配線基板
【課題】 サビ等の導電性腐食成分により、パッド間でのパターンショートを容易に防ぐことができる配線基板を提供する。
【解決手段】 誘電体層2上に設けられる複数の導電性パッド3aと、それら導電性パッド3aを露出させる形で誘電体層2を覆うソルダーレジスト層SRと、導電性パッド3aの互いに隣接する者同士の間に介在する領域において、導電性パッド3aから流出する導電性腐食成分Rにより両導電性パッド3aが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部P1と、を備えることと特徴とする。
【解決手段】 誘電体層2上に設けられる複数の導電性パッド3aと、それら導電性パッド3aを露出させる形で誘電体層2を覆うソルダーレジスト層SRと、導電性パッド3aの互いに隣接する者同士の間に介在する領域において、導電性パッド3aから流出する導電性腐食成分Rにより両導電性パッド3aが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部P1と、を備えることと特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板は、ハンダレベラタイプのものが多く、通常ソルダーレジスト皮膜後に露出するパッド面には、Pbを含有するハンダコートが施され、錆等の発生を防止していた。しかしながら近年では、環境保護の観点から、環境汚染物質であるPbを極力使用しないようにするPbフリー化の取り組みがなされるようになってきている。例えば、製造工程において、ソルダーレジスト皮膜後に露出するパッド面(例えばCu)に対し、ハンダコートを施さず、酸化抑制のためにフラックスを塗布するプリフラックスプリント基板を採用する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このプリフラックスプリント基板を採用する場合、パッド面に塗布されたフラックスが熱処理や長時間の放置によって酸化や分解することがある。この場合、フラックス皮膜下のパッド面が外部に露出して導電性を有する錆等の腐食生成物が発生し、その腐食生成物が隣接するパッド面に接触する、あるいは隣接するパッド面から同様に生ずる腐食生成物同士が連結して、双方のパッド面が互いに導通してしまう可能性があった(図26及び図27参照、腐食性生物R、パッド面3a,3b)。これらを回避するために、例えば、錆の発生の原因となる湿度の入り込みを防ぐためにこれらを筐体で覆って密閉する等の対策が必要とされるが、筐体等の使用や工程数の増加により、配線基板の製造に際して従来よりも多くの手間とコストがかかっていた。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、錆等の導電性腐食成分により、パッド間でのパターンショートを容易に防ぐことができる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板は、誘電体層上に設けられる複数の導電性パッドと、それら導電性パッドを露出させる形で誘電体層を覆うソルダーレジスト層と、導電性パッドの互いに隣接するもの同士の間に介在する領域において、導電性パッドから流出する導電性腐食成分により、両導電性パッドが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、複数ある導電性パッドのうち、隣接する導電性パッドの一方から他方にむけて導電性腐食成分(パッドがCuからなる場合は緑青等の錆)が流出する際に、その導電性腐食成分が、腐食成分連結阻止部の形成によってその進行を妨げられるから、隣接する導電性パッドの双方がこの導電性腐食成分を介して導通することを、筐体等を使用することなく容易に防ぐことができる。
【0007】
また、導電性パッドは、最表面を含む部分がCuを主成分とする金属とすることができる。なお、Cuを主成分とする金属とは、Cu含有量を90質量%以上とする金属のことを言う。導電性パッドがCuにて形成される場合、
Cuが露出すると緑青が生じる。緑青は、水分とCO2存在下で生じるものであり、水溶性を有し、導電性も高い。上記構成によれば、腐食成分連結阻止部によって導電性の高い緑青の流出を阻止することができるため、隣接する導電性パッドの双方が緑青を介して導通することを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の配線基板には、厚さ方向に貫通するスルーホールが形成され、その内周面がCuメッキされるとともに、該スルーホールの端部外周縁に、導電性パッドが一体化されていてもよい。スルーホールには、その内周面にCuメッキがなされてスルーホール導体が形成されるが、その内部は一般的には絶縁性樹脂が充填されるから、スルーホールの端部には、導電性パッドをなすスルーホール導体の端部(導電性パッド)と絶縁性樹脂の端部とが露出して表れる。従来、これら端部にはPbを含有するハンダコートがなされ、スルーホール導体端部が外部に露出することはなかった。ところが、Pbを含有するハンダコートを使用しないでフラックス皮膜で代用した場合には、ハンダコードほどの信頼性が得られず、酸化や分解、機械的衝撃等によりその一部が脱落し、スルーホール導体端部のCuが露出し、隣接するスルーホール導体間で短絡する問題が生じ易かった。しかし、本発明の適用により、この問題を効果的に回避することができる。
【0009】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層上に形成された突出部とすることができる。複数ある導電性パッドのうち、隣接する双方の導電性パッド間に突出部が設けられることで、平坦なソルダーレジスト表面には突出部による段差が形成されることとなる。この段差部分により、導電性腐食成分の流出が阻止されるから、この導電性腐食成分による導電性パッド間の導通を防ぐことができる。また、導電性腐食成分の流出量が多く、この突出部を超えてくる場合も、突出部の立体構造によって、導電性パッド間の界面距離が延びているから、導電性腐食成分同士の連結が生じにくい。また、導電性腐食成分が該突出部を迂回して流出することも考えられるが、迂回する経路の距離も長いため、突出部の逆側にまで到達して導電性腐食成分同士が連結することは困難である。また、状況に応じて突出部を広く形成することで、導電性腐食成分が迂回し難い様にすることも可能である。
【0010】
また、この突出部は、絶縁性樹脂の印刷形成膜として形成することができる。導電性パッドは、配線基板上に微細でかつ多数形成され、また品番によってその配列も異なるため、例えば露光・現像を行なうスクリーン印刷を採用することによって安価で精度良く形成することができるとともに、品番の違いにも容易に対応できる。
【0011】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層に設けられた溝部とすることができる。複数ある導電性パッドのうち、隣接する導電性パッドの一方と他方との間に溝部が設けられることで、平坦なソルダーレジスト表面には溝部による段差が形成されることとなる。これにより、溝部の立体構造によって、導電性パッド間の界面距離が延び、導電性腐食成分同士が接触しにくくなる。また、隣接する導電性パッド間に、この溝部を複数設けることで、該溝部は導電性腐食成分のストック領域することができ、これにより、隣接する導電性パッド間における導電性腐食成分の連結を阻止することが可能となる。また、この溝部の形成は、ソルダーレジスト皮膜時のマスクパターンに、ソルダーレジスト塗布後に露出する他のパッド面と同様にして溝部を形成すべき位置をマスクしておくだけで、容易に形成することができる。
【0012】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層を含めて、前記配線基板を厚さ方向に貫通する孔部とすることができる。この構成によれば、孔部は配線基板を貫通して形成されるので、導電性腐食成分の流出経路が孔部で途切れる構造となる。従って、隣接する導電性パッドから流出する導電性腐食成分は、孔部の内壁面に沿って裏側へと流出するだけで、互いに連結することはない。
【0013】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層表面に露出させた撥水性樹脂層とすることができる。撥水性樹脂層上は、ぬれ角が大きく、導電性腐食成分の流出媒体となる水分をはじくため、撥水性樹脂層上に流出する導電性腐食成分は撥水性樹脂層手前でせき止められる。従って、隣接する導電性パッド間にこの撥水性樹脂層を設けることにより、それらから流出する導電性腐食成分の連結を阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図5を参照しつつ本発明の配線基板の第一実施例を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る配線基板1の断面構造を模式的に示すものである。該配線基板の基板中央には、耐熱性樹脂板(例えばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成され、全体が誘電体層をなす板状コア2が形成されている。板状コア2の両表面には、所定のパターンのCu配線部(例えば配線部4)が形成され、導体層をなしている。また、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール2aが形成され、その内壁面には板状コア2の両表面の導体層を互いに導通させるスルーホール導体30が、Cuを主成分とする金属(Cu含有量を90質量%以上とする金属のことをいう)で形成されている。また、スルーホール2aは、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。なお、スルーホール導体30を形成する金属は、例えば、CuにSn,Ag,Ni等を含有させ、耐食性を向上させたものを用いてもよいし、導電性の確保のために純Cuを用いてもよい。
【0015】
この配線基板1では、スルーホール導体の端部3aが、集積回路チップ等の実装素子をフリップチップ接続するためのパッドをなす半田ランド(導電性パッド)を構成する。また、スルーホール導体の端部3bが、配線基板自体をマザーボード等にピングリッドアレイ(PGA)あるいはボールグリッドアレイ(BGA)により接続するための裏面ランド(導電性パッド)を構成する。
【0016】
また、これらのスルーホール導体端部(ランド)3a,3bを外部に露出する形で、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層SRが形成され、各端部に一対一に対応する形で開口部が形成されている。ソルダーレジスト層SRは、スルーホール導体の端部3a,3bの外周縁を覆う形で形成され、内部にこのスルーホール導体3につながる配線部4が配設されている。
【0017】
さらにソルダーレジスト層SRの開口部から露出する各ランド面(パッド面)には、フラックスFが塗布されている。フラックスFは、各ランド面の酸化を抑制するものであるが、熱が加えられたり、長時間放置されることによって、環境次第では酸化・分解されてしまう可能性がある。この場合、露出する各ランド面は、湿気等により錆等の導電性の腐食成分が発生することがある。本実施例では、スルーホール導体がCuからなるため緑青等が発生する。こうした導電性腐食成分は、図4及び図5に示すように、ソルダーレジスト層SRの表面上を伝って流出する(導電性腐食成分R)が、突出部P1が形成されることでその流出をせき止めることが可能となっている。
【0018】
本実施例では、図2に示すように、隣接して設けられたランド間の中間位置において、ソルダーレジスト層SR上に突出部P1が形成される。突出部P1は、スクリーン印刷によって形成されるものであり、突出部P1の形成領域以外をレジストによりマスクした上で、突出部P1形成領域に所定のインクが塗布されるよう転写する。転写後にレジストを除去することで、残存するインク部分が突出部P1として表れる。本実施例における突出部P1は、図3に示すように、露出する微細なランドの配列のうち、隣接するランド間の僅かな領域に形成されるものであるが、上記のスクリーン印刷を利用することで、その隙間に突出部P1を精度良く形成することが可能となっている。この突出部P1は、本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。なお、突出部P1を形成するインクには、後のリフローやキュア等の熱処理工程を考慮すれば、例えば、エポキシ樹脂塗料を用いることができる。
【0019】
これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結して、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に直接連結して、双方のランドが導通することを、この突出部P1によって防ぐことができる。また、さらに導電性腐食成分Rが流出してきた場合には、導電性腐食成分Rはこの突出部P1を迂回して流出しようとする可能性もあるが、図2の突出部P1の縦方向の長さをさらに延長しておくことで、迂回によって逆側に回り込むことを防ぐことができる。
【0020】
次に、図6〜図9を参照しつつ、本発明の第二実施例について説明する。なお、上記第一実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第二実施例の配線基板1aは、第一実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図6、図7に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に溝部P2が形成されている。この溝部P2は、ソルダーレジスト層SR形成時のマスクに、該溝部を形成するパターンを設けておくことで容易に形成することができる。
【0021】
図8及び図9に示すように溝部P2が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、溝部P2が形成されることでランド間の界面距離が溝部P2の立体形状によって長くなる。これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。この溝部P2も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0022】
図10〜図13を参照しつつ、本発明の第三実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第三実施例の配線基板1bは、上記実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図10、図11に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に孔部P3が形成されている。この孔部P3は、スルーホール2aの形成時に、該孔部P3を形成すべきコア基板の所定の位置にドリル等で貫通孔を形成しておき、さらに、ソルダーレジスト層SR形成時のマスクに、コア基板の貫通孔に対応する位置に該孔部を形成するパターンを設けて形成することができる。
【0023】
図12及び図13に示すように孔部P3が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、孔部P3が形成されることでランド間の界面距離が溝部P3の立体形状によって長くなる。これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。また、孔部P3が基板1bの厚さ方向に貫通していることで、孔部P3の内部で導電性腐食成分Rが連結する可能性も低い。この孔部P3も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0024】
図14〜図17を参照しつつ、本発明の第四実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第四実施例の配線基板1cは、上記実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図14、図15に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に水分をはじく撥水性樹脂層P4が形成されている。この撥水性樹脂層P4は、ソルダーレジスト層SR形成時に、該ソルダーレジスト層SRに撥水性樹脂層形成用溝部を形成しておき、その後、その溝部に撥水性樹脂シートをラミネートして形成する。なお、撥水性樹脂層形成用溝部を形成せず、ソルダーレジスト層SR上にそのまま撥水性樹脂シートをラミネートしてもよいし、撥水性樹脂塗料を塗布する形で形成することもできる。なお、撥水性樹脂層P4に適用できる材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4‐フルオロエチレン‐6‐フルオロプロピレン共重合体(FEP)、4‐フルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4‐フルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロエチレン‐炭化水素系ビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)などを主体とするフッ素系樹脂やゴム等を使用することができる。
【0025】
図16及び図17に示すように撥水性樹脂層P4が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、撥水性樹脂層P4によってはじかれて撥水性樹脂層P4上に流出することができないため、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。また、さらに導電性腐食成分Rが流出してきた場合には、導電性腐食成分Rはこの撥水性樹脂層P4を迂回して流出しようとするため、図15の撥水性樹脂層P4の縦方向の長さをさらに延長しておけばよい。この撥水性樹脂層P4も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0026】
図18〜図21を参照しつつ、本発明の第五実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第五実施例の配線基板1dは、上記実施例とソルダーレジスト層SR及び腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図18、図19に示すように、ソルダーレジスト層SRがスルーホールのランド面の一部を覆わない形状をなし、ソルダーレジスト層SRとスルーホール導体3a、3bとの間に溝部P5が形成されている。これは、ソルダーレジスト形成時に、溝部P5(腐食成分連結阻止部)が形成されるマスクを用いることで容易に形成できる。
【0027】
図20及び図21に示すように溝部P5が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、溝部P5を充填してからでなければソルダーレジスト層SR上に流出することはできないので、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。
【0028】
また、さらに導電性腐食成分Rが流出することを想定して、図22、図23、図24、図25に示すように、ソルダーレジスト層SRに対し、上記実施例のような突出部P1。溝部P2、撥水性樹脂層P4を設けることもできる。また、孔部P3(図示なし)を設けることもできる。撥水性樹脂層P4については、溝部P2の底面に設けたり(図24)、溝部P2の底面及び側壁面に設ける(図25)こともできる。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、多層配線基板の最表層のソルダーレジスト層に対して上記した腐食成分連結阻止部(P1〜P5)を設けることも可能であるし、また、これらの腐食成分連結阻止部(P1〜P5)を複数組み合わせて形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の配線基板の第一実施例の断面構造を示す模式図。
【図2】第一実施例の配線基板の第一の平面拡大図。
【図3】第一実施例の配線基板の第二の平面拡大図。
【図4】第一実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図5】第一実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図6】本発明の配線基板の第二実施例の断面構造を示す模式図。
【図7】第二実施例の配線基板の平面拡大図。
【図8】第二実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図9】第二実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図10】本発明の配線基板の第三実施例の断面構造を示す模式図。
【図11】第三実施例の配線基板の平面拡大図。
【図12】第三実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図13】第三実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図14】本発明の配線基板の第四実施例の断面構造を示す模式図。
【図15】第四実施例の配線基板の平面拡大図。
【図16】第四実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図17】第四実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図18】本発明の配線基板の第五実施例の断面構造を示す模式図。
【図19】第五実施例の配線基板の平面拡大図。
【図20】第五実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図21】第五実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図22】本発明の配線基板の第五実施例の第一の変形例の断面構造を示す模式図。
【図23】本発明の配線基板の第五実施例の第二の変形例の断面構造を示す模式図。
【図24】本発明の配線基板の第五実施例の第三の変形例の断面構造を示す模式図。
【図25】本発明の配線基板の第五実施例の第四の変形例の断面構造を示す模式図。
【図26】従来の配線基板の断面構造を示す模式図。
【図27】図26の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0031】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h 配線基板
2 コア基板
2a スルーホール
3 スルーホール導体
3a,3b スルーホール導体端部(導電性パッド)
SR ソルダーレジスト
R 導電性腐食成分
P1 突出部(腐食成分連結阻止部)
P2 溝部(腐食成分連結阻止部)
P3 孔部(腐食成分連結阻止部)
P4 撥水性樹脂層(腐食成分連結阻止部)
P5 溝部(腐食成分連結阻止部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板は、ハンダレベラタイプのものが多く、通常ソルダーレジスト皮膜後に露出するパッド面には、Pbを含有するハンダコートが施され、錆等の発生を防止していた。しかしながら近年では、環境保護の観点から、環境汚染物質であるPbを極力使用しないようにするPbフリー化の取り組みがなされるようになってきている。例えば、製造工程において、ソルダーレジスト皮膜後に露出するパッド面(例えばCu)に対し、ハンダコートを施さず、酸化抑制のためにフラックスを塗布するプリフラックスプリント基板を採用する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このプリフラックスプリント基板を採用する場合、パッド面に塗布されたフラックスが熱処理や長時間の放置によって酸化や分解することがある。この場合、フラックス皮膜下のパッド面が外部に露出して導電性を有する錆等の腐食生成物が発生し、その腐食生成物が隣接するパッド面に接触する、あるいは隣接するパッド面から同様に生ずる腐食生成物同士が連結して、双方のパッド面が互いに導通してしまう可能性があった(図26及び図27参照、腐食性生物R、パッド面3a,3b)。これらを回避するために、例えば、錆の発生の原因となる湿度の入り込みを防ぐためにこれらを筐体で覆って密閉する等の対策が必要とされるが、筐体等の使用や工程数の増加により、配線基板の製造に際して従来よりも多くの手間とコストがかかっていた。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、錆等の導電性腐食成分により、パッド間でのパターンショートを容易に防ぐことができる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板は、誘電体層上に設けられる複数の導電性パッドと、それら導電性パッドを露出させる形で誘電体層を覆うソルダーレジスト層と、導電性パッドの互いに隣接するもの同士の間に介在する領域において、導電性パッドから流出する導電性腐食成分により、両導電性パッドが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、複数ある導電性パッドのうち、隣接する導電性パッドの一方から他方にむけて導電性腐食成分(パッドがCuからなる場合は緑青等の錆)が流出する際に、その導電性腐食成分が、腐食成分連結阻止部の形成によってその進行を妨げられるから、隣接する導電性パッドの双方がこの導電性腐食成分を介して導通することを、筐体等を使用することなく容易に防ぐことができる。
【0007】
また、導電性パッドは、最表面を含む部分がCuを主成分とする金属とすることができる。なお、Cuを主成分とする金属とは、Cu含有量を90質量%以上とする金属のことを言う。導電性パッドがCuにて形成される場合、
Cuが露出すると緑青が生じる。緑青は、水分とCO2存在下で生じるものであり、水溶性を有し、導電性も高い。上記構成によれば、腐食成分連結阻止部によって導電性の高い緑青の流出を阻止することができるため、隣接する導電性パッドの双方が緑青を介して導通することを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の配線基板には、厚さ方向に貫通するスルーホールが形成され、その内周面がCuメッキされるとともに、該スルーホールの端部外周縁に、導電性パッドが一体化されていてもよい。スルーホールには、その内周面にCuメッキがなされてスルーホール導体が形成されるが、その内部は一般的には絶縁性樹脂が充填されるから、スルーホールの端部には、導電性パッドをなすスルーホール導体の端部(導電性パッド)と絶縁性樹脂の端部とが露出して表れる。従来、これら端部にはPbを含有するハンダコートがなされ、スルーホール導体端部が外部に露出することはなかった。ところが、Pbを含有するハンダコートを使用しないでフラックス皮膜で代用した場合には、ハンダコードほどの信頼性が得られず、酸化や分解、機械的衝撃等によりその一部が脱落し、スルーホール導体端部のCuが露出し、隣接するスルーホール導体間で短絡する問題が生じ易かった。しかし、本発明の適用により、この問題を効果的に回避することができる。
【0009】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層上に形成された突出部とすることができる。複数ある導電性パッドのうち、隣接する双方の導電性パッド間に突出部が設けられることで、平坦なソルダーレジスト表面には突出部による段差が形成されることとなる。この段差部分により、導電性腐食成分の流出が阻止されるから、この導電性腐食成分による導電性パッド間の導通を防ぐことができる。また、導電性腐食成分の流出量が多く、この突出部を超えてくる場合も、突出部の立体構造によって、導電性パッド間の界面距離が延びているから、導電性腐食成分同士の連結が生じにくい。また、導電性腐食成分が該突出部を迂回して流出することも考えられるが、迂回する経路の距離も長いため、突出部の逆側にまで到達して導電性腐食成分同士が連結することは困難である。また、状況に応じて突出部を広く形成することで、導電性腐食成分が迂回し難い様にすることも可能である。
【0010】
また、この突出部は、絶縁性樹脂の印刷形成膜として形成することができる。導電性パッドは、配線基板上に微細でかつ多数形成され、また品番によってその配列も異なるため、例えば露光・現像を行なうスクリーン印刷を採用することによって安価で精度良く形成することができるとともに、品番の違いにも容易に対応できる。
【0011】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層に設けられた溝部とすることができる。複数ある導電性パッドのうち、隣接する導電性パッドの一方と他方との間に溝部が設けられることで、平坦なソルダーレジスト表面には溝部による段差が形成されることとなる。これにより、溝部の立体構造によって、導電性パッド間の界面距離が延び、導電性腐食成分同士が接触しにくくなる。また、隣接する導電性パッド間に、この溝部を複数設けることで、該溝部は導電性腐食成分のストック領域することができ、これにより、隣接する導電性パッド間における導電性腐食成分の連結を阻止することが可能となる。また、この溝部の形成は、ソルダーレジスト皮膜時のマスクパターンに、ソルダーレジスト塗布後に露出する他のパッド面と同様にして溝部を形成すべき位置をマスクしておくだけで、容易に形成することができる。
【0012】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層を含めて、前記配線基板を厚さ方向に貫通する孔部とすることができる。この構成によれば、孔部は配線基板を貫通して形成されるので、導電性腐食成分の流出経路が孔部で途切れる構造となる。従って、隣接する導電性パッドから流出する導電性腐食成分は、孔部の内壁面に沿って裏側へと流出するだけで、互いに連結することはない。
【0013】
本発明の配線基板における腐食成分連結阻止部は、ソルダーレジスト層表面に露出させた撥水性樹脂層とすることができる。撥水性樹脂層上は、ぬれ角が大きく、導電性腐食成分の流出媒体となる水分をはじくため、撥水性樹脂層上に流出する導電性腐食成分は撥水性樹脂層手前でせき止められる。従って、隣接する導電性パッド間にこの撥水性樹脂層を設けることにより、それらから流出する導電性腐食成分の連結を阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図5を参照しつつ本発明の配線基板の第一実施例を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る配線基板1の断面構造を模式的に示すものである。該配線基板の基板中央には、耐熱性樹脂板(例えばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成され、全体が誘電体層をなす板状コア2が形成されている。板状コア2の両表面には、所定のパターンのCu配線部(例えば配線部4)が形成され、導体層をなしている。また、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール2aが形成され、その内壁面には板状コア2の両表面の導体層を互いに導通させるスルーホール導体30が、Cuを主成分とする金属(Cu含有量を90質量%以上とする金属のことをいう)で形成されている。また、スルーホール2aは、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。なお、スルーホール導体30を形成する金属は、例えば、CuにSn,Ag,Ni等を含有させ、耐食性を向上させたものを用いてもよいし、導電性の確保のために純Cuを用いてもよい。
【0015】
この配線基板1では、スルーホール導体の端部3aが、集積回路チップ等の実装素子をフリップチップ接続するためのパッドをなす半田ランド(導電性パッド)を構成する。また、スルーホール導体の端部3bが、配線基板自体をマザーボード等にピングリッドアレイ(PGA)あるいはボールグリッドアレイ(BGA)により接続するための裏面ランド(導電性パッド)を構成する。
【0016】
また、これらのスルーホール導体端部(ランド)3a,3bを外部に露出する形で、感光性樹脂組成物よりなるソルダーレジスト層SRが形成され、各端部に一対一に対応する形で開口部が形成されている。ソルダーレジスト層SRは、スルーホール導体の端部3a,3bの外周縁を覆う形で形成され、内部にこのスルーホール導体3につながる配線部4が配設されている。
【0017】
さらにソルダーレジスト層SRの開口部から露出する各ランド面(パッド面)には、フラックスFが塗布されている。フラックスFは、各ランド面の酸化を抑制するものであるが、熱が加えられたり、長時間放置されることによって、環境次第では酸化・分解されてしまう可能性がある。この場合、露出する各ランド面は、湿気等により錆等の導電性の腐食成分が発生することがある。本実施例では、スルーホール導体がCuからなるため緑青等が発生する。こうした導電性腐食成分は、図4及び図5に示すように、ソルダーレジスト層SRの表面上を伝って流出する(導電性腐食成分R)が、突出部P1が形成されることでその流出をせき止めることが可能となっている。
【0018】
本実施例では、図2に示すように、隣接して設けられたランド間の中間位置において、ソルダーレジスト層SR上に突出部P1が形成される。突出部P1は、スクリーン印刷によって形成されるものであり、突出部P1の形成領域以外をレジストによりマスクした上で、突出部P1形成領域に所定のインクが塗布されるよう転写する。転写後にレジストを除去することで、残存するインク部分が突出部P1として表れる。本実施例における突出部P1は、図3に示すように、露出する微細なランドの配列のうち、隣接するランド間の僅かな領域に形成されるものであるが、上記のスクリーン印刷を利用することで、その隙間に突出部P1を精度良く形成することが可能となっている。この突出部P1は、本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。なお、突出部P1を形成するインクには、後のリフローやキュア等の熱処理工程を考慮すれば、例えば、エポキシ樹脂塗料を用いることができる。
【0019】
これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結して、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に直接連結して、双方のランドが導通することを、この突出部P1によって防ぐことができる。また、さらに導電性腐食成分Rが流出してきた場合には、導電性腐食成分Rはこの突出部P1を迂回して流出しようとする可能性もあるが、図2の突出部P1の縦方向の長さをさらに延長しておくことで、迂回によって逆側に回り込むことを防ぐことができる。
【0020】
次に、図6〜図9を参照しつつ、本発明の第二実施例について説明する。なお、上記第一実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第二実施例の配線基板1aは、第一実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図6、図7に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に溝部P2が形成されている。この溝部P2は、ソルダーレジスト層SR形成時のマスクに、該溝部を形成するパターンを設けておくことで容易に形成することができる。
【0021】
図8及び図9に示すように溝部P2が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、溝部P2が形成されることでランド間の界面距離が溝部P2の立体形状によって長くなる。これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。この溝部P2も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0022】
図10〜図13を参照しつつ、本発明の第三実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第三実施例の配線基板1bは、上記実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図10、図11に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に孔部P3が形成されている。この孔部P3は、スルーホール2aの形成時に、該孔部P3を形成すべきコア基板の所定の位置にドリル等で貫通孔を形成しておき、さらに、ソルダーレジスト層SR形成時のマスクに、コア基板の貫通孔に対応する位置に該孔部を形成するパターンを設けて形成することができる。
【0023】
図12及び図13に示すように孔部P3が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、孔部P3が形成されることでランド間の界面距離が溝部P3の立体形状によって長くなる。これにより、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。また、孔部P3が基板1bの厚さ方向に貫通していることで、孔部P3の内部で導電性腐食成分Rが連結する可能性も低い。この孔部P3も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0024】
図14〜図17を参照しつつ、本発明の第四実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第四実施例の配線基板1cは、上記実施例と腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図14、図15に示すように、隣接するランド(スルーホール導体端部3a,3b)の中間位置に水分をはじく撥水性樹脂層P4が形成されている。この撥水性樹脂層P4は、ソルダーレジスト層SR形成時に、該ソルダーレジスト層SRに撥水性樹脂層形成用溝部を形成しておき、その後、その溝部に撥水性樹脂シートをラミネートして形成する。なお、撥水性樹脂層形成用溝部を形成せず、ソルダーレジスト層SR上にそのまま撥水性樹脂シートをラミネートしてもよいし、撥水性樹脂塗料を塗布する形で形成することもできる。なお、撥水性樹脂層P4に適用できる材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4‐フルオロエチレン‐6‐フルオロプロピレン共重合体(FEP)、4‐フルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4‐フルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロエチレン‐炭化水素系ビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)などを主体とするフッ素系樹脂やゴム等を使用することができる。
【0025】
図16及び図17に示すように撥水性樹脂層P4が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、撥水性樹脂層P4によってはじかれて撥水性樹脂層P4上に流出することができないため、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。また、さらに導電性腐食成分Rが流出してきた場合には、導電性腐食成分Rはこの撥水性樹脂層P4を迂回して流出しようとするため、図15の撥水性樹脂層P4の縦方向の長さをさらに延長しておけばよい。この撥水性樹脂層P4も本発明の腐食成分連結阻止部をなしている。
【0026】
図18〜図21を参照しつつ、本発明の第五実施例について説明する。なお、上記実施例と同構造の部分については符号を同一とし、説明を省略する。第五実施例の配線基板1dは、上記実施例とソルダーレジスト層SR及び腐食成分連結阻止部の構造が異なっており、図18、図19に示すように、ソルダーレジスト層SRがスルーホールのランド面の一部を覆わない形状をなし、ソルダーレジスト層SRとスルーホール導体3a、3bとの間に溝部P5が形成されている。これは、ソルダーレジスト形成時に、溝部P5(腐食成分連結阻止部)が形成されるマスクを用いることで容易に形成できる。
【0027】
図20及び図21に示すように溝部P5が形成されることで、ランド面から流出する導電性腐食成分Rは、溝部P5を充填してからでなければソルダーレジスト層SR上に流出することはできないので、双方のランド面から流出する導電性腐食成分Rが互いに連結する、あるいは一方のランド面からの導電性腐食成分Rが他方のランド面に連結して、双方のランドが導通することを防ぐことができる。
【0028】
また、さらに導電性腐食成分Rが流出することを想定して、図22、図23、図24、図25に示すように、ソルダーレジスト層SRに対し、上記実施例のような突出部P1。溝部P2、撥水性樹脂層P4を設けることもできる。また、孔部P3(図示なし)を設けることもできる。撥水性樹脂層P4については、溝部P2の底面に設けたり(図24)、溝部P2の底面及び側壁面に設ける(図25)こともできる。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、多層配線基板の最表層のソルダーレジスト層に対して上記した腐食成分連結阻止部(P1〜P5)を設けることも可能であるし、また、これらの腐食成分連結阻止部(P1〜P5)を複数組み合わせて形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の配線基板の第一実施例の断面構造を示す模式図。
【図2】第一実施例の配線基板の第一の平面拡大図。
【図3】第一実施例の配線基板の第二の平面拡大図。
【図4】第一実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図5】第一実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図6】本発明の配線基板の第二実施例の断面構造を示す模式図。
【図7】第二実施例の配線基板の平面拡大図。
【図8】第二実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図9】第二実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図10】本発明の配線基板の第三実施例の断面構造を示す模式図。
【図11】第三実施例の配線基板の平面拡大図。
【図12】第三実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図13】第三実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図14】本発明の配線基板の第四実施例の断面構造を示す模式図。
【図15】第四実施例の配線基板の平面拡大図。
【図16】第四実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図17】第四実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図18】本発明の配線基板の第五実施例の断面構造を示す模式図。
【図19】第五実施例の配線基板の平面拡大図。
【図20】第五実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第一の説明図。
【図21】第五実施例の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す第二の説明図。
【図22】本発明の配線基板の第五実施例の第一の変形例の断面構造を示す模式図。
【図23】本発明の配線基板の第五実施例の第二の変形例の断面構造を示す模式図。
【図24】本発明の配線基板の第五実施例の第三の変形例の断面構造を示す模式図。
【図25】本発明の配線基板の第五実施例の第四の変形例の断面構造を示す模式図。
【図26】従来の配線基板の断面構造を示す模式図。
【図27】図26の配線基板における導電性腐食成分の流出状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0031】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h 配線基板
2 コア基板
2a スルーホール
3 スルーホール導体
3a,3b スルーホール導体端部(導電性パッド)
SR ソルダーレジスト
R 導電性腐食成分
P1 突出部(腐食成分連結阻止部)
P2 溝部(腐食成分連結阻止部)
P3 孔部(腐食成分連結阻止部)
P4 撥水性樹脂層(腐食成分連結阻止部)
P5 溝部(腐食成分連結阻止部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層上に設けられる複数の導電性パッドと、
それら導電性パッドを露出させる形で前記誘電体層を覆うソルダーレジスト層と、
前記導電性パッドの互いに隣接するもの同士の間に介在する領域において、前記導電性パッドから流出する導電性腐食成分により、両導電性パッドが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部と、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記導電性パッドは、最表面を含む部分がCuを主成分とする金属よりなる請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線基板には、厚さ方向に貫通するスルーホールが形成され、その内周面がCuメッキされるとともに、該スルーホールの端部外周縁に、前記導電性パッドが一体化されている請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層上に形成された突出部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記突出部は、絶縁性樹脂の印刷形成膜として形成されてなる請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層に設けられた溝部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層を含めて、前記配線基板を厚さ方向に貫通する孔部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層表面に露出させた撥水性樹脂層とされてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項1】
誘電体層上に設けられる複数の導電性パッドと、
それら導電性パッドを露出させる形で前記誘電体層を覆うソルダーレジスト層と、
前記導電性パッドの互いに隣接するもの同士の間に介在する領域において、前記導電性パッドから流出する導電性腐食成分により、両導電性パッドが相互連結されることを阻止する腐食成分連結阻止部と、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記導電性パッドは、最表面を含む部分がCuを主成分とする金属よりなる請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線基板には、厚さ方向に貫通するスルーホールが形成され、その内周面がCuメッキされるとともに、該スルーホールの端部外周縁に、前記導電性パッドが一体化されている請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層上に形成された突出部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記突出部は、絶縁性樹脂の印刷形成膜として形成されてなる請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層に設けられた溝部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層を含めて、前記配線基板を厚さ方向に貫通する孔部である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記前記腐食成分連結阻止部は、前記ソルダーレジスト層表面に露出させた撥水性樹脂層とされてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2007−123539(P2007−123539A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313488(P2005−313488)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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