説明

酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット並びにこれを用いた酢酸耐性乳酸菌の検出方法

【課題】酢酸性食品中に存在する変敗原因乳酸菌ラクトバチルス・ブフネリおよびラクトバチルス・プランタラムを、同時にかつ簡便、迅速に検出すること。
【解決手段】特定のオリゴヌクレオチドからなるプライマーを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを検体に加え、PCR(Polymerase Chain Reaction)法によりプライマーの伸長反応と標的とするヌクレオチド配列の増幅を行い、そのヌクレオチド配列の検出を行って、酢酸性食品中の酢酸耐性乳酸菌ラクトバチルス・ブフネリおよびラクトバチルス・プランタラムを単独または同時に検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酢酸などを用いた食品の変敗原因菌である酢酸耐性乳酸菌の検出方法に関する。複数のプライマーを組み合わせたプライマーセットを用い、PCR法により、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを迅速かつ同時に特異的に検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズ、ドレッシングなどは、用いている酢酸などの静菌作用により、一般的な汚染菌による食品の腐敗は抑えられている。しかしながら、酢酸耐性乳酸菌は低いpHの環境においても増殖が可能で、糖を分解して、乳酸に変える作用があり、またガスを出す種類のものもあり、食品変敗の原因菌となりうるものである。酢酸耐性乳酸菌に属する代表的な細菌としてはラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムが挙げられ、食品変敗の原因菌としてこの2種類の細菌が原因となっているケースが多かった。
しかし、これまで、酢酸耐性乳酸菌の検出は、培地における増殖速度が遅いため、検出、同定するまで時間がかかっていていた。特にラクトバチルス・ブフネリは増殖力が弱いため、当初検出できず、他の菌が増殖し、製品中の酸、塩などにより徐々に他の菌が減少した後、検出される場合があり、検出しずらいものであった。また、菌の同定には、食品から菌を分離培養、純粋化し、同定するといった工程を踏むため、多大な時間と手間がかかり、しかも、同定作業は、それぞれの菌ごとに行なわなければならなかった。
よって、製品の品質管理をする上で、食品中に存在する他の細菌の存在を気にすることなく、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを迅速かつ同時に、特異的に検出できる方法が望まれていた。
そこで、迅速に検出できる方法としてPCRを用いることが考えられる。ここで適用できるものとして、ラクトバチルス・ブフネリに関しては、ヒスチジン脱カルボキシ酵素(hdcA)遺伝子の配列に基づいてラクトバチルス・ブフネリ、ロイコノストック オーエノス、ラクトバチルス spなどに反応するプライマーが報告されている(非特許文献1)。しかし、このプライマーは、ラクトバチルス・ブフネリだけを選択的に検出できるプライマーではなかった。また、ラクトバチルス・プランタラムと同時に検出できるためのプライマーではなかった。
【0003】
また、ラクトバチルス・プランタラムを含む酢酸耐性乳酸菌の検出に関しては、いくつか報告がある。特開2004−329161号公報(特許文献1)ではラクトバチルス属に属する酢酸耐性乳酸菌群に属する細菌の迅速検出法が開示されている。この方法によれば、ラクトバチルス属に属する酢酸耐性乳酸菌群を検出可能にするが、個々の菌であるラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを特異的に区別し検出、同時に同定するものではなかった。
また、特開平10−210980号公報(特許文献2)、特開2005−270095公報(特許文献3)では、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を含むいくつかの菌の同時検出が報告されている。しかしながら、これらについてもラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを同時に特異的に検出するものではなかった。
【0004】
よって、従来の方法では、いずれの方法によっても、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを同時に特異的に検出するものではなかった。
【0005】
【非特許文献1】Journal of Applied Bacteriology 1995 78 316−326
【特許文献1】特開2004−329161号公報
【特許文献2】特開平10 −210980号公報
【特許文献3】特開2005−270095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来法では目的菌を同定するには、食品より菌を分離培養、純粋化し、同定するといった工程で多大な手間と時間がかかっていた。しかも、作業は、それぞれの菌ごとに行なわなければならなかった。本発明はラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを迅速かつ同時に、特異的に検出することも可能とした手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、酢酸耐性乳酸菌の特定種であるラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを迅速かつ同時に特異的に検出できる新規のプライマーを開発することとした。
通常、これまでの多くの特許、文献では16SrDNA配列をコードするヌクレオチド配列の種のレベルにより異なっている領域を探索し、当該領域の中の特定の配列を標的とするプライマーが作製されることが多かった。よって本発明者もラクトバチルス・ブフネリの16SrDNA配列をコードするヌクレオチド配列の特異的な配列と思われる部位を標的にプライマーを作製した。しかしながら、ラクトバチルス・ブフネリが反応するものの、一部他のラクトバチルス属が反応してしまいラクトバチルス・ブフネリの特異的な検出が出来なかった。
そこで、鋭意検討し、ターゲット遺伝子の変更を行った。注目した遺伝子はrecA遺伝子である。recA遺伝子は、組み換えDNA修復系に中心的な役割を果たしている遺伝子である。
本発明者は、recA遺伝子をコードするヌクレオチド配列において、他種の株の配列とは異なっている特徴的な領域を探索し、当該領域の中の特定配列を標的とする配列番号1〜5のプライマーを新規に開発した。さらにそれらを混合し、プライマーセットとして使用しても酢酸耐性乳酸菌のラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを特異的に検出できること、また、他のラクトバチルス属からも良好に識別できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、下記配列番号1、2、3、4に示される塩基配列を有するプライマーの群から選択される一又は複数のプライマーを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを提供する。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
(5')TTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3') (配列番号3)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【0009】
本発明は、乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、下記配列番号1、2、5、4に示される塩基配列を有するプライマーの群から選択される一又は複数のプライマーを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを提供する。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
(5')ATTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3')(配列番号5)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【0010】
本発明は、乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを提供する。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
【0011】
本発明は、乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを提供する。
(5')TTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3') (配列番号3)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【0012】
本発明は、乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号5に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットを提供する。
(5')ATTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3')(配列番号5)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【0013】
本発明は、請求項1〜5に記載した酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットのいずれかを検体に加え、PCR(Polymerase Chain Reaction)法によりプライマーの伸長反応と標的とするヌクレオチド配列の増幅を行い、そのヌクレオチド配列の検出を行なうことを特徴とする酢酸耐性乳酸菌ラクトバチルス・ブフネリおよびラクトバチルス・プランタラムを単独または同時に検出する方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食品中の酢酸耐性乳酸菌であるラクトバチルス・ブフネリ又はラクトバチルス・プランタラムを高い検出感度で迅速かつ同時に特異的に検出することができる。よって、従来、食品から菌を培養、単離、同定するといった工程では時間がかかっていたものが、食品中の他の菌の存在を考慮せず、食品中に存在する目的菌を迅速に特異的に検出できる。これによりマヨネーズ、ドレッシングなどで、酢酸耐性乳酸菌食品の汚染を簡便、迅速に検出出来る。また、菌数が多い変敗食品の場合、食品から直接、集菌し、目的菌を検出することも可能である。
【0015】
また、本発明によれば、熟練を必要とすることなく、簡易にラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムを同時に、両菌を特異的に検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において、酢酸耐性乳酸菌を検出するために用いる遺伝子増幅に関する技術は、Saikiらが開発したPolymeraseChain Reaction法(PCR法;Science 230,13-50,1985)を基に行なうことが出来る。
【0017】
本発明の対象としている酢酸耐性乳酸菌は、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムである。
【0018】
本発明では、ラクトバチルス属に属するラクトバチルス・ブフネリ及びラクトバチルス・プランタラムを検出するため、各菌のrecA遺伝子と特異的に反応するプライマーを組み合わせて用い、PCR反応、電気泳動等により検体中に当該菌が存在するか否かを迅速かつ同時に、特異的に検出できるものである。電気泳動の結果において、増幅産物の大きさから両菌が特異的に検出できるものである。
【0019】
本発明では、PCR法により酢酸耐性乳酸菌を検出する際に使用するプライマーとして、特定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを使用する。このプライマーセットとして、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマー、配列番号2に示される塩基配列を有するプライマー、配列番号3の塩基配列を有するプライマー、配列番号4の塩基配列を有するプライマーを含有するプライマーセットもしくは、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマー、配列番号2に示される塩基配列を有するプライマー、配列番号5に示される塩基配列を有するプライマー、配列番号4の塩基配列を有するプライマーを含有するプライマーセットを用いることが出来る。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
(5')TTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3') (配列番号3)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
(5')ATTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3')(配列番号5)
【0020】
配列番号1又は配列番号2で示されるオリゴヌクレオチドの配列は、ラクトバチルス・ブフネリのrecA遺伝子領域に存在し、当該ラクトバチルス・ブフネリに特異的な塩基配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドである。配列番号3又は配列番号4又は配列番号5で示されるオリゴヌクレオチドの配列は、ラクトバチルス・プランタラムのrecA遺伝子領域に存在し、当該ラクトバチルス・プランタラムに特異的な塩基配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドである。
【0021】
また、前述の配列番号1〜5の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのうち、配列番号1、配列番号3及び配列番号5の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドはフォワードプライマーであり、配列番号2及び配列番号4の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドはリバースプライマーである。
【0022】
PCR反応を用いて遺伝子増幅を行なう場合、フォワードプライマーとリバースプライマーを一対で用いるのが好ましい。したがって、本発明のプライマーセット中、配列番号1の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号2の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号5の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをそれぞれ一対のプライマーとして使用することが好ましい。
【0023】
検体により、対象となる菌がラクトバチルス・ブフネリのみ又はラクトバチルス・プランタラムのみの場合、プライマーを選択し、使用することも出来る。ラクトバチルス・ブフネリだけを選択的に検出したい場合は、配列番号1の塩基配列を有するプライマー、配列番号2の塩基配列を有するプライマーを含有するプライマーセットを用いることが出来る。
【0024】
ラクトバチルス・プランタラムだけを選択的に検出したい場合は、配列番号3の塩基配列を有するプライマー、配列番号4の塩基配列を有するプライマーを含有するプライマーセット又は配列番号5の塩基配列を有するプライマー、配列番号4の塩基配列を有するプライマーを含有するプライマーセットを用いることが出来る。
【0025】
本発明の対象となる食品は酢酸耐性乳酸菌に汚染される可能性のある食品であれば、特に限定されない。対象の食品としては加工食品の他、その材料なども対象となる。例えば、マヨネーズ、ドレッシング等およびこれらの原材料が挙げられる。
【0026】
このような食品から培地などを用い、菌を分離培養する。ただし、菌が純粋に単離培養されない状態で用いても目的菌の検出が出来る。また、変敗した製品から、直接菌を集菌し、用いても目的菌の検出が出来る。
【0027】
各菌からのDNAの抽出方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、菌体を生理食塩水中に懸濁し、沸騰水中で10分加熱し、次いで遠心分離して、上清を採取することによりDNAを含有する試料を調製することができる。又は市販のDNA抽出用試薬(PrepMan Ultra Reagent等 ABI社製)を使用しても良い。
【0028】
次に、DNAに対して本発明のプライマーセットを用い、常法に従って、PCR反応を行なうことにより、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムに特異的なオリゴヌクレオチドを増幅させる。
【0029】
まず、検体を加熱変性し、2本鎖DNAを1本鎖にする。これに本発明のプライマーセットを添加し、各プライマーとアニーリングさせる。DNAポリメラーゼと酵素基質の(dNTP)により検体に特異的なオリゴヌクレオチドの伸長を行なう。この反応を20〜40サイクル行なうことにより目的の特異的なオリゴヌクレオチドを検出可能な程度に増幅できる。
【0030】
また、この増幅の有無の確認は、アガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドなどで染色することにより行なうことが出来る。ラクトバチルス・ブフネリが存在する場合、240塩基対程度の大きさの増幅産物が検出される。また、ラクトバチルス・プランタラムが存在する場合、520塩基対程度の大きさの増幅産物が検出される。これにより検体中のラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムの存在を容易にかつ確実に検出することが可能となる。
【実施例1】
【0031】
recA遺伝子をコードするヌクレオチド配列に基づいたラクトバチルス・ブフネリのプライマーの検討
(1)試験菌の調製
検出用プライマーがラクトバチルス・ブフネリに対し特異的であるか確認するために、以下の試験を行なった。試験菌としては表1に記載した菌株を用いた。試験菌株No.16はL.buchneri JCM1115とL.plantarum NBRC3070をミックスした。試験菌株No.26は製品から検出された菌を市販の同定キット及びDNAシーケンサーによる同定作業により菌種を確認したものを使用した。
それぞれ菌に適した培地を使い、培養した。ラクトバチルス属細菌はMRS 寒天培地(Difco)のようなラクトバチルス属細菌の選択培地に接種し、培養した。各菌は培養後、市販のDNA抽出用試薬(PrepMan Ultra Reagent ABI社製)を用いてDNA抽出をした。
【0032】
(2)プライマーの合成
ラクトバチルス・ブフネリのrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とするプライマーとして、配列番号1、配列番号2の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをホスホアミダイト法により、それぞれ合成した。
【0033】
(3)反応液の調製
反応液は、DNA溶液1μlに配列番号1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド50pmolと配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつ、さらにPremix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水7μlの合計20μlとした。
【0034】
(4)PCR反応
PCRは、タカラバイオ社のTaKaRa PCR Thermal Cycler TP-400を用いた。PCR反応サイクルは、初期変性を95℃ 3分で行った後、95℃ 30秒、56℃ 30秒、72℃ 30秒を1サイクルとして30サイクル行い、72℃ 7分 4℃にてサイクルを終了した。
【0035】
(5)増幅産物の確認
目的とする増幅産物の有無を確認するため、アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイドによる染色を行った。電気泳動はエチジウムブロマイド入り2%のアガロースゲルを使用し、電気泳動バッファー中、100Vで30分行なった。トランスイルミネータで発色させ、デジタルカメラで撮影した。電気泳動時に既知のDNA分子量マーカーと比較することで、検出されたヌクレオチド配列断片の大きさを算出した。
【0036】
(6)結果
結果は表1に示した。表中の+は電気泳動により目的とする増幅産物が検出されたことを示し、マイナスは目的とする増幅産物が検出されなかったことを示す。表1に示したようにrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とした配列番号1と配列番号2からなるプライマーを用いることで、ラクトバチルス・ブフネリだけが特異的に検出できることが確認された。
また、電気泳動後のゲルについて一例を図1に示した。レーン[3]〜[5]のラクトバチルス・ブフネリだけが240塩基対程度の大きさで特異的に検出できた。
【0037】
【表1】

【実施例2】
【0038】
recA遺伝子をコードするヌクレオチド配列に基づいたラクトバチルス・プランタラムのプライマーの検討
ラクトバチルス・ブフネリとラクトバチルス・プランタラムの同時検出を行なうため、ラクトバチルス・プランタラムのプライマーの検討を行った。実施例1によるラクトバチルス・ブフネリの増幅産物(240塩基対程度)と同等の大きさにならないようにプライマーの設計を行った。
(1)試験菌の調製
検出用プライマーセットが、ラクトバチルス・プランタラムに特異的であるか確認するとともに増幅産物がラクトバチルス・ブフネリの増幅産物と異なる大きさになるか確認した。試験菌株、培養方法、DNAの抽出方法も実施例1の「(1)試験菌の調製」に記載の方法に準じた。
【0039】
(2)プライマーの合成
ラクトバチルス・プランタラムのrecA遺伝子のコードするヌクレオチド配列を標的とするプライマーとして、配列番号3、配列番号4、配列番号5の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをそれぞれホスホアミダイト法により合成した。配列番号3と配列番号5はフォワードプライマー、配列番号4は、リバースプライマーとして、(I)配列番号3と配列番号4のオリゴヌクレオチドから成るプライマーセットと、(II)配列番号5と配列番号4のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用意した。
【0040】
(3)反応液の調製
反応液として2組を用意した。
(i)DNA溶液1μlに、配列番号3の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド50pmolと配列番号4の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつ、Premix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水7μlの合計20μlとした。
(ii)DNA溶液1μlに、配列番号5の塩基配列からなるプライマー50pmolと配列番号4の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつ、Premix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水7μlの合計20μlとした。
【0041】
(4)PCR反応
実施例1の「(4)PCR反応」に記載の方法に準じた。
【0042】
(5)増幅産物の確認
実施例1の「(5)増幅産物の確認」に記載の方法に準じた。
【0043】
(6)結果
結果は表1に示した。表1に示したように、recA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とした配列番号3と配列番号4からなるプライマーを用いることで、ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に検出できることが確認された。また、配列番号5と配列番号4からなるプライマーを用いても、ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に検出できることが確認された。電気泳動後のゲルの一例を図2及び図3に示した。図2ではレーン[9]のラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に反応した。図3でもレーン[9]のラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に反応した。また検出された増幅産物は、520塩基対程度の大きさで、実施例1のラクトバチルス・ブフネリの増幅産物の240塩基対程度の大きさとは異なることが確認された。
【実施例3】
【0044】
recA遺伝子をコードするヌクレオチド配列に基づいたラクトバチルス・ブフネリ及びラクトバチルス・プランタラムの同時検出の検討
ラクトバチルス・ブフネリとラクトバチルス・プランタラムの同時検出を行なうため、実施例1のプライマー、実施例2のプライマーを用いて同時検出の検討を行った。
(1)試験菌の調製
検出用プライマーセットが、ラクトバチルス・ブフネリとラクトバチルス・プランタラムに特異的であるか確認するため、以下の試験を行なった。試験菌株、培養方法、DNAの抽出方法も実施例1の「(1)試験菌の調製」に記載の方法に準じた。
【0045】
(2)プライマーの合成
実施例1、実施例2で用いたプライマーを使用し、
(I')配列番号1+配列番号2+配列番号3+配列番号4のプライマーセット
(II')配列番号1+配列番号2+配列番号5+配列番号4のプライマーセット
とした。
【0046】
(3)反応液の調製
反応液は2組用意した。
(i')DNA溶液1μlに対し、配列番号1+配列番号2+配列番号3+配列番号4の各オリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつからなるプライマーセット、Premix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水5μlの合計20μlとした。
(ii')DNA溶液1μlに対し、配列番号1+配列番号2+配列番号5+配列番号4の各オリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつからなるプライマーセットPremix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水5μlの合計20μlとした。
【0047】
(4)PCR反応
実施例1の「(4)PCR反応」に記載の方法記載の方法に準じた。
【0048】
(5)増幅産物の確認
実施例1の「(5)増幅産物の確認」に記載の方法に準じた。
【0049】
(6)結果
表1に結果を示した。表1に示したように、(I')配列番号1+配列番号2+配列番号3+配列番号4のプライマーセットを用いることで、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に検出できることが確認された。
また、(II')配列番号1+配列番号2+配列番号5+配列番号4のプライマーセットを用いても、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に検出できることが確認された。電気泳動後のゲルの一例を図4及び図5に示した。図4ではレーン[3]のラクトバチルス・ブフネリ、レーン[9]のラクトバチルス・プランタラム、レーン[13]のラクトバチルス・ブフネリ+ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に反応した。図5においてもレーン[3]のラクトバチルス・ブフネリ、レーン[9]のラクトバチルス・プランタラム、レーン[13]のラクトバチルス・ブフネリ+ラクトバチルス・プランタラムだけが特異的に反応した。
よって、2組のプライマーセットのどちらを用いても、ラクトバチルス・ブフネリとラクトバチルス・プランタラムだけを特異的に検出できることが確認された。電気泳動において検出された増幅産物の大きさで、検出された菌がラクトバチルス ブフネリなのかラクトバチルス プランタラムなのかも判別可能であることが確認された。
【実施例4】
【0050】
本発明プライマーによる検出、同定とDNAシーケンサーによる同定法との比較
製品よりMRS寒天培地にて検出されたコロニー(乳酸菌群検査後、多数のコロニーあり)について、本発明のプライマーにて菌種の同定を行った。比較対照として、DNAシーケンサーによる同定も行い、試験の迅速性、簡便性を比較した。
(1)試験サンプルの調製
菌株として、(A).製品よりMRS寒天培地にて検出されたコロニー菌株(未分離培養菌株)、(B).(A)のコロニー菌株を、さらに分離培養を2回繰り返したもの(純粋培養菌株)の2種類を用意した。各菌は培養後、市販のDNA抽出用試薬(PrepMan Ultra Reagent ABI社製)を用いてDNA抽出をした。
【0051】
1.プライマーによる検出、同定
(1)反応液の調製
DNA溶液1μlに対し、配列番号1+配列番号2+配列番号3+配列番号4の各オリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつからなるプライマーセット、Premix Taq 10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水5μlの合計20μlとした。
【0052】
(2)PCR反応
実施例1の「(4)PCR反応」に記載の方法記載の方法に準じた。
【0053】
(3)増幅産物の確認
実施例1の「(5)増幅産物の確認」に記載の方法に準じた。
【0054】
(4)結果
図6に結果を示した。レーン[1]〜[3]は、(B)の分離培養菌株、レーン[4]は、(A)の未分離培養菌株の結果を示した。増幅産物は520塩基対程度の大きさで、ラクトバチルス・プランタラムであることが判明した。未分離培養菌株においても菌種が同定できることが確認できた。よって、本発明のプライマーによる検出方法では、製品よりMRS寒天培地にて検出されたコロニー菌株(未分離培養菌株)を入手し、DNAの抽出からPCR増幅反応、電気泳動による確認まで約5時間程度で菌種が同定できた。
【0055】
2.DNAシーケンサーによる同定
(1)反応液の調製
純粋培養株より得たDNA溶液1μlに対し、16SrDNAをコードする全領域に対する共通プライマーである2種類のヌクレオチド100pmolを各々1μlずつ用い、
(5')AGTTTGATCMTGGCTCA(3')
(5')GGCTACCTTGTTACGA(3')
さらに、Premix Taq25μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水22μlを加え、合計50μlとした。
【0056】
(2)16SrDNA増幅反応
サーマルサイクラーにて、最適条件にてDNAの増幅反応を行った。
【0057】
(3)電気泳動による確認
PCR増幅産物を電気泳動し、16SrDNAをコードする約1500塩基対のDNAの増幅を確認した。
【0058】
(4)PCR増幅産物の精製
PCR増幅産物をMicrocon YM-100(MILLIPORE製)を使用し、精製した。
【0059】
(5)DNA塩基配列決定反応(サイクルシーケンス反応)
PCR増幅産物精製物10〜40ng、Primer(3.2pmol)、BigDye Terminator v1.1(ABI社製)8μl及び超純水を加え、20μlとした。サーマルサイクラーにて、最適条件にてDNAの増幅反応を行った。
【0060】
(6)シーケンス産物の精製
スピンカラム(Centri sep spincolumus CS-901 ABI社製)を使用し、シーケンス産物の精製を行った。
【0061】
(7)DNA塩基配列決定反応
シーケンス産物の塩基配列を「DNA Sequencer ABI PRISM 310Genetic Analyzer (ABI社製)」で解読した。
【0062】
(8)データベース相同性検索
BLAST Homology Searchで国際DNAデータベース(GeneBank/ENBL/DDBJ)により、解読した塩基配列の相同性検索及び近縁種の検索を行った。
【0063】
(9)結果
相同性検索の結果、試験菌株はラクトバチルス・プランタラムである可能性が高いと推定され、本発明によるプライマーによる検出、同定と同じ菌種を示した。
しかしながら、DNAシーケンサーによる同定方法によれば、製品よりMRS寒天培地にて検出されたコロニー菌株(未分離培養菌株)を入手し、分離培養を2回繰り返し、一連の塩基配列解読による同定結果にまで至るまでの日数は5日間を要した。
【0064】
3.まとめ
よって、表2に示した通り、本発明のプライマーによる方法を用いれば、コロニーを入手した同日に、ラクトバチルス・ブフネリ又はラクトバチルス・プランタラムであるか特異的な検出が可能であり、DNAシーケンサーによる同定の方法に比べ、簡便に、非常に短時間で同定できることが確認できた。
【0065】
【表2】

【実施例5】
【0066】
試験変敗ドレッシングからの変敗菌の直接検出の検討
変敗した製品(モデル)から、培地による培養はせず、直接、菌を集菌し、DNA抽出して本プライマーによる検出が出来るか検討した。
【0067】
(1)試験変敗ドレッシングの調製
ラクトバチルス・ブフネリJCM1115、ラクトバチルス・ブフネリ JCM1068、ラクトバチルス・プランタラムNBRC3070、ラクトバチルス・ブレビスNBRC3345の4種類の菌株を用いた。それぞれの菌ごとに、ドレッシング1mLあたり、1μg接種し、30℃にて24時間培養し、4種類の試験変敗ドレッシングとした。
【0068】
(2)DNA抽出
試験変敗ドレッシングを遠心分離し集菌した。菌は、市販のDNA抽出用試薬(PrepMan Ultra Reagent(ABI社製))を用いてDNA抽出をした。
【0069】
(3)反応液の調製
DNA溶液1μlに対し、配列番号1+配列番号2+配列番号3+配列番号4の各オリゴヌクレオチド50pmolを各々1μlずつからなるプライマーセット、Premix Taq10μl(タカラバイオ社製)、及び滅菌超純水5μlの合計20μlとした。
【0070】
(4)PCR反応
実施例1の「(4)PCR反応」に記載の方法記載の方法に準じた。
【0071】
(5)増幅産物の確認
実施例1の「(5)増幅産物の確認」に記載の方法に準じた。
【0072】
(6)結果
図7に結果を示した。レーン[1]およびレーン[4]はラクトバチルス・ブフネリを接種した検体であり、増幅産物もラクトバチルス・ブフネリの特異的位置(240塩基対付近)に確認できた。またレーン[2]は、ラクトバチルス・プランタラムを接種した検体であり、増幅産物もラクトバチルス・プランタラムの特異的位置(520塩基対付近)に確認できた。レーン[3]、レーン[5]、レーン[6]では、増幅産物の検出が見られなかった。以上のことから、ある程度、菌の変敗が進んだ製品(変敗した製品、一定の温度で一定期間保存した製品)からは、本発明によるプライマーにより直接、菌の同定が可能であることが確認できた。製品より直接、菌をサンプリング、同定できることで、従来より、迅速に、簡便に同定できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の酢酸耐性乳酸菌検出用プライマー並びにこれを用いたPCR法による検出方法は、酢酸性食品において、当該変敗原因乳酸菌であるラクトバチルス・ブフネリおよびラクトバチルス・プランタラムを、同時にかつ簡便、迅速に検出するために有用となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】ラクトバチルス・ブフネリプライマーによる特異的検出PCR反応結果を示すものである。
【図2】ラクトバチルス・プランタラムプライマーによる特異的検出PCR反応結果を示すものである。
【図3】ラクトバチルス・プランタラムプライマーによる特異的検出PCR反応結果を示すものである。
【図4】プライマーセットによるラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムの同時検出PCR反応結果を示すものである。
【図5】プライマーセットによるラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・プランタラムの同時検出PCR反応結果を示すものである。
【図6】製品から検出された菌の特異的検出PCR反応結果を示すものである。
【図7】試験変敗ドレッシングからの菌の特異的検出PCR反応結果を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、下記配列番号1、2、3、4に示される塩基配列を有するプライマーの群から選択される一又は複数のプライマーを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
(5')TTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3') (配列番号3)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【請求項2】
乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、下記配列番号1、2、5、4に示される塩基配列を有するプライマーの群から選択される一又は複数のプライマーを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
(5')ATTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3')(配列番号5)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【請求項3】
乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット。
(5')GAATATTGACGATCTGTTACTTTCACA(3') (配列番号1)
(5')ATCGTCTTGGTCTTACTGATCGTT(3') (配列番号2)
【請求項4】
乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット
(5')TTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3') (配列番号3)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【請求項5】
乳酸菌のrecA遺伝子をコードするヌクレオチド配列を標的とし、そのヌクレオチド配列の一部と相補的になるように化学合成されたオリゴヌクレオチドからなるプライマーを複数種含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットであって、配列番号5に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとを含有する酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセット。
(5')ATTTATCAATCAAATTCGTGAAAAAGTT(3')(配列番号5)
(5')TTAGTGGACTTACTTTGACCCTTACTG(3') (配列番号4)
【請求項6】
請求項1〜5に記載した酢酸耐性乳酸菌検出用プライマーセットのいずれかを検体に加え、PCR(Polymerase Chain Reaction)法によりプライマーの伸長反応と標的とするヌクレオチド配列の増幅を行い、そのヌクレオチド配列の検出を行なうことを特徴とする酢酸耐性乳酸菌ラクトバチルス・ブフネリおよびラクトバチルス・プランタラムを単独または同時に検出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−48652(P2008−48652A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227119(P2006−227119)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(592048475)鈴与株式会社 (6)
【Fターム(参考)】