酸化物超電導体及びその製造方法
【課題】従来の方法によって製造された酸化物超電導体はクラックが発生し磁場特性が悪い欠点があった。
【解決手段】本発明においては、RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して配列とされている面積が略300平方mm2以下の多数の板状前駆体溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめて酸化物超電導体形成する。
【解決手段】本発明においては、RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して配列とされている面積が略300平方mm2以下の多数の板状前駆体溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめて酸化物超電導体形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化物超電導体及びその製造方法、特に、支持体に溶融体を使用した酸化物超電導体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半溶融凝固法による酸化物超電導体の製造方法として、前駆体を成型し、セラミックス基材の上に設置し、炉内で半溶融凝固するものは知られている。この方法では半溶融凝固の際に酸化物超電導体が収縮し、前駆体と基板の間に応力が生じてクラックが発生する、又は基板の元素が前駆体に拡散して良好な超電導特性が得られない。
【0003】
そこで半溶融凝固の際、セラミックス基板上に前駆体と同じ複合酸化物、もしくは前駆体に対して溶融可能な粉を敷き、その上で前駆体を溶融させる方法がとられている。(特許文献1)。
【0004】
また、基板と前駆体の間に溶融法により作成した中間層を敷き、その中間層上の前駆体に穴あけ加工を行って酸化物超電導体を作成している。(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−262673号
【特許文献2】特開2002−265222号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然しながら敷き粉を使用した上記特許文献1の方法では、複合酸化物粉の液相成分の反応性が高いために溶融凝固の際に前駆体と敷き粉が反応して前駆体の液相成分が流れ出し、この流れ出した部分では結晶配向せず、組成ずれが起こる。また、基板に粉が融着して前駆体の収縮を妨げるため溶融凝固体表面・内部にクラックが生じやすく、溶融凝固体内部に組成ずれ、クラックが存在すると、その箇所で捕捉磁場が減少するために、良好な電気的、磁気的超電導特性が得られず、歩留まりが悪い。
【0006】
また、穴あけ加工した前駆体を溶融凝固体上で製造する上記特許文献2の方法では、前駆体に厚みの半分以上の深さの穴を開けるために、高い磁場密度が得られない。さらに、前駆体を保持する板状溶融バルクが大きい、もしくは板状溶融バルク間隔が近接しているため、前駆体が溶融凝固により収縮する際に、前駆体内に部分的に応力が大きい箇所が存在し、その発生した応力により前駆体内部、特に前駆体の下部にクラックが生じ、高い磁場特性が得られない。
【0007】
本発明の目的は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、半溶融凝固法による酸化物超電導体およびその製造方法において、酸化物超電導体内部の組成ずれとクラックの発生を抑制し、酸化物超電導体の厚み方向の電気特性、磁気特性の劣化の無い溶融体を歩留まりよく作成することにある。
【0009】
本発明の酸化物超電導体の製造方法は、RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して規則正しい配列とされている多数の板状前駆体溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、酸化物超電導体の溶融バルク内部に生ずる、結晶欠陥、組成ずれを低減する事が可能となる。特に溶融バルク内部においても結晶欠陥、組成ずれを低減することが可能となるため、高特性の酸化物超電導体を作成することが出来る。
【0011】
本発明の酸化物超電導体は、セラミックス基板上に、互いに離間して配列とされている面積が略300平方mm2以下の多数の板状溶融バルク中間層を介して配置され半溶融凝固されているRE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体より得た、表層以外の部分でも1.5T以上の捕捉磁場を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、厚み方向の電気特性、磁気特性の劣化のない酸化物超電導体を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の酸化物超電導体及びその製造方法によれば、溶融体内部の組成ずれ、クラックを抑制することができ、電気的特性、磁気的特性にも優れた溶融体を歩留まりよく作成することができる。また、超電導体上面の表層以外の部分でも電気的特性、磁気的特性に優れた酸化物超電導体を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における酸化物超電導体の製造方法は、図1に示すとおり、酸化物超電導体を構成する、1種類以上の希土類元素(RE)と、バリウム、銅とを含む混合粉に圧力をかけて成型した前駆体1を、支持体3上で溶融凝固させており、その支持体3は基板2で保持されている。
【0015】
基板3は前駆体の焼成温度においても、変形しない材料であれば良く、たとえば、アルミナ、部分安定化イットリウム(YSZ)、酸化マグネシウムなどのセラミックス材料を用いることができる。
【0016】
支持体は、前駆体と反応することがなく、熱膨張係数が近似した材質であればよい。支持体としては、前駆体と同一の元素からなる酸化物超電導体や、前駆体よりも融点が高い酸化物超電導体、たとえば希土類元素の異なる酸化物超電導体を一度溶融凝固させた溶融バルクを用いることで、前駆体の組成ズレを効果的に抑制することができ、好ましい。この溶融バルクとは、酸化物超電導体の原料を一度溶融し、凝固させた、溶融体と呼ばれる酸化物超電導体であって、反応性が低いため、前駆体の半溶融時に前駆体との接着力も小さく、結晶成長時(除冷時)における前駆体の収縮の際に、前駆体が溶融バルク上を滑る様に収縮するため内部応力も小さくなる、そのため、前駆体内にクラックを減少させることが可能となる。さらに基板3との反応性も小さいため、溶融バルクは基板状を滑る様に移動することが可能となり、前駆体が溶融バルクと接着した状態となっても、前駆体の収縮時における、前駆体内部に生じる内部応力を緩和し、クラックの発生を抑制することが出来る。
【0017】
溶融バルクはそれぞれ同一厚みの板状溶融バルク使用し、その溶融バルクの厚みは3mm以上、10mm以下とすることが好ましい。厚みが3mm以下になると、前駆体の半溶融時に前駆体の一部が基板と接触し、基板からの元素が拡散し組成ズレを引き起こしてしまう。また、10mm以上になると、前駆体とバルク間に生じた空間により前駆体表面との温度勾配の作成が困難になり、前駆体の結晶成長を阻害してしまい、均一に結晶配向した超電導体が得られず、電気的、磁気的特性が劣化してしまう。さらに厚みが均一に揃っているほど、局所的なクラックの発生を抑制でき、それぞれの板状溶融バルクの厚みの差を最大0.1mm以内とするのが好ましい。
【0018】
この溶融バルクはさまざまな形状とすることが可能であるが、四角形状の場合は対角線長を20mm以下、円形状の場合は直径20mm以下、楕円形状の場合は長軸長が20mm以下の板状溶融バルクを使用する、すなわち、この板状溶融バルクは形状によらず、最も長いところが20mm以下、好ましくはその面積が略300平方mm2以下となるようにすることで、さらに、効果的に前駆体内部のクラックを抑制することが可能となり、部分的な超電導特性の劣化、特に厚み方向の超電導特性を向上することが可能となる。
【0019】
加えて、上記板状溶融バルク間の距離は2mm以上、5mm以下とすると好ましい。前駆体は一度溶融させるために、温度を結晶成長温度以上に上昇させるが、その際に熱膨張し、その膨張の際に板状溶融バルク間の距離が広がる。しかし、結晶成長時で収縮する際には、板状溶融バルクの移動する長さは前駆体の収縮長よりも小さく、前駆体が板状溶融バルク上を滑るような形で収縮する。そのため、板状溶融バルク間の距離を5mm以上とすると、板状溶融バルクの間隔がさらに広がり、その板状溶融バルクが前駆体を支持していない部分、すなわち板状溶融バルク間隔が広くなると、その結晶成長の際に半溶融した前駆体が自重により落ち込み、クラックが生じる場合がある。また、前駆体が板状バルクと接着した際、前駆体の収縮時に板状溶融体も移動するため、板状バルク間距離が短くなる。そのため板状バルク間隔を2mm以下とすると、前駆体の収縮の際に板状バルク同士が接触し、前駆体内部に応力が生じ、クラックが発生するため、超電導特性が劣化してしまう。
【0020】
前駆体が、角型形状の場合、板状溶融バルクの配置位置は、前駆体の角に、好ましくは辺にも設置する。角に配置しないと、溶融したときに角の部分の膨張率が他の部分と異なり、周辺部が配向せず、高特性の溶融体が得られない。前駆体が円形の場合は円周に配置すると好ましい。
【0021】
本発明においては、上述の様に板状溶融バルクがセラミックス基板に融着しにくくなるので、前駆体が熱により収縮する際に、一様に基板上を滑るように収縮する。溶融体内部においても高い超電導特性を保持することが可能となり、特に厚み方向の結晶配向が促進され、表面から10mmを除去した酸化物超電導体でも表面部分を除去する前の90質量%(wt%)以上の捕捉磁場が得られる。
【0022】
本発明の酸化物超電導体は、8wt%乃至60wt%のAgを含むのが好ましい。また、酸化物超電導体は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、セリウム(Ce)の金属及びこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt%乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量で示す。)含むのが好ましい。
【0023】
さらには希土類元素がイットリウム(YSZ)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリウム(Gd)、ディスプロチウム(Dy)ホルミウム(Ho)から選ばれる1種、または2種以上の元素を少なくとも50wt%以上含むのが好ましい。
【0024】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明においては、Gd203、BaC03、CuOの各原料粉末をGd:Ba:Cu=1:2:3になるように秤量した後、混合し、920℃で30時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径3μmに粉砕し、再び930℃で30時間焼成した後、ライカイ機で平均粒径10μmに粉砕して、Gd1Ba2Cu307-xの粉末を作製した。
【0026】
また、上記各原料粉末をGd:Ba:Cu=2:1:1になるように秤量した後、混合し、890℃で20時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.7μmに粉砕し、再び890℃で20時間焼成した後、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.5μmに粉砕してGd2BaCuO5の粉末を作製した。次に、これらの仮焼粉をGd1Ba2Cu307-x:Gd2BaCuO5=1:0.2になるように秤量し、さらにPt粉末およびAg20粉末をPt含有量が0.52wt%、Ag含有量が15wt%になるように加えて混合した。
【0027】
このようにして作製された合成粉を80×65mm、厚さ26mmの直方体状にプレス成形して前駆体1を作製した。次に、図1及び図2に示すようにアルミナ基板2上に、予め溶融凝固させて作製しておいた前駆体1と同一組成の厚さ3mm、10mm角のサイズの多数の前駆体溶融バルク3を、前駆体1と基板2の間に中間層として格子状に規則正しく配列して介挿し、この1つ1つの溶融バルク中間層3間の間隔を約3〜5mmとした。
【0028】
次に2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0029】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体1の上部が低温側になるように前駆体1の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体1の上部の温度が995℃になるまで0.4℃/minで降温させた。次いで、予め溶融凝固させて作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まないNd1.8Ba2.4Cu3.40Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体1の上部に接触させ、995℃から1℃/hrの速度で985℃まで降温させた。この温度で100時間保持した後、915℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体1の下部を20時間で915℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0030】
このようにして結晶化した材料は、前駆体1は63×52mm、厚さ22mmに収縮し、板状溶融バルクが1mm埋まる状態で接着しており、それらの板状溶融バルク同士は接触していなかった。この結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0031】
この前駆体1を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Gd1+pBa2+q(Cu1-bAgb)3 0x 相中に0.1〜30μm程度のGd2+r Ba1+s(Cu1-dAgd)O5-y 相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、材料全体が種結晶を反映してディスク状材料の軸方向がc軸と平行であるように材料全体が均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。
【0032】
次に、この超電導体の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、試料表面の最大捕捉磁束密度は、図3に示すように1.64Tであった。
【0033】
次に、この超電導体を上面の中心部の位置から10mmをスライス加工により取り除いた。その上部の超電導体を取り除いた後の超電導体表面は、図4に示すとおり組成ズレ、クラックが見られなかった。そのスライス後の表面を、上述した方法と同じ条件で、超電導体に捕捉される磁束密度を測定した。その結果、試料表面の最大捕捉磁束密度は、図5に示すとおり、1.53Tであり、上部を取り除く前の93%であった。
【0034】
なお、本発明においては、中間層3は格子状に規則正しく配列されていなくても互いに間隔を有している限りランダムに配列されていても良い。
【0035】
(比較例1)
【0036】
前駆体の下方にGd1Ba2Cu307-x:Gd2BaCuO5=1:0.2で混合した粉を3mmの厚みで配置した以外は、実施例1と同様の方法で酸化物超電導体を作成した。この従来の敷き粉を用いた方法で得られた試料表面の最大捕捉磁束密度は図6に示すとおり、1.23Tを示していたが、その表面から10mmをスライスした後の試料は、図7に示すとおり、中央部では組成ずれやクラックが見られ、図8に示すとおり、その試料表面の捕捉磁束密度分布は不均一で複数のピークを有し、最大捕捉磁束密度は0.89Tとなり、上部を取り除く前の72%と低下が大きかった。
【0037】
(比較例2)
【0038】
前駆体の裏面の中央部に、直径8mm深さ16mmの穴をあけ、さらにその前駆体の下方に前駆体1と同一組成の、厚さ3mm、20mm角のサイズの多数の前駆体溶融バルク3をランダムに配置した以外は、実施例1と同様の方法で酸化物超電導体を作成した。このようにして結晶化した材料は、板状溶融バルクが1mm埋まる状態で接着しており、それらの板状溶融バルク同士の接触が数箇所見られた。
【0039】
その従来の前駆体に穴をあけ、板状溶融バルクを用いた方法で得られた試料表面の最大捕捉磁束密度は図9に示すとおり、1.44Tを示していたが、その表面から10mmをスライスした後の試料は、図10に示すとおり、組成ズレは見られないものの、板状溶融バルクが接触した箇所はクラックが見られ、図11に示すとおり、その試料表面の捕捉磁束密度分布は中央部に穴が存在するため特性が上昇せず、最大捕捉磁束密度は1.02Tとなり、上部を取り除く前の82%と低下が大きかった。かつクラックの部分で特性が低下していた。
【0040】
これに対し、本発明の酸化物超電導体の製造方法は上記の通りであるから前駆体1が収縮する際溶融バルク中間層3が基板2上で滑るように収縮するので前駆体1のクラック発生を抑制することができる。
【0041】
また、本発明の酸化物超電導体は特許文献2に記載の方法に比べ前駆体1に穴がないので磁場の特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の酸化物超電導体の製造方法の説明図である。
【図2】図1に示す方法における基板上の溶融バルク中間層の配置を示す平面図である。
【図3】本発明の酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図4】本発明の酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図5】図4に示す酸化物超電導体の捕捉磁束密度のグラフである。
【図6】本発明に対する比較例1における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図7】図6に示す酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図8】図6に示す酸化物超電導体の下部の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図9】本発明に対する比較例2における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図10】図9に示す酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図11】本発明に対する比較例2における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
1 前駆体
2 基板
3 前駆体溶融バルク
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化物超電導体及びその製造方法、特に、支持体に溶融体を使用した酸化物超電導体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半溶融凝固法による酸化物超電導体の製造方法として、前駆体を成型し、セラミックス基材の上に設置し、炉内で半溶融凝固するものは知られている。この方法では半溶融凝固の際に酸化物超電導体が収縮し、前駆体と基板の間に応力が生じてクラックが発生する、又は基板の元素が前駆体に拡散して良好な超電導特性が得られない。
【0003】
そこで半溶融凝固の際、セラミックス基板上に前駆体と同じ複合酸化物、もしくは前駆体に対して溶融可能な粉を敷き、その上で前駆体を溶融させる方法がとられている。(特許文献1)。
【0004】
また、基板と前駆体の間に溶融法により作成した中間層を敷き、その中間層上の前駆体に穴あけ加工を行って酸化物超電導体を作成している。(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−262673号
【特許文献2】特開2002−265222号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然しながら敷き粉を使用した上記特許文献1の方法では、複合酸化物粉の液相成分の反応性が高いために溶融凝固の際に前駆体と敷き粉が反応して前駆体の液相成分が流れ出し、この流れ出した部分では結晶配向せず、組成ずれが起こる。また、基板に粉が融着して前駆体の収縮を妨げるため溶融凝固体表面・内部にクラックが生じやすく、溶融凝固体内部に組成ずれ、クラックが存在すると、その箇所で捕捉磁場が減少するために、良好な電気的、磁気的超電導特性が得られず、歩留まりが悪い。
【0006】
また、穴あけ加工した前駆体を溶融凝固体上で製造する上記特許文献2の方法では、前駆体に厚みの半分以上の深さの穴を開けるために、高い磁場密度が得られない。さらに、前駆体を保持する板状溶融バルクが大きい、もしくは板状溶融バルク間隔が近接しているため、前駆体が溶融凝固により収縮する際に、前駆体内に部分的に応力が大きい箇所が存在し、その発生した応力により前駆体内部、特に前駆体の下部にクラックが生じ、高い磁場特性が得られない。
【0007】
本発明の目的は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、半溶融凝固法による酸化物超電導体およびその製造方法において、酸化物超電導体内部の組成ずれとクラックの発生を抑制し、酸化物超電導体の厚み方向の電気特性、磁気特性の劣化の無い溶融体を歩留まりよく作成することにある。
【0009】
本発明の酸化物超電導体の製造方法は、RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して規則正しい配列とされている多数の板状前駆体溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、酸化物超電導体の溶融バルク内部に生ずる、結晶欠陥、組成ずれを低減する事が可能となる。特に溶融バルク内部においても結晶欠陥、組成ずれを低減することが可能となるため、高特性の酸化物超電導体を作成することが出来る。
【0011】
本発明の酸化物超電導体は、セラミックス基板上に、互いに離間して配列とされている面積が略300平方mm2以下の多数の板状溶融バルク中間層を介して配置され半溶融凝固されているRE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体より得た、表層以外の部分でも1.5T以上の捕捉磁場を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、厚み方向の電気特性、磁気特性の劣化のない酸化物超電導体を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の酸化物超電導体及びその製造方法によれば、溶融体内部の組成ずれ、クラックを抑制することができ、電気的特性、磁気的特性にも優れた溶融体を歩留まりよく作成することができる。また、超電導体上面の表層以外の部分でも電気的特性、磁気的特性に優れた酸化物超電導体を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における酸化物超電導体の製造方法は、図1に示すとおり、酸化物超電導体を構成する、1種類以上の希土類元素(RE)と、バリウム、銅とを含む混合粉に圧力をかけて成型した前駆体1を、支持体3上で溶融凝固させており、その支持体3は基板2で保持されている。
【0015】
基板3は前駆体の焼成温度においても、変形しない材料であれば良く、たとえば、アルミナ、部分安定化イットリウム(YSZ)、酸化マグネシウムなどのセラミックス材料を用いることができる。
【0016】
支持体は、前駆体と反応することがなく、熱膨張係数が近似した材質であればよい。支持体としては、前駆体と同一の元素からなる酸化物超電導体や、前駆体よりも融点が高い酸化物超電導体、たとえば希土類元素の異なる酸化物超電導体を一度溶融凝固させた溶融バルクを用いることで、前駆体の組成ズレを効果的に抑制することができ、好ましい。この溶融バルクとは、酸化物超電導体の原料を一度溶融し、凝固させた、溶融体と呼ばれる酸化物超電導体であって、反応性が低いため、前駆体の半溶融時に前駆体との接着力も小さく、結晶成長時(除冷時)における前駆体の収縮の際に、前駆体が溶融バルク上を滑る様に収縮するため内部応力も小さくなる、そのため、前駆体内にクラックを減少させることが可能となる。さらに基板3との反応性も小さいため、溶融バルクは基板状を滑る様に移動することが可能となり、前駆体が溶融バルクと接着した状態となっても、前駆体の収縮時における、前駆体内部に生じる内部応力を緩和し、クラックの発生を抑制することが出来る。
【0017】
溶融バルクはそれぞれ同一厚みの板状溶融バルク使用し、その溶融バルクの厚みは3mm以上、10mm以下とすることが好ましい。厚みが3mm以下になると、前駆体の半溶融時に前駆体の一部が基板と接触し、基板からの元素が拡散し組成ズレを引き起こしてしまう。また、10mm以上になると、前駆体とバルク間に生じた空間により前駆体表面との温度勾配の作成が困難になり、前駆体の結晶成長を阻害してしまい、均一に結晶配向した超電導体が得られず、電気的、磁気的特性が劣化してしまう。さらに厚みが均一に揃っているほど、局所的なクラックの発生を抑制でき、それぞれの板状溶融バルクの厚みの差を最大0.1mm以内とするのが好ましい。
【0018】
この溶融バルクはさまざまな形状とすることが可能であるが、四角形状の場合は対角線長を20mm以下、円形状の場合は直径20mm以下、楕円形状の場合は長軸長が20mm以下の板状溶融バルクを使用する、すなわち、この板状溶融バルクは形状によらず、最も長いところが20mm以下、好ましくはその面積が略300平方mm2以下となるようにすることで、さらに、効果的に前駆体内部のクラックを抑制することが可能となり、部分的な超電導特性の劣化、特に厚み方向の超電導特性を向上することが可能となる。
【0019】
加えて、上記板状溶融バルク間の距離は2mm以上、5mm以下とすると好ましい。前駆体は一度溶融させるために、温度を結晶成長温度以上に上昇させるが、その際に熱膨張し、その膨張の際に板状溶融バルク間の距離が広がる。しかし、結晶成長時で収縮する際には、板状溶融バルクの移動する長さは前駆体の収縮長よりも小さく、前駆体が板状溶融バルク上を滑るような形で収縮する。そのため、板状溶融バルク間の距離を5mm以上とすると、板状溶融バルクの間隔がさらに広がり、その板状溶融バルクが前駆体を支持していない部分、すなわち板状溶融バルク間隔が広くなると、その結晶成長の際に半溶融した前駆体が自重により落ち込み、クラックが生じる場合がある。また、前駆体が板状バルクと接着した際、前駆体の収縮時に板状溶融体も移動するため、板状バルク間距離が短くなる。そのため板状バルク間隔を2mm以下とすると、前駆体の収縮の際に板状バルク同士が接触し、前駆体内部に応力が生じ、クラックが発生するため、超電導特性が劣化してしまう。
【0020】
前駆体が、角型形状の場合、板状溶融バルクの配置位置は、前駆体の角に、好ましくは辺にも設置する。角に配置しないと、溶融したときに角の部分の膨張率が他の部分と異なり、周辺部が配向せず、高特性の溶融体が得られない。前駆体が円形の場合は円周に配置すると好ましい。
【0021】
本発明においては、上述の様に板状溶融バルクがセラミックス基板に融着しにくくなるので、前駆体が熱により収縮する際に、一様に基板上を滑るように収縮する。溶融体内部においても高い超電導特性を保持することが可能となり、特に厚み方向の結晶配向が促進され、表面から10mmを除去した酸化物超電導体でも表面部分を除去する前の90質量%(wt%)以上の捕捉磁場が得られる。
【0022】
本発明の酸化物超電導体は、8wt%乃至60wt%のAgを含むのが好ましい。また、酸化物超電導体は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、セリウム(Ce)の金属及びこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt%乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量で示す。)含むのが好ましい。
【0023】
さらには希土類元素がイットリウム(YSZ)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリウム(Gd)、ディスプロチウム(Dy)ホルミウム(Ho)から選ばれる1種、または2種以上の元素を少なくとも50wt%以上含むのが好ましい。
【0024】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明においては、Gd203、BaC03、CuOの各原料粉末をGd:Ba:Cu=1:2:3になるように秤量した後、混合し、920℃で30時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径3μmに粉砕し、再び930℃で30時間焼成した後、ライカイ機で平均粒径10μmに粉砕して、Gd1Ba2Cu307-xの粉末を作製した。
【0026】
また、上記各原料粉末をGd:Ba:Cu=2:1:1になるように秤量した後、混合し、890℃で20時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.7μmに粉砕し、再び890℃で20時間焼成した後、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.5μmに粉砕してGd2BaCuO5の粉末を作製した。次に、これらの仮焼粉をGd1Ba2Cu307-x:Gd2BaCuO5=1:0.2になるように秤量し、さらにPt粉末およびAg20粉末をPt含有量が0.52wt%、Ag含有量が15wt%になるように加えて混合した。
【0027】
このようにして作製された合成粉を80×65mm、厚さ26mmの直方体状にプレス成形して前駆体1を作製した。次に、図1及び図2に示すようにアルミナ基板2上に、予め溶融凝固させて作製しておいた前駆体1と同一組成の厚さ3mm、10mm角のサイズの多数の前駆体溶融バルク3を、前駆体1と基板2の間に中間層として格子状に規則正しく配列して介挿し、この1つ1つの溶融バルク中間層3間の間隔を約3〜5mmとした。
【0028】
次に2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0029】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体1の上部が低温側になるように前駆体1の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体1の上部の温度が995℃になるまで0.4℃/minで降温させた。次いで、予め溶融凝固させて作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まないNd1.8Ba2.4Cu3.40Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体1の上部に接触させ、995℃から1℃/hrの速度で985℃まで降温させた。この温度で100時間保持した後、915℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体1の下部を20時間で915℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0030】
このようにして結晶化した材料は、前駆体1は63×52mm、厚さ22mmに収縮し、板状溶融バルクが1mm埋まる状態で接着しており、それらの板状溶融バルク同士は接触していなかった。この結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0031】
この前駆体1を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Gd1+pBa2+q(Cu1-bAgb)3 0x 相中に0.1〜30μm程度のGd2+r Ba1+s(Cu1-dAgd)O5-y 相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、材料全体が種結晶を反映してディスク状材料の軸方向がc軸と平行であるように材料全体が均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。
【0032】
次に、この超電導体の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、試料表面の最大捕捉磁束密度は、図3に示すように1.64Tであった。
【0033】
次に、この超電導体を上面の中心部の位置から10mmをスライス加工により取り除いた。その上部の超電導体を取り除いた後の超電導体表面は、図4に示すとおり組成ズレ、クラックが見られなかった。そのスライス後の表面を、上述した方法と同じ条件で、超電導体に捕捉される磁束密度を測定した。その結果、試料表面の最大捕捉磁束密度は、図5に示すとおり、1.53Tであり、上部を取り除く前の93%であった。
【0034】
なお、本発明においては、中間層3は格子状に規則正しく配列されていなくても互いに間隔を有している限りランダムに配列されていても良い。
【0035】
(比較例1)
【0036】
前駆体の下方にGd1Ba2Cu307-x:Gd2BaCuO5=1:0.2で混合した粉を3mmの厚みで配置した以外は、実施例1と同様の方法で酸化物超電導体を作成した。この従来の敷き粉を用いた方法で得られた試料表面の最大捕捉磁束密度は図6に示すとおり、1.23Tを示していたが、その表面から10mmをスライスした後の試料は、図7に示すとおり、中央部では組成ずれやクラックが見られ、図8に示すとおり、その試料表面の捕捉磁束密度分布は不均一で複数のピークを有し、最大捕捉磁束密度は0.89Tとなり、上部を取り除く前の72%と低下が大きかった。
【0037】
(比較例2)
【0038】
前駆体の裏面の中央部に、直径8mm深さ16mmの穴をあけ、さらにその前駆体の下方に前駆体1と同一組成の、厚さ3mm、20mm角のサイズの多数の前駆体溶融バルク3をランダムに配置した以外は、実施例1と同様の方法で酸化物超電導体を作成した。このようにして結晶化した材料は、板状溶融バルクが1mm埋まる状態で接着しており、それらの板状溶融バルク同士の接触が数箇所見られた。
【0039】
その従来の前駆体に穴をあけ、板状溶融バルクを用いた方法で得られた試料表面の最大捕捉磁束密度は図9に示すとおり、1.44Tを示していたが、その表面から10mmをスライスした後の試料は、図10に示すとおり、組成ズレは見られないものの、板状溶融バルクが接触した箇所はクラックが見られ、図11に示すとおり、その試料表面の捕捉磁束密度分布は中央部に穴が存在するため特性が上昇せず、最大捕捉磁束密度は1.02Tとなり、上部を取り除く前の82%と低下が大きかった。かつクラックの部分で特性が低下していた。
【0040】
これに対し、本発明の酸化物超電導体の製造方法は上記の通りであるから前駆体1が収縮する際溶融バルク中間層3が基板2上で滑るように収縮するので前駆体1のクラック発生を抑制することができる。
【0041】
また、本発明の酸化物超電導体は特許文献2に記載の方法に比べ前駆体1に穴がないので磁場の特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の酸化物超電導体の製造方法の説明図である。
【図2】図1に示す方法における基板上の溶融バルク中間層の配置を示す平面図である。
【図3】本発明の酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図4】本発明の酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図5】図4に示す酸化物超電導体の捕捉磁束密度のグラフである。
【図6】本発明に対する比較例1における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図7】図6に示す酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図8】図6に示す酸化物超電導体の下部の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図9】本発明に対する比較例2における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【図10】図9に示す酸化物超電導体をスライスして得た試料の平面図である。
【図11】本発明に対する比較例2における酸化物超電導体の捕捉磁場分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
1 前駆体
2 基板
3 前駆体溶融バルク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して配列されている面積が略300平方mm2以下の多数の板状溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめることを特徴とする酸化物超電導体の製造方法。
【請求項2】
RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体であって、前記超電導体の上部10mm除去した時の最大捕捉磁束密度が、前記超電導体の上部を除去する前の最大磁束密度の90%以上であることを特徴とする酸化物超電導体。
【請求項1】
RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体の前駆体とセラミックス基板の間に、互いに離間して配列されている面積が略300平方mm2以下の多数の板状溶融バルクを中間層として介挿し、上記前駆体を半溶融凝固せしめることを特徴とする酸化物超電導体の製造方法。
【請求項2】
RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素を示す)の酸化物超電導体であって、前記超電導体の上部10mm除去した時の最大捕捉磁束密度が、前記超電導体の上部を除去する前の最大磁束密度の90%以上であることを特徴とする酸化物超電導体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−269598(P2007−269598A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99932(P2006−99932)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]