説明

酸化還元電位水製造装置

【課題】 酸化還元電位水の製造効率を向上することが可能な酸化還元電位水製造装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本実施形態によれば、酸化還元電位水の製造時には、溶存水素計Hmにより溶存水素量を実測しなくても設定した値に近い溶存水素量の酸化還元電位水を製造することができる。また、酸化還元電位計RmによりORP値を実測しなくても、設定した許容最大値R,maxよりも小さいORP値の酸化還元電位水を最小限の水素ガス供給量で製造することができる。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置のように、溶存水素計Hm、酸化還元電位計Rmのメンテナンスや故障により酸化還元電位水の製造を中断されることが無くなり、製造効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化還元電位水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の酸化還元電位水製造装置として、水に水素ガスを溶解させて酸化還元電位を還元側に大きくした酸化還元電位水を製造するものが知られている。この酸化還元電位水製造装置では、溶存水素計及び/又は酸化還元電位計により、製造された酸化還元電位水の溶存水素量及び/又は酸化還元電位が常時計測されており、その計測値に基づいて、混合する水及び水素ガスの量を決定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、溶存水素計や酸化還元電位計は、定期的にメンテナンス(例えば、電極の研磨や校正)を行う必要があるため、上述した従来の酸化還元電位水製造装置では、計測器のメンテナンスを行う度に酸化還元電位水の製造を中断しなければならず、製造効率が悪いという問題があった。
なお、本願発明に関係する先行技術文献は、見つけることができなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、酸化還元電位水の製造効率を向上することが可能な酸化還元電位水製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る酸化還元電位水製造装置は、水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、水素ガス供給源から気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、単位体積当たりの水に含まれる水素ガス量である溶存水素量の設定値と水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量をデータテーブルから決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、設定値の水供給量の水と、データテーブル上の水素ガス供給量の水素ガスとが、気液混合ポンプに供給されるように水量変更手段及びガス量変更手段を制御し、製造される酸化還元電位水の溶存水素量を設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、溶存水素量を実測するための溶存水素計と、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量と水素ガス供給量とのそれぞれを水量変更手段及びガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら溶存水素量を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて溶存水素量の実測値をデータテーブルに上書きするデータテーブル更新手段とを備え、水素ガス供給量決定手段を作動しかつデータテーブル更新手段を停止する通常モードと、水素ガス供給量決定手段を停止しかつデータテーブル更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の酸化還元電位水製造装置において、水供給量の上限値と下限値及び溶存水素量の上限値と下限値を入力するためのリミット入力手段を設け、データテーブル更新手段は、リミット入力手段にて入力された上限値と下限値との範囲内で実際に気液混合ポンプに供給する水供給量を変化させると共に、溶存水素量が上限値と下限値との間に収まるように水素ガス供給量を変化させる構成とされたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の酸化還元電位水製造装置において、実際の水供給量及び/又は酸化還元電位水製造装置の運転時間の積算値が予め定められた所定の基準積算値を超えことを条件にして、通常モードから更新モードに切り替える第1のモード自動切替手段を備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の酸化還元電位水製造装置において、データテーブル更新手段と水素ガス供給量決定手段とを停止すると共に溶存水素計を作動し、溶存水素量の実測値と設定値との偏差を収束させるように溶存水素量をフィードバック制御するフィードバック制御モードに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の酸化還元電位水製造装置において、溶存水素計は酸化還元電位水の流路に着脱可能に設けられ、溶存水素計が取り外されたことを検出するための離脱検出手段と、離脱検出手段が溶存水素計の離脱を検出したことを条件にしてフィードバック制御モードから通常モードに切り替える第2のモード自動切替手段とを備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明に係る酸化還元電位水製造装置は、水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、水素ガス供給源から気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、単位体積当たりの水に含まれる水素ガス量である溶存水素量の設定値と水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量を演算式から決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、設定値の水供給量の水と、演算式にて決定された水素ガス供給量の水素ガスとが、気液混合ポンプに供給されるように水量変更手段及びガス量変更手段を制御し、製造される酸化還元電位水の溶存水素量を設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、溶存水素量を実測するための溶存水素計と、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量と水素ガス供給量とのそれぞれを、水量変更手段及びガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら溶存水素量を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と溶存水素量の実測値との相関関係から演算式を更新する演算式更新手段とを備え、水素ガス供給量決定手段を作動しかつ演算式更新手段を停止する通常モードと、水素ガス供給量決定手段を停止しかつ演算式更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明に係る酸化還元電位水製造装置は、水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、水素ガス供給源から気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、酸化還元電位の設定値と水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量をデータテーブルから決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、設定値の水供給量の水と、データテーブル上の水素ガス供給量の水素ガスとが、気液混合ポンプに供給されるように水量変更手段及びガス量変更手段を制御し、製造される酸化還元電位水の酸化還元電位を設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、酸化還元電位を実測するための酸化還元電位計と、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量と水素ガス供給量とのそれぞれを、水量変更手段及びガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら酸化還元電位を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて酸化還元電位の実測値をデータテーブルに上書きするデータテーブル更新手段とを備え、水素ガス供給量決定手段を作動しかつデータテーブル更新手段を停止する通常モードと、水素ガス供給量決定手段を停止しかつデータテーブル更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7に記載の酸化還元電位水製造装置において、水供給量の上限値と下限値及び酸化還元電位の許容最大値とを入力するためのリミット入力手段を設け、データテーブル更新手段は、リミット入力手段にて入力された上限値と下限値との範囲内で実際に気液混合ポンプに供給する水供給量を変化させると共に、酸化還元電位が許容最大値と飽和値との間に収まるように水素ガス供給量を変化させる構成とされたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の酸化還元電位水製造装置において、実際の水供給量及び/又は酸化還元電位水製造装置の運転時間の積算値が予め定められた所定の基準積算値を超えことを条件にして、通常モードから更新モードに切り替える第1のモード自動切替手段を備えたところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項7乃至9の何れかに記載の酸化還元電位水製造装置において、データテーブル更新手段と水素ガス供給量決定手段とを停止すると共に酸化還元電位計を作動し、酸化還元電位の実測値と設定値との偏差を収束させるように酸化還元電位をフィードバック制御するフィードバック制御モードに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10に記載の酸化還元電位水製造装置において、酸化還元電位計は酸化還元電位水の流路に着脱可能に設けられ、酸化還元電位計が取り外されたことを検出するための離脱検出手段と、離脱検出手段が酸化還元電位計の離脱を検出したことを条件にしてフィードバック制御モードから通常モードに切り替える第2のモード自動切替手段とを備えたところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明に係る酸化還元電位水製造装置は、水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、水素ガス供給源から気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、酸化還元電位の設定値と水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量を演算式から決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、設定値の水供給量の水と、演算式にて決定された水素ガス供給量の水素ガスとが、気液混合ポンプに供給されるように水量変更手段及びガス量変更手段を制御し、製造される酸化還元電位水の酸化還元電位を設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、酸化還元電位を実測するための酸化還元電位計と、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量と水素ガス供給量とのそれぞれを、水量変更手段及びガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら酸化還元電位を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と酸化還元電位の実測値との相関関係から演算式を更新する演算式更新手段とを備え、水素ガス供給量決定手段を作動しかつ演算式更新手段を停止する通常モードと、水素ガス供給量決定手段を停止しかつ演算式更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
[請求項1の発明]
請求項1の酸化還元電位水製造装置では、入力操作部を操作して溶存水素量及び水供給量の各設定値が設定又は変更され、通常モードになると、データテーブル更新手段が停止する一方、水素ガス供給量決定手段が作動し、それら溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量がデータテーブルから決定される。そして、設定値の水供給量の水とデータテーブル上の水素ガス供給量の水素ガスとが気液混合ポンプに供給されて、製造される酸化還元電位水の溶存水素量が設定値に近づけられる。
【0018】
これに対し、更新モードになると、水素ガス供給量決定手段が停止する一方、データテーブル更新手段が作動し、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量及び水素ガス供給量が所定の値に順次変更されかつ溶存水素量が実測され、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて溶存水素量の実測値がデータテーブルに上書きされる。
【0019】
このように本発明によれば、通常モードで酸化還元電位水を製造しているときには、溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいてデータテーブルから水素ガス供給量が決定され、溶存水素計による溶存水素量の実測を必要としないので、従来の酸化還元電位水製造装置のように、溶存水素計のメンテナンスや故障のために酸化還元電位水の製造が中断されることがない。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置に比較して酸化還元電位水の製造効率を向上することができる。
【0020】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、リミット入力手段により入力した水供給量の上限値と下限値及び溶存水素量の上限値と下限値の範囲でデータテーブルが更新される。即ち、酸化還元電位水の製造に必要な範囲内でをデータテーブルを更新することができる。これにより、過剰にデータテーブルのデータを更新することが防がれ、溶存水素計の無駄な使用を減らすことができる。
【0021】
[請求項3及び9の発明]
請求項3及び9の構成によれば、実際の水供給量及び/又は酸化還元電位水製造装置の運転時間の積算値が予め定められた所定の基準積算値を超えた場合に、自動的に通常モードから更新モードに切り替えてデータテーブルを更新することができる。
【0022】
[請求項4の発明]
請求項4の構成によれば、必要に応じて、溶存水素量の実測値と設定値との偏差を収束させるように溶存水素量をフィードバック制御することができる。
【0023】
[請求項5の発明]
請求項5の構成によれば、溶存水素計のメンテナンス等を行うために、溶存水素計が取り外されると自動的にフィードバック制御モードから通常モードに切り替えられる。即ち、溶存水素計が無い状態でも、酸化還元電位水を製造することができる。
【0024】
[請求項6の発明]
請求項6の酸化還元電位水製造装置では、入力操作部を操作して溶存水素量及び水供給量の各設定値が設定又は変更され、通常モードになると、演算式更新手段が停止する一方、水素ガス供給量決定手段が作動し、それら溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量が演算式から決定される。そして、設定値の水供給量の水と演算式にて決定された水素ガス供給量の水素ガスとが気液混合ポンプに供給されて、製造される酸化還元電位水の溶存水素量が設定値に近づけられる。
【0025】
これに対し、更新モードになると、水素ガス供給量決定手段が停止する一方、演算式更新手段が作動し、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量及び水素ガス供給量が所定の値に順次変更されかつ溶存水素量が実測され、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と溶存水素量の実測値との相関関係から演算式が更新される。
【0026】
このように本発明によれば、通常モードで酸化還元電位水を製造しているときには、溶存水素量及び水供給量の両設定値に基づいて演算式から水素ガス供給量が決定され、溶存水素計による溶存水素量の実測を必要としないので、従来の酸化還元電位水製造装置のように、溶存水素計のメンテナンスや故障のために酸化還元電位水の製造が中断されることがない。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置に比較して酸化還元電位水の製造効率を向上することができる。
【0027】
[請求項7の発明]
請求項7の酸化還元電位水製造装置では、入力操作部を操作して酸化還元電位及び水供給量の各設定値が設定又は変更され、酸化還元電位水製造装置が通常モードになると、データテーブル更新手段が停止する一方、水素ガス供給量決定手段が作動し、それら酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量がデータテーブルから決定される。そして、設定値の水供給量の水と、データテーブル上の水素ガス供給量の水素ガスとが気液混合ポンプに供給されて製造される酸化還元電位水の酸化還元電位が設定値に近づけられる。
【0028】
これに対し、酸化還元電位水製造装置が更新モードになると、水素ガス供給量決定手段が停止する一方、データテーブル更新手段が作動し、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量及び水素ガス供給量が所定の値に順次変更されかつ酸化還元電位が実測され、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて酸化還元電位の実測値がデータテーブルに上書きされる。
【0029】
このように本発明によれば、通常モードで酸化還元電位水を製造しているときには、酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいてデータテーブルから水素ガス供給量が決定され、酸化還元電位計による酸化還元電位の実測を必要としないので、従来の酸化還元電位水製造装置のように、酸化還元電位計のメンテナンスや故障のために酸化還元電位水の製造を中断されることがない。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置に比較して酸化還元電位水の製造効率を向上することができる。
【0030】
[請求項8の発明]
請求項8の構成によれば、リミット入力手段にて入力した水供給量の上限値と下限値及び酸化還元電位の許容最大値と飽和値の範囲でデータテーブルが更新される。即ち、酸化還元電位水の製造に必要な範囲内でをデータテーブルを更新することができる。これにより、過剰にデータテーブルのデータを更新することが防がれ、溶存水素計を無駄な使用を減らすことができる。
【0031】
[請求項10の発明]
請求項10の構成によれば、必要に応じて、酸化還元電位の実測値と設定値との偏差を収束させるように酸化還元電位をフィードバック制御することができる。
【0032】
[請求項11の発明]
請求項11の構成によれば、酸化還元電位計のメンテナンス等を行うために、酸化還元電位計が取り外されると自動的にフィードバック制御モードから通常モードに切り替えられる。即ち、酸化還元電位計が無い状態でも、任意に設定した酸化還元電位水を製造することができる。
【0033】
[請求項12の発明]
請求項12の酸化還元電位水製造装置では、入力操作部を操作して酸化還元電位及び水供給量の各設定値が設定又は変更され、通常モードになると、演算式更新手段が停止する一方、水素ガス供給量決定手段が作動し、それら酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量が演算式から決定される。そして、設定値の水供給量の水と演算式にて決定された水素ガス供給量の水素ガスとが気液混合ポンプに供給されて製造される酸化還元電位水の酸化還元電位が設定値に近づけられる。
【0034】
これに対し、更新モードになると、水素ガス供給量決定手段が停止する一方、演算式更新手段が作動し、実際に気液混合ポンプに供給する水供給量及び水素ガス供給量が所定の値に順次変更されかつ酸化還元電位が実測され、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と酸化還元電位の実測値との相関関係から演算式が更新される。
【0035】
このように本発明によれば、通常モードで酸化還元電位水を製造しているときには、酸化還元電位及び水供給量の両設定値に基づいて演算式から水素ガス供給量が決定され、酸化還元電位計による酸化還元電位の実測を必要としないので、従来の酸化還元電位水製造装置のように、酸化還元電位計のメンテナンスや故障のために酸化還元電位水の製造が中断されることがない。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置に比較して酸化還元電位水の製造効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。酸化還元電位水製造装置100は、装置本体10(図1を参照)と、装置本体10を制御するための制御部50(図5を参照)とから構成される。
【0037】
装置本体10は、例えば、図示しない上水道配管に接続された主配管MPを備え、その主配管MPに各種機器を備えてなる。以下、装置本体10の各部位を主配管MPの上流側から順に説明する。主配管MPの上流端には、ソレノイドバルブSV0が備えられている。ソレノイドバルブSV0の下流側にはプレフィルタ11、軟水装置12及び活性炭濾過器13が備えられている。通常、水道水は、プレフィルタ11、軟水装置12、活性炭濾過器13の順に流されるが、切替バルブの操作により、軟水装置12を通さずにプレフィルタ11から直接、活性炭濾過器13に流すことも可能である。
【0038】
活性炭濾過器13の下流側には活水器14が備えられている。活水器14は、例えば、プラスチック製のパイプを流れる水道水の摩擦で生じる静電気をパイプ外側に装着した電極に集め、水中に放射する構成となっている。活水器14は、主配管MPに対して着脱可能となっており、主配管MPには活水器14を迂回するバイパス配管BPが備えられている。これにより、活水器14を主配管MPから取り外した状態でも水道水を流すことが可能となっている。
【0039】
ここで、水道水を活水器14に通すことで、製造される酸化還元電位水の水質を安定化することができる。具体的には、酸化還元電位水中の溶存ガス量(例えば、溶存水素量)や酸化還元電位を比較的長期間に亘って維持することが可能となる。
【0040】
活水器14の下流側には、上記各機器11〜13を通過した水道水を貯留するための原水槽15(本発明の「水供給源」に相当する)が備えられている。原水槽15には液位計L及び水温計Tが備えられ、それら計器の計測値は後述する制御部50に出力されている。
【0041】
ここで、制御部50は、液位計Lの計測結果に基づいて原水槽15の貯水量を調節している。具体的には、例えば、原水槽15の最大貯水量は150Lであり、制御部50は貯水量が20L以下となったときに、主配管MPの上流端のソレノイドバルブSV0を開いて原水槽15への水道水の供給を開始する一方、貯水量が120Lとなったときに、ソレノイドバルブSV0を閉じて原水槽15への水道水の供給を停止する。
【0042】
原水槽15には、ドレン配管DPが接続されており、例えば、水道水の水質変化等により、原水槽15に貯留されている水道水が不要となった場合には、このドレン配管DPから排出することができる。また、原水槽15からオーバーフローした水道水も、ドレン配管DPから外部に排出できる。
【0043】
図1に示すように、装置本体10のうち原水槽15の下流側には、後述する気液混合ポンプ17に供給される水道水の供給量(流量)を実測するための複数の水流量計Fが備えられている。本実施形態では、水流量計Fとして、超音波式流量計及び羽根車式流量計が備えられている。そして、これら水流量計Fによる水流量の実測値は制御部50に出力される。
【0044】
水流量計Fの下流側には脱気装置16が備えられている。脱気装置16は、真空モジュール16Aに水道水を導入し、その真空モジュール16A内を真空ポンプ16Bによって真空にすることで水道水から気体(空気)を抜く構成となっている。
【0045】
真空モジュール16Aは主配管MPに対して着脱可能となっており、主配管MPには、脱気装置16を迂回したバイパス配管BPが備えられている。これにより、水道水を脱気せずに気液混合ポンプ17に供給することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、真空ポンプ16Bとして所謂、水封式真空ポンプとダイヤフラム式真空ポンプとの2つの真空ポンプを備えており、それぞれ真空モジュール16Aに対して着脱可能となっている。真空モジュール16Aと真空ポンプ16Bとの間には真空計P1が設けられ、その計測値が制御部50に出力される。制御部50は真空計P1の計測値に基づいて真空ポンプ16Bを駆動制御して、水道水の脱気の程度を調節している。
【0047】
ここで、ガスと混合する前に水を予め脱気しておくと、脱気しない場合に比較して、ガスを水に溶解させ易くなると共に、製造される酸化還元電位水中の溶存ガス量(例えば、溶存水素量)や酸化還元電位を向上させることができる。また、真空モジュール16Aにおける真空の度合い、即ち、水道水の脱気の程度を調節することで、製造される酸化還元電位水中の溶存ガス量や酸化還元電位を調節することが可能となる。
【0048】
図1に示すように、脱気装置16の下流側には、本実施形態の「水量変更手段」に相当するソレノイドバルブSV2を介して気液混合ポンプ17が備えられている。気液混合ポンプ17は、主配管MPに対して着脱可能となっており、その吸引口の直前部分には、水素ガス供給源18(具体的には、ガスボンベ)から延びたガス配管GPが接続されている。
【0049】
気液混合ポンプ17は、所定量の水道水を原水槽15から吸引すると共に、水素ガス供給源18から所定量の水素ガスを吸引し、これら水道水と水素ガスとを攪拌混合した上で、この混合流体を所定圧力で吐出している。
【0050】
ここで、気液混合ポンプ17はインバータ制御されている。従って、酸化還元電位水製造装置100の稼働開始時や停止時における急激な流量変化が抑えられ、気液混合ポンプ17や後述するミキサーユニット22に与える負荷を軽減することができる。
【0051】
図1に示すように、ガス配管GPの途中には、気液混合ポンプ17への水素ガスの供給量(供給体積)を実測しかつ調節するためのマスフローコントローラ19(本発明の「ガス量変更手段」に相当する)が備えられている。また、マスフローコントローラ19で実測された水素ガス供給量の実測値は、制御部50に出力される。
【0052】
マスフローコントローラ19は、酸化還元電位水製造装置100の停止時には水素ガス供給量を「0」に設定しており、酸化還元電位水製造装置100が稼働後、所定量の水道水が気液混合ポンプ17に供給されるまではこの状態を保持する。そして、気液混合ポンプ17に所定量の水道水が供給されると、水素ガスの供給を開始する。このとき、水素ガス供給量を徐々に大きくすることで、気液混合ポンプ17における、所謂「エア噛み」を抑制することができる。
【0053】
なお、ガス配管GPのうち、主配管MPとの接続部分の直前部分には、ガス配管GPへの水道水の流入を防止するための逆止弁20Aが備えられている。逆止弁20Aをソレノイドバルブとして、水素ガスの供給中は開放し、供給が停止したときに閉鎖するようにしてもよい。
【0054】
本実施形態では、同一仕様の2つの気液混合ポンプ17,17を備えており、常には、一方の気液混合ポンプ17のみに水道水と水素ガスとが供給されている。そして、例えば、一方の気液混合ポンプ17が故障又はメンテナンス等により使用不可能となった場合には、切替バルブを操作して他方の気液混合ポンプ17に水素ガスと水道水とを供給するようになっている。これにより、気液混合ポンプ17の故障やメンテナンス時にも、水素ガスと水道水との攪拌混合を継続することが可能となる。なお、2つの気液混合ポンプ17,17の両方を常時使用して水素ガスと水道水とを攪拌混合するようにしてもよい。
【0055】
主配管MPのうち、気液混合ポンプ17の下流側には活水器14が着脱可能に設けられ、主配管MPには、活水器14を迂回したバイパス配管BPが接続されている。なお、活水器14と気液混合ポンプ17との間には、逆流を防止するための逆止弁20Bが設けられている。
【0056】
活水器14の下流側には、ミキサーユニット22が備えられている。ミキサーユニット22は、複数(例えば、3つ)の同一構成のミキサー22A,22B,22Cからなる。具体的には、図2に示すように、第1のミキサー22Aと第2のミキサー22Bとを並列接続し、これら第1及び第2のミキサー22A,22Bに対して第3のミキサー22Cを直列接続した構造をなす。また、各ミキサー22A,22B,23Cの上流側には、圧力計P2が備えられている。ここで、第1及び第2のミキサー22A,22Bと第3のミキサー22Cとの間の配管長は、例えば、1メートルとなっているが、配管長は適宜変更可能である。また、第3のミキサー22Cを通さずに流すためのバイパス流路BPを設けることが好ましい。
【0057】
ミキサー22A,22B,22Cは、図3に示すように、円筒ケース30の内部に、複数(例えば、11個)のミキシング壁40を収容してなる。まず、円筒ケース30について説明する。
【0058】
円筒ケース30は、ケース本体31と、ケース本体31の上流側端部に接合される流入管32及びケース本体31の下流側端部に接合される流出管33とから構成される。
【0059】
ケース本体31は、円筒形状をなし、両端部には、流入管32及び流出管33と接合するへルール部37が形成されている。また、ケース本体31の内部空間は、径が一定な円柱形状をなしている。
【0060】
流入管32及び流出管33は、同一形状をなしている。即ち、流入管32及び排出管33の一端には、前記主配管MPに接続される配管接続部34が形成され、他端には、ケース本体31に接合するへルール部35が形成されている。そして、その外径は、配管接続部34からへルール部35に向かって段付き状に拡径している。なお、流入管32及び流出管33の内径は一定となっている。
【0061】
流入管32及び流出管33のうち、ケース本体31に接合される側の開口縁(へルール部35の端面35T)からは、円筒ボス36が起立している。そして、流入管32及び流出管33がケース本体31の両端に接合されると、この円筒ボス36がケース本体31の内部空間に突入するようになっている。以上が円筒ケース30の説明である。
【0062】
さて、ミキシング壁40は、以下のようである。図4に示すように、ミキシング壁40は、円板部材41に複数の小孔42を貫通形成した構成をなす。円板部材41は、例えば、金属(具体的には、ステンレスや真鍮)製であり、その外径は、ケース本体31の内径とほぼ同一となっている。また、小孔42は、ミキシング壁40の板厚方向(図3における上下方向)に延びその内径は、例えば、2μmとなっている。
【0063】
図3に示すように、ミキシング壁40は、円筒ケース30(詳細には、ケース本体31)の内部において、円筒ケース30の軸方向に重なるように配置されている。ミキシング壁40同士の間には、スペーサ45(例えば、Oリング)が挟まれている。このスペーサ45により隣接したミキシング壁40が所定間隔を空けて重ねられ、これらミキシング壁40によって、ケース本体31の内部空間が、複数の扁平円柱形状の空間部46に区画されている。換言すれば、ケース本体31の内部には、ケース本体31の軸方向に沿って、ミキシング壁40と空間部46とが交互に備えられている。ここで、ケース本体31の内部に収容された複数のミキシング壁40は、ケース本体31の内側に嵌合されかつ、ケース本体31に流入管32及び流出管33を組み付けると、ケース本体31の両端側から円筒ボス36,36に押圧されて、ケース本体31の内部に固定配置されている。
【0064】
本実施形態では、ミキシング壁40は円筒ケース30に対して着脱可能となっており、構造(小孔42の形状、孔径、板厚等)が異なる複数種類のミキシング壁40が予め用意されている。そして、製造条件に応じてそれら複数種類のミキシング壁40の中から適当なミキシング壁40を選択して、円筒ケース30に装着されているミキシング壁40と交換可能となっている。ミキシング壁40の交換は、手動で行ってもよいし、図示しない交換装置によって自動で交換するようにしてもよい。以上がミキサーユニット22の説明である。
【0065】
図1に示すように、装置本体10のうちミキサーユニット22の下流側には、気液混合ポンプ17及びミキサーユニット22を通過することで製造した酸化還元電位水を加熱するためのヒータ23が備えられている。ヒータ23は主配管MPに対して着脱可能となっている。また、主配管MPには、ヒータ23を迂回したバイパス配管BPが接続されている。酸化還元電位水を加熱する必要がない場合やヒータ23が取り外された場合には、このバイパス配管BPによって酸化還元電位水を流すことができる。
【0066】
本実施形態では、同一仕様の2つのヒータ23,23が備えられており、常には、一方のヒータ23のみに酸化還元電位水が供給されている。そして、例えば、一方のヒータ23が故障又はメンテナンス等により使用不可能となった場合には、切替バルブの操作により他方のヒータ23に酸化還元電位水を供給するようになっている。これにより、ヒータ23の故障やメンテナンス時にも酸化還元電位水を加熱することが可能となる。なお、2つのヒータ23,23の両方に、常時、酸化還元電位水を供給するようにしてもよい。
【0067】
ここで、主配管MPのヒータ23よりも下流側には水温計Tが備えられ、その計測値が制御部50に出力されている。制御部50は、水温計Tの計測値に基づいて酸化還元電位水が所定水温となるようにヒータ23を駆動制御する。なお、酸化還元電位水を加熱して常温よりも高い所定水温にすることで、酸化還元電位水の水質(溶存水素量や酸化還元電位)を安定させることができる。
【0068】
ヒータ23の下流側には、主配管MPから分岐した計器接続配管KPが設けられ、この計器接続配管KPの途中に溶存水素計Hmが着脱可能に取り付けられている。溶存水素計Hmは、単位体積当たりの酸化還元電位水に溶存している水素ガス量(溶存水素量)を実測し、その実測結果を制御部50に出力する。なお、計器接続配管KPには、ソレノイドバルブSV4と、溶存水素計Hmへ供給される酸化還元電位水の流量を一定にするための定量弁25とが備えられている。
【0069】
計器接続配管KPの下流側には、生成水槽26が備えられている。生成水槽26は、例えば、密閉タンクで構成されここに酸化還元電位水が一時的に貯留される。生成水槽26からは、装置本体10と製造した酸化還元電位水を使用する外部装置とを接続するための供給配管SPと、生成水槽26に貯留された酸化還元電位水を気液混合ポンプ17よりも上流側に環流させるための循環配管CPとが別々に設けられている。
【0070】
循環配管CPの途中には、環流する酸化還元電位水の流量を計測するための流量計F3(本実施形態では、羽根車式流量計)が備えられている。
【0071】
供給配管SPの途中には供給ポンプ27が備えられており、開閉弁28を開くことで、酸化還元電位水が生成水槽26から外部装置に供給される。また、供給配管SPの途中には、外部装置から装置本体10への酸化還元電位水の逆流を防止するための逆止弁20Cが備えられている。なお、供給ポンプ27はインバータ制御されているので、酸化還元電位水を安定して外部装置に供給することができる。
【0072】
さらに、生成水槽26にはドレン配管DPが接続されており、酸化還元電位水の製造条件が変更された場合や、酸化還元電位水の水質(溶存水素量、水温、酸化還元電位など)が変化して、生成水槽26に貯留された酸化還元電位水が不要となった場合には、このドレン配管DPから、生成水槽26に貯留されている酸化還元電位水を排出することができる。また、生成水槽26からオーバーフローした酸化還元電位水も、ドレン配管DPから外部に排出することができる。
【0073】
生成水槽26には、液位計L及び水温計Tが備えられ、その計測結果が制御部50に出力される。制御部50は、液位計Lの計測結果に基づいて貯水量を算出し、酸化還元電位水の製造量を制御している。具体的には、生成水槽26の最大貯水量は、例えば、200Lであり、制御部50は、例えば、貯水量が160L以上となったときに、気液混合ポンプ17への水道水と水素ガスの供給を停止しかつ、循環配管CPに備えたソレノイドバルブSV3を開放して、生成水槽26に貯留された酸化還元電位水を循環させる。また、貯水量が50L以下となったときに、気液混合ポンプ17への水道水と水素ガスの供給を開始しかつ、ソレノイドバルブSV3を閉じて酸化還元電位水の循環を停止する。
【0074】
即ち、生成水槽26に貯留された酸化還元電位水の量が予め設定された上限以上となると、新たな酸化還元電位水の製造を中止して、現存する酸化還元電位水の循環を行い、予め設定された下限以下になると、循環を停止して新たな酸化還元電位水の製造を開始する。
【0075】
なお、生成水槽26には、生成水槽26に貯まった水素ガス濃度を検出する水素ガス濃度計(図示せず)が備えられており、その計測結果は制御部50に出力される。制御部50は、水素ガス濃度計の計測結果が所定の上限濃度を超えた場合に警報を出力しかつ、酸化還元電位水製造装置100の運転を停止するようにしてもよい。
【0076】
なお、装置本体10の主配管MPの所定箇所には、上述した構成の他にも、水の流れる流路を切り替えるための切替バルブ、外部機器や配管を接続するための接続部、水を採水するための採水弁等が備えられている。また、主配管MPと活水器14、真空モジュール16A、気液混合ポンプ17、ヒータ23との各接続部分は、所謂、ユニオン接続となっており、比較的容易に着脱することが可能となっている。
【0077】
以上が、酸化還元電位水製造装置100における装置本体10に関する説明であって、次に制御部50について説明する。制御部50は、図5に示すように、装置本体10に備えられた水温、水流量、圧力、液位、溶存水素量の各計測器T,F,P,L,Hm及びマスフローコントローラ19からの出力信号を処理する信号処理部51、信号処理部51における処理結果(具体的には、水温、流量、圧力、貯水量及び溶存水素量等の計測結果)を表示する表示部55、酸化還元電位水製造装置100を起動・停止するための電源スイッチ52、酸化還元電位水製造装置100を後述する更新モードと通常モードとに切り替えるためモード切替スイッチ53、酸化還元電位水の製造条件や後述するデータテーブルの更新条件を入力するための入力操作部54等を一体に備えた構成をなす。
【0078】
ここで、制御部50を管理センター等の装置本体10から離れた位置に設けて、装置本体10の起動・停止、モード切り替え、条件入力等を遠隔操作可能な構成としてもよい。また、入力操作部54を、所謂、タッチパネルとして表示部55と兼用させてもよい。
【0079】
信号処理部51について詳説すると、信号処理部51は、図5に示すように、CPU60を主要部として備えており、前記した各計測器T,F,P,L,Hm及びマスフローコントローラ19からの出力信号が、A/Dコンバータ61を介してそのCPU60に取り込まれる。また、ROM62には、通常モード時にCPU60が実行する通常プログラムPG1と更新モード時にCPU60が実行するデータテーブル更新プログラムPG2(本発明の「データテーブル更新手段」に相当する)とが記憶されている。
【0080】
そして、更新モード時には、RAM63のメモリ空間を作業領域として、水流量計F、マスフローコントローラ19及び溶存水素計Hmから取り込んだ信号に基づいて、図8に示すデータテーブルDT1を更新しROM62に記憶する。なお、ROM62は、データテーブルDT1のデータを上書きすることが可能な、例えば、EEPROMとすることが好ましい。
【0081】
データテーブルDT1は、図8に示すように、装置本体10において実測された気液混合ポンプ17に対する水流量と水素ガスの供給量とに対応させて、製造された酸化還元電位水の溶存水素量の実測値が記憶されている。
【0082】
さて、図6には、更新モード時にCPU60が実行するデータテーブル更新プログラムPG2のフローチャートが示されている。同図に示すように、データテーブル更新プログラムPG2では、まず入力操作部54によって入力されたテーブル更新条件を設定する。具体的には、テーブル取得回数Cを設定し(S1)、データテーブルDT1における水流量の上限値F,maxと下限値F,min(S2)を設定し、酸化還元電位水の溶存水素量の上限値D,maxと下限値D,minを設定する(S3)。ここで、上記ステップS2,S3は、本発明の「リミット入力手段」に相当する。
【0083】
そして、各値が入力設定されたら、現在のテーブル取得回数Kを「1」として(S4)、水流量が下限値F,minとなるようにソレノイドバルブSV2(図1を参照)の開度を調節して、気液混合ポンプ17に対して水道水の供給を開始する(S5)。
【0084】
次に、水素供給量の値を0クリアし(S6)、気液混合ポンプ17に水素ガスの供給を開始する(S7)。そして、気液混合ポンプ17及びミキサーユニット22を通過するこ給量を所定量Xずつ増やしていった場合の、水素ガス供給量に対応した溶存水素量の実測値が取得される。
【0085】
下限値D,minに達していない場合(S8でNo)には、水素ガス供給量を前回の供給量よりも所定量X分だけ増やして気液混合ポンプ17に供給し(S7)、製造された酸化還元電位水の溶存水素量を再度実測する(S8)。以下、製造された酸化還元電位水の溶存水素量が、予め入力設定された下限値D,min以上となるまで水素ガス供給量を前回供給量よりも所定量Xずつ増やして気液混合ポンプ17に供給し、その都度、溶存水素量の計測を行う。
【0086】
酸化還元電位水の溶存水素量が予め入力設定された下限値D,min以上となったら(S8でYes)、このときの溶存水素量の実測値と水素ガス供給量とをデータテーブルDT1に上書きする(S9)。そして、水素ガス供給量を前回供給量よりも所定量X分だけ増やして、気液混合ポンプ17に供給する(S10)。次いで、溶存水素量の実測値が予め入力設定された上限値D,max以上か(換言すれば、溶存水素量の実測値が上限値D,max未満か)否かをチェック(S11)し、実測値が上限値D,max以上ではない(実測値が上限値D,max未満である)場合には(S11でNo)、ステップS9に戻って、このときの溶存水素量の実測値と水素ガス供給量とをデータテーブルDT1に上書きする。以下、溶存水素量の実測値が予め入力設定された上限値D,maxに達するまでステップS9〜S11を繰り返し実行する。これにより、水流量を下限値F,minに固定しかつ水素ガス供給量を所定量Xずつ増やしていった場合の、水素ガス供給量に対応した溶存水素量の実測値が取得される。
【0087】
溶存水素量の実測値が予め入力設定された上限値D,max以上になったら(S11でYes)、水流量が予め入力設定された上限値F,maxか否かをチェックする(S12)。上限値F,maxではない場合には(S12でNo)、水流量を所定量Yだけ増加させて(S13)、上記ステップS6〜S11を実行する。これにより、水流量を下限値F,minよりも所定量Yだけ増加させた流量(F,min+Y)に固定しかつ水素ガス供給量を所定量Xずつ増やしていった場合の、水素ガス供給量に対応した溶存水素量の実測値が取得される。
【0088】
以下、水流量が予め入力設定された上限値F,maxに達するまでステップS6〜S13の処理を繰り返す。そして、水流量が予め入力設定された上限値F,maxに達すると(S12でYes)、1回目のデータテーブルの取得が終了する。
【0089】
水流量が予め入力設定された上限値F,maxに達したら(S12でYes)、現在のテーブル取得回数Kが予め入力設定されたテーブル取得回数Cに達したか否かをチェックし(S14)、入力設定されたテーブル取得回数Cに達していない場合には(S14でNo)、現在のテーブル取得回数Kを1インクリメント(増加)して(S15)、2回目のテーブル取得処理が行われる。具体的には、ステップS5〜S12の処理が行われる。そして、2回目のデータテーブル取得後も、予め入力設定されたテーブル取得回数Cとなるまで、上記ステップS5〜S15の処理を繰り返す。
【0090】
ここで、2回目以降のデータテーブル取得時には、それ以前に取得したデータテーブルの同一製造条件(水流量と水素ガス供給量との組み合わせが同一のとき)における溶存水素量の実測値とから平均値を算出して、その平均値を水流量及び水素ガス供給量に対応した新たな溶存水素量の実測値としてデータテーブルのデータを更新する。
【0091】
そして、現在のテーブル取得回数Kが、予め入力設定されたテーブル取得回数Cに達したら(S14でYes)、データテーブル更新プログラムPG2を抜ける。これでデータテーブルDT1の更新は終了である。なお、データテーブル更新プログラムPG2を抜けると、データテーブルDT1の更新が終了したことが報知され、気液混合ポンプ17への水道水及び水素ガスの供給が停止する。
【0092】
さて、通常モード時にCPU61が実行する通常プログラムPG1は、以下のようである。通常プログラムPG1では、まず、入力操作部54から入力された酸化還元電位水の製造条件を設定する。具体的には、気液混合ポンプ17に供給する水道水の流量を設定し(S20)、製造する酸化還元電位水の溶存水素量の値を設定(S21)する。
【0093】
次いで、水流量が設定値となるようにソレノイドバルブSV2の開度を調節して、気液混合ポンプ17に対して水道水の供給を開始する(S22)。そして、水流量の設定値と溶存水素量の設定値とに基づいてデータテーブルDT1から水素ガス供給量が決定されて、気液混合ポンプ17に水素ガスが供給される(S23)。これにより、溶存水素計Hmで溶存水素量を実測することなく、製造される酸化還元電位水の溶存水素量を設定値に近づけることができる。なお、上記ステップS23は、本発明の「水素ガス供給量決定手段」に相当する。本実施形態の酸化還元電位水製造装置100の構成の説明は以上である。
【0094】
さて、本実施形態の酸化還元電位水製造装置100によって酸化還元電位水を製造する場合には以下のように操作する。まず、制御部50に備えた電源スイッチ52をオンして、酸化還元電位水製造装置100を起動する。次いで、モード切替スイッチ53を手動操作して更新モードにセットする。このとき計器接続配管KPに備えたソレノイドバルブSV4が開放して、溶存水素計Hmに酸化還元電位水が供給可能な状態になる。次に、入力操作部54からデータテーブル更新条件を入力する。すると、気液混合ポンプ17に対する水道水と水素ガスの供給が開始され、データテーブル更新条件に応じてデータテーブルDT1の更新が行われる。ここで、データテーブル更新条件として、水流量の上下限値及び溶存水素量の上下限値が入力すると、その範囲内で、データテーブルDT1のデータが更新される。つまり、データテーブルDT1は、酸化還元電位水の製造に必要な範囲内で更新することができるので、過剰にデータテーブルDT1のデータを更新することが防がれ、溶存水素計Hmの無駄な使用を減らすことができる。
【0095】
データテーブルDT1の更新が終了したら、モード切替スイッチ53を手動操作して通常モードに切り替える。このとき計器接続配管KPに備えたソレノイドバルブSV4が閉鎖して溶存水素計Hmに酸化還元電位水が供給されなくなる。
【0096】
通常モードに切り替えたら、入力操作部54から酸化還元電位水の製造条件を入力する。具体的には、気液混合ポンプ17に供給する水道水の流量と製造する酸化還元電位水の溶存水素量の値を設定する。すると、設定された水流量で気液混合ポンプ17に水道水が供給されると共に、溶存水素量の設定値と水流量の設定値とに基づいてデータテーブルDT1から水素ガス供給量が決定され、気液混合ポンプ17に供給される。これにより、入力操作部54から入力設定した溶存水素量に近い値の酸化還元電位水が製造される。
【0097】
このように本実施形態によれば、酸化還元電位水の製造時には、溶存水素計Hmにより溶存水素量を実測しなくても、設定した値に近い溶存水素量の酸化還元電位水を製造することができる。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置のように、溶存水素計Hmのメンテナンスや故障により酸化還元電位水の製造を中断されることが無くなり、製造効率を向上することができる。また、酸化還元電位水製造装置100を複数台備えた場合でも溶存水素計Hmは1つあればよいので、酸化還元電位水製造装置毎に溶存水素計Hmを必要とするものに比較してコストダウンが図られる。
【0098】
[第2実施形態]
図9〜12は本発明の第2実施形態を示す。
この第2実施形態は、溶存水素計Hmに替えて酸化還元電位計Rmを備えた点が上記第1実施形態とは異なる。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0099】
図9に示すように、本実施形態の酸化還元電位水製造装置100に備えた装置本体10’のうち、計器接続配管KPには、製造された酸化還元電位水の酸化還元電位値(以下、「ORP値」という)を実測するための酸化還元電位計Rmが着脱可能に備えられ、その実測値が制御部50に備えた信号処理部51に出力されている。
【0100】
信号処理部51に備えたROM62には、通常モード時に実行される通常プログラムPG1’と更新モード時に実行されるデータテーブル更新プログラムPG2’とが記憶されている。
【0101】
そして、更新モード時には水流量計F、マスフローコントローラ19及び酸化還元電位計Rmから取り込んだ信号に基づいて、ROM62に記憶されたデータテーブルDT2(図12を参照)を更新する。データテーブルDT2は、装置本体10において実測された水流量に対応させて水素ガス供給量の実測値が記憶されている。
【0102】
図10に示すフローチャートに基づいて更新モード時の動作について説明すると、データテーブル更新プログラムPG2では、まず入力操作部54から入力されたテーブル更新条件を設定する。具体的には、テーブル取得回数Cを設定し(S31)、データテーブルDT2における水流量の上限値F,maxと下限値F,minを設定し(S32)、ORP値の許容最大値R,maxを設定する(S33)。そして、各値が設定されたら、現在のテーブル取得回数Kを「1」として(S34)、水流量が設定された下限値F,minとなるようにソレノイドバルブSV2(図9を参照)の開度を調節して、気液混合ポンプ17に対して水道水の供給を開始する(S35)。
【0103】
次に、水素ガス供給量の値を0クリアし(S36)、気液混合ポンプ17に対して水素ガスの供給を開始する(S37)。そして、気液混合ポンプ17及びミキサーユニット22を通過することで製造された酸化還元電位水のORP値を実測し、その実測値が飽和か(例えば、ORP値の変化量が所定量以下となったか)否かをチェックする(S38)。
【0104】
ORP値の実測値が飽和に達していない場合(S38でNo)には、水素ガス供給量を前回の供給量よりも所定量X分だけ増やして、気液混合ポンプ17に供給し(S37)、製造された酸化還元電位水のORP値を再度実測する(S38)。以下、製造された水素水の酸化還元電位が飽和となるまで水素ガス供給量を前回供給量よりも所定量Xずつ増やして気液混合ポンプ17に供給し、その都度、ORP値を実測する(S38)。
【0105】
酸化還元電位水のORP値が飽和となったら(S38でYes)、このときのORP値の実測値が、予め入力設定されたORP値の許容最大値R,max以下か否かをチェックし(S39)、入力設定されたORP値の許容最大値R,maxを越えていたら(S39でNo)、酸化還元電位の許容最大値R,maxの設定が異常であるとして警報を出力し(S40)、ステップS31の処理に戻る。
【0106】
一方、ORP値の実測値が、予め入力設定されたORP値の許容最大値R,max以下である場合(S39でYes)には、このときの水流量の実測値と水素ガス供給量の実測値とをデータテーブルDT2に上書きする(S41)。これにより、水流量を下限値F,minに固定して水素ガスを供給した場合に、ORP値を許容最大値R,maxよりも小さな値にするために必要な最小限の水素ガス供給量の実測値が取得される。
【0107】
次いで、水流量の実測値が予め入力設定された上限値F,maxか否かをチェックする(S42)。上限値F,maxではない場合には(S42でNo)、水流量を所定量Yだけ増加させて(S43)、上記ステップS36〜S41を実行する。これにより、水流量を下限値F,minよりも所定量Yだけ増加させた流量に固定して水素ガスを供給した場合に、ORP値を許容最大値R,maxよりも小さな値にするために必要な最小限の水素ガス供給量の実測値が取得される。
【0108】
以下、水流量の実測値が予め入力設定された上限値F,maxに達するまでステップS36〜S43を繰り返す。これにより、1回目のデータテーブルDT2の取得が終了する。
【0109】
水流量が予め入力設定された上限値F,maxに達したら(S42でYes)、現在のテーブル取得回数Kが予め設定されたテーブル取得回数Cに達したか否かをチェックし(S44)、テーブル取得回数Cに達していない場合には(S44でNo)、現在のテーブル取得回数Kを1インクリメント(増加)して(S45)、2回目のデータテーブルDT2の取得を行う。具体的には、ステップS35〜S42の処理が行われる。2回目のデータテーブル取得後も、予め入力設定されたテーブル取得回数Cとなるまで、上記ステップS35〜S45の処理を繰り返す。
【0110】
ここで、2回目以降のデータテーブル取得時には、それ以前のデータテーブルDT2の同一の水流量における水素ガス供給量の実測値とから平均値を算出して、その平均値を、水流量に対応した新たな水素ガス供給量の実測値としてデータテーブルDT2のデータを更新する。
【0111】
そして、現在のテーブル取得回数Kが、予め設定されたテーブル取得回数Cに達したら(S44でYes)、データテーブル更新プログラムPG2’を抜ける。これでデータテーブルDT2の更新は終了である。なお、データテーブル更新プログラムPG2’を抜けると、データテーブルDT2の更新が終了したことが報知され、気液混合ポンプ17への水道水及び水素ガスの供給が停止する。
【0112】
さて、通常モード時に実行される通常プログラムPG1’は、以下のようである。通常プログラムPG1’では、まず、入力操作部54から入力された酸化還元電位水の製造条件を設定する。具体的には、気液混合ポンプ17に供給する水道水の流量を設定し(S50)、製造する酸化還元電位水のORP値を設定(S51)する。
【0113】
次いで、水流量が設定値となるようにソレノイドバルブSV2の開度を調節し、気液混合ポンプ17に水道水の供給を開始する(S52)。そして、水流量の設定値に基づいてデータテーブルDT2から水素ガス供給量が決定されて、気液混合ポンプ17に供給される(S53)。これにより、入力操作部54から入力設定した許容最大値R,maxよりも小さいORP値の酸化還元電位水が製造される。
【0114】
このように本実施形態によれば、酸化還元電位水の製造時には、酸化還元電位計RmによりORP値を実測しなくても、設定した許容最大値R,maxよりも小さいORP値の酸化還元電位水を最小限の水素ガス供給量で製造することができる。これにより、従来の酸化還元電位水製造装置のように、酸化還元電位計Rmのメンテナンスや故障により酸化還元電位水の製造を中断されることが無くなり、製造効率を向上することができる。また、酸化還元電位水製造装置100を複数台備えた場合でも酸化還元電位計Rmは1つあればよいので、酸化還元電位水製造装置毎に酸化還元電位計Rmを必要とするものに比較して、コストダウンが図られる。また、水素ガスを無駄に供給することが無くなる。
【0115】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)製造された酸化還元電位水を脱気して余分な気泡を取り除くようにしてもよい。
【0116】
(2)供給配管SPの供給ポンプ27よりも下流側に、外部機器への酸化還元電位水の供給が停止された場合に供給ポンプ27から吐出された酸化還元電位水を生成水槽26に戻す戻り配管を設けてもよい。
【0117】
(3)上記第1及び第2実施形態では、モード切替スイッチ53の手動操作により通常モードと更新モードとに切り替わるようにしていたが、例えば、気液混合ポンプ17への水供給量及び/又は酸化還元電位水製造装置100の運転時間の積算値が予め定められた基準積算値を越えたことを条件として通常モードから更新モードに自動的に切り替える第1のモード自動切り替え手段を備えてもよい。このようにすれば、定期的にデータテーブルDT1,DT2を更新でき、データテーブルDT1,DT2の更新忘れを防止できる。
【0118】
(4)上記第1及び第2実施形態では、通常モードと更新モードとを備えていたが、溶存水素量又はORP値の実測値と設定値との偏差を収束させるように、気液混合ポンプ17への水素ガス供給量をフィードバック制御するフィードバック制御モードを備えていてもよい。
【0119】
また、計器接続配管KPの溶存水素計Hm又は酸化還元電位計Rmが接続される部分に、溶存水素計Hm又は酸化還元電位計Rmが取り外されたことを検出する離脱検出手段を設けておき、フィードバック制御モードで運転中に離脱検出手段が溶存水素計Hm又は酸化還元電位計Rmの離脱を検出した場合に、フィードバック制御モードから通常モードに自動的に切り替える第2のモード自動切換手段を備えていてもよい。これにより、溶存水素計Hm又は酸化還元電位計Rmが取り外された状態でも、データテーブルDT1,DT2に基づいて酸化還元電位水を製造することができる。
【0120】
(5)上記第1及び第2実施形態では、更新モードにおいて、水供給量の実測値と水素ガス供給量との実測値との組み合わせ毎に対応させて溶存水素量又はORP値の実測値をデータテーブルに上書きし、通常モードにおいて、溶存水素量又はORP値と水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量をデータテーブルから決定して気液混合ポンプ17に供給していたが、以下のような構成としてもよい。
【0121】
即ち、更新モードにおいて、演算式更新手段により、水供給量の値と水素ガス供給量の値と溶存水素量又はORP値の実測値との相関関係から演算式を更新し、通常モードにおいて、溶存水素量又はORP値と水供給量の両設定値に基づいて水素ガス供給量を演算式から決定し、設定値の水供給量の水と、演算式にて決定された水素ガス供給量の水素ガスとを、気液混合ポンプ17に供給するようにしてもよい。このようにしても、上記第1及び第2実施形態と同等な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の第1実施形態に係る酸化還元電位水製造装置のブロック図
【図2】ミキサーユニットのブロック図
【図3】ミキサーの側断面図
【図4】ミキシング壁の平面図
【図5】制御部のブロック図
【図6】更新プログラムを示すフローチャート
【図7】通常プログラムを示すフローチャート
【図8】データテーブルの概念図
【図9】第2実施形態に係る酸化還元電位水製造装置のブロック図
【図10】更新プログラムを示すフローチャート
【図11】通常プログラムを示すフローチャート
【図12】データテーブルの概念図
【符号の説明】
【0123】
15 原水槽(水供給源)
17 気液混合ポンプ
18 水素ガス供給源
19 マスフローコントローラ(ガス量変更手段)
53 モード切替スイッチ
54 入力操作部
100 酸化還元電位水製造装置
DT1,DT2 データテーブル
Hm 溶存水素計
PG2,PG2’ データテーブル更新プログラム(データテーブル更新手段)
Rm 酸化還元電位計
SV2 ソレノイドバルブ(水量変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、
水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、
水素ガス供給源から前記気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、
単位体積当たりの水に含まれる水素ガス量である溶存水素量の設定値と前記水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、
前記溶存水素量及び前記水供給量の両設定値に基づいて前記水素ガス供給量をデータテーブルから決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、
前記設定値の前記水供給量の水と、前記データテーブル上の前記水素ガス供給量の水素ガスとが、前記気液混合ポンプに供給されるように前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段を制御し、製造される前記酸化還元電位水の前記溶存水素量を前記設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、
前記溶存水素量を実測するための溶存水素計と、
実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量と前記水素ガス供給量とのそれぞれを前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら前記溶存水素量を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて前記溶存水素量の実測値を前記データテーブルに上書きするデータテーブル更新手段とを備え、
前記水素ガス供給量決定手段を作動しかつ前記データテーブル更新手段を停止する通常モードと、前記水素ガス供給量決定手段を停止しかつ前記データテーブル更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたことを特徴とする酸化還元電位水製造装置。
【請求項2】
前記水供給量の上限値と下限値及び前記溶存水素量の上限値と下限値を入力するためのリミット入力手段を設け、
前記データテーブル更新手段は、前記リミット入力手段にて入力された上限値と下限値との範囲内で実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量を変化させると共に、前記溶存水素量が前記上限値と下限値との間に収まるように前記水素ガス供給量を変化させる構成とされたことを特徴とする請求項1に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項3】
実際の前記水供給量及び/又は前記酸化還元電位水製造装置の運転時間の積算値が予め定められた所定の基準積算値を超えことを条件にして、前記通常モードから前記更新モードに切り替える第1のモード自動切替手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項4】
前記データテーブル更新手段と前記水素ガス供給量決定手段とを停止すると共に前記溶存水素計を作動し、
前記溶存水素量の実測値と設定値との偏差を収束させるように前記溶存水素量をフィードバック制御するフィードバック制御モードに切り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項5】
前記溶存水素計は前記酸化還元電位水の流路に着脱可能に設けられ、
前記溶存水素計が取り外されたことを検出するための離脱検出手段と、
前記離脱検出手段が前記溶存水素計の離脱を検出したことを条件にして前記フィードバック制御モードから前記通常モードに切り替える第2のモード自動切替手段とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項6】
水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、
水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、
水素ガス供給源から前記気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、
単位体積当たりの水に含まれる水素ガス量である溶存水素量の設定値と前記水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、
前記溶存水素量及び前記水供給量の両設定値に基づいて前記水素ガス供給量を演算式から決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、
前記設定値の前記水供給量の水と、前記演算式にて決定された前記水素ガス供給量の水素ガスとが、前記気液混合ポンプに供給されるように前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段を制御し、製造される前記酸化還元電位水の前記溶存水素量を前記設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、
前記溶存水素量を実測するための溶存水素計と、
実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量と前記水素ガス供給量とのそれぞれを、前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら前記溶存水素量を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と前記溶存水素量の実測値との相関関係から前記演算式を更新する演算式更新手段とを備え、
前記水素ガス供給量決定手段を作動しかつ前記演算式更新手段を停止する通常モードと、前記水素ガス供給量決定手段を停止しかつ前記演算式更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたことを特徴とする酸化還元電位水製造装置。
【請求項7】
水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、
水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、
水素ガス供給源から前記気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、
酸化還元電位の設定値と前記水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、
前記酸化還元電位及び前記水供給量の両設定値に基づいて前記水素ガス供給量をデータテーブルから決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、
前記設定値の前記水供給量の水と、前記データテーブル上の前記水素ガス供給量の水素ガスとが、前記気液混合ポンプに供給されるように前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段を制御し、製造される前記酸化還元電位水の前記酸化還元電位を前記設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、
前記酸化還元電位を実測するための酸化還元電位計と、
実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量と前記水素ガス供給量とのそれぞれを、前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら前記酸化還元電位を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値との組み合わせ毎に対応させて前記酸化還元電位の実測値を前記データテーブルに上書きするデータテーブル更新手段とを備え、
前記水素ガス供給量決定手段を作動しかつ前記データテーブル更新手段を停止する通常モードと、前記水素ガス供給量決定手段を停止しかつ前記データテーブル更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたことを特徴とする酸化還元電位水製造装置。
【請求項8】
前記水供給量の上限値と下限値及び前記酸化還元電位の許容最大値とを入力するためのリミット入力手段を設け、
前記データテーブル更新手段は、前記リミット入力手段にて入力された上限値と下限値との範囲内で実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量を変化させると共に、前記酸化還元電位が許容最大値と飽和値との間に収まるように前記水素ガス供給量を変化させる構成とされたことを特徴とする請求項7に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項9】
実際の前記水供給量及び/又は前記酸化還元電位水製造装置の運転時間の積算値が予め定められた所定の基準積算値を超えことを条件にして、前記通常モードから前記更新モードに切り替える第1のモード自動切替手段を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項10】
前記データテーブル更新手段と前記水素ガス供給量決定手段とを停止すると共に前記酸化還元電位計を作動し、
前記酸化還元電位の実測値と設定値との偏差を収束させるように前記酸化還元電位をフィードバック制御するフィードバック制御モードに切り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項11】
前記酸化還元電位計は前記酸化還元電位水の流路に着脱可能に設けられ、
前記酸化還元電位計が取り外されたことを検出するための離脱検出手段と、
前記離脱検出手段が前記酸化還元電位計の離脱を検出したことを条件にして前記フィードバック制御モードから前記通常モードに切り替える第2のモード自動切替手段とを備えたことを特徴とする請求項10に記載の酸化還元電位水製造装置。
【請求項12】
水と水素ガスとを混合して酸化還元電位水を製造するための気液混合ポンプと、
水供給源から気液混合ポンプへの水供給量を変更するための水量変更手段と、
水素ガス供給源から前記気液混合ポンプへの水素ガス供給量を変更するためのガス量変更手段と、
酸化還元電位の設定値と前記水供給量の設定値とを設定又は変更するための入力操作部と、
前記酸化還元電位及び前記水供給量の両設定値に基づいて前記水素ガス供給量を演算式から決定する水素ガス供給量決定手段とを備え、
前記設定値の前記水供給量の水と、前記演算式にて決定された前記水素ガス供給量の水素ガスとが、前記気液混合ポンプに供給されるように前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段を制御し、製造される前記酸化還元電位水の前記酸化還元電位を前記設定値に近づける酸化還元電位水製造装置において、
前記酸化還元電位を実測するための酸化還元電位計と、
実際に前記気液混合ポンプに供給する前記水供給量と前記水素ガス供給量とのそれぞれを、前記水量変更手段及び前記ガス量変更手段により所定の値に順次変更しながら前記酸化還元電位を実測し、それら水供給量の値と水素ガス供給量の値と前記酸化還元電位の実測値との相関関係から前記演算式を更新する演算式更新手段とを備え、
前記水素ガス供給量決定手段を作動しかつ前記演算式更新手段を停止する通常モードと、前記水素ガス供給量決定手段を停止しかつ前記演算式更新手段を作動する更新モードとに切り替え可能に構成されたことを特徴とする酸化還元電位水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−289201(P2006−289201A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110580(P2005−110580)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(593161478)佐藤工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】