説明

酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法

【課題】酒類を含有するチョコレートコーティングされた酒類本来の「香り」と「風味」が豊かな食品の製造方法を提供する。
【解決手段】可食センターを転動させ、液状のチョコレートを散布し、次に予め酒類とチョコレートを激しく攪拌し混合乳化、冷却固化、液体窒素を用いる超低温凍結粉砕したアルコール分16〜40重量%含有する乳化組成物を散布し、冷却固化させることを特徴とする酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味豊かな酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酒類とチョコレートを組み合わせた食品として、洋酒含有アルコールシロップあるいはガナッシュなどのものが知られていた。しかしながら、近年においても、構造的にはチョコレートのシェルがありセンターに液状の酒類を含むものや、酒類含有のガナッシュを含むが多く、その製造法や構造は従来から大きな変化がない。
特に「構造」に関してはバラエティに乏しいことは否めず、現代社会の多様化する食の嗜好において、「香り」や「風味」の豊かなチョコレートを可食物と自由に組み合わせることができるコーティングされた食品の製造法が望まれてきた。
【0003】
「香り」や「風味」が豊かなチョコレートとして、チョコレートのシェルがありアルコールシロップタイプをセンターとした食品がある。アルコールシロップをチョコレートのシェルの中に入れておくと経時的にアルコール分及び水分が揮発しやすく、また味も糖分が多いため甘すぎる傾向にあった。味の面だけでなく、アルコール分及び水分が揮発することによるシェルの陥没も大きな問題点である。
【0004】
他方、「香り」や「風味」が豊かなチョコレートとして、洋酒を含有しているガナッシュやトルッフェルなどがある。通常、ガナッシュクリーム、トルッフェルクリームといわれるものは、生クリーム、バター、シロップなどを加温、沸騰させた後に加熱を止め、細かく切り刻んだチョコレートを加えて攪拌乳化することにより0/W系のエマルジョンとし、酒類を添加する場合は、冷えてから洋酒などを加えて製造される。このガナッシュやトルッフェルは成形性が非常に困難で、特にコーティングをしようとすると非常に増粘し、いわゆるボテ現象が発生する。また、水分活性が高く日持ちは常温で3日〜1週間程度が一般的である。
【0005】
また、ガナッシュやトルッフェル以外の酒含有チョコレートとして、粉末酒含有のチョコレートが提案されている(特許文献1)。この粉末酒含有チョコレートはデキストリン含有の為、チョコレートコーティングの際の増粘が問題点として上げられる。また、官能としては、ざらつきがでることや、デキストリンに包摂させているため「香り」のトップ立ちに乏しいなどの問題点がある。
【0006】
さらにチョコレートコーティングの方法として、パンワークを行う際、センターに水溶液をかけるなどの手法が提案されている(特許文献2)。この水溶液はアルコールを含んでもよいと提案されているが、添加率としては3重量%程度であり、酒などの「風味」を強くつけることは困難である。また、この提案はチョコレートの耐熱性を上げる目的であるうえ、アルコールの含有量は明らかに異なる態様と考えられる。
【0007】
また、液状アルコール或いはアルコールを加えることからなる油脂性菓子の製造方法が提案されている(特許文献3)。同公報においては、チョコレートに対し液状アルコール或いはアルコール溶液を2〜15重量%加えており、油脂性菓子におけるアルコール分を換算すると最大2〜13重量%を含有する。しかし、押出しなどの機械適性は得られるが粘度が上がりすぎるためコーティングには適さない。また、この油脂性菓子を冷却固化、粉状とし、チョコレート層との多層構造を構成したとしてもアルコール含有率も低いため、望むような「香り」や「風味」を得ることができない。
【0008】
さらには油脂組成物を直接酒類により、0/W乳化で得られる乳化組成物が提案されている(特許文献4)。この公報において、乳化組成物はアルコール分2〜15重量%を含有する。また、チョコレートのセンターにすることを前提としておりデポジッターに対する適性はあるが、この物性ではボテてしまいコーティングの使用は適さない。また、生産性の面で課題が残る。また、この公報を応用し、本発明者らが実験を行ったところ、この酒類乳化組成物を冷却、粉状化したものを掛け、チョコレート層と多層構造を構成することは可能であるが、アルコール分が低いため、望むような「香り」や「風味」を得ることが出来なかった。
【0009】
含水状態で粒状化及び/又は細粒物であることを特徴とするチョコレート粉砕品の製造法が提案されている(特許文献5)。この公報において、水性成分が3.0〜8.0重量%の範囲の含水状態であり、その範囲でのみ可塑性があり粒状化及び/細粒物が可能である。しなしながら、この水性成分の含有では、水性成分をアルコールに置き換えチョコレート層と多層構造を構成したとしてもアルコール分が低いため、望むような「香り」や「風味」を得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭57−105139号公報
【特許文献2】特開平04−248950号公報
【特許文献3】特公平1−21943号公報
【特許文献4】特許第292990号公報
【特許文献5】特開2006−109762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、酒類を含有するチョコレートコーティングされた「香り」と「風味」が豊かな食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を改善するため、本発明者らは酒類の「香り」「風味」を生かした酒類含有チョコレートでコーティングされたナッツ食品を提案している(特願2008−196818号)。この出願では、ナッツ類をセンターとし、アルコール分が16〜40重量%の酒類含有乳化組成物層とチョコレート層とがそれぞれ2層以上からなる多層構造を有することを特徴とし、アルコール分が16〜40重量%と高含有率で香りと風味を引き出すことを可能にしているが、これらの香りと風味をより一層引き出すためにさらに鋭意研究を続けたところ、驚くべきことに液体窒素を用いる超低温凍結粉砕した酒類を含む乳化組成物を用いて多層構造を形成することより、酒類本来の「香り」「風味」を飛躍的に向上させることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の要旨は、
(1)可食センターを転動させ、
液状のチョコレートを散布し、
次に予め酒類とチョコレートを攪拌し混合乳化、冷却固化し、次いで、液体窒素を用いて超低温凍結粉砕した酒類含有乳化組成物を散布し、
冷却固化させることを特徴とする酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法、
(2)前記液状のチョコレートの散布と、酒類含有乳化組成物の散布を繰り返す請求項1記載の酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法を用いることにより、酒類本来の「香り」「風味」を有するチョコレートでコーティングされた食品を効率よく得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法(以下、本発明の方法ともいう)は、可食センターを転動させ、液状のチョコレートを散布し、次に予め酒類とチョコレートを攪拌し混合乳化、冷却固化し、次いで、液体窒素を用いて超低温凍結粉砕した酒類含有乳化組成物を散布し、冷却固化させることを特徴とする。
【0016】
本発明では、アルコール分が16〜40重量%のように高い含有率を有する酒類含有乳化組成物を、冷却固化後に液体窒素を用いる超低温凍結粉砕してから食品にコーティングすることで、酒類本来の「香り」と「風味」とが十分に引き出された食品を得ることができる。また、本発明では、前記酒類含有乳化組成物を、液体窒素を用いる超低温凍結粉砕することにより酒類本来の「香り」「風味」の消失が最小限に抑えられ、非常に美味な食品となる。
【0017】
本発明に用いる可食センターとしては、例えば、チョコレート、ナッツ類、錠菓、丸薬、ガム、キャンディ、トローチ、グミなどを芯材(センター)として利用することが可能であり、その形状にも特に問われない。
【0018】
可食センターの大きさとしては、通常の菓子類で使用される大きさであればよく特に限定はない。例えば、コーティング装置で転動できる程度の大きさであればよい。
【0019】
前記可食センターを転動させる装置としては、例えば、レボーリングパンが挙げられる。形状については、特に制限はなく、ピアー型、オニオン型、水平回転型、ベルト型などが挙げられるが、可食センターが連続的に転動することが可能であればよい。
【0020】
転動させる速度は、前記可食センターが破損しない程度であればよく、可食センターの種類や形状に基づいて適宜設定すればよい。
【0021】
前記のように転動させている前記可食センターに散布する液状のチョコレートは、チョコレートの種類によるが、30〜60℃、好ましくは33〜40℃の範囲で保温されており、チョコレートの風味が劣化せず、散布されやすいように液状状態にされていればよい。例えば、チョコレートを溶解させたものであればよい。
【0022】
前記チョコレートは、公正規約などの法的規制により限定されるものではないが、コーティングに適したテンパリングタイプが好ましい。
【0023】
また、液状のチョコレートの散布手段としては、液状のチョコレートを可食センターに手で直接散布してもよいし、液体散布に使用されるノズルなどの公知の手段によってもよい。
【0024】
次いで散布される酒類含有乳化組成物は、酒類とチョコレートとは予め酒類とチョコレートを攪拌し混合乳化、冷却固化し、次いで、液体窒素を用いて超低温凍結粉砕されて調製される。
【0025】
前記酒類含有乳化組成物に用いる酒類としては、ブランデー、ラム、ウィスキー、焼酎、ウォッカなどの蒸留酒、コワントロー、クレームドカカオ、ペパーミント、梅酒などのリキュール類或いはぶどう酒、日本酒などの発酵酒、カクテル類などの酒税法によるものが使用できる。また、エチルアルコールと水溶液と混合したものや、前記酒類にエチルアルコールを添加調整した可食性アルコールの水溶液が使用できる。また、いずれの酒類を2種類以上混合して使用できる。
【0026】
また、前記酒類含有乳化組成物に用いるチョコレートとしては、公正規約などの法的規制により限定されるものではなく、また、テンパリングタイプ、ノーテンパリングタイプであることを問わない。
【0027】
前記酒類とチョコレートとを攪拌して混合乳化させる際には、ハンドミキサー、ホバートミキサー、ホモジナイザーなどの攪拌装置を用いることができる。攪拌条件としては、特に限定はないが、乳化物を得やすい観点から、激しく攪拌することが好ましい。また、攪拌時には、チョコレートを攪拌し易く、酒類に含まれるアルコールを蒸発させ難い観点から、33〜40℃で行うことが好ましい。
【0028】
次いで、前記の乳化物を冷却固化するには、室温又はそれ以下の温度に調整された環境下で静置すればよい。
【0029】
例えば、前記乳化物を入れた容器を、所定の温度に冷却された保冷庫中に入れればよい。また、固化の程度としては、外気に接している表面が固化されていればよく、乳化物全体の中心部分まで完全に固化されている必要はない。
【0030】
次いで、前記の冷却固化物を液体窒素を用いる超低温凍結で粉砕するには、市販の超低温凍結粉砕装置を用いればよい。粉砕の条件は、各装置に添付されるマニュアルに準じて行えばよいが、前記冷却固化物を液体窒素とフリーザー内で接触させることで接触部分を凍結させ、ついで粉砕機において無酸素下で粉砕することが挙げられる。粉砕後にサイクロンなどを通して、より微粉砕することができる。
【0031】
本発明においては、前記のように酒類含有乳化組成物が冷却固化されているものを散布するため、ボテないという利点がある。また、冷却固化した後、液体窒素を用いる超低温凍結粉砕する方法を用いることにより酒類本来の「香り」「風味」の消失が最小限に抑えられ、均一に散布しやすくなるという利点がある。
【0032】
また、前記酒類含有乳化組成物は、前記酒類とチョコレート以外に水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、抽出物などを、乳化、冷却固化を阻害しなければ含有してもよい。
【0033】
これらの成分は、酒類とチョコレートとを混合乳化させる際に添加すればよい。
【0034】
前記酒類含有乳化組成物は、粉砕された粉末状のものであるため、手で直接、転動しているチョコレートコーティング後の可食センターにふりかけてもよいし、粉末を散布できる市販の装置を用いてもよい。
【0035】
また、前記酒類含有乳化組成物とは別のチョコレート層に用いるチョコレートに関しても、前記と同様であるが、コーティングに適したテンパリングタイプが望ましい。
【0036】
本発明においては、前記のように液状のチョコレートによるコーティングと、酒類含有乳化組成物によるコーティングとを交互に複数回繰り返すことが好ましい。このような操作を行うことで、前記可食センターに前記酒類含有乳化組成物層とチョコレート層とがそれぞれ2層以上からなる多層構造が形成されることで、アルコールを含有したチョコレートコーティングを実現できるという利点がある。
【0037】
前記多層構造の態様としては、可食センターの表面にチョコレート層、次いで酒類含有乳化組成物層が積層されていてもよいし、これらの層の上にさらに酒類含有乳化組成物層及び/又はチョコレート層が積層されていてもよい。
【0038】
得られるコーティング全体の厚みとしては、可食センターの種類、大きさ、酒類含有乳化組成物中のアルコール含量などにより一概に限定は出来ないが、例えば、0.5〜5mm程度であればよい。なお、本発明では、前記のようにして得られる可食センター表面上のコーティングについて、酒類含有乳化組成物にもチョコレートが含まれるため、液状のチョコレートと酒類含有乳化組成物を交互した場合でもコーティング層の断面は各層が一体化しているような外観を有する場合が多い。
【0039】
コーティング後の食品は、室温又はそれ以下の温度に調整された環境下で静置して冷却固化すればよい。
【0040】
本発明の方法の具体的な態様としては、次のものが挙げられる。
【0041】
予め、常温で酒類と35℃以上で溶解したチョコレートを激しく攪拌し混合乳化させ出来た酒類含有乳化組成物を冷却固化したものを準備する。前記酒類含有乳化組成物を均一に掛けるため、粉砕を行うが、本発明では液体窒素を用いる超低温凍結粉砕装置を用いて粉砕を行う。粒度には特に規定はないが散布してムラにならない程度の大きさで、好ましくは10メッシュから30メッシュである。なお、前記の混合乳化、冷却は公知の手法に基づいて行えばよい。
【0042】
まず、コーティングパンに可食センターを入れておき、溶解したチョコレートをセンターに均一に散布する。この操作を1回以上行いセンター表面上にチョコレート層を形成する。
【0043】
可食センターは、形状にも特に制限はない。室温20〜25℃、コーティングパンは、10〜50rpmで回転させながら操作を行う。
【0044】
次いで、前記チョコレート層中のチョコレートが冷却固化する直前に前記のように超低温凍結粉砕により粉状化させた酒類含有乳化組成物を散布し冷却固化させて酒類含有乳化組成物層を形成する。
【0045】
前記のようなチョコレート層の形成と酒類含有乳化組成物層の形成との操作を2回以上繰り返して行う。チョコレート層と酒類含有乳化組成物の重量比率(チョコレート層:酒類含有乳化組成物層)は、センターの大きさにより一概に限定できないが、2:1〜7:1が好ましく、4:1付近がより好ましい。それ以上冷却固化させた酒類含有乳化組成物の比率を増加させると、センターに十分付着しない現象が起きる。反対にチョコレート層の比率を増加させると酒類含有チョコレートのアルコール分が希釈され「香り」「風味」が弱くなる。各々の層が交互に少なくともそれぞれ2層以上となるように多層を形成することで目的の食品が得られる。
【0046】
なお、前記のように形成したチョコレート層と酒類含有乳化組成物層は、室温又はそれ以下、好ましくは20℃以下の温度に調整された環境下で冷却固化すればよい。
【0047】
例えば、前記コーティングを施した食品を、所定の温度に冷却された保冷庫中に入れればよい。
【0048】
以上のようにして得られる本発明の食品の製造方法にて、酒類を含有するチョコレートコーティングされた「香り」と「風味」が豊かな食品の製造方法を提供できる。
【実施例】
【0049】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
室温20℃で下記表1に示す組成でアルコール度数80°のラムと40℃で溶解したチョコレートを混合し、ハンドミキサー用いて激しく攪拌し混合乳化させた。後に室温にて冷却固化し、超低温粉砕装置(リンレックスミルLX−O型:ホソカワミクロン株式会社製)を用い手触りで25メッシュ程度に粉状化させておいたものを準備した。この酒類含有乳化組成物1のアルコール分は32重量%であった。
【0051】
【表1】

【0052】
センターとなる球状Φ6mmチョコレート100gをコーティングパン(容量1L)に投入し、回転数15rpmで回転させながら溶解したチョコレートをセンターに均一に散布した。チョコレート層が冷却固化する直前に前記の粉状化させた酒類含有乳化組成物1を散布し冷却固化させ形成した。チョコレートと酒類含有乳化組成物の投入する割合は、重量比で酒類含有乳化組成物を1部に対し、チョコレートを4部という割合でコーティングを行った。上記のようなチョコレート層の形成と酒類含有乳化組成物の形成との操作を繰り返して行い全重量が500gとなるところまで多層を形成した。なお、コーティング後に20℃に調整された環境下で冷却固化した。この多層の酒類含有チョコレートのアルコール分は、6.4重量%であり、食品中5.1重量%である。
【0053】
この食品はラムを含有したチョコレートコーティングを実現し、豊かな酒類本来の「香り」と「風味」が十分に引き出された食品であった。
【0054】
(実施例2)
室温20℃で下記表2に示す組成でアルコール度数50°のブランデーと40℃で溶解したチョコレートを混合し、ハンドミキサーを用いて激しく攪拌し混合乳化させた。後に20℃にて冷却固化し、超低温粉砕装置(リンレックスミルLX−O型:ホソカワミクロン株式会社製)を用い実施例1と同程度に粉状化させておいたものを準備した。この酒類含有乳化組成物2のアルコール分は20重量%であった。
【0055】
【表2】

【0056】
焙煎し殻から取り出したピスタチオ100gをセンターとしてコーティングパンに投入し、回転数15rpmで回転させながら溶解したチョコレートをセンターに均一に散布した。チョコレート層が冷却固化する直前に前記の粉状化させた酒類含有乳化組成物2を散布し冷却固化させ形成した。チョコレートと酒類含有乳化組成物の投入する割合は、重量比で酒類含有乳化組成物を1部対し、チョコレートを2部という割合でコーティングを行った。上記のようなチョコレート層の形成と酒類含有乳化組成物の形成との操作を繰り返して行い全重量が400gとなるところまで多層を形成した。なお、コーティング後に20℃に調整された環境下で冷却固化した。この多層の酒類含有チョコレートのアルコール分は、6.7重量%であり、食品中5.4重量%である。
【0057】
この食品はブランデーを含有したチョコレートコーティングを実現し、豊かな酒類本来の「香り」「風味」が十分に引き出されたナッツ食品であった。
【0058】
(比較例1)
室温20℃で表1に示す組成でアルコール度数80°のラムと40℃で溶解したチョコレートを混合し、ハンドミキサー用いて激しく攪拌し混合乳化させた。後に室温にて冷却固化し、25メッシュサイズのメッシュにかけ押出して粉状化させておいたものを準備した。この酒類含有乳化組成物3のアルコール分は32重量%であった。
【0059】
センターとなる球状Φ6mmチョコレート100gをコーティングパン(容量1L)に投入し、回転数15rpmで回転させながら溶解したチョコレートをセンターに均一に散布した。チョコレート層が冷却固化する直前に前記、粉状化させた酒類含有乳化組成物1を散布し冷却固化させ形成した。チョコレートと酒類含有乳化組成物の投入する割合は、重量比で酒類含有乳化組成物を1部対し、チョコレートを4部という割合でコーティングを行った。上記のようなチョコレート層の形成と酒類含有乳化組成物の形成との操作を繰り返して行い全重量が500gとなるところまで多層を形成した。なお、コーティング後に20℃に調整された環境下で冷却固化した。この多層の酒類含有チョコレートのアルコール分は、6.4重量%であり、食品中5.1重量%である。
【0060】
この食品はラムを含有したチョコレートコーティングを実現しておりアルコール感が強いが、酒類本来の「香り」「風味」に関しては乏しい食品であった。
【0061】
(比較例2)
室温20℃とし、センターとなる焙煎したホールアーモンド100gをコーティングパンに投入した。回転数15rpmで回転させながら下記表3に示す組成で2℃に冷却したアルコール度数40°のラムと、40℃で溶解したチョコレートを混合し、ハンドミキサー用いて激しく攪拌し混合乳化させた液状の酒類含有乳化組成物3を散布した。しかし、酒類含有乳化組成物3にボテが生じて、アーモンド同士がくっつく現象が起き、コーティングが不可能であった。
【0062】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食センターを転動させ、
液状のチョコレートを散布し、
次に予め酒類とチョコレートを攪拌し混合乳化、冷却固化し、次いで、液体窒素を用いて超低温凍結粉砕した酒類含有乳化組成物を散布し、
冷却固化させることを特徴とする酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法。
【請求項2】
前記液状のチョコレートの散布と、乳化組成物の散布を繰り返す請求項1記載の酒類含有チョコレートでコーティングされた食品の製造方法。

【公開番号】特開2010−193830(P2010−193830A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44363(P2009−44363)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】