説明

配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法

【課題】製品の配送用として好適であり、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストが安価な配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法を提供する。
【解決手段】この包装容器1は、製品の形状に沿って曲がる可撓性シートからなる本体ブランク2と、この本体ブランク2と一体に貼着されるとともに本体ブランク2の周囲に張り出す耳部9a,9b,9c,9dをもつ熱溶着性の封緘フィルム8とを有している。そして、この包装容器1を用いた封緘方法は、折り返された本体ブランク2間に製品を両側から狭持するように収納し、縁部に対向する封緘フィルム8の耳部9a,9b、9c,9c、9d,9d相互を溶着して封緘する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本などの製品を冊子小包(例えば「ゆうメール(登録商標)」)として配送する用途に好適な配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の配送用包装容器として、紙製の本体ブランクを折り曲げたり、組立てたりして形成する包装容器が提案されている。しかし、図7に例示するような、単なる封筒型の包装容器100であると、容器内に本などの製品を収容し、フラップ部108を糊付け部106に糊付けして封緘するだけで包装できるものの、この種の封筒型は、その厚さ方向の自由度が小さいので、本などの製品の数や厚みに対する包装可能な範囲が狭い。そのため、製品の数や厚みへの対応性の上で不十分である。
【0003】
そこで、この種の包装容器においては、保管や配送の便宜のために種々の提案がなされており、包装可能な製品の数や厚みの範囲に対応できる例としては、例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。
同文献に記載の技術は、2枚の略方形のシート部材を封筒状に重ね合せ、1辺に製品を挿入する開口部を略菱形状に形成し、他の辺を封止状態とした包装容器(収容体)である。そして、前記開口部を形成する上辺に設けられた所定形状のフラップ部により開口領域を閉塞するようになっている。同文献に記載の技術によれば、略菱形状の開口とこれを閉塞可能な所定形状のフラップ部を設けたことにより、製品として薄物から厚みがあるものまで包装可能としている。
【0004】
また、他の例としては、例えば、図8((a)〜(d))に例示する包装容器110がある。この包装容器110は、同図(a)に示すように、本体ブランク下部110aと、これに連続する本体ブランク上部110bとが抜き加工された紙製の本体ブランク(110)からなる。そして、この包装容器110を用いる際には、まず、同図(b)に示すように、その本体ブランク下部110aを本体ブランク上部110b側に90度に折り返して重ね合わせることにより、上下左右に大型の4つのフラップ部110c,d,e,fを構成する。次いで、同図(c)に示すように、各フラップ部110c,d,e,fに形成された複数の折り曲げ部113の位置を、包装する製品Sの数や厚みに対応して変えることによって、丁度良い厚さに調整して製品Sを包装する。最後に、同図(d)に示すように、折り返されたフラップ部110e,f相互の合わせ目を粘着テープ116等によって封緘することで、薄物から厚みがあるものまで包装可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−94418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、略菱形状の開口部と、これを閉塞するフラップ部とを製品の数や厚みへの対応性を向上可能に設けたものの、2枚のシート部材から封筒状に構成する点においては、図7に示す封筒型の包装容器100の延長線上の技術である。そのため、製品の数や厚みへの対応範囲を更に広げる上で未だ検討の余地がある。
一方、図8に例示する包装容器110によれば、上下左右に大型の4つのフラップ部110c,d,e,fを複数の折り曲げ部113を介して構成しているので、包装可能な製品の数や厚みに対する対応範囲が封筒型に比べて大きいという利点がある。しかし、同図(b)〜(c)に包装工程を示したように、この包装容器110は、人手にて紙製の本体ブランクを組み立てる複数の工程を要するため、このような包装作業に手間が掛かるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストが安価な配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、製品の配送に用いられる包装容器であって、前記製品の形状に沿って当該製品を両側から狭持するように収納可能な可撓性シートからなる本体ブランクと、該本体ブランクと一体に貼着されるとともに本体ブランクの周囲に張り出す耳部をもつ熱溶着性の封緘フィルムとを有することを特徴とする。
【0009】
第一の発明に係る包装容器によれば、本体ブランクは、製品の形状に沿って当該製品を両側から狭持するように収納可能な可撓性シートからなるので、この本体ブランク間に製品を両側から狭持するように収納可能である。さらに、封緘フィルムは熱溶着性のフィルムであり、この封緘フィルムが、本体ブランクと一体に貼着されるとともに本体ブランクの周囲に張り出す耳部をもつので、製品を両側から狭持するように収納した状態の本体ブランクに対して、その縁部に対向する封緘フィルムの耳部相互を溶着(熱シール)して封緘することができる。そのため、この二つの操作だけで、製品を包装することができる。そして、溶着(熱シール)位置を封緘フィルムの耳部の幅の範囲で適宜変えることによって、製品の数や厚みに対応が可能である。そのため、包装可能な製品の数や厚みに対する対応範囲が封筒型に比べて大きいという利点がある。したがって、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストも安価であるから、製品の配送用として好適である。
【0010】
ここで、第一の発明に係る包装容器において、例えば、前記封緘フィルムが、防水性のフィルムであり、前記本体ブランクの内面側の全面を覆って貼着されていれば、包装された製品の防水性の点で好ましい。
また、前記封緘フィルムが、前記本体ブランクの周囲に張り出す耳部が不透明であれば、内部の製品を容易に視認させないようにする上で好ましい。
【0011】
また、前記本体ブランクが、略長方形状に形成されるとともに、長辺の中央部から二つ折りになる折り目をもつ折り曲げ部を有し、当該折り曲げ部上には円形の貫通穴が形成されており、前記封緘フィルムが、前記本体ブランクの円形の貫通穴に対向する部分が透明であれば、例えば「ゆうメール(登録商標)」用の包装容器として好適である。
また、前記封緘フィルムが複数層からなり、隣接する層間に気泡を封入した緩衝部を有すれば、内部の製品を衝撃から保護する上で好ましい。
【0012】
また、前記本体ブランクに、包装された商品を取り出すためのミシン目が形成されていれば、包装容器の開封を容易にして内部の製品を取り出し容易にする上で好ましい。
そして、本発明のうち第二の発明は、上述した第一の発明に係る包装容器を用いた配送用包装容器の封緘方法であって、折り返された前記本体ブランク間に製品を両側から狭持するように収納し、縁部にて対向する封緘フィルムの耳部相互を溶着して封緘することを特徴とする。
【0013】
第二の発明に係る包装容器の封緘方法によれば、本体ブランク間に製品を両側から狭持するように収納し、縁部に対向する封緘フィルムの耳部相互を溶着して封緘するだけで、製品を包装することができる。したがって、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストも安価であり、製品の配送用としての、第一の発明に係る包装容器の封緘方法として好適である。
【0014】
さらに、本発明のうち第三の発明は、上述した第一の発明に係る包装容器を製造する方法であって、可撓性シートを打ち抜いて前記本体ブランクを形成する本体ブランク形成工程と、熱溶着性のフィルムを前記本体ブランクの周囲に張り出す面積に打ち抜いて前記封緘フィルムを形成する封緘フィルム形成工程と、前記本体ブランクの一方の面に糊付けをする本体ブランク糊付け工程と、該本体ブランク糊付け工程を経た前記本体ブランクの糊付け面に当該本体ブランクの周囲に張り出すように前記封緘フィルムを張設しつつ貼り付ける封緘フィルム貼着工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
第三の発明に係る包装容器の製造方法によれば、上述した第一の発明に係る配送用包装容器を製造することができる。したがって、この製造方法により製造された配送用包装容器は、上述したように、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストが安価であり、製品の配送用として好適である。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、本発明に係る配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法によれば、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストが安価である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る配送用包装容器の一実施形態の説明図であり、同図(a)はその折り曲げ状態の斜視図、(b)はその展開状態の平面図である。
【図2】図1の配送用包装容器を構成する部材の説明図であり、同図(a)は本体ブランクの展開状態の平面図、(b)は封緘フィルムの展開状態の平面図である。
【図3】本発明に係る配送用包装容器用の封緘装置の一実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)は(b)の左側面図である。
【図4】図3の封緘装置のコントローラ(不図示)で実行される封緘処理のフローチャートである。
【図5】本発明に係る配送用包装容器を用いた封緘方法を説明する斜視図であり、同図(a)は包装容器に製品を収容する載置状態の図、(b)は包装容器を折り返して三辺周囲の耳部相互を対向させた状態の図、(c)は包装容器の三辺周囲の耳部相互を熱シールした状態の図、(d)は包装容器の左右二辺の耳部を熱収縮した状態の図である。(e)は包装容器の長辺の耳部を熱収縮させて、三辺周囲を熱収縮した状態の図である。
【図6】本発明に係る配送用包装容器の他の実施形態の説明図であり、同図(a)はその展開状態の平面図、(b)はその折り曲げ状態の斜視図である。
【図7】従来の配送用包装容器の一例(封筒型)を説明する斜視図である。
【図8】従来の配送用包装容器の他の例(折畳み型)を説明する図であり、同図(a)はその本体ブランクの展開状態の斜視図、(b)は製品を包装する前段階の折畳み状態の斜視図、(c)は製品を包装する後段階の折畳み状態の斜視図、(d)は製品を包装した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
まず、本発明に係る配送用包装容器、およびその製造方法の一実施形態について、図1および図2を適宜参照しつつ説明する。
この配送用包装容器1は、本などの冊子小包(例えば「ゆうメール(登録商標)」)の配送用に好適な包装容器であって、図1に示すように、可撓性シートからなる本体ブランク2と、この本体ブランク2と一体に貼着された封緘フィルム8とを有して構成されている。
【0019】
本体ブランク2は、包装対象となる本などの製品の形状に沿って曲がる可撓性シートからなる。本実施形態の例では、この本体ブランク2は、安価であり型抜き加工が容易な可撓性シートとしてコートボール紙を用いており、図2(a)に示すように、これを例えばA4版サイズの雑誌を包装可能な略長方形状に型抜きして得ている(本体ブランク2形成工程)。
【0020】
そして、この本体ブランク2は、略長方形状に形成されるとともに、図1(b)に示すように、長辺の中央部から二つ折りになる折り目3aをもつ折り曲げ部3が形成される。そして、この折り曲げ部3の折り目3aの上下には三角形状の切り込み部7がそれぞれ形成されている。この切り込み部7により、折り曲げ部3からの折り曲げが一層容易になっている。さらに、この折り曲げ部3には、長辺の中央部の折り目3aに加えて、その左右に併設された第二の折り目3bが設けられており、この第二の折り目3bにより、本体ブランク2中央部側での、包装可能な冊子の数や厚みの範囲に対する対応性を向上させている。
【0021】
一方、封緘フィルム8は、図1(b)ないし図2(b)に示すように、熱溶着性のフィルムを上記本体ブランク2の周囲に張り出す面積に打ち抜いてを形成される(封緘フィルム8形成工程)。
本実施形態の例では、封緘フィルム8として、約150℃で溶着する二軸延伸収縮ポリエチレンフィルムを用いている。なお、この封緘フィルム8は、防水性のフィルムでもあり、図1に示すように、本体ブランク2の内面側の全面を覆って貼着される。これにより、配送時においては雨に強く、また、仮に不測の事態により短時間水没したとしても、包装状態における内部への浸水が防止される。
【0022】
また、この封緘フィルム8は、本体ブランク2と一体に貼着されたときに、図1(b)に示すように、本体ブランク2の周囲に張り出す耳部9a,9b,9c,9d(以下、図示符号の9a,9b,9c,9dの総括符号として、単に「耳部9」とも記す)を有する大きさに形成されている。この耳部9の幅は、包装状態における美観的にはその幅が狭い方がよい。しかし、包装容器内に収容される製品の厚み(例えば20mm)に広く対応する上では、耳部9の幅が広い方が望ましい。なお、上記配送用包装容器1(本体ブランク2および封緘フィルム8)について、その各部の、図1(b)に示す寸法の具体例として、例えば「ゆうメール(登録商標)」の配送用に好適な寸法を以下の表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
さらに、この封緘フィルム8は、耳部9にのみ白色の印刷が施されて不透明にされており(図2(b)での網掛け部参照)、これにより、包装状態における内部の製品を外部から透視できないようになっている。なお、この封緘フィルム8は、耳部9以外の部分は透明であり、少なくとも、本実施形態の例では、本体ブランク2に形成された、上記円形の貫通穴4に対向する部分が透明である。
【0025】
そして、上述のように形成された本体ブランク2には、その一方の面(本実施形態の例では内面)に接着剤が塗布(糊付け)される(本体ブランク糊付け工程)。ここで、この本体ブランク糊付け工程において、本実施形態の例では、図2(a)にハッチングにて図示するように、本体ブランク2の全周囲に接着剤を塗布して封緘フィルム8を貼り付けてある。さらに、本体ブランク2の折り曲げ部3、および本体ブランク2の略中央に形成された円形の貫通穴4についてもその全周に亘って接着剤を塗布している。そして、最後に、この本体ブランク2の糊付け面に、図1(b)に示すように、当該本体ブランク2の全周囲から耳部9が張り出すように、上記封緘フィルム8を張設しつつ貼り付けている(封緘フィルム貼着工程)。以上により、図1に示す配送用包装容器が製造される。
【0026】
次に、上述した配送用包装容器1を、連続して封緘可能な封緘装置について図3を参照しつつ詳しく説明する。
図3に示すように、この封緘装置20は、搬入方向の上流側から順に、第一コンベア21、転向装置34および第二コンベア22を有している。
第一コンベア21は、複数の搬送ローラ25を有し、これら搬送ローラ25の上方には、これに沿って搬送される包装容器1をその上方から押さえて搬送姿勢を安定させるための押圧ガイド23が離隔して配置されている。また、各搬送ローラ25には、包装容器1に当接する側に傾斜面を有する円錐台状のセンタリングカップ25aがローラの端部に付設されている。そして、隣接する搬送ローラ25相互のセンタリングカップ25aは、包装容器1の姿勢が振り分け位置に位置するような傾斜面を相互に形成し(同図に示す符号25b)、これにより、包装容器1が搬送されるにつれて、所望の振り分け位置に次第にセンタリングされるようになっている。
【0027】
また、この第一コンベア21は、コ字状のシーラ29と、包装容器1の両側の各到達を確認する一対のセンサ27と、包装容器1をシーラ29のシール位置で上方から確実に押さえ込むための左右のストッパ32とを有している。さらに、シーラ29によるシール位置よりも下流には、包装容器1の左右の短辺を熱収縮させるための一対のドライヤ30が配設されている。そして、この左右一対のドライヤ30の下流側に上記転向装置34が設けられている。
【0028】
この転向装置34は、包装容器1の搬送方向を転換する方向転換部36を下部に有している(図3(b)参照)。この方向転換部36は、上記第一コンベア21側の搬送ローラ25に対し、その隙間から互い違いの位置に、上下に昇降可能且つ搬送ローラ25とは直交方向に転動するローラを有している。そして、この方向転換部36は、包装容器1が所定の位置に到達したことをセンサ35が確認したら上昇されて、第一コンベア21とは直交方向に包装容器1を搬送するようになっている。
【0029】
また、転向装置34の下流側には上記第二コンベア22が設けられている。この第二コンベア22は、複数の第二の搬送ローラ33を有し、この搬送ローラ33の側方に、包装容器1の長辺用のドライヤ31が配設されている。そして、転向装置34の更に下流側には、第二コンベア22の搬送方向とは直交方向に作動して、反対側のスタッカ38に包装容器1を押し出すプッシャ37が側方に設けられている。このプッシャ37は、不図示のセンサによって所定の位置への包装容器1の到達が確認されると、エアシリンダが駆動されて、包装容器1を、対向配置されたスタッカ38に押し出すようになっている。
【0030】
次に、この封緘装置20を用いた包装容器1の包装工程について図4および図5を参照しつつ説明する。なお、図4は、上記封緘装置20のコントローラ(不図示)によって実行される封緘処理のフローチャートであり、図5は、この配送用包装容器1を用いた封緘方法を説明する斜視図((a)〜(d))である。
上述した封緘装置20に対し、まず準備段階として、図5(a)に示すように、上流工程において、作業者による包装容器1内への製品Sの収容作業が行われる(収容作業工程)。
【0031】
作業者は、この収容作業工程では、包装容器1を折り曲げ部3から「く字状」に二つ折りにし、図5(b)に示すように、その「く字状」の包装容器1間に製品Sを上下から挟むように収容する。これにより、本体ブランク2の周囲に張り出す耳部9は、長辺側においては、耳部9a,9bが対向し、左右の短辺側では、耳部9c,9dが二つ折りにされることで、耳部9c,9cおよび耳部9d,9dがそれぞれ対向する。
【0032】
そして、上述の収容作業工程を経た包装容器1は、作業者によって封緘装置20の第一コンベア21上に折り曲げ部3側を下流側に向けて載置され、第一コンベア21による搬送が開始される。つまり、封緘装置20は、コントローラ(不図示)が載置を認識すると、包装容器1を押圧ガイド23と第一コンベア21の搬送ローラ25との間で押さえ込んで搬送を開始する(ステップS1〜S2)。このとき、押圧ガイド23で包装容器1を保持しつつ包装容器1のセンタリングがセンタリングカップ25aによってなされる。そして、搬送方向の定位置において包装容器1の折り曲げ部3が左右のストッパ32に当接して、包装容器1両側の到達をセンサ27が検出し、封緘装置20のコントローラが包装容器1の姿勢が並行であることを確認したら((ステップS3)、図5(c)に示すように、二つ折りにされた包装容器1の三辺に張出して対向する封緘フィルム8の耳部9をコ字状のシーラ29で三辺を同時に押さえ込み、3辺を均一に熱シールする(ステップS4)。
【0033】
そして、所定の熱シール時間が経過後に(ステップS5)、ストッパ32を解放して搬送ローラ25により包装容器1の下流への搬送を継続し(ステップS6)、次いで、図5(d)に示すように、包装容器1の左右の短辺の耳部9c,9cおよび耳部9d,9dを左右のドライヤ30で同時に熱収縮させる(ステップS7)。
続く転向装置34に到達したことをセンサ35が検出したら(ステップS8)、昇降可能に配置された方向転換部36の作動によって、包装容器1の搬送方向を90度転じる(ステップS9)。
【0034】
次いで、第二コンベア22は、第二の搬送ローラ33によって包装容器1を搬送し、このとき、図5(e)に示すように、包装容器1の長辺に沿ってドライヤ31を当てて包装容器1の長辺の耳部9a,9bを熱収縮させ、熱シールされた3辺の全てについての耳部9の熱収縮を完了する(ステップS10)。
その後、さらに下流に搬送された包装容器1は、不図示のセンサによって所定の位置への到達が検出されると(ステップS11)、プッシャ37が直交方向に作動して反対側のスタッカ38に包装容器1を押し出して一連の包装工程を終える(ステップS12)。
【0035】
次に、この配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法の作用・効果について説明する。
上述した包装容器1の製造方法は、コートボール紙(可撓性シート)を打ち抜いて本体ブランク2を形成し(本体ブランク形成工程)、熱溶着性のフィルムである二軸延伸収縮ポリエチレンフィルムを本体ブランク2の周囲に張り出す面積に打ち抜いて封緘フィルム8を形成し(封緘フィルム形成工程)、次いで、本体ブランク2の一方の面に糊付けをし(本体ブランク糊付け工程)、この本体ブランク糊付け工程を経た本体ブランク2の糊付け面に当該本体ブランク2の周囲に張り出すように封緘フィルム8を張設しつつ貼り付ける(封緘フィルム貼着工程)により、上述した包装容器1を製造することができる。
【0036】
そして、この包装容器1は、本体ブランク2が、本等の製品Sの形状に沿って当該製品Sを両側から狭持するように収納可能であり、さらに、封緘フィルム8は熱溶着性のフィルムであり、この封緘フィルム8が、本体ブランク2と一体に貼着されるとともに本体ブランク2の周囲に張り出す耳部9をもつので、製品Sを両側から狭持するように収納した状態の本体ブランク2(包装容器1)に対して、その縁部に対向する封緘フィルム8の耳部9相互を溶着(熱シール)して封緘することができる。
【0037】
すなわち、この包装容器1によれば、本体ブランク2間に製品Sを両側から狭持するように収納し、縁部に対向する封緘フィルム8の耳部9相互を溶着して封緘するという二つの操作だけで、製品を包装することができる。
そして、この包装容器1によれば、溶着(熱シール)位置を封緘フィルム8の耳部9の幅の範囲で適宜変えることによって、製品Sの数や厚みに対応が可能である。そのため、包装可能な製品Sの数や厚みに対する対応範囲が封筒型に比べて大きいという利点がある。したがって、製品Sの厚みへの対応範囲が広く、製品Sの包装が容易でかつ包装コストも安価であるから、製品Sの配送用として好適である。
【0038】
さらに、この包装容器1によれば、封緘フィルム8が防水性のフィルムであり、本体ブランク2の内面側の全面を覆って貼着されているので、包装されている製品Sの防水性の点で好適である。
また、封緘フィルム8が本体ブランク2の周囲に張り出す耳部9が不透明なので、内部の製品Sを容易に視認させないようにする上で好適である。
【0039】
また、本体ブランク2が、略長方形状に形成されるとともに、長辺の中央部から二つ折りになる折り目をもつ折り曲げ部3を有し、この折り曲げ部3上には円形の貫通穴4が形成されており、封緘フィルム8が、本体ブランク2の円形の貫通穴4に対向する部分が透明なので、この窓(貫通穴4)から内容物を視認可能であり、例えば「ゆうメール」用の包装容器として好適に使用することができる。
【0040】
以上説明したように、この配送用包装容器1およびその封緘方法並びに配送用包装容器1の製造方法によれば、製品Sの配送用として好適であり、製品Sの厚みへの対応範囲が広く、製品Sの包装が容易でかつ包装コストが安価である。
なお、本発明に係る配送用包装容器およびその封緘方法並びに配送用包装容器の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、例えば「ゆうメール」用の包装容器として好適な例について説明したが、これに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の製品の配送用として種々の態様を採用することができる。
【0041】
例えば、図6に他の実施形態を示す。
同図に示す例では、上記実施形態に対し、耳部9に白色の印刷を施しておらず、封緘フィルム8全体が透明である。また、本体ブランク2には、打ち抜き加工された矩形状の窓部10が形成されるとともに、中央の折り曲げ部3に沿って、包装された製品を取り出すためのミシン目5が形成されている点が異なっており、また、本体ブランク2に、円形の貫通穴4が形成されておらず、また、折り曲げ部3の上下の切り欠き部7も形成されていない点が異なっている。
【0042】
このような構成であれば、全体が透明な封緘フィルム8を用いているので、内部の視認が問題とならない場合や意図的に視認させる用途に好適であり、また、その分のコストを安価にできる。さらに、矩形状の窓部10が形成されているので、この窓部10から宛先を明示させることもできる。また、本体ブランク2に、包装された商品を取り出すためのミシン目5が形成されているので、当該包装容器1の開封が容易であり、内部の製品を取り出し易い。
【0043】
さらに、例えば、上記実施形態では、封緘フィルム8を単に矩形状に形成した例で説明したが、これに限らず、例えば、各辺の耳部9a,9b,9c,9d相互の角部に45度方向に切り込みを入れるようにしてもよい。このような構成であれば、熱シール後の熱収縮をさせる際に、熱収縮する耳部9が隣り合う辺の側に引っ張られなくなるため、隣接する辺からのつっぱりを抑制でき、収縮した形状を綺麗に仕上げる上で好ましい。
【0044】
また、封緘フィルム8を複数層から構成し、隣接する層間に気泡を封入した緩衝部を有する構成とすれば、いわゆるクッション封筒同様に、内部の製品を衝撃から保護する上で好適である。
また、上記実施形態の例では、熱シール後に更に熱収縮をさせて耳部9を整える例で説明したが、これに限らず、例えば、熱収縮工程に替えて、熱シール後に耳部9の周囲の無駄部分を切り落とすようにしてもよい。
【0045】
なおまた、本体ブランク2の周縁部に耳部9を作らないで本体ブランク2の上から直接押圧して対向する封緘フィルム8を溶着(熱シール)させることもできるが、本体ブランク2の材質、設定温度、あるいはこれらに基づく工程管理が複雑になり易く、また、製品の厚みへの対応性が比較的に限定されることにもなるため、製品の厚みへの対応範囲が広く、製品の包装が容易でかつ包装コストを安価にする上では、上述の実施形態のように、本体ブランク2の周縁部に封緘フィルム8による耳部9を形成して、本体ブランク2を折り返したときに、周囲に対向させた耳部9相互を熱シールする構成とすることが簡便である。
【符号の説明】
【0046】
1 包装容器
2 本体ブランク
3 折り曲げ部
4 貫通穴
5 ミシン目
6 糊付け部
7 切り欠き部
8 封緘フィルム
9(9a,9b,9c,9d) 耳部
10 窓部
20 封緘装置
21 第一コンベア
22 第二コンベア
23 押圧ガイド
25 搬送ローラ
27 センサ
28 搬送レール
29 シーラ
30 ドライヤ
31 ドライヤ
32 ストッパ
33 搬送ローラ
34 転向装置
35 センサ
36 方向転換部
37 プッシャ
38 スタッカ
40 筐体
S 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の配送に用いられる包装容器であって、前記製品の形状に沿って当該製品を両側から狭持するように収納可能な可撓性シートからなる本体ブランクと、該本体ブランクと一体に貼着されるとともに本体ブランクの周囲に張り出す耳部をもつ熱溶着性の封緘フィルムとを有することを特徴とする配送用包装容器。
【請求項2】
前記封緘フィルムは、防水性のフィルムであり、前記本体ブランクの内面側の全面を覆って貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の配送用包装容器。
【請求項3】
前記封緘フィルムは、前記本体ブランクの周囲に張り出す耳部が不透明であることを特徴とする請求項1または2に記載の配送用包装容器。
【請求項4】
前記本体ブランクは、略長方形状に形成されるとともに、長辺の中央部から二つ折りになる折り目をもつ折り曲げ部を有し、当該折り曲げ部上には円形の貫通穴が形成されており、
前記封緘フィルムは、前記本体ブランクの円形の貫通穴に対向する部分が透明であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の配送用包装容器。
【請求項5】
前記封緘フィルムは、複数層からなり、隣接する層間に気泡を封入した緩衝部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の配送用包装容器。
【請求項6】
前記本体ブランクには、包装された商品を取り出すためのミシン目が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配送用包装容器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の配送用包装容器を用いて、折り返された前記本体ブランク間に製品を両側から狭持するように収納し、縁部にて対向する封緘フィルムの耳部相互を溶着して封緘することを特徴とする配送用包装容器の封緘方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の配送用包装容器を製造する方法であって、可撓性シートを打ち抜いて前記本体ブランクを形成する本体ブランク形成工程と、熱溶着性のフィルムを前記本体ブランクの周囲に張り出す面積に打ち抜いて前記封緘フィルムを形成する封緘フィルム形成工程と、前記本体ブランクの一方の面に糊付けをする本体ブランク糊付け工程と、該本体ブランク糊付け工程を経た前記本体ブランクの糊付け面に当該本体ブランクの周囲に張り出すように前記封緘フィルムを張設しつつ貼り付ける封緘フィルム貼着工程とを含むことを特徴とする配送用包装容器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−51596(P2011−51596A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200081(P2009−200081)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(595016082)ケーユーシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】