説明

酸性オリゴ糖の分離方法

【課題】
酸性オリゴ糖と、中性成分(中性オリゴ糖及び単糖)を含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する効率的かつ簡便な方法を提供する。
【解決手段】
酸性オリゴ糖と、中性オリゴ糖及び単糖からなる中性成分とを含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する方法において、カチオン交換樹脂を分離剤として使用したクロマトグラフィー分離処理に前記混合糖液を供し、それにより前記混合糖液を酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分に分離する工程を含むことを特徴とする方法。好ましくは、混合糖液は植物細胞壁の加水分解物であり、酸性オリゴ糖は、難消化性オリゴ糖に弱酸が結合された糖である。また、分離された中性成分に富む画分に含まれるオリゴ糖又は単糖の90重量%以上は680以下の分子量を有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性オリゴ糖と、中性オリゴ糖及び単糖からなる中性成分とを含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する方法に関し、具体的には植物細胞壁の加水分解物から、腸内ビフィズス菌増殖促進作用等の有用な性質を有する酸性オリゴ糖を選択的に分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴ糖は単糖が二個から十数個重合した糖質であり、自然界に様々な形で存在する。オリゴ糖の中でも難消化性のものは、経口摂取した場合、消化液で実質的に分解されずに大腸に到達し、腸内ビフィズス菌によって選択的に資化されるため、腸内ビフィズス菌を増殖させて腸内細菌叢を改善する作用を有する。また、難消化性オリゴ糖はその具体的なメカニズムは明確に解明されていないが、体脂肪蓄積抑制作用も有する。
【0003】
従来、様々なオリゴ糖が腸内ビフィズス菌増殖因子や体脂肪蓄積抑制因子として使用されているが(非特許文献1〜6、特許文献1)、これらのオリゴ糖はいずれも糖であるがゆえに多少とも甘味を有している。しかし、肥満や糖尿病の忌避から甘味に対して良くないイメージを保持する消費者もいる。従って、甘味以外に例えば酸味等の味覚を有するビフィズス増殖因子を提供することは、市場的意義が大きい。さらに、体脂肪蓄積抑制効果を強調して販売する場合、甘味とは異なる味覚が、一般に消費者に受け入れられ易い。
【0004】
かかる従来技術の現状に鑑み、出願人は別途同日付の出願において、甘味ではなく酸味を有するオリゴ糖として、難消化性オリゴ糖に弱酸が結合された分子構造を有する酸性オリゴ糖を提案している。この酸性オリゴ糖は、例えばトウモロコシの種皮等の植物細胞壁を酸及び/又は酵素で加水分解することにより得ることができるとされている。
【0005】
しかしながら、植物細胞壁の加水分解物に含まれるオリゴ糖のうち、酸性オリゴ糖は約30〜40%であり、残りは弱酸が結合されていない中性オリゴ糖である。また、加水分解物にはオリゴ糖のみならず単糖も若干含まれている。従って、酸性オリゴ糖を得るためには、分解物に含まれる中性成分(中性オリゴ糖及び単糖)を分離除去する必要がある。
【0006】
植物細胞壁の分解物中の中性成分を分離除去する方法として、アニオン交換樹脂を用いた吸着法が従来用いられている。この方法では、植物細胞壁の分解糖液はアニオン交換樹脂を充填したカラムに通液され、その際、酸性成分は樹脂に吸着されてカラム中に留まり、一方、中性成分は樹脂に吸着されずにそのまま排出される。吸着した酸性成分は、金属イオン(Ca2+やNa等)を含む塩で溶出することができる。
【0007】
この方法は高純度の酸性オリゴ糖を得るのに適しているが、酸性オリゴ糖に結合している酸が弱酸であるため、交換樹脂から容易に脱離して中性オリゴ糖と混合しやすく、そのためアニオン交換樹脂にはごく少量の酸性オリゴ糖しか吸着されず、結果として分離装置の容量が大きくなり、効率が悪いという欠点がある。また、アニオン交換樹脂からの酸性オリゴ糖の脱離に塩を用いるため、分離工程後に脱塩工程を挿入する必要があり、工程が複雑になるという欠点がある。
【非特許文献1】奥,栄養学雑誌,44,291(1986)
【非特許文献2】石川等,ビフィズス,9,5,(1995)
【非特許文献3】Hara et al.,Bifdobact.Microflora.,13,51,(1994)
【非特許文献4】坂井等,澱粉化学,63,167(1990)
【非特許文献5】Agheli et al.,J of Nutr.,128, 1283,(1998)
【非特許文献6】林等,医学と生物学,119,15(1989)
【特許文献1】特開平10−290681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、酸性オリゴ糖と中性成分(中性オリゴ糖及び単糖)を含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する効率的かつ簡便な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者はかかる課題を解決するために酸性オリゴ糖と中性成分の混合糖液からの酸性オリゴ糖の分離方法について鋭意検討した結果、カチオン交換樹脂を分離剤として使用したクロマトグラフィー分離処理に混合糖液を供することにより、酸性オリゴ糖を主成分とする糖液を効率的かつ簡便に得ることができることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、酸性オリゴ糖と、中性オリゴ糖及び単糖からなる中性成分とを含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する方法において、カチオン交換樹脂を分離剤として使用したクロマトグラフィー分離処理に前記混合糖液を供し、それにより前記混合糖液を酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分に分離する工程を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0011】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、混合糖液は植物細胞壁の加水分解物であり、酸性オリゴ糖は、難消化性オリゴ糖に弱酸が結合された糖である。
【0012】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、分離された中性成分に富む画分に含まれるオリゴ糖又は単糖の90重量%以上は680以下の分子量(平均分子量)を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の分離方法において原材料として使用する、酸性オリゴ糖と中性成分を含む混合糖液としては、例えば植物細胞壁の加水分解物を用いることができる。加水分解する植物細胞壁としては、酸性多糖を多く含む材料であればいかなるものも用いることができるが、例えばコーンスターチ製造時の副産物であるトウモロコシの種皮(粒外皮)を用いることができる。加水分解法は例えば特開平11−313700号公報に開示されている酸加水分解及び/又は酵素加水分解法を用いればよい。
【0014】
本発明の分離方法において、原材料である混合糖液中の酸性オリゴ糖の組成は、加水分解に用いた植物細胞壁中の酸性多糖の組成に依存するが、一般的には、難消化性オリゴ糖に弱酸(グルクロン酸等のウロン酸やフェルラ酸)が結合された形の糖である。この弱酸の存在により、オリゴ糖は糖本来の甘味ではなく酸味を呈することができる。また、弱酸のオリゴ糖への結合様式は通常、弱酸残基がオリゴ糖の側鎖として存在する様式であると考えられる。
【0015】
酸性オリゴ糖の基本骨格であるオリゴ糖は、腸内ビフィズス菌増殖促進作用及び体脂肪蓄積抑制作用の主な担い手である。このオリゴ糖の平均重合度は植物細胞壁の加水分解条件によって変化するが、得られる酸性オリゴ糖の粘度の低さ及び取扱いの容易さの観点からは平均重合度は2〜10であることが好ましい。平均重合度のさらに好ましい範囲は2〜8であり、特に好ましい範囲は2〜7である。
【0016】
オリゴ糖の平均重合度の制御は加水分解時間や加水分解時の反応溶液のpHを適宜調節することによって行うことができる。なお、本発明において「難消化性オリゴ糖」とは、消化液で実質的に分解されず、従って小腸で吸収されずにそのまま大腸に到達する程度の消化性しか有さないオリゴ糖を意味し、例えばキシロースが複数個重合したキシロオリゴ糖がこれに該当する。また、このオリゴ糖はホモオリゴ糖には限定されず、加水分解に用いる植物細胞壁の組成によっては2種以上の単糖が重合したヘテロオリゴ糖であることもあり得る。
【0017】
植物細胞壁の加水分解により得られた混合糖液は、カチオン交換樹脂を使用したクロマトグラフィー分離処理に供する前に所望により脱色、脱塩処理を行うが、その手法は何ら限定されるものではない。また、夾雑物中に不溶物が含まれる場合は、クロマトグラフィー前に除去することが望ましい。
【0018】
脱色および夾雑物の排除は、活性炭や化学合成樹脂を用いて行うことができるが、酸性オリゴ糖を吸着させないもの、あるいはそのような条件で行う必要がある。また着色量が高い場合、粉末活性炭、活性白土、キトサン、化学合成樹脂等で予備脱色することで精製負荷を軽減することができる。ただし、脱色に使用する活性炭や化学合成樹脂の粒径や使用方法は限定されるものではない。
【0019】
脱塩処理は、糖液をカチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂に順次通液するか、ミックスベッド(カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の混合品)に通液することで行うことができる。糖液をカチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、ミックスベッドに順次通液することも可能である。また、脱塩負荷を軽減する目的で、電気透析膜を使用することもできる。電気透析膜に用いられる膜は、塩類を通過させ、酸性オリゴ糖を通過させいない孔径を持つため、酸性オリゴ糖を含む糖液を効率よく予備脱塩するのに適している。脱塩に用いるアニオン交換樹脂は特に限定されないが、弱塩基性で酸性オリゴ糖を吸着しないものを用いるか、あるいは弱塩基性で酸性オリゴ糖を吸着しない条件で通液する必要がある。ミックスベッドについても同様である。
【0020】
着色成分や夾雑物がクロマトグラフィーに用いる樹脂をマスキングし、分離に影響を与える場合は、事前に脱色、夾雑物の排除を行う必要がある。また、含有される塩の金属イオンがカチオン交換樹脂の金属イオンと交換し、結果として分離性能を低下させる場合は、事前に脱塩処理する必要がある。ただし、脱塩処理については、溶離液中にカウンターイオンを混入させるなどして、分離性能の低下を防ぐことができる場合は、この限りではない。
【0021】
脱色、脱塩処理の有無を問わず、クロマトグラフィー分離処理に供する混合糖液中の固形分濃度は、操作上許容を得る範囲でできるだけ高い方が好ましい。通常は固形分濃度50%重量%以上の糖液を用い、特に60±5重量%のものを用いることが望ましい。また、糖液の温度は、微生物の増殖を防止しかつ粘度を低下させるためにも、できるだけ高い方が望ましいが、糖液が着色し易い性質の場合は、温度を上げすぎないように注意する必要がある。通常は60〜70℃で糖液及び水をクロマトグラフィー装置に供給する。
【0022】
クロマトグラフィー分離処理に用いるカチオン交換樹脂は、Na形カチオン交換樹脂であることが望ましく、特にNa塩形としたスチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体のスルホン化物を用いることが望ましい。スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体としては通常はゲル型のものを用いる。架橋度も低い方が分離性能が良い。クロマトグラフィーでは、混合糖液を酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分の二つ、または、中性成分に富む画分をさらに2つに分離し、酸性オリゴ糖に富む画分と中性オリゴ糖を多く含む画分、単糖に富む画分の3つに分離する。分離された中性成分に富む画分は、そこに含まれるオリゴ糖又は単糖の90重量%以上が680以下の分子量を有することが好ましい。
【0023】
クロマトグラフィーは、特開2000−201700号公報に記載の方法に準じて行うことができる。糖液を酸性オリゴ糖に富む画分と、中性成分に富む画分に分画するには、擬似移動床方式、つまり、分離剤が充填されておりかつ液体が内部を循環的に移動し得るようになっている充填床に、糖液と溶離剤としての水あるいはカウンターイオン混合液を供給し、同時に床内から酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分とを抜出し、かつこれらの供給口及び抜出口を間欠的に下流のそれに切り替える方式により行うことが好ましい。この場合、床内には液体を常に循環させておき、床への液体の供給及び床からの液体の抜出しを、供給口及び抜出口の切り替えから切り替えまでの間、連続的に行う標準的方法により行うこともできる。また、供給口及び抜出口の切り替えから切り替えまでの間のある時間帯だけ床への液体の供給及び床からの液体の抜出しを行わずに床内の液体の循環だけを行う改変方法(図2、及び特開平2−49159号公報参照)により行うこともできる。
【0024】
また、別法として、特開昭63−158105号公報に記載された方法に従い、分離剤が充填されており、かつ前端と後端とが液体流路で連結されていて液体が床内を循環的に移動し得るようになっている充填床を備えた装置を用いて、次のような半連続方式により行うこともできる。
(i)充填床の前端から糖液を供給し、後端から中性成分に富む画分を抜出す原料供給工程。
(ii)充填床の前端から水またはカウンターイオン混合液を供給し、後端から中性成分に富む画分を抜出す第1脱着工程。
(iii)充填床の前端から水またはカウンターイオン混合液を供給し、後端から酸性オリゴ糖に富む画分を抜出す第2脱着工程。
(iv)充填床への液体の供給及び充填床からの液体の抜出しを行わずに、床内の液体を循環的に移動させ、酸性オリゴ糖と中性成分との混在する帯域を充填床の前端に移動させる循環工程。
【0025】
いずれの方式のクロマトグラフィーによる場合でも、酸性成分に富む画分中には、供給した糖液中の酸性オリゴ糖の70重量%以上、特に80%重量以上が含まれるように操作することが好ましい。また、中性成分に富む溶液中には供給した糖液中の中性成分中の70%が含まれるように操作することが好ましい。なお、糖液に対する水またはカウンターイオン混合液の供給比は、通常5倍(容積比)以上であるが、擬似移動床方式の方が一般に水またはカウンターイオン混合液の供給比を小さくすることができる。
【0026】
糖液を酸性オリゴ糖に富む画分、中性オリゴ糖を多く含む画分、並びに単糖に富む画分の3つの画分に分画するには、特開昭63−158105号公報の記載に従い、分離剤が充填されており、かつ前端と後端とが液体流路で連結されていて液体が床内を循環的に移動し得るようになっている充填床を用いて、次の第1工程〜第4工程からなるサイクルを反復する半連続方式により行うことが好ましい(図3も参照)。
(i)充填床の前端から糖液を供給し、充填床の後端から、中性オリゴ糖を多く含む画分を抜出す第1工程。
(ii)充填床への液体の供給及び充填床からの液体の抜出しを行わずに、床内の液体を循環的に移動させることにより、酸性オリゴ糖、中性オリゴ糖、単糖が混在する帯域を充填床の前端に移動させる第2工程。
(iii)充填床の前端から水またはカウンターイオン混合液を供給し、充填床の後端から単糖に富む画分、及び酸性オリゴ糖に富む画分をこの順序で抜出す第3工程。
(iv)充填床への液体の供給及び充填床からの液体の抜出しを行わずに、床内の液体を循環的に移動させることにより、酸性オリゴ糖、中性オリゴ糖、単糖が混在する帯域を充填床の前端に移動させる第4工程。
【0027】
上記工程には、いくつかの付加工程を加えることもできる。例えば、糖液中の単糖のうち特定成分を高純度で抜出したい場合であって、3つの画分の分離では求める純度が不十分な場合などは、この前に、予備的な分離として、単糖を分離するクロマトグラフィーを挿入してもよい。例えば、糖液の主な組成が、酸性オリゴ糖、中性オリゴ糖、D−キシロース、L−アラビノースであり、かつ、L−アラビノースについて80%以上の純度の物を得たい場合、先に糖液を例えば、上述の3成分分離で、酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖に富む画分、D−キシロースに富む画分、L−アラビノースに富む画分の3つに分離し、その後、酸性オリゴ糖と中性オリゴ糖を富む画分を次のクロマトグラフィーで分離すればよい。その場合は、酸性オリゴ糖の分離精製では、酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分の2つに分離することになる。
【0028】
実施例
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、発明はこれに限定される物ではない。
【0029】
(1)粗精製混合糖液の調製
トウモロコシの種皮にシュウ酸を添加してpHを2付近に調整し、130℃で30分〜2時間の適当な時間加圧分解して分解糖液を得た。得られた分解糖液を細胞壁分解酵素処理後、粉末活性炭で処理し、脱色、夾雑物排除の処理を行った。脱色糖液は、濃縮後、電気透析膜で塩量を60%除去した。予備脱塩済みの糖液を常法によりイオン交換樹脂に通液することにより脱塩した。この糖液をCa形カチオン交換樹脂(UBK535(三菱化学(株)))によるクロマトグラフィー分離処理に供して単糖成分をほぼ分離除去し粗精製混合糖液を得た。この粗精製混合糖液を、Na形とCa形を連結した配位子交換カラムでHPLC分析したところ、酸性のオリゴ糖成分を主成分(34%)とする糖鎖(AO34)であることがわかった(図1、表1)。また、この酸性オリゴ糖の構成糖を調べたところ、10%のグルクロン酸を含むヘテロ糖鎖であることがわかった(表2)。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
(2)カチオン交換樹脂を分離剤として使用したクロマトグラフィー分離処理による、粗精製混合糖液からの酸性オリゴ糖の分離
スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体のスルホン化物のNa塩(ゲル型、平均粒径220μm、平均容量1.8meq/mL)を内径27mmφのカラムに338mLずつ充填した4個の充填床を、循環路を形成するように連結した装置(図2)を用いる改変された擬似移動床により、(1)で得られた粗精製混合糖液(表1参照)を酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分に分画した。
操作条件は下記の通りであった。
糖液供給速度 54mL/hr
水供給速度 675mL/hr
中性成分に富む画分の抜出し速度 208mL/hr
酸性オリゴ糖に富む画分の抜出し速度 170mL/hr
循環工程の流速 675mL/hr
供給―抜出し工程 12.4分
循環工程 9.8分
4回の工程の反復により最初の状態に復帰するまでの間における弁(バルブ)の開閉は、図4の表に示す通りであった。表中、○は弁の開いた状態、×は閉じた状態を表す。
分画の結果、表3に示す組成を得ることができた。
【0033】
【表3】

【0034】
表3から、本発明によれば酸性オリゴ糖と中性成分の混合糖液から酸性オリゴ糖を簡単な工程で効率的に分離することができることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】トウモロコシ種皮酸分解物のゲル濾過結果を示す。
【図2】改変擬似移動床方式のクロマトグラフィー装置の一例を示す。
【図3】半連続式クロマトグラフィー装置の一例を示す。
【図4】擬似移動床での弁の開閉を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性オリゴ糖と、中性オリゴ糖及び単糖からなる中性成分とを含む混合糖液から酸性オリゴ糖を選択的に分離する方法において、カチオン交換樹脂を分離剤として使用したクロマトグラフィー分離処理に前記混合糖液を供し、それにより前記混合糖液を酸性オリゴ糖に富む画分と中性成分に富む画分に分離する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
混合糖液が植物細胞壁の加水分解物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
酸性オリゴ糖が、難消化性オリゴ糖に弱酸が結合された糖であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
分離された中性成分に富む画分に含まれるオリゴ糖又は単糖の90重量%以上が、680以下の分子量を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87390(P2006−87390A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279380(P2004−279380)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(591173213)三和澱粉工業株式会社 (33)
【出願人】(000232863)日本錬水株式会社 (75)
【Fターム(参考)】