取り部Raのうち2箇所でパターン欠損が確認された。また、R=25μmに関しては、36箇所の面取り部Raのうち1箇所でパターン欠損が確認された。このように、上記静電破壊の加速試験の評価結果によれば、マスクパターン72中のそれぞれの面取り部Raの曲率半径Rを少なくともR=50μm以上に設定することが求められる。
【0041】
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で多様な変更を施すことができる。例えば、本実施形態では、図3の露光マスク70を用いて導体パターンを形成する所定の導体層が、図1の配線基板10の導体層44、45である場合を説明したが、これに限られることなく、所定の導体層が全ての導体層であってもよく、あるいは1層の導体層のみであってもよい。また、本実施形態では、コア基板11の両側に配線積層部が形成される構造の配線基板10について説明したが、コア基板11の片側にのみ配線積層部が形成される構造や、コア基板11を設けない構造を採用してもよい。また、本実施形態では、露光マスク70の各図形パターンが矩形である場合を説明したが、矩形以外であっても角部を面取り可能な形状であればよい。この場合、図形パターンの面取り部Raは、R面取りには限られず、多様な曲線や直線を組み合わせた面取り形状にすることができる。さらに、配線基板10の構造や、製造方法の具体的な工程に関し、上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り適宜に変形して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…配線基板
11…コア基板
20…スルーホール導体
21…閉塞体
30、31、32、33、34、35…絶縁層
36、37…ソルダーレジスト層
40、41、42、43、44、45…導体層
46、47…端子パッド
50、51、52、53、54、55…ビア導体
60…中間製品
61…製品形成領域
61a…単位領域
62…枠部
70…露光マスク
71…ガラス基板
72…マスクパターン
Pa…製品導体パターン
Pb…枠部導体パターン
Ra…面取り部
80、81…ドライフィルム
82、83…めっきレジスト
84、85…銅めっき層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と導体層とを交互に積層した配線積層部を備え、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品を用いて形成される配線基板の製造方法であって、
前記配線積層部に形成すべき所定の導体層の下層の絶縁層の上部に感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記所定の導体層における導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを、前記感光性樹脂層の表面に配置した状態で、前記感光性樹脂層を露光、現像し、前記マスクパターンに対応する開口部を有するめっきレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記めっきレジストの前記開口部に金属めっきを施して、前記マスクパターンに対応する導体パターンを有する金属めっき層を形成するめっき工程と、
前記めっきレジストを除去するレジスト除去工程と、
を含み、
前記マスクパターンは、前記導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされていることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記中間製品は、前記製品形成領域を取り囲む枠部を更に有し、
前記導電性遮光膜は、前記枠部の導体形成部への露光光を遮光するパターンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性遮光膜は、前記製品形成領域のN個の製品のそれぞれに対応するN個の前記図形パターンを含むことを特徴とする請求項2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性遮光膜を構成する前記複数の図形パターンの各角部は円弧状の面取り形状を有し、当該面取り形状の曲率半径が50μm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記感光性樹脂層形成工程の前に、前記所定の導体層の下層の前記絶縁層の表面に、金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程と、
前記レジスト除去工程の後に、前記金属めっき層及び前記金属薄膜層のうち前記金属めっき層が形成されていない部分のそれぞれの表面を所定の厚みでエッチングするエッチング工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記所定の導体層には、電源電圧又はグランド電位と電気的に接続されるベタ状の前記導体パターンが形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記所定の導体層は、前記配線積層部に含まれる全ての導体層であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
絶縁層と導体層とを交互に積層した配線積層部を備え、複数の製品を形成すべき製品形成領域を有する中間製品を用いて形成される配線基板の製造方法であって、
前記配線積層部に形成すべき所定の導体層の下層の絶縁層の上部に感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記所定の導体層における導体形成部への露光光を遮光する導電性遮光膜が形成されたマスクパターンを有する露光マスクを、前記感光性樹脂層の表面に配置した状態で、前記感光性樹脂層を露光、現像し、前記マスクパターンに対応する開口部を有するめっきレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記めっきレジストの前記開口部に金属めっきを施して、前記マスクパターンに対応する導体パターンを有する金属めっき層を形成するめっき工程と、
前記めっきレジストを除去するレジスト除去工程と、
を含み、
前記マスクパターンは、前記導電性遮光膜を構成する複数の図形パターンの各角部が50μm以上の面取り量で面取りされていることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記中間製品は、前記製品形成領域を取り囲む枠部を更に有し、
前記導電性遮光膜は、前記枠部の導体形成部への露光光を遮光するパターンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記導電性遮光膜は、前記製品形成領域のN個の製品のそれぞれに対応するN個の前記図形パターンを含むことを特徴とする請求項2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性遮光膜を構成する前記複数の図形パターンの各角部は円弧状の面取り形状を有し、当該面取り形状の曲率半径が50μm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記感光性樹脂層形成工程の前に、前記所定の導体層の下層の前記絶縁層の表面に、金属薄膜層を形成する金属薄膜層形成工程と、
前記レジスト除去工程の後に、前記金属めっき層及び前記金属薄膜層のうち前記金属めっき層が形成されていない部分のそれぞれの表面を所定の厚みでエッチングするエッチング工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記所定の導体層には、電源電圧又はグランド電位と電気的に接続されるベタ状の前記導体パターンが形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記所定の導体層は、前記配線積層部に含まれる全ての導体層であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−169457(P2012−169457A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29194(P2011−29194)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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